「と言う感じかな?あの頃は・・・。 細かい点では違う事もあるけど、そんな感じで一日が過ぎていくんだ」 ―・・・・何気にハードな日常だな。 ―・・・一日の睡眠時間4時間ちょっと? 私、絶対無理。 「ん?あー、さっき話した一日はまだ寝れたほうだよ。 何時もは一時間半少し越えるかどうか・・・」 ―・・・・・・・・・・。×2 「えーと、まだ何か話す?」 ―いや、もうお腹一杯だ。 それにこれだけで十分話になる。 ―そうだね〜。 それじゃ、これ謝礼です。 「あ、ありがとう・・・ってこれ何?」 ―ん?列車のチケット。 そこに書いてある所に行けば良い。 同盟もそこにちょっかいかけるのは躊躇するかもしれん。 「そうか?ま、ありがと」 ―それじゃ、さよならです! また会いましょうね〜。 「あ、ああ、またね」 一冊の本が生んだ哀れな男の愉快な喜劇 第6話 ―親友との再会― 作者 広島県人+アヤカ 地球・ヨーロッパ某所 「ん〜、やっと着いたね」 「そうだね。 でも偶には今回みたいに列車の旅っていうのも悪くないね」 「そうですね。 広島県人さんでしたっけ? 今度会ったらお礼を言いましょう」 「そーだねー。 楽しかったもんねー」 「ま、その内会えると思うけど。 ・・・えーっとあっちかな?」 「ねー、アー君。 クルスさんだったっけ?」 「アキトさんのご友人ですよね」 「そ、俺の一番古い親友だよ」 逃亡者テンカワアキト一行は、 数日前広島県人&アヤカの作者コンビに、報酬として貰った列車のチケットで列車の旅をしていた。 (既に逃亡行ではなく旅行になっている) アキトが受け取った封筒の中には三枚のチケットと、とある住所と人名が書かれた紙が入っていた。 そこに書かれていた人物とは、クルス=カナット(レイン) アキトの火星時代からの友人だ。 どうやらカナット氏の住所が書かれているらしい、と判断した一行はアキトの提案もあり、広島県人の ―ん?列車のチケット。 そこに書いてある所に行けば良い。 同盟もそこにちょっかいかけるのは躊躇するかもしれん。 という言葉を信じて列車に乗ったのだ。 「ねーアー君、あっち? じゃー行こー♪」 「おっと、そんなに急がなくても大丈夫だよ」 「いえ、急ぎましょう。 カナット財団の取締役社長と言えば、地球で多忙な人物のトップクラスに位置します。 幾ら友人とは言えアポも無しでは・・・」 「あ、そうか。 あいつ社長なんてやってたんだよな〜」 「アー君!ほらほらはーやーくー」 はしゃぐ枝織嬢だが、 がっちりとアキトの右腕をキープしている。 苦笑しているアキトを挟んで 左にいる千紗はアキトと一緒に苦笑しているが、そんな彼女もアキトの左手をしっかりキープ。 もっとも腕を組むのではなく、指と指を絡ませる形で手をつないでいる。 周囲の男共から怨嗟の視線がアキトに送られるが、アキトはキッパリと無視。 右腕に当たる枝織嬢の柔らかな温もりにも大した動揺はない。 テンカワアキトのこの変化は成長と見るべきなのだろうか? 言える事はただ一つ、今のアキトはヤマダが 『ダイゴウジ・ガイ』から『ダイゴウジ・ガイ セカン』に進化したように、 そう!『テンカワアキト』から『テンカワアキト セカン』へ変わったと言う事だろう。 ・・・・・あえて何処が? とは言わないが・・・。 5時間後 カナット財団本社ビル前 「・・・でかい」 「ほわー」 「・・大きいですね」 最寄の駅から徒歩でも20分ほどの所にあるビルに、何故5時間もかかっているのか? 理由に関しては幾つかある。 1、枝織嬢がバスカー(日本でいう所の路上演奏者のようなもの)のパフォーマンスに夢中になった。 2、カフェで一休みしていた。(紅茶とスコーンがかなり美味しかった) 3、アキトが道を間違えた。 と言うものだが、 その道中 「わぁー2階建のバスだー!」 「あ、本当ですね。 2200年代になっても残ってるとは・・・」 「なんか骨董品みたいだね」 「千沙ちゃん!千沙ちゃん! ほらほらあれ!お城みたいだよ!」 「本当にお城みたいですね。 あ、ガイドブックにありました。 ・・・あれはセント・メアリ教会だそうです」 「教会にしてはそういう感じがしないね」 「うわーおっきい時計塔だね〜」 「あれは古い国会議事堂だそうですが・・・」 「え!?そうなの?」 ・・・・・完全に観光になっていたらしい。 恐らく彼女らは道に迷ったとは思っておらず、単純にアキトが観光に切り替えたと思っているらしい。 テンカワアキト、自分に寄せられる信頼で恥をかかずにすんだ男。 ちなみに観光中、 偶に地図を見る以外アキトの両腕は女性陣が確保していた。 ・・・・3番が一番時間を喰ったのだが女性陣は気にしていないようだ。 まぁ、迷った事自体に気がついていないのかも知れない。 何はともあれ、一行はカナット財団本社ビル前に到着した。 流石にビル内で必要以上にイチャつくのは拙いと思ったのか、 女性陣は手を繋いだり、腕を組んだりしていない。 千紗はアキトの秘書よろしく左側一歩後ろを歩き、 北斗は (枝織は観光で満足したらしく、ご休憩♪ 北斗は北斗で迷子にならないように アキトのジャケットの端をつかんで歩きながら) 辺りを珍しそうに眺めている。 アキトは北斗の様子に苦笑を浮かべながら受付に向かう。 「すいません。 私はテンカ、じゃなくて。 レイジ=アズマと言うのですが、 クルス=レイン・・で無くて、えーっと・・そう、カナット、クルス=カナット君いますか?」 「クルス=カナット、ですか? あの、失礼ですが・・」 「あーっと確か、 この会社の社長してるはずなんですが・・」 「・・・失礼ですが、 アポイントメントは・・」 「うっ、アポは無いんですが、 えーっと・・火星のユートピアコロニー第2養護施設『揺り籠』のアズマだと言えば 彼には解る筈なので、そう伝えてもらえませんか?」 「それは・・・・」 本来ならVIP中のVIPである社長に対し、 アポ無しで会おう等というのは無理なことだ。 しかし、 アキトの応対をしていた女性社員(25歳・彼氏いない歴二週間)は、 偶然にも社長・クルス=カナットが火星の孤児院出身であることを知っていた。 もちろん情報源は『民明書房』から出版されているあの本だが。 これを思い出し、一瞬躊躇した彼女への追い討ちが、この時アキトの浮かべていた表情だった。 それは漫画でいうなら、 『ダメ?ダメなの?』 といった文字が背景に書き込まれて、 物凄く不安そうな表情で彼女を上目使いで見上げているのだ。 ちなみに彼女にはアキトの頭に犬耳が見えていた(もちろん幻覚) しかもたれているのだ(しつこいが幻覚) 「(い、犬耳!?犬耳ぃぃぃ!!)」 内心で魂の絶叫を上げながらも、 流石はプロ! 表情には一切出さず、流れるように応対する。 「わかりました。 少々お待ちいただけますか?」 「あ、はい。お願いします」 アキトスマイル発動! 女子社員(25歳・彼氏いない歴二週間)にクリテカル! アキト達が備え付けのソファに向かうのを女子社員が見送る。 女子社員は再び幻覚を見ていた。 「(犬耳がピョコンってたってるぅぅ! 尻尾をぶんぶん振ってるぅぅ!!)」 どうやら女子社員(25歳・彼氏いない歴二週間)は、色んな意味で犬が大好きなようだ。 そんな女子社員には一切気づかず、ソファに腰掛けるアキト一行。 落ち着いたところで千紗は疑問を口にする。 「あの、アキトさん。 アズマレイジって・・・」 「ん?ああ。 アズマレイジって言うのは、前にクルスと話してた時考えた偽名だよ。 近くに来て、もしも会社に来るならそう名乗れって言われてね」 「ふーん・・・アキト、 アズマってどんな字書くんだ?」 「ん?確か・・・・こんな字」 アキトは懐から手帳を取り出し、『吾妻玲二』と書くと北斗と千紗に見せる。 二人は何やら安心している。 どうやら『アズマ』が『東』でない事を確認したかったようだ。 千紗は内心で感心していた。 「(流石ですね。 本名ではなく、偽名を使うことで『漆黒の戦神・テンカワアキト』と連想される可能性を押さえ、 アキトさんがファン等に煩わされる可能性を排除したんでしょうね。 いえ、むしろファンによって業務に支障をきたすのを避けたかったんでしょうか? なんにせよ、アキトさんの天然さをしっかりと理解しています)」 千紗は今だ見ぬクルス=カナットに対して、内心で素直な賛辞を送るのだった。 北斗はそういったことに対して興味が無いため、早くも周囲の物に興味の対象を移していた。 3分ほど待ったころ、 エレベーターホールの端に位置していたドアが開き、 中からアキトと同年代の男性が飛び出してロビーを見回す。 その男性を確認したアキトは立ち上がり声をかける。 「クルス!」 「!・・ああ!久しぶりだな!!」 近寄ってきた男性・クルス=カナットとアキトは、互いに歩み寄ると肩を叩き合う。 千紗はその光景を微笑ましく眺めていたが、ふと気になって取り次いだ女性社員の方を見た。 女性社員(25歳・彼氏いない歴二週間)は、心の底から安堵していた。 実のところアズマレイジなる人物のことを、社長に伝えても良いのか自信がなかったのだ。 何と言ってもアポ無しで、いきなり自分の事を伝えてくれと言われたのだ。 普段の彼女ならば確実に、丁寧な口調ながらもハッキリと断っただろう。 いくら犬耳にヤられたとはいえ、軽率だった(幻覚だって) そう後悔していたら、何と社長自らホールまで出向いているのだ。 しかも親しそうに話をしている。 よかった。本当によかった。 彼も、アズマレイジさんも嬉しそうだ。 だって尻尾をあんなに振っている! (いや、だから幻覚だって) 一時間後 社長室 「と、まぁそんな訳で現在逃亡旅行中な訳だ」 「くっくっくっく・・・ アキト、お前も大変だな」 「クルス・・笑い事じゃないんだぞ。 ・・・少なくとも当人にとっては」 親友同士の再会の後、一行は場所をクルス=カナットの仕事場である社長室に移していた。 そこでアキトはここに至る事情を親友に話していた。 もちろん同行者のことも紹介している。 千紗はともかく、 北斗の事になると流石に驚いていたが、 そこはアキト自身とテンカワスマイルの威力を、最も古くから知る親友である。 『・・ほー、やっぱりアキトは凄いな』 の一言で納得してしまった。 クルス=カナット、 テンカワアキトの最も古い親友は伊達じゃない! (某連邦のニュータイプ) 「んで、アキト俺に会いに来たって事は何かあるんだろう?」 「は?いや、何も」 「・・・ただの顔見せに来たのか?」 「ん、まー折角ヨーロッパに来てるのに、親友の顔を一度も見ないってのは流石に薄情だろ? それに偶然とは言え、列車のチケットも手に入ったし」 「お前、追われてるってのに・・・ アキトらしいって言えば、アキトらしいけど(苦笑)」 そういって互いに、気心の知れたもの同士ならではの笑顔を浮かべる。 同行者二人の内の一人、千紗嬢はアキトがリラックスして良い笑顔を浮かべている事を 我が事のように嬉しそうに微笑んでいる。 ちなみに、影護姉妹は味覚のみ共有し、 出されたレアチーズケーキ(既に五皿目)をパクついている。 その表情は思わず微笑み返してしまいそうな笑顔だ。 「そう言えばアキト、今夜何か用事あるか? 無いなら付き合えよ。 会わせたい人もいるし、たまには気兼ねなく安酒を飲みたい」 「ん?ん〜〜。 ・・・・って、悪い。 俺酒飲めないんだよ」 「誰も酒を飲めとは言ってない。 久しぶりに気兼ねなくのんびりとしたいんだよ」 「彼女等も一緒でいいか?」 「勿論。 綺麗な女性が一緒なら、安酒でも稀代の美酒を越える味わいだろ」 「・・・・クルス。 誰にそんな言い回し教わった」 「学生の時読んだ雑誌」 自分達の地位や立場を完全に忘れた会話だった。 この時彼らはただの青年に戻り、親友との会話を楽しんでいたのだ。 その後しばらく女性陣を交えた雑談をかわし、クルスは隣室にいったん下がる。 再び現れたクルスは青年実業家の面影は無く、世間慣れした学生の様な服装と態度だった。 「さて、行くか」 「・・・クルス。 お前、結構仕事の後で街に飲みに行くだろ」 「たまに、な」 そう言って誤魔化すクルス=カナット。 実際には、定期的に一人で町に繰り出していたりするのだが、アキト達は知らないことだ。 「それと今日は太陽系最強の護衛もいるし。 アキト、頼んだぞ!」 「俺かよ」 「否、アキトだけじゃない。 おーい」 「失礼します」 クルスのハッキリとした物言いに アキトと千紗が苦笑を浮かべ、 北斗がこの辺りの地酒を思い浮かべていると、よく知っている声が聞こえた。 「お待たせしました。 ・・・・お久しぶりですアキトさん」 「お、オウカ(さん)!?」×3 「はい、アカギオウカです♪」 「この人がさっき言った会わせたい人だよ。 聞いたぞ〜。 一週間ぐらい彼女の所でバイトしてたんだろ?」 「あ、ああそうだけど」 「ま、詳しい話は飲みながらにしよう!」 「・・・クルスよっぽど飲みたいんだな」 クルスはアキトの肩を後ろから掴むと グイグイ押して歩き始める。 「なんだか子供みたいですね」 「仕事中は真面目で紳士的な方なんですけど、余程アキトさんに会えたのが嬉しいみたいです。 私達もいきましょう。置いていかれます」 「・・・・オウカ」 北斗がオウカの肩を掴む。 「・・・この辺の酒は何が旨いんだ?」 「(子供がここにも居た)」×2 北斗はケーキ6皿を完食し、さらに酒を飲めると上機嫌だった。 本日の保護者二人は苦笑しつつも、赤毛の被保護者と手をつないで先に行った 地球圏で最も知名度の高い、やんちゃ坊主達を追いかけるのだった。 1時間後 バーにて 「じゃあ俺達がでた後で?」 「はい。 カナット財団からオファが入りました。 ・・・その前にナデシコが来ましたけど」 男女五人の話題はオウカの近況だった。 思い思いの物を飲んでいるが、 まがりなりにもアルコール飲料を飲んでいるのは、クルス・北斗・千紗の三人だけだった。 クルスと北斗はともかく、千紗が飲んでいるのはアルコールが名目上入っているだけであり、 実際にはジュースと変わらない。 アキト・オウカの二人は職務上、体質的な問題でノンアルコールだ。 実質的に飲んでいる二人はアルコ−ルに強いのか、上機嫌ではあるが言動がしっかりとしている。 なかなかマナーの良い酒飲みだ。 「あははははっははは! あ、アキトナイス! は、花言葉で拒絶するなんてな! クックックックック・・・・・」 ・・・・ま、まあ周囲に迷惑さえかけなければ良いかな? などと思います。 「どうせ俺はストレートに言えない、臆病者だよ」 「くっくっくっくっくっく・・・。 はー、こんなに笑ったの何日ぶりだろ?」 「俺は皮肉が効いてて 面白いと思ったけどなー」 北斗が飲み干したグラスの縁を指でなぞりつつ呟く。 若干頬が赤くなっており、 浮かべている微笑が何とも言えない艶を感じさせている。 「あの花言葉探すの大変だったんですよね」 「色んな本で調べましたよー」 共犯者である二人が苦笑を浮かべながら互いの顔を見る。 千紗はともかく、 オウカはアルコールを摂取していないにもかかわらず、 二人の頬が紅潮している。 案外この二人酒に弱いのかもしれない。 ・・・それ以外にも理由があるだろうが。 「ん?このボトルもう空か」 「あ、料理もほとんど無いな。 クルス、取ってこよう」 「おー」 「アキトさん私が・・・」 アキトとクルスが席を立つと オウカが立ち上がろうとした。 アキトが『かまわないよ』とばかりに手を振ると渋々席に着く。 「・・・でも、 こんなに早く再会出来るなんて思いませんでした」 「それは私達も同じですよ。 一応、ヨーロッパを一回りした後、イゼルローンに行くつもりでしたが・・・・」 「ん、そういえば・・・。 まだ何処に泊まるか決めてなかったな」 再び再会を喜んでいる二人(もちろん北斗自身も喜んでいる)を 見ながら北斗がつぶやく。 ちなみに現在北斗が飲んでいるのは、アキトが先程まで飲んでいたリンゴジュースだ。 影護北斗、極自然に間接キスをする。 ・・・と思ったが、 かなり頬が紅くなっている。 嬉し恥ずかしと言った所だろうか? 「・・・私が泊まっている宿舎にきますか?」 「・・・そうしましょうか?」 「・・・俺はかまわんし、枝織も良いと言ってるぞ」 女性四人が頬を赤く染めながら今夜の宿を決定する。 この時点でアキトが この決定を不服とするはずがない事を女性陣はよく理解している。 なんと言っても自分達の『関係』を考えれば、当然と言えば当然の決定だからだ。 ・・・勿論アキトにも了解を取ることは前提条件だが。 そんなこんなで、いずれ劣らぬ美女達がそろって艶やかな雰囲気を醸し出していると 招かれざる輩が寄ってくるものだ。 男が同席してないとなれば尚のこと、だ。 バカ そして『身の程知らず』がやってきた。 「ねぇ君ら一緒に飲まないか?」 「俺たちも三人なんだけど、男ばっかで飲んでると味気なくてさー」 「うっわースゲー美人さんだね」 バカ そしてその『身の程知らず』達は、いかにも『僕達遊んでマース』といった風貌だった。 勿論テンカワアキト一筋の女性陣が相手にする訳がなかった。 対処は『無視』 「・・・」 「・・・」 「・・・」 バカ しかし、『身の程知らず』達が無視された位で引き下がるはずがなかった。 彼らにとってはお馴染みの反応だったからだ。 彼らとしてはこの滅多にいない美人達を、酔わせ、人気のない場所に連れ込み、 無理矢理にでも深い関係を持とうと考えていたし、そういった事をこれまでに何度かした事があるのだ。 今夜の相手と決めたこのエモノは上物だし、証拠写真でもとって、是非末永いお付き合いを・・・ と考えていたのだ。 しかし相手が悪かった。 もしくはこれまでの罰が下ったと見るべきだろうか、 今夜の彼らのエモノは敏捷な肉食獣であり、 既に『太陽系で最強の男』の『モノ』だったのだ。 「ねえねえ、無視しないでよ〜」 「そうだよー あんまり無視すると俺ら何するか分かんないよ〜?」 「そうそう。 このキレーな髪とかが凄い事になるかもよ〜」 バカ 『身の程知らず』の一人が、千紗の艶やかな髪を触ろうと手を伸ばす。 緑髪を触られそうになった当人と、赤毛と黒髪の友人二人が即座にこの目障りな バカ 『身の程知らず』達を排除しようとしたその瞬間、 ダン! 銀色の閃光がテーブルに突き刺さる。 銀色の閃光に見えたモノはアイスピックであり、それはとある人物によって突き立てられたのだった。 アイスピックは千紗の髪を触ろうとした男が テーブルについていた左手の人差し指と中指の付け根から、1pと離れていない所に刺さっていた。 予想外の事態に、不埒な事を考えていた男達の時間が停止する。 女性陣はこれを成した人物が、いつもの行動パターンとは違う事に驚いていた。 いつもならこんな『直接行動』には移らない人物なのだ。 テンカワアキトという男は。 突然の物騒な物音にバーにいた男女の視線が集中する。 注目を集めた当人・テンカワアキトは 周囲の視線を黙殺し、再びいつもとは違う言動を続ける。 「はぁー・・・・ 駄目じゃないか。 君達が余りにも『動揺』させるから、『外れた』だろ?」 ・・・・つまり、 刺すつもりでアイスピックを振り下ろした。 鈍い頭で男達が理解したとき、アキトは次の行動に移っていた。 「え?あ、あの」 「あ、お、おい!?」 「はぅー」 アキトは比較的寄り添って座っていた女性陣を さらに男達から引き離すようにまとめて抱きしめ、 いつの間にか抜いたアイスピックで 千紗の髪を引っかけると、 バカ 『身の程知らず』達に見せびらかすように目の前に持ってくる。 そして今まで北辰相手位にしか出した事がないような殺気を 目の前の男達に叩き付けながら宣言する。 「いいか? 彼女等は爪先から髪の毛の先まで全部、俺のだ。 まぁ、それに手を出そうとするのはかまわん。 ただし、覚悟しろよ? 彼女等に触れようとするなら、お前らが彼女等に触れる前に、俺が、お前等を、叩き潰す」 最後の剣呑な台詞を一言一言 区切りながら宣言する。 周囲が完全な沈黙に包まれる。 アキトは殺気を指向性の物として 男達にのみ向けているが、視線自体は例外を除き、バーにいる男全員に向けられたからだ。 「はぁー・・・・。 ・・・あー君ら、早いとこ帰りなさい。 このままここにいると、 目の前の怖いお兄さんが暴走しかねないから」 バカ 『身の程知らず』達は 貴重な例外からの助言に突き動かされるようにバーから遁走する。 バカ三人組が視界から居なくなると 漸くアキトが殺気を鎮め、女性陣から手を離すと自分が先程まで座っていた席に戻る。 貴重な例外ことクルス=カナットも、苦笑を浮かべながら席に着く。 女性陣は先程のアキトの『俺のだ』発言に夢見心地だ。 そんな女性陣を眺めつつクルスが呟く。 「全く本当に昔っから変わらないな。 自分の大切なモノに理不尽な事をされると、理性の箍[タガ]が簡単に外れるのとかは特に。 まあ、今回ほどキレたの見たのは初めてだけど」 「・・・いや、 最初は北斗が大怪我させないかなーとか考えてたんだ。 でも、あいつが千紗の髪に触ろうとした瞬間、頭ん中真っ白になってさ・・・。 気が付いたらアイスピック叩き付けてた」 「ほー・・・・ アキトって昔っから物や金に対しては執着しなかったけど、 成る程・・・執着、いや独占欲かな? それを感じるのは人に対して、 それも恋人のみか・・・。 しかし、三人いや四人同時とは流石だな!」 クルスは先程の、 殺気を放つアキトを見ても変わることない態度をとる。 それがアキトには嬉しかった。 しかし・・・ 「しかも! 『彼女等は爪先から髪の毛の先まで全部、俺のだ』 俺の物発言! 何げに亭主関白宣言か!?」 「いや、あのそれは・・・」 しかし! このからかい癖だけはどうにかならないだろうか? 口調まで真似てからかってくる この親友をどうかわそうか? それがこの夜アキトが抱えた最大の問題だった。 あとがきッス 広島県人(以後、広): アクションよ! 私は帰ってきたーーー!!! アヤカ(以後、ア): 帰ってきたー!じゃ、ない! 書くの遅すぎ!! ドム! (MSでは無く。左拳がボディを打った音) 広: ぐふ! が、ガゼルパンチ!? い、いつの間に習得した? しかも、スタンスを大きく取って ボディに持っていくとは・・・。 お前は幕○内か!? ア: さぁ?秘密だよ。 さて、どうもお久しぶりです。 作者その2アヤカです。 広: ゴホゴホ・・ども、お待たせしました。 さ、作者その1広島県人です。 ア: さてまずする事は? 広: あ、え、えーとですね。 ・・・・・ 申し訳ありません!! 五ヶ月以上もお待たせしてしまいました。 卒論・就職活動で忙しかったとは言え、 真に申し訳ありません! 平に、平にご容赦のほどを ア: 本当にすいませんでした。 これからは多少時間が取れますので、 今回ほどお待たせする事は無いかと思います。 どうか見捨てないでください。 兄も、態々『就職浪人になって』反省してますので。 広: うぅぅ。 ワザとなった訳じゃないッス。 ア: (無視) さて、今回短かったね。どうして? もうちょっと続けるつもりだったんじゃなかった? 広: 流さないで(泣) えーっとですね。 実を言うと、 三話のあとがきに書いたようなネタが出来たんです。 ・・・いや、それよりも露骨なのが、 流石にそれを・・・ ア: 見たい。 広: は!? 煤i ̄▽ ̄!! ア: 見ーたーい ( ̄ー ̄) ついでだから・・・・ 載せちゃおっか? えっとぉ・・ 『愉快な喜劇・ネタ・削除・18』? えーっとこれかな。 カチカチカチ (PC操作中) PM11:37 シュバルツ・リッター宿舎 「ん・・・んはぁ」 「クスクス・・・。 オウカはキスが好きだね」 「あ、貴方とするからですよ。 貴方とでなければ何をしても嬉しくなんか無いです」 「ありがとう」 「アキト、俺も・・・」 「アキトさん・・・」 「千紗、北斗もう『起きた』のか?」 「アキト、俺達はお前の『モノ』なんだぞ?」 「そうです。 所有物は平等に扱うべきです。 それに・・・(艶笑) こういったコトに関して私達の初めては、全部アキトさんにシテ欲しいです」 「二人ともずるいです。 今は私の番なんです。 それに私だって、こういったコトに関しての初めては 全部アキトさんにしてもらってるんですよ? これからもアキトさん。 いえ、ご主人様にシテ欲しいです」 「クス、オウカ、大丈夫だよ。 夜はこれからなんだから」 メモ これ以上書く事は可能だが、 話に纏まりが無くなるうえ、 R指定等に引っかかりかねない為削除。 次話にて、におわせる程度に書く。 広: ・・・・・・・・(滝汗) ア: ・・・・・・・・ 広: は、はははははははは(渇笑) 皆さん次はもっと早く仕上げますので! あと、作品に登場したクルス=カナットは 神威さんにご許可をいただいて登場しました。 神威さん。ありがとうございました。 ちなみにクルス君は次も登場する予定です。 では!(逃走) ア: 三話や五話の時より露骨になってる。 ・・・・こんなのばっかり書いてるから! こんなのばっかり書いてるから就職試験落ちるんだよ!!! あ!!もう逃げてるし!! むぅ! では、皆さんまたお会いしましょう! ・・・・パタパタパタ(遠ざかっていく足音) ・・・・パタパタパタ(近づいてくる足音) PS、です。 メールアドレスが変わりました。 変更自体は代魔王様にお伝えします。 これまでのメールアドレスで 感想を頂いてもこちらに伝わらないのでご注意ください。 なお、2月4日以降に メールを送ってくれた方には申し訳ありませんが、 確認する事が出来ません。 出来ればもう一度送り直していただければ、 キチンとお返事をお出しします。 では! ・・・お兄ちゃん!待ちなさい!! 大人しく、このトンファの錆となりなさい!!
管理人の感想
広島県人さんからの投稿です。
いいなー、ヨーロッパ旅行(笑)
しかし、アキトも方向音痴気味だったとはね。
ま、見知らぬ土地では、人は迷うもんですよ。
ええ!! きっと誰でもそうですよ!!(かなり力説)
おっと、話がそれましたね(汗)
この独占欲に染まったアキトが、今後どうなるか楽しみにです(苦笑)