三軍神の邂逅

出会い〜1〜

「あーあ、見つかんないし・・・」

真昼の公園の真ん中で、男が一人苦悩していた。

多瑠研究所所属、市川助手だ。

前回の指令から三日が過ぎた。

しかし、未だに操縦者の、その字も見つかっていなかった。

「大体、地球との戦争真っ只中の今、本国にそんな優人艦長クラスの軍人いるはずがないし・・・あーあ・・・」

ため息が深く出る、

「あ、約束の時間だ。そろそろ行きますか・・・」

そう言うと市川は、重い腰を上げた。

 

「なるほど、テストパイロットを探しとるんか。」

「はい、能力第一で・・・」

市川は木星第五士官学校の門をたたいた、軍関係の心当たりにはすべて断られたため、士官候補生に手を広げてみたのだ。

「しかしな、ここにはまだヒヨッコしか居らんしなあ。」

第五士官学校校長、岡村校長は顎鬚を撫でながら答える。

「そこを何とかお願いできませんでしょうか。」

市川もここで食い下がる。

「ヒヨッコの優秀なのでもまだまだ・・・優人の足元にもおよばんで。それじゃだめやろ?」

岡村校長が微妙な関西弁で返す。

「そうですか・・なら失礼します。」

市川が席を立ち、肩を落としながらドアに向かい手をかけた時、岡村校長が思い出したかのように声をかけた。

「なああんた、さっき能力第一っていっとったよな?能力があればどんなのでもいいんかい?」

「ええ、まあ・・・」

「ちょっとまちい。」

そう言うと岡村校長は、棚からファイルを取り出し、三枚の紙を取り出した。

「これは?」

「卒業者ファイルや。ちょっとこっちきてみ。」

市川がもう一度席に戻ると、三枚の紙を手渡された。

「性格無視ならその三人は、操縦技術、武術、戦術は木連屈指や。三羽烏にも勝てる!」

「なんか・・基本五教科の成績が1しかない奴や、追伸欄にサワルナ!キケン!って書いてある奴がいるんですが・・・」

「しゃーないやん、天は二物を与えず・・こいつ等なら自信を持って薦められる!」

「わかりました。で、この人たちは今?」

「バイトやっとる。」

「は?」

「いやなに、一応軍属なんやが・・・上官三人連続でストレス性の胃潰瘍になってな。だ〜れも引き取り手がおらん、無職同然や。だから、バイトで食いつないどる。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「今ちょうど購買に富士がおる、その二枚目の書類の奴や、善は急げ、行ってみようか。」

「・・・・はい。」

さっきより暗いオーラを放ちながら、市川は岡村校長についていった。

 

「カレーパンひとつ!」

「こっちは焼きそばパン!」

喧騒の購買部の中にひときわでかい男がいた。二メートル近い身長、黒髪のオールバック、細目の大魔神・・・その男は割烹着を着て、飢える生徒たちと死闘を繰り広げていた。

「はいよ、カレーパン150円。おい!メロン頼んだ奴!10円たんねーよ・・・・」

なかなか上手に客をさばく。喧騒の遠くで市川と岡村が彼を見つめていた。

「彼ですか?」

「そうや。」

「帰っていいですか?」

「まあまあ、だいじょうぶやから。いやーでもあいつが最初で良かったなあ。三人の中で一番マシやで?」

確かにファイルに目立った記述はない、

「・・・・・・・・・・・・・・・」

しかし、市川にもう答える気力はなかった。

 

「なるほどな。つまり俺らをスカウトに来たと、そういうことだな?」

「はい、そうなんです。で、いったい何処に向かってるんですか?」

昼休みの死闘終了後、市川は校長に富士信也少尉を紹介された。詳しい事情説明はまとめて聞く、ということで、概説を聞きながら富士と市川は三人のリーダー(自称BY富士)大島克明少尉の仕事先へ向かっていた。

「もうすぐ・・・・ほら、あそこだ。」

「アレですか・・・・・・」

視線の先では、きぐるみのゲキガンガー3ショーが行われていた。

「ゲキガンフレアー!」

「ギャー!!!!」

敵ロボット役が派手に吹っ飛び、エンディングテーマが流れる。

「は〜い、みんな。楽しんでくれたかなぁ?」

国分寺ナナコのコスプレをしたおねーさんが、舞台脇から出て、観客の注意を引く。その隙に敵ロボが引っ込む。

「終わったみたいだな。いくか。」

富士が楽屋に向かい動き出す。

「アレの中に入っていたんですか・・・・・・」

少し不安げながらも市川はそれに続いた。

 

「ふう〜〜〜〜〜」

楽屋で、敵ロボットが頭をはずす、中から男が顔を見せた。続いて、着ぐるみを脱ぐ。髪は長めのくせっ毛、手入れをしていないため所々跳ねている。少し低めの中肉中背、顔は上等の部類に入るだろう、しかし作りが若いため美男子と言うより美少年に近い。

「あ〜きっついな〜この仕事。」

ガチャッ

「大島、居るか?」

ドアを開け、富士と市川が楽屋に入ってくる。それを見た大島は、

「フランケンシュタイン対ゲキガンガー3のリハでもやるんかい?」

とからかう。フランケンシュタイン・・・じゃなくて、富士はそれを聞き睨み付ける、

「おい・・・・・・・・・」

大島は少しあわてた様子で

「冗談冗談!にらむなにらむな!で、何でここに?学食の引きにはまだ早いし・・・それに、その兄ちゃんは?」

言い訳と疑問を同時にぶつけた。

「うむ、実はその事で話が・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

大して気にもしていなかったのか、富士が改めて話を切り出した。 





大島が叫んだ、

「ここだ!」

「ここですか?」

三人は、ボロアパートの前に立っている。最後の一人、諏訪成晃少尉はバイト休みのため自宅にいる。そのため、三人が共同で住む部屋にきたのだが・・・・

「?、なんでいぶかしんでんだ。」

「いや、軍の寮とかにすんでるのかと・・・・・」

「追い出された!」

なぜか、自慢げに大島が叫ぶ。

「追い出されたって・・」

「すまん。聞かないでくれ・・・・・・・」

富士が涙ながらに言うため、詮索はできなかった。

「ま、いいじゃん。それよりも・・・」

「助けてくれ!」

大島の言葉を遮る様に、叫び声が響く。

「あ?」

「ぬう・・・・・」

「?!?!?!?」

三人の目の先には、路地から這い出てくる血塗れの男がいた。

「警察呼んでくれぇ!こいつ狂って・・・・うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

セリフの途中で、路地から出てきた手に引き戻される。

ゴスッ       バキッ          グシャッ

いやな音がした後、先程とは違う男が歩いて来た。手入れが0の長髪、引き締まったからだ、端正な顔立ち、まさに美男子と言えるだろう。しかし、眼、血に飢えた獣のような目が男の雰囲気を近寄りがたいものにしていた。

「いっちゃん。あれが諏訪だよ。」

大島が市川に解説するが、

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

いっちゃん=市川が考えてたことは一つだった。

(ほんとにこの人たちで・・・・いいのかな・・・・)

〜続く〜

 

 

あとがき

第二回です。・・・・・・というか、ナデシコほとんどでてねえし・・・・・・・いいのかな?キャラの詳しい書き込みは次回に・・・・・          

 

 

 

代理人の感想

取りあえずはまぁ、人探しと。

話としてはそれで終りなんですが、文章の所々で前後のつながりがわかりにくい部分が目立ちました。

例えば

 

>ドアを開け、富士と市川が楽屋に入ってくる。

>「大魔神対ゲキガンガー3のリハでもやるんかい?」

 

ここの台詞、誰がどう言う風にいったのか一瞬分かりませんでした。

地の文で「富士がからかうように口を開く」といった描写を入れるか、

誰のものか一目で分かるようなセリフにするべきだったと思います。