Alien
序章
第一話
「いきなり未来ですか!?」
目の前に、中年のオッサンと白衣を着たオッサン、そして蜥蜴が二足歩行していたのを見て俺は叫んでいた
「と、蜥蜴人間!!」
そしたら、オッサン二人と蜥蜴人間は動きを止めて沈黙した
・・・・いやさ、その張本人が言うのもなんだけどさ、滅茶苦茶気まずいんだよね
取り合えず・・・蜥蜴人間を観察してみようと思う
う〜ん、なんかかなり逆行した服装をしているな
頭には編み笠みたいな物被ってて、腰にはあれ、刀つけてるし・・・・
結論・蜥蜴人間は人間に対して誤った認識をしている
お?蜥蜴人間が動き出したぞ?
「・・・・・死ぬか?」
「・・・っへ?」
そ言うな否や、蜥蜴人間は小刀を抜いて俺に振り降ろしてきた!!
「のうわぁぁぁぁぁ!!」
間一髪!俺は横跳びにかわすが肩を少し切られる!!
「!」
蜥蜴人間が驚いた表情をするが、そんな事は関係ない!
くぅぅぅ・・・・痛い〜・・・
「北辰さん、ちょっと待って」
「なんだ山崎」
蜥蜴人間・・・北辰という名前らしいが、そいつが山崎と呼んだ人を睨みつける
「さっきこの子が現れた時にさ、この部屋にボース粒子を感知したんだ」
「それがどうした」
「つまり、その子はボソン・ジャンプしてきたって事」
「なんだと!」
ずっと黙っていたオッサンが驚きの声を上げる
空間跳躍?ってそういえば此処何処だ?俺は公園にいたはず?
「生体跳躍の成功者か・・・」
「そう言うこと、だから殺さないでね色々したいから」
そう言うと、山崎という人が近づいてきた
・・けど、何か嫌な感じがする・・・
なにか、俺の本能的なところで警告が出ているような気がする
「うーん、取り合えず精子取って予備を作って〜他には跳躍門に放り込んだりして〜
ああ!解剖して中も見てみなくちゃ!!」
原因判明・・・・・こいつはマッドだ!!それも重度の!!
「待て、山崎・・・」
そんなマッド人間を止めたのは、以外にも北辰と言った蜥蜴人間だった
「あれ?北辰さんどうしたの?」
「こやつは我が貰う」
・・・・・っは!一瞬意識が跳んでしまった!!
蜥蜴人間が俺を貰うだって!?俺を食う気か!?食う気なのかぁぁぁぁ?!!!??!
っは!もしかして俺の貞操を狙って・・・・・
「一体どうする気だい?もしかして!この子を食べる気で・・・・」
ピタ
「死にたいようだな山崎」
「ははははは・・・・、冗談だよ冗談。だからその小太刀をしまってくれないかな〜?」
「ふん」
蜥蜴人間が渋々といった感じで小刀を下ろす
どうでもいいけどさ、結構肩から血がダラダラ出ているんだけど〜
「ふう・・・でさ、結局なんでこの子が欲しいの?まさか北斗君のお婿さんにする気なんて」
ぷつぅ
「何か言ったか?山崎」
「はははははははは・・・・何も言ってないよ、だからさ、小太刀をしまってくれない?それとさ、ちょっと刃が食い込んでいるんだけど〜」
・・・・・・さっきから何漫才をやっているんだ?
もしかして此処は何処かの舞台セットか何かで、あの二人は新手のギャグ芸人とか?
・・・・・・・・・・・・・・な訳ないか・・・・・・・・・・・
「は〜イタタタ、それで?本当はどうしたの?」
「こやつは武才がある、故に我が鍛え北斗の制止力とする」
「なに!それは本当か!!」
っあ、そういえばオッサンがもう一人居たっけ?すっかり忘れてた
う〜ん、この蜥蜴とマッドに比べれば一番の常識人っぽいな
「御意、我は既に年を取り過ぎている。それに比べてこやつはまだ若い、十分可能性はある」
「う〜ん、そうなの?残念だなぁぁぁ。せっかく良い実験が出来ると思ったのに〜」
・・・・・何だその目は・・・こっちを向くな!そんな心底残念そうな目でこっちを見るな!!
っつうか、此処ってどこだ!!
「ちょっとぉぉ!!そこの蜥蜴人間とマッド人間にオッサン!!さっきからいきなり切り掛ってくるは実験するとか言うは全然目立ってないは一体なんだ!!あんた等何者で此処何処だ!!」
「「「・・・・・・・・・・」」」
っあ、勢いに任せて言い過ぎた・・・・ま〜た沈黙してるよ・・・
また斬られないよう行動しないと
「貴様・・・・ここが何処か知らんのか?」
あれ、先にあっちが聞いてきてくれた
「何言ってんだ?こんな所知るわけないじゃん。此処ってそんなに有名な所なのか?」
「有名といえば有名だが・・・」
「君は何処の出身だ?」
っは?なんでそんな事を?まあ別に答えてもいいか
「青森だけど・・・それがどうかした?」
「地球連合の人間か!!」
へ?地球連合?何じゃそりゃ?何時そんな物できたんだ?
「チキュウレンゴウ?何それ?」
そう言う風に答えたらオッサンは何か戸惑った様子で、後ろのマッド・蜥蜴と話し込んだ
「・・・う事・・・!・・・・・・・が統・してい・・・・・・か!」
「いや・・偵察・・・は、・・・合が・・・・ていた」
「う〜・・・こは・・・り本・・聞いた方・・・んじゃない・・?」
・・・・・よく聞こえないな
なんか話し合っているみたいだけど・・・・そんなに変な事を言ったか?
っあ、戻ってきた
「ゴホン!まず君の名前を聞きたいのだが」
そーいえば、まだ名乗ってなかったな・・・
「影道京谷、楽天高校3年の18歳だ」
「そうか、私は草壁春樹、木星圏ガニメデ・カリスト・エウロパ及び他衛星小惑星国家反地球共同体の中将を務めている者だ」
「っえ?ガニメデ?木星?」
「無理も無いだろう、貴君等の教科書じゃまだ人類は火星までしか生息圏を広げていないと書かれているからな」
「いやそれ以前に人類は数十年前、月に足を踏み出したばかりでしょ」
「・・・・・・・・なに?」
「いやだからね、人類は数十年前、月に足を踏み出したばかりでしょ?」
「・・・・・・・・すまん、もう一度言ってくれ」
「だぁぁかぁぁらぁぁ!!人類はまだ火星どころか月にだって住んでいないだろって言ってんだ!!」
「・・・・・一体どういうことだ?」
こっちが聞きたいわい!!
そんな言葉を必死に飲み込み、俺は三人組の会話に集中する
「う〜ん、もしかしてボソン・ジャンプは空間跳躍じゃなくて時空間跳躍かもしれないね」
「なに!時を飛べると云うのか!!」
「あの子・・・京谷君の話を鵜呑みにするならね」
「ふむ・・・・」
・・・・・・なにかトンでもない事話してないか?
もしかして、俺は・・・
「京谷、今何年か言ってくれるか?」
「今?西暦2003年でしょ?」
「・・・・・違う、今の西暦は2194年だ。
人類は宇宙にコロニーを作り、月や火星は開発され人が住めるようになっている」
・・・・・・・・・嘘だろ?
漫画やアニメじゃ有るまいし、時間を超えるなんて・・・・・
「ははははは、嘘・・・・でしょ?みんなして俺を騙してるんでしょ?」
「悪いけど、嘘でも夢でもない、現実なんだよね〜」
分かってる・・・・そんな事、自分でも痛いほど分かっている・・・・
蜥蜴人間に最初斬られた肩傷、その痛みが、俺に“是が現実だ”と教えてくる
だけど、否定してほしかった
「なんで俺が・・・・こんな事に・・・・・」
あれ?なんか・・・段々眠く・・・・
そう思って肩を見てみたら、結構深く切れていたらしくかなりの量の血が出ていた
「北辰、山崎、此処のことは他言無用。京谷の事は誰にも話してならん」
「りょ〜かい」
「御意」
「北辰よ、こやつを最強の“戦士”に仕立てよ」
「?・・・何故だ?草壁よ」
「地球連合への戦争まで後一年、難航していた跳躍因子の問題時に跳躍で現れた過去から来た青年。
私にはどうも、これが偶然だと思えん」
「・・・何者かの仕業・・・・と?」
「そこまでは分からん、しかし・・・どちらにせよ北斗の制止力にするつもりだったのだろう?
ならば力はあった方が良かろうに」
「・・・・・・御意」
意識が暗くなる前、蜥蜴人間と草壁が何か話していたが、俺はもう聞こえていなかった・・・・
後書き
あ〜、前半ギャグだったのに、後半がかなりシリアスになっちまった・・・・
でも、これが未来に跳んだ普通の人間の反応でしょ?
代理人の個人的な感想
結局武術の才能があるんかいっ!
・・・・まぁ、「北辰の小太刀を避けたのは唯の偶然で実は弱かった」
という隠し技を期待していたりするんですが(爆)。