ナデひな
第X+2話 ナデひな一発劇場 part-3〜お料理こんてすと(その1)〜
何故そんなことをすることになったのか・・・・・・
その原因を、言い出しっぺであるキツネもすでに忘れていた。
ただ、キツネはそれを言ったことを激しく後悔していた。
第一回ひなた荘お料理コンテストを開催しよう、と言ったことを。
「(これはホンマに料理か!?)」
その・・・・・・なんというか・・・・・・・・・
現在、成瀬川なる以外のひなた荘の住人(ハルカ含む)が座るテーブルには、謎の物体Xが置いてあった。
そしてこの物体は、どう見てもスライムだった。
いや、もっと正確に表そう。
バブルスライムだ。
ちゃんと緑色してるし。
不定形だし。
「あの・・・・・・これは・・・・・・、何?」
「料理(ハンバーグ(本人談))よ」
「(・・・・・・これが・・・・・・・・・!!?)」
図らずも、その場にいた全員の心の声が唱和した。
「(こ、こ、こ・・・・・・こんなの料理への冒涜だぁっっっ!!!)」
料理人・アキトは心の中でそう叫んだ。
これを料理と言ったらユリカやメグミ、リョーコの作る物体も料理として認めなくてはいけない。
アキトにはそんなこと許せなかった。
「・・・何よ、みんな固まっちゃって。
食べないわけ?」
「え・・・?いや、だって、その・・・・・・」
「だって・・・なぁ?」
「・・・まったくです」
「は、はわわわわ〜〜〜」
「これホントに食べられるんか、なる?」
「・・・・・・なる、まずはお前が食べて見せろ」
ハルカの言葉に、顔色を変えるなる。
「(自分が顔色変えるようなもん、食わそうとするなっ!!)」
またもやひなた荘の住人たちの心の声がハモった。
なるはスプーンにそれをすくうと、口に運ぶのを暫く躊躇していた。
・・・・・・というか、何故ハンバーグをスプーンで食うんだっ!?
やがて、意を決し、バブルスライム(隠喩)を口へ放り込む。
そして口をもごもごと動かし・・・・・・・・・
「なによっ、おいしいじゃないっ!」
「(うそだろっ!?)」
「(嘘やーっ!!)」
「(そんなバカな!?)」
「(は、はうううう〜〜)」
「そうか〜〜、うまいんか〜〜〜」
「(・・・・・・なる、味覚がおかしいのか?)」
「ほらっ、私もちゃんと食べたんだから、みんなもしっかり食べなさいよっ!」
みんな体全体で拒否の意を見せている。
「んっ?んっ?んんっ!?」
なるは拳をぷるぷると震わせながら凄んで見せた。
それに逆らえるものは・・・・・・多分、宇宙中を探しても・・・・・・存在しなかった。
仕方がないのでそれを恐る恐る口へ運ぶ・・・・・・・・・
「(なにぃっ!?)」
「(ンなバカな!)」
「(そ、そんな・・・・・・!)」
「(え?え?え?え?)」
「(なんだとっ!?)」
「これ美味いやんか〜、なる」
そう。
それ(バブルスライム)は、なんというか・・・・・・。
うまかった。
マジで。
冗談抜きに。
そこら辺の料理屋のものよりも。
「(お・・・・・・俺がサイゾウさんやホウメイさんから教わったものって一体・・・・・・・・・。
そして俺の存在価値とは・・・・・・・・・?)」
アキトを本気で悩ませる料理第4号。
それが成瀬川 なるの料理だった。
本星への報告書EX−3
ナデひな一発劇場part-3をお送りいたしました。
この「お料理コンテスト」編は全部で6話です。
この後しのぶ、素子、キツネ、スゥ、ハルカが料理するわけですね。
まぁ、楽しみにしてて下さい。
本星への報告書EX−3 終