貴方は何度も夢を見る。

 

 

私と同じ、夢を見る。

 

 

いつもと同じ、夢を見る。

 

 

素晴らしい、夢。

 

 

決して忘れる事の出来ない夢。

 

 

誰もが夢見る、夢。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

貴方のいるのは夢の中。

 

 

夢の中では、何でも出来る。

 

 

何でも出来、そして何一つとして思い通りに行かない世界。

 

 

例え貴方の目が千里を見渡せようとも望むものは見つからず、

 

 

例え貴方の手が大きかろうと望むものは掌の中には入らず、

 

 

例え貴方の声が響こうとも想い人には届かず、

 

 

そして全ては儚く消える。

 

 

 

 

 

 

 

 

貴方の見る夢はいつだって悪夢。

 

世界中を探しても、比類無き悪夢

 

 

 

 

 

 

 

 

夢の中で、貴方は恋人を魔王に攫われた王子様。

 

 

夢の中で、私は魔王に連れ去られたお姫様。

 

 

貴方は私を取り戻す為に戦い、傷つき、そして魔王に立ち向かうの。

 

 

そして魔王の玉座に立ったその時、

 

 

魔王の爪は私の首を切り裂き、

 

 

魔王の牙は私の心臓を貫くの。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

嗚呼、可哀相な貴方。

 

 

貴方がして来た事は全て徒労。

 

 

貴方のその魔物の血を吸った剣も、

 

 

貴方のその魔物の返り血で薄汚れた鎧も、

 

 

 

全て無駄。

 

 

 

貴方に許されるのはただ、ただ泣く事だけ。

 

 

でも心配しないで。

 

 

貴方はもう一度やり直せる。

 

 

貴方はリセット出来る。

 

 

そしてもう一度、魔王に立ち向かうの。

 

 

そして私はまた切り裂かれ、貫かれる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

嗚呼、可哀相な貴方。

 

 

でも心配しないで。

 

 

また、やり直せばいい。

 

 

貴方の願いが叶うまで、何度でもやり直せばいい。

 

 

その度に貴方は朱色に染められ、

 

 

その度に私は命を散らす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

嗚呼、可哀相な貴方。

 

 

何度やり直しても望みが叶う事は決してないのよ。

 

 

だって、お姫様は自ら切り裂かれ、貫かれるのですもの。

 

 

貴方が何度魔王の前に立とうとも、

 

 

貴方が何度私に手を伸ばそうとも、

 

 

私は貴方の胸の中には収まらないの。

 

 

お姫様と魔王はグルなのよ。

 

 

 

 

でも、諦めては駄目よ。

 

 

貴方は、私のもの。

 

 

私は、貴方のもの。

 

 

貴方が他の女を選ぶなら、私はその売女を焼き払いましょう。

 

 

貴方が自ら命を絶つならば、私はこの愛で奇跡を起こしましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だから、来て。

 

 

私のもとに、早く来て。

 

 

私はいつだって貴方を待っている。

 

 

私はいつだって貴方の所へは現れない。

 

 

貴方が魔王の前に立ち、そして絶望し、泣き、笑い、叫んでやり直す。

 

 

その繰り返し。

 

 

いつまでも繰り返すの。

 

 

螺旋がほどけるその日まで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

踊りましょう、これほど愉快な喜劇は無いわ!!

 

 

喜劇に終わりの日は来ない。

 

 

役者は踊り疲れても、

 

 

体は勝手にに踊り出す。

 

 

つまずき転ぶその日まで。

 

 

 

 

ある日貴方はつまずくの。

 

 

ある日私もつまずくの。

 

 

運命の石ころにつまずくの。

 

 

嗚呼、待ちわびましょう。

 

 

石ころが現れる、その日まで。

 

 

踊りながら、待ちわびましょう。

 

 

傷つき、悲しみ、絶望に噎びながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その石ころの名前は"日常の破壊者"トリック・スター







機動戦艦ナデシコ
〜 I bless you 〜


幕間:貴方はいつも、ユメを見る。









(続き)
話が変わりますけど、最近忙しいです。
そのせいでBenさんを初めとする皆さんの作品を読んでる暇が無いというのが非常に辛い。
えぇ、辛いです。どれくらいかと言うとタバスコ位……ってそりゃ「からい」じゃ!(ノリツッコミ)
掲示板はちょっと開いた時間なんかに書き込めるけど、小説はある程度時間の余裕がある時に
ゆっくり読まないと読んだ気にならないんですよね。
だから感想もロクに書けません。
貰うだけで送らない、というのは失礼なのかもしれませんが、もう暫くお待ち下さいとしか言えないのが
申し訳ないです。
(まだ続く)