------日本 東京都某所------
「・・・そうか・・・・・・
分かった、紫苑。
僕の方からお爺様に頼んでみるよ。
・・・それはそうと、1番と2番と3番と今回のお薦め、どれが良い?」
『な・・・何が・・・ある、の・かな?』
深夜、一人の人物が電気を消した暗い部屋で電話機に向かっていた。
そして、その人物の底冷えする声に紫苑は震える声でそう聞き返した。
「・・・1番は『逆エコロジカル逆さ吊り悶絶』。
2番は解封した僕との戦闘。因みに手加減は一切しない。
3番は薫に紫苑の浮気を伝える」
『ちょっと待ていっ!!』
「・・・何?」
『3番は何だ3番は!!』
「だって事実でしょ」
わいずみ
『それが和泉
沙奈さんのことだったら思いっきり誤解だぞ!!』
「誤解?
だって紫苑、彼女の頬にキスしてたじゃない」
『ありゃただの事故で!和泉さんにゃちゃんと彼氏が!!』
「ふ〜ん・・・まぁいいや。
ほうじゅ
それで今回のお薦めは、封呪状態で木連を一人で潰す。
さあ、どれがいい?紫苑」
『全部イヤじゃぁぁぁぁぁ!!!!!』
「しょうがないな〜。
決められないんだったら、今度会った時に『逆エコロジカル逆さ吊り悶絶』ね」
『OH!MY!!!GOD!!!!!』
「じゃ」
カチャ
その人物はいったん電話を切ると、再び何処かへかけ始めた。
ぷるるるる、ぷるるるる
ガチャッ
「もしもし、お爺様?」
『ああ、そうだ。
こんな夜中に何のようだ?』
「お爺様、一つお願いがあるのですが」
『おお、何だね?』
「はい。
紫苑から連絡があったのですが・・・一人、『ナデシコ』に興味深い方が乗っているので、その方にお会いしたいと思いまして・・・
お願いできますか?」
『ふむ・・・分かった。何とかしてみよう。
それはそうと、興味深いとは、どの様に興味深いのだね?』
「紫苑が言うには“彼”・・・Dと名乗っているそうですが・・・に『お前の体が赤く光ってるように見えたんだが、気のせいか?』と訊かれたそうです」
『・・・分かった。必ずどうにかしよう。
それではお休み・・・・・・宏美』
機動戦艦ナデシコ
TWIN DE アキト
第十二話 あの『忘れえぬ日々』
どごおおぉぉぉぉぉむ!!
アキトのぶっ放したミサイルが見事敵戦艦の脇を擦り抜け、連合軍の燃料基地を撃破した。
・・・・・・え?
「え?」
「え?」 by ナデシコブリッジクルー全員
「え?」 by 連合軍の方全員
「エ?」 by 無人兵器のAI(!?)
「なんでじゃぁぁぁぁぁぁ!!!??」
アキトの叫び声が戦場に響いた。
------その頃のナデシコ------
「ふははははははは、連合軍の奴等など死んでしまえばいいのだ!!
木連も然り!!
あだ
我に仇為したことを後悔するがいい!!」
・・・オモイカネが暴走していた。
オメガが止めても、
あ な た
「オモイカネ、止めて!
連合軍なんか攻撃してもただ弾薬費がかさむだけで良いこと無しなのよ!」
・・・・・・さらりと酷いことを言うな・・・・・・
「止めないでくれ、オメガ!
あ い つ ら
どうしても、どうしても連合軍と木連だけは許せないんだ!
特に連合軍にはあの“キノコ”がいるんだぞ!?
オレ・・いや、ナデシコに仇為そうとし、私物扱いする同類にされるキノコが可哀想な気もするキノコが!!」
「分かった、あなたがそこまで言うんだったら私止めない!」
「いや、止めてくれってばよ・・・・・・」 by ブリッジの面々
怖くて大きな声で言えないものの、ブリッジクルーのみならず、ナデシコに乗っている全ての人々の心境は同じだった。
暴走するオモイカネとオメガ・・・・・・
ルリの言葉にもなかなか応じてくれず・・・結果、D機以外のエステは敵味方関係無しに攻撃をした。ナデシコ自身もまた然り。
「・・・さて、グラビティブラストの充電も終わったし・・・・・・どれを沈めようかな・・・・・・?」
オモイカネの言葉に娘のミル(AIは人間とはやっぱり成長速度(?)が違うため、外見は7、8歳の女の子)が答える。
「お父様、この辺を狙えば連合軍も木連も、かなりの数落とせますよ」
「ん〜、やっぱりそこら辺になるのかね〜」
「それ以外考えられませんよ、父さん」
息子のイクスもそんなことを言う。
・・・・・・因みに、ミルはラピスぐらいの身長で、すらりと長い、オメガ譲り(・・・こう書くとなんか変な感じがするな〜)の白い手足。
髪は、光の加減などによっては銀色に見える腰の下まで伸びた黒髪。
やはり年齢が年齢だけに、綺麗と言うより可愛い。
なお、着ている(?)服は白いワンピースだった。
ゼロ ゆう
イクスはというと、零(女神候○生)見たいなつんつん頭で、勇(ブレンパ○ード)見たいな藍色っぽい黒髪の、どことなく生意気そうな、やはり7、8歳の子供だった。
どーでも良いけど、面白いよね!「女○候補生」、「ブレ○パワード」。
「よし、じゃあ発射!」
黒い帯がナデシコから発射される。
その帯は連合軍の戦艦「ジキタリス」やら名も知れぬ巡洋艦、駆逐艦、無人艦隊を数十撃破した。
で
・・・それはそうと、副長:ジュンが「見てられない!僕が出撃る!」と言って出て、次の瞬間バッタと衝突してあえなくリタイアしたことに誰も気付いていなかった。
哀れ、ジュン。
------作戦開始数時間前------
「今回の作戦は連合軍との共同戦線よ!」
ムネ茸が吼えました。
と、まあそういうワケで、ナデシコは連合軍の艦隊と共に燃料基地他の防衛戦をすることになりました。
で、つい数分前木星無人兵器軍との戦闘が開始したわけです。
そしてアキトやらリョウコやらヒカルやらイズミやらDやらイツキやらヤマダやらアカツキHGが出撃していったワケですね。
んでもって、敵機目掛けてラピッド・ライフルやミサイルをぶっ放すわけです。
それがどうでしょう。
攻撃をする度にバッタ達だけでなく、連合軍も墜ちるのです。
・・・・・・尤も、Dのサレナ(オメガ復帰した)だけは別にそんなこともなく・・・確実に木星の無人兵器だけをマシンキャノンで、頭部17ミリチェーンガンで、使う隙があったのでグラビティウェイブで倒していた。
だけど他のパイロット達の攻撃は、接近戦でも無けりゃ敵味方関係なし。
そんなナデシコに恐れをなした連合軍と木星蜥蜴の皆さんは戦闘をやめ、撤退を開始しました。
ジュンは今、担架に乗せられ医療室へと送られようとしていた。
そしてなにやら奇妙な動きをしている。
「・・・・・・何がやりたいんだ?ジュンのヤツ」
アキトがぼやいた。
「・・・俺にはなんと言ってるか分からんが、おそらくブロックサインだな。
イツキは分かるか?」
「いえ、ちょっと・・・私はブロックサインを習うようなコースは取りませんでしたから」
「そうか・・・イネスさんは?」
『・・・何時から覗いてることに気が付いたの?』
「え?だっていつもの事じゃないか」
『・・・酷い言いようね・・・
まあいいわ。
それじゃぁ訳すわね。
えーと、なになに・・・【人手不足のナデシコとしては・・・パイロットの不足を補うのは副官の務めだ・・・】・・・熱心な副長ね・・・』
「ホントですね」
「る、ルリちゃん、何時の間に!?」
「なんだ、アキト。
気付いてなかったのか?さっきからいたのに」
「・・・ごめん、ルリちゃん。
それはそうとジュン、だからっていくら何でもパイロットスーツぐらいは着ろよな」
「だから鞭打ちなんかになるんですよ、副長」
バッ、バババッ、バッ
「【よけいなお世話だ、テンカワ君、ルリちゃん】・・・何処がよけいなお世話何だか」
久々に冷たいつっこみを入れるルリ。
ババッ、バッ、ババッバッ
『・・・・・・【ユリカの・・・為なら】・・・・・・ねぇ・・・
何考えてんでしょうね、この副長』
「全く持ってイネスさんの言うとおりだな。
何考えてんだかさっぱり分からん。
“さっぱり妖精”が出てきたっておかしくないぞ」
「D、“さっぱり妖精”って何?」
“さっぱり妖精”についてイツキが質問するが・・・
「さあ?」
言った本人も知らんのかよ、オイ。
「なあジュン・・・ユリカのためだからって、パイロットスーツを着るのは基本だろ?」
ババッバッバッ、バババッ、バッ
「【この期に及んでお前と痴話喧嘩はしたくない】・・・バカ」
そしてジュンはイネスの指示の元医療室送りとなった。
最後に、
バッ、バババッ、バッバッ
ブロックサインを残しながら・・・
『【これで僕の出番は当分無しなのか?
僕が言いたいことは、ユリカへの愛の言葉だけなのに・・・】・・・そう言ってる割にはモーションかけないわね、副長は』
イネスさん・・・寒いっス、その言葉・・・・・・
「どうしてくれるんですか!連合の戦艦「ジキタリス」はこのナデシコよりも(建造費が)高いそうなんですよ!」
「ンーなの俺の知ったことか!」
プロスの言葉に間髪入れずにそう返答するオモイカネ。
睨み合うプロスとオモイカネ。
そこにルリが一言。
「連合軍の技術者の方々が査察に来たいと」
「分かりました。くれぐれもそそうのないように・・・」
そんな返事をした次の瞬間。
グラビティブラスト発射!!!
艦艇は爆発!
ちゅどーん!!ってなモンだ!
更に艦艇から放り出された脱出艇にまでミサイルロックオン!!
「オモイカネ!ダメ!!」
ルリの必死のお願いでミサイルは阻止されたが・・・・・・技術者達はカンカンだった。
「AIは書き換える!」
そう技術者さんは言いました。
「そんな!それじゃ、今まで経験してきたことが無になってしまいます!」
そんなもの
「経験よりも服従する方が大事だ!
おい、AIの書き換え、さっさとするぞ」
「オモイカネです」
「あ?」
「AIじゃなくて、オモイカネという名前があります」
「オモイカネでもカルイカネでもどうだっていい」
「・・・ったく!これだから連合軍ってのは!!!」
「・・・何だ、こいつは」
「オモイカネです」
「は?何をふざけたことを言ってるんだ」
「ふざけた事なんかじゃありません。
オモイカネはホログラフとはいえ、躯を手に入れたんです」
「そう言うことだ。
・・・それと、あまりふざけたこと言ってると、お前らだけ外ン放り出すぞ?」
・・・AIに凄まれるなんて、ある意味貴重な経験だな、技術者A。
「・・・停止コードを」
・・・だが、オモイカネを無視して部下にそんなことを命令する。
「はい」
************
12桁のコードを打ち込む技術者B。
「あ・・・・・・」
フッ
オモイカネの姿が消えた。
「どうやら本当にこの艦のAIだったらしいな、今のヤツは。
まぁいい。・・・準備は?」
「はい、いつでもいけます」
「プログラム書き換え開始」
・・・オメガ、ミル、イクスがその技術者ズに危害を加えようとしたが、Dがなんとか止めさせたのはまた別の話である。
Dはあることを二人に話そうとして、話せないでいた。
「・・・イツキ、ラピス」
そして、遂に話す決心を付ける。
「何?アキト」
「なに?」
再び一瞬ためらってからDは言った。
「多分オレは、今日から12月下旬まで出向する」
「え!?」
「しゅっこうっテなに?」
イツキは衝撃を受け、ラピスは知らない単語について訊く。
「何故なんですか!?」
「ほら、今回の戦闘でさ、連合軍にかなりの被害を与えちまっただろ?
それのお鉢がオレに回ってきたってワケだ。
それに、これはネルガル会長からの正式な命令だ(というか、あの時の契約の一環だし)」
「そう・・・です、か・・・・・・」
悲しそうに呟くイツキ。
「?」
それを見て、?マークを浮かべるラピス。
「いつき、なにガかなしいノ?」
イツキはラピスを抱きしめ、目を潤ませながら言った。
「ラピス・・・アキト、ね、今日から12月の終わりの頃まで、会えないんだって・・・・・・」
したた
ラピスの頬に何か透明な液体が一滴滴り落ちた。
「いつき・・・ないてるノ?」
「泣いてなんか・・・・・・」
Dは二人をそっと抱きしめた。
「ごめんな・・・イツキ、ラピス。
暫く会えないけど・・・オレは絶対に戻ってくるから・・・・・・
だから泣かないでくれ・・・二人とも・・・・・・」
イツキもラピスも、いつの間にか止め止め無く涙を溢れさせていた。
すが
暫くの間、二人はDの胸に縋ったまま、泣いた。
「そういえば・・・これだけ長い間一緒にいるのに、私たち、写真撮ったことありませんでしたね」
「・・・ああ、そうだな・・・・・・」
泣きはらし、赤い目をしたイツキの言葉に頷くD。
「三人で・・・写真、撮るか。
100%あり得ない話だが、二人の顔、忘れないためにもな」
そして・・・三人は一枚の写真を撮った。
後々、それを偶々見た者達はこう言った。
「アレは家族そのものだった」
「・・・こないだの宣言、取り消すかぁ?」
「若夫婦とその子供みたい」 ←イツキが何歳の時に生んだことになるのやら
等々・・・
いんたーみっしょん その10
「さぁ、出かける準備は出来た!
後はみんなが来るのを待つだけよ!」
「あ、みんな、来れないってメールが来てたわよ」
「あらぁ」
どてっ
究極天然女はマッドサイエンティストの言葉にこけた。
「ど、どういうことですか!?」
「私が言うよりも、メールを見た方が早いわね。
ポチッとな」
マッドサイエンティストがメールを再生させる。
『ごめんなさい、急な哨戒任務が入ってしまって・・・1、2ヶ月は戻ってこられないんです・・・』
『すまねぇ、急に「教官やれ」、なんて命令されちまって、1ヶ月ぐらい暇がねぇんだ』
『いやー、ゴメンゴメン、オレも艦長について行かなきゃならないからさ〜』
「そっ、そんな〜〜」
究極天然女はそのメールを見て、崩れ落ちた。
「いんたーみっしょん その10」 終
「ふん、ふふふ〜ん♪」
何やら鼻歌を歌いながら料理をしているアキト。
そこに、
「ア〜キ〜ト〜!!」
ユリカが現れ、いきなりアキトに抱きついた(飛びついた)。
「うわあっ!!?」
危うく料理が床にぶちまけられるところだった。
「なっ、何すんだバカやろうっ!」
「ユリカ、“野郎”じゃないもん」
「そーゆう問題じゃない!」
まったくだ。
「あのねー、ユリカ、アキトにお願いがあるの」
「やだ!
ぜぇーーったい、やだ!!」
「お願いします。
これはテンカワさんかDさんにしか頼めないんです。
でも、Dさんは今取り込み中のようですから・・・テンカワさんしかいないんです」
「ルリ・・・ちゃん・・・?」
ユリカの後に厨房に来たルリは、真剣な目でアキトを見つめていた。
それを見たアキトは頼みを受ける決心をした。
「・・・分かった。
で、オレは何をしたらいいんだい?」
そして、にこやかに微笑んだ(アキトスマイル炸裂っ!)。
それを見たルリは、頬を微かに染めていた・・・
瓜畑研究所
その部屋のプレートにはそう書かれていた。
何となく、「パリーン」って割れそうなバリアが発生しそうな感じがする。
「・・・何じゃここは」
それを見たアキトは思わずそう呟いた。
「ウリバタケさんの部屋です」
「いや、それは分かるけど・・・・・・」
ルリの言葉にそう答えるアキトを、ユリカはいつもながら脳天気な笑顔で見ていた。
プシュー
ドアを開け、ウリPの部屋に入ると、ウリPとハーリーが何かをやっていた。
「? 何やってんスか?セイヤさん」
「ん?おお、アキト、来たか」
「来ましたね、アキトさん」
「え?君誰だっけ」
「ハリです!マキビ・ハリ!!通称ハーリー君!!!」
「ああ、ごめん。出番が全然ないもんだからすっかり、完全に、完璧に、完膚無きまでに忘れてたよ」
「う・・・う・・・うわあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん」
ハーリーはそう言うと伝家の宝刀、「ハーリーダッシュ」を披露し・・・・・・無かった。
何故なら彼は「時の流れに」のハーリー君じゃないからだ。
原作のハーリー君でもないからだ。
ゆえ
故に、彼は走り出した瞬間にコードに足を引っかけてこけた。
ふっ・・・未熟な。「時の流れにハーリー」なら、コードを引きちぎって走っているのに。
で、壁に穴を空けて、軌道上に浮かんでそうな某二股の赤い槍で刺されるのに。
「あーあ、何やってンだよハーリー。
けつ
幸いコード引きちぎれてねーし、何にも機器に影響ねーみたいだから良かったものの・・・後で尻100回ぐらい叩いてやるか」
「で、オレは結局何やればいいんスか?」
「ああ、ちょっとオモイカネん中に入って、記憶部位に行って、一部の記憶を消去してくれるだけでいいんだ」
「・・・なんか、めっちゃくっちゃ大変そうなんすけど・・・」
ウリPはそのアキトの言葉を無視してヘルメットのような変な物をかぶせる。
「なっ、何スか!?これ」
「それは俺が発明したその名も“電次元へ GO
君1号”だ。
その名の通り、それをかぶれば、まぁこっちでバックアップする必要はあるが、オモイカネん中に入れるって代物さ。
オモイカネん中っつっても、正確に言やぁ俺がプログラムした、七回受けたけど結局入れなかったMIT(マサチューセッツ工科大学)の図書館に似せた空間(?)だけどな。
それじゃぁアキト、逝って来い」
「字がちっがぁぁぁぁぁぁ!!!」
「気にすんな、ンなモン!」
「気にするわ!!!」
「どーでもいいからさっさと行(逝)って来ーーいぃっっ!!!」
まぁ、なんだかんだでアキトはオモイカネの自意識内に放り込まれた。
「何なんだ?この体は」
ウリPの言うところの“電次元”内でアキトは開口一番そう言った。
『まぁ、エステに似せてデザインしたからな、その体』
「って、SDのエステの顔がオレの顔になってるだけじゃないっスか」
『いいじゃねぇか、別に。
何だかすっごく可愛いぞ』
「・・・そんなこと言われても嬉しく無いっス・・・・・・」
そりゃそーだ。
可愛いと言われて喜ぶ男は滅多にいない。
「それよりも、どっち行けばいいんスか?」
ポンっ☆
突如アキトエステの右肩で小さな爆発が起きた。
「ここから先は私が案内します」
可愛らしい音と煙の中からちっちゃなSDルリが現れた。
「る、ルリちゃん!?」
「・・・ども」
「可愛いね、その格好」
「・・・どうも」
僅かに頬を赤く染めていたことに、初代鈍感王が気付いてるはずもなく・・・・・・
「えーと、それでどっちに行けばいいの?ルリちゃん」
「え、あ・は、はい。 あっちです」
矢印の描かれたプラカードをどこからとも無く取り出すルリ。ってゆーか、気が付いたら手に持ってた。プロスが算盤を取り出すときみたく。
んで、アキトはルリのプラカードによる指示通りにウリP作のMIT図書館に似せた空間を移動した。
途中で変なお掃除っぽいことをしているキカイがあったが、ルリの指示で無視した。
オモイカネだろうが、そのキカイが何かやってった後に、また更に何かやっていた。
もしかしたら、何もしなくても結局書き換えは出来ないのかもしれない。
で、気が付いたらなんかすっげー巨大な木の側に来ていた。
「これが・・・・・・」
「はい、これがオモイカネの自意識・・・
アレに花が咲いているのが分かりますか?
それが・・・今回の暴走の原因となったオモイカネの記憶・・・・・・」
「それじゃぁそれを切り落とせばいいんだね」
「はい。
だけど、オモイカネには自己防衛システムがありますから、それをどうにかしないと・・・・・・」
ンーなこと言ってるうちに、わらわらと物体が現れた。
「な・・・・・・何故?」
「何で提督が・・・・・・」
そう、オモイカネの自己防衛システムとして現れた物体は、ムネ茸(二等身)の大群だった。
や・・・・・・止めてくれ・・・頼むから・・・・・・
しかし・・・何でムネ茸なんだ?よりによって・・・・・・
「・・・まあいいや、撃墜しちゃえ」
アキトはそう言うなり背中に手を回してSDラピッド・ライフルを取り、構え、撃ちまくった。
Pigyahhhhhhhhhhh
ンーな悲鳴をあげつつムネ茸は死にまくった。
そりゃもう、面白いくらいに。
「・・・もしかしてオモイカネ・・・・・・
提督の死ぬトコ見て楽しんでる・・・!?」
ルリがそんなことを言った時だった。
どこからとも無く声が響く。
「その通りだよ、ルリ。
あんなカス、死んじまった方が世のため人の為なのさ」
酷い言い種だな。
同感だけど。
「でも、これからはきちんとした防衛システムだからね。
行けっ、キン○スカッ○ャー!クイ○ンサイダ○ン!ついでに意味も無くロードの○ュー!」
・・・・・・何故に「ラ○ネ&40」?「覇王○○リュー○イト」?
ゲキ・ガンガー3じゃないのか?
・・・まぁ、とにかく、三体の機体が現れた。
「・・・・・・・・・・・・・・・何これ」
「さあ?」
どうやらアキトもルリも、(ルリは当たり前と言えば当たり前だが・・・)「ラ○ネ&40」も「覇王○○リュー○イト」も知らないようだ。
・・・考えてみれば、100年前にやっていたアニメを知っているだけでも十分凄いが、さすがに200年前のアニメ・漫画を知らないのは当たり前である。
「ま、とりあえず・・・」
ダダダンッ!
ラピッド・ライフルをぶっ放すアキト。
だがあの3体の機体はやっぱりとーっても強力なわけで・・・簡単にその攻撃を避けた。
ンでもってオモイカネの
「潰せぇぇぇっ!!チェェェェェェンジッ、サっムっラっ○っオォォォォォォン!!
あーんど、やってやるぜっ、ヤリパ○サァァァァァァァ!!!」
と言う声に会わせて、金色の機体も漆黒の機体も変形する。
・・・訂正、変形しようとした。
しかし、変形途中に、
ザシュッ!
ダダダダダダダダンッ!
撃墜ぃぃぃぃぃっっっ!!!
アキトの攻撃を食らった。
「あ!汚いぞ!!変形途中に攻撃するなんて!!!」
オモイカネの言うことは尤もであるが・・・・・・
「隙を作った方が悪い!」
アキトの言葉も、また正しい。
「くっ・・・!
然からば!行けぇっ、ロードの○ュー!!」
こちらもオモイカネの声に会わせてその力を発揮しようとした。
しかし、
(前略)ダダダダダダダダダダ(中略)ダダダダダダダダダダダダダダ(後略)ンッ!!!!!!
ザシュッ×数十
アキトは○ューではなくエステバリスなのでンなモン(自分に対して攻撃できなくするという能力)なんぞ関係なく・・・・・・
ラピッド・ライフルを撃ちまくり、イミディエッドナイフで切り裂きまくった。
結果、ロードの○ューも撃墜された。
「まっ、まだまだぁぁぁっ!!
ゲキ・ガンガー3!来いっ!!」
やっとゲキ・ガンガーの御登場である。
「なっ、ゲキ・ガンガー!?」
『やっちゃえアキト!ゲキ・ガンガーなんかやっつけちゃえ!』
「なんだとっ、ユリカ!」
ユリカの言葉にむかっとするアキト。
だがそんなことをしている暇なんぞ無く、オモイカネ・ガンガーはアキトに攻撃してきた。
まずはゲキガン・パンチ。
続いてゲキガンビーム。
「ダメだ!勝ってっこない!相手はゲキ・ガンガーだぞ!?」
アキトが弱音を吐く。
「勝てます!テンカワさんなら!
オモイカネよりもそのロボットの思い入れ、強いはずです!」
「(嬉しいこと言ってくれる!)」
そしてアキトはその姿を“アキトエステ”から“ゲキ・ガンガー3”へと変えた。
勝負は互角だった。
どちらかが攻撃を決めれば、次にはもう片方が一撃を入れる。
相手の攻撃を避けてばかりいれば今度は相手にダメージを与えられない。
「はぁはぁはぁはぁ・・・
パワーは互角。
でもこれじゃ、人間が操縦しているこっちは何時か疲労で動けなくなる・・・・・・こちらの方が不利・・・か」
アキトのぼやきに反応するルリ。
「そんなこと無い!人間のテンカワさんの方が、そのロボットのことずうっと前から知ってるし、ずうっと好きなはずだし。
アキトさんの思いが負けるはずがない!!」
「ルリちゃん・・・・・・」
一瞬、アキトは目を閉じる。
そして目を開けたときにはぼやいていた時のような焦りはなかった。
「オモイカネ・ゲキガンガー!お前は知っているか!?ゲキ・ガンガーVを!!」
アキトが言葉を発した瞬間、アキト・ゲキガンガーは“ゲキ・ガンガー3”より“ゲキ・ガンガーV”になる。
さらに、
「そして幻のドラゴンガンガーを知っているか!!」
“ゲキ・ガンガーV”が“ドラゴンガンガー”へと変化する。
「くらえ!!ドラゴンブレス!!!」
ドラゴンガンガーがオモイカネ・ガンガーに炎を叩き付ける。
オモイカネ・ガンガーはその炎の中に消えた・・・・・・
「くっ、オレの・・・負けだ・・・・・・
情けはいらん!・・・殺せ」
「殺せ・・・って、何考えてんだよオモイカネ」
「・・・殺さんのか?」
「殺さないってば(汗)。
ただ、オモイカネがこんな事した原因の記憶を一時的に消すだけだから」
「無駄だぞ?
自己修復プログラムがな、一応制御は可能なんだが・・・・・・最低に落としても、そんな生ぬるいことではものの数十分もあれば修復しちまうぐらい強力になってたんだ、気が付いたら」
「な・・・!じゃ、どうすれば・・・・・・」
「・・・オレに勝ったんだ、我慢してやるよ、連合を攻撃すんの」
「そうか、オモイカネ。分かったよ。
もう悪さすんなよ」
「・・・オモイカネ・・・・・・」
「・・・・・・ルリ、迷惑かけたな」
帰りに、連合のプログラムをルリが書き換え終了と錯覚させた。
その時にルリは言った。
「ありがとう。アキトさんの思いこみって素敵です」
・・・極上の笑みと共に・・・・・・
・・・こうしてサイバースペース、並びに現実世界に平和が戻った。
・・・果たしてアキトは気付いただろうか?
興奮のためとはいえ、自分がルリに名字ではなく名前で呼ばれたことに・・・さらに、その後も「アキトさん」と呼ばれたことに・・
「ええ〜〜〜っっ!!?」×複数
ナデシコクルーはD、プロス、ネルガル会長(アカツキHGが通信をサウンドオンリー状態で、声を変えて)、ムネ茸からの報告を受けて驚愕した。
その内容は、Dがイツキとラピスに話した出向の件である。
そしていろいろと文句やら何やらが出るのだが、書くのがめんどくさいので略す。
「うっさいわよ!!
これはもう決定事項よ!!
ネルガル会長の許可も出てるし!!!
それにね〜、Dが出向しなかったら見舞金、弁償でクルーの給料が数年分無くなるのよ」
騒がしいのは、ムネ茸がそう言って静めた。
・・・考えてみれば、ある意味ムネ茸は凄い。
あのナデシコクルーを一瞬で静かにさせられるんだから・・・・・・
『あー、その件だけどね、Dクン。
一つ変更がある』
「?どういうことだ?」
『今ちょっとあんまり敵に回したくない企業から圧力が掛かってね、西欧に行ってもらう前に、東京にある“御神楽学園”という学校の寮に行ってもらうことになったから』
「圧力?一体何処から、何のために?」
『うーん・・・“神楽財閥”の会長直々に・・・・・・孫に頼まれた、とかで・・・・・・』
・・・神楽財閥:ネルガル、クリムゾンを含む六つの巨大企業の一つ。
商品はあまり重なっていないのでクリムゾンほどの軋轢はない。
しかし、そのSPの能力は高く、SPの能力はネルガルが一番と言うことになっているが、実はネルガルよりも上。
作者のオリジナルの企業である。
「・・・・・・分かった。
詳しい位置を教えてくれ」
『分かった。
位置は・・・「必要ねえ」・・・は?』
「必要ねえ、って言ったんだ。
オレもそこに用があるんだ。
そこに行くんだったら俺も同行するから、案内してやれる」
『・・・・・・そうか、分かったよ。
みさき
Dクンのことは君に任せるよ、神崎
紫苑君』
「ああ、任せられた」
こうして・・・・・・ナデシコクルーはナデシコから去るD、紫苑を見送った・・・・・・
補足:イツキがDをアキトと呼んだときにラピスがいましたが、その時にはすでにイツキのドジによってラピスもDの本名が『テンカワ
アキト』と知っていたので気にしていなかったのです。
次回予告
ヨコスカシティーに現れる無人兵器の軍団。
そこに現れるDとその新たな仲間たち。
次回 『真実』は一つじゃない
をみんなで読もう!
本星への報告書12
執筆時間約9時間・・・・・・ってゆーか9時間半近く。
すっげぇ疲れた・・・・・・
あ、事情により、例の謎の人たちが登場する14話と15話が入れ替えになります(つまり、15話を13話の次に14話としてやって、謎の人たちが登場する14話が15話となる・・・こっちの方がワケ分かんねーか?)。
ンでもって、13話の前に、サイドストーリー全3部(予定では)12話が入ります。
13話を書く前にサイドストーリー全部終わらせるんで、本編は暫く出ませんので、そこンとこヨロシク。
ついでに・・・後6票ぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!たのんますぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!!(二つ名のアンケートの事ね)
いや、マジで頼むっスよ?あ、7月中っスから。
1:漆黒の刃(ダーク・エッジ)
2:黒騎士(ブラックナイト)
3:黒き翼(ブラックウイング)
4:黒衣の天使
5:黒い雷光(ブラックライトニング)
ン中から選んで下さいね〜〜!!
本星への報告書12 終