逆襲のアキト
ネルガル会長の一室。
薄暗いこの一人が占有するには広すぎる部屋にに2,30人ばかりの男達が詰め掛けていた。
尤も男というよりは少年といった方が良いものが殆どだ。あるものは学生服や軍服、ユニフォームに身を包み、あるものはSFチックな服を身にまとい、あるものは時代劇にそのまま出れるような着物を着ている。
だがその年端もゆかぬ彼らに身柄を拘束され、『経済界の王者』と世に謳われるアカツキ=ナガレは人生最大の選択を迫られていた。
全身黒一色に染め上げられた彼らの中で最年長と思われるバイザーの男がアカツキに向かって口を開く。
「・・・つまりだ、お前の話を要約すると我々にはナデシコは貸せぬ!」
「当たり前だ! 一体君達は何を考えている! SPを呼ぶぞ!」
「・・・わかる! 非常に良くわかる話だ。が、それも徒労のようで今社内に残っている人間は一人残らず退散していただいた・・・」
「――――!!! な、何ということを・・・こ、殺したというのか?! き・・・貴様等ァァァッッ!!!」
「・・・この何とも予想通りの反応は何だ、一体?」
呆れたようにバイザーの男は仲間に問い掛けた。
ビッリィイッッ!!!
アカツキのスーツが学生服の少年に破り捨てられる。
露わになるアカツキの鍛え抜かれた上半身。
アカツキは尚男に向かって叫び続ける。
「何故だ! テンカワ君! 君はナデシコ以来の僕の友達だろう? 友人を傷付けるとはどういう了見だ!」
「・・・友達、友達ィッッ?! 貴様、良くヌケヌケとそのような事が言えるな!」
バコオオッッ!
アカツキの前にあった机がアキトの踵落しで一刀両断にされた。
ツウ――とアカツキの額に血が流れる。
「・・・宜しい。お前には知る権利がある。何故俺がお前をこれから始まる壮大な征服劇の幕開けに選んだかを・・・」
「ナデシコでの時は俺にとって美しく豊かなものだった・・・美しい妻、愛らしい妹、たくさんの友人・・・今となっては何もかも懐かしい・・・」
「常に死の危険に晒されていたが、愛する人間を守るという大義名分の許木星トカゲを倒すのを正直言って快感にも思っていたよ・・・」
「・・・だがだ! お前は真実を隠し常に俺に、俺達に道化となるように仕組んだ!俺の親父はお前の親父が殺したとはいえ、結局息子のお前がジャンプによって利権を得ようとするなら同じ事よ! その一言だけでも万死に値するにあまつさえ・・・」
余りの迫力に圧倒されるアカツキ。アキトが再び口を開く。
「お前は俺の上に立った! 本の中とはいえ死んでも絶対に許さんッッ!」
「何だそりゃァ?!」
余りに脈絡の無い理由にアカツキが激怒する。だがそれを無視するかのようにアキトはバイザーを外し手でボサボサの黒髪の髪をかきあげ、
顔の筋肉の引きつった苦笑いをアカツキに向かって浮かべる。
「・・・一度『受』と見られたキャラに対する同人女の偏見は我々男が思っている以上にはるかに深い・・・! 強力な母性本能をそそる者や中性的な顔立ちの者、優しい気性の持ち主は『受』と決め付けられ『攻』に返り咲く事さえない・・・いや、そりゃ元々俺は『受』だけど・・・」
「が! そんなことはどうでもいい! 俺は北辰への復讐が終わったあの時からこの計画に心血を注ぎ込み同志を募ったのだ!」
アカツキがアキトに向かってすまなそうに言う。
「・・・う〜ん、そりゃショックだったろうネェ・・・君の言いたい事はわかる。僕だって嫌だよ。本の中とはいえ
男同士で絡んで、其の上男に攻められるというのは・・・第一それを描いたヒカル君も今までずっとアキト×ジュン本を出そうか悩んでいるというし・・・」
それを聞いてアキトが狂ったように怒り出す。
「今さらそんなことを聞いてももう遅いわッッ!!! それにもう我らのハラは固まったッッ!!!」
「????」
「「「「「「「おおおおおォォォォォォッッ!!!」」」」」」
少年達がアキトに呼応しトキの声を上げる。
そしてアキトは大部分、自分よりも歳の若い同志達の頼もしい姿を見て安堵し、かつ
戦意が最高潮に高まり自分達が一つの目的に向かって邁進する感覚を共有する朋友で
ある事を確信した。そしてこの異常なノリについていけない哀れな犠牲者アカツキに向かって声高に宣言する。
「全次元の我らが到達しうる、あらゆる世界の『攻』に復讐する! そして我々『受』の英傑達にも待つだけが能の男ではナイ! と、世の同人女どもに知らしめるのだッッ!!!」
「そしてコレこそが我が嚢中の秘策!!テンカワ版 『オペレーション・レコンキスタ』(反攻作戦)!!!!」
余りの問題発言に思いっきり顔が歪むアカツキ・・・
「何だ! それじゃあカップリングが逆になるだけで永遠に理解の溝は埋まらん!! それでも敢えて君は其の計画を実行するつもりなのかッッ?!」
それを聞いて固まるアキト、だが慌ててアカツキに反論にならない反論をする。
「・・・アッッ! そッか・・・――――――――と、ともかくだッッ!!! お前らの理解などイランのだ!
もうこれ以上話すとボロが出そうだから予定通りヤらせてもらうが宜しいかな? 無論、拒否権は無い!」
「なら聞くなー―――――――!!!!」
「ああ、一つ言い忘れてた。お前いい趣味してるよなー。偶然見つけたんだけど色々と、楽しませてもらったよ・・・♪」
「な、ま・・・ま、まさかあのデータベースを?!」
声が裏返って恐れおののくアカツキ・・・
「然り・・・! で、お前ら!! こいつに復讐を終えた後それを全世界に流出させろ!!!」
同志に下知を下すアキト。もう気分は独裁者♪
彼の同志はそれを聞くが早いが部屋から出て命令を実行する。
「な、なにいいいいぃぃぃ!!!!」
それをみて驚愕するアカツキ、あんなものを公開されたら強固を謳われた自分の地位といえども簡単に崩壊する・・・
「ただし、『ルリルリ育成日誌』だけは抜いとけよ・・・そうしないと俺がルリちゃんに殺されてしまふ」
「テ、テンカワァァァァ―――――――!!!!!!」
夜のネルガル本社ビルに響き渡るアカツキの絶叫・・・
その後の彼がどうなったかは次回の講釈で・・・(笑)
コメント:「影の宰相」のアキトがあまりに狂っているので少しはまともなのを、と・・・全然ダメか(笑)
代理人の感想
・・・・狂ってますって、充分(汗)。
管理人の感想
飛燕さんから投稿です!!
はははは、開き直ったと言うべきでしょうか?
既にこのアキト君は違う世界に足を踏み入れたみたいです。
・・・当分、帰ってこないでしょう。
いや、下手したら一生帰ってこないかも(汗)
それでは、飛燕さん投稿有難うございました!!
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