少し嫌々ながらも、ナデシコに乗りこんだ、テンカワ一家。

 

そこで待っていたのは、木星蜥蜴の手荒い歓迎と、

出来の悪い教え子、そして、腕は一流、性格はおかしい、クルー達。

 

テンカワ一家がこの先見るのはいったい何か…

 

ではでは、本編を……

 

 

 


機動戦艦ナデシコ

プロトタイプ・ジャバウォック

 

第二話 「緑の地球」はまかせとけ……大丈夫?


 

 

   

 

「いや〜、さすが最強と言われてたチームだよなぁ…」

 

格納庫デッキに白、黒、紫のエステバリスが戻って来ると、ウリバタケがそう呟く。

 

「でも、班長、機体が追い付いてないですよ。」

 

「なにぃ?!」

 

「ほら……ここ……一瞬鈍ってます、電気系統が逝きましたね……これは……」

 

整備員Aが戦闘の録画を見ながらそう言う。

 

「あら〜……あれじゃあ、追い付いてないのか?……もうちっと処理能力上げるか……」

 

「そうした方がいいですね。」

 

「スペアがあったろ?」

 

ウリバタケが問う。

 

「どうするんです?」

 

「ウフフフフフフフ……聞きたいか?」

 

「……………止めときます……」

 

危険を感じ取った、整備員Aは謹んで辞退した。

 

 

 

 

 

 

「アキラ……ホントにもうやめてくれな?」

 

「うん♪一回乗れただけで十分だよ♪あ〜面白かった♪」

 

アキラは上機嫌で微笑んでる。

 

「さて……あのバカどこ行った?」

 

「バカ?」

 

「……ああ、ヤマダ……………お〜い、そこの整備員、さっきここでエステのってこけた奴どこ行った?」

 

カムイが近くにいた整備員に問う。

 

「あの大バカなら医務室だよ。」

 

「なぜに?」

 

「足の骨が折れてやがったから……」

 

「……あ………あいつは………」

 

アキトは怒りを隠しきれ無い様で、額に青筋が浮かんでいた。

 

 

 

 

 

 

「イツキとアキラは部屋に戻ってろ。」

 

「はいはい。」

 

「パパ、あとでね〜♪」

 

医務室の前でアキトとカムイはイツキ、アキラと別れる。

 

プシュ…

 

空気が抜ける音が聞え、医務室の扉が開く。

 

「どうしたんだ?」

 

「いえ、見舞いなんですが………席外してもらっていいですか?」

 

カムイは医師にそう言う。

 

「まぁ、そう言うなら仕方ないね………足が折れてるだけだが……無茶はしない様に……」

 

医師はそう言って医務室から出て行く。

 

「誰だ!?俺か?!俺の見舞いか?!」

 

元気な奴が騒いでる。

 

「久し振りだな……ヤマダ……」

 

「……相変らず恥かかせてくれるね……」

 

「きょ……き………きょきょきょ……教官?!」

 

ヤマダの顔が真っ青に染まって行く。

 

「まぁ、元教官だな………だがな………」

 

「俺達二人の教え子の中で、一番恥かかせてるのはお前………わかってる?」

 

アキトとカムイが言う。

 

「そ……それは……そう!ゲキガンガー!ゲキガンガーが、俺を呼んでいるんだ!

 

「「呼んでるわけねえだろうが!この電波受信者!」」

 

アキトとカムイの怒声がハモった。

 

「……くぅ………俺の名前はダイゴウジ=ガイ!正義のヒーロー!天空ケンが俺をよんでいるんだぁ〜〜!

 

「「だから、呼んでねえって、言ってんだろ!!しかも、ダイゴウジ=ガイってのは誰の名前だ!」」

 

ドゴスッ!メキャッ!

 

アキトの拳が顔面に、カムイの肘が鳩尾に決まる。

 

「ぐぅぉ………」

 

「さて…………裁判の結果は?」

 

「死刑♪」

 

アキトの問いにカムイが楽しそうに答えた。

 

「ふがっ?……ひょ……ひょひょひょ、ひょっひょひゃっふふれ!」

 

口の中が切れた様で、上手く喋れ無いヤマダ。

 

「大丈夫だよ……痛いのは初めだけだから……」

 

「どんな音がするかなぁ……クスクス♪」

 

アキトとカムイの悪魔の微笑みを見て、ヤマダは真っ青になった。

その後数分間、医務室からくぐもった声にならない男の悲鳴が聞えてきたそうな……

 

 

 

 

 

 

「さて……どうするんです?」

 

イツキが問った。

その先にはプロスがいる。

 

「そうですねぇ……」

 

プロスはディスプレイを見ている。

そこに映されているのは、キノコとその部下達。

 

「取り押さえて軍に引き渡しましょう。」

 

「解りました、私はカムイとアキトに伝えますから、保安部動かして下さいね。」

 

「はい。」

 

プロスはメガネをクィッっと押し上げてそう答えた。

 

 

 

 

 

 

「カムイ。」

 

「なんだよ?イツキ。」

 

「仕事だよ。」

 

イツキは言う。

 

「仕事?」

 

「って言うか、アキラは?」

 

カムイが問う。

 

「寝ちゃってるよ、部屋で………はしゃぎ過ぎて疲れたみたいね。」

 

イツキは答える。

 

「で……仕事って?」

 

アキトが問う。

 

「キノコ狩りよ。」

 

「キノコ狩り?………ああ、キノコの部下狩りか………」

 

カムイが言う。

 

「それをやれと?」

 

「そうそう。」

 

イツキは頷く。

 

「了解……<ジャバウォック>行動を開始する。」

 

カムイがそう言って、走っていった。

 

「<ダーク・ナイト>行動開始。」

 

アキトも走って去る。

 

「<ホワイト・ラビット>自室で待機してます♪寝よ寝よっと♪」

 

イツキはスキップ気味に自室に戻って行った。

 

 

 

 

 

 

「まったく、准将も困ったもんだよなぁ……」

 

「ああ……なんで俺達が……」

 

キノコの部下達が会話してる。

 

「そろそろ時間か?」

 

「ったく………軍人のヤなとこはこれだな……」

 

「上の命令にゃあ逆らえない……」

 

ジャキッ…

 

武装するキノコの部下達。

 

「悪いんだけど、寝てて。」

 

「は?」

 

声がした方を見た瞬間、キノコの部下達は気を失った。

 

 

 

 

 

 

「ナデシコの目的地は火星です!」

 

ブリッジでプロスがそう宣言した。

 

「火星ですか?」

 

「もう全滅してるんじゃあ……」

 

操舵士ハルカ=ミナトが言う。

 

「それを誰が確認しました?

ネルガルはこのナデシコを用いての人命救助が目的です。」

 

プロスは言う。

ホントは少し違うのだが、まぁ嘘は言ってないと思う。

 

「もう何年も経ってるんでっすけど……」

 

「食料が無くて殆ど死んじゃってるかも……」

 

「たった一人でも、火星から救い出すのです。」

 

「なるほど〜、わっかりました〜♪じゃあ、ナデシコ!

火星に向けて出ぱ「その必要は無いわ!」つ?!」

 

ユリカの言葉にキノコが割り込んできた。

ブリッジに入って来たキノコの後ろには、4人の武装した軍人。

 

「ムネタケ!血迷ったか!」

 

フクベ提督が驚きで目を見開いた。

 

「血迷ってなんかいないわ、充分正気よ。

この強力な艦は火星に行かせる訳には行かないの、

この私が地球の為に役立ててあげるから感謝しなさい。」

 

キノコが言う。

 

「キノコ、貴様!」

 

ゴートが懐に手をやろうとする。

 

「おっと、動くんじゃないわよ。」

 

軍人達の銃口がゴートに向けられる。

 

「懐から手を抜きなさい……銃を抜いて……床に捨てて……」

 

キノコの指示通りにゴートは仕方なく動いた。

 

「お〜っほほほほほ、私に刃向かったらどうなるか……見せしめにしておきましょ、撃ちなさい。」

 

キノコはそう命令した。

 

「(仕方有りませんね……)」

 

プロスが一回大きな溜息を付くと、ブリッジは凍った様に室温が下がった。

 

「な、何よ?」

 

「裏の顔には成るつもりは無かったのですが………仕方有りませんね………やり過ぎです。」

 

キノコがプロスに睨まれて腰を抜かした。

 

「ほ、他のブロックのクルーも人質になってるのよ!動くんじゃないわよ!」

 

「はて?それはどうですかな?食堂のホウメイさん?」

 

『なんだい?こっちは仕込みで忙しいんだ、さっさと片付けてくれよな。』

 

開かれたウィンドウには、ホウメイとホウメイガールズの5人、

そしてその後ろにムネタケの部下が縛られて転がっていた。

 

「格納庫のウリバタケさん?」

 

『こちらウリバタケ、ご覧の通りだ。』

 

新たに開かれたウィンドウにはウリバタケと縛られたキノコの部下達が映っている。

 

「娯楽区のアキトさん?」

 

『はいはい、こちら<ダーク・ナイト>、作戦終了。』

 

また新たに開かれるウィンドウにはアキト、その後ろにキノコの部下が転がっている。

 

「居住区のカムイさん?」

 

『こちら<ジャバウォック>……キノコ、俺達が居るのを忘れてたな?』

 

4つ目のウィンドウにはカムイが、その後ろに同じ様にキノコの部下が眠っている。

 

「まだ見ますか?」

 

「き、キィィ〜〜!!何よ何よ!

ここのブリッジは重要人物の集まりよ!一人でも死んだら大変よね……

言う事きかないと殺すわよ!!」

 

キノコは叫んでる。

 

「もう遅い。」

 

キノコの後ろにゴートが居た。

 

「なっ?!」

 

振り向いたキノコの目に映ったのは倒れてる部下達。

 

「後は貴方一人……どうします?」

 

「ひっ………」

 

キノコは怯えた。

 

『お前達は海賊として、後々、軍に引き渡す。

映像の記録もあるから言い逃れは出来ない、失脚と囚人扱いは覚悟しておけ。』

 

ウィンドウのカムイがそう言った。

 

 

 

 

 

 

キノコ達をコンテナに監禁し、やっと静かになったナデシコだが……

 

ユゥリィクァ〜〜〜〜〜!!

 

お父様!

 

最凶のサウンド兵器襲来…

もとい、連合軍の艦隊、トビウメ、クロッカス、パンジーがナデシコの行く手を阻んだ。

ブリッジに居た面々は連合軍提督、ミスマル=コウイチロウと、

自分達の艦長の大声で一瞬意識が飛びかけた。

 

「こ、これはこれは……ミスマル提督……どう言ったご用件で?」

 

プロスが問う。

ちなみにブリッジには、カムイとアキト、ユリカ、ジュン、プロス、

ゴート、ミナト、メグミ、ルリ、ラピス、フクベの11名が居る。

 

『うむ、ナデシコは現時刻を持って、連合軍が徴発する!』

 

「それはまたどうして?軍と話しは付いてるはずですが……」

 

『今の地球に、それだけの強さを持つ戦艦をみすみす火星に送る余裕はないということだ。』

 

コウイチロウはそう答える。

 

「さすがはミスマル提督、話しが分かりやすい。」

 

プロスは言う。

 

「……はぁ……民間が作った船だから大した事無いって思っていたけど、

思っていた以上に強かったから貰ってしまえって事ですね………」

 

「……オトナッテ………キライ………」

 

オペレーターの二人が言う。

 

「仕方有りませんね、こちらから出向き、交渉いたしましょう。」

 

『うむ、その代わり、マスターキーは預かる。』

 

コウイチロウが言う。

 

「ちょっとスイマセン……ミスマル提督。」

 

『む?!君は!カムイ君!』

 

「憶えていてくれました?」

 

カムイは言う。

 

『むぅ……用件はなんだね?』

 

「マスターキーを預かるとはどう言う事でしょう?」

 

『何?』

 

「今の状態で、我々にとって、彼方は敵です。

目的地への道を阻む……敵………その敵を前に、どうして無防備な姿が晒せると思いますか?」

 

「そんな!お父様が敵なんて!」

 

ユリカが大声を出した。

 

「ミスマルさん、アンタはここの艦長……つまりネルガル側の人間、

提督は連合の人間……こう言う状態だったら敵なんだよ……私情でものを言うな。」

 

カムイは言う。

 

「と言うわけで、マスターキーを渡すわけには行きません、よろしいか?」

 

『むぅ………確かに……な……かまわん、だが艦長はこちらで預かる。構わんな…?』

 

「それは仕方の無い事ですね……かまいません。」

 

「では、艦長、行きましょうか。」

 

プロスがユリカを連れてブリッジから去る。

 

「そう言えばムネタケ准将が海賊行為を行ったので捕えてあります、

そちらに引き渡しますから、然るべき処理を行って下さい。」

 

『わかった。』

 

そこで通信が切れた。

その後、キノコを詰め合わせたコンテナをトビウメに引き渡し、

活動を停止していた筈のチューリップが、再起動。

アニメ本編と同じ様に流れ、ナデシコは火星に向けて飛び立った。

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく…


こんなもんでどうかご勘弁を……

 

そう言えば最後の方……ジュンなんですが……

トビウメには行ってません。

よって、ナデシコに居ます……

それにしても……カムイやアキト、イツキとかアキラとかプロス以外…影薄いなぁ…

 

どうしようかなぁ……

 

どうやったら影が濃くなるんだろ……?

 

どうかご意見下さい……

 

ではでは…

 

 

 

 

代理人の感想

 

・・・いや、動かすどころか碌に描写もしてないのに影が濃くなるわけはないと思いますが(爆)。

事SSに関して言えば動かないキャラは死んだも同然ですから。