それにしても横島さんは遅いですなぁ。一体トイレにどれだけ時間をかけているんでしょうか。やっぱりコミュニケの説明ぐらいはするべきでしたな。もしかして女性のクルーに手を出しているのでは・・・。もしそうなら契約書の男女交際の項を突きつけてそのようなことが無いよう釘をさしておかないといけませんな・・・。十中八九読み飛ばしているでしょうから。
「おーいこら!おりてこーい!」
聞いてない→「ふっふっふ・・・!ここにいる奴ぁラッキーだ!この俺の必殺技が見れるんだからな!」
おや、なにやら騒がしくなってきましたな。
「んじゃ、いくぜぇっ!!」
GS横島 ナデシコ大作戦!!
第四話 「剣講談」
「み・・・美神・・・さん?美神さんっスか!?」
横島はある意味200年後の世界に来た時より驚いていた。まさか自分と最も親しい人の一人とこんな所で会えるとは思ってもみなかった。だが・・・
「あ、なーんだ。人違いか。私はみかみって名前じゃないわ。私はミナト。ハルカ・ミナトよ。よろしく♪」
ウインクしつつにこりと微笑む。言うまでもなくとても魅力的だ。それを感じる余裕は横島にはなかったようだが。
「あ・・・そうだよな・・・ここに美神さんがいるわけ無い・・・か・・・でも、似すぎじゃないか・・・?」
横島は凹む。
「ふーん・・・そんなに私ってみかみさんって人に似てるんだ?」
「え、ええ。なんかもー同一人物かと思いましたよ!あ、でもハルカさんのほうが優しげな顔してるかなー?」
立ち直りは早かったようだ。
それを聞いて急に悪戯っぽい顔で笑うミナト。
「あら。それってもしかしてナンパ?でも、私はそんなにお安くないわよ?」
「あーそりゃ残念っスねー!やっぱりハルカさんぐらい綺麗だったら彼氏の一人や二人はいますよねー」
「あららお上手。でも今は私フリーなの。それと、私はミナトでいいわよ」
(・・・くううっ!優しい大人の女性だ!しかも普通の!俺の周りにはおらんかったタイプやーっ!)
心の中で深く感動する横島。と、そのとき、
「んじゃ、いくぜぇっ!! ガァイ!スーパー!んナッパアーーーーーーーーッ!!!」
なにやら暑苦しい声が。
「あら、格納庫で誰か叫んでる」
そこで横島はまだ艦の案内の途中ということを思い出した。
「あ!そういや俺、人待たせてたんだった!」
ダッシュで駆け出す横島。
「ミナトさーーーん!!また会いましょーーーっ!!」
もう横島の姿は見えなくなっていた。
「あらら、行っちゃった・・・」
――――――――――
格納庫。
横島が駆けつけた時、パイロットらしき若い男にプロスと作業服を着た男が何か言っているようだ。
「か〜〜〜っすげぇっ!手があって足があって自由に動くんだぜ!?」
「そうゆう風に出来てんだから当たり前だろうが!それよりどうすんだこの有様!幸い俺のエステに大きな不具合はねえみたいだが、こんな狭いトコであんな無茶な動きしやがって!いくらバランサーがあるっつっても限度ってモンがあるぞ!」
ナデシコの整備員のチーフ、ウリバタケ・セイヤである。
「そりゃねえぜ博士!男だったらロボットを見たら動かすしかねえだろ!?そのためだったら格納庫の一つや二つ・・・!」
またもメガネを光らせガイの主張を遮るプロス。
「困りますな〜ヤマダさん「ダイゴウジ・ガイ!」。あなたが壊した・・・例えばあの機材。あれ一つであなたのお給料何か月分かお解りですか?この分は給料から・・・おや、戻りましたか、横島さん」
「あ、横島くん!」
お久しぶりーと笑う明乃。横島も手をしゅたっと上げて返事し、
「ええ、遅くなってすんません。・・・で、これって何の騒ぎなんスか?」
「いえ、どうもこうも・・・?どうしましたヤマダさん」
なにやらガイの様子がおかしいことに気付く。
「なんか・・・あしがいたひ・・・」
「おたく、足折れてるぞ」
「なんかズキズキするとは思ったけど・・・」
足が折れているのにしばらく気付かないほど、アドレナリンを分泌していたのだろうか。
「おーい、だれか担架もってこーい!」
「は〜しかたありませんな〜。では医務室でお給料の交渉でもしますか?あ、横島さんとテンカワさんはそこで待っていてください。別の案内人を呼んでおきますから」
言いつつ、作業員Aと共に担架を持つプロス。
「あ、そこのキミ!」
「私ですか?」
「そうそう!俺のコクピットにあるゲキガン人形(超合金)、医務室まで持ってきてくれ!」
返事を聞く前に医務室に連行されるガイ。
「しょうがないですね〜」
「あ、俺も行っていいかな?俺もロボットの中見てみたいから」
「いいですよ」
そして2人でアサルトピットの中に入る。狭い。
探すまでもなく人形は見つかった。
「・・・あの人、何歳でしょうか?」
「いや、別に趣味は人それぞれだし・・・」
と言っているときに、
ズズウウゥン・・・!
「きゃ!?」
「なななんだ!?」
そして鳴り響く警報。俄かに慌しくなる艦内。
「何!?何が起こってんだ!?」
――――――――――
ブリッジ。
「敵襲です」
銀髪ツインテールの、まだ11,12才そこそこであろう少女が報告する。言うまでもなく、ナデシコのメインオペレーター・ホシノ・ルリである。
「そうとなったら、対空砲火よ!」
キンキン声でおねえ口調なのは、副提督のムネタケ・サダアキ。キノコの笠のような髪型が特徴か。
「え〜、でも上にはまだ軍人さんがいるんじゃないの?」
素早くブリッジに戻ったんですね。ミナトさん。
「ど、どうせ全滅してるわよ!」
「でもそれって、非人道的って言いません?」
おさげとそばかすがチャームポイントの通信士、元人気声優のメグミ・レイナード。
「んじゃ、どうするってのよ!」
「そもそも艦長がいないので艦は動かせません」
「んじゃその艦長を早く誰か連れてきなさいよ!!」
「おかしいですなぁ。もうとっくに来ていてもいいんですが・・・」
警報を聞くや否やブリッジに駆けつけたプロスペクター。
と、そのとき、
「すいませーーーん!遅れちゃいましたー!」
ブリッジに駆け込んできた2人の人物、遅れてきたのに何故か笑顔のナデシコ艦長、ミスマル・ユリカと、息が上がっている副長のアオイ・ジュン。なぜユリカは息を全然切らしてないのだろうか。
「私が艦長のミスマル・ユリカでーーーっす!ぶい!」
「「「「「ぶい〜〜〜!?」」」」」
「ユリカ〜」
「またバカ?」
(これでみんなのハートをキャッチ!)
「艦長。この状況を打破する策はあるかね?」
この状況でも平然としている、提督のフクベ・ジン。
少しだけ思考するユリカ。
「囮を出します」
「ほう」
「囮が敵を引きつけているうちに発進。そして海底ゲートを出、然る後、敵を背後から殲滅します」
よどみなく作戦を口にするユリカにブリッジの人員のほとんどが頼もしさを覚えた。だが。
「あの、艦長。パイロットはいないんですなぁ・・・これが」
「えぇ?どうしてですか!?確かパイロットは一人居る筈じゃあ・・・」
「骨折して医務室です」
「「「「「「「・・・・・・・・・・・・」」」」」」」
沈黙が降りる。
「っどーすんのよ!アタシまだ死にたくないわよ!どーすんのよ!」
「え、えーっと・・・」
艦長が考え込むのを見て不安の色が広がる。その時、
「囮なら出てます」
「「「「「「「え?」」」」」」」
ざわめきの中でも良く通る声が全員に耳に届いた。
――――――――――
ルリの囮は出てます宣言から数分前。
「なんか敵襲っていってるみて―だな。ま、これは一応戦艦だから大丈夫だと思うけど・・・」
「やつら・・・やつらがきた・・・!」
急に睨むような、怯えるような顔を見せる。
「明乃ちゃん?」
「閉じ込められるのはもう嫌・・・!私はコックになるんだ!戦いで死ぬなんて、ゴメンよ!!」
言いつつエステバリスを発進させようとする明乃。
「ちょっと明乃ちゃん!俺!俺まだ乗ったままだって!」
狭いはずなのに横島の声は聞こえていないようだった。
――――――――――
またブリッジ。
「誰が乗っている!・・・って横島とテンカワ?そんな所で何をしている!」
(かわいー女の子と、あの時の男の子・・・?)
ちょっと驚くミナト。パイロットだったの?でもなんで二人乗り?ってかんじである。
『何って言われても・・・』
さっきまでの気迫はどこへやら。いつもの明乃に戻ってしまったようである。
「ふむ、君たちはパイロットではないのかね?」
『あ、はい。横島忠夫、コックっス』
『同じく・・・テンカワ・アキノ。コックです』
ちなみに、二人の今の位置関係は横島がシートに座り、シートの後ろに明乃という位置関係である。シートの後ろにそんなスペースはないかもしれないが、このSSではなぜかある。あると言ったらある。
「テンカワ・・・?」
「どうしたの?ユリカ」
「何でコックなんかが乗ってんのよ!」
「困りましたな〜。コックに危険手当は・・・」
『誰だー!おれの機体に乗ってる奴は!』
『おいおいそのエステにゃナイフとワイヤード・フィストっきゃ付いてねえぞ!』
「危ないから降りたほうがいいですよ?」
降りたら全滅だ。
「ああーーーーーーーーーーーーーっ!!!アキノだーーーーーーーーーーっ!!!」
突然の大音量にこのやり取りを聞いていた人は全員のけぞる。フクベ提督はショック死しなかったのだろうか。
「アキノーーー!アキノアキノアキノ!ひっさしぶりだね!女の子みたいな格好してるから気付かなかったよ!」
『あの火星でお隣だったミスマルさん家のユリカ!?何でそんな所に!?』
「ユリカ、艦長さんなんだぞ!えっへん!」
『嘘!?』
「ユ、ユリカ・・・知り合い?(あの男の方もどこかで見たことあるような・・・?)」
「うん!あの人はテンカワ・アキノ!ピンチの時はいつも助けてくれるユリカの王子様!」
『あの・・・私、一応女なんだけど・・・』
昔はともかく今の明乃を男と言い切るユリカ。ある意味強者だ。
「えぇーーーっ嘘だよ!昔は髪も短くてロボットアニメが好きだったのに!」
『・・・二次成長期って知ってる?ユリカ・・・』
「アキノの覚悟はわかったわ!みんなの命、あなたに預ける!サイキック・ウエーブ!」
『いきなり話変えないで!』
「ううん、何も言わなくていい。解ってるから」
(あの会話で何が解ったんだ・・・?)
さっきから全然セリフがない横島。
「ナデシコの発進まで、囮をお願い!アキノ!・・・・・・と横島さん!」
横島の存在も一応存在は目に入っていたらしい。しかも名前も覚えていたようだ。
『『囮!?』』
――――――――――
「なによあれ!もろトーシロじゃないの!」
ムネタケの言う通り、確かにそれは素人の動きだった。よたよた走って無様に回避。
「いえいえ、彼らは良くやってます」
「うむ。見事な囮っぷりだ」
「テンカワ・横島機、被弾率現在2%。その2%もディストーションフィールドが弾いているので、ダメージはゼロです」
「へ〜すごいじゃない」
「うん!さっすがアキノ!」
「そういえばあの2人って、一人乗りを2人で乗ってるのに何で上手くいってるんでしょうか?」
通信士の素朴な疑問。
「ん〜ちょっと様子見てみよっか。んじゃルリちゃん、もっかい回線開いて!」
「はい。ぽちっとな」
『だああ〜っ!!うわ、うわ、うわぉっ!!あたる、当たる当たる!!死ぬ〜っ!!!』
『パニクらないで下さいよ〜!きゃあっ!きゃあっ!?こっちは安定してないんですからあんまり揺らさないで〜っ!!』
『ちょいまちっ!タンマ!タンマって・・・うぎゃー!!・・・あああッ!!もーかえるっ!!おうちかえるーーーっ!!!』
『現実逃避しないでちゃんと動かしてください!うわっ、揺れる〜!あっ!?照準が!照準が〜!!』
「「「「「「「『『・・・・・・・・・・・・』』」」」」」」」
パイロットの喧しさとは反比例し、ブリッジに深い沈黙が漂う。とても静かだ。ただ横島の声と明乃の声だけが響いている。
「・・・・・・ルリちゃん、ちょっと音量絞って」
「はい」
自分の声も相当でかい時があるのは気付いていないらしい。
『ちょとちょと明乃ちゃん!遠距離武器ないの!?これじゃぁ機体がもたねぅわお!』
最後の「ぅわお!」はジョロの攻撃をぎりぎり回避した時のセリフである。
『一番射程が長いのはひも付きパンチ(仮)なんですよ〜!』
ひも付きパンチ(仮)とは、ワイヤード・フィストのことである。どうやら横島が移動と回避、明乃が攻撃を担当しているらしい。なんかダメダメっぽい会話だが、結構敵を撃墜している。
『上からも来てるって!こうなったら明乃ちゃん!対空猫ロケットア○クだ!!』
『ありませんっ!!ていうかなんですかそれ!!』
「なんて言うか、無様ですね」
「辛口ねぇ・・・メグちゃん」
「被弾率9%。テンカワ・横島機囲まれました。機銃やミサイルでは効果が薄いと見て対応を変えてきたようです」
「具体的には?」
「恐らく、体当たり」
「ええっ!」
『っだああああああああ!!』
飛び交うジョロとバッタ。散発的なためか致命的なダメージはまだ受けていない。機銃よりよけやすいが、ダメージはその比ではない。
「あ」
「なに?ルリちゃん」
「前方で小規模な落盤があったようです。岩が邪魔で、出るのに20分ほどかかりそうです」
「うそ・・・」
「ほんとです」
「ウリバタケさん!エステバリスのエネルギーはもちますか!?」
『こんなこともあろうかと、ソーラーセイルを付けてるからしばらくはいける』
「アキノ!ちょっとトラブルがあって、囮もうちょっとやってて欲しいんだけど・・・」
『もういっぱいいっぱいだよ!』
(いかんマジで限界だ)
ちょっと悩む横島。
『もったいないけどしょうがない!明乃ちゃん!俺のポケットに玉が1個入ってるから出して!それで今の状況を打破できるかもしれないんだ!』
今の文珠のストックは4個。既に出しているのは一個だけだ。この状況では残りの3個を出す余裕はない。
『(ごそごそ)えっと、これですか?』
『うんそれそれ!じゃそれを・・・』
ドガァッ!
言いかけた途中でついに体当たりをまともに食らう。
『ちっくしょ!揺れた〜』
『よこしまくん・・・』
『え?』
『今の揺れで・・・玉、どっかいっちゃった・・・』
『・・・・・・・・・』
『・・・・・・・うぅ』
『・・・・・・うそん』
『・・・・・・あうう』
「玉なんかで何ができるんでしょうね?ミナトさん」
「さぁ・・・」
なんかえらく気楽なセリフを言うメグミ。今絶体絶命の危機であることを解っていないのであろうか。
『ほんとに打つ手なくなったー!!くっそお!どーせ死ぬなら・・・・・・・・・そのむねでしなせてーーーーーっ!』
むに
位置的にうずめることが出来ないからか振り向きざまに明乃の胸をわし掴む。
『うお!?』 ↑ガイ
『うらやましい・・・』 ↑ウリバタケ
「うわ・・・」 ↑ユリカ
「あら〜」 ↑ミナト
「今の状況の何が悲しいって言われたら、あんな人たちに命を預けなきゃいけないことが悲しいですよね」 ↑メグミ
上のセリフはほぼ同時に喋られたものである。他のブリッジクルーは呆れ返るか固まっている。そしてその0,1秒後、
『な・・・に・・・するんですかーーーーーーーーーーっ!!!」
ドゴアッ!!
いつもより力が入ってしまった。
『な、なんか、なつかしい痛みと感触とやり取り・・・!・・・ん?なつかしい・・・?』
横島が殴られたことにより背中から瓦礫の上に倒れるエステ。
「あ」
「な、なに?ルリちゃん」
「瓦礫の破片が刺さりました。で、破片の刺さりどころが悪かったせいか、ディストーションフィールドが一時的にダウン。再作動に約20秒」
その隙を逃さず突進してくるバッタ。
「接触まで約16秒。再作動、ぎりぎり間に合いません。このままだと確実に致命傷です」
『よこしまくーん!!おきてーーーっ!!』
横島の頭をがくがく揺らす。横島は朦朧としているようだ。
(なつかしい・・・なつかしい・・・なつかしい・・・なつかしいのはむかし・・・おれのむかしは・・・むかしは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!!!!!)
↑この間、約2秒間。
『そうだッ!』
急に覚醒する横島。
『起きたっ!?』
『そうだ、俺の武器は文珠だけじゃなかった!!』
キュィィィィィィィン・・・!
エステのかざした右手の前に現れる六角形の盾らしきもの。
「ウリバタケさん!!なんですかあれは!あれはあなたが行なった改造ですか!?」
『いや、俺はしらねぇ。こっちが聞きたいぐらいだ・・・!』
ガキャアン!
その盾に弾き飛ばされるバッタ。すかさずそこに盾をフリスビーの要領で投げつける!
ドゴアンッ!!
横島、一機撃墜。
『久しぶりだけどできた!サイキック・ソーサー!!』
「横島さん。前見ないと危ないですよ」
『!なら・・・!』
今度はエステの右腕に爪と宝玉がついた篭手のようなものが現れる。輪郭が揺れていることから、固体ではなくエネルギーのようなもので出来ているようだ。
『おあつらえ向きに一直線に並んでるな・・・!伸びろーーー!!』
手甲が手の形を保ったまま一直線に伸びる。
ドゴゴゴゴン!!
「5機撃墜。さっきと合わせて6機です」
ルリが淡々と戦果を述べる。
『よ・・・横島くん・・・すごい・・・』
プロスも目を見張る。
(横島さん・・・やはり、あなたは・・・)
『栄光の手(ハンズ・オブ・グローリー)も調子良いな・・・!なら今度は!』
ビシュウッ!
栄光の手からエネルギーの刃のようなものが伸びる。
「あ〜っ!あれ知ってる!確かビームサーベルってやつだよね?」
『違うって艦長。あれはレーザーソードだって』
「私アニメでラグナブレードとかサイ・ブレードとか聞いたことあります」
「プラズマカッターかな?」
「あれはゴルンノヴァよ!」
『ちがうちがーう!あれは天上天下無敵剣だ!!』
「みんなマニアックだなぁ。ぼくはライトセーバーぐらいしか思いつかないや」
「含光だな」
「む、九十五法・斬光ではないか?」
「ザンヤルマの剣ってのもありですな」
あんたらやけに渋いな。
「エネルギー系じゃないけど、ピンチの時に現れたから、スーパーピンチのラストチャンスソードかも!」
「ああ、逆転閃光カットってやつだね」
お前も十分マニアックだ。
「ん〜バニティリッパーもエネルギー系じゃないわねぇ・・・ならDFSかも知れないわね・・・!」
「あ、我掲げるは降魔の剣!ってのもありました!」
『大穴でフェイズガンはどうだ?』
もうなにがなんだか。正解は霊波刀でした。
「全部違います」
え?とばかりに全員ルリを見る。
「あの剣からは熱が感知されません。まったく未知の物質です」
「未知って・・・」
「オモイカネでも解らないと・・・」
――――――――――
あんまり変わらないけど横島・明乃サイド。
とっくにディストーションフィールドも復活したエステIN横島&明乃は多くの敵を落としていた。シリアスモードに少し入っているせいか動きが格段にいい。だが、
「う・・・!」
霊波刀が細く短くなってきている。
(ぼ、煩悩がたりねーーーっ!)
「横島くん!なんかエステのエネルギーも無くなってきたっぽいですよ!」
こうしている間も敵の攻撃は激しい。
(・・・どうする!?)
その時ユリカの声が届く。
『横島さん!海に向かって跳んでください!』
「海に落ちたらかわせないっスよ!」
『いいから!』
「く・・・ままよ!」
海に向かって飛ぶエステ。そのまま海に着地。
「着地できた・・・?ぉお!?」
足の下から何かがあがってくる。ナデシコだ。
『おまたせ!明乃!』
「おそいよ、ユリカ!」
『ごめんごめん!じゃ、グラビティブラスト、みんなまとめてぜ〜んぶ!!』
ナデシコから発射される黒い閃光。ジョロとバッタはまとめて吹き飛んだ。
「「す、すごい・・・」」
――――――――――
「見事だ、艦長」
「まぐれよ!まぐれに決まってるわ!!」
俄かに騒がしくなるナデシコのブリッジ。艦内のほかの場所も同様だ。
(まさに逸材・・・しかし、本当に凄まじかったのは・・・)
プロスのメガネが静かに光った。
続く
イネス先生のなぜなにナデシコ出張版
良い子の皆さんこんにちは。今日もなぜなにナデシコの時間がやってきました。ここではいつものように「GS横島 ナデシコ大作戦!!」のギモン・専門用語等を、解りやすく、かつコンパクトに説明するわ。
Q1・美神さんとミナトさんってそんなに似てるの?
絵柄だけで見たら似てないわ(きっぱり)。でも2人とも美人という設定で、ヘアスタイル、髪の色、スタイル、背丈など、輪郭の共通点が多いのは確か。美神令子をナデシコの絵柄、ハルカ・ミナトをGS美神の絵柄で想像すると、似てるって気になってこない?このSSでは、横島くんが勘違いするほど似てるってことで了解してね。性格は似てないけど。
Q2・サイキック・ソーサーって?
自分の霊力を手のひらの一点に絞り、小さな盾を作る横島くんが一番最初に覚えた霊能力よ。霊力を一点に絞ってるからかなりの硬度を持った盾ができるけど、盾以外の部分は普通人以下の防御力になってしまうの。この能力の真価は、その硬さを利用して相手に投げつけること。かなりのダメージを期待できるわ。正式名称はスペシャル・ファイアー・サンダー・ヨコシマ・サイキック・ソーサーって言うらしいけど・・・
Q3・栄光の手(ハンズ・オブ・グローリー)って?
霊力を右手首付近に集め、霊力で出来た手甲みたいなのを作り出す能力ね。横島くんが2番目に手に入れた能力(三番目は文珠)よ。この能力は敵に向かって伸ばしたり、霊波刀を作り出したり、その形を自由に変えて攻撃できる能力なの。でも横島くんは霊波刀以外のものに変えたことなかったけどね。サイキック・ソーサーより安定しててこれといった欠点がなく、一番長く愛用された能力よ。そういえば、この能力といい、サイキック・ソーサーといい、文珠といい、横島くんが念能力者なら具現化系か変化形ね。どうでもいいけど。
Q4・戦闘中に出てきた変な単語のモトネタは?
たくさんあるから1個づつね。
1・対空猫ロケットア○ク
いきなりノーコメント・・・
2・ビームサーベル
発言者・ユリカ
登場作品・機動戦士ガンダムシリーズ
機動戦士ガンダムのシリーズに出てくる有名なエネルギーソードよ。名前のわりにはサーベルの形をしてない気が・・・
3・レーザーソード
発言者・ウリバタケ
登場作品・機甲戦記ドラグナー
ガンダムといえばビームサーベルならこっちはドラグナーね。恐怖のトリプルアタックのためにも改造はしっかりと。
4・ラグナブレード
発言者・メグミ
登場作品・スレイヤーズ!
全てを消し去る虚無の刃を呼び出す、ロードオブナイトメアの力を借りた魔法の一つよ。
5・サイ・ブレード
発言者・メグミ
登場作品・ロスト・ユニバース
人間の精神力をエネルギー剣の形で具現化させるものよ。バンダナと精神増幅器がかっこ悪いからか、あんまり普及してないみたい。
6・プラズマカッター
発言者・ミナト
登場作品・バンプレストオリジナル
スーパーロボット大戦シリーズのオリジナルロボット(パーソナルトルーパー)、ゲシュペンストに標準装備されている武器よ。
7・ゴルンノヴァ
発言者・ムネタケ
登場作品・スレイヤーズ!
スレイヤーズのガウリィが持っていた、光の剣の正式名称よ。
8・天上天下無敵剣
発言者・ガイ
登場作品・バンプレストオリジナルの、超機大戦SRX 絶大な攻撃力を持つスーパーロボット、SRXの持つ剣よ。正式名称はゾル・オリハルコニウム・ソード。
9・ライトセーバー
発言者・ジュン
登場作品・スターウォーズ
スターウォーズの時代に普及しているエネルギーソードよ。
10・含光(がんこう)
発言者・フクベ
登場作品・ソウルエッジ
プレステ版ソウルエッジの黄星京(ファン・ソンギョン)の最強武器。柄しか見えない光の剣よ。リーチがとても長いわ。
11・九十五法・斬光(きゅうじゅうごほう・きりみつ)
発言者・ゴート
登場作品・倒凶十将伝
正式名称は鳴輝閃術九十五法斬光。光の幽将の気を刀にまとわり付かせて斬りつけたり、光の刃を飛ばしたりする強力な攻撃よ。
12・ザンヤルマの剣
発言者・プロスペクター
登場作品・ザンヤルマの剣士
かつて大いに栄えた古代文明・イェマドを滅ぼしたという剣よ。普段は赤い波のような形状をした鞘に収まった短剣にしか見えないわ。
13・スーパーピンチ
発言者・ユリカ
登場作品・スクライド
崖っぷちのエマージーこと、エマージー・マクスフェルのスーパーロボット型のアルターよ。ピンチな時しか呼び出せないわ。
14・ラストチャンスソード
発言者・ユリカ
登場作品・スクライド
スーパーピンチがピンチバードと合体してパワーアップした、グレートピンチクラッシャーの持つ剣よ。
15・逆転閃光カット
発言者・ジュン
登場作品・スクライド
グレートピンチクラッシャーがラストチャンスソードで繰り出す必殺技よ。抹殺のラストブリットより強いわ。
16・バニティリッパー
発言者・ムネタケ
登場作品・バンプレストオリジナルの、魔装機神〜THE LOAD OF ELEMENTAL〜 風の魔装機神サイバスターの剣、ディスカッターのパワーアップしたものよ。他の機体のディスカッターは変わらないみたい。
17・DFS
発言者・ムネタケ
登場作品・時の○れに
・・・・・・ノーコメント。
18・我掲げるは降魔の剣
発言者・メグミ
登場作品・魔術士オーフェンはぐれ旅
金貸し魔術士のオーフェンが使う音声魔術の一つで、不可視の剣を出す魔術よ。不可視のはずなのに見えるのは、ご愛嬌。
19・フェイズガン
発言者・ウリバタケ
登場作品・スターオーシャンセカンドストーリー
クロードが持ってた光線銃よ。これを光の剣と勘違いしたレナが、クロードが勇者と思い込んじゃったわね。
Q5・煩悩が足りないってどういうこと?
横島くんの霊力の源は煩悩。で、このときの横島くんはちょっぴりシリアスモードに入ってたの。普段の横島くんは、少しのことでビビッて竦んだり、腰が引けたりして実力の大部分を発揮できてない(それでもよけるのは上手い)けど、シリアスになることで体の萎縮がなくなり、とてもいい動きをするようになるの。でもこの状態では、当然煩悩が少なくなる、イコール、横島くんの霊力が弱まるって結果になるわ。だからすぐに栄光の手が弱まってきたわけね。
Q6・何で横島はエステサイズの霊力を出せるの?
横島くんは気付いてないけど、彼は無意識に「今俺はロボットに乗ってるんだから出す霊力もロボットサイズのはずだ!」って思ってるの。威力は人間サイズと同じで、生身で出す時も以前と同じサイズだけどね。まぁサイズを状態に合わせてるってとこかしら。思い込みの勝利ね。でも文珠は生身の手にしか出せないけど。つまり、『爆』などの文珠はエステの中からじゃ直接は使えないってことね。使いたければ一度アサルトピットから外に出さないとだめね。
あとがき
活躍しないなぁ文珠(笑)。ってゆーか俺の貧困な発想力ではありきたりな使い方しか思いつきません!誰か文珠の面白い使用法考えてくれないかな〜?なーんて。文珠は一歩間違えると何でもありになってしまうから気を使います。何でもありになったら面白くなくなるような気がするので・・・
それからですね、火星編が終わるまではTV版ナデシコと展開はあまり変わりません。アキトの変わりに横島がいるってだけで。そこんとこをご了承願います。
管理人の感想
K−999さんからの投稿です。
まさか二人で乗り込むとは思いませんでしたね。
・・・違和感無くIFSを使って戦闘をする横島が、ちょっと不思議ですけど(苦笑)
確かに、文珠を便利に使いまわせば、万能アイテムになりますからね。
まさに、アイデア次第!!
で、あの状況下で横島は文珠を使って、どう脱出するつもりだったんでしょーか?(苦笑)
というより、サイゾウさんの所で霊能力の訓練をしてたくせに、自分の能力を忘れるなよ(笑)