ナデシコブリッジ。
ぴ!
「……艦長、ミスマル提督から通信です。プライベート回線ですから、お部屋の方に廻しますね」
「ありがとう、メグミちゃん!」
「はーい」
「お父様、一体何の用事かなぁ?」
首を傾げながら、艦長はブリッジを出て行きました。
……あと18時間で発進予定。
順調に物資は搬入中。滞りはありません。
「ううーん、暇ねぇ」
ミナトさんが背伸びした後、コチラに視線を向けました。
「ルリルリ、昨日はよく眠れたみたいね?」
「おかげさまで」
何時もと変わらない顔をしていた筈ですが、あっさりと看破されました。
……そこまで顔が緩んでたのかな?
「……早くフィリス、元に戻ると良いねぇ」
「もう、戻ってますから」
「そっか、戻って―――ええ!?」
「ホント? ルリちゃん!」
ミナトさんとメグミさんはビックリ顔。
「ハイ。
昨日の夜、連絡を貰いました。
あ―――それじゃ、ちょっと席を外します。
イネスさんに呼ばれてますから」
「あら、そう……」
「ルリちゃん!
後で話、聞かせてね?」
「ハイ」
***
私を待っていたかのように、医務室の扉が開きました。
「待っていたわ、ホシノルリ」
「はあ。
―――で、用件というのは?」
「まあ、お座りなさいな。
せっかく来たんだから、コーヒーの一杯も飲んでいきなさい」
「……砂糖二杯でお願いします」
「はいはい」
カチャ、カチャ
出来たてのコーヒーが、コーヒーメーカーからカップに注がれます。
山盛り二杯の砂糖が投入されたのを確認して、私はカップを受け取りました。
「体質的に太らないんだから羨ましいわ。
……開発センターに居たときは、ファーストフードばかり?」
「ハイ、他は特に何も。
……すみません、ミルク下さい」
「どうぞ」
どば。
容赦なくミルクをかけられて―――コーヒー牛乳になってしまいました。
……ま、いいけど。
「マシンチャイルドの貴方には伝えておこうと思って。
……人間開発センターのマシンチャイルドで、貴方の弟と妹になる子が新しいナデシコ級戦艦のオペレーターに抜擢されたの。
このナデシコで月まで連れて行くことになるから、どう扱っていいか貴方の意見を聞いておきたくてね」
「……ハーリー君とラピスはまだ7、8歳くらいですよ?
―――そんな子供まで戦わせるんですか?」
「オモイカネクラスのコンピューターを普通の人間が処理するのに、どれだけ時間が掛かると思ってるの?
って貴方、今……名前までは教えてなかった筈だけど―――」
イネスさんが首を捻りながら、私の顔を覗き込んで。
……あれ?
何かマズイこと言っちゃったかな?
あ。
「―――マキビ・ハリ。ハーリー君……ねぇ。
ラピスに関しては―――」
「いえ、ハッキングで時々覗いてましたから、二人の事は」
苦しい言い訳は一刀の元に断ち切られました。
「名前も決まってなかったのよ、その子。
製造ナンバーのまま、里親が決まらない状態でね」
―――知ってます。
……致命的な失言でした。
「貴方もフィリスといっしょってワケ?
―――未来から来た、逆行者」
「…………」
えーと、フィリスお姉さん。
―――しゃべっちゃって、良いですか?
機動戦艦ナデシコ
ROSE
BLOOD
第15話
著 火真還
ナデシコの格納庫に、運搬車が入ってきます。
「オーライ、オーライ!
よーし、ストーップ!」
「班長、コレで全部運び終わりました!
格納庫、完璧に埋まっちゃってんですけど、いいんですか?」
頭部、胴体、手足を分断され、ナデシコの格納庫に運び込まれたテツジンは、整備班の人たちによって詳細に調べられています。
胴体の相転移炉にへばり付いていたウリバタケさんは、
「もうちょっとしたら、エステバリス2のテスト機が搬入されるからな。
スペースを確保しておかねぇと……。
……手足は、データだけ取って捨てちまうか。
胴体も、解体して相転移炉を抜き出せば用はねぇんだが」
「班長、なんか―――音楽が聞こえませんか?」
「あん? ……音楽?」
頭部をチェックしていた整備班員の言葉に、ウリバタケさん達一同は手を休め、聞き耳を立てました。
〜〜〜♪
「……これって、どこかで聞いたような」
「こりゃアレだ。
ヤマダのバカが何時も聞いてる……」
「「「ゲキガンガー?」」」
しーん。
「……頭部(あたま)の中からか?」
「ええ。
―――なんかコレ、開きそう……うわ」
ばしゅっと音を立てて、頭部の一部が外側に開きました。
ウリバタケさん達は、黙ったまま中身を覗き込んで―――。
「……コックピットだよなぁ?」
「ですな」
「人が乗ってたのかよ……も、木星人?」
「……あ、ゲキガンガーのミュージックディスク……」
恐らくその場にいた全員の声を代弁して、ウリバタケさんは一言。
「やっこさん(敵)、ゲキガンマニアだってぇのか?」
……正解です、ウリバタケさん。
―――当たっても、嬉しくないでしょうけど。
***
「そう、話は判ったわ―――テツジンには人が乗ってる形跡があったワケね。
とりあえず、艦内を捜索してみましょ。ナデシコに乗り込んで無いとも限らないし。
……アナタ達、手伝ってもらうわよ?」
ムネタケ提督の言葉に、ウリバタケさんは憮然と言葉を返します。
「あのなぁ、俺たちゃ整備班だぜ?
敵の……えーと、木星人を探すっつーんなら、お門違いじゃねぇのか?」
「……木星人なら、良いんだけどねぇ」
「あ?」
「こっちのハナシよ。
とにかく、その木星人を捜索する必要があるわ。
ナデシコの内部に侵入しているとしたら、それこそ一大事でしょう?
ココは一つ、整備班の意地を曲げて―――」
その言葉に、ウリバタケさんは苦笑を返しながら、
「……わーったよ、そこまで言われちゃ仕方ねぇ。
このナデシコは俺たちの船、俺たちの家だ!
家を守るのは俺たちしか居ねぇ!
草の根分けても探し出すぞ、野郎ども、良いな!」
「「「おお〜!!!」」」
ウリバタケさんの号令で、整備班の皆さんは手にスパナやらモップやらを握り締めて駆け出そうとしました。
……文字通り、草の根を分けて探す気だったんでしょうか?
「おいおい、ちょっと待て、お前ら!
もっと確実な方法があるだろうが!」
「確実な方法?」
提督は首を捻っています。整備班の皆さんも。
「幸いこのナデシコにはゲキガンバカが一人居やがるからな。
アイツに、餌を提供してもらうのサ」
おお!
と、皆が納得して手のひらを叩き―――さっそく計画が実行されるようです。
……ヤマダさん、ちょっと可哀想かも。
パイロットのヤマダさんには、個室が割り当てられています。
中には、リューコさん達のように、三人で大部屋を借りる人も居ますが、基本的にパイロットは一人一部屋。
男の一人暮らし―――その分、部屋の内装は思いっきり趣味的です。
壁にはゲキガンガーのポスターが貼り付けられ、棚にはゲキガンガーのオモチャが立てかけられています。
床には携帯用ポータブル・プロジェクターが鎮座しており、大きなスクリーンに今もゲキガンガーが上映中。
「邪魔するぞ、ヤマダ」
ぞろぞろと、整備班を引き連れたウリバタケさんが入ってきました。
あまりに唐突な訪問に、ヤマダさんは腰を浮かせて叫びます。
「うをっ、な、な、何事だ、お前ら!」
「おー、これがマニアの部屋……」
「スゲェなぁ」
部屋をぐるりと見回して、ウリバタケさんはニヤリと笑い、
「よーし、目ぼしいモノは全て持っていくぞ!」
「「「おおー!」」」
「おわっ、何しやがるお前ら!
あああ! ポスターを乱暴に剥がすな!
丁寧に扱ってくれ〜!!
ぬおお、そっちは俺のゲキガンシール!
いったいどういうつもりだ!!」
「安心しな、ヤマダ。
ちょっと貸してもらうだけだ。
とは言え、お前の大事なモノを借りる手前、こっちもそれなりの用意はあるぜ?」
「……どういう意味だ、博士」
「くっくっく……お前のエステバリスを、ゲキガンカラーにしてやろう!
ついでに、欲しがっていたゲキガンソードのオマケつきだ!!」
「何ぃぃぃぃ!?
遂に、遂に俺のエステは真のゲキガンガーになるのか!?
……好きなだけ持っていって下さい、お前ら」
……バカばっか。
―――心配して損しました。
***
月面コロニーにあるネルガル研究施設では、ナデシコ級四番艦シャクヤクの竣工準備が進められている。
……余談だが、三番艦カキツバタは既に完成している。が、コスモスと同じくマシンチャイルドを搭載しない造りである為、オモイカネクラスのスーパーコンピューターを処理する人員の育成に時間が掛かり、未だ満足な運用が為されていないらしい。
ともかく、そのシャクヤクと同時に、ブラックサレナの技術を転用した新型フレーム、アルストロメリア試作型のテストもそこで行われていた。
エステバリス・カスタムの後継機となるこのアルストロメリアは、機体設計を一から見直し、機体の剛性を上げた、ネルガルの次世代機動兵器である。
ハンドレールカノンを標準装備。両腕に装着されたクローは、戦艦の装甲をも突き破る威力を誇り、新型バッテリーと大型二枚翼の重力波アンテナの効率化による最大出力は、ブラックサレナのそれに近い数字を叩き出している。
―――ようやくネルガルの技術がブラックサレナに追いついた……ということだろうか。
軍からの要望、発注であるエステバリス2と違い、カスタム機の上位互換機種として生まれたアルストロメリアは、現在のところ、未熟なEOSでは制御しきれない、エースパイロットにしか扱う事の出来ない機体だった。
『―――おおおお!!』
シミュレーターの中で叫ぶアキトは、テツジンを前にして叫んだ。
テンカワSplを上回る機動力でスラスターを小刻みに吹かし、最小の円を描きながら相手に接近する。
テツジンのビームを寸前で回避、その移動から更に相手の懐に飛び込む―――ようやくアキトに、その技量が培われてきていた。今のアキトなら、リョーコを相手にしても善戦できるかもしれない。
「うまいっ!」
同席していた若い技術者が興奮気味にはしゃぐ。
「凄いですね、彼。
いやあ、私たちの開発した新型(アルストロメリア)をあそこまで乗りこなすとは、流石にナデシコのエステバリスライダーです」
「……そうか?
アルストロメリアの性能を、まだ引き出しているほどではないように思えるんだが。
それより―――テストのデータ取りはどうなっている?」
「あ、ええ。
お陰さまで70%まで消化できました。
後はバランス調整と最終チェックを残すのみですが―――」
「……今日中に、全て終わらせたほうがいいな」
俺は、自分の酷く刺々しい声を自覚しながら、アキトに声をかけた。
「アキト、悪いが今日は一日、その中だ。
―――死ぬ気で頑張れ」
『えええ!?』
アキトがアサルトピットに入って、既に2時間も経過している。
テツジンを相手にしてのシミュレートは、普段の訓練より辛いに違いない。
……それでも。
―――八つ当たりなのは判っている。
ここまでしなくても、月臣との対決に充分な技量は与えたつもりだ。
今度は月面コロニー居住区に被害を出すことなく、月臣と戦えるだろう。
「厳しいですねぇ」
秘術者はアキトに同情したようで、こちらを宥めようとしたが―――。
俺はそれを無視した。
……正直、アキトにどうやって接したら良いか分からない。
昨日のアレが脳裏にある限り、不用意にアキトに近づきたくない気分だったからだ。
「酷い顔してるわよ?
―――お久しぶりね、フィリス」
背中から声を掛けられて―――振り返る。
「イネス?
……そうか、ジャンプしてきたのか」
苦笑を滲ませた顔をして、イネスは頷いた。
「ホシノルリから事情は聞いたわ。
―――ちょっと、良いかしら?」
「……ああ。
アキト、俺は少し席を離れるが―――サボるんじゃないぞ?」
『了解っス!
うわああ!!』
どごおおん!
「こっちのフレーム強度が……」
「いやいや、もっと強力なディストーションフィールドを集中させれば……」
技術者達の意見が飛び交う中、俺はイネスと連れ立ってシミュレーター室を出た。
今は使われていない個室に入る。
防音、その他を確認した後、俺は手近な椅子に腰掛けた。
「さて、何から話せば良いのかしらね―――アキト君?」
「……その名前で呼ばれるのは、何年ぶりかな。
―――ずいぶん、時間が経ったように感じるが。……皆には?」
「言ってないわ。
今更、そんなコト公開されたくないでしょう?
特に、『アキト』君には」
悪戯っぽく微笑むイネスに、俺は苦笑を返すしかない。
「……そうだな。
それと、俺のことはフィリスと呼んでくれ。
―――もう、アキトじゃない」
「……そうね。
それじゃフィリス。
―――話してくれる?
未来で……何があったのか」
精神的には、煮詰まっていたのかもしれない。
淡々と―――それこそ他人事のように、未来の顛末を聞かせる。
我ながら、酷い経験だと……今更ながら実感する。
「―――そのとき、イネスに言われた。
俺の身体はもう限界に来ていると。……持ってあと一年。
狂ってたんだろうな、俺は。
火星の後継者達を全て殺すまで、止まることは出来なかった。
―――死ぬと分かっていても。
そして―――」
「ブラックサレナの高機動ユニットが暴走……ボソンジャンプ。
そして―――この時代に来た?」
言葉を発するのも億劫だ。
黙ったまま頷き、俺は背もたれに身体を預ける。
イネスは納得したのか、
「……とんでもない話ね。
別人として、二度目のナデシコか……アキト君にこだわるのも頷けるわ。
それで、どうするつもりなの?」
「どう、とは?」
「これから先。
―――木連との和平を目指すの?
それとも、ネルガルが全てを握ればOKだと?
……ホシノルリは、貴方に従うみたいだけど」
イネスの目は真剣だった。
「……そこまでは考えてなかったな。
知っている誰かが死んでいくのを、見過ごせなかっただけだから。
ネルガルに協力してもらったのは、抱き込んだ方が面倒が無かったからだ。
アカツキとエリナには―――世話になったしな。
クリムゾンとの開発競争も圧倒的にリードできたし、当分はネルガルの天下だろう?
あとは和平だが……ユリカが、うまくやってくれるだろうさ。
ネルガルの予想さえ、上回ってな」
「あら……結構買ってるのね、艦長を。
―――やっぱり、妻だったから?」
「身内贔屓しているわけじゃないが。
……アイツの真価が発揮されるのはこれからだ。
ナデシコは、この戦争に意味を見つけないと、戦えなくなる。
その意味―――戦う理由は、もしかしたら和平を実現させる為なのかもしれないな」
俺に言えることは、それくらいだ。
イネスは俺の言葉を吟味した後、躊躇いながら疑問を口にした。
「……言いたいコトは分かったわ。
でも、他人事みたいに言うのね……ずいぶん投げやりに聞こえるんだけど?」
「ここから先は、俺の出る幕じゃないからだろう。
俺がアキトを鍛え上げたのは、最終的にアイツに降りかかる災難―――火星の後継者共と戦う術を与える為だ。
―――そのためにナデシコに乗ったようなモノだからな。
そろそろ、降りるのも良いかと思っていた」
「……それは、無理だと思うけど。
何故って顔をしてるわね?
ネルガルにとって、貴方ほど重要な人間も居ないわよ?
もちろん、ナデシコの中でも。
貴方は―――自分が望まなくても、中心に居る人物なの。
ムネタケ提督も、ネルガルも、貴方が居るから安心して共闘している。
……貴方には裏が無いから。
他人を不安にさせる雰囲気を感じさせない、何かを持っているのかも知れないわね」
「……買いかぶりだ、イネス。
俺は自分の都合でナデシコに乗っただけだ。これ以上は―――」
「何かあったの? アキト君と」
「…………」
「―――元に戻った理由、その辺にあるのかしら?
貴方がアキト君にこだわる理由は分かったつもりだけど、それにしてはさっきの雰囲気、変だったじゃない?
……喧嘩でもしたの?」
「……皆には黙っていてくれるか?」
「愚問ね。
私は医者よ?」
「……昨日、この身体はフィリス・クロフォードが使用していた。
―――俺の意志は、消えたわけじゃなかった。
スクリーンに映る映画のように、アキトとフィリスのやり取りを見ていたに過ぎない。
俺は―――フィリス・クロフォードの事情をまったく知らなかった。
何処で生まれて、どうやって育って……何故マシンチャイルドになったのか、なんてことを俺が知ってるはずも無い。
……以前の俺が知っている歴史の中で、フィリスは既に死んでいたからな。
クリムゾンの研究施設内で見つけた資料の中に、その名前はあった。
15年程度しか生きられなかった女の子だ。
―――もっと生きたかっただろう。
だから、このままフィリスに身体を明渡してしまっても良いと思った」
「……おそらく、ボソンジャンプの影響ね。
異なる座標に物体を移す際に、精神のほうにも影響を及ぼして―――本来の意識に切り替わった……のかしら」
「そうかもな。
もともとの身体の所有権はあっちにあるし、俺も、自分のやりたかった事はあらかた終わっていた。
そう考えて、だったらフィリスのやりたいようにやらせてやろうと思ってな。
……それが甘かった」
「?」
「フィリスは別に、自分の身体に執着していたわけじゃなかったらしい。
―――アキトに好意はあっただろうな。
でも、俺が表に出た方がアキトが喜んでくれると思ったフィリスは―――」
「……意識を引っ込めた?」
「……キスしたんだ」
「アキト君が?」
「フィリスが、アキトに、だ。
……俺もまだ、意識はあったからな。
正直、自分の顔のドアップを見てヤバイと思って、ちょっと目を瞑ったら―――。
……フィリスが俺に身体を託して引っ込んでいた」
「ぷっ……くっくっくっ……ご愁傷様」
イネスは口元を押さえて、笑いをこらえている。
……いい笑い者だ。
「ちょっと待ってくれって叫びそうになったぞ、思わず。
俺だって、無理に戻りたかったわけじゃないから……困ってしまった。
あんなことされたら、アキトの顔をまともに見れないじゃないか。
―――アキトが悪いわけじゃないと、頭では分かってるんだが」
「ごほ、ごほ、……つまり、自分にキスしてしまったワケね。
―――良かったじゃない、今の姿で。
絵的には、普通の恋人同士に見えたんじゃない?」
「……何の慰めになるんだ? ソレ」
「……ならないかしら。
まあ―――安心したわ。
一種の精神的なストレスでしょうね。消えても良かったって言う、後ろ暗い事ばかり考えるのは。
―――来た甲斐があったわ、面白い話も聞けたし」
「……他言無用だからな」
「分かってるわよ。
少しは信用しなさい」
「してるさ―――もう、何年も前から」
***
軍に所属していた―――と言っても、再編成したばかり。
まだ顔馴染がそれほど多いわけではなかったので、部隊の皆との別れも、それほど大層なものではなかった。
ナデシコの発進は5時間後。
少ない荷物―――かさ張る物は既に送って貰っている―――を片手に、私はナデシコの姿を見上げて、短く敬礼をした。
……これからしばらくの間、お世話になります。
―――でも、やって行けるのかしら? 私。
ブリッジでのやり取りは、私にかなりの衝撃を与えていた。
少なくとも、まともな軍艦の姿ではないと思う。戦争の悲壮感とか、重々しい威厳など感じさせない、独特の雰囲気。これが企業の持つ戦艦、と言うことなのだろうか?
……それも違うような気がするけれど。
「あら、イツキ?
そんなところで何をしてるの?」
後ろから声を掛けられた。少し艶のある、特徴的な声音に聞き覚えがあって、私は後ろを振り返りながら、声の主を確認した。
「エリナさん。
……お子さんですか?」
―――エリナさんは、二人の子供を引き連れていた。
片手に一人づつ、ぶら下げるようにして。
「……本気で言ってるの? イツキ」
怖い顔をして睨むエリナさんに、慌てて否定する。
「いえ、冗談ですよ。
―――転属命令により、第13独立艦隊ナデシコのエステバリス隊に所属する事になりました。
新型エステバリスのテストを兼ねてます」
「この子達も、ナデシコで月に行く用事があるのよ。
―――社外秘だから、詳しくは言えないけど。
……もう、エステバリス2には乗ってみた?」
「昨日の今日ですよ?
まだ現物も見てません。ナデシコに搬入されるのはギリギリらしいです」
「性能的には、ナデシコのエステ・カスタムとそう変わらないけどね。
……ネルガルとしても、この新型でシェア60%以上を狙うつもりだから、責任重大よ?」
「…………」
私は顔を強張らせていたのだろう、エリナさんは視線を逸らして。
「……ごめんなさい。
企業のことは関係なかったわね……」
「いえ。
私も、ネルガルの社員ですから、分かっているつもりです。
―――ただ」
「……復讐、ね」
「―――はい」
それ以外に、私は進むべき道を持たない。
―――両親の仇を討つことだけ。
……それが不毛の道だとしても、他にしたいことは無かった。
「「?」」
こちらを見上げる子供達の視線に、戸惑いと不安を感じて、私は脳裏の考えを振り払った。
―――子供に見せる顔じゃない、か。
「……行きましょうか、エリナさん」
「そうね……あ。
イツキ?
ちょっと悪いんだけど、この子―――ハリ君の手、繋いでくれる?
私、こっちの―――ラピス、引っ張らないで。
……見ての通り、手一杯だから」
「分かりました」
私は、ハリ君の手を引いて、歩き出そうとする。
―――が、ラピスちゃんは、エリナさんの手を掴んだまましゃがみ込んで動かなかった。
「ラピス……」
「……つかれたの」
「ボクもだけど、我慢しなよ、ラピス。
もうちょっとの辛抱だよ」
「うー」
「はいはい。
もう少しだからガンバってね。……食堂でご飯、食べましょ」
「ボク、ハンバーガーでいいです。
―――別に、食べたいものなんか無いし」
エリナさんを見上げるハリ君に、私は戸惑いを覚えた。
冷めた口調とも取れる、無機質な声。そして―――金の瞳。
こくこく、と頷くラピスちゃんは、よく見ればほとんど表情を変えない。
「あの―――この子達って」
「―――マシンチャイルドよ。
ブリッジにも居たでしょ?
オペレーター席に座ってた」
「……ルリちゃん、でしたっけ?
この子達とはずいぶん様子が違うような……」
「ホシノルリは、―――ナデシコに乗っているから」
「……なるほど」
それで納得できるのもどうかと思ったが―――至極自然に、私は相槌を打っていた。
……だって、説得力があるんだもの。
***
ナデシコブリッジ。
主要メンバーで姿を見せていないのはプロスさん、ゴートさん、提督、そして副長の男性陣。
パイロットの皆さんは、第三格納庫でエステバリス2をテスト稼動させているイツキさんの見学中だそうです。
ま、発進に支障も無いし、別に良いんですけどね。
「各部チェック完了。
―――相転移エンジン、起動確認。核パルスユニット、出力正常。
何時でも発進できます」
「OK、ルリちゃん!
でわ―――ナデシコ、発進します!」
「はいは〜い」
艦長の言葉にミナトさんは頷き、ナデシコを発進させます。
―――しばらくして。
コミュニケにエリナさんから着信。
『ホシノルリ、居る?
今から、食堂に来てもらえないかしら?
イネスから聞いてると思うんだけど、貴方の弟と妹の紹介をしておきたいの』
「……分かりました。
直ぐに行きます。
―――艦長、そういうことですので」
「う、うん。
……?
ルリちゃんの弟と妹?
ナデシコに乗ってるの?」
「はい、血は繋がってませんけど。
多分、―――月で建造中の、ナデシコ級四番艦のオペレーターとして抜擢されたからだと思います。
ナデシコは、月に向かうわけですから」
「そっかぁ。
じゃ、皆で見に行こうか?」
屈託無く笑顔を浮かべて、艦長は席を立ちました。
「いーのかしら、ブリッジ空にして」
「ですよねぇ」
「全然大丈夫だよ。
まだ地球の宙域だし、こっちにはオモイカネが居るんだもの。
ねぇ? ルリちゃん」
「はぁ……まあ、そうですけど。
オモイカネ、よろしく」
『了解しました』
食堂に向かう途中。
「……何なんでしょうね、コレ」
床に等間隔で置かれているゲキガングッズを指差して、メグミさんはミナトさんに尋ねますが―――。
「さぁ……何だろうねぇ?
艦長、何か聞いてる?」
「えーと、ゲキガンマニアな部外者がナデシコに紛れ込んでるとかで、ジュン君たちが探してるって話は聞いてるよ」
「へー……ヤマダ君の同類?」
「例えば―――あんなのとかですか?」
メグミさんが、脇道から現れた謎の物体を指差して冷や汗を垂らしました。
ゲキガンガーの着グルミを着た副長が、辺りを窺いながら―――こっちに近づいてきたからです。
「……何やってるの? ジュン君」
「うん、例のコトでちょっと。……そんな目で見ないでよ、ユリカ。これは任務なんだから。
……えーと、皆さん。この辺で怪しい人物を見かけませんでしたか?」
真剣な目で私達を見回します……が。
アンタだ、アンタ―――そういう視線をメグミさんとミナトさんが返します。
「……と、とにかくっ!
何かあったらコミュニケで連絡してください。
じゃあ、僕はこれで」
妙にのっしりとした足取りで歩いていく副長。
…………。
その姿が消えてすぐ、ミナトさんは一言。
「部外者って、誰なの?
―――アレより異常ってことは無いよねぇ?」
「あはは……」
「ジュン君……何やってるんだろう?」
いえ、ホントに。
……あの格好に、何か意味があるんでしょうか?
ぴー! ぴー!
「緊急着信……?
エリナさん、どうしたんですか?
食堂には、もうすぐ着きますけど」
モニターが開くと、エリナさんがバツが悪そうな顔をして、苦笑を浮かべていました。
エリナさんは手を合わせて頭を下げた後―――。
『……ごめんなさい!
ハリ君とラピス、食事させてたんだけど、目を離した隙に―――逃げられちゃったわ』
「「「……は?」」」
『多分、探検気分で艦内をうろついてると思うの。
―――そっちでも、探してくれる?
子供の足だから、まだそれほど遠くまで行ってないと思うんだけど……』
「……はぁ、そーですか」
―――ハーリー君はここまで『やんちゃ』じゃなかったように思いますが。
まだ7歳だし、そーゆーものなのかな?
……まさかラピスから誘ったわけでも無いでしょうし。
***
この戦艦―――ナデシコに潜入することは、そう難しいことではなかった。
地球の最新鋭の戦艦の筈なのに、厳重な警備がされている様子は無い。それが余裕なのか、怠慢なのかを示すものは何も見当たらなかったが。
先ほど、艦内アナウンスが流れ、このナデシコはどうやら月に向かうことが分かった。
―――幸運だと言うべきだろう。
月から遠くない場所で『ゆめみづき』は息を潜めている。
テツジンの頭部さえ分解されなければ、脱出は不可能ではない。ナデシコの情報を持ち帰り、草壁中将に打診することが出来れば、この相転移搭載戦艦の対抗手段も講じる事は出来る筈だ。
だが、それは上手く行けばの話だった。
タッタッタ……タッタッタ……。
先ほどからツナギを着た男たちが、忙しく走り回っている。
ひょっとしたら、頭部がコックピットであることが知られてしまったのか。
俺を捕まえる為か―――それとも、他の理由があるのか。
どちらにせよ、今は息を潜めて時を待つしかなかった。
「よーし、ココにも仕掛けるぞ、準備しろ」
「「へーい」」
…………。
「よし、次だ、次」
タッタッタ……タッタッタ……。
彼らの気配が無くなったのを見計らって、ダストボックスから顔を覗かせる。
辺りが無人であることを確認して、空き缶の崩れる山を掻き分け、ようやく人心地ついた。
「……彼らは何をやっていたんだ?
―――む、こ、これは……っ!!
ゲキガンシール!? ああっ、あっちにも!
な、何てことだ……こんな大切ものを捨てて行くなんて……」
ごそごそ。
夢中になって拾っていくと、向こうから声が聞こえてきた。
しまった。夢中になり過ぎた―――!
「―――でね」
しかも、直ぐ其処まで来ている!
頭を巡らせるが―――隠れるところは見当たらない。
「ねえ、まだ続けるの? ラピス。
ボク、疲れちゃったよ」
「…………」
「……ハイハイ、分かってるって。
シャクヤクのメインオペレーターをボクに譲るから、替わりにゆーこと聞けっていうんだろ?」
「ん」
「何やってるんだろうね、整備班の人たち。
まあ、何をやってるにしても、ラピスがこうして拾ってる限り、ムダのような気もしないでもないけどさ……え?
私のため?
ははは……んなワケないじゃん。
そういえば、あの料理、結構おいしかったね。
―――ナデシコって、変な戦艦……あ」
「……!」
二人の子供と―――目が合ってしまった。
「あ、それって、このアニメのコスプレですか?
ボク、マキビ・ハリって言います。こっちはラピス・ラズリ」
ペコリ、とお辞儀するハリ君とラピス嬢。二人は両手に、ゲキガングッズを抱えている。
思わずこちらも頭を下げながら―――考えを巡らせる。
戦艦の中で子供に出会うなど、あって良い筈が無い。
……俺は問い掛けずには居られなかった。
「あ、ああ。
自分は―――白鳥九十九だ。
き、君たちは―――いったい」
「すいません、エリナさんに怒られるので詳しくは言えないんですけど。
ネルガルの月面コロニーに連れて行ってもらう予定なんです。このナデシコで」
ネルガル……?
―――この戦艦の製造メーカーか?
この子供達はナデシコのクルーでは無いのか……?
俺は、運が良かったのだろうか。
「オジサンこそ、そんなカッコで何やってるの?
見たところ整備班の人には見えないし―――パイロット?」
「じ、自分は……」
タッタッタ……タッタッタ……。
答えに窮していると、複数の足音と共に、女性の声が聞こえてきた。
その声は、前と後ろから聞こえてきていた。どうやら、この周辺に逃げ道は無いらしい。
「ハリく〜ん! ラピスちゃ〜ん!
何処に居るのかな〜って、……あ!!
居ましたよ、エリナさん!」
「ハリ君! ラピス!
あれほど勝手に動き回らないでって言ったでしょう!!」
……一瞬、子供達を人質にしようかと言う考えが脳裏をよぎったが―――卑怯な真似はするまい。
自分は優人部隊の戦士なのだから。
「あ〜あ。
ココまでみたいだね、ラピス」
「…………」
―――観念するのは、君達じゃないよ。
思わずそう声を掛けようとして、俺は苦笑した。
***
『ゆめみづき』は、月面コロニーへ向けて侵攻を開始した。
艦の半分ほどもある巨大な格納庫の中で、月臣は己の乗ることになるダイマジンを見上げながら、友のことを思った。
……地球側の研究所を破壊した事で、九十九は任務を完遂した。
だが、地球側の―――あの戦艦の機動兵器によってテツジンは捕獲され、アイツの消息は分からなくなった。
脱出した形跡は無い。
捕まったとしても、それは『ゆめみづき』からでは確認できない。
……しかし、生きている筈だ。
アイツが、そう簡単にやられるわけが無い。
―――ならば、必ず帰ってくる!
パイロットスーツに着替えた月臣は、九十九の生還を信じる事で、己の勇気を奮い立たせた。
「主砲、発射準備!」
コックピットに入った月臣の声に従い、月面より掘削された岩石―――主砲の弾である―――が砲身へと吸い込まれる。
『準備、完了しました!』
「よし……うてぇ!」
ドオオオオン!!
「続いて第二射!
俺はダイマジンで出る!
―――正義は、我らにあり!」
『『正義は、我らにあり!』』
『艦長代理、御武運を!』
「後は任せるぞ!」
地球側の戦艦を沈めることが、命題だった。
派手に暴れて、研究所ごと破壊できれば言う事はない。
しかし、研究所の近くには、コロニー市民の居住区があることを、彼は知っていた。
戦闘になれば、そこも只では済まないだろう。
―――テンカワ・アキト、フィリス・クロフォード。
二度と会うことはないだろうが、許してくれ。
コロニーに被害は出さんつもりだが、場合によっては―――。
もちろん、彼は知る由も無かった。
……待ち構えている機動兵器に乗る者が、彼を知る男だという事を。
「ダイマジン、出る!」
―――月臣はボソンジャンプの光と共に、『ゆめみづき』を後にした。
***
ドオオオオン……!!
ネルガル研究所の床が揺れた。
続いて警報が鳴り響き、俺たちは互いに顔を見合わせた。
「騒々しいわね……何が起こったの?」
「……敵襲だな。
木星蜥蜴が来たんだろう。ここにはネルガルの新造戦艦があるから」
「……なるほど」
俺はイネスさんとフィリスさんの交わす、緊張感の無い会話に愕然となりながら、
「なるほど、じゃないっス!
どうしたんですか、フィリスさん?
なんか、今日はおかしいっていうか……イネスさん、何か知ってます?」
マジメな顔で腕を組んだフィリスさんは、口元に手をやってイネスさんに視線を向けた。
「俺……おかしいか?」
「ちょっと精神的に腑抜けちゃってるわね。
―――まだ『舞台』を降りるわけには行かないでしょう?
フィリス」
「……そうだったな。
アキト、アルストロメリアで待機しろ。俺達はシャクヤクの様子を見てくる。
おそらく管制官から指示があるだろうから、それに従え」
「頑張ってね」
「……はい!」
少し不安だけど、フィリスさんとイネスさんを残し、俺は駆け出した。
格納庫は直ぐに見えてきた。
目指すはアルストロメリア。
テンカワSplは、運び込まれた際にネルガルがどこかに持っていってしまった。
度重なる戦闘で疲弊した機体のチェックを行っているらしいから、今動かせるのは試験機のアルストロメリアしか無い。
「ハンドレールカノン、装弾急げよ!」
「パイロットは!?」
「こちらに向かっているはずです!
―――ああ!」
俺の姿を見つけた技術者が、こっちに手を上げて呼んだ。
「待ってましたよ、テンカワさん!
―――まさか、木星蜥蜴がココを襲ってくるとは……!」
「アルストロメリアの状態は?」
パイロットスーツを纏い、アサルトピットに入りながら聞く。
「最終チェックが途中でしたが、問題ないはずですよ。
ディストーションシールドは10秒間チャージされてます。
武装はハンドレールガンとイミディエットナイフ。
接近戦であれば、『クロー』も有効ですが―――」
「分かってます。
……俺のテストデータっスから」
IFS接続―――システムチェック、OK。
試験用メニュー起動を中止。
テスト用デバイスの排除。
「……そうでしたね。
そのデバイスを消して……ええ、それでエステバリス互換です」
ドオオオオオン!!
振動が格納庫を襲う。
技術者がヒィッと悲鳴を上げた。
「着弾が近い……!」
「退いてください!」
俺は技術者を押しのけて、アサルトピットのハッチを閉じる。
『よろしく頼みます!』
アルストロメリアの片手を上げて応え、俺は昇降エレベーターに乗った。
ウィィィィィン……。
目の前に立ちはだかる巨体―――テツジンとはまた違ったタイプの機動兵器と相対する。
だが、畏怖は感じない。
負ける気がしない。
―――テツジンでのシミュレートは充分にやった。
アルストロメリアの特性も、大体把握している。
舌なめずりして、俺はこれからはじまる戦闘に集中しようとした。
―――しかし。
『現れたな、邪悪な地球人め!』
―――音声が耳に届く。
雑音で割れた声は、それでも判別できるほどの明瞭さを保っていた。
それは聞き覚えがある声だった。
いや、つい前日……耳にした声。
そして、その声が敵の機動兵器から聞こえてくる―――信じがたい事実。
「月臣さん……月臣さんなのか!?」
『……そ、その声は!
テンカワ……テンカワ・アキト君か!?』
冷水を浴びせ掛けられたかのように、体が硬直する。
月臣さんが―――敵だって?
そんなバカな!
木星蜥蜴は……。
木星蜥蜴は、無人兵器じゃなかったのか―――!?
もーしわけございません!(笑
とんでもないところでぶち切っております!
話が進んでるんだか進んでないんだか。一番肝心な部分を次回に廻してしまったような気がします。
……その辺、実は書いてたんだけど……それ入れると……15話がでかくなり過ぎて収容がつかなくなって……。
14、15話(たぶん16話も)と、シリアスな話が続きまくってるんで、普段のテンションが保てない(笑
最近遅筆になってる上、そろそろPC版FFXI出るし……いえ、予約してるワケじゃないけど……次回の更新が遅かったら……ソレのせいかも……。
えーと、解説。
……ラピス、ハリ登場! 出なくても良いキャラのはずなのに、何故か出てるよ……どうしよう(笑
フィリス、腑抜けてる場合じゃないぞ! 次回はぴしっと決めて頂戴!
九十九、ごめん。……ゲキガングッズで釣られるのは屈辱だろーか(笑
ミナトさん、ごめん。……貴方より先にイツキとかガイが九十九に絡みそーな気がする(笑
いや、なんとかするけど(爆
代理人の感想
おー、引いてる引いてる(笑)。
大丈夫、ヒキや予告はいくら卑怯でも許されるものですから!
※ただし、次回の中身が伴わない場合を除く。某種とか(核爆)
それに、今回の話のメインはあくまでもガイ、本懐を遂ぐ!なので
月臣がらみに関しては次回でもよろしいかと・・・え、違う?(爆)