機動武闘伝
ナデシコ

 

 

 

 

 

 

 

ネオフランスコロニーから一隻の輸送船が出港した。

ナデシコファイト国際条約を破り、地球に降りてゆこうとする

その輸送船を止めようとする者は、しかし誰もいない。  

法律を捻じ曲げ、権力に自分の行動を黙認させる。

輸送船に乗る人物にはそれだけの力があった。

そして、その人物の目的は・・・・・・・・。        

「この日、宇宙に浮かぶネオフランスのコロニーから一隻の船が地球に降り立ちました。

落ち行く先はギアナ高地。そして目指すは、同じネオフランスのミスマル・ユリカの下だったのです。

嵐が嵐を呼ぶ今日の対戦相手は・・・・・・ナイショ。

それでは!

ナデシコファイト・・・

レディィィ!ゴォォォゥ!」

 

 

 

第二十話

「ユリカよ、

悪夢を打ち砕け!」

 

 

 

 

 

重い剣戟の音が響く。

ユリカのナデシコローズとジュン専用のモビルスーツ

・・・・・とは言っても中古屋でも二束三文の代物、   もう少ししたら骨董屋に売れるかもしれない・・・・・

「モナミ一号」(ちなみに命名はユリカ)が剣を交えていた。

剣とは言うが無論、双方ともフェンシング・サーベルである。

しばらく剣を交えた後、モナミ一号の剣がユリカに叩き落された。

「う〜ん、やっぱり無理だよジュン君。モナミ一号も旧式だし・・」

まあ、ジュン如きに負けるようではナデシコファイターになれるわけがないが、

ナデシコローズの相手としてモナミ一号はいかにも見劣りした。

事実、先程から稽古試合を続けているのだが、百五十七回連続でジュンの負けであった。

ジュンも生身ならユリカから五本に一本くらいは取れる腕の持ち主なのだが、

さすがにすこしショックだったらしい。      

「はは、やっぱり剣じゃユリカには敵わないみたいだね・・・。」

「もう、暗いよジュン君!ジュン君にはジュン君のいいところがあるんだから!」

「ユリカ・・・・・。」

「ジュン君はお掃除もお洗濯も上手だし、お裁縫も得意よね?

料理も私ほどじゃないけど上手だし、ナデシコの整備も徹夜でやってくれるし・・・」

「う・・・うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!」

「あれ、ジュン君どこ行くの?どしたの?ねえジュン君!」

土埃を蹴立て、夕日に向かってモナミ一号が走る。

その頭部両脇から、滝のような、涙のような冷却水が吹き出していた。          

 

 

 

とはいえ、食事時にはしっかり帰ってくるジュンである。

勿論自分が食べる為ではない。ユリカの夕食を作る為に帰ってくるのである。

使用人根性とはまた違った悲しい奴隷根性が

心の奥底まで染み付いてしまっているジュンであった。

ユリカは食事を取った後、腹ごなしの軽い運動をして汗を流した後入浴して就寝。

本人曰く「早寝早起きは健康の元」だそうである。

その間ジュンは後片付けに明日の朝食の下ごしらえ、風呂を沸かして着替えを用意し、

ユリカの入浴中にベッドメイキングを済ませて洗濯をする。

ユリカが就寝した後は深夜までナデシコローズとモナミ一号の整備である。

それでいて朝はユリカより早く起きてモーニングコールと様々な雑用をこなさなくてはならない。

悲しきは宮仕え。それでもどこかこの境遇を喜んでいる自分が更に悲しいジュンであった。

それはそれとして、最近はもうひとつ気がかりな事があった。        

天幕の中から呻き声が聞こえる。

よく聞き取れないが、うわ言も言っているようだった。

最近、ユリカはよくうなされる。ここ一週間ほどは殆ど毎日だ。

そしてユリカが毎回口にするひとつの名前があった。

それはジュンにも聞き覚えのある・・いや、よく知っている名前だったのである。          

ユリカは自分の絶叫で目が覚めた。

気がつくと天幕の外からジュンの声が自分を呼んでいる。

「・・・リカ、ユリカ!ユリカ!」

「・・・・ジュン君・・・なぁに?」

ジュンが明らかにほっとした声を出した。

「ユリカがうなされていたから・・・。」

「うん、大丈夫。ジュン君、お水持ってきてくれないかな?」

「うん、わかった。」

ジュンの気配がなくなってから、ユリカが深い溜息をついた。

ここのところ、殆ど毎日こんな夢を見る。

「逆夢よね、きっと。枕逆さにしてもう一回寝ればきっと大丈夫よ、うん!」

ジュンが水を持ってきた時には、もうユリカは安らかな寝息を立てていた。              

 

 

 

 

アキトの気合が夜の闇に響く。

即席で組んだかがり火が、滝の前で刀を構えるアキトを照らし出していた。

錆びた刀を構え、滝に切り付け、呑みこまれる。

滝壷から浮かび上がってはまた構え、精神を集中する。

アキトの修行は相も変わらずその繰り返しである。

「この錆びた刀を使いこなせればスーパーモードを自在の物と出来る」

謎の女シュバルツ・シヴェスターの言ったその言葉を、アキトは何故か疑うことなく実行している。

理由はわからない。

ただ、彼女自身が持つ無意味なまでの説得力がそうさせたのであり、

アキトがその言葉の正しさを本能的直感的に感じ取っていた、とでも言う他は無い。

ガイが、あくびをしながらも律儀にそれを眺めていた。

アキトの構える剣の切っ先がわずかに揺れる。

次の瞬間、その剣がアキトの頭上に降ってきた人間の頭ほどもある岩を砕いていた。

落ちてきた岩は一つだけではなかった。

崖の上から次々と降ってくる岩をあるいは拳で砕き、蹴りで弾き飛ばす。

最後に一抱えほどもある、一回り大きな岩を砕いた所で岩の雨がやんだ。

崖の上から拍手の音がする。

「お見事!さすがだな、テンカワアキト!」

モビルスーツの両手で器用に拍手をしながらモナミ一号に乗ったジュンが崖から降りてきた。

アキトが何かつっかえているような表情のまま口を開く。

「お前は・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・誰だっけ?」

「ジュンだ!アオイジュン!」

アキトの言葉に、ジュンは本気で怒った。          

 

 

当然ながら、いきなり岩を落とされ、修行の邪魔をされたアキトの機嫌もあまり芳しくは無い。

「で?何の用なんだ?」

「実は・・・・この所ユリカが毎晩悪夢に悩まされているんだ。

それで、医者であるダイゴウジ君の意見を聞きたくて。」

「それで、何で俺の上に岩を落とす。」

「いいじゃねえか、アキト。崖の上から岩を落とすのは特訓の定番だぜ?」

「そうなのか?殺意がこもってるような気がしたんだがな。」

「・・・・・気のせいだよ。」

「今の間は何だ。」

それはもちろん、複雑な男心と言うものである。

頬にちくちく刺さるアキトのジト目に、ジュンがユリカの症状を説明しながら冷や汗を浮かべていた。        

 

 

 

「夜な夜な悪夢にうなされて恐怖の悲鳴を上げる・・ね。

あのお嬢様がそうそう何かを怖がるとは思えないけどな。」

「ユリカを恐怖させるほどのものと言えば・・・・まさか、デビルホクシンか!?」

「実はもう一つ・・・・いや、もう一人いるんだ。

ユリカは毎晩、うなされる度にその名前を口にするんだよ・・・。」

くれぐれも秘密にしておいて欲しい、と前置きしてからジュンが語り始めた。              

 

 

ナデシコファイトネオフランス代表を決定する時に、ユリカには一人のライバルがいたんだ。

幼い頃からの知り合いで、ことあるごとに対立していた・・・因縁の間柄と言ってもいいと思う。

剣の腕、格闘技、戦術的な能力や咄嗟の判断力を含めた総合的な戦闘力もまったくの互角。

周囲も本人たちも、互いのことを最大のライバルだと認めていた。

その人との代表決定戦が決定してからのユリカは、公の場では戦意を剥き出しにしていたけど、

時々・・・・何と言うか、不安そうな顔を見せる事があった。

あんな不安そうなユリカを見るのは僕もはじめてだった。

多分、勝つか負けるかユリカにも判らなかったんだろう、と今にして見ればそう思うよ。

ところが決定戦とは全く関係のない所でそのライバルが問題を起し、

国家主席の鶴の一言で失格になったので結局代表決定戦は行われないままだったんだ。

二人の決着がつかないままに・・・。              

 

 

 

 

ジュンが話し終えた後しばらくして、アキトが最初に口を開いた。

「その時の不安を未だに引きずっている・・・か。確かに有り得なくもない話だな。

で?やっぱりその時の不安が元だと思うか、ガイ?」

「ん・・・・なあジュン、あのお嬢さんにデビルホクシンの後遺症とかはなかったのか?

それこそ夢に見たりとか、調子が悪かったりとか。」

「いや・・・そう言う事は無かったと思う。新宿を離れた後は殆ど気にも止めていないよう だった。」

考えながらジュンが答えを返す。

ガイが、珍しく難しい顔をして考えこんだ。  

沈黙を続けるガイに不安になったのか、ジュンが焦った様に尋ねる。

「やっぱり、その決着がつかなかったことが原因だと思うかい・・・?」

「いや。違うな。」

「違うって・・」

ガイの言葉が理解できないままオウム返しに尋ねるジュンに、ガイが説明し始めた。

あのデビルホクシンに、またDH細胞に侵蝕されて何も感じない人間はいない筈である。

つまり、ユリカはデビルホクシンの恐怖を忘れるべく  

その記憶と感情を無意識の内に心の底に封じこめた。

しかしそれがかえって「正体のない不安」としてユリカの心に影響を与え、

「かつて勝負をつけられなかった仇敵」という判りやすい形を取って現れたのではないか?

というのがガイの説明であった。

「ってな所じゃないかとは思うんだが・・・・本人に話を聞いてみないことにゃあな。」

ガイが言った途端、西の夜空が明るく照らされた。

「あれは・・・ユリカの天幕の方か!」

アキトとガイが同時に立ちあがる。

その時には、ジュンはもうモナミ一号を起動させていた。

ユリカが絡むと彼の反射速度は通常の数倍にまで増幅される。

「ユリカぁ〜っ!」

ユリカの身を守る為、夜の山を越え谷を跳びモナミ一号が駆ける。

ジュンの思いが乗り移ったのか、モナミ一号は明らかにスペック以上の能力を発揮していた。      

 

 

 

お〜っほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっ

ほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっ

ほっほっほっほっほ!   無様ですわね、ミスマル・ユリカさん!?

それでもわたくしの宿命のライバルなんですか?

聞けばこちらにはアキトさんもいらしているとの事。  

この際、一気に勝負をつけさせていただきますわ!

そう、今度こそ貴女に敗北の味と言う物を教えて差し上げてよ!」

「くっ・・・!」

ユリカが歯噛みする。

ファイターたる彼女が悪夢に悩まされている今、  

ナデシコローズの動きにはいつもの切れがなく、

反対に彼女の敵は闘志満々であった。

ミスマルユリカの宿命のライバル。その名は・・・・  

カグヤ・オニキリマル!

地球圏にあまねく広がる巨大企業明日香インダストリーの令嬢にして、

あらゆる点においてユリカと互角以上の能力を持つ才色兼備の美女。

ついでに幼い頃から一人の男性を取り合ってのライバル関係を  

十数年間継続している間柄でもあった。

その哀れな男の名は、皆さん既によくご存知のはずである。

そしてナデシコローズの前にその優美な姿を見せている機体はカグヤナデシコ。

流れるような黒髪、意思の強さを表す眉、吸いこまれそうな瞳、筋の通った鼻梁、

朱を引いた形のいい唇、流れるようなボディライン。

額のマルチブレードアンテナをのぞけば、何から何までカグヤの姿をそっくり写し取った、

まさしく造形美の傑作といえる機体であった。

もっとも、その姿とネーミングが国家の代表たるナデシコには相応しくないと言うことで

カグヤはナデシコファイターの座を逃したのだが。

当然ながらカグヤは猛抗議をしたが、  

これまた当然ながらそれが聞き入れられる事はなかった。

そして今、カグヤはその時の鬱憤をユリカにぶつけようとしていた。

カグヤナデシコの右手のレイピアが   ナデシコローズのフェンシングサーベルと火花を散らす。

動きにいつもの切れがないユリカは、カグヤの剣技に圧倒されていた。

切り結ぶ内に次第次第に押されてゆき、十何回目かにユリカが後退したとき、  

その足元には地面がなかった。

大きく体勢を崩し、ナデシコローズが背中から湖に落下する。

「おほほほほほほほほほほほ!これで終わりですわ!」

カグヤの高笑いとともにカグヤナデシコの全身が展開し、  

白煙を引いて無数のミサイルが飛び出す。

だがそのミサイルがナデシコローズをスクラップに変える寸前、

両者の間に割って入ったひとつの影があった。        

 

 

 

「僕は!ユリカを!守るんだぁッ!」

「モナミ一号」が両手を広げてユリカの前に立ちはだかる。

その全身をカグヤナデシコの放ったミサイルの雨が打った。

「ユリカ!負けちゃいけない!悪夢なんかに負けちゃいけない!

君は・・・そんな物に負けるほど弱くない筈だっ!」

「ジュン君・・・・!」

ジュンからの通信が途絶える。

一瞬遅れて、モナミ一号が地響きを立てて崩れ落ちた。

「・・・・余計な真似を!」

カグヤが再びミサイルを斉射する。

だがミサイルが発射されたその瞬間、湖面に波紋だけを残してユリカの姿は消えていた。

ナデシコローズの姿を完全に見失い、カグヤの美しい顔が驚愕に歪む。

「なっ!?」

「ローゼス・・・・スクリーマーッ!」  

声は上から聞こえてきた。

赤いバラが花吹雪のように舞い、電磁波の檻がカグヤの動きを止める。

一瞬後その体がどうと倒れる。

着地ざまに横に払ったユリカの剣が、カグヤナデシコの首を薙いでいた。

直後、振りかえったユリカの目の前でモナミ一号が爆発した。

「ジュン君っ!?」

一瞬、さすがに動揺するユリカ。

だがナデシコの外部集音マイクがアキトとジュンの声を拾った。

慌てて見まわすユリカの目に、アキトに肩を貸してもらっているジュンの姿が目に入る。

とりあえず怪我はしていないようだと見て取り、ユリカは胸をなでおろすと

破壊されたカグヤナデシコに手を差し伸べた。

「今回は、引き分けだね。」

「当然ですわ!今回は彼の忠義に免じて引き下がってあげます!

ですが、二度目はありませんことよ!」

「いつでも来なさい!アキトはユリカの王子様なんだもん!」

「いいえ、アキトさんは私と将来を誓った殿方ですわ!」

ライバル心を剥き出しにしながらもどこか楽しそうにユリカとカグヤの応酬が続く。

そこに、ジュンをガイに任せた鈍感の総元締めが割って入った。

いや、割って入ろうとした。

「なあ・・・」

「あ、アキトもカグヤさんに言ってあげてよ!アキトは私のお婿さんになるんだって!」

「ユリカさん、バカな事を言う物ではありませんわ。

アキトさんは私と幸福な家庭を築く事が決定しています!そうでしょう、アキトさん!」

「丁度良いわ。ここではっきり言っちゃって、アキト!」

「そうですわ、はっきりさせてください!」

「あう・・・」

「・・・・・阿呆。」

ガイが冷ややかに呟く。

しばらく追い詰められているのを見た後、ガイは助け舟を出してやる事にした。        

 

 

 

ガイの大声に、論戦(?)に夢中になっていたユリカもさすがに反応した。

「デビルホクシン?なんの事?」

「新宿で見たろうが!あの巨大なナデシコを!」

一抹の「まさか」という思いを抱きながらアキトがユリカに重ねて尋ねる。

だが、ユリカはやはりユリカであった。

「あ、あれ!すっかり忘れてた。」

「どうやったら忘れられるんだ、あんな物を!  

第一DH細胞をくっつけられて操られていただろう!」

「でも忘れちゃった物はしょうがないでしょ?」

アキトが両手をブルブル震わせた後、がっくりと首を落とした。

何か悟ったらしい。

「じゃあ、悪夢って・・・・。」

「やだ、ジュン君ったらそんな事まで喋ってたの?もう、デリカシーがないんだから。」        

 

 

「ユリカ、俺彼女と結婚するんだ。だからお前の求婚を受ける事は出来ない。ゴメンな。」

「え・・・・うそ。なんで!どして!?」

「さあ、行きましょうアキトさん。」

「うん。・・・さよなら、ユリカ。」

アキトと、つやのある黒髪を長く伸ばした女性とが腕を組んで去っていく。

「夢!これは夢よ!何か物凄いリアルだけどこれは夢ぇ〜っ!」        

 

 

「・・・・っていう夢だったの。・・・ねえアキト、何で倒れてるの?おなか痛いの?」

もちろん脱力しきったからである。

ガイと、彼に肩を貸してもらっているジュンも呆れたようにユリカを見ている。

つっぷしたアキトに代ってユリカに答えたのはカグヤの高笑いだった。

「勝負はありましたわね!そんな夢を見るという事は、  

心の中で敗北を認めたという証拠!即ち、わたくしの勝利ですわ!」

「勝手なこと言わないでよ!アキトは私の王子様なんだもん!  

カグヤさんなんかにはこれっぽっちも興味ないんだからね!」

「まぁ!言うに事欠いてなんて暴言を!」

「もう好きにしてくれ・・・・」

当然ながら、アキトの呟きは二人の耳には入らなかった。      

 

 

女同士の争いに虚脱していたガイも我に返ってジュンに食って掛かる。

「てめえジュン!全然違うじゃないか!何が悪夢だ、デビルホクシンだ!」

「それは・・・でもデビルホクシンって言うのは君が言い出したんだろう!」

「俺が言ったって証拠があるのか!」

「はっきり言ったじゃないか!」

「何年何月何日何時何分何秒!大体お前が憶測でものを言うから悪いんだろうが!」

二組の醜い言い争いを聞きながら、  

アキトはこのまま逃げ出したいという欲求に必死で耐えていた。

 

 

何回か深呼吸をして気持ちを落ちつかせた後、ユリカの名前を呼ぶ。

「アキト!?そう、やっぱりアキトはユリカの方を選んでくれるんだよね!」

「そうじゃない!それより、ジュンの事はいいのか?

あいつはお前を守ってあんなになったんだろう?」

ぽん、と思い出したようにユリカが拳で手の平を打つ。

すっかり忘れていたらしい。

「ジュンく〜ん!大丈夫だった!?」

「ユリカ!」

ユリカがジュンの方へ走ってくる。

ジュンもユリカに向かって駆け出した。

ジュンとユリカ、二人の手が触れ合う。

次の瞬間、ユリカがアキトの胸に飛び込んだ。

「ありがとう、アキト!アキトがユリカの友達を助けてくれたんだね!」

ごりごりごり。

顔面で地面に深さ30cmほどの溝を穿ちながら、ジュンがうつぶせになって急停止する。

その背後からユリカの声が聞こえてきた。

「ありがとう、ユリカのお友達を守ってくれて!

え?大丈夫だよ、あれだけ動けるんだし、怪我なんかしてないって!

じゃあジュンくん、早速お洗濯と繕いものお願いね!

洗濯物がたまってるし、テント破けちゃったでしょう?

ユリカ、お腹が空いちゃったからカグヤさんと一緒にアキトの料理ご馳走になってくるね!」

ジュンの顔面が掘った溝が、生暖かい液体で満たされていった。

無論、血ではない。

頑張れ、ジュン!負けるな、ジュン!愛する人の為、努力するその姿は美しい!

戦え、愛の戦士ジュン!努力が報われない事を悟るその日まで!

・・・・・・・・・・・・・・・・あれ?                    

 

 

 

次回予告  

皆さん、お待ちかねぇ!

ナデシコファイトの決勝大会が目前に迫りました!

今だ修行を完了できないアキト、そしてナオ達の下へも

雲霞の如きムヅラアーミー軍団が攻めて来たではありませんか!

果たして、アキト達は無事に決勝会場へ行けるのでしょうか!?

機動武闘伝Gナデシコ、

「決勝迫る!タイムリミット三日前」に

レディィィ!Go!

 

 

あとがき    

あああああっ!これ一本で十日近く時間を取られてしまったぁっ!

その割に出来は「なんだかな〜」ですし。まあ、それはそれとして。

「モナミ一号」・・・・自分で言うのもなんですが、なかなかのネーミングだと思います。

スペルは「mon ami」。フランス語で「おともだち」の意味です(笑)。

で、今回の主役は・・・誰なんだろう(苦笑)。

カグヤを出しては見たものの、いまいち活躍させられなかったからなぁ。

彼女に関してはリターンマッチを挑みたい所です。  

 

 

 

 

管理人の感想

 

 

鋼の城さんから連載第二十弾の投稿です!!

ここで出しますか、彼女を?

そして、やはり幼馴染で彼を巡って戦っている、と(笑)

不幸な条件ばかりが増えていくな、アキト(爆)

今回、珍しく理知的な説明をした、某熱血さんは見事に自爆してるし(苦笑)

 

でも、冒頭のプロローグは例のお姫様だと信じてたんだけどね〜(クスクス)

 

では、鋼の城さん!! 投稿有難うございました!!

 

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