ネルガルがいくら弁償したか知らないけど、とにかく、関係者各位に迷惑かけまくって、地球を脱出
って張り切ってたんだけど、最後があっけなくて、な〜んか拍子抜け
恋あり、友情あり、熱血ありってほ〜んと忙しかったけど
まぁ、それはともかく、副提督と軍人の皆さん、今までご苦労様
運命と絆、そして… 第4話〜水色宇宙に『ときめき』〜A−part
地球を突破したと言うのに、いつもと何ら変わらないナデシコ
ナデシコらしいと言えば、ナデシコらしいか
現在ナデシコは、月にあるコロニー サツキミドリ2号に向かっている
そこで、新しいパイロットとフレームを補充するとのこと
この話を聞いた人の反応は、
「くぅ〜〜 この0G戦フレームは仕様書だけでも興奮するぜぇ!!」
これは、メカオタク兼整備班班長のウリバタケ セイヤ
「新しいパイロットが来ても、ナデシコのエースパイロットは、このダイゴウジ ガイ様だ!」
この暑苦しいセリフは、ナデシコの歩くサウナことヤマダ ジロウ……失礼、ダイゴウジ ガイ
「いやはや、戦力UPと言うのは色々と助かりますな」
ナデシコ三大良心の一人、宇宙ソロバンのプロスペクター
「嫌な男だったらいいねぇ…… だって、パイロットが良い奴ってのはつらいよ 死んだ時とかさ」
ナデシコ三大良心の一人、ナデシコ食堂を仕切る肝っ玉母さん、リュウ ホウメイ
「う〜〜ん、別にどんな人でもいいよ 面白ければ♪」
ナデシコ三大良心の一人……なのだが、最近それが危うくなってきている、美人操舵士 ハルカ ミナト
「私にはアキトさんがいますから、どんな人でもOKです」
ナデシコが誇る策士 少し残ったソバカスがチャーミーな通信士 メグミ レイナード
「うっうっう…… 忘れられないで、ちゃんとインタビューされてる」
ナデシコ不幸役担当、前回は結構カッコよかったナデシコ副長 アオイ ジュン
「もぉ〜!! 何でユリカが最後じゃないの!」
指揮をとっている時以外は、精神年齢が逆行するナデシコ艦長 ミスマル ユリカ
「私とアキトさんの邪魔をしなかったら、誰でもかまいません」
オモイカネと唯一対話する事が出来るオペレーター 妄想暴走美少女 ホシノ ルリ
「新しいパイロットって事は、俺の出撃回数は減るんだな!」
今のところ、謎が一番多く、女性を無意識に落とす天然スケコマシ コック兼パイロットのテンカワ アキト
このような個性的なメンバーに、支えられてナデシコは動いている
「…………」
あ、忘れるところだった
ナデシコ一の壊れ屋、何時の間にか作者の使いとなった男 ゴート ホーリ
さてさて、これからどうなることやら……………
「アキト〜〜 ねぇ アキトォ〜〜 アキトってばぁ〜」
ユリカが、食堂で、アキトアキトと名前を連呼している
呼ばれているアキトはと言うと、一生懸命働いていた
「よぉし! 次は整備班の奴等に、差し入れを作るよ! 力いれていくよ!」
「「「「「「はい!」」」」」」
ホウメイが、アキトとホウメイガールズに向かって大声を出した
アキトは、今の状況が、楽しくてたまらなかった
ホウメイは、自分の知らない事を色々教えてくれる、
このナデシコ食堂には、見た事が無い食材や調味料が沢山ある
働けば働くほど、食堂の事や料理のことが分かっていく
アキトにとって、この仕事の時間は、まさに至福の時なのだ
しかし、至福の時と言うのは長くは続かないもの
ピッ!
《アキトさん》
ルリが通信を入れてきたが、アキトは忙しくて気付いていない
「あ〜 忙しい忙しい!ミカコちゃん それとって!」
「はい、どうぞ アキトさん」
《アキトさん!》
「ハルミちゃん、このスープはどうするの?」
「えっと…… 17番テーブルですね」
《ア〜〜〜キ〜〜〜ト〜〜〜さん!!》
「わっとっと! 危なかった… 落とすとこだった」
ジュンコがアキトとぶつかった
「ご、ごめんなさい アキトさん」
「いいよ、ジュンコちゃん 落としてないしね」
《お〜〜い やっほ〜〜〜》
「アキトさん、この味 どう思います?」
「う〜〜ん、ちょっと塩が多いかな、エリちゃん」
《すぅ〜〜〜〜〜〜》
「つぅ!!」
「だ、大丈夫ですか?アキトさん」
「大丈夫… ちょっと切っただけだから」
「痛そう…… アキトさん ちょっと指出して下さい」
ちゅぅ…
「わぁ! サ、サユリちゃん!!」
「動かないで下さい!」
サユリは、アキトの切った箇所の血を吸っている
「……っと、取り合えず応急処置はこんな物かな、後はこれを貼っといて下さい」
そう言うと、サユリはアキトに、ウサギさん柄のバンドエイドを渡した
「あ、ありがとう、サユリちゃん」
「どういたしまして!」
《アキトさん!!》
きぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃん
耐えられなくなったルリが声量を最大にして、思いっきり叫んだ
そのため、アキト達は、頭がフラフラし、耳鳴りに襲われた
《ア、アキトさん 大丈夫ですか?》
流石にルリも、やばいと思ったのか、心配そうに声をだした
「な、なんとかね……… 皆は?」
アキトは、頭をおさえながら、周りを見渡した
「「「「「…………大丈夫で〜〜す」」」」」
ホウメイガールズは、同じ場所に崩れながら、手を挙げて答えた
「少しばかり、効いたよ。なかなかやるね ルリ坊」
ホウメイは、少しふらついているが大丈夫のようだ
「で、どうしたの?ルリちゃん」
《あ、そろそろサツキミドリ2号に着くので、一応ブリッジで待機しておいてください》
「……分かった、すぐ行くよ」
アキトは、しぶしぶエプロンを脱ぎ、食堂でユリカに声をかけた
「おい、ユリカ」
「アキト〜 何処に行くの?」
「お前も一緒に来るんじゃないのか?」
「えっ! そんなぁ〜! アキトてば大胆!」
「………もうすぐサツキミドリ2号に到着するんだとさ、艦長がいなかったらまずいだろ」
「な〜〜んだ、つまんないの」
「……先に行ってるぞ」
「え〜 ちょっと待ってよ!」
アキトとユリカは、ブリッジに走って行った
「前方に、サツキミドリ2号を確認しました」
「ディストーションフィールド解除、停泊準備に備えて」
ルリの報告にあわせて、ユリカが次々と指示を出す
「メグちゃん、サツキミドリ2号に通信を送って」
「さっきからやってるんですけど、中々繋がらないんです」
「えっ! どうして?」
「さぁ? あっ! やっと繋がりました。メイン回線にまわします」
メグミが皆にも聞こえる様に、回線をオープンにした
《こちら サツキミドリ2号! 只今本コロニーは木星蜥蜴に襲撃を受けている!至急増援を!》
そこから聞こえてきたのは、助けを求める声だった
その報告を聞いたナデシコクルーには緊張が走った
「ディストーション フィールド展開!各班直ちに戦闘準備!パイロットはエステバリスで出撃して下さい」
ユリカが、迅速に指示を出した
しかし……
《エステバリスは駄目だ! 宇宙戦用じゃないから、大した戦力にはならねぇ!》
ウリバタケから、厳しい答えが返ってきた
「く… パイロットは取り合えず警戒態勢を維持! グラビティブラストをチャージ出来次第発射!」
ユリカが次の指示を出したその時!
ドゴォォォォォォォォォン
敵の集団に異変が起こった
バッタ達がどんどん爆発していく
「どうしたの?何が起こってるの?」
「ちょっと待ってください、今原因を調べています」
ルリが、オモイカネを使って原因を調べている
「分かりました、4機の0G戦フレームのエステバリスが、木星蜥蜴と戦っています」
メインモニターに赤、オレンジ、水色、紫の4機のエステバリスが映し出された
「エステバリス! じゃあ、あれは味方なのね!」
「識別信号は出ていませんが、おそらくは……」
「多分、サツキミドリで合流する事になっていたパイロット達でしょう、数も合っていますし」
その事を聞くと、ユリカは俄然張り切って指示を出した
「よぉ〜〜し! あの人達に負けられないぞ!グラビティブラスト発射〜〜!!」
ドゴォォォォォォォォォォォン
ナデシコからグラビティブラストが発射され、敵を一掃した
そして、残った敵をエステバリスが片付け、事無きを得た
ナデシコとパイロットの活躍によって、サツキミドリ2号は大した被害にはならなかった
とはいえ、破壊された箇所があるため、本格的な補給は、ネルガルの月ドックで行われることになった
そのサツキミドリ2号を救ったパイロットを迎えに、ブリッジクルー+ガイ、ウリバタケが行った
ちなみに、アキトは食堂に戻って、料理を再開している
パイロットの待合室に向かうと、そこには赤い服を着た4人の女性がいた
「あのぉ〜 プロスさん… もしかしてこの人達が?」
ユリカが、控えめに手を挙げながらプロスに尋ねた
「はい、今日からナデシコのパイロットになる人達です」
それに対して、プロスは自信満々に答えた
「本格的な紹介は、ナデシコに戻ってからにしまして、名前だけでも言っておいてもらいましょうか」
プロスが、目配りをすると右端にいる、緑色の髪をショートカットにした女の子から自己紹介を始めた
「俺はスバル リョーコ、歳は18だ よろしくな」
言葉使い等から、男らしいというのがよく分かる
次に自己紹介したのは、眼鏡をかけた茶色い髪の女の子
「アマノ ヒカル! ヘビ使い座の18歳 独身で〜す! よろしくお願いしま〜す」
ピョロロロロ〜〜〜
自己紹介を終えると、おもちゃに息を吹き込み、頭から紙風船を飛び出させた
それを見たナデシコの面々は、少し苦笑いをした
「あれ〜、受けなかった? おかしいなぁ?」
「ふっ…… ……まだ甘いわね…………」
そう言って、ヒカルに注意したのは、左隣にいる黒髪のロングヘアーの大人しそうな女性
「私のセリフは面白い、私のセリフはおもしろい、私のセリフは尾も白い クク、クックック……」
ぴきぃぃぃぃぃぃぃん
その女性のあまりにも寒い駄洒落を聞いた瞬間、一同は固まってしまった
「ええっと… 彼女はマキ イズミさん 彼女もエステバリスのパイロットです」
何とか立ち直ったプロスが、イズミを紹介した
最後に残ったのは、イズミと同じロングヘアーの女性だった
「イツキ カザマ 18歳です。これからよろしくお願いします」
と言って、ペコリと頭を下げた
イツキを一言で言うなら、大和撫子であろう
今までナデシコには、いなかったタイプだ
「では、あたし達も自己紹介をしましょうか」
ユリカが1歩前に出て、自己紹介を始めた
「ナデシコ艦長のミスマル ユリカ、20歳です これからよろしく」
「ナデシコ副長、アオイ ジュン 僕も20歳です」
「私の事はいいですね。まぁ、プロスと気軽に呼んで下さい」
「私もいいだろう………」
「整備班班長のウリバタケ セイヤだ。メカの事なら任せてくれ!」
「操舵士のハルカ ミナトよ、歳は秘密♪」
「メグミ レイナードです、通信士をやっています、よろしくお願いします」
「ホシノ ルリ、オペレーター、11歳です」
ルリの自己紹介を聞くと、イツキがハッと息を呑んだ
「どうかしたんですか?」
ルリが動きを止めたイツキに声をかけた
「ううん、何でもないよ、よろしくね ルリちゃん」
「よろしくお願いします」
ルリの自己紹介の時に、イツキの様子が少し変だった以外は、順調に自己紹介は終わった
「では、ナデシコに行きましょうか。荷物の方は、既に運ぶように指示を出していますので」
プロスが先頭に立って、ナデシコに一同は戻って行く
「……で、俺様がナデシコエースパイロットのダイゴウジ ガイ様だ」
ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ
忘れ去られたガイの周りを、つむじ風が舞った
「お、おい!ちょっと待て!」
誰もいない事に気付いたガイは、急いで皆の後を追った
「俺がナデシコのエースパイロット、ダイゴウジ ガイ様だ!」
ガイが、エレベーターの中でさっき出来なった自己紹介をしている
「ちなみに、本名はヤマダ ジロウさんです」
が、ルリのつっこみにより、その自己紹介は間抜けなものになった
「ちがぁ〜〜〜〜〜う!!ヤマダジロウは世をしのぶ仮の名前!
ダイゴウジ ガイこそが俺の真の名前! 魂の名だ!」
ガイが、エレベーターの中で叫んだ
「やかましい!! 密室で叫ぶな!」
ゴス!
リョーコのボディブローが、ガイに炸裂した
「ぐはぁ…… 良いパンチだったぜ…… ジョー……
ガク」
「誰がジョーだ! 誰が!」
「リョーコさん、落ち着いて!」
「そうそう、パンチでKOされる時のセリフに、ジョーは必須なんだから」
もう一発ぶち込もうとするのを、周りから止められている(違う事を言っているのもいるが……)
「…たく、ホントにこいつが、あのナデシコ発進の時のパイロットなのか!」
リョーコが、呆れたように、前髪を上げながら言った
「確かにねぇ、この人じゃ、あんな動き出来そうにないもんね」
ヒカルも、腕を組みながら、ウンウンと頷いている
「違いますよ、ヤマダさんは、その時骨折していたので、違うパイロットです」
ユリカが嬉しそうに答えた
「違うパイロット? パイロットなら何でここにいねぇんだ」
「その人は、コックとパイロットを兼任しているから忙しいんです」
リョーコの疑問に、今度はルリが答えた
「コックのパイロット? そんな人が強いの?」
「ええ、強いですよ、とっても」
メグミが腰に手を当てながら答えた
謎のパイロットについて、盛り上がっている中、イツキは一人だけ悲しそうな顔をしていた
その事に最初に気付いたのは、ヒカルだった
「あれぇ? イツキちゃんどうしたの? 何か悲しそうだね?」
「いえ…… 少し考え事をしていただけです」
「ふぇ? 何考えてたの?」
ヒカルが心配そうに、イツキを見つめた
何時の間にか、さっきまで話してしていた全員が、イツキの方を見ている
イツキは困った様に顔を崩して、語り始めた
「私の知り合いにも、さっき皆さんが話していた人と似た人がいるんです。
私より、IFSの扱い方が上手なのに、『俺はコックになるんだ!』って何時も言ってました」
「ちょっと待て! コックが何でIFS付けてんだ!」
当然の疑問を、リョーコが尋ねた
「私もその人も、火星出身ですから…… 火星ではIFSを付けるのは珍しくないんです」
「火星出身! じゃあ、あたしと同じだね!」
ユリカが手を叩いて喜んでいる
「武術とかでも、私より強くて、パイロットになってれば、きっとエースになってました」
「ねぇねぇ! その人は今どうしてるんですか?」
ユリカが、無邪気に質問をした
「……………死にました」
「へっ?」
思わぬ答えに、一同は呆然としてしまった
「…………住んでいた所に、チューリップが落ちて、その後、そこは木星蜥蜴に全滅させられました」
『…………………………』
場を沈黙が包む
「死んだってのを確認したわけじゃないんですけどね……、でも、あそこは誰も生き残りがいなかったから…」
「チューリップが落ちたって事は、その人が住んでいた所は、ユートピアー・コロニー…」
「ええ、よく知ってますね。私もその人もユートピアコロニー出身なんです
私はその事件がきっかけで、軍を辞めましたから」
エレベーターの中は、物凄く暗い雰囲気になった
その雰囲気の中、まず最初に動いたのはヒカルだった
「……………ごめんね、イツキちゃん、やなこと思い出させちゃって……」
「別にいいですよ、何時かは話すことですから……」
イツキは、笑顔でヒカルに対処した
しかし、イツキの話の後は、エレベータの中に会話は無く、ただ沈黙が場を支配した
チ〜〜〜〜〜ン
「おや、どうやら着いたようですね」
エレベーターは目的の階に到着した
「艦長、詳しい打ち合わせは、何処でしましょうか?」
プロスが、未だに沈んでいるユリカに声をかけた
「ええっと…… じゃあ、昼食を兼ねて、食堂でしましょう」
「分かりました」
プロスが頷いた瞬間、ルリとメグミが同時に喋った
「「じゃあ、私が先に行って、席を取っておきます」」
きっ!! ズドドドドド!
2人は、お互いに睨み合った後、凄まじいスピードで走って行った
その光景を、パイロット娘達は呆然と見ていた
「な、なんじゃありゃ?」
「ほぇ〜 2人ともずいぶん速いね」
「2人は、はえ〜な…… 2人ははえな、……2人は蝿な…… イマイチね」
「食堂に何かあるんでしょうか?」
上から、リョーコ、ヒカル、イズミ、イツキの順
「はは… 食堂にはナデシコの人気者がいるの」
ミナトが笑いながら説明をしている
「人気者?」
「そ、ルリルリもメグちゃんも、ついでに言うと艦長も彼に夢中なの」
「はぁ? 艦長も?」
リョーコは、ユリカの方を見た
しかし、ついで扱いされたユリカは何時の間にかいなくなっていた
「あれ? 艦長は何処に行った?」
「艦長なら『二人だけずる〜い! あたしも行く〜〜!』って言いながら食堂の方へ走って行きました」
プロスが溜息をつきながら、やれやれといった感じで答えた
「ったく… 一体どんな奴なんだ? その人気者ってのは?」
呆れたように、リョーコが呟いた
「ああ、人気者って言うのは、先ほど話したコック兼パイロットのことですよ。
多分食堂にいると思うので、会っておきましょうか」
と、言うとプロスもスタスタと歩き始めた
それに、ゴート達も続いて、残ったのリョーコ達だけになった
「まぁ… 会うだけ会っとくか」
「そうだね、何か面白そうな人だもんね、会って損は無いと思うよ」
「…………ええ、そうですね。行きましょうか」
「…………………駄目、思いつかない」
話がまとまった後、リョーコ達もプロス達の後を追いかけた
リョーコ達が食堂に到着すると、そこには不機嫌なルリ達がいた
ルリ、メグミ、ユリカの3人がブツブツ言いながら食事をしている
「な、何なんだ、この雰囲気は?」
不機嫌オーラに耐えられなくなったリョーコが、ミナトに小声で尋ねた
「ははは… 3人のお目当ての人が、今出前に出ていていないの」
「はぁ? それだけでこんなに不機嫌になるのかよ」
「その出前に、別の女の子が付いて行ってるのよ。しかも、結構可愛い女の子がね」
「………………なるほど、つまり嫉妬だな」
簡単な結論にリョーコは達した
「ったく、心配して損したぜ」
それだけ言うと、リョーコ達も昼食の注文を頼み始めた
「んなことより、飯だ! おおい! 俺はトンカツ定食大盛り! ご飯はおにぎりでな!」
「私は、ミートソーススパゲッティの中盛りで、麺は少し固めでよろしくぅ!」
「………私は、ラーメン定食、飲み物はマムシの生き血……」
「「「えっ!」」」
「………………冗談よ。……飲み物はドリアンジュースで」
「ラーメンと一緒にそんなもん飲むなよ! それにその間は何だ!!」
「はは… 私は焼き魚定食を少し多めで、お願いします」
一通り注文が終わり、頼んだ品が出てくるまでは、その場で会話をしていた
「それにしても、沢山メニューがあるねぇ。これなら絶対に飽きないね」
ヒカルがメニューを見ながらはしゃいでいると、厨房からホウメイが顔を出した
「ははは! そう言ってもらえると嬉しいよ!」
「えっと、あなたは?」
「おおっと、悪いね、私はこの食堂の料理長をやってるホウメイってもんだ。
満足いくまで食べさせてやるから、安心して注文してくれていいよ!」
はっはっはっとホウメイは豪快に笑った
「ホウメイさ〜〜〜ん、焼き魚定食以外の注文の品できました〜〜」
「あいよ、ほら、あんたらのご飯だ。味は保証するよ。しっかり味わって食べておくれ」
イツキ以外は、昼食を受け取った
「悪いな、イツキ 先に席に行ってるぜ」
「はい、先に食べてもらっててもいいですよ」
「一応イツキちゃんのができるまで、待ってるよ」
「ありがとうございます。でも、冷めてしまうからいいですよ」
「それもそうだな…… んじゃ、お言葉に甘えて、先に食べてるぜ」
「はい、私のが出来たら、すぐに行きますから」
イツキを残して、リョーコ達はユリカ達のいるテーブルへと向かった
ルリ達は、少しは気が晴れたのか、最初に入ってきた時よりも、表情が落ち着いていた
それを見て、リョーコは訊きたかった事を尋ねてみた
「そう言えばよ、そのコック兼パイロットは何て名前なんだ?」
「へ? 名前まだ言ってませんでしたっけ?」
「ああ、まだ聞いてないぞ」
「ええっと… 名前は……」
「艦長、艦長が紹介するよりも、ご本人に紹介してもらいましょう」
プロスの言葉の意味が、一瞬分からなかった
しかし、その言葉の後、謎のパイロット−アキトがサユリと一緒に、出前から戻ってきた
「あ〜〜〜!アキ……」
「アキトさん、出前ご苦労様でした」
ユリカが、アキトに抱きつこうとすると、ルリが前に立ち塞がった
アキトは、そんなルリに笑いながら、ユリカ達の方に近づいてきた
そして、見知らぬ人がいるのを見ると、驚いたような顔になった
「あれ?この人達は誰?」
「今日から配属になったパイロットさん達です」
何時の間にか、アキトの横に立っていたメグミが説明した
「スバル リョーコだ、よろしくな」
「アマノ ヒカルで〜〜〜す! よろしくぅ!」
「……マキ イズミ、……よろしく!」
リョーコ達が軽めの自己紹介をした
「よろしく、俺はコック兼パイロットのテンカワ……」
ガシャァァァァァァァァァァァァン
アキトが自己紹介をしようとすると、後ろの方で何かが割れる音がした
振り向いてみると、そこには焼き魚定食を落としたイツキがいた
イツキは、体が震えていて、目も涙目になっている
その首からは、先程までは服の中に隠れていた、青いペンダントが揺れていた
「………ア、アキト、……アキトなの!」
対するアキトは、不思議そうに目をパチクリさせていた
「あれぇ イツキ? 何でイツキがこんな所にいるんだ?」
アキトが、そう答えた次の瞬間、
ふわぁ
イツキは、アキトに思いっきり抱きついた
「おっとっとっと……… イツキ、どうしたんだ」
あまりにも、勢いよくイツキが抱き着いてきたため、アキトはよろけてしまった
しかし、抱きついてきた本人はというと、
「ひっぐ…… ひっぐ…… ひっぐ…… ひっぐ……」
アキトの胸の中で号泣していた
「お、おい! イツキ 何で泣いてるんだ?」
「ひっぐ…… アキトォ… …ひっぐ… 生きてたんだ…… よかった」
そのセリフにより、アキトは泣いている原因が分かった
「……ごめん、連絡しようにも、イツキの連絡先知らなかったから…」
「……いいよ ……ひっぐ ……アキトが生きていてくれただけで」
「……イツキ」
ふわぁ
アキトも、イツキを抱きしめながら、髪の毛を撫でた
「ごめんな、心配かけて……」
「ひっぐ… 本当に心配したんだから…… もう会えないって ……ひっぐ、…思ってた」
「…うん、詳しい事は後で話すよ」
「……分かった…… ひっぐ… ……でも、……もうちょっとだけ、…ひっぐ… ……このままで……」
「ああ……」
アキトとイツキが完全に2人の世界を作っている頃、
それを見せつけられたナデシコクルーは、完全に行動を停止していた
再起動するまでは、1時間以上かかったらしい
尚、その間、アキトとイツキはずっと抱き合っていた
後書き
まずは、リョーコ達+イツキ登場
アキトとイツキの関係は?(もうバレバレだが……)
これからナデシコはどうなる?
などの中途半端な疑問を残しながら、B-partへと続く
代理人の感想
ん・・・・・遠距離恋愛? になるんでしょうか。
アキトがユートピアコロニーにいたにもかかわらずイツキは助かってるわけですから。