浦島
アキト・・・・・・いやさ、『漆黒の戦神』テンカワアキトがスットン共和国を訪れ、首都イーストタウンが壊滅してから二ヶ月が経った。
その頃には、廃墟となったこの都市も、既にその姿を取り戻していた。
そして今、とある場所で、コミケが行われようとしていた。
ナデひな外伝
シリーズ 浦島
アキト ぶらり旅
in スットン共和国
列伝
コミケ戦争
「ふはははははははははははははは(以下数億文字削除)はははははははははははは!!!!!
ついに来た! この日が!!
あの、あの儂の入魂の一作を発表する時が!!」
白鳥沢 愛大佐は吼えた。
その咆吼で、白鳥沢の部屋のガラスは全て割れてしまった。
・・・・・・この世界には、こんなのばっかかい
「がはっ」
それとは全く関係ないところで、“死神”水島が、ドア越しとはいえこの声の直撃を受けて沈んだ。
ばたんきゅ〜〜
ってヤツだ。
数分して、白鳥沢が部屋から出てきた。
「おお、こんな所に丁度いいアシスタントが。
水島、ベタやコミケで儂の手伝いをしてもらうぞ」
・・・・・・水島は気を失ってガックリとしたまま、何処とも知れぬ地に連れ去られたのだった。
「みっずっしっまっくぅ〜〜ん!」
突然だが、ランコが水島の部屋に飛び込んできた。
「ナンダ、ランコ」
なんか、言葉が堅かった。
「ねぇねぇ水島君。
これから街まで出掛けない?
今日も訓練潰れるからさっ」
ダキッ
そして抱きつく。
「・・・・・・。
ん・・・・・・・・・?」
なんか、抱きごたえも堅かった。
「どうしたの?水島君」
「ドウシタッテ、ナニカドウカシタノカ」
堅い声で水島が答える。
「なんか水島君、声も抱きごたえも堅くない?」
「ソウカ? ベツニワタシハソウハオモワナイゾ」
ポン、ポン
水島の頬を軽くはたいてみるランコ。
その肌触りはまるで・・・・・・
「みっ、水島君、一体何時の間にロボットになったの!?」
○
金属のそれだった。
|
「ワタシガロボット?イッタイナニヲイッテイルンダ、ランコ [゜□゜]」
振り向いた水島の顔は、無機的で金属質。
目はまん丸(○)で、口は真四角(□)。
ついでに、額には縫い目が、そして頭のてっぺんにはトレンディーな宇宙人触角が一つ。
水島は、立派な宇宙人改造地球人人間(うちゅじんかいぞうちきゅうじんにんげん)になっていた。
そして、機械的にベタを塗っている。
それからトーン貼りも。
熟練の効果線ファイターもかくやという、迷いのない『ズビシぃッ!』とした効果線。
素晴らしいアシスタントぶりだった。
「おい水島、これもベタとトーン、効果線を頼むぞ」
白鳥沢登場。
「おっ、どうしたランコ」
「あっ、隊長。
水島君が、なんか変なんだけど〜〜」
「そうか?どこが変なんだ?
儂にはどう見ても正常にしかみえんが」
「だってほら、この宇宙人触角とか」
「トレンディーで良いではないか」
「金属質な肌とか」
「儂なんか全身これ金属製だ。
しかも錆びるぞ」
「妙に虚ろなまん丸の目とか」
「可愛くてナイスではないか」
「それにどう見たってロボットじゃない!
動きもギクシャクしてるし!」
「便利だから構わないであろう」
「(あーもう、何考えてんのか分かんないわ、この隊長は)」
頭がくらくらしてきたランコだったが、自分が水島にそう思われていることに気付いていない。
「さー水島、次の仕事に取りかかるのだ」
「リョウカイシマシタ」
「それでは頼んだぞ」
そう言いながら白鳥沢は部屋から去っていった。
「ふはははははははは、ふわぁっはははははははははは・・・・・・
トビカゲに水島の改造を頼んで正解だったわい・・・・・・
ふわぁっはははははははははは・・・・・・」
水島を改造したのは白鳥沢(トビカゲ)だった。
そして、トビカゲは餡ころ餅(あんころもち)三個でその依頼を完遂したのだった。
コミケ当日
「よぉっし! 儂は運がいい!
一番良い場所を引き当てたぞ!」
売り場はクジで決められた。
・・・・・・一ヶ所以外。
その一ヶ所は、むろん白鳥沢が店を出す場所である。
白鳥沢が意識してなのか無意識でなのかは全くの不明だが、銃器で脅したからだ。
背負ったバズーカ砲が見え隠れしていて、唐突に懐からMG−27や何やらを落としながら、「良い場所が当たればいいな」などと呟けば、普通は脅しと取る。
「ふはははははははははは、水島っ、準備は良いなっ!売りまくるぞ!!」
「ワカリマシタ」
相変わらずロボットロボットしてる水島。
そしてコミケが始まる。
・・・・・・と、思いきや。
ランコが現れた。
大量のバズーカ、マシンガン、ショットガン、予備の弾薬を持って。
「ちょっと待った、そのコミケ!」
「おお、ランコ。どうした」
「隊長、トビカゲちゃんから聞き出したわよ。
水島君改造したの、隊長なんだってねぇ・・・・・・\(^_^#)/」
笑顔だった。 ・・・・・・逆にそれが恐い。
そして銃器を全て発射用意をする。
照準は全て白鳥沢にロックオンされている。
その姿はまるで、
「殲滅艦隊(ゴーランド・フリート)・・・・・・!?」
某アルターだった。
「私にアルターを使わせるな・・・・・・」
ランコもノリノリだし。
「ま、待てランコ!
こ、これで手を打たんか!?
それから手伝いをしてくれたら他のもお前にやるから!!」
「? どれどれ」
白鳥沢に渡された同人誌を開いてみる。
「こっ、これは・・・・・・!!」
例の『アキト×水島、水島×アキト』のモーホ本だった。
「了承(0.000100秒)」
この瞬間、『凡宇宙「了承」宣言スピード選手権』とか言うヤツで、宇宙記録タイが出た。
その記録を出した人物は数日後、更なる記録(0.0000800秒)を叩き出すことになる。
ちなみに、その人物は『水瀬 秋子』という。
開始が遅れたものの、コミケが開始された。
白鳥沢の店に置いてある作品は、『アキト×水島』・『水島×アキト』(攻めと受けの違い。作者にはよく分からない。(モーホ本))・『白馬の王子様と、わ・た・し(のシリーズ)(少女漫画(らしい))』などである。
開始されてから数十分経過したが、誰も買わない。
「・・・・・・何故誰も買わんのだ」
「隊長がコワイからではないでしょうか」
「儂のどこが恐いのだ?トビカゲ」
「それはもちろん隊長がタコ魔人だからです」
「・・・・・・・・・・・・?
うぉっ!
どこから現れた、トビカゲ!」
突如トビカゲが登場。
どこから現れたかというと、
「それは・・・・・・」
「トビカゲちゃ〜ん、設置し終わったわよー」
「ありがとうございます、ランコさん。
・・・と言うわけで隊長、私はこのテレポーターから出てきたのです」
「お前が出てきたときまだ設置し終えてなかっただろ」
「いやっはっはっはっは」
「・・・・・・もういい」
そんなこんなしてたら、客が来た。
初めての。
「ちょっと見ても良いデスカー?」
怪しい発音だった。
「駄目だ。 見ることは許可しない。
どうしても見たければ買え」
白鳥沢は腕を組んで、凄まじいプレッシャーと共にそう言った。
「デモ、それで最悪だったコトがあったのデ。
少しで良いデスかラ」
怪しい発音の男は、そう言いながら本に手を伸ばしてきた。
何故か、この夏という季節に、黒ずくめの格好で、グラサン、及びマスク、怪しい黒い帽子も装着している。
そして、この男の正体はマーテルだった。
「(くっくっくっく、このごく自然な展開!
このまま手を伸ばして、水島の心臓に、右袖に隠した個人用装備の対人レーザー砲をかましちゃる!)」
とか思ってた。
しかし、
「許さん」
ズビシっ、と腕を掴まれた。
「あ・・・・・・」
どっがああぁぁぁぁぁぁああああんん!!!
レーザー砲が爆発した。
白鳥沢にもろ掴まれて、潰されたから。
しかし、何故か被害を受けたのはマーテルだけだった。
彼は真っ黒焦げでアフロだが、別に作者は嫌系SSを書いているつもりはない。
だって、ただのお約束だから。
ボフッ
口から黒い煙を吐いた。
そしてそのまま倒れる。
「もぉ・・・・・・いや・・・・・・・・・」
それが彼の最期(死ぬ直前の意)の言葉となった。
しつこくまた蘇ったらしいが。
それからまた数時間が経過した。
なに気に10冊ぐらい売れていた。
「奇跡としか他に言いようがない」などとハーリー(○沢
○樹))が言って、白鳥沢に、
「断罪のシェルッブリットォーーー!!」
をかまされたりしたが、あまり関係ない。
そして、それらを買った人の口から情報が行ったのか、突然某同盟が降臨した。
「・・・・・・ここですか」
「間違いないよ、ルリ」
「アキトのヤオイ本・・・・・・」
「そんなもの、消去しなくてはいけないわね」
「「「「「えー、でも、ちょっと欲しいかもー」」」」」
「お、俺はべ、別にそんなの・・・」
「私もちょっと欲しいかも・・・・・・」
「あら、姉さんそんな趣味あったの?」
「アキト君のモーホ本!?
ふざけないでよ!!」
「落ち着いて、姉さん」
「アキトさんをモーホ扱いするだなんて・・・・・・」
などと口々に呟きながら、白鳥沢の同人誌を漁る(滝汗)
責任を持った言動、行動をするように心懸けましょう。
ロボット水島やランコ、トビカゲ白鳥沢にお金を渡し、本を受け取り、結局全員が『アキト×水島』本と『水島×アキト』本をゲットした。
そしてここで重要なことが一つあった。
その重要なこととは、アキトをお仕置きするための口実となる物である。
白鳥沢は、大変な間違いをしでかしてくれた。
それは、『フィクション』と書くべきなのに間違えて『ノンフィクション』と書いてしまったことだ。
アキトよ・・・・・・
君に幸多からんことを。
追記
白鳥沢の本だが、アキトと水島のヤオイ本は完売した。
他の物は一冊も売れなかった。
本星への報告書 N−3”
何も言いません。
ただ、「inスットン共和国」で白鳥沢が書くことを決心したアキトと水島のヤオイ本がどうなったかを書きたかっただけです。