嫌動戦艦ナデシコ外伝 凄いや!!北斗さン 第一話『あの高い場所へ』
DANGER:この作品は嫌動戦艦ナデシコの外伝と銘を打っていますが、嫌動戦艦ナデシコ本編とは一切関係ありません。
「あ、北ちゃん。おはよ〜。」
寝ぼけ眼で食堂に来た零夜は先に席に座っていた北斗に声を掛ける。
「うむ、(1)ウォンチュッ!!零夜。」
ビシッと親指を立て、妙に爽やかな笑顔で零夜に答える北斗。
それを見た零夜は一瞬固まるが、直ぐに再起動を果たすと慌てて北斗に詰め寄る。
「ど、どうしたの!?ほほほ、北ちゃん。」
「何をそんなに慌てているのだ。(2)小生は今日も絶好調である!!」
更に混乱する零夜。
北斗はそんな事は一切気にせずに恐る恐る注文の品を持って来たウェイターから、
注文していた青汁を奪い取ると一気にソレを飲み乾した。
そして口の周りに目一杯緑色の環を付け、空になったグラスをウェイターに突き出し、叫ぶ。
「不味いッ!!もう一杯ッ!!」
その台詞を聞いて完全に錯乱状態となった零夜は何処からか釘バットを取り出し、案の定破壊活動に走る。
阿鼻叫喚の渦に巻き込まれる食堂。
しかし北斗は二杯目の青汁を飲み乾すと暴れ回る零夜を他所に妙に軽やかな足取りで食堂を出て行った。
『羽山ァ!!大矢ァ!!生きているかァッ!!』
『上から来るぞ、気をつけろッ!!』
『うわぁぁぁぁッ!!血が、血がッ!!』
『踏んづけてった!?』
食堂での一部始終をブリッジにて鑑賞中の舞歌と千沙。
「・・・成る程ね。これなら零夜の暴走にも納得がいくわね。それで零夜は?」
舞歌は映像を見終わると、傍らで苦い顔をしている千沙に話し掛けた。
「はい。多大な犠牲を払いましたが、何とか取り押さえることには成功しました。」
「・・・それで北斗の方は?」
「現在その所在は掴めておりません。高杉少尉を中心とした特別班が艦内を捜索していますが・・・。」
「た、大変です!!舞歌様ッ!!」
千沙が言葉を続けようとした瞬間、氷室が転がり込むようにブリッジに入ってきた。
普段の彼らしくない動揺した姿に驚く二人。
「どうしたの?氷室君。そんなに慌てて、貴方らしくもない。」
内心の驚きを隠しつつ、舞歌は何時もの調子で氷室に尋ねた。
それに対し、氷室は相変わらず慌てた様子で右往左往している。
「北斗様が・・・北斗様がッ!!」
「北斗が・・・どうしたの?」
先程から氷室に漂い始めた駄目な雰囲気に『ごっつい嫌な予感』がするが、取り合えずソレを気にせず尋ねる舞歌。
「北斗様が格納庫で、
零夜様を抱き抱えたまま、血涙を流しているンですッ!!」
「・・・はっ?」
予期せぬ氷室の返答に固まる舞歌と千沙。
しかし年の功か艦長としての責務からか、いち早く正気を取り戻した舞歌は千沙に命令する。
「千沙!!直ぐに格納庫の映像を映してッ!!」
舞歌の声で正気を取り戻した千沙は手元のリモコンのボタンを押し、モニターを格納庫の映像に切り替える。
「なッ!?」
其処には鼻血を流しながら妙に嬉しそうな笑顔で北斗に抱き抱えられている零夜と血涙を流している北斗の姿が。
固まるブリッジクルーを意識したのかどうかは分からないが、北斗は突然叫び出す。
『(3)愛故に、愛故にィィィッ!!』
・・・プツン
それがトドメになったのか、舞歌の中で何かが切れる音がした。
そして舞歌は近くに居た者を片っ端から襲い始める。
「舞歌パンチ。」
「おふう!!」
お約束の様に氷室が先ず吹っ飛ばされる。
首が嫌な方向に曲がりながら、ブリッジから廊下まで飛ばされる氷室。
「ま、舞歌様!!正気に戻ってください!!」
慌てて舞歌に駆け寄る千沙。
しかしブレーキが切れたダンプカーとなった舞歌は千沙だろうが範馬勇次郎だろうが、遠慮はしない。
容赦なく拳を叩き込む。
「舞歌パンチ。」
「はふう!!」
舞歌の右コークスクリューは的確に千沙を捉え・・・千沙はもう飛ぶ飛ぶ凄い勢いで。
しかし千沙とて伊達に優華部隊に入っている訳ではない。
吹き飛ばされる中、力を振り絞って叫ぶ。
「もう嫌!!こんな生活!!」
続かない
<特殊用語解説>
(1)ヒゲ部の正しい朝の挨拶。
(2)この時、北斗の影に月に眠る御大将を見た。と後の零夜は語る。
(3)昔の偉い人の言葉・・・と云うのは真っ赤な嘘。
北斗の拳の中でアミバ様の次に尊敬する漢ラオウの名台詞のひとつ。
代理人の遺言
ニ連チャンは・・・・きつかった(ばたっ)。