万物は自然の乳房から歓喜を飲み、
全ての善人も全ての悪人もバラの小道をたどる
第四話
「…そろそろかしらね」
「はい、先程無事にナデシコが出航したとの報が入りました」
「あら、もう出航しちゃったの? やっぱりちょっと情報を流すのが早かったかしら」
「特に問題という程の事では無いでしょう。只、ある程度の予定の繰り上げは必要ですが」
「と、いうことはあの子も既にもう海上の人ね。残念ねぇ、折角プレゼントを用意したっていうのに」
「…お言葉ですが、あの者程度にアレが使えるとは思いませんが」
「不服そうね。
そんなに渡すのが嫌なのかしら?」
「そ、そのようなことは…」
「まぁいいわ。別に好きにしていいわよ? どうせ扱える人間なんて殆どいないんだから」
「…恐縮です」
「それと、もう一つ。あの子が使えなくても、もう一人いるでしょう?」
「……!? まさか奴にアレを使わせるつもりで!?」
「の、つもりだったんだけどねぇ…。そうすれば何が有ってもあの子『は』護られるわ」
「……」
「ま、どちらにしろナデシコが落ちたらお話にならないもの。それより大道具はどう?」
「その件に付いてですが、”D”でトラブルが発生したようです。その為そちらに人員が取られてしまい、フローラムは改修中のままで合流する、とのことです」
「ふん、いいんじゃない?
どうせあの女の作ったポンコツ、元より期待してないわ。
それより”D”と”B”は最優先で急がせなさい。何よりまずあれが無いと盛り上がりに欠けるわ」
「厳命しておきます」
「よろしくね。
…さぁ、愉快な舞台の始まり始まり。ジン、アキトは踊りが上手かしら?
上手だと良いわね」
「…は。全てはマムの御心のままに」
機動戦艦ナデシコ
〜 I bless you 〜
第四話:牙
「…どういうことよ!?」
「だから、俺達は何もしていない」
「嘘おっしゃい! ど〜〜してくれんのよこんなにしちゃって! 私の責任問題になっちゃうじゃない!!」
バン、とムネタケの手が鳴る。
叩かれた先のウィンドウには、現在のサセボの状況が映し出されていた。
「だから、俺達がエレベーターから出た時点で、既に……全滅していた。救助者の証言だって有る。
大体、エステで無人兵器だけならともかく、そこら中を焼け野原になんて出来てたまるか!!」
「う…」
(ま、ブラックサレナでもあれば話は違うがな)
アキトの説得力に溢れた反論に、さしものムネタケも追及の手を止めざるを得なかった。
確かに機動兵器の一機や二機で範囲数kmにも及ぶサセボドックを焼け野原にするのは、どう考えても無理だ。
「じゃ、じゃぁ何だってのよ! 一体何がこんなことやらかしたっての!?」
「白い、悪魔だそうだ」
「は?」
ムネタケの目は点になった。それはそうだろう。これだけの被害を出しておいて、その言い訳が 「悪魔を見た」、では冗談にもならない。
「救助者の話では、白い悪魔が槍のようなものを持って現れて、一瞬で全て焼き払ったそうだ」
「馬鹿言ってんじゃないわよ! そんな威力のある兵器なんて「ありますね」
突然話に割り込んできたのはプロスだった。
眼鏡をくい、と上げるお得意のポーズを決めてから話を続ける。
「ナデシコの主砲、グラビティブラストならこの程度の芸当、十分可能です」
それを聞いたムネタケ、鬼の首を取ったようにまた騒ぎ出す。
「じゃぁこれをやったのはネルガルってことじゃない!!」
「それはまた別の話。不可能です」
あっさり掌を返す発言をする。
「考えてみて下さい。確かに相転移エンジン、グラビティブラスト、ディストーションフィールドは
今現在木星蜥蜴を除けばネルガルのみが所有する最新技術です。
ですがそれゆえに、そのサイズはナデシコに…戦艦に搭載出来る程度にまでしか、ダウンサイジング出来ていないのが現状です。
テンカワさん、件の白い悪魔とやらの大きさはお聞きしましたか?」
プロスの問いに、アキトは記憶を手繰りながら答える。
「大きく見積もっても精々10数m前後、だそうだ。複数の人から似たような証言を貰っている」
その回答に満足そうに頷く。
「だ、そうです。
いくらネルガルでも、未だ機動兵器に搭載できる程の小型グラビティブラストなど
作る事は出来ません。例え出来たとしても、サセボを焼き払う程の威力を出す事は到底無理でしょう」
「じゃ、じゃぁ犯人は何だってのよ!」
「現時点では分かりかねる、としか言えませんな」
ムネタケの叫びを切って捨てる。
それでこの話題は終わり、とばかりに今まで黙っていた他のクルーを代表して、ミナトが質問してきた。
「それより、これからどうするの?」
「とりあえずは予定通りの航路をとって、出発しましょう。
ドックがこの有り様ではここに留まっていても何も得るものは有りません」
そうだな……と呟こうとして、アキトはそこで初めて頭数が足りないことに気づいた。
「ところで、ユリカ…艦長は?」
「それがですね…」
ハァ、と溜息が零れる。
見るとムネタケ以外の他のクルーも似たような態度だ。
「テンカワさんのお出迎えと言い残して職場放棄して格納庫に向かった挙げ句に、途中でつまづいて転んで頭を打って鼻血を垂らしたまま気絶しているところを先程発見されました」
あまりの。余りの間抜けさ加減に。
「は、はは……そうか」
乾いた笑いしか出てこない。
相変わらず、の一言で済まされるにはあんまりにもあんまりな彼女に、笑うしかなかった。
笑うしか、なかった。
ブツブツ
「こんな威力の主砲がある?……使えるわね……出世も……」
「司令、緊急通信です!!」
その時ミスマルコウイチロウは、娘を迎えに行く為の(コウちゃん主観)準備をしていた。
一応軍命に従っているようにも見えるが、実際は親馬鹿故の公私混同である。
…それを指摘できる人間など、この艦には居ないが。
コウイチロウは、そんな素振りを欠片も見せずに応対する。
それが出来るからこその、現在の地位だ。
「何事だ。発信元は?」
「連邦総本部です」
流石にこの一言には動揺する。
大きく深呼吸し、動機が収まったのを確認してから促した。
「…わかった。繋いでくれ」
言うが早いか新たなウィンドウが目前に開く。
そこには軍の幹部連がずらりと揃っていた。
『ミスマル君、久しぶりだな』
「は、御無沙汰しております」
(まさか幹部が勢揃いしているとは…何事だ?)
『早速で悪いが、命令の変更だ。
極東方面軍第三艦隊はナデシコの拿捕を中止し、軌道上までの護衛を命ずる』
「何ですと、どういうことです!? あの艦を野放しにしろとおっしゃるのですか!!」
『有り体に言えばつまりはそういう事だ。 決して傷つけるような真似はしてはいかん。拿捕などもっての他だ』
「…説明して頂けますかな?」
コウイチロウとしてはいかなる手段を以ってしてもナデシコを止めたい。
ネルガルから譲渡された技術の数々が、ナデシコには惜しみなく使われているのだ。
軍人としてはそれほどの戦力をみすみす見逃す訳にはいかない。
いや、それ以上にあの艦にはユリカが乗っているのだ。父として、娘が死地に赴くのを歓迎する訳にはいかない。
だが、彼の前に居並ぶ面々は揃って渋面を作っていた。
彼等ですらどうしようもない状況なのか。
『………圧力がかかった』
「圧力? 議会ですか、それともネルガル?
まさかクリムゾンという訳ではありますまい」
『そんな可愛いものではない。
…デプレだ。デプレから苦情が来たのだよ。「連邦は契約というものを御存じないのか?」とね』
「なっ!?」
予想外のその名。
流石のコウイチロウも、驚きを隠すことは出来なかった。
『我々としてもネルガルの新造戦艦の戦力は魅力的だが、彼等に刃向かうのは御免だ』
「な、何故デプレがナデシコに!?」
『わからん。ここ半年程大人しかったのは、或いはこの為だったのかも知れん。
だが、余計な詮索は寿命を縮めるだけでしかないというのが、我々の総意でね』
「……そうですか」
最早これは決定事項なのだ、と諭すように言いくるめられる。
多少の相手からであれば彼等の保身を嘲笑うことも出来るが、流石に「デプレ」からでは……。
『それと、彼等から君宛に伝言が有る。
「御息女は、”白”が一命に代えてもお守りするので心配御無用」だそうだ。どうやらクルーの中にデプレの、しかもナンバーズが入り込んでるらしい』
「”白”……。ということは、一緒に邪眼もナデシコに?」
『わからんと言ったばかりだろう? それに、余計な詮索は寿命を縮める、とも言った筈だが』
これ以上は情報を引き出すことも無理だろう。
と言うよりも、彼等とてロクに情報を持っていないのだ。
「…了解しました。これよりナデシコの護衛に向かいます」
『よろしく頼むよ』
ピッ
ウィンドウが消え、コウイチロウは深い深い溜息をついた。
「まさかよりによってデプレとは……」
出来るのなら今すぐに飛んでいって力づくでも娘をナデシコから降ろしたくなった。
しかし、それが最早無理だということは嫌というほど分かる。判ってしまう。
「デプレ………史上最悪のテロ集団…。
奴等が関わっているのならナデシコの異常なスペックも納得が行く」
実の所それは全くの誤解であくまでネルガルが解明した技術なのだが、神ならぬ彼にはそこまでは分からなかった。
「ユリカ、無事でいてくれよ…」
「さて、ルリさん。メインクルーの皆さんをブリッヂに招集してくださいますか?」
「分かりました」
「…ミスター」
それまでウィンドウを色々いじっていたゴートが耳打ちする。
「わかっています。一足遅かったようですね。仕方有りません、そのまま行きましょう」
「大丈夫なのか?」
「大丈夫です。テンカワさんには既に連絡済みです」
小声のまま自信満々に答えるプロス。
「プロスさん、連絡終了しました。艦長は副提督が拾ってくるそうです」
「あぁ、艦長の事を忘れていました。テンカワさんなら心配無用ですねぇ」
………
「なんのことですか?」
「いぇいぇ、こちらの話です。なに、大したことではありませんよ」
ガガガガガッ!!
「ひ、ひぃっ! と、止まれ、止まれぇっ!!」
男はマシンガンを連射するが当たらない。
ガスッ
「…掃除完了」
アキトはたった今気絶させたばかりの軍人を縛り上げて、一個所にまとめてある所へ放り捨てた。
ピッ
『テンカワさん、プロスさんから連絡事項があるそうなので、ブリッヂに来て下さい』
「もうそんな時間か。分かった、医務室によってユリ…艦長を拾ってから行く。どうせまだ寝てるだろう」
『お願いします。………ところでその染みは、ひょっとして血ですか?』
ささっ
「…気のせいだ」
『深くは追求しないでおきます。では』
ピッ
「……ふ、誤魔化せたな」
絶対バレてる。
シュン
「邪魔するぞ。艦長はいるか?」
「あぁぁーーー……。いい所に来てくれました!!」
アキトが医務室に着くと、医師が泣き付いてきた。
「ど、どうしたんだ?」
「い、いやだ、いやだぁ…もうここには居たくない、私は降りるぅ!!」
「だからどうしたんだ!」
どう見ても治療する側というよりされる側の医師の姿を見て、何事かと原因を探る。
抱き着いてきた医師を引き剥がそうと試みるが、見かけからは予想も出来ない程の力でしがみ付いてきた。
「あの人たち、絶対おかしいです!!」
と、指差す先にはベッド………の上の変人二人。
「うおおおおーーーー!!ゲキガンビィ〜〜〜〜ム!!」
「えへへへへへぇ〜〜。アッキトぉ〜〜〜〜〜ムニャムニャ………エヘヘヘヘヘヘ」
確かにおかしい。
ガイは突然叫び出し、ユリカはニヤニヤ笑いっぱなしだ。
一人でも十分すぎる程濃ゆいのに二人居る事で相乗効果を生み出し、一種異様な空間がそこには広がっていた。
ちなみに、二人共熟睡中である。
「寝言だけでこんなに不気味なんです……。これで二人同時に目が覚めたりなんかした日には、私、私は、ワタシはぁぁぁ……」
「と、とりあえず落ち着け!落ち着くんだ!!」
完全に精神が汚染された医師を宥めて、アキトはとりあえず当初の目的を果たす事にした。
枕元に立って、妄想の世界から引き戻そうと試みる。
「おい、ユリカ、起きろ」
ゆさゆさ
「起きろって」
ゆさゆさゆさ
「駄目か…」
「甘い甘い」
「それじゃって、何ぃ!?」
振り返ると何時の間にか、そこにはケイが立っていた。
「ぜ、全然気配を感じなかったぞ……」
「なんかね、『うおぉぉぉーー、熱血ぅぅぅぅ!!』とか『あ、いや、そんな、アキト駄目よまだ私達には早いわ、でもでも、あは〜〜ん』とか面白そうな声が聞こえたんで、何なのかな〜〜って」
「いつのまに来たんだ?」
「かんちょーってば人が働いてるのにこんなところで寝てたんだぁ〜。あはは、幸せそうな寝顔だね〜
……何かムカツク」
相変わらず会話がお互いから3000m程ずれた所で成立しているように感じるが、気のせいだろう。
「まぁここはこのおケイさんにおまかせ?」
「どうするんだ」
「これで…」
といいながら出したのは、金色に輝く巨大なピコピコハンマー。
「そ、それは著作権やら何やらで問題が無きにしも有らずんば……」
「それじゃいきますか」
「行くな!!」
アキトの制止を無視して、ケイは金粉を撒き散らしながらハンマーを振りかぶった。
「光になれーー!!」
「するなーーーーーーー!!」
すんでの所で押え込む。
「……ダメ?」
『どうして止めるの?』とでも言わんばかりに、目を潤ませて聞いてくる。
(…そんなに使いたかったのか?)
アキトは体中から気力がもりもり抜けていくのを確かに感じた。
「艦長を光にして、その後どうするんだ…」
「それじゃこっち」
といい、今度は見覚えの有るハリセンを取り出し、ユリカに向かって振り下ろした。
スパーン!!
「ぐぇっ!」
潰れたカエルの様な声を出しながら、ユリカはようやく目を覚ました。
「あはっ、やっぱりボケの人にはツッコミが効くねっ!」
君も十分ボケの人です
その一言が言えたら、どんなに楽だろう。
かつてのナデシコより更に変人度が高まった今のクルーの中に居れば、胃に穴が空く日もそう遠くないと予感したアキトだった。
「…やっぱりそのハンマーも?」
「もちろんレキから貰ったの」
シュン
アキトがブリッヂに入ると、既に他のクルーは揃っていた。
「待たせたな」
「これで全員揃いましたね、結構です」
言いながらブリッヂを見渡すプロス。
全員が配置に就いたのを確認してから、本題を切り出した。
「さて、こうしてわざわざ皆さんにお集まり頂いたのはナデシコの真の目的を発表する為です」
「真の目的?」
「えぇ。ネルガルは大企業です、故に大きなプロジェクトを計画すると、それを邪魔しようとする妨害者も存在します。そのため、今の今迄その目的地を明かさなかったのです。
ナデシコの目的地は…火星です」
「「「「火星!?」」」」
その一言に驚くユリカ、ジュン、ミナト、メグミ。
残りは知っていたのか、それとも興味が無いのか。
「今から約一年前、軍は火星から撤退し事実上の放棄を決定しました。
ですが、それでは残された人々はどうなるのでしょう?
そこで我々は彼等の救出に向かうという訳です」
「なるほど…」
「まぁ戦争をするよりは…」
プロスの説明に一応の賛成をする民間出身者。だが、納得しない人間も居た。
「そんな、これだけの戦力を持った艦があるなら地球を守るのが先決じゃないんですか!?」
「アオイさん。そんなことは軍の仕事であって、我々は関係有りません」
「そんな…」
「それに、このナデシコを運用するに当たってネルガルから軍へ大量の技術や資金と引き換えに自由を認める契約を結んでいるのですよ?
この艦は戦艦ではあっても軍艦ではありません」
正論に言いくるめられて黙り込むジュン。しかし、その顔は苦渋に染められ、納得しているとは言い様が無かった。
「さて、それでは火星に向けてしゅっぱ「そうはいかないわ!!」
声に振り返ると、そこには銃を構えたムネタケと不愉快な仲間達が居た。
「サセボを消滅させられる程の火力を持った艦をやすやすと火星になんか行かせると思って? この艦は軍が徴発するわ!!」
「困りますなぁ、ムネタケ提督代理。軍とはもう話は付いているんですが?」
「そんなこと知ったこっちゃないわ。私は聞いてないわよ」
子供の論理を振りかざすムネタケ。
プロスは溜息をつくと、愚か者に裁きを下した。
「ルリさん、艦内の映像をお見せして差し上げて下さい」
「はい」
ピッ
「な、なな、ななななな、何よコレ!? どういうことよ!?」
ウィンドウに映し出されたのは縛り上げられた軍人の山。
「ネルガルをなめないで欲しいものですな。
軍人の方が侵入している事など百も承知。既に動けるのは貴方々だけですよ」
「そんな、そんなはずないわよ…」
ムネタケが呆然としている間に、あらかじめ見つかりにくい位置に移動していたアキトとゴートは走り出していた。
バキッ!!
一瞬で制圧されるムネタケの不愉快な仲間達。
余りの早業に誰一人として反応できるものは居なかった。
「さて、後は貴方だけとなりましたな」
ジリ………ジリ………ジリ………
少しづつ包囲され、角に追いやられていくムネタケ。
均衡を崩したのは、プレッシャーに負けて切れたキノコだった。
「キイイィィィーーー!! アンタ達、絶対に許さな「ケイさんお願いします」
「はいは〜い、ポチっとな」
ガイィ〜〜〜〜〜ン
「おふぅ!」
奇声と共にムネタケは崩れ落ちた。
ガランガランガラン……
「ケ、ケイちゃん? 何でタライが落ちてくるのかな?(汗)」
「何でって、トラップの基本はやっぱ上から金ダライっしょ」
えっへんと胸を張って答える。
「…ミスター。これは貴方の指示なのか?」
「い、いえ…確かにトラップの用意は指示しましたが、あそこにはスタントラップが仕掛けてあった筈です。金だらいを用意しろとは一言も…」
「…」
「…」
「…」
「…」
「…」
「…」
ブリッヂを何とも言えない静寂が満たした。張本人を除いて、皆唖然としている。
((((((((最新戦艦のトラップが金ダライ………))))))))
いつまでも続くかと思われた静寂を破ったのは、それを作り出した本人だった。
「あ、レーダーになんか引っ掛かった」
その一言で再起動するユリカ。
「ケイちゃん、それが何だか分かる?」
「え〜と、識別信号が軍のものだね。。極東方面軍第三艦隊旗艦、トビウメ。通信入ったよ」
「え、お父様の艦? それじゃ繋いで」
「……ルリちょんお願い」
そう言って自分はIFSコンソールから手を放し、耳を塞ぐケイ。
「(ちょん?)…繋ぎます」
ピッ
「ユゥリクワアアアアアアアアアーーーーーー!!」
再び停止するクルー。
「お父様、どうしたんです?」
「おぉユリカ、久しぶりだな」
「やだぁお父様、別れてからまだ一週間も経ってないじゃないですか」
聞きなれているのか、ユリカには怪音波は効果が無いようだった。
だが、その他のクルーはほぼ全滅。立派に制圧兵器と言えるレベルだった。
「これはこれはミスマル提督、どういった御用件ですかな?」
他の人間に先駆けてなんとか復活し問うて来たプロスに対し、親馬鹿から軍人の顔に切り替えるコウイチロウ。
「うむ。連邦宇宙軍極東方面第三艦隊司令、ミスマルコウイチロウである。
宇宙軍総本部からの司令により第三艦隊はナデシコが軌道上に上がるまで、護衛を勤めさせて頂く」
「はて?
そのような内容は契約に含まれてはおりませんでしたが。
それにナデシコの機動力にはついてはこれますまい?」
首を傾げるプロス。
契約の全項目を記憶している彼も初耳の内容だった。
「理由は軍総本部に問い合わせてくれ。それに、もうすぐナデシコに提督として赴任する者がシャトルで追いつくのでな、どちらにしろゆっくり行ってもらわねばならん」
「そうですかそうですか、これでやっと正式なブリッヂクルーが揃いますな」
「うむ。ところで、何故ムネタケがそこで寝ているのだ?」
「そう言えば忘れてましたな」
「忘れてたぁ」
「忘れてたよ」
「忘れてたわね」
「忘れてましたね」
「…うむ」
「どうでもいい」
「おなかへった」
「………バカばっか」
…一部に全然関係ないコメントをしている人間もいたようだ。
「はは(汗)、先程ムネタケ提督代理がナデシコ強奪を目論みクーデターを起こしまして。気絶させたままでした」
プロスの言葉に額を押さえるコウイチロウ。
「ムネタケ……軍の恥を晒しおって。
申し訳ない、ご迷惑をお掛けした」
コウイチロウは深い溜息を吐いた。
恐らく、以前にもこの毒キノコは散々やりたい放題してきたのだろう。
「プロスさん、折角ですから軍のご厚意に預かりましょう。プロスさんとジュン君は打ち合わせに行くので一緒にトビウメに来て下さい」
そういうと、ユリカは二人を引き連れて颯爽とブリッヂを出ていった。
三人が出て行き、ウィンドウも閉じたので途端にブリッヂ中にだらけた空気が満たされる。
「…艦長って、一応艦長してたのね」
「ミナトさん、いくら艦長がアレでもちょっと失礼ですよ」
「メグミちゃんも結構ヒドいこと言ってるわよ」
またしても暇になり、雑談モードに入るミナト、メグミ。
暇なのは何にも変わっていないのだからしょうがないと言えばしょうがない。
「それより早く来ないかな〜。会うの久しぶり」
「あら? ケイちゃん提督が誰だか知ってるの?」
「知ってるよー。バリバリの軍人さん。恐いけど怖がりなの」
「どんな人よ……」
「さ、さ、ユリカ。たーんとお食べなさい」
ユリカとコウイチロウの前には、大量のケーキがこれでもかと並べられていた。
「いっただきま〜す。はぐはぐ」
ユリカは満面の笑みでそれを頬張る。
コウイチロウはその光景に本来の目的を忘れそうになったが、
決心して話を持ち掛けた。
「…なぁユリカよ。お前は年々母さんに似てきたな」
「そうですか?覚えていないからよく分かりません」
「あぁ、よく似ているとも。……実はお前に重要な話があるんだ」
コウイチロウは今までの親馬鹿然とした態度を切り替えた。
ユリカはその只ならぬ真剣な顔に、頬張るのを一時止める。
「なんです、お父様」
「…ナデシコを降りなさい」
「出来ません」
ピシャリと言い切る。
「良いから降りるんだ!! 私はお前が危ない目に逢うのは嫌なのだよ」
「出来ない、といったばかりですよ、お父様?
私はナデシコの艦長です。艦長はクルーを決して見放してはならないと教えてくれたのは、他ならぬお父様です」
「それは…確かにそうだが」
困りながらも、コウイチロウは嬉しかった。
早くに妻を亡くし、男手一つで育ててきた娘がかくも立派になるとは。
「それに、あの艦には私の大事な人が乗ってるんです」
「なんだとーーーーーー!?」
「この戦争が終わったら結婚します。絶対幸せになりますから応援して下さいね♪」
ちなみにアキトの承諾はおろか、そういった話をしたという事実すら欠片も無い。
「イカン、イカンイカンイカン!!何処の馬の骨とも分からん奴にワシのユリカは渡さんぞ!!」
…いい感じ、台無し。
早くに妻を亡くし、男手一つで育ててきた娘をホイホイ攫われてたまるか。
「馬の骨だなんて、アキトのことはお父様もご存知でしょう」
「アキト、アキト………誰だったかな?」
「火星に居た頃、隣に住んでいたアキトです」
娘の言う人物に、コウイチロウは漸く気づいた。
「おぉ、テンカワさんの息子さんか……」
「今、ナデシコで副提督さんをやってるんです」
「そうか……御両親がお亡くなりになられたのに立派なものだ」
「え、それは本当ですか?」
その一言に驚くユリカ。
「なんだ知らなかったのか?
…我々が火星を発つ時に見送りに来てくれただろう?
あの後空港がテロにあってな、その時暴徒の凶刃に倒れられたそうだ。
私としても人づてに聞いただけだがな」
「そんな………アキト、一言もそんなこと教えてくれなかった…」
ユリカは愕然とした。
だが、よく考えれば彼女が再会してから彼と雑談を交わした事自体ほとんど無いという事実に気づきそうなものだが。
「ま、それはそれとして、だ。絶対認めんからな!!」
「認めて下さい!!」
「認めん!!」
「認めて下さい!!」
「認めん!!」
「認めて下さい!!」
「認めん!!」
「認めて下さい!!」
「認めん!!」
「認めて下さい!!」
「認めん!!」
「認めて下さい!!」
「認めん!!」
「認めて下さい!!」
「認めん!!」
ゴオオオオオオ……
「やっとお出ましかぃ」
呟くウリバタケの視線の先には、輸送用のシャトルが有った。
ユリカとコウイチロウの会談が予想以上に長引いたために、出発するより先に着いてしまったのだ。
「到着したようですね」
「ん?誰だ」
振り向くと、そこには黒衣の青年。
見覚えの無い顔だが、彼はこちらを懐かし気な表情で見ていた。
だが、それが不快と言う訳ではない。むしろ心地よい、そんな表情。
「副提督のテンカワアキトです」
「おぉ、俺は整備班班長のウリバタケセイヤだ。よろしくな」
そう言い、男臭い笑みを浮かべる。
青年…アキトは、礼儀正しくお辞儀をした。
「よろしくお願いします」
「ところで、副提督さんが何の用だ?」
「アキトでかまいません。あのシャトルに正式な提督が乗っているので出迎えです。
それと、俺がテストパイロットをする予定の機体も乗っている筈ですので」
「例の機体か……おっと、御到着だ」
話している間にシャトルは既に着陸していた。
ハッチが開き、一組の男女が降りて来る。
二人共、若い。
アキトは代表して声を掛けた。
「ナデシコへようこそ。私が副提督のテンカワアキトです」
「私は地球連邦宇宙軍所属のモトコ・ディ・オキシ中佐です。
この度ネルガルの新造戦艦ナデシコの提督に任命されましたので、今後ともよろしく」
「ネルガル所属のレキ・W・スパス整備士。新型担当」
アキトの挨拶に少女は生真面目に、少年は面倒臭そうに答えた。
「とりあえずブリッヂに行きたいのだけど、艦長は居るかしら?」
「あ、いや、艦長は現在トビウメにて会議中です」
「そう。では失礼させて頂くわ。…あぁ、道案内は結構。地図位頭に入れてあるから」
そう言い放つと、モトコは二の句も告げさせずにさっさと格納庫を去っていた。
アキト以下その場に居た全員、声を掛ける事すら出来なかった。
「あんなんが中佐で提督なんてびっくりしただろ」
呆然としたアキトに少年…レキが声を掛ける。
「お久しぶりだねアキトさん。ケイは大人しくしてた?」
「あ、あぁ、久しぶりだなレキ君。ケイちゃんは…」
脳裏をあのHi-speedな再会が過ぎる。
その一瞬の躊躇いを、レキは見逃さなかった。
「…その分だと何かやったね。…………おしおきだな」
「は、はは…」
どんなおしおきやら。
少年の表情を眺めつつアキトは、心の中でケイの冥福を祈った。
「なんだなんだ、お前ら顔見知りか?」
そう言い、ウリバタケが話に参加してきた。
レキは視線でアキトに『誰?』と問い掛けてくる。
ウリバタケはそれに気づき、自己紹介をした。
「俺は整備班長のウリバタケだ。これから同じ職場なんでよろしくな」
「班長? じゃ丁度良いや。ウリバタケさん、悪いけど早速手伝って」
「何をだ」
と言っても整備班長の手伝いを必要とするのだから、大体決まっている。
「新型を降ろしたいんだ、テンカワさん用のね」
「お? いいぞいいぞ、いじらしてもらえるんなら何だってやるぞ」
ウリバタケの予想通り通りだった。
彼の顔は喜色満面。よほど嬉しいのだろう。
レキは懐から一枚のディスクを取り出した。
「それじゃ、これが設計図。一通り目を通したら声かけて」
「おう! 待ってろ、直ぐに戻ってくるからな!!」
言うが早いか、ウリバタケはディスクを抱えて走り去っていった。
「さて、それじゃ彼が戻るまでに簡単な説明をしとくよ」
説明、その一言にアクセントを置いて言う。
以前感じた通り、彼もあの某女史に通ずる所が有るのだろう。
アキトは嫌な予感に冷や汗を垂らしつつも耳を傾けた。
「あれは基本的にはエステをベースにしてあるけど、その実特性という面では全く違う」
レキは積み荷を下ろしている方へと歩き出した。
「エステバリスは汎用性…あらゆる所での使用を目的とした機動兵器だ」
コツ…コツ…コツ…
作業音で騒がしい筈の格納庫で、何故か靴が地面を叩く音が耳に障る。
「ゆえにサイズを6m前後に押さえ、ジェネレータを搭載するスペースすら惜しんで軽量化された。
でないと建物内でなんか動けないもんな」
オーライ、オーライ…
ゆっくりと巨大なコンテナが3つ降ろされてくる。
「だが、それは戦闘力の低下という事態を引き起こした。
ディストーションフィールドが無ければデルフィニウムにすら墜とされる程度の防御力しかないんでね」
ズズ……ゥン
中でも、とりわけ大きい一つのコンテナが足を下ろす。
「また、動力をバッテリーに頼るのも、単独活動時間の点でかなり問題が有る。だからエステは、『艦載機』止まりの存在だった」
コンテナには厳重な封印が施されているようだ。
中身を守るというよりはまるで、中身から外界を護るかの如く…
「ネルガルはそれらの欠点を解決する為に、まず構造材そのものをバッテリーと化す技術を開発した。また新たに手に入れた膨大な電力をもって戦艦…ナデシコ級のディストーションフィールドも発生させることが可能になった」
コンテナは漆黒で、その上に紅で『B・S』と書かれているのが見える。
「更に重力波推進では今一つ不安というか緊急制動にラグが残るので、全身スラスターの塊にして機動戦闘では無敵にした」
整備員の手により一つ、一つと解かれていく封印。
「そして汎用性を保つ為に、それらを追加装甲の形で搭載した。いざという時は排除可能」
封印は、後はカードリーダーを残すのみ。
レキはその前に立った。
「…というのはウ・ソ。
この中に入っているのは、全くの別物だよ」
「!!」
してやったり、といったところだろう。
振り返りつつ、更に続ける。
「この中に眠っているのは、出発点は同じでも執着点が全く違うもの。
……汎用性など全く考慮の内に入れていない」
その手には一枚のカード。
レキはカードを玩びながら囀った。
「1フレームにすることで機体剛性の向上とウェイトの軽減を施し。
それにより更に機動力が上がったお陰で、パイロットの命すら脅かすほどの力を手に入れた」
再び向き直り、カードリーダーの前に立つ。
「ホントはさっき行った研究所製の量産型を『貸す』つもりだったけど気が変ったんでね。
コイツは『君のものだ』。たった今から。」
シュッ
音を立ててカードが飲み込まれていく。
「その他の全てを棄てて、ただただ戦闘力のみを手に入れた呪われた巨人……純粋な兵器。
君にしか扱えない、君だけの牙だ。その気になれば…」
「君は…っ!!」
ひょっとして知っているのか、と続けることが出来ない。
「その気になれば、コロニーすら墜とせる」
(知っている!?)
ゴゥ………ン
開ききった地獄門は薄靄を止めど無く吐き出し続けていた。
そして…
「さぁ、これがエステバリス・準戦略級機動フレーム「サレナ」改」
その奥に…
「世界に唯一つのみの、君だけの『牙』」
佇むは…
「……ブラックサレナだよ」
「何事だ!?」
艦長席に座るなり、コウイチロウは大声で怒鳴った。
「海底で沈静化していたチューリップが急遽活動を再開!既にミソッカスとアンジーが飲み込まれました!!」
「ぬぅ、仕方ない。ナデシコにも協力してもらうか。ユリカ! 取りあえず艦に戻っ………ユリカ?」
見渡せど娘は居ない。居ないったら居ない。
「あの、お嬢様なら……もうとっくにヘリでナデシコに向かっていますが?」
………
「………クスン、置いていくなんてヒドイやユリカ」
ババババババババ………
トビウメブリッヂ注目の的、当のヘリは既に海上の人だった。
「ブリッヂ聞こえますか? こちら艦長のミスマルです」
『はい、こちらナデシコです。今、どちらに?』
「ヘリでナデシコに向けて帰還中です!とりあえず……」
『かわるわ……はじめまして、ミスマル艦長? 私は提督のオキシ中佐よ』
「あ、は、はじめましてミスマルユリカで、ってそれより!」
『慌てないで。既にグラビティブラストはチャージ完了。迎撃にはテンカワ副提督がもうすぐ出るから』
「アキトが!? あぁ、やっぱり私のピンチには助けてくれるのね!!」
その一言でアッチの世界に行ってしまうユリカ。
この時点で彼女に指揮能力など残されていなかった。
「はいはい、ちょっと大人しくしてて下さいね……
こちらプロスペクターですが、他のパイロットはどうしました?」
『格納庫が搬入された資材の梱包を解いている真っ最中だった為に出撃できるスペースは無いわ』
「それは…」
プロスは間抜けな事態に少々焦った。
だが、これがナデシコ。例え有能でも所詮売れ残るような抜けた人材揃いなのだ。
「あ、アキトが出てきた!!フレーフレーア・キ・ト、ガンバレガンバレア・キ・ト
……あのエステなんか顔が恐いね」
横から聞こえる声に彼は外に目を向けた。そして絶叫。
「ってあれは、以前見たものとまた形が変ってるうぅぅぅぅ! レキさん、また使い込みをして改造しましたね!?」
素っ頓狂な悲鳴を上げるプロス。
どうやら、レキはイネスとウリバタケを足して二で割ったような人間らしい。
ドォーーーン、ズガーーーーーン
チューリップは執拗に追いかけるがその全てをブラックサレナは紙一重で躱す。
傍目で見ても、その性能は圧倒的だった。
「この動き、体にかかる消しきれないG、まさにこれは…」
コクピット内で呟く。
ピッ
ウィンドウにレキが現れる。
アキトは、ウィンドウを見ながら余裕でサレナを操っていた。
『アキトさん、言い忘れてたけど……』
「なんだ?」
『それ、ジェネレータが不完全なんで予定の60%の出力も出ないから』
「……」
アキトは絶句した。
「あの時のサレナより更に上か…」
『もう一つ』
「なんだ?」
話しながらもチューリップは執拗に触手を伸ばしてくる。だが、アキトはその全てをいいようにあしらっていた。
『今後、それに乗り続ける気があるなら、決めてもらわなきゃならないことがある。
さっき説明した通り、そいつの中にはあのピンク色のエステは入っていない』
「それがどうした」
『……だから、決めろ。
そいつを手放し陽の当たる道を生きるか、それともそいつ同様心の底まで闇色に染まるか。
今、決めろ』
「ーっ!!」
アキトは息を呑んだ。
知っている。彼は、自分のしたことを知っている。
答えは、決まっていた。
「俺は……罪人だ」
その言の葉を聞いて、彼は笑った。
『オーケイ契約成立だ。精々頑張れよ、Prince of darkness』
「遅くなりましたぁ!!」
ユリカとプロスはブリッヂに駆け込んでくる。
奇しくも、出航日の再現のような光景に、皆はバテているプロスを当然のものとして捉えた。
「状況は?」
「ミソッカスとアンジーが飲み込まれました。今は副提督が上手く足止めしてくれています」
「うーん、じゃ、チューリップに向けて特攻、中から「待ちなさい」
突然の声に振り向くユリカ。
「何か?」
「外から撃っても十分じゃない?ホラ」
と指差す先のチューリップは、ブラックサレナの猛攻によってボロボロだった。
「「「「「「「……」」」」」」」
じとーーっ
擬音に表わすならば、そんなところか。
「あ、あは、あははははは…」
周囲からの冷たい目線は、ユリカの只でさえ少ない権威や人望といったものを確実に削っていた。
「じゃ、じゃぁアキトが離脱完了次第、グラビティブラスト発射で決まり!!」
「はぁ、やっぱり艦長ってアレだったわね」
「ですね」
その日、ナデシコは初陣を快勝で飾った。
「僕は…………クスン」
「私の出番も…」
「うおおーーー!!熱血ーー!! ムニャ」
「「「「「私達、描写すらされてない……」」」」」
「ミソッカスとアンジー飲み込まれたのに快勝?」
くりかえす、快勝であった。マル。
ピッ
「…ふぅ」
ズドオ………ン
遠くで派手な爆発音が響く。チューリップが落ちたのだろう。
「とりあえずここまでは予定通り、か。主役じゃないとはいえ、メインキャストが降板しなくてヨカッタヨカッタ、と」
コッ、コッ、コッ
勝利に浮かれている整備員を横目に、もう一つの巨大なコンテナに近づく。
「かくして王子様は魔王を屠る為の剣と鎧を手に入れました、とさ。
……お次はお姫様の独壇場の準備か。面倒だねぇ」
先程と同じようにカードを差し込む。
違うのは、今度はコンテナそのものではなく小さな…人一人が通れる程度の扉が開いた事か。
「お前の出番はまだちょっと先みたいだね………」
視線の先には、黄金の巨人が眠っていた。
機動戦艦ナデシコ
〜 I bless you 〜
第四話:牙
終
(これでラスト)
現在、6話を書いてるんですが…
幕間の後書きで書いた理由で、進んでません。
最後に手を付けたのは、去年の暮れのOFF会に行く途中の電車の中です(爆)
電車の中って、何でか集中出来るんですよね。
あと、3話に書いた理由も。
某キャラを今後どうするか。
退場させるか、それともそのまま登場し続けさせるか。
もっと言えば、某親衛隊を敵に廻すか(マテ)
これは問題です。
宇宙に上がり、
陰謀が張り巡らされ、
狂犬は放され、
そしてアキトは友を失う。
「私は、貴方の味方よ?」
管理人の感想
日和見さんからの投稿です!!
おお、ブラックサレナだ!!
やっぱり格好いいな〜
それにしても、「時の流に」と同じ様な名称が使われてビックリ(汗)
まさか準戦略兵器とはね〜
まあ、同時アップだから問題は無いか(苦笑)
それにしても、オリキャラが良い味出してますよね。
特にケイちゃん(笑)
でも、一部名前の違う・・・ゴホンゴホン!!
では、日和見さん投稿有り難うございました!!
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