「やった・・・ついに完成したぞ」

 

 ・・・またこの始まり方か。進歩ないよな、僕って。

 

「・・・その通りですよ。なんで僕がルリさん達からエ○ド・○ブ・○−トとか
 D○Cくらわなきゃいけないんです?
 ・・・そりゃあちょっとは・・・ルリさんの、ぱ、パンティをチラっとだけど
 見れて幸せだったけど」

 

 こ−のマセガキが! もっと男気を磨けよ。
  そんなんだからルリちゃんに振り向いてもらえないんだぞ。

 

「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!!!」

 

 あ、泣いちゃった・・・って、おい!どこへ行くっ!?

 

 どどどどどどどどどどどどどどどどどどど・・・・・・。

 

 ナデシコ・サブオペレ−タ−のハ−リ−君はもの凄い勢いで、それこそ土煙が出る勢い
(ドップラ−効果のおまけ付きだ)でブリッジから駆け出していった。

 

「最近、アタシの出番が少ないわね・・・」

 

 一人トボトボとブリッジに向かって歩いているキノコヘッドのムネタケ。
  その背中には悲しいほどの哀愁が漂っている。

 

「そんな風に思うんだったら、もっとこのアタシを出しなさいよ」

 

 いいんだよ、オマエなんかナデシコにとって役立たずな資源ゴミ、いや燃えないゴミ程度の
  存在なんだから。

 

「なんですって!?」

 

 だからそのカマ言葉、気持ち悪いから止めろ。虫酸が走る。

 

「このアタシを差し置いて・・・必ず後悔させてやるわ!!」

 

 いやぁ、無理だろ。

 

「なんでよ!?」

 

 ん、もうそろそろか・・・。

 

「?」

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!!!」

 

ドゴッ!! (撥ね飛ばした音)

 

 ん−、いい音。

 

グシャッ!!! (地面に叩きつけられた音)

 

 うわっ、ちょっとグロテスク・・・。 ・・・ま、いっか。ムネタケだから。

 

 ブリッジに向かっていた某キノコ頭の役立たずな提督は、最近ハ−リ−泣きに変わって一日に一回は
見る事が出来るハ−リ−の暴走、通称ハ−リ−ランニングに巻き込まれ、お空のお星様となった。 

 

 ・・・が三日後、自室の隅から生えてきた(笑)。

 

 むう、さすがは菌類、湿気と養分さえあれば生える事が出来るからなぁ・・・。
 見上げた根性だな、おい。

 

「ねえ、Excaliber」

 

 おや、そこにいるのは真のサブオペレ−タ−のラピスじゃないか。なんだね、ラピス。
 どうしたんだい?

 

「あまりハ−リ−で遊ばないでね。耐性ついちゃってあまり面白くなくなるから。
 それと、ムネタケはもっといじめていいからね」

 

 ・・・・・・。

 

 

 

機動戦艦ナデシコ 時の流れに外伝
ナデシコであった、本当に怖い話Vol.2
Jihad of Nadesico
俺達の聖戦

 

 

 

「どうする会長、ここ最近Tの奴、ますます増長してるぞ(怒)」

 

「そうだね、ここらで手を打っとかないと大変な事になるね(怒)」

 

 ここは、ある組織の秘密会議室。中の様子を覗いてみると・・・
 眼鏡を掛けたおじさんとロン毛のニイチャンが嫉妬の炎を燃やしていた。
 いい年した大人が嫉妬の炎を燃やしてるんじゃねえよ、全く。

 

 眼鏡を掛けているのは御存知マッドエンジニアのウリバタ「ストップ!それ以上は言っちゃ
いけねえぜ」・・・あ、そう。んじゃあ、もう片方のロン毛のニイチャンのアカツ「僕も同じさ」
・・・・・・。
 じゃあ、改めて部屋の様子はと・・・うわっ、なんじゃこりゃ。汚い・・・。
 ・・・あれ? ・・・なんだ、この人形らしき物体は・・・。アキトそっくりに出来てる。
 でも、なんでこんなにボロボロなんだ?刺傷らしき物もあるし・・・。

 

「アキトそっくりに作ったんじゃなくて、アキト作ったんだよ。もちろん、
 ある目的のためにな」

 

 どんな目的で?

 

「そうか、あんたまだ知らなかったな。・・・会長、そこにある槍取ってくれ。
 いつものやるからな」

 

「僕も参加させてくれ。思い出したら腹が立って来たからね」

 

 とロン毛のにいちゃんは槍を作戦部長に放る。

 

 おい、あんたらなにを・・・。

 

「うおぉぉぉりゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!
 死ねやコノヤロォォォォォ!!!!!」

 

 

 ドスッ!

 

 

「ナデシコ男性乗組員の恨み、思い知れ!!!!!」

 

 グサッ!

 

 こ、怖えぇ・・・。

 

 暫く肩で荒い息をしていた二人だが、不意に爽やかな笑顔を見せ、

 

「いや−、一日一回はこれをやらないと気が済まないな。な、会長」

 

「全くだね。このあとに飲むビ−ルがまた格別なんだよね」

 

 缶ビ−ル片手に、歯をキラ−ンと光らせながらそう語る某ネルガル会長(ってバレバレじゃん)。
 ・・・違う意味で、こいつらもヤバイな。

 

「なに言ってんだよ。ハ−リ−のほうがもっとすごいぞ」

 

 心外そうにウリバタ、いや作戦部長が言う。すごいって・・・どんな風に?

 

「そうそう。マキビ君にやらせると、眼の色が変わるんだ。
 マキビ君は体が小さいから竹槍を使ってるんだけど、一回竹槍で壁を隣の部屋までブチ抜いた
 事があったよ。あの時はびっくりしたねぇ」

 

 実際にはあまり驚いていない様子のネルガル会長。
 まさか、ハ−リ−君は牙○が出来るのか!?
 ・・・ハ−リ−君の御先祖様はかの有名な新○組三番隊隊長の斉藤○だったのか。

 

「す、すみませ−ん。遅れました−」

 

 そこにハ−リ−ランニングから帰って来たハ−リ−が、秘密会議室に入ってきた。
 あんな勢いで走っていたのに、ハ−リ−は息を一つも切らしていない。
 どういう体力をしているんだ、おまえは?

 

 そういえば・・・、君、あの役立たずのキノコ頭の提督をハ−リ−ランニング時に巻き込んだけど
いいのか? アイツ後でキ−キ−うるさいぞ?

 

「え!? 僕、ムネタケ提督になんかしたんですか?」

 

 ・・・いや、いい。気にするな。たとえわめいても、俺が地獄に落とす。

 

「おう、調子はどうだ? 頼んでた物は完成したか?」

 

「ハイ、ウリバタケさん。バッチリですよ」

 

 低い声で尋ねるウリバタケに、自然とハ−リ−も低い声で答えてしまう。
 ところで、なに頼んでた物って? 特殊なプログラムでも組んでもらってたの?

 

「フッフッフッフ・・・。違うな、俺が頼んでいたのは、これだぁ!!」

 

 とウリバタケが自慢げに先ほどハ−リ−から受け取った光ディスクをかかげてみせる。
 見たところ、何の変哲もない光ディスクの様に見えるけど・・・ちがうのか?

 

「ちがうな。これには俺が汗水流して集めたナデシコ女性メインクル−の着替えの
 盗撮写真が収められているのさ。その編集をハ−リ−に頼んでいた、というわけだ」

 

 そ、それって・・・犯罪じゃねえのか? プライバシ−の侵害だろ。
 ・・・あ、でもアキトにはプライバシ−というものはないに等しいか。
 いやその前に、そんなことに汗水流さないでちゃんと仕事しろよ。

 

「ウリバタケさん、約束の物は・・・」

 

「おう、焦りなさんな。・・・ん−と・・・たしかこの辺に・・・置いたはず・・・。
 お、あったあった。・・・ほれ、約束の品だ」

 

「ありがとうございます(喜)」

 

 ハ−リ−に、別の光ディスクを手渡すウリバタケ。
 ・・・あまり聞きたくないけど、これも筆者の義務だしな。
 いったいそれはなんなんだ、ハ−リ−。

 

「あ、それか? それにはルリルリの寝顔やら寝姿なんかが収められてるぜ」

 

 ・・・あ、そう。

 

「さて、さっそく吟味吟味っと・・・。・・・あん? 
 誰かからメ−ルが来てるな。これを見てからにするか」

 

 とメ−ルを開くウリバタケ。その次の瞬間、コンピュ−タ−の電源が落ちた。

 

「な、なんだぁ!?」

 

 突然の事に、驚くウリバタケ。次に、ディスプレイにポップ体の文字が浮かび上がってくる。

 

「あなた達の悪巧みは全てオモイカネで見てました。
 よってこれからあなた達に天誅を下しに参りますので、
 楽しみに待っててくださいね(はぁと)

 

 ・・・完璧にばれてるね・・・。しかも、一番敵にまわしたくない人に・・・。

 

「「「・・・・・・」」」

 

 さーて、避難避難っと。とばっちりくらったら、たまったもんじゃない。

 

「「「裏切り者−っ!!」」」

 

 別に裏切っちゃいないよ、僕は。当然の報いだろうが。
 ・・・それでは僕は失礼させてもらうよ。
 安心して、ちゃんと骨は拾ってあげるから。じゃね。

 

「「「ちょ、ちょっと待て(待った、待ってください)!!」」」

 

 コンコンッ。

 

「「「ぎっくう!」」」

 

 その時のドアのノックの音は、死刑台へと続く十三階段みたいなノックだった、と後に三人は語る。

 

 

・・・・・・しばらくお待ち下さい・・・・・・

 

 

「「「ぎにゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」」」

 

 

 ・・・ナデシコに、三人の哀れな男の悲鳴が木霊した。

 

「あれ、今日はアキトとホウメイさんだけか?」

 

「あ、ナオさん。そうなんですよ、これから忙しくなるっていうのに。
 ところで、注文何にします?」

 

「そうだなぁ、じゃあチャ−ハン大盛り」

 

「了解!」

 

 騒ぎの元凶は、我関せず食堂で一心不乱に働いていた。

 

 

「くうっ・・・。俺としたことが・・・油断したぜ・・・。
 ・・・いって−っ、傷口がしみる−!」

 

「よく考えてみれば、ナデシコはルリ君やラピス君が統括してるんだから、情報は全部
 筒抜けなんだよね・・・。イテテテテテ・・・」

 

 ところかわってナデシコ男湯。裸の付き合いをしているのは、言わずと知れたTMD幹部の
 ウリバタケ・セイヤ、アカツキ・ナガレ、そしてハ−リ−の三人である。

 

 どうやら彼らはTA同盟一同から凄まじいまでの手厚い歓迎を受けたようで、所々にアザや引っ掻き
傷、果てには黒く焦げた跡や刺し傷まであった。
 一体、彼らはどんなお仕置きを受けたのだろうか?

 

「・・・・・・グスン(泣)」

 

 また、ハ−リ−君は外傷は全く無いが、ドヨ−ンと背中に影を背負い、目尻に涙を溜めている
事から、電子の妖精姉妹に凄まじいまでの精神攻撃を受けた事が推測できる。
 不憫なやつよのう・・・。一体、どんな悪口言われたのやら・・・。

 

「・・・教えてあげましょうか?」

 

 いや、あまり聞きたくない。しかし懲りないな−、あんた達も。
 あんた達の辞書には〔諦める〕という言葉は無いのか?

 

「諦めてたまるか!! これは正当な行為、天の下した勅命なのだ!!」

 

 あっそ。んじゃあ、なんで風呂入ってるの?

 

「ここならルリルリの監視網も届くまい!」

 

 ふ−ん。一応、あんたらでも考えは働くんだ。

 

「作戦部長、考えがあるんだが・・・」

 

「なんだ会長? アキトをコテンパン(死語)に出来る作戦か!?」

 

 ザバァッと水を掻き分け、勢いよく身を乗り出すウリバタケ。

 

「この〔テンカワアキト抹殺同盟〕っていう名前、そろそろ変えない?」

 

「「へ?」」

 

 思わず生返事を返すウリバタケとハ−リ−。

 

「ちょっと考えてみたんだけど、「テンカワアキト滅殺連盟」っていうのはどうかな?
 略して〔T○R〕だ!」

 

 YO SAY! 夏が 胸を刺激する ナマ足魅惑のマ−メイド!

 

「そのTM○じゃない」

 

 えっ、ちがうの?

 

「まあそれはいいとして、ちゃんと作戦も考えてあるさ。最初にこうして・・・

 

 それで・・・こうして・・・ こうなったら・・・こうこうこうして・・・」

 

「「ふんふん」」

 

 しばらく聞いていたウリバタケとハ−リ−だが、話を聞き終えるとニヤッと
(口元の片方がつり上がり、目のあたりが暗くなるおまけ付き!!)笑う。

 

「「「よ−し、テンカワ(君、さん)をギャフン(死語百連発)と言わせてやる!!
  覚悟してろよ、テンカワ(君、さん)!!!」」」

 

 ザバァッと勢いよく湯船から立ち上がる三人。彼らの目には、決意の光がみなぎり溢れていた。
 でも・・・水を差すようで悪いんだけどさ、三人とも。

 

「「「なんだ(なにかな、なんです)?」」」

 

 隠すべき所は、隠した方がいいと思うよ。見苦しいな、全く。

 

「ほう、マキビ君。君なかなか・・・」

 

「遺伝子操作の影響か・・・? ふ−む・・・」

 

「ち、ちょっと!なに見てるんですか!?」

 

 じっくりとハ−リ−の〔ナニ〕を眺めるウリバタケ、アカツキの二人。
 ハ−リ−君のナニを観賞してる場合じゃないだろ、二人とも。

 

 ・・・大変お見苦しい所をお見せしてしまいました。
 お詫びといっちゃなんですが、女湯の方も少し・・・。

 

 

カポ−ンッ・・・・・・。

 

「ふうっ・・・」

 

 お馴染みの音を響かせているナデシコ女湯。そこには、三人の女性の影があった。

 

「なんか・・・生き返る・・・って感じですね・・・」

 

「そうね−、ルリルリ」

 

「ふんふ−ん(バシャバシャ)」

 

 なんだ、ルリちゃんとラピスとミナトさんだったのか。
 でも、なんでお風呂なんか入ってるの?まだ六時(注:艦内時間)だけど?
 それとラピス、いくら広いからって泳ぐのは止めなさい。マナ−違反だぞ。

 

「いえ、今日久し振りにいい運動をしたもので・・・。
 早めにお風呂に入っているんです」

 

「わたしはこの子達の付添い」

 

 いい運動? ランニングとか、D○Rとか?

 

「ちがいます、愚か者に裁きを下したんですよ。その時に、返り血を浴びたもので、
 気持ちが悪くて体を洗いにきたんです」

 

 か、返り血!?

 

「そうそう、わたしが○重の極みをやった所に、ルリが九頭○閃と天翔○閃でとどめをさしたんだよ。
 凄いでしょ」

 

 す、凄いって・・・。 三百年近く前の剣術とかをなんで君達が出来るんだい?

 

「オモイカネに教えてもらったんです。それを私とラピスで一緒に練習して・・・
 ついに極めたんですよ」

 

 なにを極めたんだ!? ていうかそんな技やったら死んじゃうじゃないか!!

 

「死にませんよ、あの人達は。だって・・・一匹見かけたら二十匹はいると思わないと
 いけませんから。特に、キノコの菌糸はしつこいですし」

 

 彼らは黒い人類最大の敵(注:台所で必ず見る黒くてテカテカしてすばしっこいモノ)
と同格なのかい、ルリちゃん?

 

「まあ、そんなもんです。あのキノコ頭はそれ以下ですけどね」

 

 そんな、あっさり言うなよオイ。・・・まあ、ムネ茸(笑)の事は分かるけど。

 

「いっそイネスさんに彼等専用のバル○ンとかゴキ○リ○イホイでも作ってもらいましょうかね。
 あとは・・・キノコ用の消毒剤も」

 

「ルリ、それいいアイデア!さっそく作ってもらおうよ!!」

 

 ラピスが手を叩いて賛成する。
 ・・・人間用バル○ンねぇ・・・ただの毒ガスと一緒の様な気がするけど。
 というか、君が言うとそれ冗談に聞こえない。

 

 しかし・・・ミナトさん。

 

「・・・なぁに?」

 

 どう思います、この事について?

 

「・・・あまりコメントしたくないわね。わたしがこの子達のあとに追いついた時、
 ウリバタケさんの部屋、まさに血の海になってたのよ・・・(汗)」

 

 ・・・そうですか。

 

「まあ、そんな話はおいといて。ルリルリ、背中流してあげるわ」

 

「え? い、いいですよ、ミナトさん」

 

 ・・・ミナトさん・・・案外薄情者なんですね。

 

「わたしだって、自分の命がかわいいわよ(ヒソヒソ)」

 

 ・・・そうですか。

 

 スポンジにボディソ−プをつけ、ルリの背中を洗い始めるミナト。

 

「相変わらず綺麗なスベスベお肌ねぇ・・・。
 ・・・あら? ・・・るりるりぃ、あなた最近胸すこし大きくなったんじゃない?(ニヤ−・・・)」

 

「そ、そうですか?」

 

「ふふ・・・それっ!!」

 

「あ! ち、ちょっとミナトさん、どこさわってるんですか!? ・・・あんっ!」

 

「まだまだ!」

 

「あんっ! み、ミナトさん、も、もうやめ・・・はぁん!!」

 

 ううっ、は、鼻血が。・・・こ、こんな場面読者様に見せていいのだろうか?

 

「いいんじゃない?」

 

 湯船にゆっくり浸かっているラピスが空虚に向かって呟く。
 勿論頭には折り畳んだタオルを乗っけている正統派スタイルだ。

 

 そうだねラピス。みんなもこれを望んでいたのかもしれないね。

 

 

 ところかわってナデシコ格納庫。

 

(女湯の件に関しては、教育に悪いのであれで勘弁してください)

 

「諸君! ついに我々、ナデシコ男性乗組員の敵を倒す時が来た。準備はいいか!?」

 

「「「「「「うおおおおおおおおおおっ!!!!!」」」」」」

 

 急遽格納庫に設けられた演説台に、ウリバタケが拳を振りかざしながら整備班に向かって
熱演している。
 そしてそれにいちいち呼応する整備班達。

 

「みなさん! これは神も認めた正当な行為です! 僕達が不埒な女たらしを
 裁かなくてはならないのです!!」

 

 ・・・ハ−リ−・・・。それ、天草四郎時○の台詞じゃないか?
 ・・・君、以外と宗教家に向いてるかも。でも、間違えても詐欺は働くんじゃないぞ。

 

「テンカワアキト滅殺同盟、略して〔○MR〕に栄光あれ!!」

 

 アカツキが、マイク片手に唾を飛ばしている。勿論、飛び散る汗は光り輝いている。
 思うんだけど、お前どうやって歯とか汗を光らせているんだ?

 

「「「諸君(みなさん)! 出陣だ(です)!!!」」」

 

「「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!!!!!」」」」」」

 

 あつ苦しい・・・。いい年こいて、そんなことやってるんじゃないよ、全く。

 

 

 

 場所は変わって、ここは食堂。只今、食堂は熱気渦巻く激戦地となっていた。
 ・・・その元凶の様子をちょっと覗いてみましょう。

 

「アキトさん、チキンライスお願いします」

 

 お風呂上がりのスベスベお肌のルリが食堂で注文すれば、

 

「アキト、チャ−ハンお願い」

 

 ラピスも負けじと注文し・・・

 

「アキト、私ラ−メン」

 

 ナデシコ艦長、御統ユリカもまた負けじと注文する。

 

「ちょ、ちょっと待て! いきなりそんなにいっぺんに注文されても・・・」

 

「アキト君、火星丼」

 

「い、イネスさんまで・・・」

 

 何時の間にやら、食堂に説明お姉さんことイネスさんが現れていた。
 ・・・イネスさん、この前の説明はどうでした?

 

「そうねぇ・・・。まだまだ、説明したりないわね」

 

「い、イネスさん。どこに向かって喋ってるんですか?」

 

 思いっきり不信がるアキト。

 

「いえ、ちょっとハエさんがね・・・」

 

 ペシッ! (ハエ叩きで叩いた音)

 

 イテ! ・・・僕はハエなのか?

 

「アキトさん、スパゲティ−・ミ−トソ−スお願いします(はぁと)」

 

「私はタラコスパゲティ−ね、アキト」

 

「さ、サラちゃんにアリサちゃんまで・・・」

 

 頭を抱え始めるアキト。
 そんな時コミュニケが作動し、ナデシコ副操舵士のエリナ・キンジョウ・ウォンと、整備士の
レイナ・キンジョウ・ウォン、エステバリスパイロットのスバルリョ−コ、そして通信士の
メグミ・レイナ−ドの画面が出てきた。

 

「テンカワ君、カツ丼をブリッジに出前よろしく」

 

「私は中華丼を格納庫に。サヤエンドウ抜きでね」

 

「テンカワ、オレは牛丼大盛りを格納庫にな。もちろん玉子と汁だくで」

 

「アキトさん、親子丼ブリッジにお願いします」
 上からエリナ、レイナ、リョ−コ、メグミの順だ。
 しかし汁だくとは・・・なかなか通ですね、リョ−コさん。

 

「だろ?」

 

 コミュニケの画面から自慢気に肩をそびやかすリョ−コ。やっぱり牛丼は汁だくに限るね。
 あ、紅生姜も必需品か。
 さて、こうなると大変なのは料理を作るアキトだ。なにせ十人(ホウメイガ−ルズは只今仕事中)
もの女性から御指名が入ったのだ。もてる男はつらいねぇ、アキト。

 

「・・・変わってやろうか?」

 

 いや、いい。だって僕は料理出来ないもの。料理出来るんだったら、変わってもいいんだけどね。

 

 ・・・それにしてもアキト君。
 ・・・君、随分とまぁやつれたね。目にクマまでできてるじゃないか。

 

「お前のせいだろうが(怒)」

 

 おやおや、他人をせめちゃいけないよ。それは自分のせいでもあるんだし。
 身から出た錆、でしょうが。

 

「ぐっ・・・」

 

 ほらほら、早くしないとお姫様達が暴走し始めるぞ。

 

「・・・はぁ」

 

 溜め息をついて厨房に戻るアキト君。とそこに!

 

「!?」

 

 

 ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!!!!

 

 

「「「テンカワ・アキト!! 貴様に我等〔TMR〕が天罰を下す!!!」」」

 

 食堂に、妙な恰好をした連中がなだれこんでくる。
 その姿は、仮面舞踏会で付けるような眼鏡、額に「滅殺」とか書かれている鉢巻き、
 なによりフンドシ一丁(!)の男、いや変態達が、地響きを立てながら突入してきたのである!!

 

 ・・・そうだ、すっかり忘れてた。もっと暴走しているやつらがいたんだっけか。
 ちなみに、他の男に担がれた(要するに騎馬戦の要領)三人だけマスクを被っているが、
正体はバレバレである。

 

「・・・ウリバタケさん、何やってんですか? そんなフンドシ一枚で・・・。
 それにアカツキやハ−リ−君まで・・・」

 

 ナデシコ内で起きる大抵の事にはつきたくはない耐性がついたアキトだが、それでも彼等のカッコは
余りにも、いや素晴らしく異様だった。

 

「お、俺はナデシコ整備班長のウリバタケとかいうナイスガイではない!!
 そ、そうだな・・・。俺は〔神の使徒〕とでも呼んでもらおうか」

 

「僕もアカツキ・ナガレとかいうちょっとニヒルな色男でもない!!
 〔愛の守護天使〕と呼んでくれたまえ」

 

「ボクもマキビ・ハリとかいう超絶美少年でもありません!
 〔ラブ・ハンタ−〕と呼んでもらいましょう!!」

 

 簡単に自分たちの正体がばれたので、かわいそうなくらいに慌てている。
 ・・・すぐに分かると思うんだけどね・・・。
 それにしてもなんだよ、神の使徒に愛の守護天使にラブ・ハンタ−っていうのは?
 一体どこからそんな名前が出てくるんだよ。

 

「自分で言いますか、この人達は・・・」

 

「全く・・・バカはこれだから困るね」

 

 ユラリ、と音も無くほぼ同時に立ち上がるルリ、ラピスの二人。

 

「最近ヤマダ君だけじゃ、実験台がたりないのよねぇ・・・」

 

 マッドサイエンティストの目で彼らを、いや哀れな子羊達を眺めるイネス。
 その前にそんな科白をさらっと言わないでくださいよ、イネスさん。

 

「・・・あれだけやられても、まだ懲りないんだぁ・・・」

 

 ギュピ−ン、もしくはキュピ−ンとかいう擬音が似合いそうな眼光を発するユリカ。

 

「姉さん、準備運動しましょうか」

 

「そうね、アリサ」

 

 おもむろに準備運動をはじめるサラ、アリサ姉妹。・・・何のための準備運動なのだろうか?

 

「「「「ハァハァハァ・・・お・・・愚か者に・・・裁きを・・・」」」」

 

 ブリッジと格納庫から急いで走ってきたのだろう、息も絶え絶えのエリナ、レイナ、リョ−コ、
そしてメグミの四人。一体どのくらいの速度で走ってきたのだろうか?
 食堂からブリッジ、あと格納庫ってかなり離れてるんじゃ・・・。

 

「「「「恋する乙女に、不可能は無いの(んだ、んです)!!!!」」」」

 

 そうなんですか。

 

 あと、彼女らの周囲にはユラユラと何やら怪しいオ−ラまで漂っている。

 

「「「「「ここは私達の出番ね!!」」」」」

 

 ババ−ン、とそれこそマンガでバックに大きく文字が出そうな雰囲気でホウメイガ−ルズが登場する。

 

 ・・・・・・一体、何処から出て来たんだろうか?

 

「ふん、今度はそうはいかねえ! やれ、皆の衆!!」

 

「「「「「「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!」」」」」」

 

 ウリバタ、いや自称〔神の使徒〕の号令の下、一斉に突撃を開始するTMR団の皆さん。
 がしかし、この小説最強の名を誇る電子の妖精さん姉妹には、通じなかった。

 

「確かに、数で押す、というのはいい考えですけどね・・・。私には、通じませんよ」

 

 と、懐から何やら変な教鞭みたいな棒を取り出し、そしてそれと同時にそれを大きく横になぐ。

 

「疾ッ!!」

 

 瞬間、その教鞭から真空波が発生し、ルリに向かっていた十人のTMR団が巻き込まれて
何処かに飛んでいった。

 

「な、なんなんだその棒は!!」

 

 驚き、そして恐怖を顔中にトッピングした〔神の使徒〕が怒鳴る。

 

「この前月に行った時、たまたま骨董品屋でこれを見つけましてね・・・。
 古代中国の仙人が使ったとされる物で、そうそう、確か名前は打○鞭といいましたか・・・」

 

 うっとりと、その○神鞭を眺めるルリ。
 ・・・しかし、古代中国の宝○を売っている骨董品屋って一体・・・。

 

「ルリばっかりズルイ! ・・・えいっ!!」

 

 とルリに対抗してラピスがボ−ルらしき物を投げるが、全然見当違いの方向へ飛んでいった。
 ・・・ラピス・・・もしかしてしなくても、君、かなりのノ−コン?

 

「は−っはっはっ! 一体何処に投げているんだい、ラピス君・・・ぐえっ!?」

 

 そう、〔愛の守護天使〕が楽々かわしたボ−ルが、後頭部に思いっきり当たったのだ!
 ちなみに愛の守護天使の顔は、思いっきり濃くなっている。
 そう、敢えて例えれば、昔の少女マンガ状態(例:ベル○イユの薔薇)。

 

 ・・・見たくないな、そんな顔。

 

「ふふふ、わたしの○貝の五○石は絶対当たるようになっているんだよ。
 しかも、これに当たった人はくどくて濃い顔になってるの!」

 

 恐ろしい・・・。そんなものに当たりたくはないな・・・。

 

 さて、他の人はというと・・・。

 

「いけっ、○ィン○ァンネル!!」

 

 とイネスさんから注射器型の○ァンネルが出ていた。
 ・・・イネスさんって、ニュ−タ○プだったの?

 

 ヒュンッ!!

 

 うおっ!? い、イネスさん、危ないじゃないですか!

 

「あら、ごめんなさい。でも、細かい事は気にしちゃだめよ」

 

 そうなんですか。その注告、ありがたく頂戴しますよ。

 

「グオォォォォォォォォォォォォォォォォォォンッ!!!」

 

「「「ぎゃ−、艦長がドラゴンになった−!!」」」

 

 ・・・まさか・・・スレ○ヤ−ズT○Yじゃあるまいし・・・。
 あ、でも声優さんはおんなじか。
 桑島法子さんだもんね(実はファンだったりする)。

 

「ロコ○−ションG!!」

 

「スカ○ツ○スタ−よ!!」

 

 サラとアリサの体から光が出る。連携発生!!

 

「「ロコ○−ションツ○スタ−!!!!」」

 

「「「「「「ぎょえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」」」」」」

 

 さすが姉妹。息がピッタリだ。

 

「斬鉄剣!!」

 

 見えない速さでリョ−コが刀を振るう
(ついでに、カシャ、カシャ、カシャ、とモーションが止まるおまけ付きだ)。
 そこに残っていたのは・・・倒れ伏した〔TMR〕団の方々だった。

 

「ミラ○ルボイス!!」

 

 メグミがマイク片手に歌を歌う。その歌声は、全てを打ち砕く!!
 さすが元声優だな。

 

「えい!!」

 

 巨大スパナを振り回すレイナ・・・
 一体、どうやってその細腕で振り回しているのか不思議だが・・・
 これも恋する乙女の秘密なんだな。

 

「一体何をやっているのあなた達!! 給料から差し引くわよ!!」

 

 自分に群がる〔TMR〕団を、一喝するエリナ。さすがネルガル会長秘書。
 脅すのは上手いですね。

 

「三龍○!!」

 

「無月○水!!」

 

「○流剣!!」

 

「清○剣!!」

 

「ダ−クス○ィア!!」

 

 次々とホウメイガ−ルズの体から光が放たれる。 こ、これは五連携かっ!?

 

「「「「「三龍無月清流清流スフィア!!!!!(筆者最強の五連携です)」」」」」

 

 ドッゴ−ンッ!!!!!

 

「「「「「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」」」」」

 

 今の攻撃で、ほとんど全滅した〔TMR〕団。残っているのは、神の使徒、愛の守護天使、
そして今まで科白が無かったラブ・ハンタ−の三人である。

 

「しっかりしろ、みんな!!」

 

「た、隊長・・・お・・・俺も・・・彼女が・・・欲しかった・・・」

 

 ガクリ、と力が抜けていく〔TMR〕団員。

 

 その団員の躯(笑)から、何やら謎的エネルギ−が三人の体に流れ込む。

 

「・・・お前達の思い・・・しっかりと受け止めた・・・」

 

「・・・君達の思いは忘れない・・・僕の心の中に刻まれるだろう・・・」

 

「・・・今、みなさんの思いを力に変えて・・・仇は取ります!!」

 

 何やら自分達の世界に旅だってしまった三人。
 ・・・ホントに大丈夫なのだろうか心配になってくる。

 

「「「テンカワアキト、覚悟ぉ!!!」」」

 

 そのままアキトに襲いかかる三人。だがしかし・・・。

 

「やかましい!! お前らなんかにオレの苦労が解ってたまるか!!」

 

 一声怒鳴ると、自分の拳を床に叩きつける。

 

 ドゴォ、ドゴォ、ドゴォ!!!

 

 と三本のエネルギ−の塊が、三人を焼きつくす。 こ、これはトリ○ルゲ○ザ−!?

 

「・・・不毛な戦いだった・・・」

 

 妙に黄昏ているアキト。だけどさ、アキト君。何か根本的な事忘れてない?

 

「・・・あ−っ! 料理するの忘れてた!!・・・て、いったって、
 こんな状態じゃ料理どころか営業さえできないぞ」

 

 確かに・・・。

 

 

 食堂は、完璧に崩壊していた。まるで、ハルマゲドンが起きたみたいに・・・。

 

 

 

「いやだぁぁぁぁぁぁ!!もうやめてくれぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 

 ウリバタケが叫び声を上げる。

 

 ここはナデシコ某同盟専用隠し部屋。ここでは主にアキトのお仕置き、及び愚か者を裁く所である。

 

「あ、綺麗なちょうちょ・・・・・・」

 

 あまりの苦痛に、精神崩壊を起こしたアカツキ。

 

「・・・・・・(号泣)」

 

 あまりの精神的苦痛に、現実逃避を始めたハ−リ−。

 

 

 

 平和っていいよねぇ・・・、うん。つくづくそう思うよ、僕は。

 

「「「どこがだぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」」

 

 

 後に、この出来事はJihad of Nadesico(ナデシコの聖戦)
 と呼ばれる事になる。

 

 

 

 

 

 

Fin

 

 

おまけ

 

 次の日から一週間ほど、アキトは各人の部屋で料理をする羽目になった。

 

 

 

後書き

 

ジャン、ジャン、ジャン、ジャン、ジャン、ジャン、ジャン、ジャン
ジャン、ジャン、ジャン、ジャン、ジャン、ジャン、ジャン、ジャン
チャララ−チャララ−チャララ−チャラ
「一体どうしたんだ、Excaliberのやつ?」
「それはですね、アキトさん。Excaliberが〔MI2〕に浸ってるんですよ」
 いいじゃないか、面白かったんだし。
 みなさん、この夏、是非とも〔MI2〕を見て下さい!面白いですよ!!
「Excaliber、次回はどうなるの?」
 ごめん、ラピス。ネタは決まってるんだけど、ここではいえない。
 それに、久し振り(二年ぶり)に日本に帰るからね、次はかなり遅くなると思うよ。

 

 では、次回。
 ナデシコであった本当に怖い話Vol.3 〔彼氏?彼女?の事情〕
 でお会いしましょう。
 みなさん、気長に待ってて下さいね!

 

 それでは皆さん、食中毒には気をつけてね!!
 感想、誤字、脱字等メ−ル、待ってま−す!!

 

 

 

 

 

 

 

 

管理人の感想

 

ExcaliberさんからSSの投稿で〜す!!

う〜ん、相変わらずの彼等ですね(笑)

何時か報われる時がくるのでしょうか?

それにしても、問答無用の強さだな、ルリちゃん達(苦笑)

ユリカが一番凄いと言えば、凄いけど(ニヤリ)

しかし・・・アメリアに在住されているわりには、日本の漫画に詳しいですね(笑)

きっと、友人から輸送をしてもらってるのでしょうね。

うん、努力の人だなExcaliberさんは。

・・・でも、ね。

ジュンの存在、忘れてません?(爆)

 

では、Excaliberさん投稿、本当に有難うございました!!

 

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後、掲示板になら感想を書き易い、と言う方もおられるので。

この掲示板に出来れば感想を書き込んで下さいね!!

 

 

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