FLAT
OUT
(47)
温かな彼らの気持ちに、明人は笑みを隠せないままグリッドに戻った。それでもコースに出れば、いつの間にか自分の視線が鋭くなっていくのを感じるのである。
焼けた鉄の臭い。目に染みる排気はまだなかったが、タイヤゴムやオイルの臭いも明人の鼻をついた。自分のマシンの前に立てば、見慣れた漆黒のボディはそこにはない。純白が青い空と木々、それに大勢の観客を映して、輝いているのである。ちくりと鋭いその光に、明人は目を細めた。
スタートまで、20分だった。
「準備はいいわよ。気温、路面温度とも想定したとおり。唯一懸念が残るとしたら、貴方が言ってた機械トラブルかしらね……」
磐石でないのが不安なのか、エリナの表情はいつもよりも少し硬い。
「大丈夫、僕たちはこれまでにやれることを全部やった。それならあとは運任せだよ。もし何か起きたら、そのときはまた、やれることを全部やればいいんだ」
明人が返せば、エリナも「そうね」と笑う。だが、それに笑みを返す明人も、もう目は笑っていなかった。
フロント・ローを分けた北斗とも、この時間に会話をすることは稀だ。さしもの彼女もここまでくると緊張するのか、闘争心も露わなその表情は僅かに険しさを増す。チームのスタッフですら、うかつに声をかけられないといった雰囲気なのだ。
その彼女が自分を振り返ったのだから、明人は驚いた。視線を逸らすこともできないままそのとび色の瞳を見つめていると、彼女は何を思ったかつかつかと明人のところまで歩いてきたのである。
目の前まで着た彼女はそこに仁王立ちすると、腕を組んで明人を見た。少しだけ背の高い明人から見ると、どうしても睨みあげられているように見える。それでも明人は、彼女の表情にそれまでの緊張すら忘れてしまっていた。
「いよいよだな」
透き通った強い声で、北斗が言う。明人が息を呑むだけで何も答えられないでいると、彼女はふっと笑った。そしてもう一度、表情を引き締める。
「明人」
今度は明人も、その美しい声に惑わされなかった。
「ああ、いよいよだ、北斗」
その名を口にすると、彼女は満足したように笑い、腕を解いた。
いつもの彼女だ。明人は思った。
いや、いつもどころか、これまでで最も格好良いように思えた。男が女性に対して格好良いとは、明人の生まれ育った国の風習からすれば、無礼であろう。しかし明人ももう、それ以外に表しようがなかった。男だろうが女だろうが、格好良いものは格好良い。そして彼女は、正にその通りの笑みを浮かべていたのだ。
「恨みっこなし、か?」
北斗は笑みを崩さぬまま、そう言う。
正々堂々と戦う以上、何があっても互いを恨みはすまい。彼女の言う正々堂々が、明人にははっきりと手に取るように分かった。だから、頷くことができる。
「この1戦もまた、最初で最後の戦いだ。そうだろ」
明人が付け加えれば、北斗は笑う。明人らしい、ということだろう。それが分かっているから、明人も笑みを返した。
時間は、あっという間に過ぎた。明人は10分前にマシンに乗り込み、ベルトの締め具合の調整も終えている。1分前、エンジンに火が入った。ほとんど同時に二十台全てのマシンもエンジンを始動し、グリッドが緊張に包まれる。
最後の暖機に、究極と称されたエンジンの嘶きがグリッドのあちこちから響いていた。猛獣が敵を威嚇するかのようなそれは、グランドスタンドに詰め掛けた数万人の観客を黙らせた。
30秒前、スタッフがマシンの脇を離れた。明人はトラクション・コントロールを一旦カットし、フォーメーション・ラップに備える。
そして午後二時、レッドランプはグリーンに変わった。
まずは明人のマシンからエンジンが雄叫びをあげ、後輪から真っ白い煙を上げながら加速する。同じように北斗もすぐそれに追従した。後続車も続々と発進し、自分のグリッド前に長いタイヤの跡を刻みつけるのである。
『落ち着いてね、明人君。スタート時のマークすべき相手は北斗と赤月君、それに三番手のナオよ。ハリは最後尾スタートだから気にしなくていいわ』
最終決戦は刻一刻と迫っていた。フォーメーション・ラップの一周は長く感じる時もあれば、短く感じる時もある。マシンに不安があると前者で、そうでなければ後者である。そして明人は今、気付いた時にはすでに『ヴァリアンテ・バッサ』に戻ってきていた。
ヘルメットを被っているので分からないが、涼しい秋風がそよいでいるように思えた。コース上には木漏れ日が落ち、遠く『タンブレロ』は光の筋の向こうである。透き通った空気がそこにはあった。
ポール・ポジションのグリッドにマシンを停め、全車がグリッドに着くのを待つ。もう周りの何も、明人の耳には届いていなかった。
じっと睨んでいたランプに、ついに一つ目の赤が灯った。ハンドル上のマルチ・ディスプレイに『LC』の文字が出ていることを確認する。ラウンチ・コントロールは正常に作動している。
二つ目が灯り、明人は左足でブレーキを踏みしめたまま、右足でアクセルを踏み込んだ。途端に背後のエンジンが雄叫びをあげ、同じように最後のスタート準備を終えた二十台の咆哮に、サーキットが包まれた。
だが、そのときである。三つ目が点灯すると思っていたスタート用レッドランプが突如として5つ全て点き、その上にあるコース状況を示すランプも赤く灯ったのである。思わず明人は、全身をびくりと震わせてしまった。スタート中断の合図だった。
『明人君、後方でスタックよ』
すぐさまエリナの無線が入った。誰か知らないが、後方グリッドにいるマシンがスタート不能になったのだろう。明人は慌ててラウンチ・コントロールのスイッチを切った。誰だろうかと考える間もなく、再びエリナからの無線である。今度は少し早口だった。
『明人君、エクストラ・フォーメーションラップが5秒後にスタートするわ。LCを切って、信号をよく見て』
スタートが中断された場合の追加フォーメーション・ラップは、5秒後に再スタートする。規則に定められた手順だ。そのラップの間にスタックしたマシンをどけ、再びレースがスタートされるのである。
明人は少し不安になった。レーシングスピードで走れないフォーメーション・ラップは、マシンにとってはきつい。走行風が少なく、エンジンの冷却が足りなくなる場合があるからだ。あまり幸先の良くないスタートだと思った。
しかしそれを考えているうちに、灯っていた赤ランプが黄色の点滅に変わる。明人は不安を振り払って、二度目のフォーメーション・ラップに向けてアクセルを踏み込んだ。
と、明人をさらなる不安が襲ったのである。
エンジンの反応は正常だったが、加速にむらがあるような気がした。
「エリナ、やっぱり何か問題があるのかも知れない。今、加速が少しおかしかった」
『こっちでもモニターしたわ。電気系だったらグリッドについてからリセットもできるけど。スペアカーに乗り換える?』
すぐに返ってきた返事に、明人は考え込んだ。予選が終了してからスペアカーに乗り換えると、全てピットスタートになる。それは最悪の場合、トップ争いに加わる権利すらも失いかねない選択なのだ。
『……スピードが足りないから冷却が効かないわ。回転を抑えて。タイヤの温度も下がるでしょうから、スタート後は注意して』
エリナの声はいつもどおり冷静である。まずはこのままスタートすることを前提に、逐一指示をくれた。
明人は後ろを走る北斗のマシンを見た。彼女もまた状況は変わらないようで、マシンを左右に振ってタイヤの温度を下げないようにしていた。
不安はあるのに、短いフォーメーションラップだった。あっという間に『リヴァッツァ』へと達し、明人は胸の奥がよじれそうになるのを堪えながら、何とか答えを出した。
「変えない。このままいくよ、エリナ」
『わかったわ』
エリナの返事は、やはり冷静だった。
そして戻ったグリッド。停止してすぐ、明人はハンドル上のボタンを操作して、エンジンに関わらない電気系だけを一旦切った。そしてまたスイッチを入れれば、少なくともギヤやトランスミッションの制御プログラムについては、リセットされる。電気系にあまり強くない明人にとっては不思議なことだが、これでプログラム上の引っ掛かりが解消したりするのである。
この操作で直って欲しい。明人は祈るような気持ちで、そう思った。しかし不安は拭えず、さらにそれは嫌な胸騒ぎへと発展したのである。この小さな不具合が、もしかしたら十二年前にもあったように、不吉なグランプリの前兆なのではないかと思ってしまったのだった。
『明人君、今のところ他には何も問題は起きていないわ。落ち着いてね』
胸の内を見透かしたかのようなエリナの言葉に、思わず笑みを浮かべる。
自分が彼女に言った言葉である。何かが起きたら、そのときにはまたやれることをやればいいのだ、と。
不安を挙げたらきりがないのは、いつものことじゃないか。明人は無理にでもそう思おうとした。
何もかもが極限のこの世界で、完璧なものなど何一つない。十二年前から、変わっていないのだ。それがFAであることを、父も知っていた。それでも彼は、アクセルを踏んだ。
ふぅ、と明人は小さく息を吐き、スタ−ト・シグナルを見上げた。
(ここまで来たんだ。スタート以外に、何もすることなんてないじゃないか)
そう思うと、少し気が楽になった。
再び、一つ目のレッドランプが灯った。グリッドの上に熱い陽炎が吹き立ち、それとともにサーキットを覆う咆哮が、最高潮に達する。
三つ目、四つ目とランプが灯っていき、今度こそレースがスタートすることが分った。
明人の身体の中にアドレナリンが充満していった。今ならおそらく、殴られたって気付かないだろう。それほどに明人はシグナルと自分の手足にのみ、集中していた。
そして五つ目である。炎のように赤く灯る、五つのレッドランプ。十二年前は、自分達の父親がそれを見ていた。純白のネルガルと、深紅のカヴァーリ。十二年前のフロント・ロー。それが今、時を経て再現されている。駆るドライバーもまた、明人と北斗。
赤いダイオード・ランプの中に、父の顔を見たような気がした。
――そして、それは消えた。
ブレーキ・ペダルのバネよりも早く、左足を戻した。ラウンチ・コントロールが作動し、1200馬力が路面に叩きつけられる。その瞬間だった。
ガツンという衝撃を、明人は感じた。それは頑強な金属の棒がへし折れたかのような薄気味の悪い感覚で、明人は緊張のし過ぎで自分の身体の骨が折れたのかとすら思った。
一瞬のパニックから即座に五感を取り戻した明人は、しかし愕然とした。
スタートに失敗したのならまだいい。一瞬だけマシンは加速して、時速30キロほどで進み始めた。しかし、そこまでだったのだ。明人のNF211は、アクセルを踏んでもエンジンが吼えるだけで、一向に加速しなかった。
後続のマシンが次々と明人を避け、追い越して『タンブレロ』に向かう。明人は悔しさよりもまず、ミラーを見た。
明人はポール・ポジション、つまり先頭にいた。後ろには二十台のマシン。最後尾までは200メートル近くある。スタートの衝撃で少しだけ加速したが、それは一番後ろにいたマシン――たとえばハリにとっては、それだけ加速区間を与えてしまったということである。
ハンドルを切ってコース外に避けることもできず、明人はただ後続車が自分に追突しないことだけを祈った。リタイヤは仕方がないとしても、他車を巻き込みたくはない。しかしその望みは、砕かれた。
次の瞬間、明人は背後に強烈な衝撃を感じた。
サーキット全体が総毛だった。観客は弾かれたように立ち上がり、エリナは両手で口元を覆った。隣のカヴァーリのガレージからは、息を呑む声と悲鳴すらも聞こえたのである。
無数の破片がコースから空中に向かって飛び散った。しかし彼らが声のない悲鳴とともに凝視していたのは、それだけではなかった。皆が瞬きも出来ずに目を見張る中、赤いマシンが、コースから数メートルも跳ね上がったのである。
衝撃が明人を襲い、次いで破片がヘルメットや腕に当たった。そして明人は、どこかのマシンの黒い腹が、まるで自分を飛び越えるように空中に向かって飛んで行ったのを見た。それがハリのマシンだと分かったのは、空中でゆっくりとひっくり返ったマシンのボディが赤一色であることを認めた時だった。
ハリは、本来ならグリッドの上位にいられるだけのドライバーである。最後尾スタートとなって、スタートと同時に後方の遅いマシンを一気に追い抜かそうと、ラインを探したに違いない。その中で、突然目の前に動けない明人のマシンが現れたのだ。いくらFAドライバーでも、時速200キロで周りの車に視界を遮られている中、いきなり現れた障害物を避けることなどできなかったろう。
何かが爆発でもしたかのように破片が飛び散り、その中を、明人に追突したハリのマシンは、撥ね上げられた。マシンは完全に宙を飛び、横にいたマシンをその倍ほどもの高さで軽々と飛び越えた。
そして風に翻弄されるかのように空中を舞ったそれは、凍りついたままの観客たちの目の前で、逆様になってコース脇の草地に叩きつけられたのだ。
破片と一緒に、抉られた土や草の塊も飛び散った。もっともそれで衝撃が緩和されたのか、ハリの赤いマシンは上手いこともう半回転して、それでも壁にぶつかって跳ね返されはしたけれど、何とか頭を上にしてコース上に停まったのである。
明人のマシンも後部が大破していた。衝突でコースの脇に撥ね飛ばされ、壁にぶつかって停まった。それでも明人は、自分のことも忘れて、慌ててベルトを外す。目はハリに釘付けのままだった。無線のコードも引きちぎるようにして外し、彼の元へと走った。
赤いカヴァーリC.7は思ったより破壊されてはいなかった。赤いカウルは壊れて無くなっていたが、頑丈なコクピットはなんともなさそうである。速度がそれほど出ていなかったことと、それに柔らかい土の上に落ちたことで、十二年間のうちに進歩したモノコックは、どうやら性能通りにハリの身体を護ったようだった。
「ハリ!」
コクピットに座ったまま動かない彼のヘルメットの前に身を乗り出し、明人は叫んだ。そこには、目を丸くしたままのハリがいた。
「ハリ! 大丈夫か!」
もう一度大声で怒鳴ると、ハリの身体がびくっと震えた。そしてやっと、目の前の明人に気付いたらしい。あどけなさの残る青い瞳をぱちくりとさせて、驚いたように明人を見上げた。
「あ……て、天河さん」
「ハリ、落ち着いて。大丈夫かい」
意識がしっかりしていることにほっとしつつも、彼が動転していることで逆に明人は冷静になった。頭を振って周りを確認しようとする彼を制しながら、自分の身体も確かめる。明人自身は、衝突の衝撃もそれほどではなかったし、ひっくり返りもしなかったので、身体のどこかがおかしいといった感覚はない。
そのうちにマーシャルが駆け寄ってきたが、事故を起こしたドライバーに触れる権利のない彼らは、やきもきしながらレスキュー隊の到着を待っているようだった。
明人は改めてハリのマシンを見た。たぶん、明人の右後輪に乗り上げたのだろう。フロントウィングはもちろん根元から千切れてなくなっていたが、同時に左前のサスペンションが折れていた。しかしそれ以外は、それほど壊れていない。ドライバーの頭部を護る頑丈なロール・フープも、天辺についたカメラが吹き飛んだだけでそれ自体は凹んでもいなかった。大したものだと、今更ながらに思ったのである。
「ハリ、痛いところはない?」
「大丈夫……だと、思います」
そう言いながら彼は、ベルトを外し始める。
マシンから降り立ったハリは、とくにふらつくでもなく、大破した自分のマシンを見下ろしていた。彼の小柄な体格からは、ヘルメットは一層大きく見えた。
二人が立ち上がったのを見て安心したのか、マーシャルは早くもマシンの片付けに入っていた。大きな破片を手で広い、小さな破片や土は箒で掃きだし始めた。それにつられて明人も足元にあった破片を拾い集める。自分のレースが終わってしまった、チャンピオンが夢物語となったという実感は、あまりなかった。二人がこうして立っていられたのなら良かったと、そう思ったのだ。
「天河さんは、スタートできなかったんですか」
同じように破片を拾いながら、ハリが少し訊き辛そうに尋ねた。
「うん、なんだか、駆動系が壊れたらしい。エンジンは回ったんだけど、ぜんぜん動かなかった。すまなかったね、君まで巻き込んじゃって」
「いえ……僕も、空を飛んでいる最中、天河さんを轢いちゃったけど大丈夫かな、って思ってました」
思ってもみないハリの言葉に、明人は吹き出した。たしかに、轢かれたのは明人だ。ただ、レース中はコース上に停まっているほうが悪いのだけれども。
「ハリ、君、けっこう大物になると思うよ」
「そうですか?」
コース上に居るうちは、ヘルメットを脱いではならない。だからだろうか、きょとんとしたハリの青い瞳がことさらあどけなさを強調しているように見えた。
しかし、そのときだった。観客の一人が、英語で叫んだ。
「赤旗だ!」
その言葉に、明人の頭が目まぐるしい勢いで回転した。それまで明人は冷静だったが、それはレーサーとしてではなく、後輩を心配してのことだった。今やっと、その意味するところが分かったのである。
そして、すぐ近くだったピットロードの出口から、もっと大きな怒鳴り声が聞こえた。
「明人! 赤旗、赤旗だ! 走れ、走れ!」
叫んでいるのは瓜畑だった。いくらそこに近いとは言え、テクニカル・ディレクターがそこまで出てきていいのだろうか。しかしそんな疑問よりも先に、明人はハリと顔を見合わせた。
レース開始から2周以内での赤旗中断は、再スタートする際、その2周の間にリタイヤしたドライバーも出走が認められている。残り周回数だけは減るが、赤旗が出るまでの1周か2周は、「無かったことにして」再開されるのである。
再び声が聞こえた。今度は瓜畑ではない。カヴァ−リのスタッフだった。
「走れ、ハリ! 戻れ!」
次の瞬間、二人は脱兎のごとく駆け出していた。二人分の破片を押し付けられたマーシャルが、ひっくり返った。
to be
continued...
●感想掲示板にてご指摘頂いた「ミクスチャー」について●
まずは鋭いご指摘をして頂きましたヤマタカさんにお礼を申し上げます。またその他にもご意見頂けましたこと、とても嬉しく思っております。ありがとうございます。
さて、問題の「ミクスチャー」ですが、まず本作『FLAT
OUT』設定の立場で見ますと、これはFAマシンに搭載されている燃料と空気の混合比を設定するシステムの名称です。とは言え混合比の理屈は非常に複雑で、燃料を濃くすればそれだけでパワーが上がるというものでもありません。ですからこのシステムは、燃料の濃さだけを調節するという単純なものではなく、同時に点火時期やバルブ駆動、可動式吸気エアファンネルの作動など、回転数以外のエンジン制御全てに渡って設定を変更するプログラムだと捉えて下さい。その中で最もパワーの出るプログラム、或いは燃費重視のプログラム、と予め設定しておいたプログラムを選び、状況に応じて使うわけです。
実際のレースでも常に全開というわけではありませんから(『FLAT
OUT』本編ではそうでもないですが)、おそらくはF1でもそのようにして使っているのではないでしょうか。レース後、「前の車を追越す為に一時的に燃料を濃くした……」というのはよく聞く話です。ただ、チームによってはこのシステムが無い(レース中は変えない)ところもあるようです。
冷却の問題など、現実的な工学知識に関しては私もごく基礎的な部分しか知りません(汗)。ですので、勝手ながら本編内に出て来る分については、ともかくそういうものなのだとご納得頂けたらと思います。
また、これらの複雑な機構の説明は、本編内では致しません。そういうシステムがあること、それが作用するとどうなるかについて触れるのみです。あくまでレースの臨場感を重視しての判断ですので、ご容赦下さい。
はっさむ
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