機動戦艦ナデシコ
時の流れにアナザー(なのかなぁ?)
第1話 最先と最後の集う場所(いやさきとさいはてのつどうばしょ)
全ての始まりにして終わりの地『火星』…
火星を中心に勃発した先の蜥蜴戦争・火星の後継者によるクーデター…
人々の心に深い傷と多くの犠牲を出したこの戦争は『ナデシコ』と呼ばれる艦によって終結する事となる。
それから10年の時が流れた…
戦争による傷跡も少しずつ癒え、着実に復興を遂げつつあるユートピアコロニー。
その中心街から少し離れたところに位置する草原にひっそりとたたずむ孤児院があった。
いつの間にか、そういつの間にかふらりと現れた神父によって建てられた小さな孤児院…
年を取りやや衰えてはいるが中性的な面差しを持ちながらもその姿は儚げで全てに疲れたような雰囲気を纏いながらも、
子供たちを見守るその雰囲気は優しくそして悲しい。
付近の住民たちはそんな彼に慈愛の念を送りながらも彼の暗く深い『何か』に恐怖を抱いた。
孤児院の中でも比較的広いスペースを持つ礼拝堂の中で神父は、
慈愛を持って我が子キリストを抱くマリア像を見つめていた。
いや、正確には目元を覆ったバイザーでその表情は見えないが、彼の雰囲気から悲しみが醸しだされていた。
黒を基調とした神父の制服と顔半分を覆ったバイザー、普通の人間から見れば奇妙としかいいようのない格好だが
彼が身につけることである意味奇妙な一体感があった。
ダダダダダダダダダダダダダ!!!!!!ドガ!!
…………考え事に熱中していたらしく俺にしては不覚にも後ろから勢いよく抱きついてくる存在に気づかなかった。
後ろから軽い衝撃を受けその犯人に苦笑しながら振り返った。
「神父さま遊ぼうよ〜」
「そうだよ遊ぼう」
次々と自分の制服にしがみついてくる子供たちに苦笑してしまう
「すまない…これから俺…いや私の昔の知り合いが訪ねてくるんだ、だから今日は一緒に遊べないんだよ。」
「「「ええぇぇぇぇぇぇぇぇ」」」
「ごめんね」
「「ぶぅぅ」」
自分と遊べないことに頬を精一杯膨らませて不満を表す子供たちにうれしく思いつつも、
彼等の説得の難しさを思い出し途方にくれていた。すると、
「あまりわがまま言ってはだめよ。さぁ、私が一緒に遊んであげるから隣の部屋に行きましょう。」
後ろを振り返ると20代前半の薄桃色の髪をした女性がたっていた。
「あっラピスおねーちゃんだ」
「ラピスおねーちゃんお土産は?」
神父に群がっていた子供たちの興味の対象はすでに薄桃色の髪の女性と彼女の足元にある
1週間分の食料の入ったダンボールに移っており、子供たちは我先にと、そのダンボールに群がっていった。
「ラピスねーちゃんはやくとなりに行こうぜ」
「ゲキガンガーごっこしようぜ」
「何言ってるのよ、お姉ちゃんは私たちとおままごとするのよ」
「うっせぇブ〜ス」
「なんですってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」(怒)
ドゴ!!、バキ!!、グシャ!!
男の子の暴言に女の子の問答無用の乱舞(!?)が叩き込まれ半泣き状態になっている男の子を尻目に、
俺は自分の危機を救ってくれた女性に声をかけた。
「すまないなラピス」
「くすっいいのよ。それに、確か今日のお客様はあなたにとってそして私にとっても大事なお客様だもの」
「そうだな…」
二人の間に沈黙が落ちるが(ちなみに男のと女の子の喧嘩は、
女の子のマウントポジションによる一方的なたこ殴りでその幕を閉じた)それも一瞬のことで、
ぱんぱん!!
不意に礼拝堂に響く拍手の音とともに
「さぁみんな、隣りの部屋に行くわよ」
「「「「「はぁぁ〜〜〜〜い」」」」」
ゾロゾロ…
「気にすることはないわ…
このことは私たち全員が望んだこと、あなたがあなたであろうとする為に必要なこと…
その為ならば、彼等は命をかけられる…まぁそれは私もだけどね」
「ラピス…」
「言ったでしょ、私はあなたの目、あなたの耳、あなたの手、あなたの足…
愛してるわ…ア―――」
そうつぶやくとラピスはこの部屋を後にした。
バタン!!
彼女の残した言葉に自分の愚かさと彼女たちに対する感謝に思いをはせながらも、
俺は聖母マリアの像にひざをつき、祈りを再開しだした。
俺は毎日決まってこの時間に神に祈りを奉げる。しかし俺は神など信じていない…
神などいないことを知っているからこそ祈りを奉げる。
この矛盾した行為は、俺にとって過去に神にすがり助けを求めた自分自身に対する嘲りと戒めをこめたものに過ぎない。
半刻ほど過ぎた頃だろうか
後ろに人、2人ほどの気配を感じ振り返った。待ち人来たりだな…
「遅かったな…」
自分の予想通りの結果に満足しながら近くにあったいすに腰掛ける
後ろに立っていたのは20代前半くらいの2人の男女であった
男のほうは黒髪黒瞳に黒の上下
黒のロングコートを羽織り、背中まで伸びた黒髪を後ろでひとくくりにたらしている。
しかし、何が気に食わないのかどこかふてくされた表情をしている。
女性のほうはそれと対照に、長い金髪を無造作にくくり
白を基調とした服装に白のロングコートを羽織った麗人であった。
しかし、彼女の美貌にある碧眼の瞳は凍えそうなくらいに冷たい。
ふてくされて何も言おうとしない男…『ナギ・カイリ』に代わり
美しき氷の彫像を思わせる女性――『エスト・ルーファ』が冷ややかに返答を返した。
「どっかの馬鹿な男が、揉め事に首を突っ込んだのよ…相手の男どもは半殺し
まぁその馬鹿な男は、その後来た警察に過剰防衛で捕まったのよ…」
「おい!!『どっかの馬鹿な男』ってのは俺のことか?」
「今ごろ気づいたの」
「何だと!!」
この二人のやり取りに懐かしい気持ちがあふれついついちょっかいを出してしまう。
「ナギ…それにエストお前等相変わらず仲が好いな…
何ならここで2人の式でも挙げてやろうか?」
「「なっ!!」」
俺の言葉に氷の女エストの表情にも動揺が走る。
クックックッ、サイコーだよお前等
「なんでこんなやつを、大体ア―――」
「おいおい、ここでの俺の呼び名はそれじゃないだろ…
しかもだ、抱いた女を悪く言うなよ、男として最低だぞ」
「なっなんで…知ってんだよ…」
「おや、図星だったか」
ナギの憮然とした表情に笑いをこらえながらエストに視線を向けた。
「で、『生ける屍(リビングデット)』…私たちを呼び出した理由は?
ただ、私たちをからかう為だけに呼び出したというのならば、あなたの呼び名から「生」の文字を消してあげましょうか?」
この言葉に俺の背中から冷たいものがとおった。
こりゃ本気で起こってんな、そろそろ本題に入るか。
「そうだな…おまえたちに与える任務…いや、依頼はただひとつ…
テンカワ・アキト…彼を助けてやってくれ」
「「はぁ」」
混乱してるな、まぁそりゃそうだろうな…
「闇を纏い、闇を従え、闇に狂う
壮絶な憎悪と狂気に彩られながらも前に進もうとした彼を…助けてやってほしい」
俺の言葉とその雰囲気から意味を理解した2人は先ほどとは打って変わってまじめな表情で俺にひざまづいた。
「「了解しました」」
「すまんな…」
「気にすんな、あんたに命を救われて生きていく為の術を叩き込まれた時から
いつかあんたの力になろうと決めてたしな。
…まぁ、さすがにこれには驚いたけどな」
苦笑いを浮かべながらいつの間にか取り出したCCを手のひらで遊んでいるナギ
「もういくのか…ラピスに会っていかないのか?」
「姉さんに会えば決心が鈍るかもしんないしな…
そっちからよろしく言っといてくれよ…それじゃ!!」
「わかった…」
「ああ、そうそう…最後にあんたのことちゃんと名前で呼んでもいいか?
『生ける屍(リビングデッド)』じゃなくてさ…」
「ああ、かまわない」
「そっか…それじゃな、テンカワ・アキト
さあ、行くぞエス!!」
「ふぅ、もうこっちは準備できてるわ…あなたが遅いだけ」
「てめ…」
悪態をたれつつナギはエストを抱き寄せると
自らの体内にある、あるプログラムを起動する
ナギの体からナノマシンの紋様と共にその瞳が金色にその姿を変える
『ナノマシン群"Ark EnemyVer02−typeヘイムダル"
30パーセント限定起動』
2人の周辺に虹色の空間が発生していく
『ジャンプ・セーフティ3番から7番まで解除―――完了
めんどくさいんで以下省略――――――――――――実行(ラン)
オプション"終末を告げる角笛"…読込(ロード)
ゲート発生…イメージング実行…』
「遅いわね…まだなの?」
「うっさいな……………………3、2、1、ジャンプ」
その声と共にナギとエストの姿は掻き消える
「あいつ等に任せたのは失敗だったかも知れん…」
一端の不満を抱きながらそうつぶやくと俺はゆっくりと立ち上がり
俺にとって大切な者達の待つ部屋の扉に手をかけた…
今一度、約束された始まり
凍りついた運命の輪が、回り始めた
少しづつ…少しづつ……
次回、第2話 終末に集う者たち
…………………に、続くかもしんない
後書き…
構想1日執筆(?)2日…生まれて初めてSSを書き上げました。
(つーか初めて投稿マジで勝手がわからん)
そんなものをこんな大手に持ってくるとは……身の程を知れって感じですね。
しかも1話限りじゃなくて続きを書こうするとは……調子に乗りすぎですね。
さて、このSSを読んでくれた方、ぜひ感想だけでなくSSの書き方やこのSSの問題点などの指摘をお願いします。
…しかし、さすがにけなされてばかりだとへこみますんで、
鞭(3割)と飴(7割)でお願いします。……って、おい!!
管理人の感想
飛(フェイ)さんからの初投稿です!!
アナザーという設定らしいのですが・・・
さて、どういう世界なんでしょうかね?
少なくとも、ラピスとアキトが良い感じ(爆)
それとオリキャラの二人の今後の行動にも興味が湧きますね。
でも、今回一番のお気に入りは・・・マウンントポジションで男の子を圧倒する女の子でしょう(核爆)
では、飛さん!! 投稿有難うございました!!
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