新たな刻のために
プロローグ
火星の後継者のクーデターより半年・・・。俺達は、その残党狩りをしていた。
そして月のドックで停泊中のところにアカツキとエリナが来た。
「久しぶりだね、テンカワ君」
「久しぶりね、アキト君」
「あぁ。それで用件は、何だ・・・アカツキ」
「相変わらずだね〜君も」
「さっさと言え・・・」
「・・・わかったよ・・・」
そう言うとアカツキは、意を決したように話し始めた。
「軍がこの月を徹底的に調べようとしているんだ」
アカツキはそう言った。俺はそれだけでいいたいことがわかった。
悪いようにとれば、ネルガルが匿っているとばれたら大変だから出て行けということ。
良いようにとれば、見つかる前に逃げろということ。
今回は、後者だ。
「そうか・・・。これ以上お前たちに迷惑をかけるわけにはいかないな」
「すまない・・・テンカワ君」
「本当に行くの?・・・アキト君・・・・・・もうどうにもならいの?」
「あぁ・・・。どうせ、前々から決めていたことだ。お前たちが気にすることは無い」
「軍が来るまではゆっくりして行くといいよ」
「ありがとう。ひとつ頼みがある」
「できる範囲でなら」
「そうか・・・。では、ラピスを頼む」
「わかったよ」
そのラピスは今、医務室で眠っている。
イネスさんに頼みラピスとのリンクを切り、ユーチャリスのAIのソレスとサレナのリリスとリンクを繋げてもらった。
そこで、イネスさんとの別れも済ましてきた。
さすがに、抱きつかれてキスされるとは思わなかった。
「だが、いいのかい。テンカワ君」
「なにが?」
「君の五感のサポートは?」
「しばらくの間なら、ソレスとリリスのリンクでどうにかなる」
「そうかい」
「それじゃ・・・・・・行くか・・・」
俺がそう言うと二人は途端に重い表情になった。
「もう行くのアキト君?」
「そうだよ、テンカワ君」
「最後に、こんな俺によくしてくれたアカツキ・・・
それと、いつも俺の心配をしてくれたエリナ・・・
俺は、お前たちに会えてよかった。ありがとう・・・そして・・・さよならだ・・・」
そう言うとアキトは踵を返しユーチャリスの方へと歩いていった。
その後ろでは、エリナが涙を堪えられなかったのか泣いていた。
そんな中、去っていこうとするアキトの背中にアカツキは声をかけた。
「・・・待ちたまえ・・・テンカワ君」
アカツキは泣くのを堪えているのか声が震えていた。
「・・・何だ」
アキトは振り向かずにそう言った。
「ユーチャリスとブラックサレナは持って行くといい。返却は無用だよ。
これが僕にできる最後のことだから・・・」
「そうか・・・ありがたく貰っていく」
「それと、君の親友としてもう一言・・・生きてくれ・・・
生きていればいつか会えるかもしれないからね」
「・・・約束はできないが・・・俺も足掻き続けよう」
そう言って今度はとまらずに歩いていった。
いまにも消えそうなその背中をアカツキとエリナはただ黙って見送った。
〜ユーチャリス艦内〜
ごほっ、ごほっ
そんな咳が艦内に響いた。
≪マスター・・・大丈夫ですか?≫
「まだ・・・大丈夫だ。だが、少し休む・・・何かあれば知らせろ」
≪わかりました≫
そんな言葉を聞きながら、俺は唯一の居場所であるこの艦内の自室へと向かった。
二時間後 自室にて
≪・・・スター・・・・・・マスター≫
「ん?どうした」
≪お休みのところすみませんがナデシコCが現れました≫
「なに?わかった。すぐにブリッジに上がる」
ブリッジにて
≪マスター、ナデシコCより入電≫
「つないでくれ」
『アキトさん、いいかげん諦めて私たちのもとに帰ってきてください』
「ルリちゃん・・・俺は君たちのもとに帰るつもりは無いと何度言えばわかる」
(ソレス、リリスもジャンプの準備をしておけ)
(わかりました)
(わかった)
リリスもジャンプの準備をさせた訳は、・・・・・・備えあれば憂いなしというやつだ
『アキトさんこそ、いつになったら帰ってきてくれるんですか』
「・・・・・・話しても無駄のようだ。ソレス、ジャンプするぞ」
「わかり『そうはさせません』」
ナデシコCから4機のエステバリスが出てきた。
『みなさん、ユーチャリスのジャンプの阻止をしてください』
『『『『了解』』』』
「ソレス、サレナで出る」(リリス、機体の準備は?)
(大丈夫です)
(よし、すぐ行く)
俺はリンクでリリスに機体の状態を聞きブリッジを後にした
『艦長、ユーチャリスよりブラックサレナが出ました。どうします?』
ハーリーは艦長であるルリにそう告げた。
『アキトさんが出撃しました。
サブロウタさんとリョーコさんはアキトさんを可能なかぎり引き付けてください。
その隙に私がユーチャリスを掌握します。
失敗したらイズミさんとヒカルさんは相手のエンジンを破壊して動きを止めてください』
『『『『了解』』』』
しかし、4人の努力空しくブラックサレナが出て十数分で決着はついた。
そして、4機の収容中
ドォォーーン
突如ブラックサレナが被弾した。
「これはいったい。リリスどういうことだ・・・」
≪わかりません≫
『アキトさんどうしたんですか?』
「こちらもわからない」
ビィービィー
≪マスター警告。今の爆発でジャンプユニットが故障しました≫
「なんだとっ!!」
≪ジャンプの準備が完了しているためランダムジャンプします≫
「良かれと思ってしたことが裏目にでるは思わなかったな」
『アキトさん脱出してください』
「いいんだよ・・・ルリちゃん。俺も疲れたんだ・・・」
『そんな・・・』
≪マスター・・・後30秒でジャンプします≫
「そうか・・・リリス、お前には世話になったな」
≪そんなことはありません≫
『・・・アキトさん・・・』
「ルリちゃんは俺がいなくても大丈夫だよ」
『何言ってるんですか。私はアキトさんがいないとダメなんです』
ルリちゃんは流れ落ちる涙を拭おうともせず言い続けた。
『お願いです・・・帰ってきてください・・・アキトさん』
≪マスター残り15秒です≫
「そうか。ルリちゃん・・・すまないとは思うが君の願いは聞けない」
『どうしてなんですか』
「俺よりもいいやつはいるさ」
『そんな人なんか・・・アキトさんの代わりになる人なんていません』
≪マスター、後5秒です≫
「そんなことはないよ」
≪4秒≫
『アキトさん』
≪3秒≫
「さよならだ」
≪2秒≫
『・・・・・・・・・』
ルリにはもうアキトにかけてやれる言葉が無かった。
ただ涙を流しながら悔しそうにアキトの顔を見つめていた。
≪1秒≫
「元気でね・・・ルリちゃん」
アキトは微笑んだ
≪マスター、時間切れです・・・ジャンプします≫
虹色の残光を残しブラックサレナは消えた。
そんな中ルリは、
『アキトさぁ〜〜ん』
あらん限りの声を振り絞り叫んでいた。
『・・・艦長・・・』
ハーリー以下艦のクルーは、そんなルリをただ見守ることしかできなかった。
かくして、コロニー連続襲撃事件の犯人は死亡ということになった。
そして、アキトがいなくなったことにより世界は平穏を取り戻した。
あとがき
いやはや駄作を投稿させていただきました。ホロゥです。
読んでくれた方、どうもありがとうです。
これから、がんばっていきますのでよろしくお願いします。
代理人の感想
プロローグなのでなし。