私立ネルガル学園 〜青春は涙の味〜

第三話
<自己紹介は積極的に?>

 



ユリカに引きずられて会場を出てから。

俺はとりあえず自分のクラスに戻ると抵抗した

「会長特権です!!」

ユリカのこの一言に、俺は抵抗する事を諦めた・・・

「ユリカ、会長特権なんてないよ・・・」

副会長のアオイ ジュンが抵抗するが・・・

「ジュン君は、黙ってて!!」

「ユリカ、僕は君のためを思って・・・」

「ジュン君、私はアキトと一緒に居るのが幸せなの!!」

「ユ、ユリカ・・・」

所詮、副会長は副だった・・・・

「ユリカ、とりあえずこの腕を放してくれないか・・・」

俺はユリカが腕を組んでくるのが恥ずかしくて、抵抗するが・・・

「アキトは私の事が好き!」

すべてこの一言の前には無力だった・・・


抵抗を諦めた俺は、ユリカに引きずられて、学園を連れまわされた。

途中、ユリカの知人らしき人から。

「先輩!!その人は誰ですか!!」

と、ものすごい形相で迫られた。

「あっ、カザマちゃん、アキトは私の王子様なの!!」

みるみる、その人は俺の前で怒りのボルテージを上げていく。

これは、不味い!!

「彼方が先輩を誘惑したんですね!!許しません!!」

どうやら完全に勘違いをされたようだ。

とりあえず誤解は解いておこう。

「いや、別に誘惑したわけじゃ・・・・」

「ごまかしても無駄です!!」

俺はユリカに助けを求める。

「そうなの、アキトは私の事が好き!」

無駄だった・・・・

「許しません!!」

完璧に目がいっちゃってる・・・・

とりあえず、この場から非難しよう。

これ以上は危険だ!!

「ユリカ、あっちの方も案内してくれないか?」

俺はユリカをうながす。

「アキト、ユリカにまかせて!!」

作戦成功だ。

俺はユリカに引きずられるように、その場から離れた。

「私が、先輩を救ってあげます!!」

人知れずその女子生徒は決意した・・・


さて、なんとか教室に戻ってきたアキト、

どうやら、すべての生気をユリカに取られたようである。あわれ・・・


「おーし、新入生の諸君、俺が担任の ウリバタケ セイヤ だ。」

「まっ、よろしく、たのむわ」

なにやら、眼鏡をかけた、中年風な担任の先生が入ってきた。

「まずは、自己紹介だな」

どうやら、自己紹介が始まるらしい。

「おーし、出席番号順にいこうか」

「一番 アマノ ヒカル  !!」

「は〜い!!」

「おお!!うお〜!!」

男子生徒から歓声の雄たけびが上がる。

眼鏡をかけた、なかなか可愛い子だ。

たしか、親父の本に

眼鏡っ子は男のロマンの一つである、と書かれていた。

「 アマノ ヒカル  で〜す!!」

「趣味は、漫画を書く事です」

「誰か一緒にコミケに出す、同人誌のアシスタントやらない?」

いきなり、業界用語、連発である。

俺は何がなんだかわからない。

「ヒカルちゃん。可愛いね〜」

ウリバタケ先生が、怪しい目つきでアマノさんを見る。

俺には分かる!!

あの目は、獲物を狙っている!!

「ウリバタケ先生、生徒に手を出したらいけないぞ!!」

アマノさんが、ふざけた感じで言う。

「ヒカルちゃん。は障害のあるほうが燃えるのさ」


ウリバタケ先生がポーズを決めながら言う。

いい年の中年が言うセリフではない・・・・

はっきり言って、気持ち悪い・・・

教室に不穏な空気が流れる・・・

「冗談だよ、冗談!お前ら空気をよめよ!!」

どうやら、冗談のつもりらしい。

生徒の意見は一致した。

「あんたが空気をよめ!!」

それから、出席番号順に自己紹介は続く。

「十番 スバル リョーコ !!」

「おっす!!」

今度の子は、ボーイッシュな雰囲気を持った感じだ。

でも、別に男みたいじゃなくて、細い体で可愛い感じだ。

俺は素直にそう思った。

「うっほほほ!!!」

男子生徒からアマノさんの時とは違った。雄たけびが上がる。

「スバル リョーコ だ。よろしく頼む。」

ぶっきらぼうに、スバルさんが言う。

「スバルさん、好みの男性のタイプは?」

男子生徒からお決まりのセリフが出る。

「俺より強い奴だな。まっ今は、男になんか興味ね〜よ」

「おおっ!!」

男子生徒から期待のこもった歓声が上がる。

「まっ、よろしく頼む。」

スバルさんか、仲良く出来たらいいな〜

俺はスバルさんが、少し気になった。

「十四番 テンカワ アキト !!」

「はっ、はい」

おっと、考え事をしてたらもう俺の番か。

何を言えばいいのかな?

「テンカワ アキト  です、よろしく。」

こんな感じでいいのか?

「テンカワ君は、彼女いるの?」

えっ、彼女?どう答えたらいいんだ?

「えっ、彼女ですか・・・」

俺は、紅くなって固まってしまった。

「可愛い〜!!」

女子生徒から歓声が飛ぶ、

どうやら、嫌われはしなかったみたい、俺はホッとした。

うっ、でも男子達の視線が痛いぞ・・・・

「テンカワ君の好きなタイプは?」

好きな、タイプ?そんなの考えた事もない。

「良くわかりませんが・・・」

「じゃあ、彼女募集中ですか?」

俺は彼女募集中なんだろうか?良くわからないぞ・・・・

「良くわかりませんが・・・」

「やっぱり、可愛い〜!!」

「アキト、お前わざとやってるのか?」

ウリバタケ先生が変な顔で聞いてきた。

「何がですか?」

天然か・・・・」

ウリバタケ先生がポツリとつぶやいた・・・

どういう、意味だろう?

ともあれ、アキトはクラスの女子から無意識に好印象を勝ち取る事に成功した。

「十八番 マキ イズミ !!」

髪の長い、片目を髪で隠した、人が出てきた。

「マキ イズミ 。ハングライダー何時間のった?1時間ハングライダ〜・・・・」

「くっくっくっ・・・・」

何だ今の?

教室の温度が急激に下がる・・・

なぜかアマノさんと、スバルさんは平気な顔をしている。慣れた感じだ・・・

「教科書使うの、きょうかしよう・・・くっくっくっ・・・」

生徒諸君、意識を失う・・・・

はっ、いったい何が?精神汚染か?

うっ周りの生徒が白目をむいている・・・・

みんな、正気に戻るんだ!!

「つ・・次・・・十九番 メグミ レイナード 」

ナイスガッツ!!ウリバタケ先生!!


「はっ、はい・・・・」

三つ編みの可愛い生徒が出てくる。

男子生徒覚醒!!

「うっおおおおおおおおおお!!!!」


もう、テンションあがり、まくりだ!!

「メグミ レイナード で〜す!!よろしくね!!」

可愛い声だ、男子生徒ノックダウン!!

「きょきょきょ!!!」

何人かの男子生徒があっちの世界に旅立つ。

どうやら、その手の人には、あの声は、たまらないらしい。

「お〜し!!メグミちゃん、趣味はなにかな〜」

ウリバタケ先生も回復した。

「え〜と、声優を目指してるから、アニメとか。あと、ぬいぐるみを抱きしめる事か
な?」

「俺も抱きしめて〜!!」

男子生徒、崩壊!!

「メグミ!!メグミ!!メグミ!!」

ついに、メグミコールだ。

俺も、流れにあわせることにしよう。

「メグミ!!メグミ!!メグミ!!メグミ!!・・・・」

「お〜し、次だ次!!」

ウリバタケ先生も絶好調だ!!

「二十五番 ヤマダ ジロウ !!」

「俺は ダイゴウジ ガイ だ!!」

いきないの音波攻撃だ!!

アキトは、朝の経験から耳を咄嗟にふさいだ。

あっ、あれはガイじゃないか、同じクラスだったのか・・・

でもなんだ、ヤマダ ジロウ って?

「お前はヤマダ ジロウだろ!!」

ウリバタケ先生が反論する。

「ちがう!!ダイゴウジガイは真の名前、魂の名前なのだ!!」

なんだ、魂の名前って?

「わ、分かった・・ダイゴウジガイ!!」

ウリバタケ先生、ついに折れた。

「ダイゴウジ ガイ だ、よろしく!!」

生徒諸君は思った。

「うるさい!!」 「変な奴!!」

「趣味はゲキガンガー、好きなタイプはナナコさん!!」

ゲキガンガーって、昔のアニメのあれか?

たしか、再放送で見た事がある。

趣味はゲキガンガー?意味わかんないぞ?

でも、好きなタイプはナナコさんは不味くない?

深く考えるのはよそう・・・・

「よろしく!!」

ガイの一方的な自己紹介は終わった。

みんな、聞けなかったけどね、気絶してて・・・



俺は、こんなクラスで大丈夫なのだろうか?

アキトに平穏はない・・・






















代理人の感想

ウリピー哀れ(笑)。

一応まだ二十代なのにねぇ。

「青年」ではないにしろ「中年」よばわりされる事のなんと多い事か。

 

・・・・・・今頭の中で「ウリバタケ=『ラシャーヌのおじさま』」説が電光の如く駆け抜けたは秘密(爆)。