機動戦艦ナデシコ
兄弟で行こう!!
第一話「俺らしくで行こう!!」・・・・の前に弟らしくで行こう!?
俺とカイト兄さんは今、佐世保ドッグに居る。
それにしても、カイト兄さんと呼ぶのも大分慣れたな。
・・・最初は違和感ありまくりだったが。〈汗〉
「どうですか?これが、我が社が誇る新造戦艦ナデシコです。」
とプロスペクターさんは誇らしげに、俺たちに言った。
隣のカイト兄さんが「変な形ですね。」と言う。
まぁ、最初は誰でもナデシコを見ればそう思うだろうな。
「はっはっはっ。これは手厳しい。」
と朗らかに笑うプロスペクターさん。
・・・・一応、会社の持ち物なのに、馬鹿にされたような発言で笑っていていいのか?
そして、プロスペクターさんに次に案内されたのはナデシコのデッキだった。
そして、そこに居たのは
「アキトさん!!」
と言って、弾丸のようなスピードで抱きついて来るルリちゃん。
11歳の体で良かったよ、じゃなかったら、抱きしめられずに押し倒されていたところだから。
そして、少し離れていた所に頬を膨らませているラピスを見つけた。
「おやおや、いきなり修羅場ですな。」
いや、見てないで助けて下さい、プロスさん。(汗)
「へー、その子が最近の電話の相手か?
なかなか可愛いじゃないか!?」
まぁ、確かにその通りなんだけど、兄さんが思っているような関係ではまだないぞ。
結局、ラピスの機嫌を直すのに5分ほどの時間が掛かり、その後、互いに自己紹介をした。
・・・・ふぅ、こんな事をしていていいのか、俺?
そして、俺達はエステバリスの前に来た。
右手はルリちゃん、左手はラピスに腕を組まされながら。
・・・・・それにしても、整備員たちの視線が痛い〈滝汗〉。
「これがテンカワさん達が乗る事になるネルガルが開発した近接戦闘用ロボットのエステバリスです。
フレームの交換によって、陸海空はもちろん、宇宙でも活動可能。
超超強化樹脂と複合ルナリウム合金の使用によってトラックよりも軽い超軽量を実現。
更に、ナデシコからの重力波ビームを受ける事でエネルギー供給を行なうため、ナデシコと運用すれば、活動時間は無制限です。」
と誇らしげに説明するプロスさん。
「・・・・・俺はこれに乗るのか?」
と少し不安そうな、カイト兄さん。
ま、普通はいきなり兵器に乗れとなればこうなるわな。
「大丈夫だって!!
IFSさえ、付けていればイメージ通りに動かす事が可能なんだから。
・・・・・それに、後でちゃんと鍛えてあげるから!!」
と朗らかに俺が言うと
「・・・・・・お前ね。
1ヶ月位前からテストパイロットをやっているからって調子に乗るんじゃない!」
と言いつつ繰り出されたゲンコツを避ける、俺。
そう、俺は1ヶ月位前からネルガルのテストパイロットをしていた。
・・・・・・・というのは表向きで、実際はボソンジャンプのデータ取りの手伝いをしていた。
・・・・・しかし、あの研究者たちの目は、ヤマサキを思い出させたな。
人を人として見ない目。そして、発言。
思わず、殴ってしまった奴らも1人や2人じゃない。
・・・・・・・まぁ、全治一ヵ月かそこらなら問題はないだろう。
俺、個人としては問題があってもいいんだけど。
と、物思いにふけているとエステバリスが突然動き出し、
《レッツゴー、ゲキ・ガンガァァァァ!
こぉいっ、木星蜥蜴ども!!
トドメは必殺のゲキガンフレアアアアアッ!!!》
と言う大声が格納庫に響いた。
・・・・はぁ、こんな事する奴は一人しか居ないな。
「ヤ、ヤマダさん!!
こんな事をするのはヤマダ・ジロウさんですね!!」
・・・当たりだ、プロスさん。
《違ーう!!
ヤマダ・ジロウは世を忍ぶ仮の姿!!
本当の名前、魂の名は、ダイゴウジ・ガイだ!!》
「なぁ、アキト?魂の名って何だ?」
いや、俺に聞かれても解らないよ、カイト兄さん。
・・・・ていうか解る奴居るのかな?
・・・・あ、そう言えば、もう少ししたら、ガイがこけて、敵の襲撃だっけ。
カイト兄さんに聞こえないように小声で二人に話しかける。
「・・・・・二人とも、もうすぐ敵が来る。
ブリッジに行った方がいい。」
「ええ、そうですね。それじゃ、また。」
「アキト、又ね。」
と言ってブリッジに行く二人。
ふぅ、とりあえず、カイト兄さんが初めてで何処まで操縦が出来るか見ないとな。
と思いつつ、変なポーズと言うより珍妙な踊りをし続けるエステバリスを暫く眺めていると
《いくぜっ!!
ガァイ、スゥーパァーナァッパァァァァァァァッ》
ドガシャァァァァン
・・・・・・・・・・・あ、やっぱり、ガイがこけたか。
私達がアキトさんと別れてブリッジに着くと案の定、敵の襲来を告げる警報が鳴りました。
そうすると、途端に騒がしくなるブリッジ。
約一名、別の意味で騒がしいのが居ますけど。
「ルリ、あのキノコ、五月蠅い。」
まぁ、事実だからしょうがないですね。
それにしても、ユリカさんはまだでしょうか?
まぁ、スクリーンで敵数を見る限りアキトさん一人でも簡単に殲滅出来るでしょうし、気楽に待ちましょうか。
そんな事を考えているとドアが開き、
「みなさーん、私が艦長のミスマルユリカで〜す!!ブイ!!」
「「「「「ブイ?」」」」」
「バカ?」
ラピス・・・・そのセリフは私の物なのに。
「艦長が来たなら出撃よ。
出撃して直ぐに敵を倒すのよっ。」
「でも、どうやって倒すわけ?」
「主砲を上に向けて、敵を倒すのよっ!!」
相変わらず、非人道的な事を考えますね、このキノコは。
皆さんの目にも軽蔑の眼差しが混じっています。
「艦長は、何か意見があるかね?」
と、フクベ提督が初めて喋りましたね。
前回も思いましたが、相変わらず口数が少ないですね。
「はい、囮を出して敵を引き付けてもらいます。
その間にナデシコは海底ゲートを抜けて、いったん海中へ。
その後、浮上して、敵を後ろから殲滅します。」
と前回同様の作戦をユリカさんが提案します。
ま、クルーの錬度などを考えれば一番ベストな作戦ですね。
あれ?
エレベータが起動している?
アキトさんかな?
ピッ
通信を繋げてみるとそこの居たのはアキトさんではなくカイトさんでした。
それにしても、ホント、18歳の頃のアキトさんにそっくりですね。瓜二つです。
「あれ、カイトさん、どうしたんですか?」
『えーと、ホシノさんだっけ?
警報がなると同時に、アキトの奴がこのロボットに乗ってエレベータで上に行けって言ってきたんだけど。
どうなってんの?状況は?』
・・・・鬼ですか!?アキトさん!!
・・・きっと現在のカイトさんの実力を見るつもりなんでしょうけど。
「私の事はルリで構いません。
で、状況ですが、現在敵に襲われています。
でも、今のナデシコは動けません。
ですから、敵を引き付けつつ十分間逃げて下さい。」
『えっ、十分も!?』
「あれ?ルリちゃん、誰とお話しているの?」
と突然会話に割り込んでくる、ユリカさん
「コック兼パイロットのテンカワ・カイトさんとです。」
「テンカワ、テンカワ、テンカワ」
あ、やばいですね。
私が急いで耳栓を付けるのと同時に。
「あー、カイトだ!!
カイト、カイト、カイト
カイト、カイト、カイト
カイト、カイト、カイト
カイト、カイト、カイトっ!!」
ふぅ、セーフですね。
「きゅぅ」
あ、ラピスがまともに喰らって気絶してますね。
というより、ブリッジに居る人の殆どの人が気絶してます。
・・・・やはり、この艦には耳栓が必需品ですね。
今度、プロスさんにでも掛け合ってブリッジの全員に常備させましょう。
『ていうか、あんた誰?』
「えー、解んないの?
あ、そっか、ユリカがこんなに美人になっちゃたから解んないんだね♪
火星で隣に住んでいたミスマルユリカだよ♪」
『げっ!!お前、あのミスマル・ユリカか!?』
「ねぇ、ユリカ、カイトって誰?」
いち早く復活したアオイさんがユリカさんに質問します。
アオイさん、こんなに早く復活するなんて、どういう生命力をしているんですか!?
流石は初代ナデシコにおいて、生命力がゴキブリ並みと言われただけの事はありますね。
・・・・もしかして、その生命力の凄さでプロスさんにスカウトされたんでしょうか?
「カイトはユリカの王子様なんだよ♪
いつも、ユリカがピンチになると助けてくれるんだもん♪」
「な!?」
『俺は王子様なんかじゃないぞ!!
それになんでお前がそこに居る!?』
「だって、私、艦長さんだもん♪」
『な、何ィィィィィィッ!!』
等と言う会話をしている間にカイト機は地上に着いちゃいます。
・・・・・ホントに大丈夫でしょうか?
どうやら、兄さんは無事(?)に発進したみたいだな、さて、そろそろ俺も行くとするか。
取り敢えず、兄さんの状況も知りたいからブリッジに通信を入れとくとしますか。
ピッ
『えーと、君、誰?
危ないから降りた方がいいよ。』
とメグミちゃん。
「あ、俺はコック兼パイロットのテンカワ・アキトです。」
と自己紹介すると
『『『『『『パイロット!?』』』』』』
ま、当たり前だよな、こんな子どもが機動兵器のパイロットだってんだから。
『え、え、ホントに!?』
『ちょっと、マジ!?』
『あ、危ないよ!!』
『危険だから辞めといた方がいいよ!!』
『なんで、子どもがゲキガンガーに乗ってるんだ!?』
『きー!!何で、子どもなんかが機動兵器に乗ってんのよ!!』
と俺の実力を知らない人たちから。
上から、メグミちゃん、ミナトさん、ジュン、ユリカ、ガイ、キノコのコメント。
で知っている人たちからは
『アキトさん、頑張って下さいね』
『アキト、頑張って!!』
『アキトさん、後は任せました』
『うむ!!』
「ええ、それじゃ。
ルリちゃん、兄さんの様子はどう?」
『何とか今のところは、無事に敵を引き付けて逃げています。
でも、かなり危ないですね』
「ふぅ、じゃ急いで駆けつけるとしますか。
じゃ、通信を一回きるね」
エレベータが地上に着くや否や俺は機体を全力で戦場を駆け抜けさせながら、近くに居る無人兵器をライフルで単なる鉄くずに変えていく。
取り敢えず、俺は今必死になって逃げている。
俺の後ろにはまるで、雲霞のようにバッタやジョロが追っかけてきて、さっきからひっきりなしに攻撃をしかけてくる。
それにしても、アキトの奴はなにを考えているんだ!?
十分も逃げられる訳ないだろうが!!
敵もさっきからひっきりなしに攻撃してきやがって!!
「こぉんのぉ、いい加減にしろぉー!!」
と言う言葉と同時に右腕がまるで昔に見たゲキガンガーのゲキガンパンチのように飛んでいき、先頭にいたバッタを吹き飛ばし、
2、3匹道連れにして爆発した。
へぇ、俺って結構出来るじゃんなどと考えていたのがまずかった!!
あっというまに敵に囲まれてしまう、俺。
はぁ、ここで死ぬのか、俺?
・・・・いや、まだ死ねない!!
そう思い行動しようとした矢先、いきなり俺の回りに居た無人兵器が爆発した!!
そして、物凄いスピードで、こっちにやって来るのは漆黒のエステバリス。
通信が開き、そこに居たのは・・・愛しの我が弟だった。
『兄さん、無事みたいだね。
じゃ、さっさと逃げるとしますか。
ほら、ぼさっとしてないで逃げる!!』
そう俺を急かしながら、的確な射撃で無人兵器を確実に倒していく、アキト。
・・・我が弟ながら何時の間にそんな技術を手に入れてんだろ?
ま、俺の自慢の弟だから不思議じゃないよな、うん。
・・・なんて今は考えてる場合じゃない!!
そして、俺達が無人兵器から逃げつづけると目の前には海。
「アキト!!前は海だぞ!!
どうすんだ!?」
そう俺が叫ぶとアキトは
「大丈夫だから!!
そのまま、真っ直ぐ海に向かって跳んで!!」
目の前は海、跳んだとしてもそのまま海の中に落ちて行くのが関の山だろう。
しかし、直ぐ後ろには敵が山ほど来ている。
・・・あれだけの数の相手をするのは無理だ。
俺は覚悟を決めると海に向かって跳ぶ。
そして、アキトも直ぐに付いて来て、空中で2回転を決めてから海に着水。
・・・・余裕だな、アキト。
そして、真っ白の船が海の中から現れる。
・・・・ふぅ、グラビティブラストの一撃で敵は全滅したみたいだな。
ピッ
通信が開いて現れたのはルリちゃんだった。
後ろのブリッジがなにやら騒がしいが、これは仕方ないだろうな。
なんせ、ナデシコの記念すべき初戦闘での初勝利だしな。
『お疲れ様でした、アキトさん』
「別に大した事はしてないよ、ルリちゃん。
・・・・・・それよりも、言いたい事があるんだよね」
『?・・・・・・何ですか?』
「・・・・・ええとね」
ええい!何を躊躇ってるんだ、俺は!!
1ヶ月も前から言うと決めていたじゃないか!!
「・・・・・・・ただいま」
「!?・・・・・・はい、おかりなさい!!」
とルリちゃんは少し泣きながら、満面の笑顔で言ってくれた。
そして、俺は心の中で続けた。
・・・・・・・・・ただいま、ナデシコ、と。
後書き
取り敢えず、第一話目を書いてみました。下手くそなのはご勘弁を!!どうだったでしょうか?
戦闘部分が短いのはご勘弁を。で、前回よりもカイトのセリフを増やしてみたつもりです。
それにしても、カイトはいいとこがないですね。前回と同様、再びアキトの陰謀の被害者に。
カイト君は多少(?)ブラコンが入ってます。
小さい時に両親が死亡して孤児院で弟の面倒を見ていれば止むを得ないかなと考えている為。
ちなみにアキトはその兄の態度に多少辟易しています。
後書きが少ないのでキャラ紹介。
テンカワ・アキト(主人公)
ちび逆行者の一人で、言わずと知れたナデシコの主人公。肉体年齢は13歳。
まるで、某探偵みたいに肉体が若返っている。
ランダムジャンプの所為で過去と言うよりも並行世界に来てしまった。
ランダムジャンプした世界のアキトと融合しているため、こっちの世界のアキトの記憶も持っている。
格闘技や射撃術などは以前の体とは違う為、以前ほど上手く使えないが、それでも腕は一流。
小さくなっても、迷宮無しの名探偵!!・・・・ではなく、未来を変えるために日夜、暗躍している。
第一の犠牲者は実の兄。犠牲者は続々増える予定。
ちなみに、明るくなっているように見えるが、過去に犯した罪の重さからは逃れられていない。
果たして、彼は運命を変え、自分の闇から抜け出せる事が出来るのか?
代理人の個人的な感想
取合えず兄に同情。
つーか、こんな弟がいたらまず一日に二、三回は絞め殺してます。(爆)
とは言え、態度が急変した(であろう)弟に全然違和感を抱いてなかったと言うのは
ひょっとして天然ボケの証なのでしょーか(爆)。
>整備班の視線が痛い
小学生だか中学生だかのガキに嫉妬するとゆーのも・・・・ナンボなんでも、ねぇ(苦笑)
引っ付いてるのだって可愛いとは言え両方とも小学生だし。