最初に書いておきます。
この話、もしかしたらE.Tが書いた中で最も長い作品の可能性があります。
そこの所にご注意下さい。
カリカリカリカリカリ・・・・・・
ピタッ
浦島アキトは勉強中、はたとその手を止めた。
彼は唐突に思ったのだ。
「(2泊3日ぐらいの旅(世間ではそれを“旅行”という)に出よう)」
アキトはそれを次の日に実行した。
「2泊3日ぐらいの旅に出ます。探さないでください」という書き置きを残して・・・・・・
ナデひな外伝
シリーズ 浦島 アキト ぶらり旅
in スットン共和国
「何だこれはーーっ!!!?」
今朝のひなた荘は、この声で目覚めた。
・・・素子の叫び声で・・・・・・
「何や!?どうしたんや、素子!?」
「どうしたの、素子ちゃん!?」
「どうしたんですか!?素子さん」
「どうしたんやー?素子ー」
ロビーに出てきたひなた荘の住人に素子は声と手を震わせていった。
「これを・・・見てください・・・・・・」
素子が手にしていた紙を見、書いてあることを読み上げるキツネ。
「えーと、なになに・・・
“2泊3日くらいの旅に出ます。探さないでください”
またかい、こんちくしょぉーーー ! ! !」
・・・・・・因みに、アキトが杜王町から帰って十日ぐらいである。
そんな騒ぎがひなた荘で行われている頃・・・・・・
アキトはスットン共和国に到着していた。
とりあえず、昨日中に予約をしておいたホテルに向かった。
ンで、ホテルに着く。
しかし・・・・・・
「申し訳在りませんが、予約が入っておりません」
「何 ! ?
そ、そんな馬鹿な・・・・・・」
フロント係の男の人にそう言われ、トランクから宿泊チケットを取り出すアキト。
「だって、ほら、ここに・・・・・・って、このホテル名前の似てる東京のホテルじゃねぇか!」
そういうワケで、アキトは宿無しになった。
何故か、別段旅行の季節でもないのにスットン共和国のホテルは全て埋まっていた。
これからどうするかを考えていたときだった。
仲睦まじいカップルが手を繋いでラブラブ〜な空気を撒き散らしながら歩いていると、突然変な褌にサングラスをしたモヒカンの男が現れた。
「所構わずいちゃつくカップルに天誅っ!」
などと訳の分からんことを言いながら釘バットで殴りかかる。
そのカップルはこの変態に何度も襲われているらしく、
「キャーッ、ジョー、またあいつよぉ〜」
「リンダー」
だのと悲鳴をあげつつ、
グシャッ!
と殴られ、満身創痍でピクピクと痙攣する。
「(・・・・・・なんなんだ、あいつらは?)」
誰でも思う疑問を感じるアキト。
そしてモヒカンは近くにいる別のカップルにも襲いかかる。
まぁ、それを見過ごすアキトではないので、
「ラーンスロット・ザ・ワールド!
時よ止まれ!」
1秒間の間に(止められる時間延びた)数百発の攻撃(昂気付き。さらに威力もMAX)を入れる。
そして時は動き出す!
叫び声すら残さず吹っ飛ぶモヒカン。 ←って、生きてんのか ! ?
それを見て、黒髪のつんつん頭の男性と腕を組んでいる(男の方は少し嫌がっている)金髪の女が、
「あ、見てみて水島君。
いつぞやの変態が空飛んでるわ」
「本当だな」
「(・・・・・・これが日常なのか?この国では)」
対して誰も驚いていないので、そんなことを思うアキト。
突然だが、また変なのsが現れた。
一人は変な白い“しっと”と書かれたマスクをかぶり、真っ赤なビキニパンツをはいた変態。
一人はこれまた白い変な“2”と“しっと”と書かれたマスクをかぶり、ちょっとおしゃれなロンドンブーツを履き、変なベルトをしている変なヤツ。
白地に赤で「2」と書かれたチョッキがなんかちょっといい感じ。
そしてモヒカンと同じ格好をした有象無象。
「男の敵水島め ! 今日こそ成敗してくれる ! !」
マスク1号が咆哮すると、それに合わせて有象無象どもも吼える。
「レッツ、ハルマゲドン ! ! !」
そう叫んで彼らは思い思いの武器(バズーカやマシンガン、機関銃に釘バットから金属バット、刀など)を手に水島と呼ばれた男に一斉に襲いかかる。
いや、襲いかかられた相手は水島という男だけではない。
水島の連れの金髪女、黒髪の変な帽子みたいなモノを被ったどう見ても人間じゃない肌をした少女、そこら辺にいるカップル達も襲われた。
水島は
「じゃっかわしいわぁっ ! ! ! !」
と叫びながら、パンチ一発で襲ってきたヤツらの大半を吹っ飛ばす。
残った奴等も金髪女が
「水島君とのデート、邪魔しないでよっ !」
と叫びながらどこからとも無く取り出したマシンガンで体中に風穴を空ける。
その隣で例の非人間っぽい少女が額の赤いガラスのようなモノから光線を発射する。
BOGOOOOOO!
光線の直撃を食らった者は消滅し、余波・爆発を受けたモノも何処かへ吹っ飛んでいく。
金髪女がとどめとばかりに黄色の三角形が三つ組み合わされた何やら非常にヤバイマークの書かれた爆弾を投げつける。
DOGOOOOON!!
と、大音量で巨大な爆発をする。
何故か周りに被害が全くないのが不思議だが、キノコ雲が立ち上る。
「(・・・・・・キノコ雲か・・・・・・・・・。
ルリちゃん、ラピス、ユリカ、メグミちゃん、リョーコちゃん、サユリちゃん、ハルミちゃん、ジュンコちゃん、ミカコちゃん、エリちゃん、エリナさん、イネスさん、レイナちゃん、サラちゃん、アリサちゃん、カグヤちゃん、ホウメイさん、サイゾウさん、なるちゃん、素子ちゃん、しのぶちゃん、スゥちゃん、はるかさん、九十九、白井、灰谷、(略)アカツキ、ウリバタケさん、ハーリー君、先立つ不幸をお許し下さい)」
自分の最期を悟って、お別れの挨拶してるし。
でも、それも仕方がないと言うもの。
こんな間近で核爆発が起きたら、もう、すでにラーンスロットで時を止めても無意味だし、スタンドやナノマシンの能力でどうにか出来るものではないのだから。
いくら人外の存在といえ。
しかし、何故か放射能は襲ってこなかった。
理由は簡単である。
「(・・・・・・何だ、あの煙を吸っている変な怪獣もどきは?)」
キノコ雲の高さよりももうちょっと身長が高い某日本発の世界的に超有名な怪獣の格好をし、変な頭巾のようなモノを被ったヤツが、
「はぁー、やっぱり核の煙と放射線は美味しいですね〜」
とか言いながら煙を吸い込んでいるのだ。
その横にはやはり日本発の某宇宙の守護神的亀の体をし、刀傷のある犬の顔をしたヤツが、
「ワウワウ」
とか言い(?)ながら、同様に煙を吸い込んでいるのだ。
それを見て、水島の連れの女は
「まったくもー、とびかげちゃんと轟天ちゃんったらおちゃっぴーなんだからー」
いや、おちゃっぴーじゃねーだろ。
「いやっはっは。
ランコさんこそおちゃっぴーなんだから」
「ワウワウ」
「「あっはっはっはっは」」
「(・・・・・・あいつらって・・・・・・一体、何?)」
おそらく、彼らを知る全ての人の心境も同じモノだろう。
「ランコー、とびかげ、轟天。
遊んでないでさっさと行くぞ」
「あーん、待ってよ水島くーん」
「博士、待ってください」
動じるでもなく、いつものこと、と言った感じでとびかげというらしい謎の怪獣A、轟天というらしい謎の怪獣Bに声を掛ける水島とランコというらしい金髪女性を見ながらアキトとは思った。
「・・・・・・本当、何モンなんだ?あいつらは」
呟くアキトに、彼が手にしたぼろ雑巾(変態さんsの一人)が言う。
「いや・・・・・・その前にお前が何者か知りたいぞ、俺は・・・・・・」
アキトの周りには、水島達が吹っ飛ばしたのと同等か、それ以上の変態sが散乱していた。
それこそ“死屍累々”、って感じで。
「おれ?
オレはただの一般人だよ」
「嘘付け・・・・・・ガクッ」
まったくだ。
「あ、眼鏡眼鏡」
いつの間にか落ちていた眼鏡を拾うアキト。
この争乱もあってか、髪型がかなり崩れていた。
その日の夕方になって・・・・・・
アキトはホテルをゲットした。
「くーっ、良かった。
これで野宿をせずにすむ」
キャンセルを待つこと数時間・・・・・・
遂にアキトはホテルをゲットしたのだ!
しかし・・・・・・その幸せは長くは続かなかったのです。(某テレビ風に)
その頃の某所にて・・・・・・
「先程は水島の殲滅に失敗したが、今日のメイン、カップルの泊まるホテル壊滅作戦は、予定通り行う!」
その、例のマスク男・・・・・・しっとマスクの声に、有象無象ども・・・・・・嫉妬団団員達が吼える。
「うおおぉーっ ! ハルマゲドンじゃ ! !」×たくさん
そして・・・・・・スットン共和国に狂気が解き放たれる!
「ぐー・・・・・・ZZZ」
昼間の変態どもなどの事もあり、非常に疲れたアキトはうたた寝をしていた。
これから襲い来る不幸を知らずに・・・・・・・・・
------パッパラ隊基地------
「何で昼間も出掛けたのに、また出掛けなければならないんだ!」
「あーん、水島君のいけず〜」
「貴様! 博士から離れろ!」
「五月蠅いわね!ポンコツ!
ねーぇ、水島くぅ〜んってば〜〜」
むぎゅっと水島の首に抱きつくランコ。
「く・・・・・・い、息・・・・・・が・・・・・・・・・」
「ねー水島くぅ〜ん」
「・・・・・・・・・(ガクッ)」
いずみ
水島 一純、オチる。
ランコはその水島の「がくっ」というのを了承の意味と取り違える(故意かも知んない)。
こうして、水島たちと出る途中であった白鳥沢
愛大佐(パッパラ隊隊長)は再び町に出掛けることになる。
------某国某所------
それは全くの偶然だった。
数兆分の一の確率。
まさに奇跡だった。
それを見付けたのは。
それを知ったとき、彼女達は自分たちに再びチャンスが訪れたことを知った。
そして、狂喜乱舞した。
具体的に何を知ったのかというと・・・・・・
テンカワ
アキトの居場所である。
偶然、髪がボサッとなって、伊達眼鏡を落としたアキトの映像がスットン共和国のテレビに映ったのだ。
全ての映像関係にチェックを入れている彼女達は、そのおかげでアキトを発見した。
そして・・・・・・・・・
3時間後、スットン共和国に彼女達が降臨する・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
全ての駒が揃った。
スットン共和国に、今までを遥かに越える恐怖の嵐が吹き荒ぶ・・・・・・・・・
「レッツ ! ! ハルマゲドンっ ! ! !」
そんなことを叫びながら銃を乱射する男達がいた。
いや、銃だけではない。
昼間のようにマシンガンを乱射する者や機関銃をぶっ放す者達もいる。
そして極めつけはこれ。
一体何処から持ち出したのか、エステバリス(嫉妬団仕様)。
何処ら辺が通常のエステと違うかというと・・・・・・
エステバリス嫉妬団仕様
フレーム:嫉妬団専用フレーム
簡単に説明すれば砲戦に凶悪な改造を施したものである。
その大きさは全高20mにも達し、嫉妬の炎の色、赤色が尤も良く映える白い機体。
飛行用の翼(ガン○ムWっぽいの)が装備されている(×4)。
武装
カノン:カノン砲は相変わらずだが、弾丸に嫉妬団の科学力が結集された“臭気弾”を使用。
その威力は象数十頭を一発で殺せるほど。
その正体は、男達の熱い汗と涙、三年以上変えなかった下着&靴下をいい感じにブレンドしたもの。
ミサイル:八連(だったよな、確か)ミサイル×2だったモノを、とにかくたくさん積載した。
グ ラ ビ ト ン
八連ミサイル×4、16連マイクロミサイル×4、4連ミサイル×2、重力波動弾発射装置×2
グラビティブラスト:ナデシコのモノと比較して60%程の威力。
GUNHEDみたいに顔に付いてる。
腕:復座システムにより腕を6本に。
そのうち4本にカノンを装備。
残り二本はDFS内蔵のクローを装備。
何故DFSが使えるのかは不明だが、本人達曰く「男の熱い嫉妬魂に不可能はない!」とのこと。
その他:いろいろとある。
いちいち書くのがめんどくさいぐらい。
能力
スピード:普通に走って時速60km(基本)、ローラーを使うと時速130km以上。
水上は74ノット以上、水中は56ノット以上。
何故か飛行可能で、マッハ6以上。
宇宙空間だとマッハ8は軽く出せる。
ジャンプ力:ジェット噴射を使わなくても30m以上跳べる。
ジェット噴射付きだと100mは跳べる。
装甲:ナデシコのグラビティブラスト(出力100%)を軽く10発は直撃されても大丈夫。
何故かDFSでもかなり出力を上げないと傷一つ付けられない。
ディストーションフィールド:羅刹招来モードのダリアの最高出力と同等かそれ以上。
動力:熱い男の嫉妬魂らしい。
連続運用可能時間:操縦者がくたばるまで動くと推測される。
おそらく、邪魔が入らなければ数十年以上暴れ続けられるだろう。
情報処理能力:嫉妬マスク2号が無理やりX−ハトをAI代わりとして利用。
初期のオモイカネ並の情報処理能力を有する。
ジャンプフィールド発生装置:何故積載されているかは不明。
嫉妬団団員に火星出身者も遺伝子改造を受けた者もいないので宝の持ち腐れ。
・・・・・・とまぁ、こんなトコか?
アキトは怒っていた。
烈火の如く怒っていた。
何故なら折角ゲットしたホテルを破壊されたからだ。
戦闘服(例の黒ずくめの格好)で、スタンドも発動させつつ、すでに数百人をぶっ殺した。
ラーンスロットとトリストラムの攻撃を食らった者達はミンチよりも酷いことになる。
ガウェイン(ザ・ハンド)の攻撃を受けた者はこの世から消滅する。
さらにアキトの昂気(MAXパワー)付きの攻撃を受けた者達も消滅する。
中には昂気刀で斬られた者もいた。
一方、水島達ももうかなりの変態どもをあの世へ送った。
どうせ明日には復活してるんだろうけど。
水島は突き、蹴りで相手を粉砕する。
ランコはマシンガンを乱射したり、爆弾を投げつける。
桜花は熱線で奴等を焼き尽くす。
直撃を受けた者は消滅し、余波や爆発に巻き込まれたモノも魂が抜け出ていた。
とびかげと轟天は特に何もせずにはしゃぎ回っていた。
しかし、白鳥沢は凄かった。
すでに1000人以上撃破している。
そして顔も凄まじかった。
怒りのあまり顔面蒼白で、顔中を青筋が覆い尽くしているのだ。
「うをおぉぉ ! 貴様ら ! ! よくもワシの・・・ワシの『永遠のカロリーネちゃん』を灰にしてくれたなぁぁぁっ ! ! !」
そう叫びながら嫉妬団の群衆の中に突っ込み、文字通り千切っては投げ千切っては投げる。
そう・・・・・・文字通り・・・・・・・・・
手や足を千切って。
中には首を千切られた者もいる。
エステバリスはさすがに無理だが、強化装甲服を纏った者まで、手・足・首を千切られている。
そしてエステが白鳥沢に攻撃を敢行する。
「貴様ぁぁぁぁぁぁ!よくもよくもやってくれたなぁ ! ! !」
「皆ぁ ! ! お前らの敵は必ず取ってみせる ! ! !」
エステの右腕(クロー装備の)を振り上げ、白鳥沢を目掛けて振り下ろす。
ガキィっ
「大丈夫ですか、隊長!」
「ああ、スマンな、水島」
水島はクローではなく腕を支えることで、この攻撃をブロックした。
別にDFSが装備されていることを知っていたからではなく、タイミングと、白鳥沢の位置などの問題である。
「それにしても・・・・・・まさかエステバリスを持ち出してくるなんて。
さすがの私でもエステバリス相手だとキツイぞ」
「しかし・・・奴等、一体何処でエステバリスなどを手に入れたのだ?」
白鳥沢は、パッパラ隊基地のエステが一つ無茶苦茶な改造を施されていたことに全く気付いていなかった。
「「邪魔をするな水島ぁぁ ! !
死ね ! ! 嫉妬ビィィィィィィムぅっ ! ! !」
グラビティブラストが発射された。
しかし、
「バリアーっ!」
理不尽にも跳ね返された。
だが、そのグラビティブラストの直撃を受けたエステには傷一つ付いていなかった。
「ふははははははは、そんな柔な攻撃ではこの“しっとエステ”(エステバリス嫉妬団仕様の名称。うわー、そのまんまー)に傷一つ付けられんわっ ! ! !
そして喰らえ、この攻撃をっ ! !」
グラビトンを発射する嫉妬マスクs。
「あぶないわっ、水島君!
行けっ、とびかげ!轟天!」
「はいはい、わかりましたよ〜、ランコさん」
どこからとも無く現れた人外の存在。
アキトと良い勝負である。・・・いや、とびかげ達の方がさらに人外か?
「轟〜〜天」
「ワオーンっ」
「合体魔じ〜ん、えーーっくす」
「ワオーーッ」
二人(?)の影が重なった。
そして一人(?)の巨人が現れる。
これこそとびかげと轟天が合体した姿、その名も素敵な“合体魔人エックス”である。
そして彼はグラビトンを口で受け止めた。
そのまま腹の中へと放り込む。
グラビトンが炸裂する。
「うわあぁぁ〜〜」
などと叫びながら合体魔人エックスは腹の辺りに吸い込まれるように消えた。
「あ〜あ、とびかげちゃんったら役立たず何だからん。
そんなミサイルの一発をどうにかしただけで隠れちゃうなんて」
隠れたように見えたのか?お前には。
因みに、合体魔人エックスが消えた後にブラックホールが数秒発生していた。
ところでアキトだが・・・・・・・・・
何を考えているのか、ブローディィアを呼び出した。
それを見て群衆が何かを叫んでいるが、そんなもんアキトの知ったこっちゃない。
「あっきっと兄、直に会うのは久しぶりだね♪」
「でもいいの?
居場所ばれちゃうんじゃない?」
「別にいいさ、奴等を皆殺しにさえ出来れば・・・・・・・・・」
そしてアキトは壮絶な笑みを顔に浮かべる。
スタンドは出しっぱなしである。
さらにまた百人以上が死んだ。
かいな
ブローディアがその腕を振り上げる。
そしてそれを変態どもの集団に向けて振り下ろす!
ぶちっ
ぐちゃっ
べちゃっ
・・・・・・・・・・・・・・今、十数の命の灯火が消えた。
明日にはまた点火されてそうだが。
さらにフェザーを変態どもを目標とし、乱舞させる。
モヒカンやドキメモマニア、『紅のフグ』とか呼ばれてそうなヤツなどが切り刻まれる。
所変わってひなた荘。
ひなた荘の住人はテレビを見ていた。
そしてその途中で速報が入る。
『なんと、ここスットン共和国にあの漆黒の戦神が現れました!』
「なんやとーっ!?」
「なにーっ!?」
『ご覧ください、あの戦神の機体、“ブローディア”を!』
所戻ってスットン共和国。
「みんなの敵じゃぁぁっ!!死ネッ!!!漆黒の戦神!!!!」
ドドドドドンッ !!
しっとエステからの全門斉射だ。
ミサイルが×40、マイクロミサイルが×64、グラビトン×2、カノン砲×4×連射可能な限り、グラビティブラスト、ロケットクロー(×2)、頭部4連バルカン砲(18mm)、しっとレーザー(パルスレーザー・・・・・・目から発射されます)×2、しっとカッター(翼が細分化されてカッターとなる)×たくさん。
しかしアキトは、
「だぁぁぁあああっっ ! !うっさいんだよっ ! てめぇらは ! !
ブローディア、竜王顕現っっ ! ! ! !」
ブローディアの背中から漆黒の、4対8枚の翼が発生する。
これがブローディア最終戦闘モード「竜王顕現」だ ! ! ・・・・・・パスコードのことは気にしないで貰いたい。
そして漆黒の光翼が全ての攻撃を無効化する。
「くらええぇぇぇぇぇぇっっっっ!!!!」
DFSを二本装備し、しっとエステに突進する。
DFSの刃は赤く染まっていた。
しかし、
ガキイぃっ!!
その超高出力のディストーションフィールドは当然の如く、薄紙を切るかのように切り裂いたのだが・・・・・・
何故かDFSの刃はしっとエステのボディ装甲に少し食い込んだところで動かなくなっていた。
「なにぃっ!?」
「ふはははははははは、これが嫉妬団の『科学力』だ!!!」
「ンな、無茶苦茶な!」
アキトは集中し、DFSの出力をさらに上げた。
赤い刃に、少し闇の色が混ざり始めたとき・・・・・・
遂にしっとエステのボディを切り裂いた!
だが、コクピットまでは届いていなかったため、異形のエステは動くことが出来た。
「もう一発っ!!!」
アキトは再び完全に黒に染まったDFSを構え、突進する。
しかし、しっとエステは跳んだ。
そしてその一撃を回避。
しっとエステは30mほど跳んだところで再び全問斉射をしてきた。
だが、その攻撃はまたもや黒き翼が遮った。
そして・・・・・・・・・
「ディア、ブロス!フェザーをメビウス陣形に!!」
「「りょ〜かい」」
「カオススマッシャーエネルギー充電!!」
ああ、アキト君大暴走!
「アキト兄、充電完了したよ♪」
「カオススマッシャー、発射っ!!!!」
キュオン・・・・・・
そして、ブローディアの前方に白く広大な空間が出現した。
白い空間が消えた後、あの暴力的なエステバリス、しっとエステの姿が消えていた。
跡形すら残さず・・・・・・
完全に消滅した。
「はぁ、すっきりした♪」
爽やかな笑みを浮かべるアキト。
このアキトスマイルの威力は普段の200%以上(当社比) ! !
しかし、その笑みは5分後に凍り付くこととなる。
アキトはブローディアから降り、元の場所へと帰す。
そしてまだ残っていた、
「総統の敵っっっっっ!!!!!」
などと叫びながら武器(接近専用の)を振り回しながら突っ込んでくる変態どもを、
「ラーンスロット・ザ・ワールド!!
時よ止まれ!!!」
さらに、
「モードレッド(ヘブンズドアー)!!」
そして
「本当にあの世があるのかどうかは知らんが・・・・・・
貴様らは地獄へ堕ちろ」
「私は地獄へ堕ちます」
・・・・・・アキトは、彼らにそう書き記し、ラーンスロット、トリストラム、ガウェインで全員殺した。
当然の如く全殺しである。
さらに、ミンチになったのにも関わらず、心臓をしっかりと潰す(スタンドで)ことも忘れない。
・・・・・・そうしても復活するんだろうが。
そして、やけにすっきりとした笑顔のアキトに水島が声を掛けた。
「あの、あなた、もしかして『漆黒の戦神
テンカワ アキト』じゃありませんか?」
「ああ、そうだけど・・・・・・君は?」
「私はスットン共和国パッパラ隊所属の水島
一純中尉であります。
あの英雄に会えるだなんて感激です!
・・・ですが、何故こんな所に?」
「・・・・・・・・・旅行。
ホテルで寝てたら部屋にミサイルが飛び込んできた。
サイフとかだいじなもんは無事だったから良かったものの・・・・・・」
爽やかな笑顔が・・・・・・一瞬凍り付き、そして幽鬼のようになる。
続いて怒りのあまりに無意識に昂気を纏う。
「・・・・・・よろしければ、基地に泊まりますか?」
「・・・・・・いいのか?」
「いいですよね、隊長」
「ああ、別に構わんだろ。
ワシも戦神に興味があるしの」
軍人嫌いのアキトだが、パッパラ隊にはナデシコのようなアットホームな雰囲気があることに、この会話で気が付いた。
「それじゃ、お願いします」
だから水島の言葉に甘えることにした。
しかし・・・・・・・・・彼らは気が付いていなかった。
白鳥沢の本当の目的を。
「(ククククク・・・・・・
戦神×水島のヤオイ本・・・・・・これは売れるぞぉっ!!!)」
アキトが水島に連れられてパッパラ隊基地へ向かってから10分後・・・・・・
バババババババ・・・・・・
破壊し尽くされたスットン共和国首都ゴ(イ)ーストタウンに二機のヘリが着陸した。
乗っているのは当然彼女達である。
「・・・・・・遅かったですね」
「も〜、アキトったら〜。
何で逃げ回るのかしら?」
「・・・・・・アキト何処?」
などの会話をしつつも聞き込みなど、アキトの行方を調べる。
そして・・・・・・
「どうやらアキト君はパッパラ隊とか言う陸軍の基地に向かったようね」
アキトの行き先を知る。
------パッパラ隊基地、夕食時------
「いやぁ、助かりましたよ」
「いえ、こちらこそ。
あいつらにはほとほと手を焼いているんですよ。
今までに数百人の人たちが犠牲になりました・・・・・・」
「犠牲って・・・・・・亡くなったのか?」
「いえ。
仲睦まじいカップルが数百組別れることになったんです」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「まったくもう、あいつらったら何時も私と水島君とのデートの邪魔するのよ。
もう、やんなっちゃう。
殺しても殺しても生き返ってくるし」
「(ガイやハーリー君みたいなもんか?)」
彼は最近アカツキとウリバタケがその仲間に入りかけていることを知らない。
「それにしても、本当に料理をなさるんですね」
「意外かい?」
「ええ、ちょっと。
それにしても、本当に美味しいですよ、このハンバーグ」
「博士、私ももっと勉強して、もっとお料理上手になって見せますね」
「ありがとう、桜花」
何となくいい雰囲気の水島と桜花にランコの怒りが炸裂した。
「くきーーっ!!!水島君ったらそんな機械なんかにデレデレしちゃってぇっ!!!!」
「別にデレデレなんかしてないぞ」
「そお?
だったらランコちゃん特製パイナップルととびかげ&轟天チョコレートケーキを食べてね」
「うげっ!」
「貴様っ!博士を殺す気か!」
「どーゆー意味よ!ポンコツ!」
「そのままだ!」
「くきーっ!むかつくやつねー ! ! !
これでもくらいなさい!」
ランコはそう言いながらバズーカを2発ぶっ放した。
弾はケーキの材料に使われたはずのとびかげと轟天だ。
「たーまやー」
「ワウワウッ」
「うるさい!」
バシュゥ
熱線発射!
ドッカーーンッ!
「あはははは、ランコさんさよーならー」
「ワウワウーー」
とびかげと轟天は夜空のお星様になった。
周りにいた宮本や海岸、杉野なども巻き添えになって吹っ飛んだ。
「ランコー、お前なー・・・・・・」
「いいじゃない、水島君。
どーせすぐに出てくるんだから」
「そのとおりですよ水島君」
「ワウアウ」
「どわぁぁぁあ!」
とびかげと轟天がクリスマスの七面鳥みたいになってケーキの隣に鎮座していた。
「いくらなんでも復活が早すぎるぞ!」
「今日はお客様がいらっしゃっているのでサービスです」
「何処ら辺がサービスなんだ?」
「何言ってるの、水島君ったら。
ほら、見ててね」
ピコン☆
ランコがとびかげをピコピコハンマーで叩いた。
その途端、とびかげの頭に花が咲いた。
ついでに何故か轟天の尻尾にも。
そして。
「いやっはっはっはっは。
笑いが止まりません。
はっはっはっはっは」
「(何故?)」
それにしても・・・・・・と、誰にも聞き取れないほど小さな声で呟いて、
「(俺や北斗、ナオさんも人外の存在だと自他共に認めていたが、こいつには敵わんな)」
って言うか、敵うヤツがいたら見てみたい。
そんなほのぼのとした夕食の最中に、突如警報が響いた。
「どうしたんだ!?」
『謎の大部隊が基地に向かって進撃中!!
至急迎撃準備をせよ!!!』
・・・というのが警報の鳴った理由だった。
「(・・・・・・謎の大部隊・・・・・・?)
ま・・・・・・まさか・・・・・・な・・・・・・・・・」
「どうかしたんですか、テンカワさん?」
「一応聞きたいんだが・・・・・・謎の大部隊って、その中に純白のエステ、真紅のエステとか・・・・・・います?」
「ちょっと待って下さい。聞いてみますから」
十秒ほど経って。
「いるそうです」
「かっ・・・かっ、彼女達かっ!!!」
アキトは戦慄した。
「俺は逃げる!
世話になった!!」
アキトは脱兎の如く逃げ出した。
「あっ、テンカワさん、どうしたんですか ! ?」
「何も聞かないでくれぇぇぇぇぇっっ!」
「待ちなさいよ」
いきなりランコの手が水島の視点から見て、小さくなったアキトの足を掴んだ。
ゴンっ
そしてアキトはこけた。
「手が伸びたぁっ!?」」
「目の錯覚よ」
ドクドクドク
アキトの額から血が出ていることに誰も気が付いていなかったりする。
しかしお約束というもので、そこにパッパラ隊に所属する白衣の天使が現れた。
「あら、どうしたんですか?テンカワさん」
「うう・・・その声は舞ちゃん?」
お互いに面識があるのは基地に案内されたときに紹介されたからだ。
「まあ、その怪我は・・・!
すぐに手当をしないと!」
「え?い、いや、これぐらいでそんな必要は・・・・・・」
「ダメです!
小さな怪我が思わぬ病気になったりするんです!」
「は・・・はぁ・・・・・・」
「そういうわけですから・・・・・・」
言うなり頭に包帯を巻く舞。
ほのぼのとした空気を辺りに発散させているが、彼女達は着々と近付いている。
そしてその二人の側にはパッパラ隊員こと嫉妬団員が山ほどいる。
そうするとどうなるか・・・・・・
それはとても簡単である。
しっとマスク、降・臨!!!
「おりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
降臨するなり「超級!覇王電影弾」をかますしっとマスク。
しかし、
どぱぎゃっ!!
いきなりしっとマスクは吹っ飛んだ。
ただ単にアキトがトリストラムで殴っただけなのだが、スタンド使いは誰もいなかったらしく、みんなにはしっとマスクが見えない壁にでも吹き飛ばされたように見えた。
だが、しっとマスクとは即ち不死身の代名詞であり、そんなことでは死ななかった。
・・・・・・訂正。
不死身なんて生温いもんではない。
死んでも生き返ってくるのだから。
そしてアキト目掛けて再び襲う。
しかし、しっとマスクはバナナの皮でこけた。
とびかげと轟天が、バナナを食べ、皮を床に捨てているからだ,
こけたしっとマスクはそのまま舞へと突っ込む。
次の瞬間。
ぐしゃっ!!!
アキトが舞を抱きかかえ、頭を踏みつぶした。
「うわー、スプラッター・・・・・・」
ランコの声が静まり返った食堂に響いた。
だがそこがしっとマスク。
彼はまたもや復活した。
どこからか取り出した刀を振りかぶる。
「死ねやおんどりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
舞を抱えているとなると、反撃はそう簡単に出来ない。
しかもそこに、パッパラ隊基地に侵攻してきた彼女達の保有するエステからの射撃が来た。
時を数分前に戻す。
彼女達はアキトがパッパラ隊基地にいると断定し、基地に侵攻を開始した。
「!
アキトを発見しました!」
サラの報告が入る。
「通信は!?」
「ダメです!
コミュニケを始めとして、通信機器は何も持っていないようです!」
・・・・・・折角買った携帯電話は、ホテルと一緒に消えた。
「それじゃあ説得は無理ね」
「となりゃぁ、エステで無理やり連れ去ってくるしかねえな!」
「あっ!
あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ・・・・・・」
「どうしたの?姉さん」
「アキトおぉぉぉぉぉぉっ!!!(怒っ)」
「ああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!!!」 by サラ以外
彼女達は見たのだ。
その人間の限界を遥かに超越したその視力を持って(彼女達曰く「恋する乙女に不可能はない!」)。
アキトが女性に抱きつくところを(誤解)!
「リョーコ!」
「おうっ!」
アリサの声に頷くリョーコ。
そして彼女達の駆るエステの持つラピッドライフルから弾が発射された。
ダダダダダンッ!!
ドドドドドンッ!!
着弾し、煙が巻き起こる。
・・・・・・彼女達はアキトがこれの直撃を受け、死ぬ可能性は考えなかったのだろうか?
「アキト(さん)があれくらいで死ぬはずありません!(どギッパリ)」 by みんな
そして崩壊する建物の中からアキトと、アキトに抱えられた舞が姿を現す。
次いでガレキを押しのけて水島、水島に護られるようにランコ、白鳥沢、桜花も姿を現した。
さらにエリナ、レイナ、カグヤが駆る戦車の戦車砲の中から轟天が、ユリカ、ルリ、ラピス、ミナト(無理やり連れてこられた(拉致されたとも言う))の乗る指揮官車両の機関銃からとびかげが現れた。
これにはさすがの彼女達も驚いた。
「な・・・なんですか、これは!」
「に・・・・・・人間 ! ?」
いつの間にか彼女達の隣に来ていたランコが言う。
「いやぁねー。
とびかげちゃんは人間じゃなくて、とびかげちゃん、って言う生き物なのよ」
「そんな生物聞いたことありません」
「でもいるものはいるんだからしょうがないじゃない」
「それよりもあなたは誰ですか?」
「わたし?
わたしは後光院・アリスン・ブランディー・メルセデス・ローズマリー・フォン・ランコよ」
「・・・・・・なんか舌噛みそうな名前だね」
まったくである。
「それで、あなたはアキトとどういう関係なの?」
「わたしとテンカワ君?
別に何でもないわよ。
はっ。
水島君はわたしの物だからね!」
「水島君?」
「聞いたことがあります。
生身ではアキトさんに匹敵するかもしれないという白兵戦のスペシャリストです。
味方が全滅しても、本人は何時も生き残るために付いた渾名が『死に神』という・・・」
「へえ〜え。
でも今はどうでもいいや。
今はアキトを全力で捕獲します!」
「「「「「「「「「「「「「「「はい(おう)!!!」」」」」」」」」」」」」」」
「待てや男の敵ぃっ!!!」
「なにがやねん!」
アキトは舞を抱えたまましっとマスク&その他に追われていた。
「あの〜テンカワさん?」
「なに、舞ちゃん?(ニコッ)」
意味無くアキトスマイル(バイザー付き)を炸裂させるアキト。
「(ポッ)あ、いえ。
ただ・・・・・・いつまで私を抱えているのかと・・・・・・」
「・・・・・・彼女達をなんとかまくまで」
「まく・・・・・・って、そんなのテンカワさんには簡単な事じゃないんですか?」
「彼女達でなければ簡単だけど・・・・・・彼女達からはそう簡単には逃げられない」
簡単に逃げられるならこんなに苦労はしないのだ。
尤も、それはスタンド能力を手に入れるまでの話である。
しかしアキトはこの事態に動転してスタンドのことをすっかり忘れていたのだ。
アーサーも何故かこんな時に限り話し掛けてくれない。
ドガァァァァァァンッッ!!!
舞を抱えて走るアキトの側で爆音が轟く。
・・・・・・舞の赤く染まった顔を見たラピスとルリが戦車砲を発射したのだ。
弾は轟天だ。
生物なのに何故か爆発した。
気にしてはいけない。
何たって轟天なんだから。
でもって、その爆発に巻き込まれた嫉妬団員のうちの何人かが脱落するが、明日にはまた顔を見せてくれることだろう。
彼らはハーリー君やガイを越えた存在(細胞の一片さえ残らない完全消滅からも復活したことアリ)なのだから。
「「「「「「「「「「「「「「「「「「ア〜キ〜ト〜(さ〜ん〜)!!!!!(怒々々々っ)」」」」」」」」」」」」」」」」」」
彼女達の殺気に当てられたアキトは久々に死を覚悟したという。
「(ひぃ〜〜〜〜〜っ)」
アキトは文字通りヒィヒィ言いながら逃げまくった。
そして、そのスピードは分析によると光速の10%という途方もないスピードだったという。
さらにその光は何時か何処かで確認された発光体のように海を走って横断し、電柱の上をも駆けていたという。
そして信じられないのが、空戦までしていたというその事実・・・・・・
演習中のスットン共和国空軍の戦闘機が空を走っていた青い光に跳ね飛ばされ、その後に来た赤光にぶつかられ大破したのだ。
記録もちゃんと残っている。
だが、それよりもさらに信じがたい物がある。
その報告によれば・・・指揮車両や戦車が(光速の約10%のスピードで)飛んでいた。
ま ご
これは間違う事なき事実である。
最終的に、翌朝早くにアキトは何だかよく分からん雪山の洞窟にいた。
どの辺がよく分からんかというと、動く雪だるまがいるらへんだろう。やっぱり。
その雪だるまにアキトと舞は雪だるまにされかけた。
いつぞやの水島のように。
だが、その雪だるまは今頃きっと天国にいるだろう。
アキトが昂気刀で切り裂いたからだ。
因みにその光景は舞には見えないほどのスピードだったことを記しておこう。
そしてそのまま洞窟の奥深くへと走り去るアキト。
下手をすればすぐ捕まりかねないこんな洞窟に飛び込んだ理由は簡単である。
追い込み漁だ。
彼女達に包囲され、洞窟に逃げざるを得なくなったからだ。
彼女達はまさかこの洞窟があんな事になっているとは思わなかったので、ここに追い込んだ。
「これでアキトさんはもう逃げられませんね」
「そうね。ルリちゃん」
「でもエステが使えないよ」
「大丈夫だ。
俺が行けば問題ない」
「俺も付いてくぞ」
「私も同行します」
そういうわけで、アキトが逃げ込んだ洞窟に北斗、リョーコ、アリサが捕獲のために進入することになった。
この三人以外に格闘の腕前のある者はいないので、当然の人員だったが、皆不満たらたらだった。
三人がアキトを独り占めすることを諦めてでもモノにしないか心配だったからである。
タッタッタッタ・・・・・・
アキトは洞窟の中を走っていた。
道は一本道だったが・・・・・・普通じゃなかった。
ガコンッ!
突如アキトの足下の床が消えた。
タッ
タンッ
危なげなくそれを飛び越えるアキト。
しかし着地した瞬間に大量の矢が前方から飛んでくる。
密度的に、回避不可能だ。
矢と矢の合間がほんの3、4センチほどしかないのだから。
「きゃあぁぁぁぁぁぁ!!」
舞が悲鳴をあげるがそんなことを気になどせずに全てを昂気という鎧ではじき飛ばす。
「うわああぁぁぁぁぁ!!」
「きゃああぁぁぁぁ!」
「ふん」
後ろの方で(一部、断末魔の)声(悲鳴)が聞こえる。
きっと謎の罠にしっかりきっかりはまったのだろう。
昴 リョーコは汗をかいていた。
アリサ=ファ=ハーテッドも汗をかいていた。
影護 北斗はそんな二人をジト目で見ていた。
「・・・・・・お前らこれぐらいで汗かくのか?」
「これぐらい・・・・・・って、お前なぁ」
「やっぱりあなたは異常です」
肩で息をしながら北斗の言葉に応えるリョーコとアリサ。
今まで彼女達三人に襲いかかってきた罠の数はおよそ200。
落とし穴、矢、槍、謎の爆発、火炎放射、水、大岩、etc、etc。
数々の罠をくぐり抜けて尚生きている彼女達はそれだけで十分に凄い。
それを「これぐらい」と言う北斗が異常すぎるのだ。
・・・・・・因みにアキトが引っ掛かったトラップの数は100に満たない。
「しかし・・・・・・アキトのヤロー、一体何処まで行きやがったんだ?」
「・・・・・・大体200mほど差を付けられているな。
お前らが足を引っ張らなければ少なくともここまで離されることはなかったんだが・・・・・・」
「そりゃわるーござんした」
「でも・・・・・・この洞窟は一体何処まで続いてるのかしら?
しかも山の先っぽの方にあって、ほとんど傾斜がないのに」
まぁ、ゲームでもそんな地形があるんだし、深く考えてはいけない。
あ、それと光源だけど、それについても深くは考えないでネ。
アキトは相変わらず走り続けていた。
後ろ250mほどに北斗達がいるのが確認できる。
舞を抱える腕に痺れはない。
舞も喚き立てたりするかというと、そんなことは全くなく、顔を赤くして伏せている。
ドゴゴォォォォムッッ!!
謎の爆発が起こったが、アキトはそれを昂気でガードする。
その爆発で、北斗達から見れば死角となる位置に横穴が出来た。
今までで一番大きな爆発だったので後ろを振り向き、その穴を見つけた。
その横穴が元からあった物なのか、ただ崩落で出来た正しい(?)道ではないのか、それは分からなかった。
しかし、煙で視界はふさがれている。
気配さえ隠せば見つからないかもしれない。
どうせこのまま行って出口があるのかは分からないのだし、ここに隠れるのも一興かもしれない。
そう考えたアキトはその横道に入った。
ほんの数秒してリョーコ、アリサ、北斗が追いつき、間道に気付かずに駆け抜けてゆく。
さて・・・横道に入ったアキトだが・・・・・・
それは正解だったといえる。
ただ、お荷物がまた一つ増えた。
名前(フィーリアというらしい)・性別以外の一切合切が全て不明の記憶喪失の少女を拾ったのだ。
どことなく「王女様(もしくは、お姫様)の記憶(和訳した)」とかに出てきそうである。
だが、アキトにはその女の子の記憶を取り戻させてやるような義理・義務はあるかもしれないが(相手が女の子だしね〜)時間がない。
なのでしょうがないから一緒に連れて洞窟・・・・・・最早ダンジョンと言った方がしっくりくる・・・・・・を逃げ回る(さまよう)事にした。
そして時々北斗達に発見され逃げ回り、トラップに引っ掛かったりするうちに御都合主義的に外に出ることが出来た。
「ああ・・・・・・太陽の光が眩しいや・・・・・・・・・」
「あの・・・もう、夜ですよ」
「それは言わないでくれ、フィーリアちゃん(さめざめと泣く)」
「それにしても基地の裏山にこんな所があるとは知りませんでした」
そう。
何処がどうなって繋がっているのかは不明だが、あの雪山の洞窟はパッパラ隊基地の裏山の古井戸に繋がっていたのだ。
「でも・・・・・・私たち、どうすればいいんでしょうか?
基地は壊れたままですし・・・・・・」
「基地が一瞬にして直れば・・・・・・・・・あ(俺にはスタンドがあったんだ・・・・・・)」
「? どうしたんですか?」
「・・・・・・直せるかもしれない」
「「え?」」
アキトは廃墟となったパッパラ隊基地(跡)に近付く。
おもむろに手を振り翳して、ガレキに手を触れる。
するとどうだろう。
ガレキが次々と浮き上がり、元在った位置へと戻って行くではないか。
「うそ・・・・・・」
「テンカワさんって超能力者ですか?」
「いや・・・・・・違うよ。普通の人間・・・・・・普通の人間だと思う、思いたい、思っておこうと思う今日この頃・・・・・・」
・・・・・まぁそれはおいといて。
基地は元の姿を取り戻した。
そしていつの間にか何処かへ消えていた隊員達がアキトに気配を感じさせることもなく現れた。
「おおっ!
いつの間にか基地が直っとるぞ!」
「お、ホントだ」
「今夜寝るところに困らなくて済むな」
そんなことを言いながら大して驚いた風もなく基地に入っていく隊員達。
「・・・・・・・・・改めて言うのもなんだけど、変わってるね、本当に」
「はい・・・・・・」
顔を赤くしてそう返事する舞。
------その頃のリョーコ、アリサ、北斗------
「ここはどこだぁぁぁぁぁぁぁっっっっ!!!」
「物の見事に迷いましたね。リョーコさん」
「俺は方向音痴なんだ・・・・・・」
「(北ちゃん。私は北ちゃんよりももっと方向音痴だからね♪)」
「(威張って言うことじゃないだろ、枝織)」
思いっ切り迷っていた。
彼女達が再び太陽の下に戻れたのは五日後だったことをここに記す。
------その頃のT・A同盟構成員達------
「・・・・・・遅いですね、リョーコさん達」
「そうだね」
「いつまでかかってるのよ!」
「もしかして抜け駆け・・・・・・?」
誰かが言ったその一言がいけなかった。
許さない!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
彼女達の心を支配した物はそれだった。
そのため、彼女達もまた洞窟の中へと突入してしまったのだ。
そしてほとんど最深部での迷宮で迷い・・・・・・2日後、北斗達と合流した。
こうしてアキトのぶらり旅は終わった。
追記1
結局記憶の戻らなかったフィーリアはアキトがひなた荘に連れて帰った。
そのことで一悶着在ったのは言うまでもない。
追記2
数日してフィーリアの記憶が戻った。
そしてまた一悶着在った。
本星への報告書 N−3
執筆時間12時間を超える大作。
ブローディア登場。
しっとマスク登場。
しっとレディやミラルカも出そうかと思ったが、そうするとこの2倍近い容量になりそうだったので止める。
それでもやってくれ、というメールが多数来れば書くかもしれないが。
ところで、フィーリアって知ってる人はこのHPに入る?
何やら文章が支離滅裂でよう分からんが、これで終わる。
本星への報告書 N−3 終