三軍神参上!
第五話B
バシャァァァァァァン!
海中から奇襲をかけた『ジュウジン』ともつれ合う形で『ブローディア』は海中へと連れ込まれた。
「ちっ・・・してやられたか。」
『アキト兄!前!』
『ブロス』の声がコクピットに響く、前を見ると『ジュウジン』が組み合った状態のまま、牙を剥き出し噛み付こうとしていた。
「調子に乗るな!」
『ジュウジン』の腹にニーを打ち込む、二発、三発、たまらず『ジュウジン』は手を解き一度『ブローディア』から離れていった。
「・・・・逃げたか。」
『アキト兄!周りを!』
『なんなのこれ・・・凄い残骸の量・・・』
上空を飛んでいたときは比較的美しい南国の海に見えた。だが、しかし周りの海中に広がる光景はまさに海の墓場だった。
地球側の戦艦、木星の無人兵器・・・・いくつもの残骸が転がっている。中には魚が巣を作っている物もあり、時の流れをいやがおうにも感じさせられる。
「話には聞いていたが・・・まさかこれほどとは・・・・・」
『この残骸の影に逃げ込んだみたいだね・・・』
『!?アキト兄!後ろから熱源反応!』
後ろの戦艦の影から『ジュウジン』が突っ込んでくる、
ガシッ・・・
『ジュウジン』の爪が『ブローディア』の肩をかする。
ウオォォォォォォォォ・・・・
獣の咆哮の様な声を残し、『ジュウジン』は再び物陰に隠れた。
『うわっ!む・か・つ・くう〜!』
『ディア』が『ジュウジン』の動きに対して熱くなる。
『ディア、落ち着いて。水中にわざわざ引きずり込んだって事は・・・』
『ブロス』が落ち着かせようとするが、
『うるさい!こーなったらフェザーとグラビティーランチャーで邪魔な障害物ごと・・・』
かなり頭にきているのか、物騒な提案をする『ディア』。
『無理だよ・・・フェザーは水中運用のテストをしてないから・・予測でも威力、スピードが20%以上落ちる・・アイツなら、らくらく避けるよ。』
『なら・・・』
『グラビティランチャーは撃てるとは思うけど・・・乱発はもちろん、それどころか再充填の時間の予測が・・・』
『ア〜!もう!だったらどうすりゃいいのよ!そこまで言うならあんた考えなさいよ!』
『そんな無茶な・・・』
「二人とも!そこまでだ!来るぞ!」
アキトのセリフの直後、再び来襲する『ジュウジン』。
「やらせるか!」
ガキッ・・・・・・・キシキシ・・・・・
DFSと爪が激しく競り合う。
競り合いの中、『ジュウジン』が頭を振りかぶった、
ガシッ
至近距離で頭突きをくらい、『ブローディア』のモニターがぶれる。
「ちぃ!」
一瞬できたスキ、それは『ジュウジン』にとって大きなチャンスだったはずだが、
ドカ!
『ブローディア』の腹に一発蹴りを入れ距離をとって、また隠れてしまった。
『アイツ!やる気あんの!』
『ジュウジン』の消極的な戦い方に、『ディア』が激怒する。
しかし、対照的にアキトは冷静になっていた。
(・・・・・リョーコちゃんから聞いた話によると、この『ジュウジン』はかなり好戦的なはず・・・しかし・・この戦い方は消極的過ぎる・・・狙いは・・・?)
「!」
アキトの頭の中に一つの考えが浮かんだ。
「あいつに勝負する気はない!時間稼ぎか!」
ドボン・・・・
その瞬間、上方から四肢が折れ曲がった『鯖』が沈んできた。
「イズミさん!」
アキトが通信を入れるが『鯖』からの応答はなかった。
「・・・・・・うまく・・・いった・・・みたい・・・だな・・・」
『ジュウジン』から通信が入る、
「・・・・戦力の・・・分断・・・・それが・・・目的。」
アキトと話す気があるようだ。
「・・・前回の戦いのイメージを当てにしすぎた、あの野性的な戦い方の奴が時間を稼ぐ戦い方をするとはな。」
「・・・・・・・・・勝つためなら・・・・それぐらい・・・抑える・・・・」
スッ・・・・・
戦艦の陰から『ジュウジン』が出てきた。
「なぜ姿を現す?時間を稼ぐんじゃなかったのか?」
「・・・・俺が・・・・貴様みたいな・・・ご馳走を目の前にして・・・たえられると・・・思ったのか?」
『ジュウジン』が爪を突き出した構えを取る。
「それに・・・海上で仲間が・・・殺られてくのを・・・知ったら・・・貴様は・・多少の無理をしてでも・・俺を振り切る・・ならば・・・正面から・・・」
「・・・よく研究してるみたいだな。」
「貴様を・・・喰う為ならな!」
刹那、『ジュウジン』が『ブローディア』に向い飛び込んでくる。
カン! カン! キン!
キン! カン!
『ブローディア』のDFSと『ジュウジン』の爪が至近距離で激しく切り結ぶ。
「水中・・・でも・・この動き・・・貴様は・・・食いでがある!」
「そう簡単に事が運ぶと思うな!」
「・・・いかせて・・・もらう!」
ズシャッ!
『ジュウジン』の右爪が『ブローディア』の胸部を切り裂くが、
「なんの!」
ガシュッ!
同時に『ブローディア』が『ジュウジン』の左爪の小指を絶つ。
「・・・・まだまだ・・・」
『ジュウジン』が先程の組討と同じように頭突きをかまそうとするが、
ダダダダダダダダダダダダ・・・
海面の方から『ジュウジン』の顔面めがけライフルが照射された。
「!」
たまらず逃げてゆく『ジュウジン』、距離をとり、また物陰へと消えて行った。
「大丈夫ですか!アキトさん!」
弾の発射元、『白百合』からイツキの声が聞こえた。
「イツキさん!上は!?」
「ガイさんとリョーコさんが抑えています!」
「ブロス、イツキさんに『鯖』の落下予測位置を送信してくれ。」
『解った!』
『!?アキト兄!援護してもらって、先にあいつ倒した方がいいんじゃない?』
『白百合』に対しての奇襲もありえるため、『ディア』がアキトの作戦に異論を唱える。
「大丈夫だ!あいつは俺を狙ってくる!」
『その根拠のない自信はなんなの!?』
「『白百合』を直接狙えば、奴に致命的な隙ができる!奸知に長ける奴が狙うはずがない!」
「・・戦神・・・頭も良いようだ・・・・」
『ジュウジン』のパイロットの声が聞こえる、
「!?どこだ!」
『・・・・アキト兄!下だ!』
海中の砂が舞い上がり『ジュウジン』が姿を現した、凄まじいスピードで『ブローディア』の足元に爪を突き刺す、
ズシャ・・・
『きゃあ!』
直の衝撃に『ディア』が悲鳴を上げる。
「アキトさん!援護を・・・」
イツキが援護に回ろうとするが、
「だめだ!イズミさんを・・・頼む」
当のアキト本人がそれを止めた。
「でも!」
「こうしていれば・・・奇襲はない。安心して・・・」
ズルズル・・・・・
『ブローディア』の足元に『ジュウジン』がすがりつき、そのまま砂塵の中に引きずり込む。
「!イツキさん!イズミさんを・・・・頼んだ!」
そう言い残し、『ブローディア』は砂塵の中に消えていった。
「!・・・・・今日は、よく頼まれ事をされる日ですね・・・信じてますよアキトさん・・・・」
そう呟くと『白百合』は『鯖』の捜索に入った・・・
『白百合』が『鯖』を発見し救い上げたのと同時に、『ブローディア』が巻き込まれた砂塵が晴れてきた。
「・・・・・アキトさん・・」
「ふっ、大丈夫よ・・・彼は背負い込んだ物は自分で責任を懸けて処理する男・・心配ないわ。」
イズミがマジモードで呟く、同時に『ブローディア』と『ジュウジン』の姿が見えてきた。
「!アキトさん!」
「・・・・・・・・・・・・・・」
ガシュリ・・・・ガシュリ・・・
双方共に浅い傷がいくつかできている、砂塵の中で互角に近い争いが行われていたのだろう、だが今は・・・
『ジュウジン』が『ブローディア』の肩口に噛み付いていた。
「援護を!」
「無理よ、アレだけ密着されるとこの位置からだと・・・アキト君も巻き込む・・・」
「くっ・・・」
その時、レーダーに海上から沈んでくる二機の機体が映った。
「・・・・・・・ガイさん!リョーコさん!」
『ガンガー』が先に、後を追うようにして『マルス』が沈んでくる。ざっと見ても二機の損傷は激しく、『ガンガー』は胸部の装甲が完全に砕けている、『マルス』にいたっては頭部とアサルトピットがまるまる無かった。
「・・・・私は大丈夫・・『ガンガー』の救助を・・・」
『鯖』がほとんど動かない体で廃棄戦艦に寄りかかる。
「でも・・」
「アキト君なら大丈夫よ・・・あなたが尊敬する先輩の愛する男・・信じれなくてどうするの・・」
「!解りました・・・ガイさんを助けてきます。」
『白百合』がガンガーの元へ向う。それを見送るイズミが何か呟く、
「救助ばっか頼んで五杯の麺・・・・五麺・・・ごめんね・・・くっ・くっ・くっ・・・・」
最後にいつもの調子に戻ったイズミだった。
「初体験の・・・水中の中・・・・良くぞここまで・・・・・・」
『ジュウジン』が噛み付きながらも話し続ける、
「・・・・・・・・・・・・・」
だが、アキトからの返答はなかった。
「・・・・・気絶したのか・・・まあいい・・・止めだ・・・」
グワッ
頭を大きく振りかぶり、コクピットのあたりに噛み付こうとする。
「・・・・・まっていた、この時を!」
バキィィィィィィィィ!
『ジュウジン』が『ブローディア』に止めを刺そうと口を全開にした刹那、『ブローディア』の拳が『ジュウジン』の口に炸裂した。
「!?」
『ジュウジン』の牙がへし折れ、口を押さえ『ブローディア』から距離をとろうとする、だが、
『逃がさないよ!』
『ディア』の掛け声と共に海中の砂から無数のフェザーが現れ、『ジュウジン』の周りにエネルギー性の檻を作る。
(・・・・!砂塵の・・・戦闘中に・・・羽をばら撒いていたのか・・・・・!)
ガシッ!ガシッ!
『ジュウジン』が檻から抜け出ようとするが、
『無駄だよ・・その檻からは誰も抜け出せない・・!』
『ディア』が『ジュウジン』に向け、死刑宣告のように告げる。
「・・・・・・・・・!」
「くらえ!『桜花龍舞』!!」
アキトの掛け声と共に檻の中から無数の爆音が響く!
「うぉぉぉぉぉ!」
檻の中から『ジュウジン』の叫び声が聞こえる。
だが次の瞬間、
「死ね・・・・!」
瞬間、『ブローディア』の上部にボロボロになった『ジュウジン』が跳躍してきた。
「・・・・予測済みだ。」
しかし『ブローディア』は仰向けになって、グラビティランチャーを構えていた。
カチッ・・・・
グオォォォォォォォォォォォォォォン!
海中に黒き一閃が走った。
海上で『リュウジン』と『バクジン』の二体が海面を覆うオイルを見つめている、
「きまったのか?」
「この量・・・どっちか致命傷を負ったな。」
ゴワァァァァァァァァ!
その時海上に凄まじい水柱が上がった。
「なんだ!」
「大島!あれを!」
二機が水柱のてっぺんに眼をやると、ズタボロになった『ジュウジン』が吹っ飛んできた。
「富士!」
「おっしゃ!」
『バクジン』が腕を伸ばし『ジュウジン』を捕獲する。
ジャバ・・・・・
その時海中から『ブローディア』が現れた。
「・・・・・・こりゃ諏訪の負けだわ・・・」
『ジュウジン』がズタボロなのに比べて、『ブローディア』は少し裂傷が目立つだけで至極無事だった。
「どうする?」
富士が作戦展開を大島に聞く、
「そうだな・・・」
「大島さん!」
大島の言葉を遮り、市川から通信が入る。
「どうした、いっちゃん?」
「大変です!ナデシコらしき戦艦がこちらに・・・」
「なに!まだ早すぎんだろ!?」
予測よりはるかに早い敵の援軍に、大島が思わず叫んだ。
この時、市川は大きな勘違いをしていた。
ナデシコは近づいてきてはいたがまだ距離があった、この戦艦は・・・・
「あの三機何者でしょうか・・・ナデシコの機体と互角に・・・」
「そうね・・・とりあえず通信をあの三機に。」
「わかりました、舞歌様。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・シャクヤクだった。
〜続く〜
後書き?
解説スパット(以下S)「さ〜て、いよいよ主人公機の『リュウジン』の解説を・・・・・
『リュウジン』 パイロット 大島克明少尉
武器・・・・・・・・鎖
能力・・・・・・・・不明
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・なんじゃこりゃ!おい!作者!」
ふじいさん(以下H)「・・・・・・・・なんだよ、普通に呼ぶなよお前・・・」
S「なんだじゃねえよ!手抜きかこれ!主人公機だろ!ちゃんと設定書けや!」
H「主人公機だからだよ。」
S「えっ・・?」
H「お前の機体は物語の根幹にかかわる機体だからな・・・紹介するのは最終回か、この機体が破壊されるときだ。それでもいいなら今すぐにでも・・・」
S「わーっ!わーっ!だったらいい!書くな!」
H「何だよ・・根性ないな。」
S「自殺はしたくねえよ!根性云々じゃないって!」
H[ああそう・・・じゃあ俺は引くから、シメよろしく。」
S「ちくしょ〜・・・次回何か大きな変革が!優華部隊との邂逅は!?市川に出番はあるのか!それじゃ!次回もよろしく!」
代理人の感想
おーおーおー。
展開が面白くなってきそうです。
なにやら伏線もありそうですし?