「へ−・・・。 じゃあ、この五人はマイトやアテナちゃんの友達なのか?」

 

「そういうコト・・・になるね。 ・・・なんでよりによってコイツらが・・・」

 

 アキトの問いに、マイトは曖昧に相槌を打った。

何時もマイトの隣にいるアテナは、先程やって来た女の子達と再会を喜び合って、キャアキャア騒いでいたりする。

 

「・・・でも、どっかで彼らのコトを見た事があるのよねぇ・・・。

 どこだっけなぁ・・・。 なんかこう、もう少しでわかりそうなんだけど・・・」

 

と首を傾げているのは、今の今まで出番が全然無かったレイナである。

 

「自己紹介しないとね−。 ムラサメ・ユリナ17歳、愛称はリノア!

 ちなみに、隣にいるのは彼氏のハヤマ・カズマサで−すっ」

 

 青い服を着た長い黒髪の活発そうな少女が、隣にいた無愛想な青年の腕を抱きながら自己紹介する。

・・・どうやら、彼女が〔天然少女〕らしい。

 

「・・・恥ずかしいからやめてくれ、ユリナ・・・。 俺はハヤマ・カズマサ、17だ。

 ・・・スコ−ルと呼んでくれて構わない・・・というか呼んでくれ

 

 ファ−付き黒革ジャンに黒のボトムを着た青年も、簡潔に自己紹介する。

凄く整った顔をしており、顔に走る斜めの傷がさらに印象を高める。

ちなみに、彼女に抱きつかれて困っているように見えるが、本人はまんざらでもない。

キリンの言っていた〔無愛想男〕というのは、彼の事らしい。

 

「スコ−ル・・・に、リノア・・・? ・・・そうよっ、アンタ達二人どっかで見たことあるなと思ったら、

 二十世紀に流行った某RPGの主人公とヒロインにそっくりなのよ!」

 

 この二人が自己紹介した瞬間、レイナがいきなりやっとわかったという感じで叫ぶ。

そう、この二人は某大作RPGの主役に、鏡に写したみたくそっくりなのだ(ちなみに、ExcaliberはVIIIが一番好き)。

 

「ああ、コイツら二人は非合法な実験施設で生まれたんだ。

 なんで某RPGのキャラに似てるのかは、製作者の趣味(?)だったんだってさ。

 ちなみに、そこから助け出したのは、父さんとナオさんの二人だよ」

 

「そうそう、それで身寄りが無いからウチが預かる事になったのよね。

 血は繋がってないけど、小さい頃から一緒だったから、私にとっては手の掛かる弟と妹みたいなものかな」

 

 レイナの叫びに答えるのは、カズマサ(以下、スコ−ル)の肩を叩くマイトと、ユリナ(以下、リノア)の首に手を回しているアテナである。

 

「・・・変な趣味のヤツがいるもんね・・・」

 

 呆れたレイナの呟きに、ウンウンと頷くナデシコクル−。

 

「・・・お−い、自己紹介の続きやってい−か? オレは高杉・十郎太、18。 高杉・三郎太の息子。

 そして、隣にいるのがカノジョのシルフィ−ヌ・レインフォ−ド・・・ぐぇっ」

 

と長い金髪を背中で一纏めにしている青年が自己紹介した瞬間、

近くにいた彼の彼女(らしい)シルフィ−ヌの肘鉄を鳩尾にくらって沈黙する十郎太。

本人の都合を聞かなかったためだから、自業自得だ。 〔ナンパ男〕確定である。

 

「・・・シルフィ−ヌ・レインフォ−ドともうします。 18歳です。

 名前がながったらしいので、シルフィ、で結構です。

  ・・・決して十郎太なんかとは恋人同士ではないので、勘違いしないでください」

 

 翡翠色の豊かな髪の毛を、ただ背中に無造作に流しただけの少女が

その部分(恋人同士ではないというところ)を強調しながら自己紹介する。

その喋り方から、かなりの上流家庭で育ってきた事がわかる。

ということは、彼女が〔箱入り娘〕らしい。

 

ふっふっふっ・・・真打登場−っ! 東・裕香、19歳よっ!!

 名字から察する通り、私は東・舞歌の娘よ。 正確に言えば、舞歌お母さんの遺伝子を使って誕生したんだけどね」

 

 最後に、綺麗な黒髪(また)の少女が胸を張って自己紹介する。

ちなみに、彼女はかなりのプロポ−ションを誇っていたりする。

そのためなんかを張ると・・・。

 

「・・・ぐふぅっ・・・(鼻血)」 ← ブリッジの男共(アキト&マイトを除く)。

 

 こんな風になるわけだ。

 

「へぇ・・・東・舞歌さんの娘・・・。 じゃあ、父親は誰なの?」

 

「ちょっとちょっと、私の自己紹介だってまだ終わってないんだから。

 母親はさっき言った通り東・舞歌で、父親はそこにいるテンカワ・アキトさん」

 

 ギンッ!!

 

 ミナトの問いに裕香が答えた瞬間、TA同盟の方々の鋭い目線がアキトに飛ぶ。

その眼光は鋭く、滅多に開かれないが、その瞳を一度でも見たら石化するという

魔獣カトブレパス (知らない人は、FFVかVIIIをやってみよう!)に似ている。

 

「あ、でも、飛厘さんがネルガルの研究所からアキトさんの精子を盗んできて、それをつかって私が出来たワケ。

 だから、マ−くん(マイトの事らしい)とは、異母姉弟にあたるのかな?」

 

 首を傾げながら、とんでもないことをサラリという裕香。 なるのかな?ではなく、なるんだって。

 

「戸籍上は赤の他人だから、マ−くんと結婚する事も(一応)可能なのよ(はぁと)」

 

 しっかりと爆弾発言をしているのは、亡き母親に似ているのかもしれない。 彼女が、〔爆弾娘〕らしい。

 

「結婚・・・(ピクピク)」

 

 それを聞いて、こめかみにカットバン (抽象的表現)を浮かべるアテナ。

ゆっくりとだが、なんかドス黒い魔闘気まで(汗)ユラユラと背後から放出し始めている(汗)。

 

「そのコトだけど・・・裕香さん?

 近親者同士で結婚するというのは、道徳的にも宗教的にも、そして生物学的にもあまり良くないことなのよ・・・?(怒)」

 

「・・・ぐっ・・・。 そ、そんなモノは 私達の愛があれば大丈夫!!

 ヤ、ヤキモチでも妬いてるのかしら、アテナさん?(怒)」

 

 バチチッ!!

 

 睨み合うアテナと裕香の間には、凄まじい火花まで飛び散っている(大汗)。

どれくらいというと、 彼女達二人の間に繋げた蛍光灯がビカビカ光っているからだ。

 

「ふ、二人とも? な、仲良くしよ・・・」

 

「「マイト(マ−くん)は黙っててッ!!!」」

 

「・・・はい(汗)」

 

 何とか説得を・・・と試みるマイトだが、アテナと裕香の怒声に沈黙してしまうマイト。

いつの時代も男(女もだけど)はツライ、というワケです。

 

「・・・だいたいさぁ、ハッキリしないマイトが悪いんだろ?

 いいよな−、何もしなくても女が寄ってくる 天然女たらしJr.は・・・」

 

「・・・女性を見たら節操無くナンパしまくるナンパ野郎に言われる筋合いはないぞ、十郎太(怒)」

 

 多大に皮肉が含まれている十郎太の科白に、静かな怒りを込めた科白を返すマイト。 ・・・なんか、イヤ−な雰囲気である。

 

「・・・テメ−とは、いっぺん決着をつけなきゃなんねえようだな・・・。

  〔DEATH CLOWN(死のピエロ)〕の名の由来、思い知らせてやるぜ!!」

 

 ガシャリ、と何処にしまってあったのかわからない大きな鎌を構える十郎太。

その姿は、幾千もの魂を刈ってきた死神を彷彿とさせる。

 

「それはこっちの科白だッ! いくぞっ!!」

 

 対するマイトは、昴氣を実体化させた剣で十郎太を迎え撃つ。

普段彼が使っている日本刀ではなく、1メ−トルはありそうな肉厚の大剣である。

 

 ・・・後でマトイが

 

〔あれは、兄上が持つ七つの武器の一つ、大剣〔テンペスト・ウィング(嵐の翼という意味)だ。

 あれ位まで昴氣を実体化させると、重さはかなりのモノになる。

 ・・・それに、イメージングをしながら剣を振らなければいけないわけだから、使用者はかなり疲れるがな〕

 

と、その時の光景を思い出しながらみんなにそう説明した、という。

 

「・・・始まったな」

 

「そうだね−、始まったね−」

 

「何時もの事だし、放っておいて心配ないわね」

 

「・・・のんびり眺めてないで、止めたらどうですか、三人とも?(汗)」

 

 他のナデシコクル−と同様、ブリッジの片隅に避難したスコ−ル、リノア、そしてシルフィの無責任な科白に、大汗たらして突っ込むルリ。

 

「・・・仕方無い、俺が行こう」

 

「・・・スコ−ルッ!?」

 

「・・・大丈夫だ、俺はリノアの元に絶対帰ってくる。 ・・・俺は、お前の騎士だろ?

 

「・・・スコ−ルッ!!(抱きッ)」

 

 ブリッジの片隅で、(何故か)いきなり お昼のメロドラマをおっぱじめる二人。

なんていうか、こう・・・ 二人だけの空間を形成している。

あまりにも突然な出来事に、回りのナデシコクル−も引いている。

 

「いい話ね・・・(ウルウル)」

 

「そうですね、姉さん・・・(目元をハンカチで拭う)」

 

「なんていうか、バカップルって感じね・・・(呆れ)」

 

 何故か感動しているサラとアリサの二人を尻目に、呆れているナデシコ女性陣。

何故、サラとアリサの二人が感動しているか、というと・・・。

 

〔私もアキト(さん)とああいうコトをやってみたい(ですね)!〕

 

という邪な考えを持っているからだ。

 

 それはそうと、マイトvs十郎太戦はかなり白熱している。

ところどころ傷を負っている十郎太に対し、マイトは全然傷を負っていないのである。

・・・流石、〔漆黒の戦神〕の息子である。

 

「おいお前達、いい加減に・・・」

 

「「バカップルは黙ってろ!!」」

 

 プツン・・・。

 

二人の決闘を止めようとしたスコ−ル。

だが、マイトと十郎太のこの一言によって、彼は自分の中で何かが音を立ててブチ切れるのを感じていた。

 

「・・・お前ら・・・いい加減にしろッ!!」

 

 ブオンッ!!

 

 何もない空間から、剣と銃が合体したような武器を取り出すスコ−ル。

懸命な読者の皆さんなら、もうお分かり戴けるとお思いだろうが、ひょっとしなくてもあのガンブ○−ドである。

 

「ど、どうやって剣を!? 彼も、武羅威なの!?」

 

「違うよ、スコ−ルはナノマシンを使ってあの武器を作り上げたの

 ・・・ああ見えても、スコ−ルって極小機械工学の世界的な権威なのよ」

 

 驚きの声を上げるユリカ達に、リノアが自慢げに説明する。

・・・扱いの難しい○ンブレ−ドを易々と扱う・・・かなりの手だれである。

 

「あ、あれは・・・最強のガ○ブレ−ドと誉れ高い、らいおんハ−ト・・・

 違った、ライオンハ−トということは・・・彼が繰り出すのは!?」

 

 レイナが、スコ−ルの持つ剣を見て驚きの声を上げる。

・・・ちなみに、何故彼女がこんなに詳しいのかというと、寝ずゲ−(業界用語・寝ないでゲ−ムする事)する程はまったゲ−ムだからだ。

 

「上等だぁ、受けて立つぜ!! 死にくされ! ダブル・ム−ンサルトォォォォォッ!!(十郎太)」

 

 カシャァァァァァンッ!!

 

 疾風の如く、大鎌を二度振るう十郎太。 剣閃がまるで大きな三日月のようだ。

 

「うおおおおおおおおおおおッッ!! テンカワ流剣術一刀流! 神龍牙旋空陣!!(マイト)」

 

 ブオンッ!!

 

 あの大剣を軽々と振るうマイト。 あまりの勢いに、軽い竜巻が発生している。

 

「・・・連続剣八回斬り! そして〔エンド・オブ・ハ−ト〕!!(スコ−ル)」

 

 ドガガガガガガガガガッ!!

 

 連続剣八回プラスエンド・オブ・ハートで、合計二十五連撃を繰り出すスコール。

 

 カッ!

 

 辺りに満ちた閃光が消え去ったあと、重なるように倒れたスコ−ルと十郎太、

そして頬にひとすじの傷を負っているマイトの姿が、そこにはあった。

 

「う−ん・・・マイト君に、二人掛かり(本気)で掠り傷・・・。 二人とも、まだまだね」

 

「スコ−ルッ! 死んじゃイヤぁ!!(マジ)」

 

 ゆっくりとした足取りで、マイト達へと歩くシルフィに対し、大急ぎでスコ−ルの元に駆け寄るリノア。 ・・・なんかもう、メチャクチャである。

 

 一方、その頃アテナ達と言えば・・・。

 

「まだわからないの、裕香さんっ! あなたはマイトと結婚なんか出来ないのよッ!」

 

「うるさいわねっ、マ−くんと結婚するんだったらするのよっ−!」

 

 ・・・ガキのような理由で口論を続けているアテナと裕香の姿が、そこにはあった。

 

 

 

「「「明かりをつけましょモ−ツァルトォォォォッ!!!」」」

 

 ここはナデシコ内、バ−チャルル−ム。

せっかくマイト達の友達がはるばる未来からやってきたのだからと、

お祭り好きなナデシコクル−は、歓迎会兼花見会を開催しているのだ。

 

 ・・・ちなみに、先程のワケのわからない叫びを上げたのはハ−リ−ではなく、カスミ、ヒサメ、ミルの三人である。

 

「誰だ−ッ、カスミとヒサメとミルに酒を飲ましたのは−ッ!!」

 

「ごめ−んマイトくん、それ私なの。 お酒飲みたそうだったからさぁ・・・」

 

 マイトの叫びに、ミナトが舌を出して謝る。

ちなみに、他のテンカワ・シスタ−ズのみんなは・・・。

 

「今日は、人類の限界まで挑戦しますわ!! (メイナ)

 

「「ヒツジがい−っぴき、ヒツジがに−ひき、ヒツジが・・・ウフフ (アイカ&ピュア)」」

 

「どう、お父さん? 新しい料理に挑戦してみたんだけど・・・ (アズサ)

 

「おと−さん、ボクの作った料理も食べて−ッ! (イ−ナ)

 

「ち、父上、私も料理というモノに挑戦して見たのだが・・・ (マトイ)

 

「おとうさ−ん、桜餅作ってみたです−! (キャル)

 

「ああ、会場設営費に飲食代・・・。 考えるだけで頭が痛いわ・・・ (アルナ)

 

「テンカワ・ミチル、〔SEASONS〕歌いまーす!

 ・・・今日がとても楽しいと 明日もきっと楽しくて・・・ (ミチル)

 

 ・・・こんな感じである。

 

「だいたいさぁ、スコ−ルってハッキリしないんだよねぇ! 私はずっと待ってるのにさっ! (リノア)

 

「それが問題なのよっ、リノア! マイトももうちょっと強引だったらなぁ・・・ (アテナ)

 

「・・・ちょっと二人とも・・・って、駄目だわ。 完璧に出来上がっちゃってるわね・・・ (シルフィ)

 

 ユリナとアテナの二人は、ビ−ル一杯で酔っぱらってしまい、シルフィを相手にブチブチと文句を垂れている。

ちなみに裕香嬢はというと、コップ一杯の甘酒だけで酔い潰れてしまっていた。

 

「アキトさん、今日という今日はハッキリしてもらいます・・・ヒック (ルリ)

 

「その通り!」×残りのTA同盟全員

 

「な、何の話かな?(汗)」

 

 ルリを筆頭に、アキトに詰め寄っていくTA同盟のみなさん。

かなりの量の酒を飲んだらしく、トロ−っとした目でアキトを見ている。

・・・ここが密室だったら、普通の男なら間違いなく押し倒しているところだろう。

 

「ちくしょ−! なんでマイトはモテて、オレはもてないんだぁ−!!(泣)」

 

「・・・それは、お前の日頃の行いの所以だろう、十郎太。 それに・・・俺は、リノアさえいてくれればいい」

 

 酒瓶を抱えて泣き叫んでいる十郎太を、冷やかな目で見つめるスコ−ル。

そして、最後に自分の最愛の彼女の名前を呟く。駄目押しである。

 

「ハ−リ−様、あ〜ん、ですわ(はぁと)」

 

「ちょ、一人で食べられるから大丈夫だよ、ミ−シャさん!」

 

 ・・・ここでも、バカップルやっている子供が二人。

ハ−リ−とミ−シャの、オペレ−タ−バカップルである。

 

「まさか、ハ−リ−に彼女が出来るとは・・・。  ・・・天変地異の前兆か?

 

「ありえるね、ウリバタケ君。  世界規模の環境破壊が起きるんじゃないのかい?」

 

「その前に、どうやって彼女(まだ5歳だけど)の心を掴んだんだろう? そっちの方が不思議だ」

 

 ウリバタケ、アカツキ、ジュンの三人は、不思議そうにハ−リ−とミ−シャを見つめていた。

 

「「「何はともあれ、後で裁きを下さないと・・・」」」

 

 ハ−リ−を、どうやっていたぶろうかなと悩んでいる某組織幹部達。

・・・そんな事をやっているから女にモテないという事を自覚しているのだろうか?

 

「・・・俺には見えるッ! マキビ君が○○や×××をされるのを・・・!」

 

 スパ−ンッ!

 

「そんな事があるわけないでしょう、ゴ−トさん。

 ・・・あなたこそ、一回イネスさんにでも精神鑑定して貰った方がいいのでは?」

 

 真面目な顔してとんでもない事を言うゴ−トに、絶妙なタイミングでハリセンツッコミを入れるプロス。 流石です。

 

 

 とまあ、こんな感じでユリナ達の歓迎会兼花見会は過ぎていったのであった。

・・・仕事しろよ、ナデシコの乗組員達よ・・・(呆れ)。

 

 

 

 あの、飲めや歌えや大宴会inナデシコから二時間後。 ナデシコ食堂に、五人の男の姿があった。

 

「あ−、腹減った。 おいマイト、何か作ってくれ(十郎太)」

 

「・・・焼きそばを頼む。 マヨネ−ズ付きだ(スコ−ル)」

 

「・・・お前ら、手伝おうって気はサラサラないのか?(怒) はあ・・・怒るだけムダか、父さん達は何かリクエルトある?(マイト)」

 

「オレも手伝うよ、マイト。 お前一人じゃ、流石にかわいそうだ。 ナオさんは何がいいんです?(アキト)」

 

「そうだな、サッパリと冷やし中華でいってみるか(ナオ)」

 

 一通りみんなのリクエストを聞いた後、厨房へと向かおうとするアキトとマイト。

 

「「「「・・・話は聞いたわよ。 私達が夜食を作ってあげるわ!」」」」

 

 と、そこに高飛車な声と共に現れたのは、アテナ、リノア、シルフィ、そして裕香の四人である。

・・・さっきまで、酔っぱらってへべれけだったんだと思うんだが・・・。

 

「・・・バカね、私達があんなお酒で酔い潰れると思ったの?(アテナ)」

 

「あんなの、演技に決まってるじゃない(リノア)」

 

「まあ、裕香は本当に酔い潰れてたみたいだけどね(シルフィ)」

 

「うるさいわねッ、お酒に弱くて何が悪いの!?

 とにかく、料理はわたし達にまかせて、みんなはそこに座って待っててよ(裕香)」

 

 アキトとマイトを強引に席に付かせると、エプロンを付けながら、四人は楽しそうに厨房に入っていった。

 

「頼む・・・夢なら覚めてくれ・・・(汗)」

 

「マジかよ・・・洒落になんねぇぞ・・・(汗)」

 

 普段なら、浮かれまくるだろうスコ−ルと十郎太の二人だが、この時ばかりは土左衛門の如く顔が青ざめていた(汗)。

ちなみに、土左衛門とは、水死体の事をいう。

 

「ど、どうしたんだ、二人とも? 顔色が悪いよ?(汗)」

 

 いきなりブル−になった十郎太とスコ−ルにビビりながらも、アキトは勇気を出して二人に尋ねてみる。

胸の奥から湧いてくる、ものすんごく嫌な予感はとりあえず脇においといて、だ。

 

「・・・父さんは、全然知らないからそんな事が言えるんだよ。

 リノアとシルフィと裕香の三人の料理の御陰で、俺達三人は何度

 天国の神様見学ツア−(片道キップ)を経験したか・・・(汗)」

 

「アテナは料理が超上手いから、マイトはいいよなぁ・・・。

 オレなんか、10回以上ICU送りにされているんだぜ・・・(大汗)」

 

「ああ・・・俺の意識が跳んだのは10回や20回じゃない・・・(滝汗)」

 

 顔を真っ青にしながら言うマイトに、十郎太、そしてスコ−ルが深刻そうな顔で頷く。

 

「さすがはオレとミリアの娘、料理まで上手いなんてな・・・。

 ・・・でも、俺も他の女の子の料理を食べなきゃいけないのか?(汗)」

 

 他の四人が顔を真っ青にしている中、ただ一人自己満足しているナオ。

・・・が、根本的な問題に気付き、アキト達四人の方を振り返る。

 

「わ、わりぃ、オ、オレ急用思い出して・・・」

 

「・・・逃げるんですか、ナオさん? そんなに昴氣で強化したオレの拳、受けてみたいんですか?(ニコッ)」

 

 妙に清々しい笑顔(ただし、目は笑ってない危険な笑み)で、全身から昴氣を発しながらナオを脅すアキト。

・・・この手の輩が、一番危険である。

 

「・・・アテナのヤツ、悲しむだろうなぁ・・・。 せっかくナオおじさんに、父親に手料理を披露しようってのに・・・」

 

 フウッ、と大袈裟に溜息を付いてみせるマイト。

ナオの心理面に働き掛け、ナオの良心にグサグサとナイフを突き立てる。

ついでに言えば、彼もまた昴氣を開放していたりする。

 

「この苦しみは、味わった者だけしかわからないからな・・・。

 アンタにも、味わってもらう。 一応、俺達二人の保護者の義務だろ?」

 

 保護者の義務、という部分を強調しているのは、スコ−ルである。

そして、何時の間にかガンブレ−ドをナオの首に突きつけている(汗)。

・・・仮にとは言え、保護者に刃物を向けるか、普通?(大汗)

 

「ナオのおっさん、オレはおっさんの命をこの鎌で刈りたくないぜ・・・。

 この鎌はよ、無性に血を求めるんだよ・・・裏切り者の、な」

 

 神経質そうに鎌の刃に手を滑らせて様子を見ながら、ナオの方を振り返らずに呟く十郎太。

この時、いまさらながらにして自分に退路がない事を悟るナオ。

こうなったらもう、一蓮托生である。

 

 前門のアキト、後門のマイト、右門からスコ−ル、そして左門から十郎太。 

四面楚歌・・・といったところだろうか?

 

 ・・・彼ら曰く、敵前逃亡は死刑!だ、そうだ。

立ち向かって死ぬか、それとも後で死ぬか。 ・・・なんか新撰組みたいな感じだな、オイ。

 

「とりあえず、みんなを呼んでおこう・・・。 あって欲しくないけど、念のためだしね・・・(大汗)」

 

 コミュニケを使って、マイトはテンカワシスターズ達と何やら話していたが、数秒後、彼女達は慌ててボソンジャンプで直接乗り込んできた。

 

「・・・おと−さん、おに−ちゃん、ナオおじさん、スコ−ルおに−ちゃんに十郎太おに−ちゃん。

 ボク、一生みんなのコト忘れないよ・・・(諦め)」

 

「さよなら、お父さん、マイトお兄、ナオおじさん、スコ−ルお兄に十郎太お兄・・・。 健闘を祈っているわ・・・(シクシク)」

 

「おとうさん、おにいちゃん、ナオおじちゃ−ん、死んじゃうなんてヤです−(泣)。

 スコ−ルおにいちゃんや十郎太おにいちゃんと、お別れなんていやです−(大泣)」

 

「・・・会社の事なら心配いらないわ、マイト兄さん。 アキトお父さん、ナオおじさん、スコ−ルに十郎太・・・頑張ってね・・・」

 

今生の別れみたいな感じで五人に詰め寄るのは、イ−ナ、ミチル、キャル、そしてアルナの四人。 

・・・あながち間違いでもないというところが恐い。

 

「大丈夫よ五人とも、安心して。 食べた物を吐かせるための、ボディブロ−の準備は何時でもOKだからねッ!」

 

 ゴキゴキゴキっと指を鳴らし、シュッシュッシュとシャドウボクシングをしてみせながら物騒なことを言うアズサ。

 

「そうか・・・。 キリンの予言はこの事を指していたんだな・・・(しみじみ)。

 五人とも、遺言はないか? あるのなら、私が預かるが・・・」

 

 しみじみと、世の中の不条理を実感しているマトイ。 遺言とは縁起が凄く悪いぞ、マトイ(汗)。

 

「みんなッ! 根性よッ、根性で乗り越えるのよッ!!」

 

 一応、励ましているつもりのピュアだが、実際には何の意味もなかったりする。

 

「みんな・・・無事で・・・」

 

と言っておきながら、顔は既に諦めに入っているアイカ。

手にしているのは、〔人生最後の式典を、華々しく飾るならここで!〕とか書かれている

葬式場案内のパンフレットである事は、公然の秘密だ(滝汗)。

 

「・・・・・・(オロオロ)」

 

洗面器は人数分用意しました、ってミルは言ってるよ。

 それと、イネスママへの連絡はバッチリだからね、まかせてよッ!」

 

 ス・・・っと人数分の洗面器を、泣き顔と共に差し出すミルと、受話器片手にVサインをしてみせ、スタンバるカスミ。

 

「父さま達、ヒサメが特別に配合した抗生物質を注射しますか?」

 

「・・・役に立つのかは分かりませんが、この牛乳とチ−ズを食べてくださいね−。

 蛋白質が胃壁に防護壁を作って、胃粘膜を保護してくれるんですよ。

 あ、これはホントの事ですから、読者のみなさんもお酒を飲む前に試して下さいねぇ」

 

 なんか、異様にドス黒い液体の入った注射器を片手にヒサメがそう言うと思えば、

最近業績が悪化している雪○の牛乳とチ−ズを各自に配るメイナ。 用意は万全である。

 

「・・・話は聞きました、アキトさん達。 頑張ってくださいね、陰ながら応援していますから・・・」

 

 そこにルリ達まで駆けつける。

みんな総出でアキト達の命懸けの挑戦(汗)を見守るつもりなのだろう。

 

 で・・・ここで冒頭のシ−ンになるワケだ。

 

「はい、出来たよ。 残さず食べてね♪」×4

 

「はっ、ははっ、善処します(する)・・・」×5

 

 コトッ、コトッ、コトッ、コトッ。

 

 アテナ達が、アキト達の目の前に料理の乗った皿を並べていく。

それに比例して、アキト達五人は、自分の顔の筋肉がどんどん引きつっていくのを自覚していた。

 

 ちなみに、今回の献立は・・・

 

 肉じゃが(マイトの大好物:アテナ作)

 おにぎり(不器用なので、こうなった:リノア作)

 シ−フ−ド・カレ−(カレー好き:シルフィ作)

 イカ刺し(和食一般ならOK:裕香作)

 

の四つである。

 

 普通である。 ・・・どう見たって、殺人料理ではなく、普通の料理にしか見えないのだが、

料理という名を被った毒物かもしれないため、一同は気を引き締めた。

 

「・・・じゃ、リノアの料理から・・・」

 

 一番手はスコ−ル。リノアの愛情(呪い?)がタップリ詰まったおにぎりを、

まるで不発弾でも処理するかの様な、緊張した顔でかぶりつくスコ−ル。

アキト達も、神妙な顔でスコ−ルの事を見つめている。

 

「・・・!」

 

 瞬間、驚きに目を見開くスコ−ル。 信じられない、という顔をしている。

それを敏感に察し、素早く洗面器を差し出すミル、ボディブロ−の準備をしているアズサ、

イネスに電話を掛けようと、受話器に手を伸ばしているカスミの姿があった。

 

「ふっ、普通だ。 ・・・いや・・・むしろ・・・うまい・・・。

 そうか・・・マイナスにマイナスをかけるからプラスになるんだな・・・」

 

 意味深な科白を言いながら、涙を流して感動しているスコ−ル。 今回の料理は成功らしい。

どうやら、彼女の料理に、彼はかなり泣かされてきたらしい。

 

「・・・次はオレ、か・・・」

 

 二番手は十郎太。ホカホカと湯気の上がるカレ−ライスを、

まるで死刑台に上がる死刑囚の様な顔でボンヤリと見つめている。

 

「・・・早く食べなさいよ、冷めるわよ?」

 

「あ、あ、ああ・・・」

 

 シルフィに促され、震える手付きでス−プンを操り、カレ−を口に運ぶ。

カレ−を食べるだけなのに、どうしてこんなにも悲壮な決意がいるんだろう。

十郎太は、運命のイタズラという物を、イヤという程味わっていた。

 

 モグモグモグ・・・と、ゆっくりと咀嚼し、飲み込む十郎太。

 

「・・・なッ、なんだ!? メチャクチャうまいぞ、これ!?」

 

 驚愕の声を上げる十郎太。

あまりの美味さに、自分の頬をつねって夢でないことを確認している。

彼もまた、シルフィの料理に泣かされてきたらしい。

 

「ん? ・・・アテナ、お前また料理の腕上げたのか?」

 

「え、そ、そうかな? ・・・アズサちゃんに教わって作ってみたんだけど・・・。 ほ、ほら、アンタの好物って聞いて・・・(照)」

 

 マイトに開口一番で美味いと言われ、ちょっと照れているアテナ。

なんだかんだいったって、ちゃんとお互いの事を気にしている二人なのである。

 

「うん、これはおいしいよ。 何時お嫁に行っても大丈夫だね、アテナちゃん」

 

う、うまい・・・。 ・・・マイト、お前にアテナはもったいなさすぎる!」

 

 口々にアテナの肉じゃがを絶賛するアキト、ナオの二人。

その大袈裟すぎる褒め言葉に、照れ臭さで顔をお盆でちょっと隠すアテナ。

 

「ちょっとッ、わたしの料理は食べてくれないのッ!? ナマ物なんだから、悪くなっちゃうでしょ!!」

 

と、アテナに焼き餅を妬いてイカ刺しを三人の前に差し出す裕香。

そこには、見事な包丁さばきで切られたイカ刺しがあった。

 

「ま、まあ、ただ切っただけだし・・・」

 

「そ、そうだね」

 

「い、いただくとするか」

 

 気を取り直して、イカの刺身を口に運ぶ三人。

特に、変わった所はない。そりゃそうだって、ただの刺身なんだし。

 

「うん、おいしいよ裕香ちゃん」

 

「なんだ、うまいじゃないか。 ・・・っていうか、刺身ってただ切っただけじゃないのか?

 

「変だ・・・何かある、絶対何かある・・・」

 

美味そうに食べているアキトとナオに対し、刺身を口に運びながらブツブツと呟いているマイト。

これはだ、絶対後で何かある・・・と睨んでいたりする。 苦労してきただけに、この後の展開が読めるのである。

 

「じゃあ、みなさん平気みたいですし、私達もいただいてみま・・・」

 

「ぐあッ!!?」

 

 ドタ−ンッ!!

 

 取り合えず、アキト達五人を毒味役として利用して無事を確認したルリ達が

みんなの料理に手を付けようとした瞬間、スコ−ルがイスから転げ落ちた。

もちろん、彼の目玉はグルグル、口からカニさんみたいに泡ブクブクである。

 

「きゃ〜、スコ−ルッ!? し、しっかりしてぇ!!」

 

「「おいッ、リノアッ!? お前、おにぎりに何を盛ったんだ!?」」

 

 慌ててスコ−ルに駆け寄るリノアに、マイトと十郎太が突っ込む。

嫌な予感がする。そして、こんな時の嫌な予感は絶対といっていい程はずれない。

お約束である(ニヤリ)。

 

「べ、別に何も入れてないわよ〜ッ。 ただ・・・」

 

「ただ?」×全員

 

「御飯を炊くとき、お酒を入れれば美味しいかな−って。

 確か瓶には、〔メチルアルコ−ル〕ってあったような、ないような・・・。

 お酒の主成分だよね、〔メチル〕って?」

 

「そりゃ〔エチルアルコ−ル〕だぁぁぁぁぁッ!!」×全員

 

 リノアのボケっぷりに思い切り突っ込むナデシコクル−一同。

 

「説明しましょう。 メチルアルコ−ルとは、木材を乾留して得られる無色透明の、香気のある有毒液体です。

誤って服用すると失明、最悪の場合は死亡します。 ・・・工業用アルコ−ルと言えば、わかりやすいでしょうか?

覚え方は、〔目に毒〕なのはメチルアルコ−ル、エチルアルコ−ルの場合は〔酒を飲んでエエ気持ち〕ですよ・・・じゃ、なくてっ!」

 

〔次に、乾留とは〔空気を断って固体を加熱し、揮発成分を回収すること〕という意味です(本家本元の、説明お姉さんより)

 ・・・って、説明している場合じゃないわね、早く医務室に連れてきてッ!!〕

 

 冷静に説明したかと思えば、スコ−ルを簡易担架に乗せ、慌てて医務室に向かって駆け出すヒサメ。 リノアもそれに付き従う。

ちなみに、どうやってイネスさんが出てきたかというと、イネスさんは出番が少ないからコミュニケを使って出てきたのだ。

 

「しっかしこのカレー、食べれば食べるほど不思議な味がしてくるな〜。

 ん? ・・・おいシルフィ、これ、白菜なんじゃねえのか?(汗)

 ・・・鍋物作ってんじゃないんだぞ?(大汗)」

 

「・・・入れちゃ、いけないの、十郎太? えっと、白菜の他には・・・シ−フ−ドカレ−だから・・・

サンマ、ブリ、サバ、ナマコ、イクラにシシャモと・・・それから・・・。

・・・って、マイト君、どれか間違ってた?」

 

 サ−・・・ ← 十郎太の顔の色が、だんだん青冷めていく音(笑)

 

「どれかじゃなくて、たぶん全部(滝汗)。 それと・・・、もう何も言わなくていいぞ、シルフィ。

 十郎太のヤツ、真っ青な顔して気絶してるし・・・(超滝汗)」

 

 十郎太は、引きつけを起こしかけていた(汗)。

そりゃあ、ナマコとかシシャモが入ったカレ−を食わせられた日には・・・ねぇ。

カレ−に対するトラウマが出来そうだ(笑)。

 

「・・・なあ、アキトよ」

 

「・・・何ですか、ナオさん?」

 

 ・・・隣にいたアキトに、静かに話しかけるナオ。

 

「・・・オレ達、大丈夫かな・・・?(汗)」

 

「・・・神のみぞ知る、という所でしょうか・・・?(大汗)」

 

 冷汗たらして囁き合うアキトと、ナオ。

彼らが倒れたから、今度は自分達の番かと思ったのだ。

 

「・・・何ともないな・・・」

 

「そうですね・・・」

 

 ホッと溜め息を付き、アキトとナオがそこまで言ったとき。

 

 ズキンッ!!

 

「「「ぐッ!? い、胃がッ!?」」」

 

 ズタンッ!!

 

 ・・・胃に凄まじい激痛を感じ、胃の辺りを抑えながら床に崩れ落ちるアキト、マイト、ナオの三人。

 

「な、何でッ!? あ、あたし何もしてないよッ!!?」

 

 原因がわからないらしく、慌ててアキト達の元に走り寄る裕香。

TA同盟の方々はもちろん、テンカワ・シスタ−ズも慌てて駆け寄ってくる。

 

「イ、イカに当たったんじゃないですか? ・・・そもそも、生イカなんて何処で手に入れたんですッ!?

 

「さっきボソンジャンプで地球に跳んで、とっつかまえてきたのよ! だから、新鮮さは保証書付きよ」

 

 ルリ達の問いに、アキト達の背中を摩りながら答える裕香。

さすが、アキトの(ちょっと違うけど)娘だけあって、ボソンジャンプはA級らしい。

 

「アテナさん、イカを食べた兄さん達が倒れた原因ってまさか・・・」

 

「・・・偶然ね、アズサちゃん。 たぶん私もおんなじ事を考えていると思うわ」

 

 料理が得意なアズサとアテナの二人は、原因が分かったらしい。

 

 さて、ここで問題です(チャ−ラン)。 ← 効果音

アキト達三人が倒れた原因とは?

 

「「アニサキス・・・! 裕香さん、ちゃんと下ごしらえしてないでしょう!

  イカには寄生虫がいる時があるから、気をつけないと駄目なのよ!!」」

 

「ええッ!? そ、そうなのッ!!?」

 

 アテナとアズサの二人の指摘に、素っ頓狂な声を返す裕香。

恐らく、日本の奥様方10人にこの事を尋ねれば、10人のうち7人は〔知らない〕と答えるハズだろう。

それだけ、この寄生虫の存在がマイナ−という事を示している。

 

「アニサキスってね、本来は鯨とかに寄生する寄生虫なんだけど、生イカとかを食べたら、人間にも寄生するのよ!

 酸にもアルカリにも強いから、中途半端な治療法じゃ駆除出来ないわよ!!」

 

「わ、わかりやすい・・・。 さ、さすが14歳で大学を卒業しただけはありますね、アテナさん(感心)」

 

 アテナのわかりやすい説明に、感心するアズサ。

 

「そんな事はどうでもいいのッ! マイトッ、しっかりしてぇ!!」

 

「お父さ−ん!(父上、パパetc.)」 ←テンカワ・シスタ−ズ

 

 ・・・アキト達三人は、至急医務室へと運ばれた。

強いて言うなら、アキトとマイトの二人はそれぞれ担架で運ばれたのだが、

ナオと十郎太だけは床の上を引きずられていたりする。

 

 ・・・差別、だよな・・・これって・・・。

 

「今は、アキトさんとマイトさんの方が大事です!!」×全TA同盟の皆様

 

 あ、そうですか・・・(汗)。

 

 

 

 ・・・こうして・・・スコ−ル達五人の歓迎会は、

リノア、シルフィ、裕香の御陰で地獄への歓迎会となってしまったという・・・。

 

 

 

 

FIN

 

 

 

 

お・ま・け♪

 

 

「生きているって、凄い事なんだな・・・」×5人の被害者達(笑)

 

 ナデシコ内医務室のベッドの上で、ポツリと語るのは、御存知の通りアキト達五人である。

 

「・・・体が・・・動かない・・・」

 

「カレ−が・・・カレ−が・・・」

 

「・・・まだ、胃がチクチクいってる・・・」

 

「・・・イカが・・・イカが・・・」

 

「もう二度と、イカの刺身なんて食うものか・・・」

 

 口々に呟く五人。

そりゃあ、料理を食べただけで医務室送りになるのはゴメンだからだ。

しかも、普通の医務室ならまだしも、ここは天国に一番近い医務室である。

なにが起こるか、わかったもんじゃない。

 

「さて・・・これからオペを始めるわよ・・・フフフ」

 

「母さま、父さまとマイト兄さま、そしてスコ−ルさんはマトモなので普通に・・・。 後の二人はやっちゃって構いませんよ

 

 ニヤリ、とマッドサイエンティストの笑みを浮かべながらそう宣告するイネスに、ヒサメが釘を刺す。

 

「「ちょっと待ったッ、ヒサメちゃんッ! それって、差別って言わないかッ!? その前に、何をやっちゃうんだよ!!?」」

 

 ベッドに鎖で縛りつけられた(汗)ナオと十郎太が抗議するが、既にアッチの世界に旅立ってしまったイネスとヒサメには通用しない。

 

「さあ・・・始めるわよ・・・」

 

 ギュピ−ンッ!

 

 イネスとヒサメの持つ鈍い光を放つメスを見て、ナオと十郎太の意識は遙か彼方へと飛んでいったという。

・・・最近流行りの、医療ミスは起きないだろうか心配だ。

 

 一方その頃、アキト達はアキト達で苦労していたりする。

 

「アキトさん。 これ、お見舞いの品の代わりに手作りクッキ−です」

 

「私も(俺も)」×14

 

「あ、ありがたく頂戴するよ・・・(汗)」

 

 アキトは、TA同盟の方々にお見舞いの手料理を御馳走になり、痙攣を起こし掛けていたという。

(その中には料理というより毒物に近い物もあったりする・・・

 

「だからッ、さっきから言ってるでしょう! マイトは私が看病するから大丈夫よ!!」

 

「「「ヤダ! ボク(あたし、キャル)も看病するの−(するんです−)!!」」」

 

「お、お前ら・・・。 見舞いに来たのか、それとも喧嘩しに来たのか?(汗)」

 

 マイトは、アテナがつきっきりで看病するということに

テンカワ・シスタ−ズの一部(イ−ナ達15歳以下の子)が反対し、それを宥めるのに大いそがし。

 

「スコ−ル、大丈夫? 眠れるまで、こうして側にいるからね」

 

「あ、ああ、リノア・・・(頼む、早く出てくれッ! 俺の理性が消し飛ぶ前にッ!!)」

 

 スコ−ルとリノアの二人に到っては、リノアがスコ−ルのベッドに潜り込んで一緒に寝るという

離れ技を披露して、 周囲(特にスコ−ル)を慌てさせたという。

 

「・・・一体、何のためにわたし達ってこっちにやって来たのかしら・・・」

 

 騒がしい医療室の中、静かなシルフィの呟きは、誰にも聞き止められる事なく、虚空へと吸い込まれるように消えていった。

 

 

 ・・・今にわかるさ、そのウチにね・・・(汗)。

 

 

 

 

 

後書き

 

 ども、Excaliberです。 2/26日のラブひなSSよりだいたい二ヶ月振りですね−。

今、花粉症で鼻をグスグスいいながらワ−プロを打ってます(3/26現在)。

・・・アメリカにも花粉症があったんだなぁ−。

 

「そうだなぁ、三十分おきに顔を洗いにいくくらいだしな」

 

「一時間にくしゃみを十回したのよね」

 

 うむ、その通りだマイトにアテナちゃんの二人。

しかし困った・・・設定資料集でこれで最後とか言っていたのに、まだ続くよ、この話・・・。 嘘付いてすみませんです・・・。

 

「今回はギャグが多いな。 ・・・そのおかげで、俺は死にかけたけど・・・」

 

「・・・そうね、そうかも知れないわね(汗)」

 

 う−ん、それなんだけど、最近は真面目に書いてたから今回はギャグ重視なんだ。

キャルとリノアの部分が、個人的に書いてて一番楽しかったよ。

もちろん、君達マイトとアテナの二人を含めてね。

 

「・・・お前、俺達二人の名前を某有名RPGから思いきりパクッているだろ・・・」

 

「著作権侵害だってば、Excaliber」

 

 お、今度はスコ−ルとリノアの二人か。

・・・実はさ、久し振りにFFVIIIをやったんだよ。

そしたらハマッちゃってさ、名前だけでも、ということで登場させたんだよね。

 

「世間じゃそろそろFFXだというのに・・・?」

 

「しょうがないよ、スコ−ル。 Excaliberが持っているソフトの中で、一番新しいのがFFVIIIだもん」

 

 しょうがないだろ、日本の本を買うのだって苦労するんだから。

どうせ俺はガンパレはおろかFF\もTOEもドラクエZもやってませんよ。

 

「なあExcaliber、オレとシルフィの仲はどうなるんだ?」

 

 おっと、そこにいるのはナンパ大魔神こと十郎太じゃないか。 そうだなぁ、カップルになる可能性は低くはないよ。

 

「・・・それ、本気ですか、Excaliber?(ギロリ)」

 

 ま、まだ、わかんないけどね。 怖いから睨まないでくれ、シルフィ。

 

「Excaliber、あたしとマ−くんの仲はどうなるのッ!?」

 

 えッ? んなコト言ったって裕香さん・・・マイトにはアテナがいるし・・・。

何より、従兄弟同士で結婚はいくら法律でOKっていったって、あまり好まれるワケではないんですけど・・・。

 

「そこを何とかしなさいよッ! 筆者でしょッ!!」

 

 そんなコト言われたって、凄く困るんですけど・・・(汗)。

 

「この役立たずッ! 今度からExcaliperって呼ぶわよッ!」

 

 そ、それだけは止めてくれ。

攻撃力100のくせに、与えるダメ−ジが1という最弱の剣と一緒じゃないか。

・・・って最近の小学生じゃ、FFVネタは分からないぞ・・・(苦笑)。

 

「わたくしの出番があまりないじゃないですの、Excaliber」

 

 おっと、今度はミーシャか。 いいじゃないの、念願のハーリーと出会えて、ラブラブ出来たんだし。

BA−2さん、ミーシャの名付け親になって頂きまして、本当にありがとうございました。 

実は、ミーシャの名前の由来は、ずっと前に僕が掲示板で募集したアテナの名前だったりします。 

そろそろ、圧縮ファイルでも作ろうかなぁ?

 

 じゃ、そろそろ時間もないので次回予告。

 

 ラブひな外伝 

 ひなた荘であった本当に怖い話vol.04

 春の恵みは危険な味ッ!?

 

です。 お楽しみに!!

 

 誤字脱字、感想メ−ル、意見メ−ル等、楽しみに待ってます。

でも、ウィルス付きメ−ルだけは勘弁して下さいね(苦笑)。