【神々の干渉】
第三話 疑惑
私がデッキに帰還すると……アキトが待っていた。
「兄さん、流石ですね。あの頃の俺より強いのに
まだまだ余裕ですね。」
「そんな事はない。それより……。」
「ええ、やはり怪しまれていますね。ブリッジに来るように
言われました。大丈夫ですよね。」
「ああ、問題ない……と思う。」
「兄さん(汗)」
「…まあ、大丈夫だろう。じゃあブリッジに行こうか。」
ブリッジへの道を半分ほど歩いているとコミュニケが現れた。
もちろん相手はルリちゃんとラピスだ。
「アキトさん、シン兄さん、お疲れ様でした。」
「お疲れ、アキト、シン兄。」
「止してくれ…あんな戦いは、今の俺にとって戦闘とは呼ばないさ。」
そう、今の俺にはね……
「分かっていますよ…それより……。」
「ああ、既に聞いているよ。」
「大丈夫なの…アキト……。」
心配そうな瞳で俺を見つめるラピス。
大丈夫だよ……………たぶん
「大丈夫だよ、ラピスちゃん。」
「本当なの、シン兄?」
「ああ、本当だよ。さてそろそろブリッジだな。
じゃあまた後でね。」
「わかりました。ではまた後で……。」
「じゃ〜ね〜。また後でね〜〜。」
そう言い終わるとコミュニケが消えた。
「…さて、頑張りますか。」
「さてさて……シンさんとアキトさんの戦闘記録を今先程、ブリッジ全員で拝見させてもらいましたが。」
プロスさんがそう切り出し。
「正直言って、かなりの腕前だ。」
ゴートさんが代表で誉めてくれた。
「やっぱり、アキトは私の王子様だから!!…って後ろの方はさっきの……。」
ユリカ…やっと少しセリフが変わったんだな。
アキトはちょっぴり感動していた。
「ああ、自己紹介していなかったな。私の名前はテンカワ・シン。
みなさんが思った通り私はアキトの兄だ……義理だけどな。」
「アキトのお兄さん……そうだシンさん。」
「なんだい、ユリカちゃん。」
自分の名前を知っているシンに驚くユリカ
「どうして知っているんですか、私の名前?」
「ああ、さっきアキトと会っただろう。
あの後アキトが君の事を思い出してな
私に教えてくれたんだ。」
「アキトが私の事を話したって……もしかして私達の仲についてですか?
そうよ、絶対そうよ。そしてお兄義さんは私達の仲を認めてくれたのね。
やっぱりアキトは私の王子様!!」
ユリカのいっちゃってる目と思わぬセリフにビビるクルー
その中で平然としているシン、さすが神様!!
「艦長は黙っていて下さい。」
「……はい。」
いち早く帰ってきたプロスさんが一言で黙らせる。
…お前の艦長って役職は一体何なんだ、ユリカ?
しかし、また気合入ってるな〜プロスさんにゴートさん。
「しかし…何故です?
あれほどの実力を持ちながら、今までアキトさんが軍に所属していた記録は無い。
はっきり言えば、アキトさんの実力を持ってすれば……。」
眼鏡を怪しく光らせながら、俺を睨むプロスさん。
やはりまた言われるのか……
俺はまたあの返答を言おうとしたが
兄さんによって遮られた。
「それは私が説明しよう。私のも見られましたのか?」
「…ええ、もちろん。アキトさんもすごいですが
あなたのレベルは次元が違いすぎる。」
たしかに一般人にはありえない強さだな。
でも今はこの力が必要なんだ、大切な人を守る為に!!
「私がなんと呼ばれているか…知っているな。」
「……ええ、圧倒的に不利な戦場などで現れ
敵を一瞬で殲滅するエステバリス………
人々はその一瞬の閃光のような戦闘をする
エステバリスのパイロットを白熱の天帝と呼ぶ…。」
「「「「「「白熱の天帝!?」」」」」」
一斉にみんなが兄さんの方を見る
どうやら兄さんは先に何かしていたみたいだな
そんなに凄いことを仕出かしたのかな……
今度、ルリちゃんとラピスに調べてもらおうっと。
「私達はその手の訓練を受けたんだ。
両親が何かの実験に成功して狂喜乱舞していたんですが
誰かに狙われるかもしれないから自分の身は自分で守れと…。
アキトは信じられないようなので真面目に訓練していなかったが
両親の目が余りに真剣だったので私は日夜訓練に明け暮れていた。」
ここで一息入れる。
前はユリカだけが涙目だったが
他の人達も涙目だ……
何故なんだろう?
「しかし、両親が目の前で殺されて、アキトも信じてくれ、
私達は火星にいる間、日々訓練に勤しんだんだ。」
シンのセリフに沈黙するブリッジ。
既に涙目から本当に涙を流している人がちらほら…
やっぱり神様が言うと説得力があるんだな〜。
「…では、アキトさんはエースパイロットとしても働ける、と言う事ですね。」
やはり、そう言うか……
俺は返答しようとしたが兄さんに遮られた。
「アキトは傷つけあうことは好きではないんだ…
パイロットとして働くかはアキトに決めて欲しい。」
そう言うと俺の方を振り向く…
そんなの決まってるじゃないですか……
結局俺は、正式にエステバリスのパイロットになり…
過去と同じくコックとパイロットを兼任することになった。
「アキトさん……。」
「アキト…。」
「ルリちゃんにラピス、かい?」
兄さんの説明の後ブリッジにいたクルーの質問に耐え兼ねた俺は
厨房に行く途中に突然コミュニケが開いた。
「はい、そうです…お疲れ様でした。」
「お疲れ、アキト。」
「そんな事は無いよ…今回は兄さんが引き受けてくれたからさ。
それから過去と同じくアレをやってくれないかな…。」
「ええ、分かっていますよ……それにハーリー君もいますから。」
「ハーリー君!!!ナデシコにいたのか……気が付かなかった。」
みんな僕の事を無視する〜と誰かが叫んだような気がしたが…幻聴か?
「五月蝿いです、少しは静かにして下さい。私とアキトさんの大事なお話を……。」
「ハーリー、五月蝿い。」
コミニュケの向こうでは怪しい音が聞こえたが……聞かなかったことにしよう。
暫くすると所々に赤黒い物がついているルリちゃんとラピスがでてきた。
ハーリー君(汗)大丈夫かな…
「大丈夫ですよアキトさん、あなたなんかが心配しなくてもいいんです。」
「そうだよルリの言う通り、あんなの心配するだけ損だよアキト。」
どうして俺の考えていることが分かるんだ…もしやN〇Wタイプ!?
「「アキト(さん)…なんか失礼なこと考えていない(ませんか)?」」
「いいえ、そんな事は決して!!」
やはりN〇Wタイプなのか、ルリちゃん、ラピス。
あれこれ喋っている内にムネタケ副提督が叛乱を起こした。
もうこんな時間か……
戻ってきた俺は動かなかったみたいだが今回は…
「船を奪還する……かアキト?」
「エエッ!!!」
突如にとんでもない事を言った人物に視線が集まったのは言うまでも無い……。
「さて作戦を伝えようか…。」
「大まかに格納庫を制圧する班と各フロアを制圧する班の二つだ。
まず格納庫を制圧しエステバリスを起動させ艦長を救出する。
そしてそれと平行に艦内を順次制圧、その後艦長を連れ戻した後
最終的にブリッジを制圧し、機動状態にする。」
「なら俺は格納庫に行くとしよう…格納庫の警備は厳重だろうからな。」
「いやゴートさんには艦内の制圧の指揮を頼む。格納庫の班は私とアキトとプロスさん、
そして整備班の人達で行く。そしてガイ以外の人達は各フロアの制圧を頼む…。」
「おいシン!!俺は一体何をすればいい!!!」
ガイのボイスアタックに耳を塞ぐクルー
「…あ、ああガイには一番重要な役割をやってもらう。」
「何俺が一番重要な役割だと……く〜〜〜、燃える展開だぜ!!!
おいシン、俺は何をすればいいんだ!!!」
キィィィィィィィィィィィィィン
ガイの連射式ボイスアタックに失神しそうなのがチラホラ
「ああ、ガイにはここに残って駆けつけてくるのをやっつけてくれ。」
もちろん最後のガイの役は重要ではない。っていうより足手まといだから
引っ込んでくれ…と言っているようなものだ。
しかしガイは真に受けて一人熱血していた。哀れガイ
「…わかった。」
「コックを舐めるんじゃないよ。」
「おっけ〜いお姉さんにまっかせっなさ〜い。」
「く〜燃えるシチュエーションだぜ!!!」
「「「「「私達だってやれば出来るところを見せてやるわ。」」」」」
「いくぞ野郎ども!あのムネ茸に目に物を見せてやるんだ!!!」
「整備魂」
「ファイト」
「おお!!!」
「「「「「「「「シン様、我らにお任せを…… 」」」」」」」
誰もがこれから始まる宴に燃えていた
「では最初に私達が率いる班が最初に突破する。その後艦内制圧の班が順次制圧してくれ。
私達がエステバリス出撃後、ゴートさんに作戦の指揮を任せる。以上だ!!!」
「「「「「「「「「了解!!!」」」」」」」」」」
「では………いくぞ!!!」
______________________________________________________________
あとがき
お久しぶり、ユピテルです。
なかなか進まないんで困っています。
今度オリキャラの設定集を作りたいと思っています。
楽しんでいただけたら大変嬉しいです。
これからも頑張っていきたいと思っているので
応援よろしくお願いします!!!