運命と絆、そして… 第1話 B―part




「どーですか、ルリさん。これが、わが社が誇る新造戦艦、その名も【ナデシコ】です。」

プロスさんが、誇らしげに見せてくれたナデシコは、大きくて、真っ白で、ちょっと変わった形でした

「どうですか、初めて見るナデシコは?」

「……変な形」

「はっはっは。これは手厳しい。」

「両舷側から張り出しているのは、ディスト―ション・フィールド発生ブレードだ。

 大気圏突入時も、ディストーション・フィールドを発生させることで、摩擦係数を滅殺するようになっている」

ゴートさんが、むっつりとした顔で説明してくれました。

「そういえば、戦艦ってことは、私、軍人になるんですか?」

もしそうなったら、私はなかなかアキトさんに会えなくなる。

「いえいえ。あくまでルリさんは、ネルガルの社員ということで。」

と、プロスさんは答えたけど、全然説得力がありません。

だって、今いる場所は連合宇宙軍基地の地下ドック。

ここに来るまでにも、何回も軍人さんのチェックを受けたし…

「いいんですか?民間企業が軍を差し置いて、戦艦を動かしても?」

「ま、そこは蛇のみちはヘビというか、魚心あれば水心というか。ま、早い話がこれです」

プロスさんが親指と人差し指で輪を作った。

なるほど。とても分かりやすい説明です。

「だから、ここの基地ドックも使わせていただける訳でして。

 しかし、ここのレンタル料がこれまた高い。

 もう少し安くしてもらった方が経済的なんですが…」

プロスさんは、はぁ〜と溜息をつきました


その後は、ナデシコのデッキに案内されました

そこでは、ネルガル重工お手製のロボット 通称【エステバリス】が置いてありました。

プロスさんが延々とエステバリスの説明をしだして、最後には私に買う様にすすめました。

何で、普通の少女にこんな物を売ろうとするんでしょうか?

でも、その後、そのエステバリスが勝手に動き出して、大騒ぎになりました

動かしていたのは、パイロットのヤマダ ジロウさん

本人が言うには、ダイゴウジ ガイだそうですが…

ひと事で言うなら、熱血ヒーローオタク。

エステバリスで一通り暴れた後に、こけました

この人に命を預けるのは何だか不安…


次に、案内されたのは、ブリッジでした。

そこには、ハルカ ミナトさんという女性がいました。

第一印象は、深夜番組に出てくるタレント。

でも、ここに来る前は社長秘書をやってた、と言っていたから、それなりに凄い人なのかな

ミナトさんは、ゴートさんをからかったり、プロスさんと下着について話したりしました。

………………………どうせ私には、関係のない話です


私達の目の前で、いきなり自動販売機が変形しました。

私が、プロスさんに自動販売機について説明を受けていると、いきなりです。

犯人は、メカニックのウリバタケ セイヤさん。

どうやら、メカニックで一番偉い人のようです。

もうすぐ、出航なのにこんな事していていいのかな?と思っていると

、 案の定、ウリバタケさんは、プロスさんに叱られました

それから、ウリバタケさんの契約について揉めました。

ウリバタケさんは、奥さんから逃げるためにナデシコに乗ったみたいです

でも、私は少女なので、そんな事には興味がありません


今度は、廊下の向こうにウサたんがいます。

何故ナデシコにウサたんがいるの?と考えていると、ウサたんが色々質問してきました。
 
プロスさんが、ウサたんのことを、メグミさんと呼ぶと、ウサたんは頭を外しました。

中から現れたのは、メグミ レイナードさんでした。

この人は、かなり売れっ子の声優さんです。

私は、アキトさんゲットの為に、今まで興味の無かったアニメや漫画を見るようになりました。

不足していた恋愛に関する情報を集めるためです。

その中には、メグミさんが出ている作品もありましたから、メグミさんの事は多少知っています。

私とメグミさんがその手の話で盛り上がっているのを、プロスさん達は呆然と見ていました。

私がこんな事に興味があったのが、意外な様です。

私は少女なんだから、興味があるのは当然だと思うんだけど……


次に会ったのは、白衣のような服に赤いスカーフを巻いた女の人。

名前はホウメイさん。ナデシコのコックだそうです。

ホウメイさんと、私に料理を教えてくれるという約束をしました。

さすがに、好きな男の人の方が料理が上手というのは、女性としてショックです

だから、ホウメイさんの下で修行して、アキトさんより上手くなりたいです

そして、アキトさんに私特製の料理をご馳走して、ビックリさせたいです

暇がある時は、ホウメイさんの所に行く事にしよう


疲れました。

1日でこんなに大勢の知らない人と会ったのは初めてです

人間開発センターには、少しの研究者しかいなかったし、センターに来る前に記憶はありません

しかも、会う人会う人が物凄く個性的な人達。

ゴートさんが言うには、ナデシコのクルーの基本方針は【性格に多少問題があっても、腕は超一流】

そうなると、私も性格に問題があるのかな?

ちょっとショック

これから、この人達と暮らしていくのは、かなり疲れます

私は、用意された個室のベットに横になって、そんな事を考えていました。

この部屋は、広くは無いけど立派なものです

明日から私は、この戦艦のオペレーター

それ自体に不安はありません

今までみたいに、コンピューターと話をして、大人達の期待に答えればいい

問題は、この環境に慣れる事と、アキトさんがいないこと

アキトさんがいないのは、寂しいです

私は、アキトさんの夢が見られるように、貰ったペンダントを握り締めながら寝ました。

おやすみなさい、アキトさん


オモイカネ

ナデシコに搭載されているスーパーコンピュータの名前です

オモイカネは、宇宙軍なんかのコンピュータとは桁が違います

そのオペレートが私の仕事

私が、オモイカネと話をしていると、ミナトさんとメグミさんがブリッジに入ってきました

それにしても、このナデシコには女性が多いです

もしかして、ネルガルは宣伝でもするのかな?

「あの、出航したらナデシコって、何をするんですか?」

メグミさんが、プロスさんに質問をしました。

「戦艦ってくらいだから、木星蜥蜴と戦うんですか?」

「いいえ。ナデシコは戦艦にして戦艦にあらず。勿論戦闘はしますが、それが目的というわけではありません」

「じゃあ、ナデシコの目的って何なんですか?」

「それは秘密です。あしからず」

「ふ〜ん それって軍機ってやつ?」

ミナトさんが横から口をはさんだ。

「軍機と言うよりか、企業秘密です」

まぁ、言い方はともかく、秘密は秘密ってこと

「皆さんには、しばらくナデシコに慣れてもらって。その上で実戦テストという風にします」

「へぇ、やっぱり実戦やるんだ」

「まあ、一応はナデシコは戦艦ですから。勿論皆さんには危険手当など……おや?」

プロスさんの腕でコミュニケが鳴りました

会話の内容からして艦長が到着した様です

「分かりました。では、こちらで艦長を待つことにしましょう」

「はい、それと…」

「それと?」

「不審人物がナデシコに入ろうとしていましたから、とりあえず取り押さえました。

 何でも、会いたい人が、ナデシコに乗っているから会わせてくれ、だそうです」

「会いたい人? はて、一体誰のことですか?」

「それが、それを聞こうと思ったら、艦長が落としたトランクにぶつかって気絶してしまいまして…」

「は?」

「あれは、痛かったと思いますよ。かなりスピードが出てましたから」

「う〜〜ん、……とりあえず、会ってみましょう。私が行くまでは他には連絡しないで下さい」

「はい。現在デッキ横の倉庫に寝かしてあります。お待ちしております」

それだけ言うと、相手は通信を切ったみたいです

「皆さん、ようやく艦長が到着されたようです。

 それと、下で何かトラブルが発生したようですので、見てまいります」

そう言うと、プロスさんはさっさとブリッジを出ていった

「ねぇ、艦長ってどんな人だと思う?」

ミナトさん達の話題は、さっそく艦長に移ったようです

「私は、優しくって、かっこいい人がいいなぁ」

「バカねぇ、メグちゃん。そんなに都合よくいくわけないじゃない。

 せめて、お金持ちで、ひ弱なお坊ちゃまってのがせいぜいよ。」

「そうかなあ」

「そうよ。だいたいブリッジにこんなに女ばかり配置してるなんて、あやしいじゃない」

「あ、そっか。戦艦なんて男の人の方が多いのが普通っぽいですもんね」

「ま、会社なんてそんなもんよ。私が前にいた会社もそうだったもん」

「え〜〜、そうなんですか。セクハラとかされちゃったら、どうしよう」

既に、会話が井戸端会議になっています

「ルリちゃんも、何かされたら、ミナトおねーさんに言うんだよ。我慢することは無いんだからね。」

「それは、大丈夫だと思います」

「へ? 何で?」

「艦長、女ですから」

艦長:ミスマル ユリカ 20歳  火星出身  性別 女

   地球連合大学の戦略シミュレーションを主席で卒業

「これが、艦長のデータです」

「へぇ、主席で卒業なんて凄いじゃない」

私にとっては、別になんとも感じなかった。……火星出身というところ以外は

「ちょっと、何なのよ この艦は!」

後ろのほうで、何時の間にか、軍人さん達が入ってきて、ゴートさんと言い争ってます

「あの人達ですよね? 火星でコロニーの、戦艦落としたのって?」

「まぁ、ぎゃあぎゃあ言いたくなるのも、分かるけどね」

ミナトさんとメグミさん、全然軍人さんに興味なさそうです

私も、キノコやオジさんには興味はありません

「お言葉ですが、彼女達は各分野のエキスパートです。

 そして、艦長は、地球連合大学在学中に、総合戦略シミュレーションで無敗を誇った逸材です」

ゴートさん、ご苦労様です

「で、その逸材ってのは、何処にいるのよ!」

「それが…」

さっき到着したって言ってたから、そろそろ来ると思うけど

「ああ、ここだ」

そう考えていると、ブリッジのドアが開きました

ネルガルのマーク入りの白い制服を着た女の人と、頼りなさそうな男の人が入ってきた

「みなさ〜〜ん。私が艦長で〜〜〜す。ブイッ!」

『ブイッ?』

「また、バカァ?」

あ、声に出ちゃった

ブリッジには、こんな艦長で大丈夫か?という雰囲気が漂いました

しかし、そんな雰囲気もスグに、消え去りました

《警告、警告》

―どうしたの オモイカネ―

《敵影を多数確認》

―艦内に警報、敵影をスクリーンに投影。それから軍の状況も確認して―

《了解》

艦内に警報が流れた後に、ブリッジのスクリーンにサセボ基地周辺の地図が映し出された

無数の光点がサセボ基地を取り囲んでいます

宇宙軍も出撃してるみたいだけど、まったく相手にされていません

「敵襲です。敵はこのサセボ基地に、まっすぐ向っています。」

そう言った瞬間に、ブリッジの人達の顔が、プロの顔になりました

メグミさんとゴートさんは、スグに艦内放送しました

ミナトさんは、相転移エンジンのチェック

そして、艦長は地図を見ながら、何か考えています

何もしてなくて、うるさいのは、キノコだけです

私も、とりあえずお仕事

スクリーンの図を色々なのに変えています

「敵の攻撃は、我々の頭上に集中している」

ゴートさんが、その図を見ながら言った

「敵の狙いは、ナデシコか」

ちなみに、このセリフは、フクベ ジン提督

第一次火星会戦で、指揮をとっていた偉い人

そして、火星にチューリップを落とした張本人

その経験を見込んで、軍を退役したところを、スカウトしたそうです

「そうと分かれば、反撃よ!」

キノコ、何もしてないのに態度がでかいです

「どうやって?」

「ナデシコの対空放火を、真上に向けて発射して、敵を下から焼き払うのよ!」

「上にいる軍人さんとかふっ飛ばすわけ?」
 
「ど、どーせ、全滅してるわよ!」

「それって、非人道的って言いません?」

このキノコ、自分の仲間を信用してないですね

「艦長は、何か意見があるかね?」

これは、フクベ提督の言葉

「はい。海底ゲートを抜けて、いったん海中へ。そのあと浮上して、敵を背後より殲滅します」

迷わず、艦長は即答しました

それしか、方法がないと確信しているようです

「なるほど。グラビティ・ブラストなら、あれだけの数の敵も殲滅できるかもしれんな」

グラビティ・ブラストはナデシコの主砲。相転移エンジンによる重力波を打ち出す

これを食らえば、さすがの木星蜥蜴もひとたまりもありません

「そこで、俺の出番さ。俺様がロボットで地上に出て、囮となって敵をひきつける。

 その間に、ナデシコは地上に発進。 かぁ〜、燃えるシュチュエーションだぜ!」

この暑苦しいセリフは、言うまでもなくヤマダさん

やたら、張り切ってますけど、何故か左足にギブスをしていて、ウリバタケさんに支えられています

「…おたく、骨折中だろ…」

「し、しまった〜〜〜」

……何時の間に骨折したんでしょうか?

あれ、この印は…… まさか、

「囮なら出てます」

『えっ!』

モニターの片隅で、エレベーター稼動中ってなってます

「接近戦用エステバリス1機。地上に向けてエレベーターで上昇中」

「いったい誰が?」

「モニターに出します」

ブリッジの全員に見えるように、大きめのサイズでモニターを開いた

画面は、発進していくエステバリスのコクピットです

そこに、映っていたのは、信じられない人でした

「ア、アキトさん…… 何でそんなとこに、いるんですか……?」

エステバリスに乗っていたのは、他の誰でもないアキトさんでした

「あ〜〜 俺のゲキガンガー!」

アキトさんは、胸に人形をしまっていて、真剣な顔で操縦をしていました

「あの人、もしかしてルリちゃんの知り合い?」

メグミさんが、驚いた様に訊いてきます

そんなことは、今はどうでもいいです

「アキトさん!」

「う、うわっ! ビックリした。 ってルリちゃん?」

私が、いきなりコミュニケを繋いだので、アキトさんは驚いています

「アキトさん、なんでそんな所にいるんですか?」

何とか平常心を保って訊いてみます

「いや、あの後、サイゾウさんに、『男なら、女の子を泣かせるんじゃねえ』って言われて、店追い出されてね。

 とりあえずルリちゃんに会ってから、どうするか決めようと思って、ここに来たら、

 成り行きでプロスさんに、ナデシコ専属のコックとしてスカウトされたんだ。

 それで、艦内見学してたら、このロボットが暴れて、こけて、中にいた奴が骨折したんだ。
 
 で、骨折したヤマダとかいう奴に、コクピットの中の物を取ってきてくれって言われて、

 コクピットに入った瞬間に、艦が揺れて、何故か、このコクピットに閉じ込められたんだ。

 外の様子が気になったから、これで外に出ようと思って」

ヤマダさん…… 元凶はあなたですか……

「だから、アンタ誰よ! まだ発進の命令は出してないわよ」

キノコが、ヒステリックにアキトさんに、まくしたてました

「アキト君と言ったね、一応、フルネームと所属を言ってくれないか」

フクベ提督が低い声で、アキトさんに言いました

「あ、はい。テンカワ アキト。コックです」

律儀にアキトさんが答えました

「彼は確か、ルリ君のスカウトの時に、ルリ君の傍にいた男では?」

ゴートさんが小さな声で、プロスさんに尋ねています

「ええ。そうです。確かに私が、先程スカウトしました」

「彼が、IFS処理を受けているのには、気付いたんですか?」

「いえ、彼は両手に手袋をしていましたので」

私もアキトさんが手袋をとったところは、数回しか見たことがありません

アキトさんのIFSは、何故か他の人とタトゥーの形が違います

今は、右手の手袋を外して、手をIFSパネルに重ねています

「アキト…… テンカワ アキト……」

艦長が何か、ぶつぶつ言ってます

「あ〜〜〜〜 アキトだ〜〜〜〜〜〜」

きゅう、な、何ですか この大声は

アキトさん達も、艦長の大声に驚いています

「アキト、アキトだ! わぁ〜 懐かしい!」

アキトさんと艦長、知り合いなんでしょうか?

「えっと、どちら様でしたっけ?」

アキトさんは、艦長が誰なのか分からないようです

「ほら、火星でお隣だったユリカだよ」

「ユリカ… ってあのミスマル ユリカか!」

「うん、そうだよ。」

「ちょ、ちょっと、待て。何で、お前がそんなとこにいんだよ!」

「彼女は、このナデシコの艦長です」

プロスさん、そんなニコニコしながら、言わなくても

「そうだよ。ユリカは、ナデシコの艦長さんなんだぞ。エッヘン!」

「なにぃ〜〜〜」

アキトさん、驚きまくってます

「ユリカ、誰なの。あの人?」

艦長の後ろにいる、影の薄い人が艦長に尋ねました

「アキトはね、私の王子様なんだ!」

王子様?

「こら! 何時からそうなったんだ!」

アキトさん、思いっきり否定してますね

アキトさんと、艦長が言い合ってますけど、全く話が噛み合ってません

「ねぇ、ルリちゃん」

「はい、何ですか? ミナトさん」

「あのアキトって人が付けてるネックレス、ルリちゃんが付けているのと一緒ね」

ミナトさん…… 目ざといです

「2人とも知り合いみたいだし、ど〜いう関係なのかなぁ?」

「そ、それは……」

「それは? 何かなぁ〜〜?」

「ルリちゃん、俺は何をしたらいいの!」

アキトさん、ナイスタイミングです!

多分、艦長と言い合ってても埒があかないので、私に尋ねたんでしょう

「はい。もう少しで、エレベーターが地上に到着します。

 それから、このナデシコが発進できるまで、時間を稼いでください

 合流地点までは、私がサポートします」

「分かった。何処まで出来るか分からないけど、やってみるよ。ルリちゃん、よろしく!」

「はい。任せてください」

私とアキトさんの会話を聞いて、周りの人はポカンとしています

「アキト〜 ルリちゃんと、どういう関係なの?」

「だぁ〜〜〜、んな事より、今の状況を何とかするのが先だろ!」

「うん、そうだね。じゃあ アキト。あなたにナデシコと私達の命、預けます」

艦長、切り替え速いですね

そろそろ、時間です

「アキトさん、エレベーターが地上に到着します。

 作戦は10分間、この地図の場所まで敵を誘導して下さい」

「頑張ってください!」

「俺のゲキガンガー返せよな!」

メグミさんとヤマダさんが、アキトさんに声をかけました

私は、こっそりアキトさんに、回線を繋ぎました

「アキトさん」

「ん、どうしたの?ルリちゃん」

「必ず生きて帰って来てください」

「……ああ、分かった。約束するよ」

ドゴォン

エレベーターが到着して、アキトさんの乗るエステバリスが、ジョロ達の前に放り出されました

地上は殆ど、壊滅状態でした。あちらこちらから、炎と煙があがっています

「……よぉし! 行くぞ!」

アキトさんは、少し躊躇した後に、エステバリスを、動かし始めました

まず、目の前にいたジョロを飛び越して、後ろに廻り込みました

そして、キャタピラを使って、ジョロ達を引き付け始めました

「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

一旦立ち止まると、後ろに向かってワイヤーフィストを飛ばして、敵を破壊しました

アキトさん、エステバリスの使い方を知っているみたいです……

ブースターを使い、空に跳びあがると、今度は両手でバッタを捕まえて、振りまわしました

それに、巻き込まれて、バッタが空中で、ドンドン爆発していきます

「あの男、只者ではないな」

「ええ、あれだけの数の木星蜥蜴と、互角以上に戦っています。

 これは、パイロットとしても、契約した方がいいですね」

「しかし、ミスター、私はあんな形のIFSは、見たことがありません」

「私もです。彼には、何か秘密がありそうですね……」

アキトさんの戦いを見て、プロスさん達は何か話をしています

「わぁ〜 あのコックさん。強いですね!」

「ホント、いったい何者なのかしら?」

メグミさんとミナトさんは、喋りながらも、ちゃんと作業をしています

「注水8割方終了 ゲート開く」

「エンジン、いいわよ」

私達はそう報告すると、艦長の命令を待ちました

「ナデシコ、発進です」

「ナデシコ、発進」

その命令を復唱した後、私はナデシコを発進させた


「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

地上では、アキトさんが懸命に戦っていました

エステバリスの動きは、本当の人間のように滑らかで、次々と敵を撃破していきます

だけど、多勢に無勢、数に押され始めています

ついには、合流地点まで、追い詰められました

「ちくしょう! どうすればいいんだ!」

「アキトさん! 海に向かって翔んでください!」

「ルリちゃん?」

「はやく!」

「りょ、了解」

エステバリスが、海に向かって翔びました

すると、エステバリスが、着地した場所にナデシコが浮上してきました

「お待たせ! アキト」

「お待たせって… まだ10分たってないぞ」

「アキトの為に急いできたの!」

むぅ、艦長、いいところを持っていかないで下さい

「敵、残存兵器 目標射程内に全部入ってます」

「目標、敵まとめてぜ〜んぶ、撃て〜〜」

その命令を合図に、グラビティ・ブラストが発射され、敵は一気に爆破された

「すっげぇ」

アキトさんも、グラビティ・ブラストの威力に愕然としています

「戦況を報告せよ」

フクベ提督の命令には、私が答えた

「バッタ、ジョロとも残存0、地上軍の被害は甚大だが、戦死者数は皆無」

「そんな! 偶然だわ!」

「認めざるをえまい。よくやった、艦長」

「まさに、逸材!」

艦長が、周りから褒められまくってます

その隙に、私は、

「アキトさん、ご苦労様です」

「ん、ルリちゃんか。ホント死ぬかと思ったよ」

「約束守ってくれて、ありがとうございます」

「いいよ。俺も、また目の前で人が死ぬのが、嫌だったしさ」

「そうじゃなくて、アキトさんが生きて帰ってくるって言う約束です」

「へ?」

「で、ですから……」

「アキト!」

……いきなり艦長が乱入してきました

「アキトはやっぱり私の王子様だね!」

「だから、何だよ それは!」

「分かってる。アキトは私に、会いに来たんだよね!」

「ちが〜〜〜〜〜〜〜〜〜う」

「そんな照れなくてもいいのに」

「人の話を聞いてたのか〜〜〜〜」

「アキトが私を好きって話? それとも、私達の交際の話?」

「そんな話はしてね〜〜〜!」

「分かってる、アキトの気持ちは全部!」

「そうだ!、ついでだから、ユリカ、お前に聞きたいことがある」

「何?私の3サイズ? いやん、そんなのは教えられない!」

「ちが〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜う!」

……艦長、まるでアキトさんの話を聞いてませんね

アキトさんは、私に会いに来たんです!

決して、艦長に会いに来たんじゃありません

でも、そのアキトさんもナデシコの一員になった

これで、寂しくありません!

だけど、この『バカばっか』のメンバーで宇宙に行くのはちょっと不安……










後書き

ルリ「どうも、作者がまだ行方不明なので、私が後書きをします」

ちょっと、待ったぁ〜〜〜

ルリ「な、いったい何処から?」

いったい何処から?じゃないでしょ!

A―partのタイトル辺りで、人を縄で縛って、ロッカーに閉じ込めた人が言うセリフか?

ルリ「だって、あなたに書かせると、私とアキトさんのラブラブ度が減りそうだったから」

でも、ちゃんと、書いてあげたでしょ

ルリ「まあまあですね。あのアキトさんからのプレゼントは、良かったです」

ネックレスを、ルリちゃんに渡すって言うアイデアは、結構前から考えてたんだ

ルリ「でも、アイちゃんも確か、貰ってませんでした?」

イエス マム

ルリ「何故です?」

理由ですか? その方が面白いからです

バキ! ぐふぉお!

ルリ「まだお仕置きが足りなかった様ですね。

   今度は、アイアンメイデンの刑をしてあげましょう」

い、嫌だぁ〜〜〜

ズルズルズル

作者 ルリちゃんに引きずられながら、退場

 

 

代理人の感想

ラブラブ度が足りないって・・・・

ど〜見たって今回はアキト×ルリにしか見えんですゾ。(爆)