「それでわしの部下に何をしろと?」

「乗り気になったようですね、ではサハラ砂漠に落ちた木星兵器の失敗作を破壊してください。」

「・・・・・・・・・・それだけか?そんな楽な仕事で・・・」

「ええ、貴方の今までの功績も考慮しての結果です。これが無事終われば貴方の事はクリムゾンが保障します。」

「本当か?」

「・・・クリムゾンは簡単に貴方を見捨てたりしませんよ。」


三軍神参上!

第八話後編


グオオオオオオオオオ!

前回に引き続き大島、諏訪は巨大オケラに追いかけられていた、ちなみに諏訪が抱えている少女はいまだ気絶したままだ。

「なあ、流石に疲れてきたんだけど?」

「・・・・・死にたくなければ・・・・走れ。」

二人はもう10分近く全力で走り続けている。しかしこの様子だと体力はまだまだありそうだが・・・

「やばい!」

「・・・・・ピラミッドか・・・」

目の前にピラミッドが見えてきた。

「曲がれないよな?」

「・・・・・少しでも・・・スピードを・・落とせば・・オケラに・・・・追いつかれる・・・」

巨大オケラとは一定の距離を保っているが、少しでもスピードを緩めれば追いつかれる位置関係だ。

ズザァァァァァァァァ・・・・・

健闘むなしく、ついにピラミッドの目の前まで来てしまい、両者はストップを余儀なくされた。

グシャァァァァァァ・・・

獲物が立ち止まったことを確認して巨大オケラが鎌首を擡げた。

「わーーー!やべえ!」

「・・・・・万事・・・窮す・・・・」

ブオン!

巨大オケラが三人の頭上めがけ、頭を振り下ろした!

「やらせるかぁ!」

ドガッ!

しかし間一髪、バクジンが脇からタックルをかまし攻撃を阻止した。

ドガァァァァァァァ・・・・

体勢を崩した巨大オケラは脇にあったスフィンクスにぶつかりスフィンクスを砕くと共に、凄まじい砂塵を巻き起こす。

「・・・・・ぎりぎりか・・・」

「おお!ナイスタイミング!富士!」

二人が対照的な口調で富士に感謝の意を伝える。富士が気取った口調でつぶやいた、

「ふっ・・たまにゃあ俺もこういう格好いい登場の仕方もありだよな?」

(ボソ)「にあわないけどな・・」

「あん?なんか言ったか・・・てその娘は?」

言い争いが始まるところだったが、その時、富士が諏訪の抱えている少女に気付いた。それはまさしく、砂漠で祈っていたあの少女だった。

「戦闘に・・・巻き込まれた時に・・・・気絶したので・・・ここまで抱えてきた・・・」

「そうか・・・」

富士が思わせぶりな口調で答える。

「?・・・・知り合いか・・・?」

「ま、そんなとこだな。じゃあこいつは・・・・」

バシュ!バシュ!バシュ!バシュ!バシュ!

バクジンが右手の五連ビームランチャーを巨大オケラに放ち、巨大オケラの肢を何本か吹き飛ばす。

キシャァァァァァァァ!

巨大オケラが嘶きをあげる。どうやらバクジンを敵とみなしたようだ、長い体をうねらせバクジンへと突っ込んで来る。

ガシッ!

「俺にまかせろや・・」

巨大オケラの頭をバクジンが受け止め、力比べの体勢となった。

「なんか今日、富士気合上等だな。」

「・・・・・何か・・・気に食わないことでも・・・・あったのだろう・・・」

下で見つめる二人が好き好きに感想を述べる。

「で、どうするよ?あの気合ならあいつ一人でどーにかしそうだぜ?」

「・・・・何があるかわからん・・・・俺は・・この少女を・・・安全なところまで・・・」

諏訪がそう言って、腕に抱える少女を見つめる。

「いいなぁ・・お前カッコいい役で。まあしょうがない、俺は陰月に行ってリュウジンに乗り換えてくるよ。」

「・・・頼んだ・・・」

それを期に、二人は左右別々の方向へと走っていった。





ギギギギギギギギギ・・・・・

力比べの体制でバクジンと巨大オケラがせめぎあっている。

ズズ・・・

しかし体格の差かバクジンが徐々に押され始めていた、巨大オケラの口蓋のドリルが徐々に迫ってくる・・・

ズシャ!ズシャ!

しかもそれと並行してバクジンに突起状の肢を打ち込んだ。

(ぬっ・・なかなかこっているな・・・だがな・・・)

「調子に乗るんじゃねえ!」

そう叫ぶやいなや右手を伸ばし巨大オケラの懐へともぐりこませ、

「どりゃあ!」

グオン・・・・!

相手の力を利用し、背負い投げ気味の腰投げで巨大オケラをぶん投げる。

ガシャ!!ガラガラガラ・・・・・

巨大オケラは腹を見せた状態でピラミッドへとめり込んだ。

「やべえ!貴重な文化遺産が!・・・・・・・・・・・しかし今がチャンス!こいつで決めさせてもらうぜ!」

そういうとバクジンが胸部の重力波砲を巨大オケラへと向ける。・・・・どうやら器物破損に関しては開き直ったらしい。

ダダダダダダダダダ・・・・

勝負ありと思われた瞬間、いきなり上空から無数の弾丸がバクジンへと降り注いだ。

「何だぁ!」

いきなりの衝撃に驚き、上空を見ると、そこにはアフリカ方面軍仕様のエステバリスが15機こちらを睨んでいた。

「地球軍!?なんつうタイミングの悪さだ!」

ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・

その隙に巨大オケラは体勢を立て直しピラミッドを破壊しながら地中へと潜ってしまった。

「しまった!」

浅い所を移動しているのか、砂漠が脈を打つかのように胎動する。しかもそれは遠くで見守る観光客のほうへと向かっていた。

「やべえ!観光客が・・・・」

バクジンが止めに向かおうとするが、

ダダダダダダダダダダダダ・・・・・・

五機のエステバリスの弾丸がバクジンを襲う。バクジンの厚い装甲には効かないとしても、目くらましには十分だった。

残りの十機は巨大オケラのほうへ向かったらしい。

(く・・・・・・こうなったら地球軍に任すしかないか・・・)

舞歌から必要以上の地球軍との交戦は避けるように言われている、バクジンは腕を交差し防御の体勢に入った。




ぺしぺしぺし

諏訪が少女のほうを軽く叩く。

「・・・・・・はっ。」

少女がそれに反応し、意識を取り戻した。

「気が・・・ついたか・・・・・」

諏訪が上から覗き込むようにして、珍しく優しげに問いかける。

「あっ、はい何とか・・・」

少女が恥ずかしげに顔を赤くして立ち上がり、自分の状況を知るため、周りを見渡す。

周りには疲労困憊した観光客がいた、遠目のピラミッドではエステバリスにバクジンが囲まれて攻撃を受けている。

「・・・あの怪物は?」

「・・・・・・地中に逃げた・・・・・・むっ!?」

諏訪が地中の胎動に気がついた。

「・・・・・逃げろ!」

諏訪が回りの観光客に叫んだ直後、眼の前の地面が盛り上がり巨大オケラが姿を現した。

「うわああああああああ!!!!!!!」

周りの観光客が蜘蛛の子を散らすように逃げていく。

「きゃあ!」

少女も走ろうとするが、

「・・・・待て!」

諏訪がそれをひきとめた。

「・・・・あれを見ろ・・・」

上空には十機のエステバリスがいた。



ピーピーピー・・・・

カチャリ・・・・

通信機をとる音が静かな部屋に響く。

「少将、目標の兵器が避難中の観光客の近くで暴れています。」

「それがどうした・・・」

「いえ、目標の破壊より避難活動への任務の切り替えを・・・」

「後回しだ。」

「えっ・・・・・」

「後まわしだといっとるだろうが!」

「いや・・・しかし軍規にも人命救助は最優先だと・・」

「その前に軍人の常識としての上官への絶対服従があるだろうが!以上!」

ガチャ!!

通信機を乱暴に切る。

ピーピーピー

再び通信機が鳴り響く。

ガチャ!

「兵器破壊が最優先だといっとろうが!」

「少将、落ち着いてください。私ですよ。」

「おお、ムラナカか。・・・・安心しろ、貴様の要望どおりあの化け物共はわしの兵隊が片をつけてやる。」

「それは頼もしいことで・・・?・・いま『化物共』とおっしゃいました?」

「?ああ、巨大な虫型兵器と新型の人型兵器の二体、貴様等の要望どおりに・・・」

「それはありがとうございます。では用事を思い出したので失礼します。」

カチャリ

あわてた様子でムラナカが通信機を切る。

「・・・・・あの男何をあわてておるのだ?用事も伝えずに・・」

今までに見たことのないムラナカの調子の変化に、流石のバールも困惑を覚えた。





「・・・・・・・・木星からの情報ではアフリカに落ちた未確認兵器は一体だったはず・・」

「ご不安そうですね。なんなら私が偵察に行ってきましょうか?」

「おや?貴方は・・・隊長自らよろしいのですか?」

「ええ、すこしでも早くこの機体になじみたいですから。」

「そうですか・・・ならばひとつついでにお願いしたいことが・・・」




「軍のエステバリス?」

少女が飛行してきた物体の正体に気付く。

「・・・・・・救助が・・・目的だろう・・・ならば・・・・うかつに動かないでおいたほうが・・・」

ばらばらに散ると逆に救助のエステの手を多くわずらわせる事になり、救助の成功確率を下げることになる。

しかし

ダダダダダダダダダダダダダダダ・・・・

軍のエステバリスは救助作業に向かうことなく、巨大オケラに向けて発砲した。

「・・・伏せろ!」

諏訪が少女の頭を抑え地面へと伏せる。

キュインキュインキュイン・・・・・

体すれすれのところを熱い巨大な銃弾が通っていった。

「いやー!お父さん!」

「何で!なんでこいつが死ななきゃいけねえんだよ!!」

周りから悲痛な叫びが響いてくる、流れ弾が何人かに直撃したらしい。

少女は死と直面した恐怖からか小刻みに震えている。

「・・・・・・・うかつだった・・・地球人全てが・・・ナデシコの連中と・・・同じわけではないのか・・」

諏訪は自分の甘い判断を後悔した。




「!何だと!発砲しやがった!」

防御の体勢で身を固めていたバクジン内の富士は目の前で行われた行為に驚愕した。

(まだ周りに観光客がいるというのに撃つのか!あそこなら周りを考え多人数で押さえつけて動きを止めるべき・・軍人の本懐は人命優先が当然じゃないのか!?)

ダダダダダダダダ・・・

しかし上空のエステからの銃撃はやまず身動きが取れない。

(こうなったら・・・)

バクジンが迎撃の態勢に入った瞬間、

ジャラララララララララ!

                        ガシッ!

二機のエステに鎖が巻きつけられ纏めてがんじがらめにした!

「あれ!?」

富士が驚いた次の瞬間、

「おっしゃー!」

ドカッ!                           ドオオオオオオオオオオオオオオオオン!

上空に現れたリュウジンがスレッジハンマーで二機を纏めて地面へと叩き落す。

それを見た残りの三機が銃撃を止め散開する。

「な〜にぐずぐずしてんだよ?さっさとはったおしちまえよ!」

リュウジンの大島から通信が入る。

「おいちょっとまてや!地球軍との交戦は・・・」

「最低限だろ?グズグズしてたら人が死ぬべ?それに舞歌様はそんな事でがたがたぬかすほど器は狭くねえよ!」

悩む富士に対し大島が単純明快な理屈を述べる。

「それもそうか・・・」

「だろ?だったらこいつらは・・・・」

グオオオォォォォ

虚をつき後ろに回りこんだエステがリュウジンへと襲い掛かる。

バキ!

「俺に任せてアイツどうにかして来いよ!」

後ろから回り込んできたエステを鎖を巻いた拳で殴り倒し大島が吼える。

「わかった、それじゃあここは任せたぜ・・・」

そう言い残しバクジンは跳躍をして姿を消した。





ギュリリリリリリリリリリ・・・・・
                                    ボン!

エステの一体が巨大オケラのドリルに捕らえられて体に大穴を空けられ墜落する、これで十機いたエステは半分の五機が撃墜させられたこととなった。
                         
ライフルでは巨大オケラの分厚い装甲を貫けず、かといって格闘戦では巨体に圧倒される・・・エステ隊の不利は否めなかった。

いったん距離をとる五機だが、

ガシ!                ガシ!

後ろからいきなりあらわれたバクジンの腕にエステの二体が捕まり、

ブオン!             ブオン!

巨大オケラに向かい投げつけられた。

            ガン!

   ガン!

キシャァァァァァァァァァァァ・・・・!

エステ二機のカミカゼアタックをくらい、巨大オケラがよろける。

残りの三機がバクジンに向かい構えを取るが、

チョイチョイ・・・

バクジンが後ろに向けて指を刺す、その先にはリュウジンが鉄鋲を投げつけエステを一機落としていた。

・・・・・・・・・・・・・・

仲間がやすやすと落とされるのを見たせいか、三機のエステの動きが止まった。

チョイチョイ・・・・・グッ・・・・・チョイチョイ・・チョイ!

バクジンがうごめく巨大オケラを指差しその後自分に指を向ける、そしてその後エステを指差し指を逃げ惑う観光客へと移す。

(アイツハオレガタタキノメスカラ、オマエラハジャマシナイデカンコウキャクヲタスケロ)

まるで上記のように伝えたいかのような、人間臭いパントマイムをバクジンは行った。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

それを見た三機のエステは少し動きを止めた後、振り返り、逃げ惑う観光客のほうへと飛んでいった。

(・・・・・・・腐っても軍人。解かったか・・・少し遅いんだけどな)

彼らは人道からではなく、リュウジンとバクジンに恐れをなして救助という逃げに走ったのかもしれない。

だが今そんなことを気にしている時間はない、とりあえず後顧の憂いがなくなったバクジンは再び巨大オケラと対峙した。





キシャァァァァァァァ!!!

先程と同じようにバクジンへと巨大オケラが踊りかかるが、

「いつまでも付き合ってられるか!」

バキィ!!

バクジンの腕が伸び巨大オケラの右目ににストレートをぶち込む。

バリン!

ガラスが割れたかのような音がして巨大オケラの右目が割れた。

キシャァァァァァ!!!!

巨大オケラがまるで痛みを感じたかのようにのた打ち回る、

バシュバシュバシュバシュバシュ!         バシュバシュバシュバシュバシュ!

その隙を突きバクジンが両手のビームランチャーを巨大オケラに放つ。

ドガーーーーーーーーーーーーン!!!!!!!!!!

巨大オケラの半身に直撃し下半身を跡形も無く吹き飛ばす。

グオオオオオオオオオオ!!!

その直後バクジンに半身となった巨大オケラが突っ込んできた。

「腕部凝縮・・・」

メキメキメキ・・・・

バクジンの右腕が凝縮され光り輝く。

「うおおおおおおおおおお!!」

迎え撃つバクジンもラリアットの体勢で突っ込んだ。

真正面からぶつかり合う二体のメカだったが、

バキィィィィィィィ!!!

一瞬早くバクジンのラリアットが巨大オケラの首筋に直撃していた。

「どりゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」

グシャア!!

バクジンが腕を振り抜き巨大オケラの首をぶち抜き、巨大オケラの頭を吹き飛ばす。

「ナイス!!富士!」

鎖で残り一体のエステの首を絞めながら戦いを見物していた、大島が歓声を上げるが、

「ん・・・・・?やばい!富士!首!!」

何かに気付き悲鳴を上げる。

「あんだって?首??・・・・・・おわ!!」

富士が気付いたときには巨大オケラの首が地面に伏せる諏訪と少女のほうに向かっていた。

「こっちは無理だ!そっからいけるか!?」

「・・・・駄目だ!あの首だけを打ち落とす射撃能力は俺には無え!!へたすりゃ他の連中が巻き込まれる!」

エステもすぐには動けない位置関係だ、しかし打つ手が無くとも巨大オケラの首は地面に伏せる二人へ襲い掛かる、葬式の覚悟をした次の瞬間、

ダダダダダダダダダダダダダダダ!!!!!

砂漠の砂塵からすさまじい勢いで無数の弾丸が正確に巨大オケラの頭めがけ打ち込まれた。

カシュン!カシュン!カシュン!!

巨大オケラの頭が空中で静止し踊り狂う、

ズバァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!

その直後、砂塵からすさまじい勢いの収束されたビームが放たれ、

ドガァァァァァァン!!

巨大オケラの頭は跡形も無く吹き飛んだ。

「なに!!」

「んなアホな・・・」

あまりの事態に驚愕した二人が砂塵を見つめるが、それが晴れた時には砂漠が広がるだけで銃撃の正体らしき物は影も形もなかった。



「助かったのですか?」

少女が立ち上がり、まわりを見渡す。

「・・・なんとかな・・・」

諏訪もそれに呼応して立ち上がる。

周りではエステ三機が罵声を浴びせられながら救助作業を行っていた。

「・・・これでとりあえず・・・砂漠の事故は・・・・無くなる・・・・」

「?・・・・もしかしてあの怪物が事故の原因だったのですか!?」

諏訪が思わず口を滑らせてしまった事に対し少女が突っ込む。

「あ・・・・・ん、まあ・・・そんなとこだ・・・・」

「でもなんでそんな事を知っているんですか?あの怪物を倒した二体が何者かも知っているんですか?」

少女が矢次早に質問すると、

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

これ以上墓穴を掘らないためか、諏訪が口を硬く閉ざしてしまった。

それと同時にリュウジンとバクジンが二人の方へ飛んでくる。

「・・・!・・伏せろ・・・!」

「キャッ!」

諏訪がいきなり叫び、それに怯えた少女が地面に伏せる。

「・・・・・・・・?」

しかし銃声も何もしない、ほとんど無音だ。

少女が起き上がった時、周りには誰もおらず、遠ざかって行く件の二機が見えるだけだった。

「?・・・あの男の人はどこへ・・・?結局何者だったのでしょうか?・・・」

少女のつぶやきは風にのまれて消えていった・・






バン!!

机をたたく音が室内に響く。

「くそ!奴等は兵器の一体も破壊できないのか!」

バールが憤怒の表情で叫ぶ。実質ムラナカから指示された任務の達成はできなかった、

木星の兵器どもが勝手に潰し合った結果、人型兵器の手によって巨大昆虫型が破壊されたに過ぎない。

結果バールが送り込んだエステの残した結果はわずかながらの救助と非戦闘員の殺傷・・・・・・・

トントン・・

扉をたたく音が聞こえる。

「今取り込み中だ!」

ガチャ・・・

しかしバールの意思を無視して扉は開いた。

「入るなと言っておるだろうが!・・・・・!貴様は!」

バールの前に現れたのは今ここにいないはずの人物、アフリカ方面軍所属オラン中佐だった。

「本部のほうに出向してたのでは・・・」

「・・・・・・父の代理としてこれをもってきました」

オランはバールを無視し、冷徹な表情のまま懐の書類を出す。

「緊急命令書だと?」

「ええ、本部からの通達です。内容は・・・・バール少将、貴方のアフリカ軍代理指揮権の剥奪です。」

バールの顔色が一気に蒼白になった。

「!なんだと!いきなりそんな事が・・・」

「・・・・ピラミッドでの戦闘が本部の会議室に逐一中継されたんですよ・・・・」

「!」

「民間人無視の戦闘行為も逐一逃さず映ってました。」

「あ、あれは・・・・・・現地の部下が勝手に・・・・」

「そう言えば、こんなものまで丁寧に添付されてました。」

カチャリ・・

オランがカセットレコーダーを取り出しスイッチを入れた。

『少将、目標の兵器が避難中の観光客の近くで暴れています。』

『それがどうした・・・』

『いえ、目標の破壊より避難活動への任務の切り替えを・・・』

『後回しだ。』

『えっ・・・・・』

『後まわしだといっとるだろうが!』

『いや・・・しかし軍規にも人命救助は最優先だと・・』

『その前に軍人の常識としての上官への絶対服従があるだろうが!以上!』・・・・・・・・

それには先程の会話が逐一逃さず記録されていた。

「・・・・確かに現地での兵の判断も見逃せるものではありません。しかし、貴方の発言はアフリカ方面軍の代表としては余りに軽率です。」

そういうとオランは振り向きドアへと向かい、

「私は現地に行って救助活動の指揮を執ります、貴方はそれが終わるまでに後任者への仕事の引継ぎをしておいて下さい。」

ガチャリ・・・・

そう言い残し部屋を出て行った。

暗い部屋に残されたのは顔面蒼白となったバール一人だった。







「ただいま帰還しました。」

「ああ、お帰りなさい。いや〜いい映像でしたよ。」

「ありがとうございます・・・私にはこの作戦の意図がいまいち読めないのですが・・・」

「?」

「あのバールとか言うのはクリムゾンが喰い込んでる軍上層部の高官ですよね?なのにわざわざ失脚させるための情報を流すなんて・・・」

「・・・・・・愚か者は人様に迷惑をかけるから愚か者なんですよ。」

「はい・・・」

「あの人は黙っていても、その内今の地位から蹴落とされていたでしょう・・・・その時、どんな行動をとるか?

 何しろ自分の面子のために地球のVIP達の命を賭けたことがある男ですから・・・またうちの社や会長をだしに使われてはかないません。」

「腐った蜜柑は自分から捨てるって事ですか?」

「ま、そんなとこですよ。アホ犬を飼うには牙を抜けとも言いますね」

「だったら後腐れなく・・」

「あの人にいくら払ったと思ってるんですか?ただ殺すだけじゃ・・そうですね・・・

せめて敵サイドの重要人物と心中ぐらいしてもらわないと・・・・・元が・・・」

「・・・見捨てないんじゃ・・」

「ええ、見捨てません。彼は死ぬ時もクリムゾンのために役立ってもらいます。

 ・・・そんなことより問題はあの正体不明の二機です・・・ま、おかげでこちらの手を下すことなくバールが必要以上の自爆をしてくれましたが。」

「・・・・・・心当たりがあります。しばらく待っていただければ正体を曝して見せます。」

「心当たり?」

「・・・・・昔、私の同級生に・・あんな感じで鎖を使いこなす男がいたんですよ。」








〜続く〜




後書き?


スパット(以下S)「・・・・・・・・・・・・・・・」

ふじいさん(以下F)「今日は名乗らないのか?」

S「どーせ、お前が邪魔すんだろ?」

F「いや、別にそんな気はなかったが?」

S「なに!だったら・・・・」

F「あ、残念。もう時間切れだ。」

S(この野郎・・・・・)

F「じゃあさっさと後書き?すすめんぞ!今日のお題は・・・キャラクターの外見イメージだ。」

S「外見?」

F「おれがCGかけりゃあいいんだが・・・・俺に絵心はない!」

S「いばるな!」

F「まあ良いじゃないか・・・・まず大島のイメージだが・・・少し荒れた第二○αのア○ドかな」

S「いや少し荒れたって・・・まるで俺が・・・いや大島が品性無いみたいじゃあ・・・」

F「無いだろうがよ。つづいて富士は・・・顔は思いつかんが体型はK○Fのマキ○マ。」

S「一部伏字の意味がねえ!」

F「最後に諏訪は・・・長髪の、KOF八○庵かな。」

S「普通にモデルがカッコいいじゃねえか・・・」

F「今日はここまで!シメ頼む!」

S「あ、ああ・・・・・それじゃあ!次回もヨロシク!」







代理人の感想

つまり、今回のクリムゾン側の意図は木連の兵器を利用したバールの・・・・

ん〜〜。粛清じゃないし、処分でもないし、・・・・あえて言うなら・・・・去勢?(爆)

(いや、アホ犬なんていうからw)

 

>謎のパイロット

おお、お約束ですね、最後の一人(笑)。

諏訪の歯をへし折ったのもこの人かな?