ブリッジ要員が全滅している為に、ナデシコは未だ佐世保ドックで立ち往生していた。
その為に自分で壊したエレベータのあった場所を掘り進み、
オモイカネに頼んで格納庫のハッチを開けて貰い何とか帰艦したアキト。
エステをハンガーに固定した後にコクピットから出たアキトを見て、
ウリバタケを筆頭に整備班の面々がアキトを囲む。
その目は血走っており、そんな視線を集中して受けたアキトは思わず一歩引いてしまった。
「な、なんすか?」
辛うじて絞り出した声は少し震えていたりする。
「お前、確かテンカワ・アキト…だったよな?」
「は、はい!そうです!」
ガシィッ!
かなり本気でビビッているアキトは、ウリバタケの声に勢いよく背筋を伸ばして裏返った声で返事を返した。
肩を掴まれている事で余計にプレッシャーを感じたのだろう。
こめかみを汗が一筋流れていく。
内心、アキトは本気で殺されると思っているが、恐怖で体が動かない為に逃げる事も出来ない。
混沌の魂
第一話後編
「お前のお陰で助かった!ありがとよ!」
「………へ?」
アキトの恐怖が限界に達しようとした時、ウリバタケの口から出た言葉に一瞬頭が真っ白になりアキト思考停止。
アキトが再起動を果たした時は整備班に胴上げされていたが、アキトは急な事でまたも思考停止の一歩手前までいった。
「あ、あああの?な、なに?」
とりあえず胴上げから開放されたアキトは、何事か聞こうとしたがさっきの驚きのせいで呂律がまともに回っていない。
「おう!お前の一言のお陰で資材の積み込みがしっかりと出来たし、その中にゃ試作型のフレームもあったんだ!
それにお前が出てくれなきゃ俺たちゃ今ごろ此処にゃいなかっただろうからな!
ありがとよ!」
一気に喋ったウリバタケや整備班の面々にはさっきのプレッシャーはもう無かったので、
アキトは少しは落ち着く事が出来た。
「お、お礼なんていいですよ。これから機体の整備とかでお世話になるんですから。」
「はっはっは。若いのにあれだけの操縦が出来るんだ。そんなみみっちい事言ってんなって。」
アキトの台詞に、バシバシとアキトの背中を叩きながら返すウリバタケ。
その痛みに耐えながらも、笑顔になるアキト。
その光景は長年付き合って来た親友同士の様であったり、見る人が見れば年の離れた仲の良い兄弟と言うかも知れなかった。
「もう知ってるとは思うが改めて自己紹介するぜ。
俺はウリバタケ・セイヤ。整備班の班長を務める。
苗字はきっと呼び難いだろうからセイヤでいいぞ。一応既婚者でな、二児の父親だ。
何か困った事があったら遠慮なく相談してくれ!よろしくな。」
そう言って右手を差し出すウリバタケ。
対してアキトもその手を右手で握って自己紹介を始める。
「テンカワ・アキトです。今回はエステのパイロットと技術顧問を兼任で務めさして頂きます。
一応今年で十九歳になりました。呼び方は言い易い呼び方でいいです。よろしくお願いします、セイヤさん。」
そしてウリバタケの後ろにいる整備班達に向き直り、
「皆さんもよろしくお願いします。」
言いながらしっかりとお辞儀をする。
整備班から返って来た挨拶は、どれもアキトを好意的に迎えてくれる温かいものだった。
ガシィッ!
「と、こ、ろ、で、だ。」
一通り挨拶が終わったのを確認したウリバタケが、またも先程のようなプレッシャーを放ちながらアキトに詰め寄る。
その目は幾分か柔らかいが、十分に恐怖を呼び起こすものだ。
またも言い知れぬ恐怖に支配されるアキト。
「な、なんすか…?」
「お前のその左の薬指にあるのは、指輪。
って事はお前も既婚者なんだな?」
コクコク…
「げ、現在婚約中です!」
首を縦に振りながら裏返った声で言う。
「それで…?お前の婚約者ってどんなだ?」
「しゃ、写真ならこここ此処に…」
バッ!
シィィィィィン………
アキトがポケットから出した写真をひったくったウリバタケは、その写真を食い入る様にして見る。
そして黙りこくったウリバタケを不審に思い、写真を覗き込んだ整備班達も次々と同じ様に黙りこくる。
暫くすると整備班全員が黙りこくり、先程とはまた違うが負けず劣らない謎のプレッシャーが辺りを包む。
「あ、あの…何か?」
謎のプレッシャーに耐えられず口を開くアキトだったが、またも声が裏返っている。
「……だ。」
「え?」
漸く口を開いたウリバタケだったが、その声はかなり小さかった為ウリバタケ達に恐る恐る近寄りながら聞き返すアキト。
その時のアキトはまるで小動物のような雰囲気を醸し出していた。
「何故だ!!」
「おわっ!」
ギンッ!
突然ウリバタケが声を上げる。
それに驚いたアキトの声に反応したかのように、アキトに向かって整備班達の視線が一斉に突き刺さる。
「ヒッ!」
その視線に込められた男達の嫉妬心に思わず情けない声を上げるアキト。
視線の中には少なからず嫉妬以外のものも混ざっている。
その視線は今までの無言のプレッシャーと併さって、きっと北辰すらもビビるだろうものになっていた。
「何故こんな美人がお前みたいなひよっこの婚約者なんだぁぁぁぁーーーー!!!!」
次の瞬間、ナデシコ各所にしっかりと響き渡る超特大の超音波破壊兵器が発動し、
すぐ傍で聞いていたアキトは意識が吹っ飛んだ。
それに対して今まで気絶していたブリッジ要員はそれによって漸く目を覚ました。
「え?何?何かあったの?」
「オ、オモイカネ?」
まだ痛む頭を抑えながらも、オモイカネにアクセスするルリ。
その顔色は真っ白である。
[格納庫で整備班の人達が凄い声を上げた事によって格納庫周辺の集音端子に異常発生。
それと今の音声によってテンカワ氏が格納庫で気絶した模様です。
医療班の出動を要請します。]
「じゃ、じゃあメグミさん。連絡お願いします。」
「あ、はい。医療班、医療班…」
「じゃ、私はアキトの所に」
「艦長。一体何処に行かれるおつもりですかな?」
オモイカネの報告を聞いてメグミに指示を出してからブリッジから出ようとするユリカだったが、
プロスに呼び止められて振り返る。
「え?何処って…アキトの所ですけど?」
満面の笑みでサラッと職場放棄をしようとするユリカを見て、我知らず溜め息を付くプロス。
「艦長…。貴方には副長と一緒に二時間の正座とお説教です。」
「えぇ!?ぼ、僕もですかぁ!?」
「副長、貴方も遅刻なさった事に変わりは無いでしょう。」
「そ、そんなぁ…。」
「では、ゴート君。二人が逃げ出さないように見張っていて下さいね。
私はアキト君の様子を見て来ますから。」
「うむ。久々に親子水入らずで話してくるといいだろう。
では、艦長と副長は此処に正座して貰おう。」
そう言ってゴートが指差す場所には何故か畳が敷いてあった。
プロスがブリッジから出て行ったのを確認して、ゴートはユリカとジュンを正座させて説教を始めるが、
下から聞こえるゴートへの質問によって説教は中断された。
「ねえねえ、プロスさんの本名ってテンカワなの?さっきの子が息子さんなんでしょ?」
「いや、それは違うな。テンカワ・アキトはミスターの養子だ。ミスターの本名は本人以外誰も知らん。
区役所などの住民票その他も全てプロスペクターで統一されていた。」
「じゃ、じゃあDNA判定は?」
ゴートの答えに呆れながらも質問は続く。
「うむ。一度見せて貰ったが何故かDNA判定でも名前がプロスペクターになっていてな。
経歴は一行、テンカワ・アキトの養父と書かれているだけだった。」
「そ、そう…。なにか無駄な事してるわね…。」
「そういえばテンカワの小父様や小母様はどうなさったんですか?」
ミナトが本気で呆れて質問を止めると、今度は正座しているユリカが話に加わってくる。
隣でジュンが足の痺れと戦っているのは眼中にも無いと言った感じだ。
「十年程前になるか、テンカワ夫妻は亡くなっている。」
「そ、そんな…。」
流石に親しかった人が死んでいたのがショックだったのか俯くユリカ。
「ところでさっきの整備班の人達の言っていた婚約者ってどんな方なんです?」
今度の質問はメグミだ。
「ああ、フレサンシュ博士の事だな。彼女は」
「ゴートさん。あんまり勝手に喋らないでくださいよ。」
「「「「「!!」」」」」
次いでメグミの質問に答えようとしたゴートだったが、
一体何時の間に現れたのか黒いコート(白衣を漆黒のような黒で染めただけ)を着込んだアキトがすぐ後ろに立っていた。
勿論その下に来ている服も色は全部黒である。
それに驚いた五人は言葉を失う。
一瞬前まで確かに其処には誰もいなかったのだから当然だろう。
因みにムネタケは既にブリッジにおらず、フクベは寝ているのだろうか?微動だにしない。
ユリカの隣で正座しているジュンは足の痺れと戦っておりそれどころでは無かった為、
それを目撃して驚いたのはゴート、ユリカ、ミナト、メグミ、ルリの五人だけになっていたのだ。
「一応ここでも自己紹介はしておきますね。
俺の名前はテンカワ・アキト。エステのパイロットと技術顧問を兼任します。
それからさっきゴートさんから聞いただろうけど婚約者がいます。どうぞよろしく。」
そう言って自然な笑みを浮かべる。
「なんで、白衣じゃなくて黒衣…?」
「ふ、それは俺の趣味だ!」
ルリの質問に、アキトは拳を突き上げバックに炎を背負って断言する。
音が出るならきっと「ごぉぉぉぉ!!」とか「メラメラメラメラ」などと盛大に鳴っていただろう。
(……力説しなくてもいいのに。ひょっとしてこの人も…馬鹿…?)
などと冷やかにルリに批評されてるとも知らず、アキトのバックには未だに炎が燃え盛っている。
「こらこら。そんなに燃えないでもいいじゃないですか。
暑苦しいからやめて下さいよ、アキト君。」
そんなちょっと暴走気味のアキトを止めたのは、これまた一体何時の間に現れたのか分からないプロスだった。
「父さん、幾らなんでも暑苦しいは酷いですよ。
暑苦しいってのは医務室で寝てるヤマダ・ジロウの事ですって。」
「彼は暑苦しいをとっくに通り越している気が致しますが…?」
プロスの言葉にサラリと酷い事を言うアキトだったが、
ある種それよりも酷い事をプロスがサラリとぬかす。
そんな二人の漫才にもならないやり取りを聞きながら五人は思う。
「本当に義理の親子なのか?」
と。
至極当然の事だろう。
「ねぇ、アキト。私の事、覚えてる?」
唐突にユリカが声を上げる。
その声は何かを恐れるように震えていた。
「ん?昔隣に住んでたミスマル・ユリカだろ?覚えてるぞ?」
「そ、そっか。覚えてて、くれたんだ。
でも、婚約…してるんだよね。」
「ユリカ。お前の事をミスマル家の長女として見ていない奴は、結構大勢いるさ。
お前の事だけを十年近くもの間ずっと見守り続けてる奴も、すぐ近くにいるじゃないか。」
アキトにとってミスマル・ユリカは幼馴染以上でありえない。
どんなにゴーイングマイウェイなユリカでも、
アキトがユリカの事を覚えているのに婚約している事で、それが嫌でも理解出来てしまう。
「はぁ…。ゴートさん、艦長と少し個人的な話があるんで連れて行って良いですか?」
「それはミスターに聞いてくれ。こういう事はミスターの領分だ。」
「構わないが、一応勤務中だから少しだけな。」
「有難うね、父さん。じゃ、行こうか。」
「う、うん。」
「あ、そうそう。一応言っておきますけど覗いたりしたら許しませんからね。」
プロスの了承を得たアキトはブリッジを出て行き、その後ろにユリカが続いてブリッジを出て行った。
「う〜ん。何かいきなり修羅場って感じだなぁ…。
ま、面白そうだから良いか。」
「ハルカさん。滅多な事を言わないで下さいよ?
下手をすれば艦全体の士気に影響が出るんですから。」
「分かってますって♪」
「はぁ、皆して馬鹿やってるんですね。」
「ユ、ユリ…カァ…。」(TдT)シクシク
二人がいなくなったブリッジにはミナト、プロス、ルリ、ジュンの姿しかなかった。
他の人間は、全員出場亀中である…。
ブリッジを出た二人は現在展望室に来ていた。
「ユリカ、少し待っててくれ。」
「うん、わかった。」
ユリカを展望室内に残し廊下に出るアキト。
「さて、と。」
その視線は廊下の曲がり角に注がれている。
「出場亀はやめてくれって言った筈でしょう。」
「「「「「!!」」」」」
隠れていたゴート、メグミ、フクベそれに途中で加わったウリバタケ達はまさかばれているとは思わなかったのか、かなり驚いている。
「とりあえず人の人生に関する話なんですよ?他人に聞かせる話じゃないんですから。
ゴシップ好きなのはいいですが、時と場合を考えて下さい。それ位の分別も無いんですか。」
静かに言うアキトから発せられる圧迫感に、アキトがいかに真剣に話をしようとしているかが分かる。
「ご、御免なさい。」
「すまねテンカワ。」
「悪かった、テンカワ。不快な思いをさせて。」
「すまなかったな。」
アキトの言葉に流石に反省したのか謝罪して散っていく四人。
「オモイカネ。悪いけど此処の廊下と展望室の通信系を一時凍結してくれ。」
[了解。…OKだよ。]
「ありがとう、オモイカネ。」
四人の気配で会話が聞こえない所まで行ったのを確認してから今度はオモイカネによって、
マジックミラー効果を使った覗き見を妨害する。
オモイカネに礼を言ってから展望室に入り、扉を閉めてユリカの横に座る。
「「………」」
「ね、アキト。」
「ん?」
暫く続いた無言だったが、ユリカの方が先に口を開いた。
「私は、アキトにとって幼馴染の内の一人でしかなかったの?」
「………」
「私は初めてミスマル家の長女としてではなく、一人の人間として私を見てくれたアキトに自分の願望を押し付けていただけ、なの?」
今のユリカは明らかにブリッジの時の震えていた声とは違った。
只単に気分が沈んでいるだけではなく、それだけ真剣に話しているのだろう。
「…ユリカ。」
「なに?」
「俺は別に押し付けられたと思ってはいないさ。」
「ホントに?」
アキトの言葉に少しだけユリカの顔に明るさが戻る。
「ああ。あの頃の俺と遊んでくれたのはお前とカグヤくらいだったからな。
確かに振り回されてはいたけど俺も楽しかったからな。」
「うん。私とアキトとカグヤちゃんで何時も一緒に遊んでたんだよね。」
十年以上前の事を振り返るユリカは少しは笑みを見せるが、未だそれは弱々しい笑みだった。
「アキト、実はね。」
「ん?なんだ?」
「あの頃ね。私、カグヤちゃんと約束した事があるんだよ。」
「約束?…ど、どんな?」
言いながら段々とユリカの笑みは深くなっていく。
ユリカを元気付ける為にはこのまま話を続けるのが良いだろうと思ったアキトだった。
しかし今ユリカの顔にある笑顔には何度かお目にかかった事があったが、
その後には何時もとんでもない事をして振り回してくれるのがユリカである事もよく理解しているので、
背中は冷や汗で濡れまくっていた。
「うふふ…。それはね。」
「そ、それは?」
「片方がアキトのお嫁さんになったら。」
「………(ヤ、ヤバイ!絶対何かヤバイ事だ!)」
段々とユリカの目が逝き始めている。
必死に何か別の話題を探そうとするアキトだったが、焦るばかりでいいものが浮かばない。
「もう片方はね。」
今度は頬を赤くし始めるユリカ。
それとは対照的にアキトの顔は段々と蒼白になっていく。
「アキトの愛人(二号さんと読む)になるんだ!!」
ドサッ!
ユリカの台詞を聞いたアキトはそのまま床に倒れ伏した。
肩がピクピクと痙攣しており、ブツブツと何か言っているが声が小さくて何を言っているかは分からない。
「あれ?アキト?どうしたの?」
ユリカがアキトを仰向けにする。
因みにしっかりと膝枕の体勢になっているが、今のアキトはそれどころではないようだ。
目は虚ろで、何処かの陰気で内気な某十四歳の少年バリに何事かを呟いている。
どうやら逝ってしまったようだ。
呟いている言葉に耳を傾けると、
「無、無針アンプルが…。無針アンプルがぁ…。紫色のはやめてくれぇ…。」
などと聞こえてくる。
その声に力強さは皆無だった。
アキトが現実に帰って来るまでに数分が経った。
「はぁ、で?何でそんなが発想が出て来るんだ?それ以前に何処でそんな言葉を知ったんだ?」
ユリカの突然の愛人宣言はなんとか頭の片隅に追いやる事で何とか現実に復帰し、
事の顛末を聞こうとするアキト。
その顔は人生に疲れきった中年のそれであった。
「う〜んとね。理由はずっと三人一緒にいたかったからでね、
言葉自体はお父様にカグヤちゃんのお母さんが言ってたのを聞いたんだよ。
何かって聞いたら三人で仲良くする方法だって教えてくれたんだ。」
「ミ、ミスマルの小父さんとオニキリマルの小母さん、が?
ユリカ、それマジか…?」
ミスマルコウイチロウも中々に罪作りな男である。
思わぬ大人の事情にまたも現実逃避を始めるアキト。
「まず初めにアキトの婚約者の人に会わなくちゃね。
よしっ、それまでに女を磨いておこっと。」
現実逃避しているアキトを無視して燃え始めるユリカ。
落ち込んだ時とそうでない時とのギャップの激しさは凄いものがある。
「じゃ、アキト。私ブリッジに戻るから。」
そして未だ現実逃避しているアキトに声をかけてから展望室を出ようと立ち上がる。
「って、聞いてる?」
しかしアキトからの声が返ってこなかったので、立ち止まってアキトにもう一度声をかける。
「んぁ?ああ、聞いてる。」
「じゃあ、また後でね。仕事が終わったらいっぱい、いぃ〜ぱいお話しよ〜ねぇ〜。」
「お、おい。何言って…」
「よぉ〜し、アキトの婚約者とも仲良くならなくっちゃね!」
ミスマル・ユリカ、このまま順調に進めば二十歳にして不倫街道まっしぐらである。
「お〜い。」
アキトの声も聞こえないほどにヒートアップして、目的地の見えない爆進を開始してしまった。
一方、取り残されたアキトは誰もいない展望室で頭を抱えて転げ回り始めた。
その一番の理由は、
「うがぁ〜!このままじゃまた臨床試験の実験台にされるぅ〜!!」
とある人物による報復攻撃に対する恐怖であった。
「…やっぱり彼は本物の・・のようですね。」
それを凍結されているはずの通信網を使って見ている謎の少女Aの呟きは、多分に呆れの色を含んでいた。
あとがき
え〜、愚者です。如何でしたでしょ〜か。混沌の魂第一話をお送りしました。
前半はエステの戦闘を主軸に置いたつもりですが、量が少なすぎかな?
後半では、ユリカがアキトの愛人宣言をしましたが、
始めはユリカとジュンをくっつける為にジュンも連れて行く予定だったんです。
でもやっぱりジュンはナデシコAでは不幸になるべき。と思い書き直しました。
これ以後、ユリカの中ではピンクな妄想が爆裂すると思われます。
さて次回はムネタケさんの反乱ですが、ムネタケさんの処置で迷っています。
企画段階ではムネタケさんは無敵アキトの逆鱗に触れて此処で死んじゃう予定なんですが、
個人的には北辰みたく必要悪として裏でコソコソと悪巧みして貰うのもアリだと思いますから。
勿論ムネタケさんが生き残ってもジロウちゃんは整備員に『砂にされたおかげ』で難を逃れます。
彼は暫くICUで爆睡していて貰います。これだけは決定事項です。
それでは、第二話でお会いしましょう。
代理人の感想
「軍人てのはどうしてああも高圧的なのかねぇ」、とアキトが言ってましたが、
ブリッジにいる以上自分の上司かも知れないと言う考えは浮かばなかったんでしょうかこの人(苦笑)。
しかも、勝手に出ておいてこういった台詞が出て来ると言うことはどう考えても
「オレがやる事は絶対正しい!」
と思ってますね。
どう考えてもまともな社会生活を営めそうにないタイプです(爆)。
>ゼロが二十桁
単位はハオですか、それともクルシュ?(爆)
まぁ、それでも世界経済が崩壊するくらいの額ですが。
※ ハオはベトナムの補助通貨、クルシュはトルコの最低補助通貨。円換算はともに0.00001円くらい。
ちなみに2002年のアメリカの国家予算が約20兆円(ゼロが十三個)の見通し。