闇の中、声が響く。
「くさり・・・・・おもいよ・・・・・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・大島
「校長!何で・・・・テストパイロットに?」
大島・・・・大島・・・
「あのバケモンの・・・・生け贄に・・・・されたのか!?」
大島・・・・・・・・・・・・・・
「ふざけ・・・な!黒・・・・!おまえは・・ク・・・・ム・・・・・ンなんかに・・・・身を・・・・」
大島ぁ・・・・起きろ!
バキッ
「うおわぁ!」
意味不明の声をあげ、大島は飛び起きた。目の前には、富士が立っている。拳を握っているところから見ると、起きなければ、もう一発ぐらい行く気だったようだ。
「起きろ、研究所についたぞ。」
連絡船の窓の外は、ドックだった。大島が感嘆の声を上げる、
「おお!着いたかって・・・・・・なあ・・・もうちょっとやさしく起こしてくれよ・・・」
思い出したかのように、富士に問いかける。
「まあ、悪夢治療の荒療治だ。気にすんな。・・・・諏訪や市川は先に行った、俺等もいくぞ。」
そう言い残すと、富士はさっさと連絡船から出て行った、うなされていた大島への彼なりの気遣いなのだろう。後に残された大島は、
「・・・・なぜ今・・・・・・・思い出させる・・・・・・」
誰とも無しに呟いた・・・・・・・・
三軍神の邂逅
出会い〜2〜
「と言うわけでして・・・・・・・」
市川が多瑠博士の前で事情を説明している。大島、富士、諏訪は申し訳なさそうに、市川の後ろに立っている。
「なるほど・・・つまり・・・・・」
頭を抑えて、多瑠が口を開く。
「交渉云々以前に、そこの諏訪が、暴力事件を起こした。」
諏訪の肩が心なし縮まる。
「まずい事に、かなりの重症だった。」
コク コク
大島が、首を振りうなずく。
「諏訪だけでなく、監督不行届きで大島、富士まで捕まりかねない。」
「ハ・・・・ハハハ・・・・・」
富士が乾いた笑みを浮かべる。
「んでとりあえず、足がつき難いココに逃げてきた・・・そういうことだな。」
「はい・・・・どうにかなりませんかね・・・・・」
市川が申し訳なさそうに聞く。
「う〜む、とりあえず、その暴力事件・・・・なぜ起こった?」
多瑠が諏訪に、問い質す。
「・・・・・奴等・・・・・女を・・・・・・・マワそうとしていた・・・・」
諏訪が、一文字一文字搾り出すように答える。
「なら、別に問題ないじゃねえか。犯罪の抑止でよ。」
「しかし、早々うまくいかないんす。」
納得しようとした博士を、富士が引き止め、言葉を続ける、
「犯罪の立証に必要なのは被害者です・・・しかし・・・途中で逃げたらしくて・・・」
そこに、大島がフォローするかのようにつっこむ、
「諏訪の喧嘩は、凄惨だから・・・・初見だったら、俺でも逃げるわ。」
諏訪が反論のため、口を開く、
「10対1の・・・・正当防衛だ・・・・」
しかし、
「あの現場みたら・・・・・・どんな裁判官でも過剰防衛で裁くな。」
「歯がなくなった奴や、衣類が全て真っ赤になった奴もいたしな〜」
大島、富士の突っ込みで反論は潰された。
「・・・・・・・・わかった、何とかしてやろう。」
多瑠が、一言呟いた。
「いや〜助かったな〜。特殊任務扱いにしてくれて。おかげで、しばらく軍に出頭しなくてすむもんな・・・でもあのオッサン、そんなことできるほどエライんかねえ?」
大島が気楽に、富士に問いかける。あきれた顔で、富士が問い返す、
「お前・・・あの人・・・覚えてないのか?」
「はっ?富士、会ったことあんの?」
「・・・・・・・教科書に載っていた・・・」
諏訪が話に参入してくる、
「・・・・ジンシリーズを・・・人形から・・兵器に変えた男・・・」
「有人兵器の立役者だ、たぶん軍にも強いパイプがあるな。」
富士が説明を補足する。
「ふ〜ん、でもよ、何でそんな偉いのに助手と二人っきりでこんなトコに?」
大島が当然の疑問を口にする。
「・・・・・天才の考えは・・・わからん。」
諏訪が答える、この口調はどうやら地らしい。
「みなさん〜、シミュレーターの準備ができました〜。」
市川の作業完了の声が響いた。
「何でシミュレーターなんだ?こんなショボイのりよさっさと乗ろうぜ、新型に。」
「ダメです。あなた方にはしばらくこちらで訓練していただきます。」
はやる大島を市川が引き止める。
「え〜〜〜、早くのりた〜い。」
大島が駄々をこねる。しかし、
「ダメです。」
市川は、取り付くしまもなく断る。
「そんな〜・・・・」
凹む大島。そこに富士、諏訪が助け舟を出す、
「まあまあ、しばらく俺等も機動兵器に乗ってなかったしな?」
「・・・リハビリだと思え・・・・・・」
大島は憮然とした顔をしていたが、
「・・・わかったよ。そんなら・・・いっちゃん!さっさとスタートだ!」
一気にテンションを上げる。
「(切り替え早いし・・)それではいきます。出てくる敵を、どんどん倒してください。それだけです・・・スタート!」
「はいよ!」
「了解!」
「・・・・いくぞ・・」
市川はシミュレーターを作動させ、三人の返事を確認し、部屋を後にした。
市川が博士のいるドックに、市川が帰って来た。
「博士。三人をシミュレーターに入れてきました。」
任務完了を告げる市川に、タ瑠が思いがけないセリフを言う、
「そうか、ご苦労さん。・・・次はお前だな。」
「はっ?」
市川が間の抜けた顔になり、多瑠が嬉しそうに言葉を続ける。
「いや〜戦艦開発部の連中に地球でのデーター収集について話してみたらな、データー供給を条件に試作型の強襲偵察艇とメンテ用のバッタ貸してくれてな。」
「あ〜なるほど地球に・・・って地球!何ですかソレ!聞いてないですよ!」
「あれっ?言ってなかった?」
「聞いてないです!」
「まあいいや・・・やっぱアレだろ?生きたデーターは実戦じゃないとなぁ?」
「なぁ?じゃないですよ!第一、戦艦って・・誰が動かすんですか?」
「お前に決まってんだろうが。」
「えっ?」
「大丈夫!お前がやるのは大体の艦内制御ぐらいだから、後・・・整備もか。」
「いやそうじゃなくて・・」
「小さい艦だしバッタが手伝ってくれるからどうにかなるだろ。」
「・・・・・・」
「ああソレとデーター収集もな、これ忘れたら何にもならんからな・・あ、戦闘指揮は三人に任せろ、さすがにお前じゃきついから」
矢継ぎ早に、多瑠は仕事を突きつけた。しかもまだ続ける、
「じゃあ、お前もあの三人に続いて特訓だ!」
「トックンデスカ・・・・・?」
「口調が変だぞ?まあいい今から連絡艇に乗って、本星近くの宙域に行って来い。そこで戦艦技術の全てを仕込んでもらえる。あ、遺伝子処理もだ。さあ、行って来い!時間がねえぞ!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ハイ。」
口調が変なまま市川は、いつぞやより肩を落として研究所を出て行った。
目の前に白い戦艦が見える、それを守るかのように、四体の人形兵器がいる。
『赤』、『青』、『黄』、『水色』・・・なかなかカラフルだ。
そこに、テツジン、マジン、デンジンの三体が襲いかかる。
それを察知したのか、『青』がいち早く三体に突っ込み、迎え撃つように、デンジンが当たりに行く。
ドガッ
二体は正面衝突するが、ウエイトの差でデンジンが打ち勝ち、『青』がよろめく。そこにマジンがコクピットめがけ、パンチを打ち込む。
『青』の動きが止まる。
それを機に、戦艦と『赤』『黄』『水色』が一斉射撃を仕掛ける。打ち合うマジンとデンジン、テツジンはその陰に隠れ、機を狙い『水色』の目の前にジャンプする。銃の弾交換のためスキだらけの所に、ゼロ距離のグラビティブラストを打ち込む、それと同時に右手のロケットパンチを『黄』に放つ。
ほぼ同時に吹き飛ぶ、『黄』と『水色』。
残った『赤』が片腕のテツジンにナイフで襲いかかる、しかし目の前にデンジンが現れ『赤』の両肩を掴みジャンプする。少し先に現れたデンジン、
その手の中にはズタボロの『赤』がいた。
裸の戦艦のブリッジの目の前にジャンプするマジン、そこで全兵器を放出する。
吹き飛ぶブリッジ。
戦闘は終わった。
(ふむ・・・戦神抜きで、火星突入時の能力とはいえ・・・ナデシコを落とすか・・・・)
シミュレーターの扉が開いた。テツジンのシミュレーターから大島が出て、マジンのシミュレーターに話し掛ける、
「お前エグイな〜、コクピット狙うわ、無防備なブリッジに全弾発射するわ・・・もっとスマートにいけよ。」
マジンのシミュレーターから出てきた諏訪が言い返す、
「・・・・ゼロ距離で・・・重力波砲を打ち込む奴に・・・・言われたくない。」
二人の距離が縮まり、
「あん?文句があんの?」
「・・・・・たくさんな・・・・・・・・」
一気に喧嘩腰になるが、それをデンジンのシミュレーターから出てきた富士がとめる。
「まあまあ・・・・お前ら落ち着け、どうせ2人ともエグイんだからよ。」
「「お前が言うな!!」」
2人に同時に突っ込まれながらも、富士が言い返す、
「俺が何をした?」
「飛ぶなよ!相手は跳躍処理してねえんだぞ!」
「・・『赤』の・・・中身は・・・ミンチだな・・・お前が・・・いちばん・・・酷い。」
「うるせえ!お前等に言われたくねえよ!」
「何い・・・」
「・・・・・・・・・・」
三人参加のバトルロイヤルが開始寸前となったが・・・・・
「お〜い、お前等、いい加減俺に気付いてくれ〜、シミュレーター開けたの俺だぞ〜」
多瑠の、所在なさげな声で中止になった。
「ま、合格だな・・・・三日でここまでか、上等だな。」
多瑠が三人にいきなり言い放つ、
「まあ、ココでついにお前等は、供給されるテスト機に乗るわけだが・・・・」
「博士〜質問です。」
大島が遮る様に質問する。
「あん?何だ?」
「テスト機って・・・まさか巷で噂の、三機合体の妙に関節の弱い奴ですか?」
「なんだそりゃ?そんなんじゃない・・・・まぁいい、とりあえずこれを見ろ。」
スイッチと共にスクリーンに映像が映る、それは最新のナデシコの戦闘録映像だった。
とりあえず、呆けたように見つめる三人、それは映像の終了まで続いた。
「ありえないし。」
「もしさっきのシミュレーターもアレだったら・・・『青』とぶつかったときに、俺死んでるな。」
「・・・・・・性能差がありすぎる・・・・」
三者三様好き勝手に喋る。
「え〜い、落ち着きやがれ!俺があの連中にも負けない性能のジンを作った!」
「「「できんの?」」」
「三人同時につっこむんじゃねえ!俺を信じろ!・・・スイッチオン!」
スイッチを押すと同時に格納庫の三機がスクリーンに映る。
「・・すごい・・・・・」
「・・これなら・・・・」
「・・・いける・・・・」
唖然とする三人に、多瑠が勝ち誇ったように宣言する、
「今までのジンは所詮ジン(人)こいつ等はジンといってもジン(神)だ!」
おまけ
三人が市川不在に気付いたのは一週間後、地球に旅立つ直前だった。
三人「「「いなかったの!?」」」
市川「仕事・・・・・変えようかな・・・・・」
〜三軍神の邂逅〜 〜了〜
後書き?
「やあ!みんな!俺はココのコーナーをこれから担当する、スパット参上!スパット解決!人呼んでさすらいのヒーロー!解説スパット!!だ!
誰だよって?ヒーローの正体は秘密だ!!」
「大島〜飯だぞ〜」
「本名呼ぶんじゃねえ!」
「オホン、・・・このコーナーは本編の補足をするコーナーだ!オリジナル機体のスペック等を俺、スパットが解説していくぞ!・・・・・・今日は特にないな・・・・・
あっ、次回予告があった・・・今までの憂鬱、邂逅は序章で・・・・次回から本編、『三軍神参上!』に入るらしい、今日はこれしかない!
じゃ!また次回に会おう!」
「大島〜早く来ないとなくなるぞ〜」
「おい、俺の分残しといて・・・・」
代理人の感想
本気で確信犯かっ(爆)!>三軍神参上!
それはともかく、ジンでエステバリスを圧倒するとは、こりゃまた凶悪な。
真・ジンタイプの能力に否が応でも期待が高まりますね。
次回はガチンコ勝負?