「・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・。

 悪い、もう一度言ってくれ」

「・・・・・・ここはどこ、俺は誰」

「・・・・・・・・・・・・。

 あれか?

 あの有名な・・・・・・記憶喪失・・・・・・ってやつか?」

「・・・・・・・・・・・・」

「ま、とりあえず家に来いや。

 そんな格好でうろうろするワケにもいかねぇだろ」

「・・・・・・すいません」

「いいってことよ。

 ほら、後ついてこい」

 

 

機動戦艦ナデシコ if 
THE AVENGER

第1話 
 新しき生活

 

 

 青年は、男の家に案内された。

 そして、出された炒飯を平らげた。

「・・・・・・・・・・・・」

「どうした?」

「・・・だめです。

 味が・・・・・・よく分かりません」

「そうか・・・・・・。

 残念だな。

 俺の料理はここら辺じゃ一番だ、って評判だからな」

「・・・・・・すんません」

「謝ることじゃないさ。

 しっかし・・・・・・お前さん、本当に記憶がないんだな?」

「はい・・・・・・・・・」

「警察にでも行って、DNA見て貰うしかないな」





「う〜〜ん・・・・・・・・・」

 警察でDNAを見て貰ったとき、相手の放った第一声がこれである。

「あの・・・・・・どうしたんですか・・・・・・?」

 不安そうにそう聞く青年。

 まあ、誰だって不安になるが。

「いやぁ・・・・・・似た遺伝子情報を持つ人はいるんだけどね・・・・・・・・・。

 君の遺伝子情報はインプットされてないんだよ・・・・・・」

「ンな事があるのか?」

「時々、なんかでデータが破壊されたときに、バックアップが偶々無かったり、サル
ベージされなかったデータがあるんだよ。

 他にも、たまたま遺伝子に少し異常があるような所を見たかも知れないし。

 多分・・・・・・そんな中の一つだと思うんだけど・・・・・・・・・。

 念のため、もう一回やってみましょう」

 記憶喪失の青年は右腕を差し出した。

 今度は、先程とは少しずれた位置に針を突き立てる。

 その感触に、言い知れぬ不安が頭をよぎる。

(一体どうしたんだ・・・!?

 なんで注射器にこんな恐怖を感じるんだ!?)

「お」

「どうしました?」

「今度はあったぞ。

 ほら、これだ」

 警官の示したデータには、彼の記録があった。

「おめぇ、テンカワ アキトってーのか」

「そうみたいですね」

「で、アキトよ、おめえこれからどうすんだ?

 まっ、そんなこと言っても記憶喪失じゃどうにもなんねぇか」

「・・・すいません」

「だから謝るような事じゃないってーのに。

 いいぜ、家に来な。

 面倒見てやっからよ。

 もっとも、しっかり働いて貰うがな」

「ありがとうございます・・・・・・!!

 え・・・・・・と、あの・・・・・・」

「・・・そー言や、自己紹介してなかったっけな。

 俺は雪谷 サイゾウだ。

 よろしくな、アキト」

「こちらこそよろしくお願いします、サイゾウさん」



 こうして記憶喪失の青年「テンカワ アキト」は、雪谷 サイゾウの家(店)に住む
ことになった。



 ところで、アキト、サイゾウ、DNAを見て貰った警官はある一つの事実に気が付いていなかった。

 アキトの経歴・備考欄に書かれていた言葉に・・・・・・・・・。

 そこに書かれていた言葉とは、

 「2193年3月より、行方不明となった。

 同日、彼の恋人である少女も行方不明となった」

 この言葉の指し示す意味を、今はまだ、誰も知る由はなかった・・・・・・・・・。





 本星への報告書 TA−1

 前回予告したダークは、まだ入りません。

 ダークが入るのは、予定としては第4話辺りからです。

 もちろん、それがずれる可能性は大いにありますが。

 なお、このSSはごく一部の方にはとんでもないお怒りを与える可能性があります。

 気を付けて読んでください。

 それではこの辺で・・・・・・。
本星への報告書 TA−1 終