カリカリカリカリカリ・・・・・・
ピタッ
浦島アキトは勉強中、はたとその手を止めた。
彼は唐突に思ったのだ。
「(2泊3日ぐらいの旅(世間ではそれを“旅行”という)に出よう)」
アキトはそれを次の日に実行した。
「2泊3日ぐらいの旅に出ます。探さないでください」という書き置きを残して・・・・・・
ナデひな外伝
シリーズ 浦島 アキト ぶらり旅
in 杜王町
「何だこれはーーっ!!!?」
今朝のひなた荘は、この声で目覚めた。
・・・素子の叫び声で・・・・・・
「何や!?どうしたんや、素子!?」
「どうしたの、素子ちゃん!?」
「どうしたんですか!?素子さん」
「どうしたんやー?素子ー」
ロビーに出てきたひなた荘の住人に素子は声と手を震わせていった。
「これを・・・見てください・・・・・・」
素子が手にしていた紙を見、書いてあることを読み上げるキツネ。
「えーと、なになに・・・
“2泊3日くらいの旅に出ます。探さないでください”
またかぁーーっっっ!!!」
そしてキツネはまた暴れた。
無理もない。
アキトが前回旅行に行ってから二週間も経っていないのだから・・・・・・
そんな騒ぎがひなた荘で行われている頃・・・・・・
アキトは杜王町に到着していた。
バスから降りたのはアキト一人だった。
そして、バスが去って一歩踏み出そうとしたその瞬間!
ヒュンッ
変な形の“矢”が飛んできた。
アキトを目掛けて。
「え・・・・・・?」
青ざめるアキト。
いきなり矢が飛んできたら、歴戦の英雄でも驚くもんだ。
しかも、殺気は完全になかった。
それで察知することは、例えアキトといえども、非常に難しい。
だから、完全に避けることはかなわなかった。
頬から血が出る。
そこでアキトは矢を受け止めた。
「ふう、一体何だったんだ?
今の枝織ちゃんやなるちゃんを彷彿とさせる攻撃は」
そんなことを呟いていたら、なんかペラペラした変なのが飛んできた。
「?なんだ?これは」
変なのは、写真だったようだ。
変なオヤジが写っている。
そのオヤジが手を伸ばした。
・・・・・・・・・・・・・え?
「え?」
手はどんどんと大きくなり・・・・・・写真の外に出た(!)。
そして矢を掴んで奪い取り・・・・・・
ブシュッ
アキトののどを刺した。
「え・・・?」
鮮血が吹き渋る。
ばたっ
アキトは倒れた。
「・・・・・・・・・・・・・・・」
写真のオヤジが何かを言ったが、アキトには聞こえなかった。
気が付くと、何ともなかった。
「?のど刺されたと思ったんだけどな・・・・・・気のせいだったのかな?」
時計を見ると、ここに着いてから数分しか経っていないことが分かった。
「一体さっきのは何だったんだ?
まぁ、いっか」
ひなた荘で随分と楽天家になった彼は、“矢”のことなんか忘れて歩き始めた。
予約した宿に行く途中、アキトは不思議なモノを見た。
「?なんだ?あれは」
何と書けばいいのか作者は分からないが・・・・・・
つまり、アレだ。
クレイジー・ダイヤモンド&スタープラチナ。
それと、丞太郎&仗助。
後、なんかてきとーなやられスタンド一体。
「・・・・・・オレ、疲れてんのかな」
その時、頭の中に声が響いた。
「別にそういうわけではない。
アレは“スタンド”と呼ばれる者。
精神に形を与えたものと言ってもいい。
その姿・能力は千差万別。
我が名は“アーサー”。
汝の“スタンド”なり」
「・・・・・・・・・・・・・・・やっぱり疲れてんだな。オレ」
「だから疲れてるワケじゃないってば」
「・・・・・・じゃぁ、お前の姿を見せて見ろ」
アキトがそう言った次の瞬間。
力強いフォルムを持った、どことなく威厳を感じさせるのが現れた。
「我が汝のスタンド“アーサー”。
こうやって、持ち主としゃべれるスタンドはかなりレアだぞ。
・・・それはそうと、正確には我一人(?)ではない。
我の他に、後13の騎士達がいる。
我らの能力は“コピー”。
13の能力をコピーし、扱うことが出来る。
我が能力は知覚故に、戦闘能力はそう高くないが、騎士達にコピーさせる能力の如何によっては、あらゆる意味で、汝は最きょうのスタンド使いとなるだろう」
当然最きょうの「きょう」は、「強」「兇」「恐」などがある。
「騎士達にコピーさせるときは、相手のスタンドの能力を知らないといけないからな」
「ふ〜ん」
アキトはちょっと考えた。
「それじゃ、どうしたらコピーできるの?」
「スタンド使いに触れるか、スタンドそのものに触れるか。
さすれば我が力“知覚”にて、その能力を記憶から引き出せる。
それを主殿が判断し、欲しければコピーし、いらなければそのまま、というわけだ」
「ふーん。なるほど。
それじゃ、あの人達かそのスタンドに触ればいいんだよね。
あ、そういえば、触るのは誰?オレ?それともアーサー?」
「どちらでもよい」
「じゃ、触ってきてもらえる?」
「承知」
そう言ったそばから彼(?)は二人の元へ向かう。
別に殺気とかを出しているわけでもないので十分に近づけたんだが・・・・・・
「(う・・・・・・届かない・・・・・・後二センチぐらいなのに・・・・・・・・・射程が・・・・・・・・・)」
「? 何やってんだ?アーサーは」
そういうとアキトはアーサーの方へと一歩歩いた。
そうすると、射程内に彼らが入るわけで、アーサーは触れるか触れないかと言うぐらいで二人に触った。
アーサーが二人に触れた瞬間、アキトの中に二人の経験や記憶が流れ込んできた。
そして、スタンドの能力も・・・・・・
「へえ、時を止められるんだ・・・・・・
(これは便利だぞ。傷心旅行の時みたいに枝織ちゃんとかに捕捉されても、これで時を止めれば逃げ切れるからな。楽勝で)
それともう一つは触れると傷とか直せるんだ。無機物も有機物も。
だけど自分の傷は治せないのか・・・・・・
ま、いいか。早々簡単に怪我しないし、オレ。
で、アーサー、どうすればコピーできるんだ?」
「うむ。ただ念じればそれでオッケーだ」
「・・・・・・(なんかな〜)」
とりあえず、アキトはアーサーに言われたとおり念じてみた。
この能力が欲しい、と。
で、念じた次の瞬間、また二つスタンドが現れた。
彼らはアーサーと違って喋れないようで、アーサーがこの二体が何なのか説明した。
「彼らはラーンスロットとトリストラム。
最強のスタンド達、“スタープラチナ”と“クレイジー・ダイヤモンド”の能力をコピーした。
ラーンスロットがスタープラチナ。
トリストラムがクレイジー・ダイヤモンドの能力だ」
「ふ〜ん。
じゃ、とりあえず観光に行くか・・・・・・って、あ。お前ら出してたら、やっぱまずいかな?」
「うむ。まずいな。かなり。
敵だと誰かに認識されたら大変だからな」
「・・・・・・認識されても、スタンド使い自身を倒したり、逃げたりするのなんか楽勝だよ?」
「かといって、わざわざ戦うこともあるまい」
「それもそだね。
オレ、平和主義者だし」
「それは嘘だろう」
「・・・・・・なんでさ」
「平和主義者がそんなに強力な力を持っているわけなかろう」
「それでも持ってるもんはしょうがないじゃないか」
などと、とりあえずスタンド×3を仕舞って(?)、頭の中で会話しながら観光に出るアキト。
アンジェロ岩を見ながら一言。
「う〜ん、気味の悪い岩だな〜」
「ふむ、どうやらこれは、スタンド使いを先程の“クレイジー・ダイヤモンド”で岩と同化させたモノらしいな」
「うわー、あくしゅみー」
岬の先にある岩を見て一言。
「・・・・・・ポヨヨン岬だって。変な名前。
あれね、何でも、飛び降り自殺をしたっぽい女性を優しく、ぽよよ〜ん、って受け止めて、岬の上に戻したらしいよ。あの岩が」
「・・・・・・あれもスタンドの能力で出来たものだな・・・・・・・・・・・・」
「・・・スタンド能力持ってるヤツ多いんだね、この町」
なんか、もうスタンド能力に順応しているアキト。
でも、端から見てると、なんかキ印の怪しい人だね♪
誰もいないのに会話してるんだから。
その次は漫画家、岸部露伴(をおっ ! ? 一発で変換できたぞ ! ?)の家だった。
ここは杜王町ガイドブックには載っていなかった。
仗助の記憶を見て、知ったのだ。
アキトは岸部露伴のファンだった。
だから、この旅の共に露伴のマンガを全部持ってきていた。
そして、このドアの向こうには露伴がいる。
となればアキトがすることは一つ。
コンコン
「すいませ〜ん」
暫くして。
ガチャッ
「康一君かい?」
岸部露伴が現れた。
「君は?」
「あ、お、オレはテ・・・じゃなくて、浦島
アキトといいます。
露伴先生のファンなんです!
あ、握手と、サインお願いします!」
「ああ、別にいいよ」
露伴がそう答えた瞬間、アキトは露伴の手を握った。
・・・・・・一瞬にして露伴の記憶やらなんやらが流れ込んでくるが、それに気付かず、ただただ感激しているアキト。
「あー、今まで生きてて良かった」
そんなことを言うアキトに苦笑する露伴。
露伴の手を放すとゴソゴソと鞄からコミックスを取り出すアキト。
「そ、それじゃあ今度はこれにサインを・・・・・・」
「ああ、勿論いいよ。でも、その前に「君の記憶を見せてもらうよ、ですか?」・・何 ! !」
「いやー、オレも能力があるんですよ、スタンドの」
「そうか、君もなのかい。
本当にこの町にはスタンド使いが多いな・・・・・・」
「そうですね。
俺がスタンド能力に目覚めたのって、この町に来てすぐだったんですけど、目覚めてすぐに三人のスタンド使いを見ましたし、他の能力者達の存在も何人か知りましたよ。
俺は、俺自身かスタンド“アーサー”が触れた人間の記憶を(強制的に)知ることが出来ますから」
「へぇ、僕の能力に似ているな」
「それと露伴先生、俺の記憶はマジに見ないほうがいいっす。
見たら、ショック死するかもしれませんし・・・・・・」
「・・・・・・一体どんな経験をしたんだい?」
「ははは・・・・・・・・・知らない方がいいですよ、そう、知らない方が・・・・・・・・・(虚ろな笑い声&涙)」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
結局、露伴がアキトの記憶を見ることはなかった。
そしてアキトはコミック全部に露伴のサインをもらった。
ついでに、露伴の能力もゲット。
幽霊小道を発見。
「ここは振り向くと、天国だか地獄だか知らないけどね、あの世に連れてかれちゃうんだって」
「う〜む・・・・・・面妖な」
「・・・お前らスタンドがそういうこと言えんのか?」
「気にするな(しれっと)」
「お、っと」
ちゃりん
幽霊小道前のコンビニでジュースを買い、小銭を仕舞っているとき、十円玉が落ちた。
それも、転がって後ろの方に。
当然、拾うときに振り向いた。
だから・・・・・・・・・
無数の手が襲いかかってきた。
「どわあああああああっ」
「うむ」
「まさか本当に ! ?」
アキトは慌てた。
腕に掴まれかけたその時。
ザワールド
「あ、そうか。ランスロット・世界で時を止めればいいんだ」
そう言うと、アキトはラーンスロットを出した。
「ラーンスロット・ザ・ワールド!
時よ止まれっ ! ! 」
ラーンスロットが合掌する。
時間が止まった。
0.001秒
アキトは幽霊小道から全速力で抜け出そうとした。
0.005秒
幽霊小道から後10mを切る。
0.01秒
ラーンスロット・世界の効果が切れる。
だが、その時には脱出成功。
「ふー、さっそくだけどスタープラチナの能力が役に立ったな」
「全くだ。
出てきたばっかりなのに死ななくて良かった」
「・・・・・・スタンドにも“死”の概念ってあるのか?」
「少なくとも、我にはあるぞ」
「そーゆうもんか。
あ、ジャケットがちょっと破れてる。
こういうときは、っと。
トリストラム!」
トリストラムが出現する。
そしてジャケットをトリストラムで触ると、ジャケットは何事もなかったかのように元通りになった。
電線鉄塔に住む男を見に行く途中、アキトは二人の男(虹村
億泰&広瀬康一)に会った。
二人にアーサーで触り、二人の能力を欲しいと思い、アキトは迷わずコピーした。
電線鉄塔に住む男を発見。
「・・・・・・本当にこんなトコに住んでるヤツがいるんだな」
「・・・・・・信じられん」
「ところで、あの人もスタンド能力持ってるみたいなんだけど、俺に制御できるのかな?
制御できたら、あのスタンド欲しいんだけどなー」
「コピーしたモノを、消すことも出来るから、コピーしてみればいい」
「そう?それじゃ」
アキトはアーサーを鉄塔に触らせた。
そして能力をコピー。
「お。どうやら制御出来るみたいだ。
ここに来る前に会った二人のスタンドも使えるし、これで彼女達に発見されても、けっこう楽に逃げられるな。
確か、“エコーズ”と、“ザ・ハンド”だっけかな?」
二日後。
アキトはスタンド使いに攻撃されたり、巻き込まれたりすることなくひなた荘に帰還。
そしてひなた荘の住人にこってりと絞られた。
本星への報告書 N−2
ふっ・・・・・・どんどんアキトが人外の存在になっていくなー。
次回は「in 猫目市」を予定しています。
どーせだから、ザ・ワールドやスタープラチナみたく時を止められるスタンド能力を手に入れた枝織でも出そうかな?(大嘘)
あ、因みに、これにかかった時間は4時間にちょっと足りないかな?くらいです。
それではさようなら〜。
本星への報告書 N−2 終