一夜明けた、サセボドック・・・。
昨夜の木星トカゲの襲来で地上施設は壊滅状態にあった。
そして、地下ドックにはまだナデシコはいた。
漆黒のお姫様 2話
一夜明け、連合軍からとっとと発進しろと言われるが発進できる状態ではなかった。
メインオペレーターのルリは今だ夢の中、艦長と副長はどっかに行ったままだし、そのほかのブリッジクルーも精神的に参って、
まだ寝ていた。
ただ一人、プロスだけが忙しく働いていた。
ルリがいつ目を覚ますか分らないのでサブオペレーターの手配、まだ搬入が終わっていない物資の搬入、足らない物資の手配など
忙しく働いていた。
かなり働きぶりだが心の中では、
(ううう、アキナさん、アキナさん!アキナさーーーん!!)
泣いていた。
昨夜、アキナの通信後、プロスはすぐに覚醒してアキナを迎えに格納庫に行ったが、
「すみません、疲れてますので。」
の一言ですぐに割り当てられた部屋に行ってしまい、今朝も部屋に訪れて朝の挨拶をしようと思ったが、
「すみません、気分が悪いので。」
の一言で顔も見せなかった。
一仕事を終えて、プロスは食堂で遅めの朝食を取っていた。
「はぁ〜〜〜〜〜。」
(あー、アキナさん、悩みがあるなら相談してくれれば・・・、やはり男親はだめなんでしょうか?どうしたらいいんでしょうか?)
プロスはアキナのことを考えながら食事をしていた。
「ふぅ、ホウメイさん、モーニングセットのAをお願い。」
プロスが悩んでいるとミナトが食堂に入ってきた。
「あら、プロスさん、おはよう。」
「・・・・。」
ミナトが挨拶するがプロスは気づかずに考え込んでいた。
「・・・プロスさん!おはよう!!」
「え!?は、はい、おはようございます。」
「もう、どうしたのプロスさん?何かため息までついて。」
「いえ、ちょっとプライベートのことで。」
「ふ〜ん、何だったら相談に乗るわよ。」
「・・・そうですね、女性の方がわかるかもしれませんし。」
「ということは、女性問題?」
「いえ、そういうわけでもないんですが、実はアキナさんのことで。」
「ああ、確か昨日のパイロットの子ね。そういえば、プロスさんと知り合いみたいだったけど、どういう関係?」
「はい、実は娘でして。」
「娘!?」
「はい、義理ですが。」
「そ、そう、なんかイメージわかないな。」
ミナトはマイオームパパのプロスをイメージするが浮かび上がってこなかった。
「それで、そのアキナちゃんがどうしたの?」
「はい、実は・・・。」
プロスは昨日アキナと再開してからのこと、今日の朝のことをミナトに話した。
「ふ〜ん。」
「私は、アキナさんにどう接すればいいんでしょうか。」
「う〜ん、・・・私が話しかけてみようか?」
「ほ、本当ですか!」
「まあ、アキナちゃんと話をして悩みを聞くぐらいだけど。」
「かまいせん!ミナトさんお願いします!」
「わかったわ、今から行ってみるわ。ホウメイさん、すみませんが今の注文キャンセルします。」
「あいよ、わかった。」
「それじゃあ、行ってきますね。」
そう言うとミナトは食堂から出て行った。
一方、アキナは、
「・・・・どうやって、付けるんだ?」
ブラを前に悩んでいた。
「・・・・・それにしても、昴気が使えても体力は女のままだから、なんとか鍛えないといけないな。」
昨日の戦闘後、かなり疲れたアキナは部屋に行くとすぐに寝てしまい、起きても疲れが抜けきれていなかった。
その為、プロスに対してあのような態度になってしまった。
何とか起きて、シャワーを浴びて着替えようとしたがブラの着け方がわからず悩んでいた。
「う〜ん、どうやって着ければいいんだろ?」
アキナはブラを手にとってなんとか着けようとした時、部屋の扉が開きユリカが入ってきた。
「アキナちゃん、おはよう!」
「・・・。」
アキナはとっさのことで対応しきれず、固まった。
「あれ〜、着替え中だった。ごめん、ごめん。また、あとで来るね。」
「・・・え、あ、ま、まった、ユリカ。」
「え、なあに、アキナちゃん?」
「わ、悪いんだが、ブ、ブラ着けるの手伝ってくれないか?」
「うん、いいよ。」
ユリカがアキナの背後にまわり着替えを手伝おうとした時、また扉が開き今度はジュンが入ってきた。
「もう、ユリカちゃん!なにして・・・・・!?」
ジュンにはユリカがアキナのブラを取っているように見えた。
そしてジュンは目に涙を溜めて叫んだ。
「ユリカちゃん!昨日、あんなに、あんなにいっぱいしてあげたのに!・・・ユリカちゃんのユリカちゃんのバカー!!」
「あ、待ってよ、ジュンちゃん!」
ジュンは叫びながら走って出ていき、ユリカもジュンのあとを追って出ていった。
一人、アキナがブラを着けようとした態勢で固まっていた。
数分後、”ピンポ〜ン”とチャイムが鳴りアキナはようやく動き出した。
「・・・え、あ、だ、誰ですか?」
「えーと、私、操舵手のハルカ ミナトだけど、今いいかな?」
「え、ミ、ミナトさんですか、は、はい、いま、開けます。」
「ゴメンね、・・・て、ゴメン、着替え中だったの。また、後で来るわ。」
「ちょっと、待ってください。すみませんがその・・・ブラ着けるの手伝ってくれませんか。」
「え、まあ、いいけど。」
「すみません。」
ミナトはアキナの着替えを手伝う為、部屋に入った。
ミナトが手伝ってなんとかアキナは着替えを済ませた。
「はい、これでよしっと。」
「どうも、すみません。」
「いいわよ、こんなことぐらい。でも、ブラのサイズちょっと小さいんじゃない?」
「そうかも・・・。ちょっと苦しいですね。」
「じゃあ、売店に買いに行きましょう。」
「え、でも、お金が・・・。」
「そういう時はプロスさんに言えば、なんとかなるわよ。それにプロスさん、アキナちゃんのお父さんなんでしょ。」
「な、なんでミナトさんそのことを。」
「さっき、プロスさんに聞いたのよ。」
「そうですか。」
「ま、そういう訳だからプロスさんに連絡するわ。」
そう言ってミナトはプロスに連絡した。
(はー、いったいこの世界はどうなっているんだろ?俺が女になってるし、プロスさんが俺の父親になってるし、それにさっきの女性、
ユリカはジュンて言ってたからたぶんあのジュンなんだろうし、もしかしらほかにも女になってる人もいるかも・・・。)
アキナはまだ知らなかった。この世界のムネタケが女であることを、そしてほかにも女になっている人がいることを・・・。
「そういうわけだから、お金ほうはお願いね。」
『はい、わかりました。ではすみませんがアキナさんのことくれぐれもお願いします。』
アキナがいろいろ考えているうちにミナトとプロスの話が終わった。
「さてと、アキナちゃん、プロスさんと話がついたから売店のほうに行きましょう。」
「え、あ、は、はい。」
「ところでアキナちゃん、今の自分のサイズわかる?」
「え、わ、わかりませんが。」
「じゃあ、医務室でサイズを測りましょう。あそこならメジャーぐらいあるだろうから。」
ミナトとアキナは医務室に向かった。
「さてと、私はメジャーを捜すからアキナちゃんは服を脱いで待ってて。それと、ベットで寝てる子がいるから静かにね。」
「はい、わかりました。」
医務室に着くとミナトはそう言ってメジャーを捜しに部屋の奥に行った。
「ふう、さてとあとはミナトさん待ちか。」
アキナは服を脱ぎ、ブラも取って下着一枚の格好になった。
「そういえば、誰かがベットで寝てるって言ってたな。」
アキナはその格好でベッドを覗いて見ると・・・・。
「・・・うふ、・・・うふふふ、・・・じゅるり・・・。」
「・・・ル、ルリちゃん・・・。」
ベットにはルリがよだれを垂らしながら不気味に笑いながら寝ていた。
「・・・・そ、そういえば、ルリちゃん、体が大きくなってるな。」
アキナはルリの顔をなるべく見ないようにして体のほうを見た。
「やはり、ここはパラレルワールドかもしれないな・・・・、となると木連のほうはどうなっているんだろう・・・。」
アキナが自分の考えを口に出していると、その声に反応してルリが目を覚ました。
「・・・う、うん?ここは?・・・。」
「あ、ルリちゃん目を覚ましたんだね。」
「へぇ?・・・ア、アキトさんですか?」
「ああ、・・・どうやらこの世界の俺は女みたいなんだ。」
「・・・・。」
「・・・あ、あのルリちゃん?」
ルリはアキナの体の一部を一点集中して見ていた。
「・・・アキトさん。」
「な、なにかなルリちゃん。」
「・・・なんなんですか、その胸は!!」
「へぇ?」
「何でそんなに大きいのですか!!」
「え、い、いや、な、なんでかな。」
「私なんて、私なんて、・・・くうーーーー!!」
「ル、ルリちゃん、お、落ち着いて。」
「私なんて、私なんて!アキトさん、あなたは何カップですか!!」
「え、えーと、た、たしかさっきミナトさんが85のCって言ってたな。」
「は、85のC・・・。」
「あ、でも、それがちょっときついから新しいの買う為にサイズ測りに来たんだ。」
「85のCがきついと・・・・。」
「ど、どうしたのかな、ル、ルリちゃん。」
「・・・・。」
”ブチ”
アキナが何も言わなくなったルリに声をかけたとき、”ブチ”となにかが切れる音がした。
「・・・ふ、ふふふふふふ、私なんか、私なんか、Bなのに!!!」
「お、落ち着いて、お、落ち着いて、ル、ルリちゃん!?」
「胸なんか、胸なんかーーーーーー!!!」
「し、仕方が無い、えい。」
「はう。」
ルリの暴走にアキナは首筋に手刀を入れて気絶させた。
「ど、どうしたの!?」
さわぎを聞いてミナトがベッドのほうに来た。
「え、いえ、こ、この子、目を覚ましたんですけど、わ、私の胸を見たら、何故か叫び出して、そうしたら今度はまた倒れて。」
(ごめんよ、ルリちゃん。)
アキナはミナトに最後だけ嘘をついてなにがあったか説明する。
「え、ルリルリ、目を覚ましたの。」
そう言ってミナトはルリを見た。
「胸なんか、胸なんか・・・・。」
ルリは気絶してもうわごとのように言っていた。
「・・・そ、そう、ルリルリ、胸にコンプレックスがあったのね。」
「と、ところでミナトさん、メジャーは見つかったんですか。」
アキナはむりやり話題を変えた。
「え、ええ、あったわよ。じゃあ測りましょう。」
ミナトも本来の目的を思いだし、アキナの胸のサイズを測り出した。
「やっぱり、アキナちゃんスタイルいいわね。」
「そ、そうですか。」
サイズを測り終えてた二人は売店に行き、目的の物を買い終わって廊下を歩いていた。
「けど、こんなに買っていいんですかね?」
アキナが持っている袋の中には、上下セットの下着が20着ほど入っていた。
「なにいってるの上下セットの下着ぐらい、10着や20着持っててあたり前よ。」
「そ、そうですか。」
「それに、ちゃんとサイズがあったのを着ないと体の線がくずれちゃうわよ。」
「はあ。」
「さてと、もうお昼すぎになっちゃたから荷物を置いてから食事に行きましょ。」
「はい、わかりました。」
二人は一旦アキナの部屋に行き、荷物を置いてから食堂に行った。
「では、新しいオペレーターは手配がつき、まもなくこちらに来るのですね。」
『ああ、もうすぐそちらに着くと思うよ。』
プロスは物資の積み込み、搬入の終了の報告と新しいオペレーターのことを聞くため、アカツキと通信をしていた。
『そういえば、プロス君の娘さん、たしかアキナ君だったけ。彼女見つかったんだって。』
「ええ、・・・ですがアキナさんに避けられているみたいで。」
『まあ、親離れなんじゃない。』
「な!?そ、そんな!!」
『アキナ君も年頃なんだし、そろそろ親離れをしてもいいんじゃない。』
「そ、そんな・・・。もう、火星にいるときみたいに一緒にお風呂に入れないんですか!!」
『い、いや、プロス君、一緒にお風呂って・・・。』
「そうなるとアキナさんに背中を流してもらえない・・・。う、うううう。」
『プ、プロス君、そ、それはちょっとまずくないかい。そ、それに、君たち義理の親子だろ。』
「何を言うのです!私はアキナさんを引き取ったときに必ず本当の親子になろうと火星の大地に誓ったんです!!そ、それなのに・・・、う、ううううう。」
『か、火星の大地って・・・。』
「う、うううう、・・・・、は!そう、そうです!これからアキナさんの手料理が食べることができるんです!!」
『・・・・・おーい、プロス君。』
「ああ、夢にまでみたアキナさんの手料理・・・、火星にいるときはあまり作ってくれませんでしたがこれからは毎日食べられるのですね!」
『・・・・・・はぁ〜。』
「ああ、私はなんて幸せなんでしょう・・・・・。」
数十分後・・・・。
『気がすんだかい。』
「申し訳ありません。」
『まあ、アキナ君のことは置いておいて、ちょっと真面目な話がある。』
「はい。」
『じつは、軍のほうに動きがあってね、どうやらナデシコを手に入れようとしているみたいなんだ。』
「ですが、軍のほうとは話がついているはずでは。」
『ああ、ついているよ。でも、軍としては搭載機のエステバリス一機で木星トカゲを撃退したんだ、船のほうはもっと強いと思ったんだろうね。極東方面軍が動き出しているよ。』
「極東方面軍というと艦長の。」
『ああ、ミスマル提督が動いているみたいだ。』
「そうですか。」
『それでだ、もし艦長がわれわれの意に反した行動をとった場合の為の保険を新しいオペレーターと一緒に送ったよ。』
「保険ですか・・・。」
『まあ、使わなければそれでいいんだけでもね。一応、ボクとプロス君、君も使えるようにしておいたから。』
「わかりました。では、他には何かありますか?」
『一応、今のところそんなとこかな。』
「はい、では明日正午前には発進いたします。」
『わかった、じゃあ、あとは頼むよ。』
「はい、わかりました。」
そう言うとプロスは通信を切った。
「ふう、さて今のうちにアキナさんの様子でも見に行きますか。今は何処に居ますかね。」
プロスはコミュニケを使ってアキナの居場所を捜した。
「食堂に居るみたいですね・・・、は!?うまくすればアキナさんの手料理が食べられる!こうしてはおれません!!」
言うが早いかプロスは部屋を出て一目散に食堂目掛けて走り出した。
「それじゃあ、すみませんが明日から食堂に入りますので。」
「ああ、いいよ。昨日は大変みたいだったからね、ま、今日はゆっくり休みな。」
「はい、本当にすみません。」
アキナはホウメイに謝ってからミナトがいる席に行った。
食堂に来たアキナは自分が一応コックとして雇われたことを思いだし、ホウメイたちに挨拶に行き、明日から仕事に入るよう頼んだ。
ホウメイのほうも昨日、アキナが出撃したことを知っているので明日から仕事に入ることを了承した。
「へ〜、アキナちゃんってコックだったんだ。てっきりパイロットだと思ってた。」
「ええ、まだ見習いですけど。」
「それでもすごいわよ。ロボットを動かして木星トカゲもやっつけちゃったんだから。」
「そ、そんな、偶然ですよ。」
二人がそんなことを話しながら食事をしているとプロスが食堂に入ってきた。
プロスは二人を見つけると偶然を装って二人に近づいた。
「おやミナトさん、アキナさん、私もご一緒してよろしいでしょうか?」
「あら、プロスさん私はいいわよ。」
「私もかまいませんが。」
「では、失礼します。ホウメイさん、すみませんがラーメン一つお願いします。」
「あいよ。」
プロスは二人の了承を取ってから席につくとホウメイに注文をした。
三人で食事をしながら雑談をしているとプロスのコミュニケにメグミから通信が入った。
『プロスさん、面会の方が見えましたけど。』
「おや、もうそんな時間ですか。」
そう言ってプロスが席を立ったとき、ラピスがアキナに話し掛けてきた。
(アキト、アキト!)
(うん?どうした、ラピス。)
(うんとね、ワタシ今ナデシコにいるよ。)
(へ!?ナデシコにいるって。)
(うん、あのねオペレーターが倒れたから、かわりなんだって。)
(替わりって、ルリちゃんは・・・・・・。)
そう言うとアキナは今のルリの状態を思い出した。
(そ、そうか・・・、ル、ルリちゃん今、あんな状態だったな・・・。)
(あと、ごめんねアキト、頼まれたことできなくて。)
(いや、いいよ。ところで今、ナデシコの何処にいるんだ。)
(え〜と、格納庫みたい。)
(そうか、じゅあ私も格納庫に行くわ。)
(うん、待ってるね。)
(あと、今の私、女だから人前ではアキナって呼んでね。)
(うん。・・・でも、アキトなんか喋り方が女みたい。)
(う!そ、そうかな。)
(うん。)
(そ、そうか・・・。じゃ、じゃあ今からそっちに行くから。)
(待ってるね。)
ラピスと話終えたときプロスが食堂から出て行こうとしたのでアキナは声をかけた。
「あのプロスさん、何処に行くんですか?」
「ちょっと格納庫まで行きますが、それがなにか?」
(やっぱり、ラピスを迎えに行くんだな。なら、いっしょに行ったほうがいいかな。)
「あ、あの、私もいっしょにいってもいいですか?」
「いっしょにですか?」
「は、はい。」
いきなりいっしょに行きたいとアキナに言われ、プロスは考え込んだ。
(なぜ急に一緒に行きたいなどと・・・・・、は!?もしかしてアキナさん、私と親子のスキンシップが取りたいんですね!そうです、
そうに決ってます!!昨日や今朝のことがあって何か口実がないと照れくさいのでしょう!わかりましたアキナさん、親子のスキンシップ
をしましょう!!)
「ええ、かまいませんよ。」
プロスは見当違いなことを答えを出してアキナの同行を認めた。
「ねえ、私もいっしょにいってもいいかな。」
アキナの同行を認めたのを見てミナトも同行を申しでた。
(う〜ん、そうですね、いきなり二人だけではアキナさんが緊張するかもしれませんし、ミナトさんにも同行してもらいましょう。)
「ええ、ミナトさん、かまいませんよ。アキナさんはどうですか?」
「私もかまいませんが。」
「じゃあ、行きましょう。ホウメイさんごちそうさま。」
三人は食堂をあとにした。
「ところでプロスさん、格納庫に何しに行くの?」
食堂を出て格納庫に行く途中、ミナトはプロスに何をしに行くか聞いてみた。
「はい、新しいオペレーターの方を出迎えに行きます。」
「新しいオペレーターって、ルリルリはどうなるの!」
「ルリさんにはこのまま乗っていてもらいまして、体調が戻り次第、業務に復帰してもらいます。復帰なされたらルリさんには
メインオペレーターをしてもらいまして、新しく来た方はサブオペレーターをしてもらう予定です。」
「なんだ、ルリルリをクビにするかと思ったわ。」
「いえいえ、ルリさんクラスのオペレーターはそうそういませんから、クビになんて出来ませんよ。」
プロスとミナトが新しいオペレーターのことを話しながら歩いている後でアキナはこれからの事を考えていた。
(ラピスがナデシコに乗るから2度目と違って色々と出来なくなるから、なんとかしてエステだけでもカスタム化しないとな。
早いとこウリバタケさんに相談するか、あとは今のところは出航してすぐのキノコの反乱か・・・、まあ、またガイが
動いてくれるだろうから特にいっか。)
アキナが考えをまとめているうちに三人は格納庫に着いた。
三人が格納庫に着くとトランクを手に持った黒髪の女性と薄桃色の髪をした少女がいた。
「どうやらあの方たちみたいですね。」
プロスが二人を見つけてそちらに歩いていた。
プロスたち三人が近づいて行くと黒髪の女性が三人に気づいて声を掛けてきた。
「遅いわよ、プロス。」
「どうもすみません、エリナさん。」
「まあ、いいわ。この子が新しいオペレーターよ。」
そう言ってエリナは横にいる薄桃色の髪の少女を紹介した。
「わかりました、ところでこの子のお名前は?」
「一応、ラピス ラズリと言うらしいわ。」
「そうですか。」
プロスとエリナが話しているの見て、アキナはラピスにリンクで声を掛けた。
(ラピス大丈夫だった。)
(・・・・・え〜と、アキト?)
ラピスはアキナを見ながら言った。
(ええ、そうよ。それとさっきも言ったけど人前ではアキナって呼んでね。)
(・・・・うん、わかった。)
そう言うとラピスはエリナから離れてアキナのほうに歩き出した。
「あら。」
エリナはラピスがアキナに向かって歩き出したのを見て少し驚き、ラピスが歩いていった先にいたアキナを見て”ニヤリ”と笑った。
(あら、なかなかカワイイわね。まあ、今日は仕方がないけど、次に会ったとき、誘ってみようかしら。)
そんなことを考えるエリナ。
エリナが考えごとをしているうちにラピスはアキナの前に来た。
「え〜と、私、テンカワ アキナ。よろしくね、ラピス。」
アキナはしゃがんでラピスと目線を合わせて挨拶した。
「・・・うん、よろしくアキナ。」
横にいたミナトもアキナのようにしゃがんでラピスに挨拶した。
「私はハルカ ミナトよ、よろしくね。ラピスちゃん。」
「・・・よろしく、ミナト。」
エリナはアキナから視線をはずしてプロスのほうを向いて手にしていたトランクを手渡した。
「はい、これが会長からの預かり物よ。」
「はい、確かに受け取りました。」
「それじゃあ、あとのことはよろしくたのむわ。」
「はい、わかりました。」
そう言うとエリナはナデシコから降りていった。
エリナが行ってしまったのでプロスは三人のもとに行きながら、
「さて、ラピスさん。お部屋の方はどうしましょうかね。」
とプロスはラピスの部屋をどうしようか?考えていた。
(ねえ、アキト。)
(うん、なあに。)
(アキトといっしょの部屋いい。)
(じゃあ、プロスさんに頼んでみるよ。)
「あの、プロスさん。」
「はい、なんですか。」
「あの、ラピスと一緒の部屋にしてもらえませんか?」
「アキナさんとですか。」
「はい。」
「・・・ワタシもアキナといっしょがいい。」
「そうですか、ですがアキナさんのお部屋では少し狭すぎますし、お仕事の関係上なるべく同じ部署のかたがよいのですが。」
「そこを何とかなりませんか。それにこの子、私に懐いているみたいですし。」
「そうは言いましてもね。」
アキナがプロスにラピスとの同室を頼むがやんわりと断られているのを見てミナトはなにか思いつきプロスに話かけた。
「ねえ、プロスさんなら私とラピスちゃんがいっしょの部屋なのはいいの?」
「そうですね、・・・まあミナトさんはブリッジクルーですからね、かまいませんよ。」
「あとプロスさん、たしか私の隣の部屋、空いていたわよね。」
「はい、空いていますがそれがなにか。」
「なら、アキナちゃんを隣の部屋にしてくれない。」
「構いませんがどうしてですか?」
「ラピスちゃん、アキナちゃんに懐いているみたいだから、近くのほうがいいと思ってね。」
「そうですね・・・わかりました。ではアキナさんお部屋のほう移動してもらいますがよろしいですか。」
「はい、かまいません。」
「そうと決れば、すぐに移動しましょう。それとプロスさん私の部屋のベット、ツインに代えてくれない。ラピスちゃんと一緒に寝るのに
シングルだとちょっと狭いから。」
「わかりました。ではすぐに手配します。」
「じゃあ、よろしく。アキナちゃん、ラピスちゃん行きましょう。」
そう言って三人はアキナの部屋へ移動した。
一人残されたプロスは、
「どうしたのでしょうアキナさん、火星にいたときは一人暮しをしてみたいようなことを言っていたので一人部屋にしたのに・・・、
は!?もしかして私といっしょに暮らしたかったのでは!そうです!そうに決ってます!ただ、それが言いにくいからラピスさんを
だしに使ったんですね。うううう、すみませんアキナさんそこまで読めなくて・・・、ですが!いつかまた二人で暮らしましょう!!」
見当違いなことを考え付いていた。
アキナ、ミナト、ラピスの三人は、まずアキナの部屋に行き荷物をまとめてミナトの隣の部屋に引越しをした。
まだ荷物を広げていなかったので引越しはスムーズに行われた。
ミナトの部屋のベットの交換もすぐにベットが届いたので引越しといっしょに行った。
また、プロスが物影からアキナの引越しの様子を見て悩んでいた。
(・・・ああ、お手伝いがした。・・・でも、アキナさんに断られたら・・・。)
手伝おうか、どうしようかと迷っていた。
プロスが悩んでいるうちにアキナの引越しとミナトの部屋のベット交換が終わった。
「さて、アキナちゃんの引越しと私の部屋のベットの交換も終わったことだしゴハンを食べに行きましょう。」
「はい、ラピス行こうか。」
「うん、・・・おなかすいた。」
いまだ物影で悩んでいるプロスに気づかずに三人は食堂に行った。
食堂で食事を終えた三人は、一旦部屋に戻ってすぐにナデシコ内の大衆浴場に行った。
物影では今だプロスが悩んでいた。
お風呂から出た浴衣姿の三人はラピスの要望でいっしょに寝る為、ミナトの部屋に向かった。
「あれ?」
「うん?どうしたの、アキナちゃん。」
「いえ、あそこにいるのプロスさんじゃないかと思って。」
アキナはまだ物影で悩んでいたプロスを見つけた。
「あ、ほんと。でも、何やってるんだろ。」
「ちょっと、聞いてみます。」
アキナは物影にいるプロスのもとに行き、声を掛けてみた。
「あの〜、プロスさん、何やってるんですか?」
「え!?い、いや〜、ちょ、ちょっと。そ、そうだアキナさん、引越しのお手伝いに来ました。」
「え?あの、引越しならもう終わっていますけど。」
「え!」
「すみません、わざわざ来てもらって。」
「い、いえ、ど、どういたしまして・・・。そ、そうだ、これからお食事でもどうですか?」
「あ、あの、もう食べちゃったんですけど。」
「そ、そうですか・・・。」
「あの、すみませんが明日、早いからもう寝ますのでおやすみなさい。」
「そ、そうですか、お、おやすみなさい。」
そう言うとアキナはミナトとラピスの元に行き、ミナトの部屋に入っていった。
一人残されたプロスは、
「・・・・うううう、あ、あのときすぐに手伝っていれば・・・、うううう。」
一人その場で泣いていた。
しばらくの間、泣いていたプロスはとぼとぼと自分の部屋に歩いていった。
「・・・・は!そ、そうです、アキナさんが明日、早く起きなければならないのは食堂の仕事に入る為の筈、なら明日一番に食堂に
行ってアキナさんの手料理を食べましょ!!」
先ほど打って変わって今度はスキップで自分の部屋に向かった。
翌日・・・・。
発進30分前にはルリを除いたブリッジクルー全員がそろった。
メグミはまだ気分が悪そうだったが、ラピスを紹介されてからミナトを交え三人でおじゃべりをしていて気分がよくなったのか、
気分よく職務にあたっていた。
ミナトはラピスを気に掛けながら発進の準備をしていた。
ラピスのほうはすぐにオモイカネと仲良くなり発進の準備をしながらオモイカネと話をしていた。
プロスは朝一でアキナの作った朝食を食べれてご満悦な表情で発進の手続きをしていた。
ユリカとジュンはなんだか眠そうな顔をしてアクビをしながら発進の準備を眺めていた。
フクベは自分の後ろからの突き刺さる視線を気にしないよう冷汗をかきながらお茶をすすっていた。
ムネタケは突き刺さるような視線でフクベを見ていた。ただ、時折頬を赤らめていたが・・・。
ゴートは自分の席でぶつぶつとお経を唱えていた。
「さて、発進の手続きも終えましたので発進いたしましょう。では艦長、あとの指示をお願いします。」
「ふぁ〜、わかりました。ラピスちゃん、ドックに水を入れてちょうだい。あとミナトさんエンジン始動お願いします。」
アクビをしながらユリカはラピスとミナトに指示をする。
「うん、わかった。オモイカネ、ドックに水入れて。」
「了〜解。エンジン始動しま〜す。」
ラピスにそう言われると正面のモニターに”OK”と出て、ドック内に水が入ってきた。
「相転移エンジン及び核パルスエンジン始動OK。」
「わかりましたミナトさん、メグミちゃん艦内に発進の放送をお願い。」
「はい。”ただいまより、ナデシコ発進します。繰り返します、ただいまより、ナデシコ発進します”。」
「ドックに水たまったよ。」
ラピスがそう言うと正面モニターに”ドック内、注水OK”と表示された。
「では、正面ゲートオープン。ナデシコ発進。」
「了〜解。」
ナデシコようやく発進。
一方、ナデシコ発進の時、アキナは食堂で昼食の準備をしていた。
「ふぅ〜、ようやく発進か。」
正史及び2度目と違って二日遅れでようやくナデシコは発進した。
「ほんと、どうなるんだろ。」
今後のことを考えていたらホウメイに怒鳴られた。
「アキナ、ぼさっとしてないでこっち手伝いな!」
「は、はい、ホウメイさん。」
ホウメイに怒鳴られて手伝いに行くアキナ。
ナデシコなんとか発進・・・・。
代理人の感想
プロスさんは完全に別人やな〜(爆笑)。
なんかレズビアンが横行してるし(笑)。
後、誤字の指摘ですが
「そうゆう」→「そういう」
「コミニュケ」→「コミュニケ」
です。
「コミュニケ」は「コミュニケーションなんたら」の略語からでしょうし、
「コミュニケーション」は「コミュニズム」「コミュニティ」などと起源を同じくする単語なので
そっちの方で覚えましょう。
また「そうゆう」などといった表現はネタでなければ使わないほうが無難です。
お気を付け下さい。