「俺が帰るべき場所は・・・ナデシコだ!!
皆が揃っているナデシコだ!!
何処に跳ばされよ様と、俺は絶対に帰って来る!!
例え、遥かな距離だろうと、時を超えても―――」
そして、アキトは時を超えた・・・。
漆黒のお姫さま
1話
(うん?風が気持ちいいな・・・それに草のにおいがする・・・うん?)
「う、うん、ここは?は!ディア!ブロス!」
目を覚ましたアキトはそう叫びながら起きあがった。
「ここは?」
そして、自分の周りを見るとブローディアのコクピットでなく、川の土手だった。
「ここはまさか!?」
自分の横を見ると大きな荷物と、一台の自転車・・・。
「やはり、また過去のもどったのか・・・。」
アキトがそんなことを思っていたとき、風が吹いて髪の毛が顔にかかった。
「うわ!」
風がやみ、顔にかかった髪の毛をよけてアキトはふと思った。
「あれ?俺ってこんなに髪、長かったけ?」
確認すると髪の毛が自分の背中にあたるぐらいあった。
「え!俺の手、なんか細くなってないか?」
髪の毛の長さを確認した手を見ると女性のようなほっそりとしたきれいな手をしていた。
「どうして?」
そう言って自分の着ている服を確認しようと見てみると、胸に大きなふくらみがが二つあった。
「へえ?」
本物か確認しようと胸にあるふくらみに手をかけてみた時、ラピスからの声が聞こえた。
(アキト!)
(ラピスか!)
(うん!今、私は昔いた研究施設にいるの・・・どうしてなの?)
”やはりあの時に戻ってきたのか・・・。”
(・・・アキト、私の身体が6才に戻っちゃってるよ。)
(そうか・・・どうやら信じられない事だが、過去に跳んだらしい。)
(やっぱり、そうなんだ・・・)
”一応、確認してみるか。”
(ラピス! 頼みがある今の年月日と時刻を教えてくれ。)
(うん・・・えっと、今の年月日は2196年・・・。)
”やはり、・・・でもなんでまたこの時間に帰ってきたんだろ?”
(・・・アキト、どうしたの?・・・それにアキトなんか変・・・。)
(え、いや、だいじゅうぶだ。ところで何が変なんだ?)
(だって、なんかアキトの声、女の人みたい・・・。)
(女の人?)
(うん。)
そう言われて、先ほどのことを思いだし、もう一度自分の胸を見た。
そこにはやはり、自分の手をかけたままの大きなふくらみが二つあった。
「・・・・。」
不意に手を動かしてみた。
「うっ、ん、あん。」
アキトは、色っぽい声を出した。
(アキト!だいじょうぶ!?)
(あ、ああ、だ、だいじょうぶだと思う。)
”そ、そんな、ま、まさか・・・。”
アキトは大量の冷汗をかきながら、最終確認のため、手を下に持っていった
「!?な、な、な、ないーーーーー!!」
(アキト!ねえ、だいじょうぶ!ねえ!)
「・・・は、ははははは、ら、ラピス。」
(うん、なあに?)
「お、お、俺、お、お、女になっちゃった・・・は、ははははははは・・・。」
(えーーーーーーー!?)
ちょうどそのころ、サセボ地下ドックに停泊中のナデシコブリッジでは・・・。
「うふ、うふふふふふふふ。」
ルリが不気味に笑っていた。
ルリの左右隣にいる二人、メグミとミナトはルリの笑いに引きつりながら、関わらないようにファッション雑誌を読んでいた。
(うふ、うふふふふ、やりました、ホシノ ルリ 16歳です。もうアキトさんと付き合ってもロリコンとは言われませんし、
これで心おきなくとアキトさんと結婚できます。うふ、うふふふふふふふ・・・・。)
さきほど以上の笑いをしだし、メグミとミナトは大量の冷汗をかきながら雑誌に頭を突っ込みながら読んでいた。
(ああ、アキトさんとのバラ色の新婚生活・・・、そう結婚式のあと私はウエディングドレスのままアキトさんに・・・。
ああ、ダメですアキトさん、そんなとこをは、・・・ああ、今度はそんなところを・・・。)
今度はよだれを垂らしながら体をクネクネし始めるルリ・・・。
メグミとミナトは涙を流しながら、この場を離れられないを恨んだ。
「は、ははははははは・・・・。」
(アキト!アキト!だいじょうぶ!ねえってば!)
アキトは今だ乾いた笑いを続けていた。
そのとき、一台の車が通り過ぎて行き、少し行った所で車からスーツケースが一つ落ちた。
車はすぐに止まり、中から二人の女性が出てきた。
「もう、だから言ったじゃない、荷物が多すぎるって。」
「えー、でも、やっぱりこれも持っていきたいし。」
「もう、それより早く拾って積みなおしましょう。」
「は〜い。」
二人はスーツケースから出たものをちゃんと中に入れなおし、ケースを車に積みなおした。
「あれ、あの人どうしたんだろ?」
ケースの持ち主と思われる女性が川の土手で今だ乾いた笑いをしているアキトに気づいた。
「うん?どうしたの?」
「うん、あの人。」
そう言ってアキトのほうを指差した。
「どうしたんだろ?」
「う〜ん、たぶんこんなご時世だから、なにかあったんじゃない。」
「そっか、今たいへんだもんね。」
「それより、早く行かないと、もう遅刻だよ。」
「え!じゃあ、早く行きましょう。」
そう言うと二人は車に乗り走り出した。
今だ乾いた笑いをしていたアキトに先の車が発車するときに巻き上がった小石がアキトに当たった。
「イテ・・・は!お、俺は・・・。」
(アキト、正気にもどった!)
小石が当たったショックでアキトは何とか正気にもどった。
「俺は・・・、そっか、お、俺、女になったんだ・・・。」
(アキト、だいじょうぶ?)
(ああ、なんとか・・・。ラピス、たぶんここはただの過去ではなく、平行世界の過去だと思うよ。)
(平行世界?)
(ああ、だから俺が女の世界なんだと思うよ。)
(・・・これからどうする?)
(・・・そうだな、・・・そうだラピス、この世界では木連は攻めてきているのか?)
(ちょっとまって、・・・・・・うん攻めてきてる、それにだいたいは私たちのいた世界とあんまり変わってないみたい。)
(そうか、なら俺はナデシコに乗ることにする。あまり変わっていないならたぶんナデシコも存在するはずだろうから。)
(わかった。)
(すまない、ラピス。必ず、北辰より先に研究所から助け出してみせるから、だからこれから頼む事を地球で実行してくれないか?)
(うん、解ったよアキト。 私はアキトを信じる。)
(ほんとに、すまない。)
そう言ってアキトはブラックセレナの開発、ネルガルとクリムゾングループの買収、そしてブローディアの開発を頼んだ。
(・・以上だ、すまないが頼む。)
(うん・・・何時でも話しかけていい、アキト?)
(ああ、何時だって話し相手になってあげるよ・・・。それじゃあ、俺はナデシコに・・・うん?)
(どうしたの、アキト?)
(いや、なあラピス、俺ってどれぐらい笑っていた?)
(え〜と、だいたい・・・分くらい。)
(え!?・・じゅあ、もしかしてかなり向こうに見えてる車、もしかして・・・・。)
アキトは自分がいる場所からかなり離れた土手沿いの道を走る車が見えていた。
(もしかして、・・・行っちゃったかな・・・・。)
(え〜とね、さっき車なら通り過ぎていったよ。)
(そ、そうか・・・。ど、どうしよ、ユリカとのイベントが起こせない・・・・。)
アキトが長い時間呆けていた為、ユリカとのイベントはすでに終わっていた。
(・・・しかたない、プロスさんに直接交渉するか・・・。そうだ、ラピス。)
(なに、アキト。)
(すまないが俺のことを調べてくれないか?)
(アキトのことを?)
(ああ、い、一応女の俺のことを知っていたほうが言いと思ってな。)
(うん、わかった。調べ終わったら、教えるね。)
(ああ、頼む。)
そう言うとアキトは自転車に乗って走り出した。
アキトは走り出してから、ふと思い出した。
(そういえば、昴気は使えるのか?)
アキトは左手をハンドルから離し、昴気が出るか試してみた。
そうすると、左手が蒼銀に光り出した。
(どうやら、昴気は使えるようだな。)
そうしているうちにサセボのドックが見えてきた。
(さて、どうしたものかな・・・・。やはり、プロスさんを呼んで直接交渉するか?)
サセボのドックに着いたアキトは警備員にプロスを呼んでもらうよう頼んだ。
ナデシコブリッジ・・・・。
「うふ、ふふふふふふふ・・・・。」
ルリは今だピンク色の妄想の中にいた。
「困りましたね〜。」
「うむ。」
何時の間にかブリッジに来ていたプロスとゴートはルリの様子に困っていた。
「プロスさん、なんとかして・・・。」
「そうですよ、何とかしてください。」
ミナトとメグミは涙ながらにプロスに訴えた。
「そうは言いましても、何度の声をかけても気づいてもらえませんし、どうしましょう。」
そんな時、ブリッジに連絡が入った。
「あ、はい。」
連絡に対応するメグミ。
「はい、わかりました。プロスさん、入口の所にプロスさんを呼んでいる方がいるそうです。」
「わたくしをですか?」
「はい、16,7の女の人だそうです。」
「16,7・・・、ま、まさか!?す、すみません、ゴートさん後を頼みます。」
言うが早いか、プロスは音速を超えるスピードでブリッジをあとにした。
「何だったんでしょう?」
「さあ〜。」
「うむ。」
アキトはドックの入口でプロスが来るのを待っていた。
(アキト、調べ終わったよ。)
そうしている内にラピスが声をかけてきた。
(ああ、どうだった?)
(え〜とね、まず名前はテンカワ アキナだって。)
(あ、アキナか・・・。お、女の名前だな・・・。)
(だって今のアキト、女じゃない。)
(そ、そうだな・・・。)
(それと、アキトの両親なんだけど、やっぱり前と同じだった・・・。)
(そうか・・・、あと何か変わった事柄は?)
(うんとね、・・・・・たぶんこれが一番違うことだと思うけど。プロスがアキトの・・・。)
(うん?まったラピス、すまないがプロスさんが来たみたいだからまた後で。)
(うん、わかった。それじゃあ、またあとで・・・。)
ちょうどプロスがドックから出てきた。
ところがプロスはこちらを確認できる距離でいきなり止まった。
(うん?どうしたんだ・・・。)
距離として100mぐらい離れたところでプロスはこちらを見たまま、体を震えさせながら止まっていた。
数分後、プロスは叫びながらアキトに向かってきた。
「・・・あ、あ、アキ、アキナさーーーーーーーん!!!」
「うわ!?」
プロスはアキトに涙を流しながら抱きつた。
「アキナさん!アキナさん!アキナさーーーーん!!!」
「ちょっ、ちょっと、ま、待ってください、プロスさん。」
「う、ううううう、アキナさーーん!!」
アキトはプロスを離そうとするが逆に先ほど以上に抱きしめられる。
「プ、プロスさん、く、くるしい、は、離して・・・。」
数分後、ようやくアキトはプロスから開放された。
「う、うううう、すみません、アキナさん。」
「は、は、は、だ、だいじょうぶです。」
「ほんとうに、すみません。アキナさんの無事が確認できて本当にうれしくて、うれしくて。」
「は、は、そ、そうですか。」
「火星が陥落してからアキナさんのことが心配で心配で、火星に何度の行こうとしたか!」
「は、はあ〜、そ、そうですか・・・。」
(いったいどうゆうことだ?たしか、このとき、まだプロスさんと知り合いのはずじゃあなかったのに・・・。そういえば、
ラピスがプロスさんの事で何か言おうとしてたな・・。どうしよう?)
アキトはプロスにどう対応しようか悩んだ。
プロスのほう、涙を流しながらアキナ?の無事を喜んでいた。
(う〜ん・・・、そうだ!記憶を無くしていることにして、最近プロスさんの名前を思い出してここに来たことにしよう。)
「あ、あの〜、プロスさん。」
「はい、なんですかアキナさん。」
「あの、実は俺、じゃあなくて私、記憶が無くて・・・。」
「な!なんですって!?」
「1年くらい前、気づいたら地球にいて、つい最近プロスさんの名前を思いでして・・・。」
「そうだったんですか、・・・ではわたくしのことはあまり・・。」
「はい、名前ぐらいしか・・・。」
「そうですか、う、ううう、私が不甲斐ないばっかりに、う、うううう。」
プロスは先ほど以上に涙を流し始めた。
「え、い、いや、あ、あの、それでプロスさんは俺、じゃあなくて私とどうゆう関係なんですか?」
「はい、・・・私はあなたの父親です!」
「・・・・はい?」
「まあ、正確には養父ですが・・・。ですが、私はあなたのことを本当の娘だと思っています!!」
「・・・ち、父親・・・・、む、娘・・・、は、ははははは。」
「だ、だいじょうぶですか!アキナさん!!」
あまりのことにアキナ?はまた笑い出した・・・。
「だいじょうぶですか、アキナさん?」
「は、はい、だ、だいじょうぶです。」
なんとか現実を受け入れることにして、持ちなおしたアキナ?。
「そうですか、これからどうなさいます?私は本当は一緒にいたいのですが、仕事がありまして・・・。すぐにでも家の方は
準備しますからご心配無く。」
「え!」
(まずい、このままではナデシコに乗れなくなる。どうしよう・・・。プロスさんと一緒にいたいって言えばなんとかなるかな。)
「あ、あの、わ、私、出来ればプロスさんと一緒にいたいのですが・・・。」
「アキナさん!?」
「あの、私、その、一人でいるのなんか怖いし、それに知っている人といれば記憶の戻ると思いますから・・・。」
「ア、アキナさん、ううううう。」
プロスはアキナにそう言われて、また泣き始めた。
プロスは一通り泣き終えるとアキナの願いを聞き入れた。
「・・・わかりました。私も近くにいてほしいですし、もう、あんな思いはしたくありませんから。では、私の職場に就職出来る様にしますから。」
(よし!)
「では、どの部署にしましょうか?やはり生活班で・・・、楽な部署は・・・。」
「あの、私、今までコック見習いをしていたので、出来ればコック見習いで雇ってもらえませんか?」
「コック見習い!?」
「はい。」
「わかりました。ではコック見習いとして就職出来る様にします。」
「ありがとうございます。」
「・・・ああ、これでアキナさんの手料理・・・、娘の手料理が食べられるんですね・・・、うううう。」
「あ、あのプロスさん?」
プロスはアキナの手料理が食べられることを思い、感激してまた泣き始めた。
プロスが出て行ったあとのナデシコブリッジでは・・・。
「うふ、うふふふふふふ・・・。」
今だ、ルリは帰ってきてなかった・・・。
「はんにゃー、はーらーみーたー・・・・・。」
ルリの後でゴートが何やらお経を唱えていた。
「あ、あの、ゴートさん効いてないみたいなんですけど・・・。」
お経を唱えているゴートにミナトが言う。
「くう、なぜだ!なぜきかぬ!我が家に伝わる妄想払いのお経が!」
声をかけても、こちらに戻ってこないルリに業を煮やし、ゴートはお経を唱え出したがルリにはまったく効かなかった。
そうこうしているうちに無人兵器が襲撃してきた。
「「きゃあ。」」
地上からの衝撃がナデシコに伝わってきた。
「えーい、もう非常手段よ。」
そう言うとミナトはルリの胸倉を掴んで往復ビンタをかました。
”バン、バン、バン、バン”
「・・・は、ここは?」
「はー、ようやくこっちに戻ってきたわね。」
「あ、ミナトさん、どうかしましたか?」
「どうかしまたか?じゃないわよ、呼んでもこっちに戻ってこないし、それに今、上で敵の攻撃を受けてるのよ。」
「そうですか、ところでプロスさんは?」
「は、プロスさん?あの人だったら、誰かたずねてきて出て行ったわよ。」
「どうも、ありがとうございます。」
(うふふふ、どうやら、アキトさんを迎えに行ったようですね。・・・アキトさん、あなたのルリはここに居ます、
早く迎えに来てください。)
またも妄想を始めるルリだが後ろから聞こえてくる、かなきり声に現実に戻ってきた。
「なにをしてるザマス、とっとと発進するザマス!だから言ったザマス、民間人なんかに運用させるなんて・・・。」
(まったく、うるさいですねキノコは・・・、ザマス?)
ルリは後から聞こえてくる声が少し高めの声と語尾に”ザマス”と付けるのに違和感を感じ、後に振り向いた。
そして、振り向いたルリに衝撃のファーストインパクトを与えた。
「え゛!?」
後にはフクベとムネタケがいた。
ただ、ルリの知っているムネタケとちょっと違っていた。
キノコカットと顔はいっしょだが、とことん似合わない厚化粧、どう見ても女性用としか思えないの士官服を着て、
そしてどう見ても女性としか思えない体型、この世界のムネタケは女だった。
「ニュ、ニューハーフ?」
「ちょっと、そこのオペレーター、何失礼なことを言っているザマス。私はれっきとした女性ザマス。」
ルリはあまりのことにニューハーフと言うが本人に否定される。
「・・・は、ははは、・・・キ、キノコが・・・はぅ。」
「ちょ、ちょっと、ルリルリしっかりして!」
ルリはあまりのことに気絶した。
ナデシコ格納庫・・・。
木星トカゲの襲撃のためプロスはブリッジに行ってしまい一人格納庫にいるアキナ?。
(ちぃ、思ったより時間がかかりすぎた・・・。急いでエステに乗って囮をしなければ・・・。)
アキナ?は倒れているピンクのエステバリスに乗りこんだ。
ブリッジでは・・・。
「ルリルリ、しっかりして!」
気を失ったルリをミナトが介抱していた。
「・・・仕方がないわね、えい。」
ミナトはルリにまた往復ビンタをかました。
”バン、バン、バン、バン”
「う、ここは・・・?」
「ふう、ようやく目を覚ましたわね。」
「え?あ、ミナトさん・・・。私なんか嫌なものを見たような気がするんですが。」
「それはあとでいいから、発進準備をして。後ろの人うるさいから。」
ミナトは後に指差した。
「キイーなにやってるザマス、とっとと発進するザマス。」
後ではムネタケがさわいでいた。
(ゆ、夢ではなかったんですね・・・。)
ルリはムネタケを見て夢でないことを確信した。
ちょうどその時、プロスがブリッジに入ってきた。
「おや、皆さんまだ発進は出来ないのですか?」
「ああ、ミスター。まだ艦長が来ていないんだ。」
「ちょっと、なんで艦長が居ないと発進できないザマス。」
「はい、この船はマスターキーがないとシステムが立ち上がらないになっていまして。」
「ちょっと、どうするザマス、私はこんなところで死にたくないザマス。」
女ムネタケが騒ぎ出した時、扉が開き二人の女性が入ってきた。
「遅れました〜!私が艦長のミスマル・ユリカで〜す!ブイ!!」
「「「「ブイ?」」」」
「ほんとバ・・・!?」
ルリがユリカを見て”バカ”と言おうとしたがユリカの後に居る女性を見て固まった。
そこにはジュンがいたが、さきほどのムネタケ同様、女性用の士官服を着て、女性としか思えないユリカとためを張るぐらいの女性らしい体型をしていた。
ちなみに、化粧はしているがとことん似合っている。
「は、は、だから言ったじゃないユリカちゃん、あっちの道が正しいって。あ、遅くなりました、副長のアオイ ジュンです。」
「え〜、でもちゃんと着いたじゃない、ジュンちゃん。」
「えー、すみませんが艦長すぐにマスターキーを。」
「あ、は〜い。・・・では、いきま〜す。」
ユリカは艦長席に行き、マスターキーを差し込んだ・
前にあるメインスクリーンに起動OKのサインが出た。
「では、ルリさん発進準備を・・・、てルリさん、ルリさん、だいじょうぶですか!?」
プロスはルリに発進準備を促すがルリはジュンがここのジュンが女でと知って固まっていた。
「・・・は、はい、だ、だいじょうぶです。」
「そうですか?ではすみませんが発進準備のほうを。」
「は、はい、わかりました。」
ルリはショックかなんとか立ち直り発進準備をする。
(まさか、ジュンさんが女になっているなんて・・・、でもまあ、ジュンさん似合っているからいいか。)
ルリを襲ったセカンドインパクトはそれほどダメージはなかった。
(うふ、うふふふふ、もうすぐです。もうすぐで私とアキトさんとのバラ色の新婚生活が・・・。うふ、うふふふふふ・・・。)
ルリは発進準備をしながら、また妄想の中に入った。
周りはそんなルリを見捨てて、話を始めた。
「・・・、あー、おほん!では、艦長これからどうする?」
フクベが代表してユリカに聞く。
「はい!まず海底ゲートを抜けて、一旦海中へ、その後、浮上し主砲《グラビティブラスト》にて背後より殲滅します!」
「だが、敵をどうやって一箇所に集める?」
「そうよ囮ザマス、囮を出せばいいザマス。」
「そうか、そこで俺様の出番、てわけか!」
いつのまにかブリッジに来ていたヤマダが叫ぶ。
「だが、ヤマダ ジロウお前、足を骨折しているのではないか。」
「は、しまったー!」
ゴートに指摘され気づくヤマダ。
「囮なら出ています。」
ルリはエステバリスが一機、地上行きエレベーターに乗って地上に行くのを確認して、報告した。
(うふ、うふふふふふふふふ、アキトさんようやく会えるのですね、ああ、アキトさんルリは清い体で待ってます。敵を早く全滅して
新婚初夜を迎えましょう、うふふふふふふ・・・。)
「誰が乗っている?」
「では、コクピットの映像をモニターに出します。」
ゴートに言われ、ルリはコクピットの映像をモニター出した。
そして、ルリに今日最大のサードインパクトが映し出された。
(ああ、アキトさ・・・・え゛!?)
モニター映し出されたのは、16,7のなんとなくアキトに似た女性だった。
「誰だ、所属を「アキナさん!!」
ゴートがアキナを問いただそうとするがプロスに邪魔された。
「アキナさん!どうしてそんなところにー!!」
「あ、あの私、IFS持っていいますから私が囮になります。」
「そ、そんな!き、危険です!すぐに戻ってください!!」
「で、でも、パイロットの人、怪我をしてるっていうから。」
「そんな!だいじょうぶです!このパイロットは頑丈がとりえですから!ヤマダさん!なにをやってるんです!とっとと行ってアキナさんと交代してきてください!!」
「ちょ、ちょっと待った、俺足折ってるんだぞ!」
「何を言っているんです!自分で足を折ったそうではないですか!えーい、わかりました、ヤマダさん給料50%カットです!!」
「な、そんなー!」
「うるさいです!」
”バシーン”
「うわーー!」
”ドカ”
ヤマダはプロスがどこから出したか分らないハリセンで叩かれ吹っ飛ばされた。
「と、ともかく私、囮になりますから早く発進してください。」
「くう!仕方がありません!皆さんすぐに発進を!もし発進を遅らせたら、給料30%カットです!!」
「「そんな、おおぼうよ!」」
”ジロリ”
メグミとミナトが反論するがプロスの血走った目でにらまれて何も言えなくなる。
周りは急いで発進準備をするがルリは固まったままだった。
アキナ?のほうもルリに気づいて声を掛けてみる。
「・・・えーと、ルリちゃん・・・。」
「・・・も、もしかして、・・・ア、アキトさんですか?・・・・。」
「はははは、・・・・うん・」
「・・・そ、そんな、わ、私の、バ、バラ色の新婚生活が・・・・、はう。」
ルリはもしかしたら別人ではないか、と思っていたが本人に言われて自分の夢がコナゴナに砕かれて気絶した。
「ちょっと、ルリルリしっかりして!」
「ルリさん!何してるんですか!とっとと起きて発進してください!!」
ルリが気絶したことに気づいてミナトは起こそうとするが起きず、プロスも声を張り上げて言うが起きなかった。
「えーい、ルリさん!あなたは給料50%カットです!皆さん、仕方がありません!マニュアル発進してください!!」
プロスに言われてミナトはマニュアル発進に切り替える。
「艦長!早く準備を!」
「う〜ん?アキナ、アキナ、・・・あ、思いだした!」
「かんちょーーーーう!!」
”バシーーーーーーン”
「はうーーーー。」
プロスがハリセンでユリカの顔面を打ったたく。
ちなみにプロスが今まで居たのはルリたちのいたところ、そこからユリカのいるところにジャンプしてそのままユリカをハリセンで
叩いた。
「ユ、ユリカちゃーん!だ、だいじょうぶ!」
「は、はう・・・。プ、プロスさん痛いじゃあないですか!」
「何を言っているんです!艦長、早く発進準備を!!」
「は、はいーー!」
ユリカは叩かれて文句を言うがプロスの”目で人が殺せるぞ!”の視線で見られてすぐに立ちあがる。
「ところでユリカちゃん、何を思い出したの?」
発進作業をしながらジュンはユリカに聞いてみた。
「え、あ、うん。うんとね、アキナちゃんことを思い出して。アキナちゃん、私の一番のお友達なの。」
「ええーーーー!!」
ジュンの声に作業が止まる。
「そ、そんな・・・、私が一番のお友達だと言ったじゃない!」
ジュンは目に涙をいっぱい溜めて言う・
「う〜ん?そうだっけ?」
「そんな、・・・あのとき言ったじゃない、いっしょに夜明けコーヒーお飲んだとき!!」
「「「え!?」」」
周りで聞いていた人たちが固まる。
「それに、この前はいっぱいしてあげたじゃない!!」
「ん〜、でも〜。」
「そんな、そんな・・・・、ユリカちゃんなんて、ユリカちゃんなんて、だいきらーーーい!!」
「あ、待ってよ〜、ジュンちゃ〜ん。」
ジュンはブリッジを飛び出していき、ユリカもジュンに続いて飛び出していった。
・・・・ブリッジ全員、固まったままだった。
十数分後・・・。
いつまで経っても出てこないナデシコを待ちきれなくなって、アキナ?は無人兵器を全滅させた。
「あ、あのー、て、敵、全滅させたんですけど・・・・。もしもーし、みなさん聞いてますか?」
アキナ?は全滅の報告をするがみんな固まったままだった。
「・・・はあー、これからどうなるんだろ?」
ナデシコはまだ発進していなかった・・・・。
後書きみたいなもの
・・・・・春の陽気に誘われて、分けもわからず書きました・・・・。
ほかにはあまり言う事はありません。
代理人の感想
・・・・・まぁ、春だし。←言うに事欠いてそれかオイ
ところで・・・・・ひょっとして続くの(汗)?