「クルスク工業地帯・・・私達が生まれる前には、陸戦兵器の生産で盛り上がっていた所よ。」

 

 ・・・チッ生きてたかムネタケ。

 一体誰が助けたんだ!?

  

「このクルスク工業地帯を、木星蜥蜴の奴等が占拠したの。

 その上奴等ときたら、今迄見た事の無い新兵器を配置したわ・・・」 


「その新兵器の破壊が、今度の任務という訳ですね提督。」

 
 やはりきたかこの任務が。

 さて、このナナフシは俺たちの知ってるナナフシかな?
 
 それとも違うのかな?

 ・・・それを判断する情報が無いな。



「・・・そうよ、司令部ではナナフシと呼んでるわ。

 今迄も軍の特殊部隊が破壊に向かったわ・・・三回とも全滅。」

 

 学習能力が無いな・・・軍には。

 しかし、俺の判断材料にはなるか。

 

「なんと不経済な・・・」


 ・・・た、確かに軍艦一隻の値段を考えると。
 

「そこでナデシコの登場!!

 グラビィティ・ブラストで決まり!!」

 

 ま〜〜たこの馬鹿はナデシコの力を過信しているな。

 未知の敵に対して情報を集めずに真正面から勝負か。

 どっかの地下に本部がある作戦部長を連想させるな。

 ユリカよ、今までの敵とは違うんだぞ?何考えてるんだ!?

 

「そうか!! 遠距離射撃か!!」


 ・・・ジュンお前も簡単に納得するな!!

 それは相手より射程が長い場合の時だけ有効な手だ。

 相手の射程がこちらより長ければ狙い撃ちだな。

 これじゃ、副長と言うより金魚の糞だぞ? 



「その通り!!」

 

 絶好調だな・・・ユリカ・・・頭の花がな。

 

「安全策かな?」



 大当たりだ、エリナさん。

  

「経済的側面からも賛同しますよ。」


 
 弾薬代とナデシコの修理費どっちが安上がりかな?
 


「エステバリスも危険に晒されずに済みますしね。」



 ユリカもそう考えてるんだろうけど・・・余計危険だな。
 


「メグちゃん、それを言うならカイトさんでしょ?」

 
「え、ち、違いますよ!!」



 カイト兄さん、隣にいるイツキお姉ちゃんの顔が怖いんですけど・・・。

 お願いだから、自分の身から出した錆びは自分で何とかしてね。


 
「艦長、ナナフシに関してこんなデータがありますけど?」

 
「え?」

 
「データを見る限り相手の方が射程は上か。」


 それにこの威力は・・・俺たちの知っているナナフシかな、こりゃ。

 さて、どうやって倒す?

 って前回同様の方法しかないか

 

「それに凄い威力。

 戦艦の装甲がえぐれてる・・・。

 ディストーション・フィールドでも防げないね、きっと。」

 
「ルリちゃん、ナイス!!

 もしも、知らないで突っ込んでいたら敵の攻撃の餌食だったね。

 それに、敵の攻撃がブリッジに直撃していたら皆そろってお陀仏だったし・・・。

 ま、痛みも感じる間もなく死ねるのは・・・幸せといえば幸せかな?」
 


 俺がそう言うと聞いていた人達は全員、顔面真っ青になったな。

 それにしても、・・・・はぁ。



「な、何、アキト君、その顔は?

 言いたいことがあるならはっきり言ったら?」



 ん、顔に出てたか?

 ま、ユリカ、お前がそういうならば言わさせてもらおう。

 いいたいことを言うのは子供の特権だし。・・じゃ、遠慮なく。


「べっつに〜〜〜〜。

 ただ、最近ようやく艦長としての自覚が出てきたのか、少しばかり進歩したな。

 良かった、良かったって思っていたのに・・・・こんな事になるなんて。

 火星直前で俺が言ったことは何なのか?って思ってしまいまして。

 一体どんな気持ちで俺があんな事を言ったと思ってるんですか?

 艦長がそんなんじゃ俺のこの気持ちは一体何処に向かえばいいんでしょうか!?

 ああ、俺は切ない、悲しいです!!んでもって、ついでにため息まで出ちゃいます。

 ああ、溜め息一つで幸せが逃げていく。
 
 俺の幸せはいったい何処に、ああ何処に・・・!?

 と言うわけで・・・俺は自分の幸せを探すために艦内を彷徨ってますんで、ナナフシに関して何かわかったら教えてください。

 あ、後、やりたくなかったんですけど、しょうがないから艦長、副長を鍛えてあげます。

 この作戦が終わり次第、修行を始めますんで。

 ・・・なんか給料以上に働いてる気が・・・。

 プロスさん、少し給料上げてくれません?」


「考えておきましょう。」


 そう言って呆然としている皆を無視しブリッジを後にする。











 ・・・3時間後


 俺はブラックサレナの中でダッシュと将棋をしていたら呼び出された。

 さて、どんな情報が入ったかな?

 急いでブリッチに行くとしますか。

 で、俺が着くなりイネスさんが怒涛の勢いで説明する。

 イネスさんの一時間の説明を要約すると

 「ナナフシの正体はマイクロブラックホールによる重力波レールガンを装備した遠距離射撃専用の兵器。」

 であった。

 頼みますから、説明を短くしてください。


「んで、何か弱点でも解りましたか?」

 
「弱点といえるかどうか解らないけど。

 威力は凄いけど、マイクロブラックホールの生成に時間がかかるって所かしら?


 多分一発撃ったら12時間は安全ね。」

 
「他には何か解りましたか?」


「ナナフシは移動した形跡が無い所を見ると移動力は皆無か極小の可能性が高いわね。」

 
「後、ナナフシは旧時代の戦争に使われた戦車で防衛網を引いている。

 どうやら木星蜥蜴は、旧時代の戦車製造プラントを以前から乗っ取っているみたいだ。」


 やっかいだな。

 
「ねぇ、アキト戦車って何?」


「キャタピラで移動する砲台みたいなもん。

 一発の威力は低いんだが連射されるとエステでも危険。」


「アキト・・・大丈夫?」
 

「大丈夫だよ、ラピス。俺がそんな旧型兵器にやられるわけないだろ?

 その気になれば、一対一なら生身でも勝てるし。」


「アキトさん、無茶しないでくださいよ?」


「解ってるってルリちゃん。」


「で、どうやって攻めます?

 地上からですか?」


「それが無難だな。」


 とゴートさんと話していると。






「あ・・・敵弾発射。」
 

「「「「「へ?」」」」」 


 
いや、これには驚いた・・・マジで。
 



ドギャァァァァァァァァァンンン・・・・

 

 

「何か・・・当った?」

 
「はい、ビンゴです艦長。」

 

 

 ドゴォォォォォォォンンン!!!

 

 
「ディストーション・フィールド消失!!」

 
「被害は11ブロックに及んでいます。」
 

「相転移エンジン停止!!」
 

 嘘だろ!?

 まだ、ナナフシの射程距離に入ってないよ!?



「操舵不能!! 墜落します!!」

 
「補助エンジン全開!!」


「駄目!!間に合わない!!」 

 
 

 俺はメグミちゃんからインカムをもぎ取り、コミニュケを通して艦にいる全員に伝える。



「ナデシコは墜落する!!

 全員!!耐ショック姿勢!!」




 だがその行動の所為で俺自身の行動が遅れる。




 ズザザザザザザザザザザザアアアアア・・・・

 

 ・・・し、しまった!!
 

 ナデシコが強制着陸した反動で俺の体は床にたたきつけられる。


 ダンッ!!



 一応後頭部は守ったが勢いは殺すことは出来ずに右肩から突っ込むことに。

 う、こ、これは効いたな。



「ど、どうして!?

 何でナナフシが攻撃してくるの!?」


 その前にやることがあるだろう?


「艦長どうやら、ナナフシは自分からナデシコに近づいてきたみたいです。」


「つまり、ナデシコを待てずに自分から相手に会いに来たって事?」


「やぁね、待ち合わせに遅れるのは美人の特権なのに。」


「そうですよね。」


 いや、そういう問題じゃないでしょう?


「ナナフシは動けないんじゃないの!?」


「艦長、私はナナフシの移動力は皆無か極小の可能性が高いとしかいってないわよ?」


「そういう事はもっとはっきり言ってください。」

 
「艦長、それよりもクルーの確認を死者や怪我人がいるかもしれないでしょ!?その確認を!!」


 取りあえず寝そべったままいう。
 

「あ!!ルリちゃん急いで調べ「もう終わってます。死者は0、怪我人は多数です。」



 今回もラッキーに恵まれたな。



「ところでアキト君。

 いつまでそのまんまの格好でいるの?」



 いや、イツキお姉ちゃん好きでいるわけじゃないんだけどね?

 取りあえず起きますか。


 そう言って床に手をつき立ち上がろうとした瞬間。


 ズキィ


 腕が痛ぇ!?・・・こんな時に!! 
 

 
 
























 ヒドイ目に会った・・・尻餅をついちまったじゃないか。

 お、イツキに注意されたアキトがようやく起きるか。

 ・・・ん、一瞬アキトの顔がゆがんだ?

 まさか、アイツ!?



「おい、アキト!!」


「何、カイト兄さん?そんな大声出して。

 皆がビックリしてるよ?」


 
 アキトがそんな軽口を叩いてくるが無視する。



「イネスさん!!アキトは怪我してます。早く治療を!!」


「やだなぁ。んなわけないじゃん。」


 アキトがそう言うと強く腕を握る。
 
 そうすると途端に顔色が変わる。


「っ!!」


「これの何処がだ!!

 腕見せてみろ!!」



「やなこった。

 それにナナフシを急いで倒さなきゃ。」


「お前、この状態で出撃する気か!?」


「もち。」


「死ぬぞ!?」


「死なないよ。

 俺にはまだやり残したことが一杯あるんだ。

 それをやるまではね・・・。」


「何、強情張ってんだ!?」


「強情なんて張ってない!!

 それに俺無しでどうやってナナフシ破壊するんだよ!?

 どう考えても俺のサレナのG・ライフルが必要だろ?」


「だったら俺にお前の機体を貸せ!!」


「やだ。」


「んな事言ってる場合か!?」

 
「悪いんだけど、サレナには誰も乗ってほしくないんだ!!」

「馬鹿か!?

 自分の命が掛かってるんだぞ!?」


「例えそれでもだ!!

 これだけは譲れない!!」


「この意地っ張り!!」


「それはカイト兄さんもだろ!?

 人のことを言えるのかよ!?」


「今は俺の事じゃないだろうが!!」


「そうやってすぐに自分の事を棚に上げる!!

 大体いつもそうだカイト兄さんは!!」


「お前の方こそどうなんだ!!」






  ・・・・しばらくお待ちください・・・・




 の、喉が。

 互いに思いつく限りの罵詈雑言を浴びせ終わった後である。



「はいはい。そこまでにしときなさい。」


 手をパンパンと鳴らしながらミナトさんは俺たちに言う。


「取りあえず話を纏めるわよ?

 アキト君はどうしても出ると。

 で、カイト君はそんな怪我をしているんじゃ無理だと。

 で、本当のところはどうなのアキト君?

 言っとくけど嘘はつかないでよ?」


 ミナトさんの言葉で少しは落ち着いたのかアキトはこういう。


「多少痛いですが、戦闘には支障ありません。

 少なくともこんな状態でもカイト兄さんよりかは役に立ちます。」



 こ、こいつは!!



「喧嘩を売らないの!!

 じゃ、実際に証明してみせなさい。

 シュミレーターで勝負。

 それで、もしもカイト君が勝ったらどうするの?」


「1000兆分の一にでもありませんが、その時はナデシコでおとなしくしてます。

 後、サレナに乗るだけの実力があると考え、サレナに乗せて上げます。」



「その言葉忘れるなよ。」


「カイト兄さんの方こそ俺が勝ったら出るからね。

 後で文句言わないでね?」


 そういうとゴートさんに向かってこういう。



「作戦開始は一時間後。

 砲戦を四機、突撃戦を四機のフォーメーションで行います。

 砲戦にはアカツキ、イズミさん、カイト兄さん。

 残りを突撃戦に。イツキお姉ちゃんこっちの指揮をよろしく!!

 俺は砲戦の指揮をブラックサレナで執るから。」


「ん、一機余るが?」


「ああ、それは副長に砲戦で出てもらうんですよ。」


「え、ぼ、僕!?」


「あ、副長に戦うことなんか期待してませんから。

 大丈夫ですよ。

 単なるバッテリーの運び役やってもらうだけです。」


「ちょっと、ぼ、僕の意思は?」

 
「おい!?何お前が勝つことを前提で話し進めてるんだ!?」 


「決まりきった事いわないでよ。

 俺が勝つなんて解りきってるじゃん。」 

 
「そんなのやってみなくちゃ解らないだろう!?」


「まだ、んな事言ってんの?

 俺とカイト兄さんでは天と地ほどの差があるんだよ?」


「お、お願いだから話聞いて。」











 ・・・・・一時間後・・・・・



「いってきま〜〜〜す。」


「な、何故だ。

 こんな時は想いが力になるんじゃないのか?」


「さぁお仕事、お仕事!!」


「俺の実力の見せ所!!」


「ねぇ、リョーコ。戦車見れるかな?」


「お前な〜〜〜!!」


「・・・・・ポロン」


「カイトの馬鹿、アホ、間抜け、ドジ・・・・」



「どうせ、誰も僕の意思なんか聞いてくれないのさ(くすん)」



 こうしてナナフシ討伐隊は出発した。























ブリッジ


「さ〜て!!

 艦長!! ミナトさん!! メグミちゃん!! 

 コレを着てもらおうか!!」

 

 そう言ってウリバタケさんが持って来たモノは・・・過去と同じ物でした。

 ・・・私もやっぱりコレを着るんですか? ウリバタケさん?

 

「お〜〜っと!! ルリルリとラピスちゃんはコレだ!!」

 

 はあ・・・やっぱり私はコレですか。

 ・・・ま、別にいいですけどね。

 ちなみにラピスは戸惑ってますね

















「「バカばっか…」」


久しぶりにお決まりのセリフをラピスと一緒に言います。


ビシッ!


「新手のコスプレか?」


ゴートさんは軍服にツッコミを入れました。


「セイヤさんがこれを着たほうが。」


「作戦司令部みたいな感じがするからって。」


「コレクションの中から持って来たそうです。」


 一体どの位のコレクションがあるのでしょうか?

 なんか色々なコスプレがありそうで嫌ですね。



「こちらの作業も始まっている。

イネス女史が観測衛星から送られてくるデータを分析中だ。」


「ビシッ!」


また敬礼。


「エステバリス、エネルギー供給ライン外に出ます」


「ビシッ!」


さらに敬礼。

飽きないんでしょうか?



「はあ…」


 実は結構、重いんですこの鎧…

 本物なんでしょうか?






















 
 20時10分 グラカーニャ村、通過


《《《《1・2・3・4♪ 2・2・3・4♪ 

やま〜を越えて行くよ〜♪》》》》



 開きっぱなしの通信から入ってくる能天気な歌声。

 しかも、アカツキまで歌っているのか!?

 ジュンのエステは荷物を背負っているため遅れ始めている。

 サレナのバッテリー残量はスラスター使って飛んでるけど、楽勝と。

 なんせ構造上サレナは歩けないし。











20時45分 スベイヌン鉄橋



《《《《口笛吹いて〜 ひゅひゅひゅのひゅ〜♪》》》》


 ま、まだ歌ってんのか?

 ジュンのエステは豆粒ほど大きさである。

 未だ敵は見えずと。





 21時10分 カモフ岳


《《《《腕を〜 伸ばして山登り♪ エイホッ♪ エイホッ♪

  エステ〜バリスの実力さ〜♪》》》》


 歌の通り、皆のエステ崖を登っていく。

 ていうか歌うのもう辞めろ。

 俺はスラスターを使って昇る。

 ん?ジュ、ジュンよ。崖を両手、両足で上るのか?












 21時30分 イール川




 まだ、歌ってるだろうが無視!!

 エステ用の大型ゴムボートを使い、川を渡る。

 俺は低空飛行で飛ぶが。

 あ、ジュンのエステがゴムボートから落ちて下流に流される。

 大丈夫か? 










 22時30分 モアナ平原






 やっぱり俺は低空飛行!
 
 あ、ジュン!!そこは地雷が!!

 荷物は大丈夫か?





 休憩ポイント



 未だ歌っている・・・というか!?アカツキ、お前、そのギターどこから出した!?



 「「「「「ご飯、まだ〜〜〜〜〜!!」」」」」


 皆がカイト兄さんに食事を要求する。



「あいよ〜♪やっぱり、中華鍋は火の回りが良いな〜〜〜♪」


 やっぱり、カイト兄さんもそう思うか。







「よ〜し!日が変わるまで各自休憩!

 ってイズミ君とリョーコ君しか居ない…」





 時間が無いとは言え、ぶっ通しでここまでエステを操縦してきたからな。

 睡眠不足と疲労は集中力を鈍らせる。

 そんな状態で進軍しても危険なだけだ

 という俺の提案の元、こうなった。




「「すぅ…」」


「・・・・なるほど、青春というわけか。」











「うお〜〜〜〜、すっげ〜〜〜!!」


「ほんと〜〜〜〜天の川なんて初めて見たよ〜〜〜〜!!」


 と青春をしている二人や。




「カイト〜〜〜!!

 何で勝てなかったのよ〜〜〜!!」


「しょ、しょうがないだろ!!」


 と痴話げんかをしている二人。








 そして、



「・・・・サレナ。お前は馬鹿な意地だと思うか?

 お前に他の人を乗せたくないって思うことに。

 でもな、お前は色んな人の想いが込められて作られたんだ。

 アカツキはばれたらネルガルの不利益になるのにお前を作ってくれた。

 ウリバタケさんやアイちゃん、エリナさん、ゴートさん、プロスさんもお前を作り出す為に協力してくれたな。

 それにお前のアサルトピットはずっと俺の事を前の世界のナデシコから守ってくれた。

 だからかな、お前には他の人に乗ってもらいたくないのは・・・・。」


 そう言いながらブラックサレナを見上げるアキト。


「サレナ、もしも・・・もしもだが、お前が俺以外の人が操る事になったらどうなっていたのかな?

 そうしたら、お前もこんなところに来なくて済んだのにな。

 ホント埒もない想像だな。

 ・・・・っ!!

 麻酔が切れてきたか・・・。

 さっさと片付けてナデシコで治療しますか。

 その為にも力を貸してくれ、相棒。」


「アキト君!!敵だ!!」


「解った!!」













『けっ!戦車なんて時代遅れの兵器で俺たちを止められると思うなよ!!』


『でも、数が多すぎるよ〜』


『旧式機のくせに生意気!!』


『こんなところで足止め食ってるとナナフシに間に合わないんじゃねぇのか?』



 砲戦フレームは対ナナフシの切り札の為、突撃戦戦フレームだけで戦車を迎撃する。

 だが、千両単位の車隊は全然減らない。

 それどころか物量差でヤバイ事に!!

 砲戦三機の火力、俺のG・ライフルを使うわけにはいかない。

 しかし、このまんまじゃ!?

 ん?砲戦が三機?来る時は四機。

 残り一機は?・・・あ!?



「ジュン!!撃て!!」


「え!?は、はい!!」



 ジュンは俺の声が聞こえると同時に銃弾を撃ちまくる。

 スマン、ジュンよ。俺が無理矢理連れてきたのに忘れていた。



「今のうちに砲戦部隊!!

 ナナフシの破壊に行くよ!!」


「なっ!?アキト、仲間を見捨てていくのかよ!!」


「そうじゃないさ!ここで主力の砲戦の残弾を使い切るわけには行かないだろう!」


 アカツキも怒鳴る。


「でもよ……!」


 ええい!!しつこい!!


「俺たちには無駄に弾を使えるだけの余裕は無いんだよ!

 もしかしたら、サレナと砲戦三機でも足りないかも知れないんだ!!

 それにナデシコがやられたら終わりなんだよ!!」



「行きなさい、カイト!!!」



「カイト!!安心して行って来い!」



「そうそう♪」



「早く倒して来いよな!」





 皆は口々にそう言う

 その言葉に覚悟を決めた三人は声を合わせて言った




「「「任せとけ!!」」」












 そして、ナナフシへと向かう途中通信が来る。



「アキト君悪い知らせがあるんだけど。」

 

 通信ウィンドウが開いてイネスさんを映し出す。

 

「・・・ナナフシですか。」
 

「御名答・・・時間が無いわ。

 ナナフシは既にブラックホール弾の生成を始めたわ。

 間に合うかしら?」

 

「間に合わせるしかないでしょう!!」

 
「そうね・・・じゃあ貴方たちを信じるわ。

 また、ナデシコで会いましょ。」


「ええ!!」



 俺たちはは焦燥感を募らせつつナナフシに向う!!



 だが、思わぬ強敵がいた。 








「ちっ!!

 何でこんなところでデビルエステバリスがいるんだよ!?」



 多分、全滅した部隊のエステだろうが!!

 自分たちのごみ位もって帰れよな!!



『どうすればいいんだよ!?

 このまんまじゃナデシコが!!』



「皆は先に行け!!こいつらはおれが何とかするから!!

 アカツキ指揮を頼むぞ!!」


『解った!!』












 
「さて、悪いんだが時間がない。

 ・・・潰させて貰うぞ!!」



 そう言うやいなやアキトは5機の機体に飛び掛る!!



 3機が後方からミサイルを撃ち、残り2機が接近する。

 いつもならカノン砲でミサイルを破壊するのだろうがエネルギーの無駄遣いはしない。

 ミサイルを最小限の動きででかわし、ブレードで1機を頭から切り裂く!!

 残り1機をテールバインダーで突き刺す。

 そして、振り返らずに残り3機に向かう。

 その直後、後ろで2機が爆発その爆発さえも推進力にに変える。

 相手が何も出来ずにいる内に1機に近づいて、胴で真っ二つにする。


「残り2機。」



ドゴォォォォンッ


 至近距離で爆発し、炎に映し出された姿は悪魔を連想させる。

 そして、その漆黒の悪魔は右手の方向にいる敵に狙いを定める。

 だが、相手はバッタのバルカンを使い攻撃するが・・・


「反応が遅い。」


 相手にブレードを胸に突き刺す・・・がまだ死なず、至近距離で攻撃しようとする。

 
「さっさと消えろ。」


 アキトはブレードから手を離し相手を蹴り上げるとカノン砲を2発撃つ。

 撃った弾は空中にいる敵に当たる。そして、爆発。

 残り1機。


「邪魔。」


 アキトは自分に向かってやってきた敵にブレードを投げた。

 常人には見えないほどのスピードでブレードは相手に迫る。

 相手はかわすことも出来ずにそれを胸に受ける。

 ・・・そして、爆発。

 1分30秒・・・これがこの5機のデビルエステバリスに要した時間である。

 まさに悪魔のごとき力。

 もしも、これが有人機なら一生悪夢として夢に見そうな光景である。



「ふん、雑魚どもが。

 さっさとカイト兄さん追いかけるか!!

 ダッシュ、ブラックサレナ高機動モードに移行!!」


 だが、その瞬間、爆炎をかきわけ一機のバッタがアキトに迫る!!


「しまっ!!」


 やはり腕の痛みで判断能力が鈍っているようだ。






 シュン!!


 ガスッ!!


ドゴォォォォンッ


 だが、アキトが対応する前にバッタに何かが突き刺さる。


「アキト君大丈夫!?」


「サンクス、イツキお姉ちゃん。助かった!!

 皆はナナフシに向かったよ。俺も急いでいくから!!

 ・・・って、簡単には行かせないつもりだね。」



 アキトの視線の先には大型戦車が多数!!



「今までの玩具とは違いそうだな。

 嫌になるね、こんだけ敵が多いと!!」


『アキト君、行きなさい!!』


「解った!!って言いたいけど。

 ・・・大丈夫?」


『お姉ちゃんを信用しなさい!!

 あれ位の敵、へっちゃらよ!!』


「ま、信用はしてるから!!

 ナナフシは俺に任せといて!!」



 そういうとアキトはナナフシに向かう。

 だが、イツキ達から十分に離れ遠目にナナフシが輝き始めるのを見るや否や閃光と一緒に消えた。


























 一方、アキトと別れ進むこと数分、ナナフシを射程範囲に捕らえる三人!




「打ちまくれ!!」


「「了解!!」」




 アカツキの号令と共に三機の砲戦フレームの全ての武器が火を噴く!!

 ミサイルが着弾し、120mmキャノンが突き刺さる。

 しかしナナフシは未だ活動を止め無い!!




「くそ!もう残弾がない!!」


「こっちも!!」


「クソ〜!止まれ〜〜!!」




 最後の砲弾がナナフシに突き刺さる!……が




「万事休すかな?」


「くそ!こうなったら特攻して…!」


「ダメよ!エネルギーがもう……!!」




 今だ活動をやめないナナフシに三人は絶望する

 特攻しようにも機体自体のエネルギーが無く、動く事さえままならない状態だ。

 最悪の結末を予測したその瞬間!!



グォォォォォォォォオオオオオオンンンンン!!!





「美味しいとこ持ってくな・・・。」


「まさにヒーローの宿命かしらね?」


「あいつはホントに・・・」







 一方話題の主は・・・



「硬いな、このナナフシは。

 ダッシュ、サレナに残っている全エネルギーをG・ライフルに!!

 こいつで決めるぞ!!」


『OK!!マスター!!』



「ナナフシよ、ゼロ距離でこいつを受けて耐えられるかな? 

 ・・・ファイヤ!!」


 その一撃はナナフシを貫通し、威力を弱めることなく虚空へと消える。







「は、ははは。

 すッげー威力・・・」


「これはまた派手に・・・。」


「ヒーローには必殺技が付き物とはいえ・・・」









 一方アキトは・・・


「・・・あ、こんな事したら、ウリバタケさんに怒られるかも。」


『かもしれませんね。』


「だ、だけど今回はしょうがないだろ!?」


『そうでしょうか?』


「いやだ〜〜〜!!

 冷たい格納庫の床で3時間も正座なんて〜〜〜!!

 ちくしょ〜〜〜!!

 草壁のばっかやろ〜〜〜!!

 お前たちのせいで俺が不幸になるんだ〜〜〜!!

 お前に会ったら、絶対不幸にしてやる〜〜〜〜!!」



 意味もなく自分の過失を他人に擦り付けていた。

 ・・・なんとなく、草壁にも同情してしまうな。





 後書き


 どうでしょうか?私の対ナナフシは。
 今回は珍しく兄弟げんかしてます。ていうか、これを書きたかっただけ。
 ま、他にもついでに色々と。
 このナナフシでは最初、攻撃を食らって整備兵を何人か死なせようかな?
 と思いましたがとんでもなくダークになりそうな気がしたんでやめました。
 実際にナデシコで死者無しというのはありえない。
 と言うのが私の意見でしたが万が一それがあるとしたらとんでもない強運。
 いえ、この強運こそがナデシコの最大の武器なのかもしれませんね。
 それにダークはこのナデシコに似合わないですし。
 話は変わりますが、う〜〜〜ん、この前のあれは順調に進んでません。(オイ!)
 ま、何はともかく書いてみようということで進めてます。
 それにしても、次は対オモイカネ。
 どうなる事やら。
 どんなふうにしようかなぁって、大体は決まってんですけどね。
 細かいところが・・・・ね。
 というわけで応援よろしくお願いします!!

 

 

代理人の感想

冒頭の、やけに偉そうなアキトが笑えます。

ユリカが馬鹿ならこの人の頭は帽子の台以下だと思うんですが(爆)

 

って、実際帽子の台以下だったしw