かげのさいしょお
第四幕 不し死な者ずのアキト
※
この作品は十字架を振り回す作品です。S2機関が使えない・あっても機能してないので投稿作家以外は読まないように。
というか元々楽屋裏の話だし。
「・・・アキト・・・」
「・・・アキト・・・」
「・・・アキト・・・」
「・・・アキト・・・」
「・・・アキト・・・」
「・・・アキト・・・」
「・・・アキト・・・」
「・・・アキト・・・」
「・・・アキト・・・」
「・・・アキト・・・」
「・・・アキト・・・」
「・・・アキト・・・」
「・・・アキト・・・」
「・・・アキト・・・」
「・・・アキト・・・」
「・・・・・・私を・・・選んで!!!」×百億
・・・いつからだろう・・・・・・彼女達の顔が、思い出せなくなったのは・・・
父母を殺して失血死した赤子に輸血しよう
できることなら彼の妻とその仇の血がいい
拒絶反応に苦しむが死ぬことはない
畢義を背負いながらそれでも赤い道を歩まねばならないのだから
目が覚めた。
だがすぐに不快になる。
眼前に広がる、積み上げられた書類の山によって。薄暗い部屋に日が差し込んでいる。明かりを点けようとも思ったがそれも辞めた。もう少し休養が必要だと感じたからだ。どれほど才能があろうと疲労してしまえば錆びた名刀同然なのである。賢者は常に一歩先を見て、道を誤らぬ。若しくは事前に回避する。しかしネルガルは巨大な老いた船だ。舵取りを間違えなくても判断が遅ければ命取りなのだ。ましてや海に隠れた潜水艦に魚雷で狙われているとあっては。
椅子の背もたれに寄りかかって深く息をつく。
ナデシコの方は大丈夫だろう。
この企画のために各界から多くの才能を数々の業界からスカウトした。
ここまでは完璧である。しかし問題はここからなのだ。はっきり言って政府掌握は火星再開発に於いて必須。だがいくら恩を売りつけようが次の最高評議会の議長がネルガルの息のかかったものにならぬ限り勝利ではない。現政府は公平無私と清廉潔白な集団ゆえ恩の売りすぎはかえって相手を遠ざける結果になる。となると次の選挙に持ち込むしかない。クリムゾン側も同じカードを切る事を考えているだろう。もっとも目的は同じでもルートが同じとは限らないが。だが同じ手法では今までの経験から確実に後塵を拝することになりかねない。しかもナデシコという超級の切り札も時期が来なければ使えない。だが政治戦で敗れても結果的には負けない確信はある! 恐らくロバートのくそジジイも気付いていない超ウルトラCの手段だからだ。問題はタイミング。仕掛ける時間を間違えればこちらがAAAクラスの重犯罪人になりかねん。
仮に負けてもあのくそジジイが激怒するのは確実だ。
ケケケケケ・・・・・ざまぁみやがれ!
・・・暗雲再び(爆)
コンコン。
外からノックの音が聞こえてくる。
「誰かな?」
「プロスペクターです」
「入りたまえ」
木製の重いドアがガチャリというノブを回す音と共に開かれる。
細身の男が入ってくる。
「いったいどうした?」
「はあ、それが」
「???」
「ルリさんがさらわれました」
ズテーーーン!
告げられた事実のあまりの衝撃にぶっ倒れるアカツキ。
「うぐぅ」
確か最近になって育成課長のアガボリが自分の趣味でサディスティックな性格に仕上げていたような、
ネルガルのコンピュータにおイタをしていたような、
それでもって出撃前に予備のオペレーターをナデシコに乗せて社の忠誠心を復旧させるよう指示したような。
それではウルトラCはどうなるんだ?
いや予備にやらせればいいか?
いやまてよ、もし仮にクリムゾン側に同じ手段を使われたら?
どうする、どうする、どうする?
どちらにしても
「うぐぅ」
アカツキはうめいた。僅か一瞬の間にどれほどの思慮を重ねたかということはわからないがその事実だけは不変である。
「あれだけ警備を重ねて厚くしてあったのだぞ!」
「しかし、私もゴートさんもいなかった訳ですし」
「プロス君!・・・この責任は君の首で償ってもらうぞ!!!」
聞いちゃイねぇ。
「いえ、それで困るのは会長ですし、お一人でこの難局を乗り切れるというならどうぞ」
「ごめん冗談」
前言撤回僅か0,89秒・・・この軽薄会長は(汗)
「で、敵は何人だったわけだい?(ニコニコ)」
急にフレンドリィな態度になる軽薄会長。
そういう彼の性格に慣れているのかはたまた諦めているのかプロスは妙に冷静に言った。
「ええ、それが不明です」
「そりゃまた一人残らず死んだって訳かい?」
「ええ、まあそんなものかもしれません」
「何だそれは?」
「一人残らず行方不明だということです」
「怪事件だな・・・」
神妙な顔つきに戻るアカツキ。
彼は知っている。いかなる苦難は冷静さで乗り切れるということを。
「で、研究所は?」
「無事です。データ・機材その他全て。」
「ストライキを出すような連中でもあるまいに」
「まあその通りですが・・・」
「そこまでいくともう僕らの手には負えないだろう」
「ならば如何するおつもりで?」
「餅は餅屋って奴だよ。大学時代の友人にそういうのがいてね」
そう言いながら電話をとるアカツキ。
とるるるるるる。
「・・・・・・・・・・・」
ガチャッ。
「〜〜〜留守だ」
電話を持つ手がわなわなと震えている。
「それでもまだ当てはあるでしょうに」
「・・・一つ言っていいか?」
「はい?」
「予算はいくらまで?」
「・・・!!」
「そういうことだよ」
「はっきり言おう。兄貴が死ななきゃ今ごろ僕は彼女の奴隷だよ」
「あ、あんながめつい方に依頼を?」
「いやそこまで僕も馬鹿じゃない」
「しばらく派遣社員としてお宅の助手を紹介しておくれ・・・と頼むわけだ」
「なるほどそれはいい案です」
「はあ? まったくイエスマンばっかりで話にならんね、敵を甘く見すぎている」
「???・・・どういうことです?」
「いいかい、彼女は内在する敵だ! 金に関して悪魔だ! 外道だ! 人外だ!」
ひとしきり叫んだあと息を落ち着かせる。
「いいか?! 彼女を土俵に引き込むということはクリムゾンと全面戦争するよりも危険だ」
「だから助手を頼むのでしょう」
「だからその助手も問題なんだって」
『も』にアクセントをつけるアカツキ。
「うちの社員は強力といえども所詮一般人だからな」
「『才覚』の強い連中とでは話しにならんからな」
「どうでもいいがまた強請られたりしないかにゃ〜」
頭を抱えるアカツキ。
そこをプロスペクターがすかさずフォロー。
「会長、頭大丈夫ですか?」
ピシッッ!!!
アカツキのガラスのように純粋かつ繊細なハートにひびが入る音がする。
「いくら安っぽいプライドだからって加熱したあとに冷却するなよ!」
全く意味不明な逆切れ。
「大丈夫ですよ、一度全部とかしてしまえば」
「そう言う問題じゃない!」
「まあまあ、それに朝食もまだでしょう」
「ぬうう・・・確かにそうだな腹が減っては戦も出来ぬ」
内線で会長専属厨房に連絡をとる。
コミュニケの画像が開いた。
「ああ、ホカシロチーフ俺様ランチ一つ」
「はっつ、かしこまりました」
「君もいるかい?」
プロスに問い掛けるアカツキ。だが返ってきた答えは冷淡な物だった。
「いりません」
プツーーーーン
画像が一直線になったかと思えば閃光の余韻を残して消える。
「ふう、プロス君ところでゴート君は?」
かなり険悪なムードになっていた(?) ので話題の転換をはかる事にしたらしい。
「ええ、話せば長くなるのですがワインバーグ教授が言うには
先月クリムゾンで開発された醤油を媒体とした兵器が自分の醤油統一理論をもとに構築された・・・」
「ははは、わかるわけないね。僕が聞いているのはプロス君」
「何故ゴート君がいないかだ」
「だからですね、会長。つまりその理論なしにはあんな夢のような兵器は作れないということです」
「攻防一体の白兵戦に於いて最強とまで言われた兵器か。まあ確かにそうだが
ATF理論やDF理論はわかるが世界のあらゆる構成物が
実と虚そして醤油の空間と時間でそれらを同一かつ個別に見て8次元的に解釈すれば全て醤油に帰結するというのが全く理解できない」
「安心してくださいそんなもの一般人には誰にもわかりません」
「『天才=変態』だな・・・イネス君あたりならわかりそうだな」
「・・・ええ、まあ」
プロスは少々苦笑した。これをあの聡明な博士が聞いたらどういう反応をするかを。あと某
「少々脱線してしまったようだな。だいたいその線からいくと
『自分にしか解からない理論が何故他人に使われている? どれもこれもお前等のデータ管理がなってないからだ』的な感じがするね」
「・・・そこまで言ってはいませんでしたが、まあそんなものでしょう。教授が言うには『ハッキングの証拠がないのが証拠だ』とか」
「で、どうしたんだい?」
「一応全データを書類化して本社地下倉庫に保管してあります」
「そこまでやっても無駄じゃないのか? 全てのコンピューターからデータを消しても復元できる能力者がいるくらいだぞ」
「さいですな。だから数人雇って超科学面からの対策をはかっているわけですが・・・」
コンコン。
食事が運ばれてきたようだ。
「?・・・入って来い」
赤い帽子と服を着て背中に鍋を背負った、いかにも『おかしい』コックが入ってきた。
ものすごい腐ったような甘いにほひが充満する。
プロスはさっさと退散した。
「ほう、真性の甘味だな」
目の前に蓋を開けられた膳にある形容しがたい形状の料理を見てそう評した。
「ご存知で?」
「何も味がわかるのはイタリア人やフランス人ばかりじゃないといっているのさ」
言うが早いがナイフとフォークで上手にそれを切って口に運ぶアカツキ。
上手そうに食っている。
それを見ていたコックがにやりと笑う。青面獣に痺れ薬をもった棗売りの如く。
やがてアカツキが思い出したように口を開く。
「ところで君は誰なんだい?」
策に獲物がかかった時の目。コックの目はまさにそれだった。
「はっはっは!!! かかったなぁ!
『豆烹腐敗』は吐気の膳!
一度嵌れば抜け出せぬぅ・・サイオキシン麻薬入りよ!!!」
この台詞が言いたくてしょうがなかったようだ。
そう! 実はこの赤尽くめのコックはアキトだったのだ。
「我が名は『孫・ソンシー』テンカワ流調理闘術とテンカワ流日和見兵法術をミックスした最高の兵法者であり、料理人であって・・・なんじゃっけ?」
思いっきりさりげなく自分の素性をばらすアキト。
しかしアカツキは聞いていない。
「・・・うぇ、げええ!」
アカツキは瞬時に口の中に指を突っ込んで吐き出す。
「あっこの野郎!!! 『出されたものはちゃんと食べなきゃお百姓さんに失礼よォ』とママンに習わなかったのか?!」
「生憎、僕は上流階級でね!」
スーツの袖で口の汚れを拭くアカツキ。眼光鋭くアキトを愚弄するような目で見詰めている。
「残念ながら見ず知らずの人間でもノックの音一つでもどんな人間かわかる!
君の音からは下賎な暗殺者の音がピッピと来たんでね!!!」
電波が?
「通常暗殺というのは不意を衝くからこそ効果がある。
それでもこの学生時代小中高・大学と成績は常にトップクラスで運動神経抜群、全校生徒の女子からの人気投票も常にトップ。
はたまたMSの操縦まで出来てしまうお金持ちなネルガルの会長にしてパーフェクト三高主人公のこの僕に戦いを挑むつもりかな?(キラ〜ン☆)」
アカツキの下克上?
アキトの地位危うし。
しかし我等がアキトはこの不敵な挑戦者に動じることなくそれ以上のブラックジョークを返した。無論自覚ナシで。
「面白い・・・この文武両道、智勇兼備の名君にして偉大なる皇帝、深謀遠慮の宰相、剛毅果断なる元帥を独りで兼ねる女癖が悪いのが玉に瑕(てへっ☆)な絶世の女たらしにして優柔不断かつ『俺は、だめだ。だめな奴なんだ。悪を傷つけてまで、殺してまでナデシコを護るなんて、そんな資格ないんだ。それでも俺は、ナデシコに乗るしかないと思ってた。でも、そんなのゴマカシだ。何もわかっていない俺にナデシコに乗る価値もない。俺はナデシコの為にできることなんて何にもないんだ。それでもナデシコを信じたい・・・でも父さんにひどいことしたんだ。母さんもそれで殺してしまったんだ。自分自身の裏面を見るのが嫌でサイトウを受け入れることが出来なかったんだ。俺には優しさなんかかけらもない。自分自身を傷付けたくないだけのずるくて臆病で卑怯な奴なんだ。他人を傷つけて不幸にする事しかできないんだ。愛とかそう言うものに、重力に縛られなきゃいけないのに・・・だったらこんな翼なくなってしまった方がいい!!』的なことを言ってもアキチョ君かわい〜〜〜と敵味方に変わりナシにホントは攻めたいのに受けてしまうとんでもない・・・
モテル漢なんじゃよ!!!(グッッ☆)」
度度々呑!
流石のアカツキもテンカワ流説得術『魔の三段サイクル』に圧倒された。
「し、しかし文法がなってないよ、簡潔じゃないよ」
アカツキはまだ気付いていない。根本的な論旨が変わってることを。
ブチンッッ
アキトは切れた。神をも冒涜するアカツキの台詞に。
ちなみにいうと碇シンジを代表とする清純ヒロイン系の男は切れると途方もない状態になる。(初号機の暴走は別として)
例にももれずテンカワ=アキトもその口だ。
「・・・クククク!!! そんなに俺が信用できぬか? 論より証拠、ならば見してやろうではないか!」
「絶対知力!」
アキトのラヴい顔がクローズアップされる、でもアホ。
「不老不死!」
マッスルポーズを取って某鬼畜王小説なみの・・・というかそう思い込んでいる身力を誇示する。
ブチブチブチと筋肉が切れる音がする。やっぱりアホ。
「そしてパワーは―――――エクスタスィーーー!!!」
出さなきゃいいのにオーラが体中からほとばしる。おかげで躯ボロボロ。髪は逆立ち銀色に輝き瞳は赤く変わる。
・・・もういい加減にしてくれという境地だ、という感じのアホ。当然のことながら用力は既に発動不能。治癒状態に入った『身』をさらに悪化させている。
「わははははははは!!!」
ヴュン! バシッッ!!
空を切って影から包丁を取り出すアキト。
呑!!!
血みどろになりながらも机に足を叩きつけるアキト。
そして猛々しく咆える!
「・・・ネルガル会長がナンボのもんよ!!!」
アカツキに選択の刃は突きつけられた・・・
「俺は・・・神だぞ?!!」
目的の為には手段を選ばず、とはいえ・・・
目的を忘れているスーパーアキトであった(爆)
次回予告:走れアカツキ、トイレに向かって
・・・少しは恥じれ。
注
Q・実際スーパー化に利点はあるか?
A・ないです。体力が99パーセント以上でないと○め○め波は使えないし。そのうえ目に悪い、髪が傷むなど絶世の美丈夫アキト君には一切利点がありません。
作者の主張:斎藤霞月は誰も存在がギャグと解からない様だ。・・・ゲゲェ、修行不足。
あいも変わらずメールはぶっ壊れたまま一方通行、ついでに私の頭もぶっ壊れたまま。
だからこの作品は作者の独りよがりです。
せいぜい物語としてようやく成立しているのは
『ダークなギャグだろうがギャグなギャグだろうがギャグ書いてんだからどっちでもいいではないか?』
そう言う作品を目指しているからです。もっともそれでも節度がまだ必要なのですが。
ところで『天災醤油少女カオリ』って知っている方います??
代理人の感想
うをを、知らんっ!
なんと言う屈辱ッ! なんと言う無念かっ!
まぁ、それはこっちへ置いといて。
独り善がりだろうがなんだろうが、
面白ければそれでよし。
(あ、なんか偉そう)