自らをモンタギューと呼ぶ男が、ふざけた声で俺に問う。

「で・・・・、君はいったい何なんだい?」

 

NADESICO in PHANTASY STAR
THE DARK SOUL
第1部 -PHOTON MANAGER-  2話 とまどい

 

 

「俺は地球という惑星から来た物だ。」

「地球?

聞いたことはないねぇ。

ただ、分かることは私が知らないと言うことだから、かなり遠いところにあるんだろうね。

で、どうやってここまできたんだい。」

まあ、当然だろう。

俺もここを知らないんだからな

 

「ボソンジャンプだ。」

「ボソンジャンプ?

ん〜〜

つまりいったんボース粒子に変換してからどこかで戻すって方法かい?」

「ほぉ、ボソンジャンプを知っているのか?」

おれは感心した。

ふざけてはいるようだが、ちゃんとした学者なんだな

「いや、ただボソンという言葉が出たからね。

だいたいこんなところじゃないかとね。」

「なら話は早いな。」

「で、君はジャンプ事故でここに来たということかい?」

「ああ、自分がいつのどこにいるのかすらわからん。」

「あれ・・・君は今、『いつ』のどこでといった?」

俺の何気ない言葉に、博士の目が光る。

「ああ、それがどうした?」

「つまり、時間を超えたかも知れないってこと?」

「ああ」

「・・・・・すごいねぇ。

君たちの技術力はすごいねぇ。

ボソンジャンプは時間移動もできるのかい?」

「知らないのか?」

意外だった。

俺の体を意図もたやすくなおし、なおかつ瞬時にボソンジャンプを理解した

科学者がボソンジャンプの時間移動を知らないなんて・・・・。

「どうやってやるんだい?」

博士の目は爛々と輝いている。

「いや、俺達はボソンジャンプのことはいまだよく分かっていないんだ。

遺跡を使って、ジャンプしているにすぎない。」

「つまり、よく分からない物を適当に使っているだけと・・・・

・・・・まぁ世の中そんなものだろうねぇ。

とりあえず使えればいいと言う考え方はよくないと思うんだけどなぁ。

まぁ、一般人はそれでいいんだろうけどね。

で、きみはジャンプの制御に失敗してここに飛んだと言うことかい?

ほぼ無限にある真空の空間ではなくて、ちっぽけな惑星の中にジャンプしたってことだね。

運がよかったねぇ、うん・・・・それこそ天文学的数字だよ。

いや、もしかしたら君たちが使っている遺跡とやらには、

ジャンプミスに対しての安全装置があるのかも知れないね。」

 

「ああ、詳しくは俺にもわからん。」

 

「ふむ、やはり君は興味深いよ。」

「あのぉ、視力は回復していたとおもうんですけど。

アイマスクはずします?」

「ああ、そうだった。

しばらく起きないとばかり思っていたから、とるのを忘れてたよ

そうしてくれ、エルノア」

 

エルノアらしき気配が近づき、俺の頭に触れたとたんまぶしさのあまり目を細めた。

 

「はい、これで目が見えるはずですよ」

「ああ、ありが・・・・」

俺の目に飛び込んできた物は、俺の思考を停止させるのに十分だった。

目の前には鋼鉄に包まれた無機質な仮面が俺をじっと見つめていた。

ろ・ろろ・・ロ・・・・ロボット?

「大丈夫ですかぁ?

私がみえますかぁ?」

ピンクの外装に真っ白い肌、エルノアと呼ばれるロボットはじっと俺を見つめている。

「ふむ、目は見えているようだけど、驚いているねぇ。

アンドロイドは初めてかい?」

こくり

俺は首を振ることしかできなかった。

「ふむ、君が着ていた鎧を調べて僕が知らない技術がいくつか見つかったけど、

遺跡とやらから転用した物かな?

アンドロイドに驚いているところを見ると、それほど技術力は進んでいないようだからね。」

 

「じゃぁ、私が初めてのアンドロイドなんですか?」

こくり

まだ声が出せるレベルに、俺の精神は回復していない。

「ふふ、じゃぁアキトさんの初めてのアンドロイドは私なんですね。」

「ああ、アンドロイドを見たのは初めてだよ。

工業用のロボットなら知っているが・・・・」

「ふむ、まぁ君の世界の技術力はだいたい分かるよ。

君が着ていた服やら武器なんかを調べてみればね。」

「そうか・・・・」

俺はモンタギュー博士の声に振り向いた。

そのとき俺は2回目の思考停止に追いやれた。

 

ピエロ・・・・・・・・・・・・ピエロだ・・・・

 

そこには、ピエロの服を着た変人が椅子の上に座っていた。

これが博士?

天才と何とかとは紙一重だと言うが・・・・・

そうなのか?

 

「なんだい、僕がニューマンなのにも驚いているのかい?

まぁ君たちの技術力ではまだまだ遺伝子改造も満足には行えないだろうからねぇ」

「ニューマン?」

「ああ、ヒューマンの遺伝子を利用して作られた新人類のことだよ。

だいたい、耳が長いのが特徴だね。」

ああ、そういえば博士の耳は長い。

でも、俺はその服に驚いた。

耳の事なんて全く気が付かなかった。

 

「ふむ、もう2・3日安静にしていればだいたいよくなると思うよ。

まぁもう少しいろいろと詳しく聞きたいし・・・・」

 

「ああ、まだ体に力が入らない。

ところで、俺が助けられたときの状況を聞きたいんだが?」

 

「ふむ、君を最初に見つけたのはエルノアと、エルノアの友達だったかな?

エルノアによると、君はラグオルにある遺跡に突然現れたらしいよ。

まぁくわしくは、エルノアにきいてくれ。」

 

「すまない、俺が現れた状況を教えてもらいたい。」

 

「はいぃ、えっとぉ、私は博士のお手伝いにフィラさんと

遺跡エリアにデータ収集にいってたんです。」

「フィラ?」

 

「はいぃ私の友達ですぅ。

博士のお手伝いを手伝ってもらってたんです。

で、突然テンカワさんが現れたんです。

ちょうどそのときモンスターがいっぱいあらわれて、

私とフィラさんで一生懸命戦ったんですぅ。」

「ここに俺がいると言うことは、その戦いには勝ったんだな。

で、君たちには怪我はなかったのかい?」

「はうぅ、フィラさんが少しだけ・・・・

あ・・・・大したこと無かったですよ。

ただ、お気に入りの帽子が破れちゃって・・・・」

「で、君のついでに・・・・じゃないな。

帽子のついでに君が運び込まれてきたというとだよ。」

「ん?」

帽子のついで?

どういうことだ?

 

「あぁ、

テンカワさんを助けたのはいいんですが、アキトさんは瀕死の状態だったんですぅ。

で、メディカルセンターに行ったんですけど、

メディカルセンターでは治せないっていわれたんですぅ。

そのときに、ちょうどフィラさんが、

帽子が壊れたから、モンタギュー博士になおしてもらうから

そのついでに、アキトさんも見てもらおうって・・・・。」

 

「ふふ、なるほど俺は帽子のついでか・・・・

で、その帽子は直ったのか?」

「はははは、僕を誰だと思っているんだい?

もう完全に元に戻っているよ。

いやちょっと改造させてもらったよ。

これで精神力が大幅に上がるはずだ。」

博士の指さす方には、訳の分からない物があった。

三角錐の先が二つに割れて、二つの割れた先には丸い飾りが付いていた。

これが帽子か?

これをかぶっているフィラという人間は、

どうやら博士と似通った思考の持ち主らしいな。

 

「はっかせぇ(はーと)私のぼんぼん直ったぁ?」

「なんだ?」

「あぁ、フィラさん。

こんにちわですぅ。」

「ああ、フィラくんかい(

ああ、帽子の方なら直っているよ。」

 

 

俺はいま夢の国にいるのだろうか?

 

もしかして、今見ているのはただの悪い夢なんじゃないのか?

 

それともこれはただの幻覚か?

 

俺はドアの前に立つ人物を見て

 

現実と幻想の境を彷徨った・・・・・

 

 

 

 

 

「私のぼんぼん〜〜

かわいいぼんぼん〜〜

青い髪の少女は帽子らしき物を手に取ると、

幸せそうに頬をすり寄せていた。

 

「フィラさん〜〜

男の人、目をさましたよぉ。

お名前はテンカワ アキトさんって言うんだそうです。」

 

聞いちゃいねぇ。

フィラらしき人物は、帽子に夢中で何の話も聞けていなかった。

ん?

何かに気が付いたようだ。

長い耳をピンとたてて、俺の方を向いた。

トコトコトコ・・・・

まるでこんな効果音が付くかのような足取りで、

俺の前にやってくるといきなり手を差し出した。

 

ふむ、一応助けられたのだしお礼を言った方がいいのか?

俺が何を話そうか迷っていると彼女が突然一言・・・・・・

 

「修理代・・・・」

・・・・・・・・・・

なんじゃそりゃぁ〜〜

 

「あ・・・・博士、そういえば修理代いくら?」

 

「いやいいよ、テンカワ君は実に興味深い人物だからね。

まぁ、帽子の修理代ぐらいなら僕が肩代わりしてあげるよ。」

 

「・・・・・・・・・・(赤面

え?

この男、博士の趣味ですか?」

 

「ん?趣味?

まぁ、興味があると言ったところかな?

それがどうしたんだい?」

「・・・・・・・・・

へぇ、博士ってホモなのかぁ・・・・

博士、見た感じそうだもんねぇ。」

「お・・・・おい」

話についていけんぞ・・・・

「ん〜〜、僕はあんまり恋愛感情は持たないんだけどねぇ。

強いて言うなら、研究かなぁ。」

「お・・・・おい()、勝手なことをぬかすな!!」

これ以上話を続けさせるといろいろややこしくなると俺は直感した。

「うぅぅぅ、こわいぃぃぃ()」

いきなりフィラの目から大粒の涙がこぼれた。

少し言い過ぎたか?

「あうぅ、フィラさん大丈夫ですかぁ?」

「すまん言い過ぎた。」

俺が謝ると、びっくりしたような顔をしてまた手を差し出す。

 

「い・しゃ・りょ・う 

 

 

あとがき


フィラ  「懲りずに第2話だよーん」
エルノア 「あのぉ、どうして私がここに?」

フィラ 「いいからいいから、
     さて今回は私フィラたんの登場でーす。」
エルノア「出しゃばりですね・・・・」
フィラ 「あううぅ、いいの。」

エルノア「ところでこの話はVer2の話なんですか?」
フィラ 「うーんとねぇ、今回の設定はVer1とVer2の間のお話なの」
エルノア「・・・・間ってわかんないんですけど?」
フィラ 「読んでいくうちにわかるとおもうけど・・・・
     ちなみにこの小説の時間ではVer1だよ。
     ただチャレンジとかVer2のクエストはでてくるけどね。」

エルノア「はぁ・・・。
      でもこの小説、専門用語多いですよね。
      読者さん分かりますかねぇ。
      ここのHPではPSOやってる人少ないみたいだし・・・」
フィラ 「はうぅぅ」


あ・・・・あれも続けなきゃダメ?(笑)
(代理人さん感想ここにどーぞ)

代理人の感想

今明かされる意外な事実!

フィラさんは(少なくとも外見は)女で耳が長い!

そして怒鳴られれば涙ぐみ、

男と男を見ればカップリングを考える腐女子回路の持ち主だった!

僕らはだまされていたのかっ!

なぁんてこったぁっ!

(信じないよーに)

 

BACK ROOM NEXT