ナデシコは戦闘終了後、ノーダメージのエステバリスを回収した。
しかし、通信を入れても、アキトは応えなかった。
艦長殿は、
「もう、アキトったら照れちゃって!」
とかのたまった。
そしてそのまま、プロスの制止を振り切って走り去っていった。
・・・・・・なお、その際のスピードは、どっかの世界の自分と同じように100m2秒台だったことを記しておく。
------ナデシコ格納庫------
「おーい、いい加減降りてきたらどうだぁーっ!?」
整備班班長のウリバタケセイヤが、メガホン片手に、ピンクのエステに声を掛けた。
しかし、エステからは何の反応も返ってこなかった。
そこに青髪馬鹿女が駆け込んできた。
「アキトぉーーー!!!!」
「あ、なぁ、艦長?」
ウリバタケ(以後シリアス以外では「ウリP」とする)がユリカに声を掛けるが、
聞いちゃいねぇ。
自分の言葉ばかりを押しつける。
「ねーねーアキトー、お話ししようよー」
最っ低のマシンガントークだ。
ウリPが声を掛けてもそれを無視・・・・・・というかむしろ気付いていないユリカがエステに向かって声をかけ続ける。
それが2分ぐらい続き、ウリPの堪忍袋の緒が切れた。
「っだぁーーーっっっ!黙らんかっ、ボケ艦長がっ!」
手に持っていたスパナを一閃。
気 絶
し
ユリカは声も出さずに息絶えた。
「ったく、何なのかね、うちの艦長は」
とかぼやきながら、エステの中をモニタリングした。
「気絶してやがる」
コクピットの中をモニタリングした結果、搭乗していた白髪の青年(ウリPはアキトの名前を知らず、艦長の言葉も聞いてなかった。って、どっちもどっちだな、ユリカとウリP・・・・・・)が気絶していることが分かった。
「おいお前ら、ハッチ開けんの手伝え!」
「「はい」」
2人の整備員が返事する。
「「「せ、っと」」」
プシュー
圧縮空気がエステのハッチを押し開けた。
その途端、アキトの体が前のめりに倒れてきた。
ウリバタケ達は彼を受け止められなかった。
必然と、アキトの体は6mほどの高さから落下した。
誰もが、惨劇を予感し、目を覆った。
機動戦艦ナデシコif
THE AVENGER
第7話
転職(?)
「アキトったら、昼間っから大胆なんだからーっ(ハート)」
・・・・・・惨劇は起こらなかった。
というか、彼女は今が午後6時を回っていることを忘れているのだろうか?
・・・・・・・・・話が逸れた。
ウリバタケ達が開けたハッチから落ちたアキトを、突然復活したユリカが受け止めたのだ。
そのまま後ろへ倒れ込み、最初のセリフが飛び出たわけだ。
まあ、それは置いとく。
「あれ?アキト、どうしたの?」
・・・・・・ユリカはやっとアキトの様子がおかしいのに気が付いたようだ。
「おーい、アキトー」
「・・・・・・・・・・・・」
「アキトってばー」
「・・・・・・・・・・・・」
「ねーねー、アキトー」
「・・・・・・・・・・・・」
「お話ししようってばー」
「・・・・・・・・・・・・」
「全くもう、照れちゃってー」
・・・・・・・・・訂正。
全く気が付いていない。
「艦長、そいつ、気絶してるぜ」
「ほえ?
気絶、って、アキトが、ですか?」
「ああ、アキトってのがそいつのことなら、その通りだぜ」
「大変ー!
早く医務室に連れてかなきゃ!」
バビューーン
とかいう音を立てながら彼女はアキトを抱え(お姫様抱っこ)医療室へマッハ2で向かった。
・・・・・・人間じゃないな、もう・・・・・・・・・
なお、その際に起こった衝撃波で整備員の何人かがやられた。
ユリカと、ユリカに抱かれるアキトは、謎のピンク色の光が覆ってい、衝撃波の影響を全く受けなかった。
医療室にて。
「あっきと、あっきと、あっきと〜〜♪」
ワケの分からん節を付けながらユリカがアキトの名前を呼ぶ。
そのユリカの隣には、ブラスターを構えたゴートが・・・・・・(汗っ)
「う・・・うぅ〜〜ん・・・・・・」
アキトが、呻き声をあげながら目を覚ました。
「ここ・・・は・・・・・・?」
「アキト、目が覚めたんだね!」
・・・・・・大声を耳元で放ったもんだから・・・・・・
またアキトは気絶した。
こんなコトが何回か繰り返されて・・・・・・
ユリカは猿轡を噛まされた。
「ここ・・・は・・・・・・?」
再びそう言いながら目を覚ました。
今度はユリカの声で気絶することなく、無事に目覚めた。
「お目覚めですね、テンカワさん」
「あなたは・・・・・・プロスペクターさん・・・でしたっけ?」
「プロス、で結構ですよ。
テンカワさんは、エステバリスに乗って出撃なされた後、気絶して15時間眠っていらっしゃったのです」
「十・・・・・・五時間・・・・・・! !?」
「はい、15時間ですよ」
「やっ、やばいっ!
で、電話貸してください!」
「はい、どうぞ」
プロスに渡された携帯電話をプッシュする。
すぐに、電話に人がでた。
「あ、サイゾウさん!」
『・・・・・・アキトか・・・・・・?』
「はい、すいません、いろいろと巻き込まれて、気が付いたらこんな時間に・・・・・・」
『・・・・・・もういい』
「へ?」
『クビだ』
「え?え?」
『・・・・・・もう一度言う。
お前は・・・・・・クっビだあぁぁぁぁ! !』
「そっ、そんなぁっ!」
『そう言うわけだ。
帰ってくんじゃねえぞ!』
ブツッ
電話が切られた。
アキトは“るるー”と泣いた。
「あの・・・・・・働くところがないのなら、うちで働きませんか?」
「みっ、ミスタぁっ!?」
「なんですか、ゴートさん」
「こんな素性のしれないヤツを!?」
「まあいいじゃないですか。
万が一の場合は頑張ってくださいね」
ポンッ
プロスに肩を叩かれたゴートは、呆然とした。
(そ・・・そんなんでいいのか!?)
その後なんだかんだあったが、アキトは食堂で調理補助(皿洗いや野菜などを切る仕事)兼パイロットとしてナデシコで働くこととなった。
本星への報告書 TA−7
・・・・・・とりあえずここまで仕上げた。
次回は・・・・・・ムネタケの反乱まで行くのかな・・・・・・?
ま、とりあえず頑張りましょうっ!
本星への報告書 TA−7 終