機動戦艦ナデシコ 〜刀神〜

 

 

第0話

 

 

 

 

 

 

 

俺は一年ぶりにこの地へ訪れた。そう、一年前火星にいたはずのおれが気づいたらこの地にいた・・・

 

一年前 火星

俺が壁を破壊してきたの『バッタ』倒してほっとしたのも束の間、突如シェルターの扉を突き破って敵の無人兵器の大群が現れた。

 

「お兄ちゃん怖い。」

 

火星で知り合った少女アイチャンがしがみついてくる。

 

「大丈夫だよアイちゃん。」

 

大丈夫なわけが無かった。事実俺の手も震えていた。この時の俺は無力だった。こう言って上げる事しか出来なかった。

扉の奥からも無人兵器のセンサーアイが赤い光を放ちながら迫ってきていた。

 

「う、うわぁぁぁぁ!」

 

誰かの悲鳴が響いた。もしかしたら俺の悲鳴だったのかもしれない。周囲が青い光に包まれる。

 

そして気づいたら地球に居た。

 

「アイちゃん。」

 

周りを見回しても誰も居なかった。俺にしがみついていたはずのアイチャンも・・・

 

「くそおぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

 

「また、また俺だけが助かったのか!」

 

俺は地面を殴りつけた、何度も・・・

 

「くそっ!くそっ!くっそぉぉぉぉぉぉ!!」

 

「絶対許さないぞ!木星蜥蜴め!皆殺しにしてやる。」

 

「皆殺しとは面白そうなこと言ってるはね〜」

 

突然背後から女も声がした。

 

「だっ、誰だ」

 

俺が振り返ると長く赤い髪の女が居た。俺はあまりにその女が綺麗だったのでほうけてしまった。

 

「貴方、どうしてこんな所に居るの?こんな所にいちゃ、虫くらいしか『皆殺し』に出来ないわよ。」

 

女は物騒なことを言ってくる。最初に言い始めたのはおれだが・・・

 

「あんたには関係な・・・」

 

キンッ

 

「おねえさん聞かせてほしいな〜」

 

笑いながら、刀を首筋に突きつけてくる女・・・訂正、目は笑って無かった。

 

「はいっ!御話させて頂きます!!」

 

「よろしい。あっ、私は紅=和覇って言うのよろしくね。」

 

今度は本当に微笑みながら刀を納める女。

 

「テンカワ=アキトって言います。」

 

俺は名乗ってから話し始めた。両親が暗殺された事、火星での事、気がついたら此処にいた事、

そして木星蜥蜴の復讐したいが俺には力が無い事、そして火星を見捨てた軍には入りたくないこと。

 

「・・・・アキト君、あなた、私の弟子になりなさい。」

 

「へ・・・なっ、何でいきなりそうなるんですか。」

 

「私もそろそろ一人旅あきたし、弟子でもとろっかな−って考えてたし、それにアキト君かわいいし、

 アキト君自身も強くなりたいって言ってたし・・・・ねっ、何の問題も無いじゃない。」

 

「『弟子でもとろっかなー』って、そんな簡単に決めていいんですか?それに俺の相手は木星蜥蜴なんすけど。

 和覇さんがすごいのは身を持ってわかりましたけど。いくらなんでも、刀では切れないでしょう?」

 

「斬れるわよ。」

 

あっさりと言い放つ。

 

「へっ、何を。」

 

「木星蜥蜴の無人兵器を。」

 

「何で」

 

「刀で。」

 

「・・・ばかにしてます?」

 

「あらっ、そんな事無いわよ、実際斬ったことあるし・・・でもやっぱり生物のほうがてごたえがいいのよねー、こう、骨のゴリッとしたのが・・・・・

 

「あの・・・和覇さん・・・怖いんですけど・・・(汗)

 

「はっ、ごめんなさい。で、どうする?アキト君」

 

しばらく考え込むアキト

 

「アキト君、コックに成りたかったって言ってたわよね?中華でよかったら私が教えてあげましょうか?

 ついでに機動兵器の操縦も教えてあげるから、ねっ?」

 

言いながら、手を見せる和覇。たしかにIFSのタトゥーがある。

 

「わかりました。お願いします和覇さん」

 

和覇のしぐさががおかしくて微笑みながら言う俺。(アキトスマイル炸裂!!)頬を赤める和覇。

 

「アキト君私に任せて!絶対にあきと君を世界一の剣士兼、料理人兼、機動兵器ライダーにしてあげる。

 いえっ!してみせるわ!!!」

 

やたらと気合を入れて宣言する和覇。(アキトスマイル(別名ジゴロスマイル)の犠牲者第一号である。)

 

こうして俺は和覇のもとで流派四神滅殺を学ぶことになった。

 

ちなみに、和覇に年を聞いて本気で斬られかけた(ちょっと血も出ていた)事もここに記しておこう。

 

半年前

ここはとある森の中。俺と和覇の眼前には一機のチューリップがあった。

しかも、その『チューリップ』はまだ稼動中で、いまも『バッタ』や『ジョロ』といった無人兵器を今まさに吐き出そうとしている。

確かこの近くに街があったはずだが・・・

 

「しょうがないわね、とっとと逃げ出して軍に任せたいとこだけど・・・それじゃ街が全滅しちゃうか。アキト君!!」

 

「ハイ!」

 

俺と和覇は刀を抜く。二人とも二刀流だ。四本の刀はすでに気をまとって輝いている。

 

「四神滅殺 『烈光』!!」

 

俺の放った、光輝く真空波が数体の機動兵器を切り裂いていく。

 

「四神滅殺 『無幻刃』!!」

 

和覇が連続で『烈光』や真空波、気の塊を放つ周囲の無人兵器をなぎ払い、切り裂き、砕いている。

そのうちの一発が『チューリップ』に向かっていく。

 

キュゥゥゥン

 

和覇の放った『烈光』が『チューリップ』に当たる直前にディストーションフィールドにはじかれる。

 

「やっぱり『烈光』程度じゃ駄目ねー。」

 

「奥義クラスの攻撃でもかなり収束させないと・・・」

 

「わかってるわよ。」

 

・・・・・・・・30分後

 

「はぁ、はぁ、はぁ、やっぱりきついわねー。」

 

「和覇さん、俺、そろそろ気の余裕がなくなってきてるんですけど。」

 

「私も結構消耗してきてるし、このままじゃまずいわよねー。」

 

普通の人が聞いたら信じられないような会話をしている。こいつらと生身で30分も戦っていられること自体信じられないだろうが・・・

 

「アキト君、『チューリップ』までの道を作って。」

 

「和覇さん、『斬る』つもりですか?!」

 

「当然!流派四神滅殺に斬れないものは無いのよ!!」

 

「でも・・・」

 

「私のことが信じられないって言うの。」

 

「いえ、そういうわけじゃ・・・」

 

「じゃあかけましょう?前に私があげた御守り持ってる?」

 

「ええ、もってますけど・・・?」

 

「もしも私が死んだら、御守りの中に住所の書いてある紙が入ってるから、そこにあるはずのコンテナの中身をあげるわ。」

 

「そんな・・・死ぬなんていわないでくださいよ。」

 

「もしもよ!!私を殺したくなかったら全力で援護なさい。」

 

「でも・・・」

 

「それに連合軍じゃ『チューリップ』を落とせないし、このままじゃたすからないわ。」

 

「・・・わかりました。」

 

左手に持った刀を鞘に戻す。

 

「四神滅殺・奥義

    鬼神降臨」

 

極限まで伸ばした気の刃とともに刀をなぎ払う。木々と一緒に『チューリップ』との直線上にいた無人兵器が切り裂かれる。

俺は全身の気をほとんど使い果たし倒れる。最後に目に映ったものは巨大な漆黒の刃を構えた和覇の姿だった。

 

ドゴォォォォォォォォォォォン

 

爆風に吹き飛ばされる。そして俺は気を失った。

 

 

俺が目を覚ました時、あたりにはなぎ倒された木と無人兵器の残骸しかなかった。周囲を見渡すが動くものは無かった。

 

「また・・・・また、大切な人を守れなかった。」

 

確かに和覇との修行で復讐をすることが出来るほどの力を得た。才能があったのか、この半年で四神滅殺を免許皆伝まで習得できた。

料理の腕も上がったし、機動兵器の操縦も一部隊のエースていどにはなった。しかし、俺を鍛えてくれた人はもういない。

 

俺はこの時、和覇に合ってからはじめて本気で泣いた。

 

 

一週間前

 

俺は傭兵になった。強くなるには実践が一番だったからだ。一つの仕事を終え俺は日本に帰ってきていた。

 

「アキトさん・・・でよろしいでしょうか。」

 

男が俺に尋ねてくる。

 

「そうだが、仕事の依頼か?」

 

この半年で俺はずいぶんと有名になってしまった。世間では俺は『刀神』などと呼ばれているらしいが。

そのせいで近頃は仕事の依頼が向こうからくるようになったのは楽でいいがな。

 

「はい、そのとうりで・・・・あなたは生身での戦闘もさることながら、機動兵器の操縦もかなりの腕とお聞きしています。

 その両方を私共は買いたいのです。」

 

「機動兵器?軍か?軍の依頼は受けない。」

 

今までにも、何度か軍に入れという依頼(ほとんど命令だったが)があった。もちろん軍人なんかになりたくなかったので全て断ったが。

 

「いえいえいえいえ・・・私はプロスペクターというもので、ネルガルでスカウトを行っています。」

 

言いながら名刺を渡すプロスペクター

 

「プロスペクター?本名か?」

 

「いえ、ペンネームみたいなものでして…はい。」

 

ペンネーム?ふざけた男だ。だが軍人ではないようだな。

スカウトマンというのも怪しいが、動きに隙が少ないな・・・何らかの訓練を受けているのは間違いないだろう。

 

「で、一体なんのようだ?」

 

「実は我社で今、新型の戦艦を造っていまして、その戦艦の新型機動兵器のパイロットになってもらいたいんですよ。」

 

「その戦艦の目的は?それに新型の戦艦を軍が欲しがらない筈がない。俺は軍の管理下に入るのはごめんだ。」

 

「御心配なく。軍とはすでに話がついており、我々が行動の制限を受けることはございません。

 目的の方は・・・申し訳ありませんが、今はお教えすることが出来ません。」

 

目的は教えられないか・・・怪しいな。

 

「目的がわからん様な仕事につくほど俺は無用心じゃない。」

 

プロスペクターは困ったように長い間考え込み・・・・やがてため息をつきながら言った。

 

「わかりました、お教えしましょう。」

 

「!!何故そこまで俺にこだわる?」

 

簡単に言える様な事なら始めから教えているはずである。

情報を小出しにする意味がない今、そんな下手な交渉術をするような人物には見えない。

 

「実は我々の仲間にどうしても『あなたを雇え』という人が居りまして、

 分かっているでしょうがかなり上の人間なんですよ、その人というのが。」

 

そこまで俺にこだわる理由がわからないが・・・新型の機動兵器か、面白そうだ。

 

「わかったその依頼受けよう。」

 

「そうですか、ではお給料はこのくらいに・・・」

 

どこからともなく電卓を取り出して叩きだすプロスペクター・・・

俺にもどこから出したのか見えなかったぞ、オイ(汗)給料はかなりの高額だった。

流石に一流企業は違う。最も余り金には執着する性質ではないが。

 

「ああ、それでいい。」

 

「では、契約書をどうぞ」

 

またもどこからともなく契約書を取り出すプロスペクター・・・・クソッ、また見えなかった。

 

「けいやくしょ?ああ、久しぶりに見た。」

 

この頃成り行き上依頼を受けることが多かったせいか、契約書などいちいち書いてなかったのだ。契約書を読む俺。

 

「何で男女交際に関する表記がこんなに小さい文字になっているんだ?」

 

「あまりその辺は気にしないでください。」

 

まぁ、ばれなければいいわけだし良いか。

 

「わかったこの条件でいい。」

 

契約書にサインする。

 

「で、何時,何所に行けばいい?」

 

「一週間後に佐世保ドックにきてください。」

 

「一週間後?ずいぶんと急だな。」

 

「すいません、アキトさんを見つけるのに時間がかかってしまいまして・・・」

 

「わかった。そうだ、荷物に機動兵器用の装備を積んだコンテナがあるんだが。任せても良いか?」

 

「わかりました、こちらで搬入しておきましょう。では一週間後に・・・」

 

こうして俺はネルガルの新造戦艦に乗ることとなった。

 

 

 

 

 

 

後書きのようなもの・・・・ついでに技の解説(笑)

 

「皆さんこんにちは作者代理のKこと紅 和覇です。」

 

「・・・・・(本文を読んでいる)FEIDでてきなさい!!!」

 

「ハッ、ハイ。なんでしょうか?」

 

「あら、生きてたの?まぁいいわ。」

 

「『まぁいいわ』って、復活してこれ書くのにドンだけ苦労したか・・・(涙)」

 

「そんなことより、この展開は一体なんなわけ?

 ここは『チューリップ』を倒した私が、アキトとラブラブな展開になるに決まってるじゃない。」

 

「『ラブラブな展開』て、あんた・・・それじゃプロローグにつながらない・・・」

 

「うるさい、『空波』」

 

ゴッ・・・・・・・グシャ

 

和覇の刀から放たれた衝撃波が作者を壁に叩きつける。

 

「『光波』」

 

カッ・・・・・・・・・・グジュ

 

和覇の刀から放たれた気の固まりが作者の左腕を吹き飛ばす。

 

「スッ、すまん。もお、ゆるしてください。」

 

「問答無用!『烈空』」

 

ヒュン・・・・・・スパッ・・・・ブシューーーーーー

 

和覇の刀から放たれた真空波が作者の右手の肘を半ばまで切断した。切り口から大量の鮮血が吹き出る。

 

「血管をつぶさずに切ったからなかなか血はとまらないわよ。(うれしそうに微笑んでいる)これはおまけね(はーと)・・・『烈光』」

 

キューーーーーーーーン・・・・・・・ゾゴッ

 

和覇の刀から放たれた気を纏った真空波が後ろの壁ごと作者の上半身と下半身を分離させる。

 

ズルッ、グシャ(作者が壁から落ちた音)

 

「どお、プロローグを書き直す気になった?」

 

「両手を使えなくされた上、下半身を失っている俺に書けと?」

 

「それもそうね・・・じゃあ憂さ晴らしさせてもらうわね。(はーと)・・・・『無幻刃』」

 

和覇が刀から『空波』、『光波』、『烈空』、『烈光』がランダムに連続して放たれる。

 

ベギッ、グシャッ、ザクッ、メキッ、ゾリッ・・・・・・・・約十分間惨劇が続けられる。

 

「ふう、もう原型がなくなっちゃたわね。」

 

言いながら刀を鞘に戻す和覇、その視線の先にはかつて人だったものが落ちている。

 

「技の解説をかねたお仕置きはこのくらいにしといてっと、一応いま使った技は流派四神滅殺の中では基本の技なの。

 奥義とかに関してはまた今度ね。」

 

「ゴ・・・・・ギュ・・・・・」

 

「後ろの物体が何か言ってるみたいだけど、これで終わるわね。」

 

「それではまた次回、お会い出来たら会いましょう。最後に、読んでくれてありがとね。(はーと)」

 

去っていく和覇、後にはうごめく物体が残されているのみである。

 

続く・・・(作者が復活できたら)

 

 

 

 

 

 

 

管理人の感想

 

 

FEIDさんからの投稿です!!

うお!! 機動戦もありなのか?

それよりFEIDさん・・・あんた、漢だね(笑)

Benもここまで自キャラに折檻を受けた作者を知りませんよ(苦笑)

でも、ネルガルの上層部にいるアキトに執着する人物って・・・誰なんでしょうね?

 

それでは、FEIDさん投稿有難うございました!!

 

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