プロローグ

 いつも遊んでいたさびれた工場施設。
そこは俺のお気に入りだった。ダチと秘密基地ゴッコをしたり、ゲキガンガーゴッコを
した遊び場。
 そこにいつのまにか現れたおじさんは俺の顔を見て何とも言えない表情を浮かべた。
俺は不思議に思っておじさんに聞いたけど答えてくれなかった。
 今、思い出すとおじさんは半分以上が機械と同化していて、口には歯車しか無かった。
あのおじさんは数日後、学者を連れた軍人達が運んでいってしまったけど……今どうし
てるかな?
 少年は教室の窓からの景色に目を向け考え事をしていた。
 青空の見えない密閉された空間を。


繰り返す刻


1.

 仲間が闘っている、ナデシコの仲間達が。
 アキトはメグミと共にシャレたレストランで食事を取っていた。
メグミは必死にアキトに話しかけているが彼の耳には届かなかった。
 今もテレビ画面の中では巨象に群がる羽虫のごとき動きで、敵巨大兵器に立ち向かう
エステバリスの姿が映っている。
 見慣れない色のエステはあの娘のものだろう。
『後は任せてください。…………料理食べてみたかったです』
ふいにあの娘の声が耳元で聞こえた。


 敵はゲキガンガーに良く似ていた…………だけど皮肉だな。
 地球や皆を守る正義の味方が何も知らない、戦闘に加わらない民間人のいる町を攻撃
している…………これでは逆だ。
 あの娘のエステが敵ゲキガンガータイプ巨大兵器(略してゲキガンタイプ)にワイヤ
ーズフィストを飛ばし取り付いた。
 うまい!うまい戦法だ、あれなら敵がジャンプしても追尾できる………

だけど駄目だ!

 俺は心の中で叫んでいた。
 彼女は普通の人間だ…………このままではクロッカスの二の舞いになる。


 俺が危惧したとおりゲキガンタイプが再びジャンプして現れた時、彼女の機体からは
コクピットが消失していた。
 敵ゲキガンタイプも損傷を受け動けなくなっていたが、彼女は………彼女は死んでし
まった……数時間前かわした言葉は少なかったけど確かに存在していたあの娘が………
「どうしたんですか?アキトさん。……急に怖い顔して」
   メグミちゃんが何か言っている、けど………俺はテレビから目を離せなかった。
 あの娘の機体はカメラアングルから外され、もう一機のゲキガンタイプを映し出して
いた…………フィールドを張り目標も無いままさまよう幽鬼そのものの動き。
 胸のパネルが開きまばゆい輝きを放つ機体、グラヴィティーブラストの斉射にしては
不自然すぎる…………まさか?
「アキトさん!………どこに行くんですか?待って、待って下さい!………どうして?
 どうしてなんですか?アキトさんはもう闘わなくてもいいでしょ!……闘うばかりが
 生き方じゃないじゃない!………私を守ってよ!私を…………ねえ、アキトさん!」
「ごめん……メグミちゃん。………でも俺が行かないと皆のが無くなる」
 闘えない人たちの今が。
 敵のフィールドが強固すぎてエステの攻撃は効果を与えられずにいた。
俺の推測………こういう時の最後の手段は大抵自爆に決まっている。
「うっ、どうして…ぐすっ、………どうして?教えてよ!」
 メグミの涙混じりの嗚咽を背中に聞きながら、自転車で駆け出すアキト。
「………俺にはアレを何とかできるかも知れない…………だから…………ごめん」
『貴方には不思議な力がある』
 エリナさんの声がよみがえる、半端モノ・モルモット……思えばひどい言われようだ
が、少なくとも俺には皆を守れる!……皆を。


「俺に…………俺にC・Cを…………」
 半壊したネルガルの研究所にアキトがたどり着いた時、エリナとイネスは予想してい
たかのように佇んでいた。
「何しに来たの?」
 エリナさんの口調にはトゲは感じられなかった……あれほど、俺を追い込むほどの勢
いは微塵も無い。
「皆を守りたいんです………それだけっす」
「そう、いいわ。………入ってきて」
 アキトはエリナの言葉に従いトランクを手にした。


「……頑張りなさい。貴方にできることを」
「はい」
「でも………ううん」
「何すか?」
 何かを言いかけ言いよどむエリナに訝しげな視線を向けるアキト。
「アキト君。もう時間は無いわ。あと少しで臨界に達する!」
「……それじゃあ、行って来ます」
 イネスの言葉にせかされ階段を上り、屋上をめざすアキト。
「良かったの?……本当の事言わないままで」
「それは、あの子次第。………私は頼まれた事をしたまで」
 イネスの問いかけに微笑みながら答えるエリナ。


 屋上を駆けるアキト。
「おい!何やってんだアイツ?」「艦長!」「はっ!」
 リョウコが信じられないものを見、ルリの注意に顔を上げアキトに気付くユリカ。


「俺にできる事、俺にできない事、本当にあるのか?俺は何かになれるのか?」
 トランクをゲキガンタイプに向け投げつけ、C.Cを展開する。
C.Cは敵のフィールドの表面に張り付き、発光し始めた。
 それと共に全身からナノマシーンパターンを浮かび上がらせ、光るアキト。
「うおぉぉぉぉぉぉー」
 俺が守る、皆を!
 ゲキガンタイプを包む光の天頂に開く、空間の裂け目。
 ナデシコクルーには敵ロボットと共に吸い込まれていく、アキトを見いている事しか
できなかった。
「アキトーーーーー」
 ユリカの叫びがこだました…………


2.

 何も考えていなかった、皆を救いたい!…………それだけを考えて。
 黄金にきらめく大都市………何だ、アレ。
次の瞬間、遠くの宇宙空間で大爆発を起こす敵ロボット。
 俺はその光景を眺めながら意識を手放した…………安堵に包まれながら。
「おい!兄ちゃん!しっかりしろ…………」
 誰かの声が聞こえたような…………


「皆を!皆を守るんだ!」
 布団をはねあげ起きた場所は見知らぬ部屋だった。
 畳の敷かれた部屋は古い日本家屋を思わせた。
「ここは……?」
「……うぅぅぅぅぅんっ、ほあ!?あっ、起きたんだ?お父さん!目を覚ましたよー
 アキトのそばでウツラウツラと船を漕いでいた少女が目を覚まし、部屋の外にいるで
あろう父親に呼びかける。
「おう!目ぇ覚めたか?突然現れて、倒れちまうから心配したぜ。…具合どうだ?」
 気の良さそうな父親が現れ、話しかけた。
「ありがとうっす。おかげさまでどこも悪くは無いようです」
「そいつは良かった」
「それで………ここはどこですか?」
「ここは月基地のネルガル社員食堂の従業員部屋だが…………」
 確かに父親が出てきた方からは人の話し声や料理の匂いが漂ってきた。
 俺は月に跳んだのか…………なぜだ、どうして月に?
「そうですか」
「まあ、何があったかは聞かねぇ。だが、これからどうする?」
「これからっすかぁ………とりあえず、ナデシコに連絡してみます」
「ナデシコ?……ああ、あのナデシコか。知り合いでもいるのか?」
「ええ、パイロットとして乗ってましたから………」
 手の甲に浮かび上がるIFSコネクターのパターンを見せながら自嘲する。
 早く連絡を取って安心させてやらないと…………ユリカの奴泣いてるだろうなぁ。
 ナデシコのクルーは俺がここにいるなんてツユ程にも思わないだろう。
「ふぅ〜〜ん。そうだろうとは思ったが、あのナデシコにねぇ〜〜で、そのパイロット
 様がどうして月に?」
 さっきは聞かない、と言っていたのに聞かれた。
「ええ、信じないと思うっすけど…………跳んだんっすよ」
「「跳んだ〜〜〜?」」
 親娘の声が重なる。
「まあ、詳しい説明はできないんですけど、う〜〜ん。簡単に言うと……テレポートし
 たというか」
 アキトの説明に余計不思議な表情を見せる二人。
 当然だろうなぁ〜〜俺でも体験していなかったら信じられないよ。
「まっ、いいか。連絡するなら食堂の外に電話あるから」
「ありがとうございます。何から何まで。このご恩は……」
「いいってことよっ!困った時はお互い様だ。今度、顔だしてくれればいいから。
 これでも味には自身があるんだぜ」
「ふぅ〜〜ん。味に自信があるならとっとと厨房に戻りな、こっちは猫の手も借りたい
 ほど忙しいんだ」
 厨房から年配の女の人の声が聞こえる。
「おっ、おう。忘れていたぜ。じゃあな!えっ〜とっ〜」
「あっ、すいません。テンカワ・アキトです」
「おう、アキ坊。内のカカァに娘の久美だ。忙しいんでまたな!」
 親父さんは奥さんに連れられて厨房に戻っていった。
奥さんの方が頭一つ分高い凸凹夫婦だが仲が良さそうだ。
  「じゃあ、アキトさん。こっち」
 久美ちゃんに連れられ食堂から通路に出て別れ、案内板に従い電話機に向かう。
 俺は交換手にナデシコへの通信を依頼し、数分待ったがつながらなかった。
「かっしぃなぁ。なんでつながんねぇんだ?」
 腕を組み考え込んでいたアキトは気付いていなかった、自分を取り囲む黒服達に。
「これから、どぅっすかな……へっ!?」
 背後を振り返るとサングラスをかけた黒服達が自分の周りにいた。
「……あんたら、誰だ?」
「我々と一緒に来てもらおう」
「何言い出すん《プシュッ》……だ………」
 アキトの後ろいた別の黒服が押し付けた無針銃によって気を失った。


3.

「…………んんんっ、くっ、ここは?」
 四方は白い壁で覆われた部屋の中央に設置された椅子にアキトは座らされていた。
「目が覚めたかね?…………ここはネルガルの病院の特別病棟の一室だ」
 どこからか声が聞こえてくる。人影は見えない。
「いきなり何すんだよ!」
「少し乱暴すぎたがすまない。それよりこちらの質問に答えてもらいたい。……君は誰かね?」
 アキトの抗議に余り耳を貸さずに一方的に質問を浴びせる。
「…………」
「もう一度聞く。君は誰だ?」
「人に物を尋ねる時は自分からって習わなかったのか?」
 呆れたような口調のアキトの声に、
「よかろう、私はネルガル・シークレット・サービスに属している。名前は………
 藤堂と呼ばれている。仕事上、本名は明かせないんでね」
 ブロスさんと同じ理由かな?
「ふん!……いいっすけどね。……俺はテンカワ・アキト。ナデシコでコック兼パイロットをしていた。ヨコスカシティに木星トカゲの巨大兵器が現れる少し前に解雇になったんすけどね…………これでいいか」
「ふぅむ。それはいつのことだね?」
「あんた知らないのか?……12月24日だよ」
 藤堂からの返事が途切れた。どうしたんだ?
「おい!どうしたんだよ!……俺の事はナデシコに連絡すればはっきりするだろ!早いとこ開放してくれよ!」
「…………ああ、すまない。キミが突拍子も無い事を言い出すんで混乱してしまった」
 どこがそんなに可笑しいのか、笑い声が聞こえてくる。
「何、笑ってんだよ!」
「冗談にしては笑えたよ。ところでキミは今がいつか知っているかね?」
「12月25日か…………1月になってるのか?」
「いいや、12月17日さ。君がこの月基地に出現したのが今から一週間前、連合の勢力下の宙域で大規模なボゾン粒子を検出した。その後、謎の爆発。そして正規のルートを使わずにいきなり現れた君という存在。…………これらの事項に君が深く関わっているとふんだ我々は秘密裏に君を監視し、ナデシコに連絡を取ろうとしたところを確保した。」
月へ来たのが二週間前?………
「…………ふむ。その顔だとかなり混乱しているな?…………君を確保した我々は徹底的に調べさせてもらった、君は《テンカワ・アキト》である事が確認された。しかし、当のテンカワ・アキトは地球のナデシコにいる…………二人のテンカワ・アキト、さて、ナデシコにいるのが本物だとすれば…………君は誰だ?綿密に一週間かけて検査をしても差異は認められなかった…………」
 アキトは藤堂の話を聞きながら、ここまでの経緯についてある程度の予測をつけていた。


『二週間前、月の軍勢力下で謎の大爆発があった』
 俺をナデシコから追い出した連合軍少将の言葉がよみがえる。
 どこかにそんな気がしていた、俺はその爆発がゲキガンタイプの自爆によるものである事を頭の中で結び付けていた…………だから月へ跳んだ………という事か?
 だったら、あの娘を救えるかも知れない…………俺の料理を食べてみたかった、と言っていたあの娘を。
「なぁ、おい!今が一週間前ならあの娘を助けられるし、連合軍の兵隊も助けられるか
 も知れないんだ!…だから、ナデシコに連絡させてくれよ、頼む!」
「誰の事を言っているのかわからんが、現状では無理だな」
 アキトの願いは藤堂には届かなかった。
「なんでだよ!………本人と確認したんだろ?……あんたは知らないかも知れないが、
 ナデシコにいるエリナさんに聞いてもらえれば、俺がボゾンジャンプしてきた事を証してくれるはずだ。そうすればあんたらの疑問も解消できる!………だから」
「………結論から言わせて貰おう。現在、地球との通信は不能だ。おそらく……敵の妨害電波によるものだろう。………ボゾンジャンプに関しては社内でも限られた者しか知りえず、私も専門ではない。仮にテンカワ君と呼ばせてもらうが、君が本人である確証を得ようとしても現状では無理だ」
 そんな………何もできないのか?……あの娘はまだ生きているのに。
「…………」
「これからの事を話し合おう」
「これから?………」
「ふむ。君がテンカワ君本人だとすれば、資料によると厨房で働いている事になっている。通信が回復するまでは我々の監視のもと食堂で働きながら、実験に付き合ってもらう」
「拒否はできないんですね?」
「できればしないでもらいたい。余計な仕事をやらされるのは嫌なんでね」
 肩をすくめる藤堂。
「……ネルガルってそういうところだったんですか…………」
「まあ、これも一つの現実さ……食堂の親父さんにはこちらから連絡する。おい!中島。
 彼を連れて行ってやれ!」
 アキトの後ろの壁が横滑りし、サングラスをかけた男が入ってくる。
「すまないが、また眠ってくれ。《プシュ》」
 口ではすまないと言いながら、その実口元には嘲笑が浮かんでいた。
「くっ、ま……た………」
 意識を失ったアキトを担ぎ上げた中島は部屋を後にした。


4.

 ネルガルS.S所属、コードネーム藤堂。年齢35歳、身長187センチ、がっしりとした体格に柔和な笑顔を貼り付けた入社10年目にして班長の地位にある。
 両親は地球におり、本名は山田一郎。本籍は日本のヨコスカ……と、ネルガルのデーターバンク上ではなっているが、彼の両親とされている人物は名前こそ残っているものの十年前から行方不明、彼がすごした地域はバッタの攻撃で消失し、彼の友人達は今はいない。
 だから、休日は日がな一日公園のベンチで昼寝にふけるのが一番の楽しみだと、会社はもとより部下の間にまで周知のことだった。
 だから、彼のもう一つの一面を知る者は少なかった…………


 今日は朝から公園のベンチに陣取った藤堂は、惰眠をむさぼっていた。
「またですか?ふぅ、あなたもこりませんねえ」
 藤堂のそばに小柄な老人が歩み寄る、口のききかたから顔なじみなんだろう。
「…………ぅぅぅっううっ、何だ。またあんたか」
「ちょいと隣にお邪魔するよ」
 藤堂の返事も聞かずにベンチに座る。
 頭を振りながら起き上がった藤堂は周囲に目を光らせる。
「……安心せぇ。人払いは完了しておるよ………で?」
 さっきまでの好々爺の表情を消し、藤堂に問いかける。
「ああ、これが奴のデーターだ」
 懐から取り出したディスクを渡す。
「……いつもながらいい手並みだな。それで本物なのか?」
「信じられない事だが本人らしい。しかし…………可能なのか?」
「……データーを検証してみなくてはわからんが……真実ならば脅威だな。さすがの閣下もここまでは予想されていないだろう」
「そうだな、それが実現できれば………過去に戻り地球軍に核をオミマイするか?」
「それはどうかな?……彼のようにただ戻るだけでは意味が無い。それに過去を改変できないからこそ今の我々がいるとも言える」
 老人は藤堂に否定的な態度をとりながらも話の内容自体には興味を持っていた。
「そうだな。ならば………歴史は決まっているのだろうか?」
「決まっていない…………そう信じたいものじゃが。何か気になる事でもあるのか?」
 藤堂は言うべきか言わずべきか、悩んでいた。
 あのテンカワという未来から跳んできたという青年の供述を思い出していたからだ。
 一週間前の爆発の原因が自軍の機動兵器の自爆によるものだ、ということ。
 アキトはテレビの報道と現場の一部しか記憶していなかった為、作戦の成否は判断しにくいが本国の熱血バカどもの好きそうな最後の手段からして、たぶん失敗したのだろう。
 ならば、自分の報告次第では作戦は成功をおさめるのか?……結局意味が無いかもしれない…………彼はここにいるのだから。
 それでも職務に律儀な彼は一部始終を老人に語った。
「……………ううぅむっ。信じられない話じゃ、しかし……なれば…………」
 それから数分間老人は思考していた。


 公園を後にした藤堂は自室へと歩きながら最終任務について考えた。
 十年すごした月は本国よりも快適で、任務を忘れ羽を伸ばせた。
 故郷では味わえなかった平穏な日々。
もちろんS.Sに入っていれば危険な事は数限りなくこなしてきたが、木連式柔の修練に比べれば生ぬるかった。
 優人部隊の攻勢が早まるのは目に見えている。
その前に我々『草』は撤退することになった、必要な情報は全て本国に送った。
 熱血バカどもの作戦が成功すれば、月基地はナデシコ級4番艦と共に消滅するだろう…………
奴らの信じる絶対の正義など存在しない…………あるのは醜い利権争い。
 閣下の掲げる理想は確かに一方ではすばらしいに違いないが、10年地球側にいると色々見えてくるものもあるのだ。
 我々は戦争の仕方を間違えた…………人員不足を補う為、無人兵器を前面に立て火星に攻め入った、そして我々の事を全く知らない人々を殲滅した。
 閣下に踊らされ真実の目を閉ざされた同胞は戦果に興奮し、勝利に酔いしれた………
地球軍に追い立てられた我々『被害者』『加害者』になったのも知らずに。
 ゲキガンガーびいきの熱血バカどもは『悪の地球軍』とよく言うが、今では我々が悪の権化なのだ…………戦争に正義など無いのだ。


 社員食堂は何時にも増して盛況だった。
 数日前に入ったコック見習いが取り入れた料理が好評だった。


「へい!お待ち。火星丼にナデシコ風バイクラホーオイ」
 アキトは充実していた、好きな料理をしている間は忘れていられる。
今現在も仲間達は地球で戦っている…………数日後に訪れる悲劇を知らずに。
 現状ではこれが精一杯なのが痛いほどわかる。
 食堂を手伝い、不安にくれながら寝る。それだけだ。


「おう!セイが出るなアキト」
「あっ?藤堂さん!連絡できましたか?」
「いや…………すまない。まだ通信不能だ、蜥蜴のジャミングが強力でな研究班の奴らも休み返上で回復に努めている。…………悪いな、期待させちまったか?」
「……いいえ、半ば諦めてますから。……それより注文は?」
「いつもの頼むは」
「分かりました!店長Bランチ一つ!」
 藤堂の話をアキトは信じたようだが、全部嘘だった。
 確かに自軍の戦艦が接近中であるのは確かだが、通信妨害はまだなされていない。
 この数日の付き合いでこの青年を気に入りかけていた藤堂だが、任務上仕方が無かった。ナデシコに回線を開き、作戦を完全に阻まれるわけにはいかない。
 それに……………………最後の任務。
「なあ、アキト。明日、本社の実験に付き合ってくれないか?」
「……実験ですか」
「そうだ。もしかしたら明日あたり通信が回復するかもしれん。研究班が改良した通信機を明日試すそうだ……その実験で君にナデシコに連絡を取ってもらいたい」
「本当っすか?」
「ああ」
「ぜひ、お願いします!」
「アキト!Bランチできたぞ!」
 厨房から親父さんの声が聞こえる…………これが最後になるかもな。
「…………はい、お待ち。で、いつですか?」
「明日、俺が迎えに行くからここで待っていろ」
「分かりました。店長にも言ってきます」
 藤堂から離れるアキトはうれしそうだった。
(悪いなアキト。お前は我々にとって脅威となりうる危険因子なんだ。)
   懐の銃がいつもより重く感じられた。


5.

 その日の朝。といっても月には太陽は昇らないのであくまで地球時間の朝7時ごろ、藤堂の運転する車に乗ってアキトは宇宙港近くのネルガル実験施設に向かっていた。
「割と遠いんですね」
「ああ」
 藤堂は時計を見つめた、そろそろだろうか?…………
 玄関口にはS.Sらしき男達がいたが、藤堂が身分証を提示するとすんなり通してく
れた。


ズッズン!ドドドドドドドッ!
 公園から見える景色は紅蓮の炎に彩られ赤く照らされていた。
遠くサイレンが響く公園に老人はいた……数日前、藤堂と話していた。
「ふぉ、ふぉ、ふぉっ。鮮やかなもんじゃって。さて、草薙の方はどうかの」
「暦年様、出立の時刻です」
 老人のそばに編み笠にマントを羽織った場違いな姿をした男が歩み寄り、言付ける。
「もう時間か。されば撤収せよ」
「「「「「「「「はっ!」」」」」」」」
 編み笠以外にも様々な姿をした男達がかしこまり、暦年の命を受け散ってゆく。
(草薙。おぬしの運命は決まっておったのかのう…………あれがおぬしの結末ならば、  不憫なことじゃて。誰が決めたのだ?ほんにのう。)
 


「どこまで行くんすか?」
 いくつの階層を下ったのか覚え切れないほど歩いた。
「うん?……もうすぐだ」
 不思議と誰にも会わなかった。これほどの施設なら100人はいてもおかしくはないのに。それと気のせいか通ってきた通路にこびり付いた黒い物はなんだろう?何かを引きずった痕が通路に面した扉の向こうに消えている。
「ここだな」
 藤堂は端末に暗証番号を打ち込むと部屋に入っていった。
 照明のつけられた室内は蒼く輝いている。
「えっ!?これは…………C.C!」
「そう、ネルガルではチューリップクリスタルと呼んでいるものだ」
 藤堂は室内の四方にライターのようなものを数個取り付けた後、近くにあったトランクにC.Cを詰め込むと部屋を出た。
「なにしてたんすか?」
 さすがにアキトでも藤堂の行動はおかしかった。
「君には関係ない事だ」
 しかし、藤堂ははぐらかし歩き出した。


《ダッダダダダダダダダダダダダッ、チュインッ、チュインッ、チャラチャラ》
 玄関口まで来たアキト達は銃撃された。
『今のは警告だ!おとなしく投降しろ!』
 拡声器からの警告に立ち止まり、手を頭の後ろに持っていく。
「ちっ!ばれたか………案外早かったな、中島」
「班長、どうしてですか。あなたはネルガルの為に10年やってきたのに裏切るなんて」
 包囲した一団の中から歩み出た中島が問いかけた。
「裏切る?ふんっ。最初から俺はお前達地球の敵なのさ」
「?!」
 周囲を囲む奴らの顔が変わった。
 中島は驚愕の余り蒼白となり、他は呆然としている。
「お前は知っているようだな?俺が……《カチッ》」
ドッドドンッ地面が割れ、炎が吹き上がる。
 中島以外のS.Sは全身を燃やしながら地面をのた打ち回っていた。
その動きも次第に緩慢になっていき止まった。
 吹き飛ばされた時にどこか打ったのか倒れたままの中島に歩み寄った藤堂は銃を突きつけた。
「形勢逆転だな。お前は有能だ、しかし運が無かったな」
 いきなりの展開についていけなかったアキトだが、中島に突きつけられた銃を見て我を取り戻した。
「やめろーーーーー!」
 藤堂の後ろからタックルをかましたアキトは、もみ合いながら地面を転がった。
「くッ!?」
 予想外の襲撃にトランクが手を離れ、地面に落ちたショックで開きC.Cがばら撒かれた。
《カチャッ》さすがは班長まで勤めた男だけにアキトは組み敷かれ、ヒタイに銃口が当
てられた。
「アキト。お前には驚かされたよ、そして嫌いじゃなかった。お前の真摯な瞳は俺に昔を思い出させた………だから、余計に帰りたくなったよ故郷に。その為にはお前が邪魔なのさ、死んでくれアキト!」
 殺される!と思った時、とっさに握っていたC.Cが輝き出した。
周囲に散らばるC.Cに連鎖的に光りだす。
 ふと視線をそらした場所に中島が倒れているのを見たとき、藤堂とアキトは光に包まれ消えた。


 中島は自分の目の前の光景に唖然としていた。
 もみ合い組み敷かれた青年。自分を助ける為とはいえ無謀すぎた結末だ。
 あの青年の次が俺か。順番が先に伸びただけだ。
 そう思った時、散らばった蒼い石が光りだして二人を包むと消えた。
 上層部から話には聞いていたボゾンジャンプの実演。聞いたときは半信半疑だったが。
「!?」
 数秒もしない内に自分のそばに誰かがいる気配を感じ、視線を向けるとあの青年が倒れていた。藤堂の姿は無い。
 気を失っているようだが怪我はしていないが、自分は重症だな。
 中島は本部に連絡を入れた後、どう報告するか考え始めた………今見たことについて。


6.

「うううっう、ん?」
 アキトが目を覚ましたのは病院の一室のようだった。
 腕に点滴の管が付けられていた。俺はどれくらい眠っていたのか?
 壁にかかった時計は5時をさしていたが、今が朝なのか夕方なのか判別できなかった。
《シュンッ》室内に誰かが入ってきた。車椅子に腰掛けた中島だった。
「目が覚めたようだな。心配いらない、君は無傷だ。俺はこのとおりだが…………」
「…………」
「まずは礼を言わせて貰う。ありがとう、君のおかげで俺は命を救われた。手荒に扱ってすまなかった」
 中島の両足と左手はギプスで固定されていて頭の包帯も痛々しい。
「………いえ、それはいいんです。それより、藤堂さんは?」
「見つからなかったよ。ジャンプについて俺は詳しく知らないが、成功者は君が初めてらしい。俺も目の前で見ていてもいまだに信じられないくらいだ」
  「でしょうね」
 本当に夢なら良かった。絶体絶命のピンチだったとはいえ他人を巻き込んでジャンプをしてしまった。
 何が境界線になっているのだろう?地球のネルガルの生体実験は失敗した。
 だが、俺は生身でジャンプできた…………俺はどうして?
 アキトは手のひらで顔を覆いながら泣いた。
 数日とはいえ顔を知っている人が死んだ…………たぶん助からないだろう、最後は自分を殺そうとした相手だったが、アキトは忘れられなかった。
 故郷に帰りたいと言っていた藤堂。本当の名前はなんだったのだろう。


「中島さん」
「なんだいテンカワ君」
「今日は何日ですか?」
「今日は12月22日だな」
「22日?……そんなに経っているんですか?くそっ!もう時間が無いじゃないか」
 俺が解雇されるのはもうすぐだ…………そしてあの娘が…………
「あの、地球のナデシコと連絡はまだ取れないんですか?」
 アキトが中島に視線を向けるとなぜか呆然としていた。
「えっ!?まだ通信してなかったのか?…………そうか藤堂さんだな。君は騙されていたのさ。地球の本社とは一日最低一回は連絡を取り合っている。秘密作戦行動中とはいえナデシコは我が社の船だ。簡単に通信できると思う。少し、待っていてくれ」
 そう言い残すと中島は病室を辞した。


 数時間後、通信室に運ばれたアキトはナデシコにつないでもらった。
 これで彼女は救われる…………
 通信状況が悪いのか時々ノイズが走る画面にエリナが映った。
『何か用なの。!?ってアキト君じゃない、これって……から………どうして?』
「エリナさん!俺、ジャンプしたんです。二週間前の月に」
『えっ!?………れ本当?………う……て」
「詳しく話していられないんですが、12月24日にヨコスカシティーで木星トカゲのゲキガンタイプに襲われます。その時補充できた女の子にゲキガンタイプに近づかないように言って欲しいんです。一緒にジャンプしたら死にます。お願いします。それからそっちの俺にジャンプ実験に参加するよう言ってください。そうしないと…」
 唐突にエリナの映像が消え、ブラックアウトする。
「おい!どうしたんだよ、もう一度つないでくれ!」
 アキトの懇願の声に答えたわけではないが、職員が忙しく立ち回るが一向に回復しなかった。
「すまない、今報告を受けたんだがバッタの攻撃でアンテナ施設が破壊されたらしい」
「くっ、伝わったのか?あれで……あの娘は助かるのか?」
 今のアキトは無力だった、二週間前に戻った自分。何か意味があるはずだ、同じ時を繰り返す意味が…………そうでなければ報われない。


「どうしたのエリナ?」
「あっ、イネス。実は…………」
 エリナは月からの通信内容について語った。
 オモイカネに頼んで再生してもらい、二人で一緒に見直した。
「どう?本物かしら」
「…………」
 映像は不鮮明で全てを聞き取る事はできなかった。
 これから向かうヨコスカに木星トカゲの兵器の襲撃があること、アキトが二週間前の月にジャンプしたこと、補充がどうだかゲキガンガーがどうしたとかの部分はよく判らなかったが、こっちのアキトに実験参加をうながせ、と言っていたみたいだ。
「可能性としてはありうるわね。火星のクロッカスの件もあることだし」
「そう、そうよね。アキト君には実験に参加してもらいたかったから、本人の要望でもあるし思いっきり誘うわ!」
「でも、この事は伏せた方がいいわね」
「どうして?これを見せれば彼も素直になるでしょ」
「それはどうかしら?合成だと疑われるのが落ちよ。今のアキト君は聞かないと思う」
「へっ、へ〜〜イネスったらあの子の事詳しいのね。気に入ったかしら?」
「ええ。アキト君にはどこかで会ったような気がするの……ずっと前、おかしいでしょうけど子供の頃とかにね。まあ、それはないでしょうけど。それより、さっき動揺していたでしょ?あなたもアキト君狙いなの?」
「…………」  イネスの言葉に顔を紅く染めすぐに言い返せないエリナ。
「ばっ、ばっ、バカなこと言わないで!あの子は年下よ。圏外、圏外」
「はいはいわかったわよ。艦長には秘密にしてあげるわ」
「だから違うって言ってるでしょ〜〜」
 二人は会話はしばらく続いた後、別れた。
 ナデシコ艦内はクリスマスを目前に迎え、ウキウキ気分に包まれている。
 ヨコスカまでもう少しだ。


エピローグ

 長い夢を見ていたような気がした。
 アキトに銃を突きつけ別れを告げた時、光に包まれ気を失った。
 気が付いた時、そばにはアキトの姿は無く体は動かせなかった……まるで感覚が無い………自分の体で無いかのような感覚。
 目に映ったのはどこかの廃屋、いや工場跡か…………どこか懐かしい匂いがする。
これに似たところを知っている、少年時代をすごしたあの秘密基地だ。
 懐かしい、あの頃はただ前を見ていれば良かった。
 いつか正義の為に悪の地球軍を倒す為に……バカな話だ。
 正義など人それぞれ無数にある。


 本当にここはどこだ?どれくらい時間が過ぎた?
 草薙に教えてくれる者はすぐに現れた、10歳ぐらいの子供達だ。
聞こうとして愕然とした、口がきけなかった。いくら口を動かそうとしても動かない。
ただ、見ていることしかできなかった。
 子供の一人が自分に近づいてきた、やんちゃそうな顔に好奇心を詰め込んだ元気そう
な子だった。
 その子の顔は見覚えがあった…………あるはずだ、自分の子供の頃とそっくりだった。
『ただ戻るだけでは意味が無い』
   ああ、そうだな意味が無いさ。目の前の自分。ここはあの場所だ。
 おじさんが浮かべていた表情の意味が今わかったよ、いや俺自身の今の心境というべきか。俺は故郷に帰ってきた、懐かしいあの頃に。
 俺は目の前の自分に対して言いたかった、俺のたどる運命を………変えてやりたかった、しかし、おじさんが話さなかったように声は出なかった。
 機械と同化した自分。目の前に佇む子供の自分。
 今なら分かるよアキト、お前の気持ちが。過去に還れても変えられない未来。
 一体誰が決めた未来なんだ!
 なあ、お前!間違っても軍人になるなよ、月に行くな!じゃなけれゃこんな体になっちまうぞ。誰か俺の声を聞いてくれ!なあ頼む、こいつを、俺を助けてくれ!


 数日後、軍によって回収され分析されたソレはボゾンジャンプの失敗によって機械と細胞レベルで融合した人間であることがわかった。
 回収した時点で死亡が確認された男は、絶望に彩られた苦悶の表情を浮かべていた。

終劇



あとがき

 一応、構想もして書いてはみたものの自分には熱血アキトは書けないなあと思いました。
でも、難しかったです。ビデオを見直したけどエリナとイネスのセリフは意味深に聞こえ、
取り入れてみましたがうまく繋がったのかなコレ。
 期日も迫り何度も停滞して何とか終わらせましたが、自分的には今ひとつの気がしますね。
 ヒネタ性格のキャラが好きです。世を恨んで歪んだ考えを持つ。
だから、テレビ版のアキトって書きにくいです。劇場版くらいの昏さがピカイチ。

 


管理人の感想

ハゲ大臣さんからの投稿です。

アキトが主役ではなく、オリキャラを主役にしたストーリーでしたね。

冒頭のプロローグが、こういったエピローグに繋がるとは本当に驚きました。

口の中の歯車・・・こういう前振りだったんですねぇ

いやいや、面白かったです。

 


代理人の感想

SF的な要素の濃い一編でしたね。
綺麗にまとまっているので付け足すこともないのですが、
妙に印象に残ったのは歴年老人でしたね。
特にそんな描写はありませんし、彼自身裏の人間でしょうからそんな感慨が湧くかどうかわからないのですが
藤堂こと草薙のことを語るその表情が何か悲しげなものに思えました。
ああ、やっぱり「彼」は彼自身であったのだなと。
あの老人は「彼」の事を知っていたんだなと。
しかしやはり、変えられないと知っていても変えたい過去というのはありますよね、実際のところ。

 


別人28号さんの感想

とりあえず一言

アキトなんてどーでもいい?

いや、なんて言うか このSSにおけるアキトの占めるウェイトって小さい気がして



藤堂というキャラと言うか立場に関しては
・・・有り得ない話ではないんですよね
優人部隊の登場と木連の生体ボソンジャンプの成功の間が開いていればの話ですが

私はこれを読んで、なにかしらの連絡手段があるならば(クリムゾンと)
実験で地球に送ろうとして、成功したらそのまま地球でスパイさせるってのはアリだと思いました
こういうTVでは見えない部分が見れるのって読んでて楽しいです



ただ、藤堂の最後にジョジョのアンジェロを思い出してしまったのはここだけの話(笑

 


ゴールドアームさんの感想

 なかなかでした。こういうIFをうまく絡められるかどうかが、二次創作のキモですからねー。多少強引ではありましたが、オチも決まっていましたし。
 これからも頑張ってください。

 


龍志さんの感想


えーと、とりあえず………を減らしましょう。読みにくくてしゃーないです。
内容の方はといいますと。
オリキャラが出過ぎで展開が分りません。
というか、誰が誰なのか確認しながらなので読む気力が正直そがれます。
後、オリキャラを何の為に出したかが良くわかりませんでした。

座談会でアームさん達が言っていましたが、死にキャラを出すのはタブーです。
無駄にキャラを出すよりは今いるキャラでどうにかする方法を考えた方がいいと思いますよ。

まぁ、裏の世界。みたいな雰囲気は嫌いではないのでそこらへんは変えずに頑張って欲しいです。

では。


プロフェッサー圧縮inカーネギー・ホール(嘘)の日曜SS解説・特別版

はいどーも、プロフェッサー圧縮でございます(・・)
今回はAction1000万ヒット記念企画と言うことで、解説役にゲストをお招きしておりマス。
圧縮教授「うむ」
ハイ、では作品の方を見てみましょう( ・・)/

「なるほど、木蓮も昔から敵情視察くらいはしていた、と言う訳じゃな」
そーですねー。
「しかし、往年のホラー映画を彷彿とさせるのう」
『ザ・フライ』ですね。一番古いものは確か『恐怖のハエ人間』と言う、ほとんどショッカーな邦題でした。
「ボソンジャンプは一旦分解して再構築する転送方式じゃからのう。まあ、実際に実現する時は何重にもセイフティが掛かるんじゃろうが」
それであっても、事故の確率を零にすることは出来ません。
「まあ、車然り飛行機然りじゃ」
要はリスクとメリットとのトレードオフ、ですね。
「うむ」

はい、では次の方どうぞー( ・・)/

 


日和見さんの感想

 色変更や文字サイズの拡大は、気をつけないと読みにくさを増すだけですのでご注意を。

 冒頭部が思わせぶりだと思ったら、ラストシーンで納得。でも、これはアキトが主人公なのでしょうか? 藤堂に全部もっていかれてるような気がします。
 あと、アキトの態度が変わったきっかけについては、序盤であっさり完了しているような気もしますし、これはアキトの物語ではなく藤堂の物語だと思います。

 


皐月さんの感想

主役に据えるキャラがB2Wというイベントの中では違ってる様な気がします。
それと、オリキャラ(老人)を出す事自体は良いのですが、都合が良すぎるオリキャラに思えました。
ましてや、『これっきりの短編』という制約がある以上、次があるようなキャラはいささか場違いに思えます。
B2Wという短編でオリキャラを出すのならば、B2Wの中でそのキャラを完結させるべきですので。
つまりなにが言いたいかと言うと、少しばかり反則じみていました、というワケです。