(完結編)





2月13日 23:50

〜ナデシコ〜



 突然だが、いきなり敵襲のアラームが鳴り響いた。

「パイロットは至急格納庫へ向かって!

 準備が出来次第発進!!」

 ユリカが、鬼もかくやという形相で言った。

 それも当然と言うものである。

 結局彼女は市販品にしたのだが、チョコレートを一番乗りで渡すために、アキトの部屋の前で陣取っていたのだ。

 ・・・・・・同じ行動をしていたのは、某同盟+1の全員であったが。

 後たった10分だったのに、敵襲が来たのだから。

 そして、某同盟構成員+1全員が、やはり鬼もかくやという顔だった。

 攻めてきたのは、シャクヤク。

 シャクヤクには話の分かりそうな人間(舞歌)がいるのに・・・・・・

 だが、シャクヤクに舞歌がいるからこそ、ここへ来たのだ。

 それは、次の通信で分かる。

『こんばんは、ナデシコの皆さん。

 シャクヤクの東 舞歌よ。

 安心してね、これは別に攻めてきたわけじゃないから。

 ただ、ちょっと贈り物を届けに来ただけ。

 今から機動兵器が3機行くから・・・・・・』

 舞歌がそう言ったところで、三機の機動兵器と、それを追うようにもう一機の機動兵器が出てきた。

『・・・・・・そう、零夜、北斗のこと追い掛けてったのね。

 それじゃあ、4機行くからよろしくね♪』

「あれは・・・・・・」

「北斗か枝織ちゃんに万葉ちゃん、それから百華ちゃん?

 それと、零夜ちゃん、か」

 ・・・・・・の機体だった。





 数分後。

 格納庫に、四機の機体が降り立った。

 即ち、ダリア、風神皇、竜神皇、光神皇だ。

 そして、その三機の前には人集りが出来ている。

 当然の話だが、その中心は整備班である。

 彼らは、愛・・・・・・というか、女に餓えているから。

 だが、彼らはそれがアキトの所為だと思いこんでいて、本当の理由を知らない。

 彼らの性格、行動などが招いているのに!


 プシュゥゥゥーーー


 コクピットが開く。
 
「アーくぅーーーん!」
 
 一番最初に出てきたのは、枝織だった。

 手には、二つの箱を抱えている。

 言わずもがな、枝織と北斗の『手作りちょこれぇと』である。

「あれ? アー君、どこ?」

 枝織が辺りを見回し、同時にアキトの気配を探る。

 しかし、見つからない。

「・・・・・・枝織さん、一体何をしに来たんですか?」

 ルリの問いに、

「え? アー君に、このチョコレートを渡しに来たんだよ」

 予想通りの答えに、某同盟+1の顔が険しくなる。

 ・・・・・・それとは全く関係無しに、
 
「ナオ様あぁぁーーー!!」 

 百華が、コクピットから飛び降り、ナオの元に一直線に駆けてきた。

「だああぁぁぁぁーー!」

 ナオは、当然の如く逃げ出した。

 百華も、当然の如く追い掛けた。

 その途中にいた男性陣は、当然の如く跳ね飛ばされた。 

 可哀想なことに、彼らは医務室送りになってしまった。

 ・・・・・・ジュンと一緒に、仲良くしろよ。

「・・・・・・ガイはどこだ?」

 風神皇から、万葉が降りてきた。

「おう、万葉。

 俺ならここだ」

 ガイがその声に答える。

 万葉は彼の元に歩み寄り、時間を確認して、手に持っている包みを渡した。

 ガイは、

「なんだ?」

 と言いながら、差し出された二つの包みを受け取った。

 片方は当然万葉の物で、もう一つはやはり当然ヒカルの差し出したものだ。

「ば、バレンタインデーだろ、今日は」

「そゆこと、そゆこと♪」

「おっ、おう(///)

 光神皇からは零夜が降りてきた。

 そしておもむろに、

「枝織ちゃん、テンカワアキトなんかにそんな物あげちゃ駄目ぇーーー!!!

 テンカワ アキトなんかじゃなくて、私に頂戴よぉおーー!

 ほら、枝織ちゃんと北ちゃんのためにチョコ作ってきたんだからぁ」

 ・・・・・・・・・間違いなく、彼女は真性の百合である。

 だが、枝織はその零夜の声には全く気付かずに、アキトを捜しに行ってしまった。





 その頃アキトは、お仕置き部屋の前にいた。

 彼女達は、アキトがこの部屋に近寄りたがらないことを知っているので、ここは完璧な死角になっているのだ。

「ふう、ここにいれば安全だよな」

 ・・・・・・ちなみに、彼は昨日の仕事が終わった後、ここに直行した。

 オモイカネに頼み、ついでにコミュニケも部屋に置くことで、ルリラピの目は誤魔化している。

 だが、安心しきったアキトに、

「テンカワさん」

 声を掛ける者がいた。

「だ、だ、だ、だだだ、誰?」

 アキトが恐る恐る振り返ると、そこにはイツキがいた。

「テンカワさんにあげます」

 イツキはそう言いながら、手にした包みを渡した。

「え? なに、これ」

「今日は何の日ですか?」

 イツキの質問に、

「バレンタインデーでしょ」

 と答える。

「となれば、中身は分かりますよね」

「え? ちょ、チョコ?」

「バレンタインデーに、チョコ以外にあげる物がありますか?普通」

 イツキがそう言う。

「ありがとう。 有り難く食べさせてもらうね」

 そう言って、アキトはイツキの目の前で包装を丁寧に外し、


 パクッ


 と、一口。

「(ふふふふふ、テンカワ アキトの暗殺、成功だわ)」

 イツキはそう思った。

 だが、

「うん、おいしいよ!」

「・・・・・・え゛?」

 アキトは生きていて、あまつさえ『おいしい』などと言った。

「(な、何でーー!?

 シロアリ退治の仕事してる友だちの家からガメて来たヒ素、大人10万人分の致死量が入ってるのにーー!!!)」

「???」

 アキトは、頭に手を当て苦悩するイツキを不思議そうに眺めていた。










 この勝負、イツキの一人勝ち(はぁと 















後書き

 ふはははははははははっ!

 多分、初めての壊れ(気味(?))SS。

 皆さん、チョコはどうでした?

 貰えましたか?全滅でしたか?

 僕は、同級生からもらいましたよ。

 ばらまいていたヤツですけど。(これを書いているのは2/14(火)/19:58)


 まっ、ダラダラ書いててもしょうがないので、ここまでに。










補足
 アキトは某同盟+1+枝織+北斗+舞歌(後で持ってきた)のチョコを全て食べさせられた。

 そして、例の惚れ薬×4のお陰で、一番最初に見たウリバタケにラヴになってしまった。


もういっちょ補足
 そのウリバタケだが、地球から来た黒猫○マトの宅急便で、オリエからのチョコが届いた。

 やるな! 黒猫ヤ○ト!
 
更に補足
「うおおおぉぉぉおおおーーー!!
 
 なぜだ!なぜなのだ!
 
 なぜ北斗も、枝織も、我にチョコをくれなんだ!
 
 くっ、忌々しき戦神めぇーー!!
 
 こうなったら『婿殿』と呼んでやる!」








終劇

 

 

 

代理人の感想

・・・・・・何故砒素が効かなかったのか説明がないんですが。

ひょっとして忘れた?(爆)