戦闘数時間後ナデシコブリッジ
ユリカとミナト、メグミの三人が言い争いをしている。そこに入ってくるアキト。
「あ〜、アキトだ。」
「ミスマル=ユリカ!!」
「な〜に、アキト?」
「お前に聞きたいことが有る。」
「私に聞きたい事?・・・・もうそんな事聞かなくてもぜ〜んぶ知ってるくせに〜」
突然頬を赤くしてもだえるユリカ
シュッ
ユリカの首筋にアキトの持つ太刀のうちの一本が突きつけられていた。突然の事に目を丸くするユリカ
「正気に戻ったようだな。」
その声につられるようにしてブラスターを抜こうとするゴート。
ゴウッ・・・・・ドガッ。
アキトがあいているもう一本の手で脇差を抜き放つ。その動作と同時に発生した衝撃波がゴートの体を吹き飛ばす。
「ゴートさん。」
ゴーとが吹き飛ばされるのを見たアオイ=ジュン(戦闘前にユリカと一緒に入ってきた青年である)がブラスターを抜きアキトに向けようとする。
「四神滅殺 『飛刃』」
アキトの投げた脇差がちょうど銃口を塞ぐようにして突き刺さる。衝撃でブラスターを取り落とすジュン。
「安心しろ、ユリカに危害を加えるつもりは無い。今のとこは・・・・な。」
「わかったよアキト。聞ききたい事って何?」
こんな状況下でもまったく不安そうな様子を見せないユリカ。
「相変わらずだな。聞きたい事というのは、俺の両親の事だ。俺の親父とお袋はお前ら親子が火星を離れた日に殺されたんだ。銃に撃たれてな。」
「エッ!」
「俺は真相を知りたい。そして俺の親父とお袋を殺した奴をこの手で刀のサビにしてやりたいんだ。それが例えお前やお前の親でもな・・・」
「・・・・・ごめんなさい、アキト。わたしには解らないわ。アキトのご両親が死んでしまった事も教えてもらえなかったんだもん。」
「ミスマル中将から何も聞いていないのか?」
「うん・・・本当にごめんね、アキト。」
悲しそうな顔で言うユリカ。
「すまなかったなユリカ、皆さん、すいませんでした。お騒がせしてしまって。」
アキトは言いながらバイザーをはずす。とたんに今まで在った怖いイメージとぎすぎすした空気が消える。
「あらためて、始めまして、エステバリスのパイロットをやる事になるテンカワ=アキトです。(ニッコリ)」
テンカワスマイル発動、この場の女性全員が頬を赤く染める。何故かムネタケも赤くなっているが、アキトが無意識に放った『空波』に吹き飛ばされる。もちろん誰も気にしてないが・・・
「大丈夫でしたか、ゴートさん、アオイさん。手加減はしたつもりなんすけど・・・どうも戦闘モードは力の加減が効かなくて。」
そういってゴートを助け起こす。ゴ−トは戸惑いながらもその手をとる。
「ああ、すまない。それよりも戦闘モードとは一体何のことだ?」
「俺、気の力が大きすぎるらしくて、気の力に目覚めてすぐは自分の力では制御できなかったんです。だから暗示とかで俺の先生が制御してくれてたんです。今はそんな事無いですけどね。それから修行や戦闘をする時はこのバイザーを装着してるんです。防弾使用になってますしね。」
「そうか・・・・」
「アオイさんも大丈夫でしたか?」
「ああ、問題無いみたいだ。それと僕の事はジュンて呼んでくれてかまわないよ。・・・ところでユリカとはどういう関係なんだい?」
真剣な表情で聞くジュン。
「ああ、ユリカとは火星で隣の家同士ねただの「アキトはねユリカの王子様なんだよ。ユリカのピンチの時には必ず助けにきてくれたんだ。」だよ。」
アキトの発言にユリカが大音量で割り込む。結果、ジュンには二人が固い絆で結ばれているように錯覚した。
「僕はユリカの婚約「デネ、アキト。こっちはアオイ=ジュン君。私の大事なお友達なの。」なんだ。」
ジュンの発言にもユリカの大声がかぶさってしまう。
「ユッ、ユリカ〜。・・・・テンカワ、今日からお前は敵だ!」
「え〜、ジュン君酷いよ。アキトは何にもしてないのに何で。」
ユリカの責めるような口調にジュンは・・・
「うっ、うわあああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
目に涙をためて走りさって行った。
「(アオイ=ジュン哀れな奴・・・)そういえば何の騒ぎだったんですか?」
実はアキトには、先ほどのジュンの発言が聞き取れていた。
「ああ、テンカワさんそうでした・・・実はルリさんとラピスさんの保護者を決めたいと思いまして。ルリさんとラピスさんは同室なのですが、流石に保護者が必要だろうという話になりまして・・・ハリさんの保護者はアオイさんに決まったのですが・・・」
「二人の保護者をやりたがっているのがこの三人だと?」
それだけで納得するアキト。
「「「ちょっと聞いてよ(ください)、アキト(さん)(君)」」」
語尾は違えどハモってしまう三人。お互いににらみ合う。
「三人とも落ち着いて。本人達に決めてもらえばいいだろう?」
「そっか、それもそうだね。さっすがアキト!」
「で、ルリさんは誰か希望はありますか。」
プロスが聞く。
「私は別に・・・一人でも平気ですし。」
「そうですか・・・ではラピスさんは?・・・・・ラピスさん?」
気がつくとラピスの姿が見えない。クイッ、アキトは自分のマントを引く存在に気づく。
「・・・・・私、ラピス、ラピス=ラズリ。この艦のサブオペレーターでダシッュの管理者。あなたは?」
「おれか?俺はテンカワ=アキト、この艦の機動兵器パイロットだ。よろしくなラピスちゃん。」
「ラピスさん、それで誰か一緒に暮す方の希望はありますか。」
再びプロスが尋ねる。
「一緒に暮す?ラピスとルリと一緒に?」
「ハイ、そうです。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・アキト。」
「「「「「「「「エエッ」」」」」」」」
その場の全員が目を丸くする。
「いや、しかし、それは・・・・」
「ダメダメダメダメダメダメダメダメ、ぜ〜〜〜〜〜ったいダメ!!」
戸惑うプロス、叫ぶユリカ。
「ワァオ!ラピスちゃん大胆。」
「それは・・・流石に問題があると思うんですけど。」
ちゃかすミナト、もっともな意見のメグミ。
「なっ、何を言ってるんだ、ラピスちゃん。第一俺たち初対面じゃないか。」
「此処にいる人のほとんどが初対面。」
「それはそうなんだが・・・・」
困った様子でプロスの方を見る。
「いやぁ〜、流石にまずいんじゃないでしょ(ビクッ)・・・・・・」
言いかけて突然びくりと震え、ものすごい冷や汗をかき始めるプロス。横を見るとゴートも同じような状態に陥っている。
「しっ、しかしまぁ珍しくラピスさんが自分で決めようとした事ですからいいんじゃないでしょうか。」
「そっ、そうだな。自主性は大切な事だと思うぞ。うむ。」
冷や汗を拭きながらプロスが言う。ゴートも早口でそれに続く。
「どうしたですか?プロスさんにゴートまで。」
不審に思ったアキトがたずねる。
「「なんでもない(ありません)、まだ死にたくないだけだ(です)。」」
声をそろえて言う。
「でもルリちゃんが嫌がるんじゃ・・・」
「私はかまいませんが・・・」
何故かルリが頬を赤らめたまま(テンカワスマイルの影響)言う。
「ほら、ルリさんもこう言ってますし・・・」
「だめ〜〜〜〜〜〜、絶対ダメ!!」
「そおです、ダメに決まってます!!」
ルリの表情を見て、慌てて止めようとする二人。誰かは言うまでも無い。
「・・・・・・ダメ?(涙)」
目をウルウルさせながら言うラピス、激烈にかわいい。(命名:ラピスティアーズ)その様子を見てその場の全員が動揺する。何故かプロスとゴートは顔を、真っ青を通り越して蒼白である。
「ラッ、ラピス泣かないで、ネ?(テンカワスマイル)」
「そうだよラピスちゃん。」
「ダメじゃないから・・・ね?」
何とかラピスを泣かせまいとする一同。
「アキト・・・・・・・一緒?」
目を潤ませ首をかしげながら尋ねるラピス。
「テンカワさん私からもお願いします。理由あってラピスさんとルリさんには家族と呼べるものとの生活の経験がほとんどないのです。ルリさん達の家族になってあげてもらえませんか?幸い人見知りの激しいラピスさんもなついている事ですし・・・」
「・・・わかりました。これからよろしくね。ルリちゃん、ラピス。(テンカワスマイル)」
「よろしくお願いします。(ポ〜〜)」
「うん!(ラピス・エンジェルスマイル)」
アキトとラピスの微笑みに周囲の全員が見とれている。ラピスとアキトもお互いに見とれあっている。
「では、この件はこれで決まりという方向で・・・ではラピスさん、ルリさん、テンカワさんお部屋にご案内します。着いてきてください。」
「「「ハイ。」」」
出て行く四人。ミナト、ユリカ、メグミの三人はまだ二人のスマイルの影響下から抜け出せないでいた。
「ハッ!!・・・アキト〜、まって〜。」
駆け出していくユリカ。
「アキトさん・・・・・かわいかったと思いませんか、ミナトさん?」
「そうね、ラピラピかわいかったわね〜」
話しがかみ合ってない
こうしてナデシコは初陣を勝利で飾った・・・なんて感慨もなく騒がしくなっていく。
続く
後書き・・・らしきもの。
和覇(以下和):「アキト君強くなったわね〜」
FEID(以下F):「それでもあんたの方が強いがな。」
和:「か弱き乙女に向かってその言葉は無いんじゃない」
F:「か弱い?乙女?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・だれが?まっ、まて。か弱い乙女が何故刀を振り上げる。」
和:「キャッ、おっも〜い。」
そのまま重みに負けて刀を振り落ろしてしまう私。
ザクッ
F:「じ、自分で解説まで入れて・・・・・ガクッ。」
和:「テヘ、ごめんなさ〜い。刀って重いんだもん。」
F:「やめんか、はっきり言って似合ってないぞ。(もう復活している)」
和:「あんた・・・回復するのが早くなったわね。」
F:「誰の所為だと思ってる!?あきれたように言うな!!」
和:「それにしても・・・・・・私の出番がないじゃないの。」
F:「無視しやがったな・・・仕方ないだろう、生きてるかもわからん状態なんだから。」
和:「そこを何とかしなさいよ、劇中では半年も経ってるんだから。」
F:「無茶言うな。本来は問答無用で死んでるとこだったんだから生死不明で我慢しろ。」
和:「へ〜・・・私の事、殺そうとしてたんだぁ。(怒)」
和覇が腰の刀に手をのばす。
F:「マッ待て、もしかしたらナンカの間違いで生きてるかもしれないだろう。そうすれば出番が無い事も無いかもしれなくも無いかもしれないじゃないか。」
和:「わけのわかんない事を・・・(考え中)・・・って、ほとんど出る確率がないって言ってるようなもんじゃない!!」
F:「今ごろ気付いたのか?」
和:「ぬけぬけと〜〜〜〜〜〜〜!!!!!」
和覇の手が腰の刀にのびる。一瞬、和覇の手がぶれたように見える
F:「ぬぅ、何も起こらん。失敗したか和覇・・・・年だな。」
チン!
刀を鞘に収めた音が響く。
ボト
何かが地面に落ちる音がした。
F:「ぬおぉぉぉぉぉぉぉ!!!!手が、手が〜〜!!」
FEIDの両腕の肘から先がなくなっていた。
和:「あんまり暴れない方がいいわよ。」
どす・・・・どた
何か重いものが落ちる音と倒れる音が聞こえた。
F:「何か身長が半分以下になったような視界の低さなんだが、それに下半身の感覚がないし。」
和:「当たり前じゃない。下半身と上半身が分かれちゃってんだもん。しかしよくもまぁ上半身立てたまま落ちれたもん だわね〜。」
F:「さては貴様・・・・・いえ、和覇さん・・・アアアアアア和覇様。」
和:「よろしい。」
F:「ええっと、さっきのあれ、居合切りで俺の胴体と両腕を両断したのでしょうか?」
和:「正解!ご褒美にとどめ刺してあげるわね(ハート)!」
F:「なぜだ〜〜〜!!!」
和:「今気付いたんだけど痛くないの?」
F:「すでに痛いと感じる事さえできん!で、何でとどめを刺されねばならんのだ?」
和:「さっき『年だな』とか言ってたのは何所の誰だったっけ〜?」
F:「??????・・・・・・・ハッ!俺か!?」
和:「忘れとったんかい!!」
ドスッ、ザクッ、ヒュン、ゴリッ、コリコリコリコリ
F:「ギャァァァァァァアアアアアアアァァァァァァァァァァァ・・・・・・」
和:「なかなかしぶとかったわね。」
刀の突き刺さっているFEIDを見ながら感心したように言う和覇。
和:「いつもながらお見苦しいところをお見せしました。最後まで読んでくださった皆さん、ありがとうございます。こんな作者ですけど暖かく見守ってやってください。別にむかついたら殺してもかまいませんけど、どうせすぐ復活するし・・・では、また次回お会いしましょう。」
つづく(・・・・んだろうな。どうせすぐ復活するし)
代理人の感想
う〜む、ガイやハーリーなみの回復力を持つオリキャラはたまにいるが、
それ以上と言うのは作者でははじめてだな(爆)。
その内一寸刻み五分刻みでミンチにされてハンバーグにされそうだ(爆)。