・・・・・・私の名は御剣万葉。優華部隊の一員だ。断じて高原万葉という名前ではない。神剣の娘だっていない。


 我々は今しがた、横島を血の海に沈め枝織殿を食堂に連れてきたところなのだが・・・


「枝織ちゃんごめんね・・・。私が油断しなかったら、あのけだものの慰み者にならないで済んだのに・・・!」


 トリップしている。零夜の悪い癖だ。


「あ、あのね、零ちゃん?」


「ううんいいの!何も言わなくていい・・・!もう怖い人はいないわ!私の胸で泣いて、そしてすべてを忘れましょう・・・!」


 零夜が枝織殿の頭を抱える。だが枝織殿はむーむー苦しそうに唸るだけで泣いているのは零夜だけだ。

 枝織殿が手足をばたつかせてむーむーうめく様は結構可愛いかも。


「むぅぅぅぅ・・・!っぷはぁっ!!もう!零ちゃん枝織を殺す気!?(はーはー)

 たー君は何もしてないよ!ちょっと強引だったけど、泣いてた枝織を慰めてくれたんだよ!?変な事なんかなんにもされなかったよっっ!!」


 やはりそうだったか・・・。最初のうちは全員でフクロにするのに躊躇いなど無かったが、人は自分以外の誰かが激しているとかえって自分は冷静になるものだ。・・・まあ、うすうす気付きながらもフクロにするのを制止するどころか辞めもしなかったがな。


「そ、そんな・・・枝織ちゃん、何であんな人をかばうの!?・・・!わかったわ・・・枝織ちゃん、恥ずかしい写真を撮られたのね!?そう、何枚も!パシャパシャと!ブゥゥゥゥゥンと!(?)ああ・・・なんて可哀想な枝織ちゃん・・・。もう写真には写れないのね・・・なんたってもうカメラがトラウマになっちゃったもの・・・!でも大丈夫。私たちが全部ネガごと取り返してあげる!そしてその後ゆっくりと心の傷を癒しましょう!そう・・・二人で・・・二人だけで・・・!うふ、うふふふふふふふふふふふふふふ・・・・・・あ、でも北ちゃんになんて説明しよう?」


 ・・・とりあえずお前と縁を切りたいんだが・・・。思いっきり。一秒でも早く。光の速さで。

 
 というか、どっからそういう発想が出てくる!?しかもネガを取り戻すのは「私たち」・・・私たちも勘定に入っているのか!?


「だーかーら!違うって言ってるでしょ!!今の零ちゃんのほうがよっぽど怖いよ!!」


 零夜・・・私は枝織殿に激しく同意するぞ。なんだか邪悪な気も感じる・・・零夜、お前ってある意味横島と同類なのかも知れんぞ・・・。それ以上邪悪な気を発するのなら私も「魔物を討つ者」としてお前を狩らざるを得んぞ?・・・冗談だが。


「え・・・?そ、そんな!嫌わないで〜!」


 これで零夜も冷静になるか・・・?。


「で、でも、ほんとにそうだとしたら、弁解したって良いじゃないですか!」


「最初の一撃で横島君を弁解できないように破壊したのは零夜でしょ・・・」


 舞歌様正解。ついでに言うと、横島の怪我の6割は零夜の仕業だ。3割が私たち(舞歌様含む)、一割は刺し傷だ。


 と、みんなで和気あいあい(?)としていると、


「枝織。ここで何をしている」


 その声に、全員が注目する。


「と・・・!父様!」








GS横島 ナデシコ大作戦!!





第十四話「モモ」





「なぜ・・・なぜお前がここに・・・!?」


「舞歌か。ヌシに用はない。

 枝織。横島忠夫を何故殺さなかった」


「ん・・・な!?(全員)」


 全員驚愕する。


「だって・・・だってたー君は!初めて会ったときから枝織を見てくれた!他の人みたいに枝織を北ちゃんの偽者だって目で見なかったよ!だから・・・」


 明らかに怯えながらもはっきりと拒絶の意思を示す。だが、そこまでだった。そこまで喋った時点で枝織は北辰の一撃によって壁際まで吹き飛んでいた。


「きゃあああっ!」


 零夜が悲鳴を上げる。


「あぅ・・・」


「そのような下らぬワケだったとはな。・・・ふん。ヤマサキめ。何が完璧だ。」


 枝織の言葉にもさしたる感銘を受けず、うずくまる枝織の脇腹に蹴りを叩き込む。


「いたっ!痛い!」


 横島を殺すことははっきりと拒絶したものの、うずくまって震えるだけで逃げる様子は見られない。それを舞歌が止めに入る。


「北辰、止めなさい!!」


 短杖を取り出し北辰に袈裟懸けに叩きつける。北辰は体を半身ずらして避ける。だがかわされるのは舞歌の予想範囲内。二度、三度、両手の短杖を操り攻め立てる。


「やるものよ」


 横薙ぎの一撃を短刀で受け止め、彼にしては珍しく誉め、舞歌の腹に掌打を決める。


「くぁっ・・・・・・!」


 ひるむ舞歌を容赦のカケラも無く蹴り飛ばす。


 他の隊員は動けない。彼女らは弱いわけではない。それどころか木連でも有数の使い手だ。だから否が応にも理解してしまう。目の前の男に隙はない、と。だが、


「や・・・やめて、父様・・・!」


 枝織が止める。脇腹を押さえ、ふらつきつつも立ち上がる。


「我を裏切り、なお指図するか」


 裏拳で躊躇なく枝織の顔を強打する。また別の壁際に叩きつけられ、崩れ落ちる。


「あ・・・くは・・・」


 そして枝織の前に立ち、今一度問う。


「枝織よ。最後の機会だ。横島忠夫を殺せ。我は枝織を必要としている。成功すれば頭の一つも撫でてやろう。我とて辛いのだ。枝織を愛しているからな」


 ぬけぬけと言い放つ。しかし・・・


「ごめんなさい・・・たー君は・・・たー君は殺せない・・・・・・!」


 北辰に逆らえるとは思ってもいない。だが、このことに関してだけは枝織はもう折れない。屈さない。本当のぬくもりをもらったのだから。


「・・・・・・・・・」


 北辰は眉毛がぴくりと動いただけで表情は変わらない。


「・・・ヤマサキに調整をやり直させるか。もう使い物にならん。だが・・・」


 短刀を持ち直す。


「だが、その心が消される前にその顔と心に傷を刻んでくれる・・・!もう二度と我に逆らえぬように、逆らおうと思うたびに幻痛が走る傷を・・・!」


「え・・・!?い、いやぁ・・・・・・」


 枝織は逃げようとしたが、北辰に睨まれると体が動かない。やはりその支配のほとんどはいまだ健在なのか。


「傷が痛むたびに錯覚に惑わされたことを悔いよ」


「あ・・・あ・・・・・・あ・・・」


 枝織はがたがた震えて自分の顔に振り下ろされるであろう短刀に見入っている。


(う・・・うう・・・!!)


 舞歌は必死に動こうとするも少しづつ這う事しかできない。ほかの隊員も動けない。この男を止められるのは北斗しかいない。だが北斗は枝織の中。よしんば北斗に替わったとしても、北辰の持つ笛によってまた枝織になってしまう(舞歌しか知らないことだが)。横島は自分達の手で行動不能にした。


 そして振り下ろされる短刀。


(ちくしょう・・・・・・!)


 全員自分の無力感に打ちのめされる。だが、だがこんな時にこそ・・・!


「っさせるかコラァァァァァァァァッ!!」


『疾』『駆』


 ガキンッ!


「ぬ!?」


 こんな時にこそおいしいところを持っていくのが、横島という男。文珠で一瞬で二人の間に割り込み、短刀を霊波刀で受け止める。・・・だが、文珠を使って、美人のねーちゃんを見つけたときと同じ速さなのはどうか。


「た・・・たー・・・君?」


「光の刀・・・?異な術を使う・・・!!」」


 すかさず横島から距離を取る。


「よ、横島君!?怪我は!?怪我はどうしたの!!」


「治しました。今回ばかりは」


「な!?」


 確かに打ち身も刺し傷も見当たらない。打たれ強いとかそんなレベルではない。しかも、「治った」のではなく「治した」・・・?


「で、だれですか。このオッサンは」


「2人の・・・父親よ」


「へー。似なくてよかったな。北斗と枝織ちゃん。爬虫類みてーな顔だし」


(((((!?)))))


 おいおい死にたいのか?という無言の声が聞こえる。だが、


「挑発か。わざわざ慣れぬ挑発をせずとも、ヌシは殺されるのだ。わざわざ出て来るとは手間が省けたわ・・・滅」


 短刀を投擲。だが、サイキックソーサーで弾き返す。


「無駄」


(・・・!?その盾は・・・?)


 万葉と千沙が反応する。特に万葉にとって、忘れられないあの時の盾だ。


「はン・・・娘は殴れても知らん男は怖くて殴れんってか。んな遠くでちまちまナイフ投げなんてな・・・」


「・・・斬」


 横島の言葉に反応したのかどうかはわからないが、確実に接近戦でしとめようとしたようだ。常人には反応できない、超高速の踏み込み。


「!!」


 横島は微動だにしない。反応さえ出来ないのか。


「駄目だ!逃げろ横島ーーー!!」


 だが、横島はむしろ笑う。


『縛』


「ぬ・・・!これは・・・!?」


 北辰の動きが踏み込みの格好のまま停止する。あらかじめ床に文珠を転がしておいたのだ。北辰は罠にかかったことになる。


「あんたやっぱり爬虫類って言われたことに怒ったんじゃねえの?んな簡単に突っ込んできて」


 停止した北辰に呟く。必死に戒めから逃れようとしているようだが叶わない。そして横島はちらりと枝織の腫れ上がった頬を見る。


「とりあえず・・・お前も吹っ飛べぇぇぇぇぇ!!」


 ドッッガオンン!!


 「栄光の手」を纏わせ、北辰の顔を全力で殴りつける。大きく吹っ飛ぶ北辰。受身も取れずに壁にぶつかる。


「「「「「「「「・・・・・・・・・・・・・・・!」」」」」」」」


 横島以外の人物はもう絶句するしかない。殴り飛ばしたのだ。木連最悪の男を一撃で。一撃たりとも攻撃も受けずに。


(あーあ・・・仕方ないとはいえ、ばれちまったかな?霊力・・・)


 そのとき、


「フッ・・・フフフフフ・・・フワハハハハハハハ・・・!!」


 突然北辰が高笑いをする。枝織のそれより大きく陥没した頬にも、滴り落ちる鼻血にも気付かないかのように。


「フ・・・このようなところで・・・!このようなところで「霊氣」にまみえるとはなァ!」


「!!霊氣・・・ですって・・・?」


 舞歌と飛厘が驚愕する。


「百華、れいきってなにばい?」


「・・・昂氣は知ってるでしょ?木連式柔口伝『武羅威(ブライ)』・・・己の魂の色を発現せし『昴氣(コウキ)』をその身に纏う時、その者は人の身にして、武神への道を歩む・・・・・・。

 そして、確かに実在したという話があるとは言え、ほとんど御伽噺の昂氣よりもさらに謎とされる能力。その霊氣とは、昂氣と対をなし、人にあらざるものを滅する神秘の力らしいです。

 昂氣と違ってその力の大きさにはピンキリあるって聞くけど、最高クラスの霊氣は昂氣にも劣らないと言われてます。でも、昂氣と同じで御伽噺だと思ってましたが・・・。まさか実在したとは・・・」


「それを・・・横島さんが!?」


 信じられない・・・という雰囲気が広がる。


「しかも貴様がかつて魔神を滅ぼした者と同じ、文珠使いだとはな・・・!」


「・・・・・・」


 って言うか本人だ。別に文珠で倒したわけじゃないのだが。


「クク・・・もう枝織などどうでもよい・・・。また会おう、横島忠夫!」


 その言葉を残し、北辰はこの場から去っていった・・・


「俺は会いたくないけど・・・」


「横島。やはりお前は力を隠してたんだな」


「ああ、ごめん。出来れば黙ってたかったけど・・・」


「いや・・・私は自分が情けない・・・私は一歩も動けなかったというのに・・・」


「急にそんな態度をされるとね・・・

 あ、それより・・・」


 枝織に近づく。


「枝織ちゃん・・・」


「しおり・・・しおり、とうさまにすてられちゃった・・・ああ・・・もう、もう・・・」


 自分で自分を掻き抱き、震えている。


「「枝織ちゃん・・・」」


 舞歌や零夜はかける言葉が見つからない。横島を殺すことにはどうしても従えなかったが、大事な存在であることには変わりなかったのだから。


「大丈夫!!枝織ちゃんには、舞歌さんや零夜ちゃん、それにこれからは優華部隊の皆もいるし、それに・・・」


「・・・それに・・・?」


「父親に捨てられて悲しいというのなら・・・

 オレが枝織ちゃんのパパになってやる!!」


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 ひゅるりら〜


「「「「「「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」」」」」」


 もう絶句。舞歌も、枝織も、優華部隊も、全員目が点でぽかんと口を開けている。


「うん・・・それがいいって!それで万事解決?」


 自分ではいいアイディアだと思っているのか、しきりに頷く。


「ああ・・・それも便宜上だけでなく本当の父親になって理想の女性に育て上げるのも男のロマン・・・?」


 まだ5巻のときの夢が燻っていたのか。


「いやいやここは血の繋がらない父娘という禁断の関係に溺れて爛れて堕ちて行くというオーソドックス(?)な展開もいいかもーん!」


 こいつのバカさ加減は真性か。舞歌は呆れ顔、枝織はまだ目が点だ。そして優華部隊は、


「「「「「「「あ・・・・・・あ・・・・・・」」」」」」」


 全員からどす黒いオーラが。


「「「「「「「アホかーーーーーッ!!!」」」」」」」


 


 七人同時攻撃され宙を舞う横島。たとえ見直されてもその直後からどつかれるとは、ある意味横島らしくて安心できるような気もする。





 ――――――――――





「横島忠夫」


 突然ぬっと現れる北辰。


「どわっ!?早えなおい!?」


「何を言っている。もう三ヶ月になるではないか」


「・・・・・・・・・」


 そう。横島に霊力があることがばれてから早三ヶ月。横島が木星に来てから約六ヶ月ということになる。あれから霊力を巡っていろいろ騒動が起こったりもしたが、ここでは割愛する。


「・・・・・・んで?なんの用だよ」


「汝・・・地球に帰りたくはないか」


「・・・何のことだ?」


「何をとぼける。いつもいつもあれだけおおっぴらに会話されれば我でなくても気がつくものだ」


「・・・・・・」


 横島は先程食堂で交わした会話を思い出した。





 ――――――――――





「ねぇ横島君」


 食事中(昼食。メニューは酢豚とにんにく抜き餃子、白いご飯)、舞歌が横島に話し掛けてくる。


「なんスか」


「これは以前から考えてたことなんだけど・・・」


 表情は結構真剣だ。


「横島君。あなた、正式に私たちの仲間にならない?」


 しーーーん・・・


 さっきまで賑やかだった食堂が、一気に静かになる。


「どういうことだ舞歌。正式にとはどういうことだ?」


 北斗が訊ねる。周りが急に静かになったことも気になっているようだ。


「ああ・・・そういや北斗は知らなかったっけか。

 実は俺、地球人なんだよ。所謂・・・捕虜ってやつ?」


 他の人と同じメシを食いつつ言っても説得力に欠けること甚だしい。


「フン、成る程」


 そう言って平然と食事を続ける。舞歌と横島もその反応は予想済みだったのか、話を続ける。


「で、どう?横島君。別に地球の人達と戦えって言ってるわけじゃないの。

 前にも言ったと思うけど、私たちはむしろ和平寄りの考えを持ってるわ。今より待遇は良くなるしお給料だって出る。ちょっと地球の軍と戦うこともあるかも知れないけど、私たちの基本理念は和平寄り・・・どうかしら?」


「・・・いや、でも俺なんか・・・」


「あれだけの力を持ってて謙遜するのはナシよ。はっきり言うわ。私は、ううん、私たちはあなたを買ってる。それに、霊氣のことがわかる前から、私はあなたを誘おうと思ってたし。

 正確には、枝織ちゃんに会ってもらった時からかしら。あの時思ったわ。この人は信用できるって」


 横島の言葉を遮り、舞歌は言葉を重ねる。


「そんなに認めてくれるのは嬉しいんスけど、他の皆は俺なんかが仲間になるの・・・あんまり気が進まないよな?」


 横島が周りに問い掛ける。だが・・・


「いいえ。私は賛成です。考えるまでも無いですよ」


 と、千沙。


「それ以前に、とっくに仲間と思ってたんだけど」


 三姫。


「私も賛成ですよ。おもしろいしね。万葉は?」


 百華。


「決まっている。歓迎するぞ」


 万葉。


「これで破廉恥な行いをしなければ・・・」


 京子。


「ゴキブリのようなしぶとさにたまに見せる真剣な表情・・・研究のしがいがあるわね」


 飛厘。


「私はどっちでもいいんですけど・・・信用できるってところは―――まぁ、確かに」


 零夜。


「俺はどっちでも良いが・・・また暇になるな。いなくなると」


 北斗。


「って皆言ってるけど?」


「・・・・・・・・・・・・」


 横島は深く感動した。もうちょっとで涙も出そうになった。


「いや・・・その、なんていったらいいのか・・・ホント嬉しいんすけど・・・」


「けど?」


「・・・俺たちが火星で全滅しそうになった時、ナデシコの皆は俺を囮にして脱出するのに最後まで反対してたんスよ。あのままじゃ全員死ぬとこなのに。でも最後には何とか納得してもらえました」


「・・・・・・・・・」


 皆黙って聞いている。


「その時約束しました・・・プロスさんにはエステを返す、

 ガイとはシミュレーターで勝負、

 ミナトさんとルリちゃんにはアシスタント時代の話、

 ホウメイさんからはまだ習ってない料理があるし、

 艦長には晩飯奢ることになってるし、

 明乃ちゃんには、必ず生きて帰るって・・・」


 明乃以外の約束も、生きて帰ってきて欲しいという気持ちが込められているのは明白だ。

 それに、過去の人間である以上ナデシコとの別れも必ず来る・・・


「・・・・・・・・・」


「ナデシコと優華部隊・・・どっちが大事って天秤にかけられるもんじゃないっスけど・・・・・・でも・・・・・・」


「・・・・・・そう・・・ごめん、横島君。困らせちゃったみたいね・・・・・・」


 食堂は、さっきまでの和やかな雰囲気はどこへやら、重苦しい空気が立ち込める。


「あ、でも、ここから帰る方法だってないし、それに俺って捕虜だし・・・」


「捕虜扱いなんかするはずないでしょう・・・!それは侮辱よ。それと、文珠があればいつでも逃げられるんじゃないの?」


「舞歌さん、文珠はそんなに万能ってわけじゃないっスよ」


「・・・そう。そうだったわね・・・」


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 誰も口を開かない重い雰囲気の中、横島が立ち上がる。


「・・・どこ行くの?」


「まだ廊下掃除終わらせてなかったっスから」


 そのまま食堂を出て行った。


「・・・・・・フン」


 北斗はつまらなそうに鼻を鳴らした。





 ――――――――――





 そんなやり取りがあったことから、今の横島は久しぶりにナデシコのことを深く考えていた。常々帰りたいとは思っていたが、良い方法が思いつかなかったので先送りにしていたのだ。

 だが、このままではいけない。舞歌は真剣だったのだから。どういう答えを出すにしろ、いや、最後には地球に帰るという結論を出すことになるだろうから、こちらもそれを真面目に伝えなければいけない。・・・・・・苦手な分野だが。


 で、そんな時に北辰は話し掛けてきた。周りに誰もいないときに。


「地球ねぇ・・・俺が地球に行きたいとしたらあんたはどうするんだ」


「地球に連れて行ってやろうというのだ。新兵器の実験も兼ねてな」


「・・・・・・」


 北辰がイマイチ信用できない、という以外はなかなか魅力的な話な気もする。それに、久しぶりに地球の地を踏みたい、という気持ちもある。


「何でそんな話を持ちかける?あんたにメリットは?まさか信用されるとは思ってないんだろ?」


「物のついでだ。メリットもある。それに地球に帰る好機かもしれぬぞ」


「・・・・・・・・・どういうメリットだ?」


「それは言えぬ。言い忘れたが、ヌシをタダで帰すなど一言も言っておらぬ。地球に連れて行くといっただけでな」


「・・・・・・」


 地球には連れて行くけど帰すつもりはない?新兵器の実験を兼ねてる?しかもメリットもあるという。いぶかしむが真意は読めない。


「出発は今すぐ。舞歌らに断りを入れる暇はないぞ」


「・・・・・・・・・」


 今すぐ地球に帰るという踏ん切りはつかない。でも地球には行きたい。奴の言うことを信じるとすると地球に行くが帰ってくるらしい。・・・ちょっと揺らぐ。怪しい。めっちゃ怪しい。でも・・・・・・


「・・・・・・わかった。どうせ帰るときには皆に挨拶しないといけないからな。観光のつもりで行くとしよう」


 文珠は十個・・・何らかの罠の可能性も高いが、これだけあればそうそうやられはしない・・・!


「フ・・・・・・」


 北辰は顔を歪めた。


「あ、それと」


「なんだ」


「もちろん日帰りだよな?」





 ――――――――――





 今横島は、機動兵器の中に押し込まれている。


「おいおい・・・まさか時空跳躍門を使って地球に行くつもりじゃないだろうな?めっちゃ目立つじゃねーか」


 横島も木星に来て六ヶ月。地球人とばれないように、木連式の正式名称には気を使っている。


「新兵器の実験だと聞いていないのか?これは機動兵器サイズでの跳躍を目的としたものだ。小型化の所為か往復するのがやっとだがな。

 ・・・なにを恐れる?我らが乗る以上実験を重ねたに決まっているだろう。我らは最終調整ついでに少々任務をこなすだけだ」


 横島と同乗している北辰の部下、潰風が答える。


「二回分の時空跳躍しかできないといってもコストが高すぎるが・・・無人にして時空歪曲場の省略、片道のみにして更なる小型化、それらに成功して量産態勢が整えば・・・」


(・・・そらおっそろしいな・・・)


 まったくの余談だが、別次元の数年後には六連の量産機、積尸気として登場することになる・・・しかも有人機で。





 ――――――――――





「・・・・・・あンの爬虫類ーーーーー!!」


 現在、横島は走っていた。走って走って走りまくっていた。走らなければ死ぬからだ。鳴り響く警報、後ろから追ってくる警備員。道はわからない。


(んだ〜〜〜〜っ!何でこんなことになったんだよ!?)





 それはかれこれ二十分前、久しぶりに吸った地球の空気を味わう暇もなく引っ張り込まれた、とある研究施設らしき建物。そこの地下深くに訳もわからないまま何とか一行についていく横島。誰とも会わずにたどり着いたのは、ただの廊下だった。


「このあたりか」


 なにが?と訊きたいが、それを聞く前に話はどんどん進む。


「では各々、目的のものを探せ。邪魔者は殺せ。・・・散」


 その言葉と共にいっせいに散る北辰の部下。


「お、おい!どういうことだよ!」


 北辰は横島のほうに目を向けると、紙を一枚ひらりと飛ばし、自分も消えた。


「〜〜〜〜〜〜〜〜っ!一体なんだっての!」


 そして北辰の紙を見てまた全身の血が沸騰しそうになる。その内容とは・・・


『ヌシはこのまま囮になってもらう。

 警備の者など物の数ではないが、やはり邪魔は少ないに越したことはない。

 我らが目的を達し、その時生きていたら拾ってやろう。

 もしヌシが死なず、さらに我らからも逃れられたのならば、そのまま地球に戻ることも可能であろう。

 それは有り得ぬとあらかじめ言っておくがな。

 地球に逃れられる確率は、初挑戦で幸せの箱を取るよりも難しいだろう。もちろん文珠を考慮に入れて、だ。

 それと、それを読み終わるころには警備員が殺到し始める頃だろう。

 死にたくなければ、メロスのように走ることだな』


「・・・・・・・・・・・・あ・の・ムッツリ爬虫類ーーー!!あの時、はちゅーるいとかおくびょーもんとかさんざ馬鹿にしたことを根に持ってんじゃねーだろーな!!つーかまた囮かい、俺!!」


「いたぞ!侵入者だ!」


「発砲許可は下りている!生かして帰すなよ!」


 とりあえず、北辰の手紙は正しかったようだ。


ちっくしょおおおおおぉぉぉぉぉぉ・・・・・・」


 命がかかっているからか7割増に足が速い。


「速いぞ!先回りさせろ!」


 横島が来ることによるメリットは、囮と腹いせのためだったのだろうか・・・・・・。





 ――――――――――





 いまだ、研究所内は静まる様子を見せない。だが、当面の追手を撒くことには成功する。ほぼ毎日女性から逃げている所為だろうか。

 自分の居場所はさっぱりわからないが、かなり大きい扉を発見する。電子ロックがかかっているようだ。


(ロックがかかってるってことは、この中を捜索される可能性って低いよな・・・)


 だがそれは、北斗と出会った時と同じ発想だ。


(・・・優華部隊の皆に挨拶してないし、別に今帰れなくてもいいよな・・・だったらこの中でじっとしてよっかな)


『解』


 あっさりと電子ロックが外れる。


「・・・これは!?」


 かなり広い部屋の中には、十本ほどの透明な円柱があった。その中には、隙間なく満たされた液体、そして、生きている人間が入っていた・・・

 中の人間は、若者がほとんど。水のような液体の中にいるというのに、生きているようだ。

 
「人体実験か・・・?」


 似たようなものを目撃したことがある。ただし、以前見たものは妖怪や魔族。今回は見た限りでは人間だ。感じる嫌悪感は変わらないが。全員全裸だが、さすがにこの状況ではムラムラこない。

 中の人間がこちらに気付き、内側から円柱を叩く。何かを訴えようとしているようだが聞こえない。


「助けてって言いたいのか?」


 横島は、霊波刀で円柱の中の人間の腰あたりの高さを切り裂く。

 その結果液体は流れ出て、中の声が聞こえるようになった。


「そこのコンソールの緑のボタンを押して!」


「え?」


「奴らが帰ってくる前に、早く!!」


「あ、ああ」


 言われるままにすると、部屋全体の円柱が上方に持ち上がる。大量の液体が流れ出し、中の人間が歓声を上げて出てきた。

 そのまま隣の部屋にほとんどの人が走ってゆく。


「・・・お礼くらい言ってくれてもバチは当たらんだろう・・・」


 だが、全員すぐに戻ってくる。みると、毛布を纏っている。隣の部屋にあることを知っていたから取りに行っただけなのだろう。そして、俺に礼を言いつつ脱出していく。どうやら、囚われていた人の中に元研究員も混じっていたらしいが・・・


「ん?」


 円柱が既に無く、単なる台座にしか見えない場所に、薄桃色の髪の女の子がへたりと座り込んでいた。見た感じ、小学校低学年程度の年齢に見える。


「なあ」


「・・・・・・」


 声を掛けても無言だ。


「君は逃げないのか?」


「・・・帰る場所なんか無い」


「む・・・」


 さらに声を掛けようとしたら、女の子がぶるりと震える。


「あ、寒いか。待ってな」


 さっきの人達が毛布を持ってきた部屋に入った。結構広い。

 毛布を探すとほど無く見つかる。見ると、まだ五枚ほど残っている。研究員の仮眠室も兼ねているのかもしれない。

 さっさと一枚拾い、またもとの部屋に戻る。


「ほら」


「・・・・・・」


 ぱさりと毛布を被せる。


「・・・・・・」


「・・・・・・」


 そのままなぜか見詰め合う。


「・・・・・・・・・・・・」


「・・・・・・・・・・・・」


 さらに見詰め合う。言うまでも無いが、双方に胸のときめきといったものは全然無い。今のところは。


「・・・・・・なんかこうして見ると・・・どことなーくルリちゃんに似てる気がするなー」


「?」


 特に目が。ルリと同じ金色だ。


「そういやいつまでもこのままここにいるわけにもいかんなぁ・・・」


 だがこの子を放っておくわけにもいかない。自分から逃げようとする様子は見られない。このまま放っておくとまた実験台にされるだろう。何の実験かは知らないが、放っておくと寝覚めが悪い。


「なあ、行くところ無いんだろ?」


「・・・・・・(こくり)」


「だったら俺について来るか?」


「・・・・・・・・・・・・・・・」


 じぃっと横島の顔を見つめる女の子だったが、30秒ほど見詰めた後、


「・・・・・・(こくり)」


 頷いた。


「決まりだな。じゃあ・・・・・・」


『小』


 文珠を発動させ、女の子に向ける。すると、みるみる女の子の体が縮んでいく。


「暫くポケットの中に入っててくれないか?」


 親指姫くらいの大きさになった女の子は、素直に頷く。


「・・・・・・・・・」


 横島は顔を廊下に出し、人がいるか確かめる。すると、右の廊下から北辰がやってくるのが見えた。


「生きていたか」


「おかげさまで・・・」


 いろいろ言いたいことはあったが、ここは皮肉程度に押さえる。

 横島の言葉を聞き流し北辰も部屋の中に入った。


「もぬけの空か・・・?」


「俺がここの中に入ったときはな。大方、研究員が連れて脱出したんじゃねーの?」


「チィ・・・妖精までもか・・・?」


 北辰は舌打ちを一つし、


「しかたあるまい。今回はここまでだ。

 横島忠夫。死にたく無ければついてくることだ」


(また走るのか・・・?)


「おっと、それと、面白いものを見つけたぞ」


 と言って横島に紙束を渡す。


「あ、これって地球の新聞か」


 このまま読んでしまいそうになったが、北辰を見失うとやばいのでとりあえずポケット(女の子が入っていない方)に突っ込んでおいた。





 ――――――――――





 で、再び木星。


「一応晩飯前には間に合ったか・・・」


 食堂に入ると、


「たーくん!?」


 横島に気付いた枝織が、タックル気味に抱きついてきた。


「し、枝織ちゃん!?ちょ、苦しいって・・・!」


「たー君!黙ってどこ行ってたの!?枝織を置いて、もう帰ってこないかと思ったよーーー!」


「え・・・・・・」


 そういえば、断りを入れずに地球に向かったから・・・


「横島君。別に外出するなとは言わないけど、あの会話の後で突然いなくなったら・・・黙って行っちゃったかと思ったじゃないの!!」


「す、すんません・・・・・・」


「私たちも探し回ったんだぞ」


 他の隊員も、怒っているような、しかしどことなくほっとしているような、そんな表情だった。


「それで、どこに何をしに行っていたのだ?」


「あー・・・その、ちょっと北辰に拉致られて地球に・・・」←ちょっと嘘。


「・・・・・・それ、どういうこと?」


「その説明、できれば舞歌さんの部屋でしたいんスけど・・・」


「え?ええ・・・」





 舞歌の部屋。やはり他の部屋より広めのつくりになっている。


「じゃ、説明してもらえるのよね?」


「はい。でもその前に」


『防』『音』


 文珠発動。


「それは・・・?」


「念のためっス。それと・・・」


 ポケットの中から女の子を出す。


「まだ戻る気配無し・・・だったら」


『元』


 すると、女の子は元の大きさに戻った。


「その女の子は・・・!?」


「そのことを含めて、今から説明します」





 ――――――――――





「・・・・・・と言うわけっス」


「う〜〜〜〜〜ん・・・・・・・・・・・・」


「とっくに気付かれてたんですね。横島さんが地球人だって」


「まさか月臣君あたりがばらしたんじゃないでしょうね?」


「だが、ばれている割には何もないが・・・」


(何を考えているの、あいつは・・・?)


 舞歌は悩む。


(もしかして、北辰は霊氣を・・・・・・)


「ねえ。君はなんていう名前なの?枝織は枝織っていう名前だよ!」


 その枝織の言葉に思考が中断される。


「あ、そういえば私も気になってました」


「なんていうお名前?」


 他の隊員も女の子に話し掛ける。


「・・・・・・名前なんて無い」


 無表情に答える。


「えっ・・・そうなんだ・・・」


「ふむ。ならば、こいつを連れてきた横島が名前をつけてやったらどうだ」


「俺が!?」


「そうね。横島君、いい名前ある?」


「うーーーん・・・・・・この子・・・どことなくルリちゃんに似てるし・・・それにちなんだ名前にしよっかな?」


「ルリちゃん?」


「俺の知り合いの女の子なんスけど」


「ふーん・・・」


 舞歌がふむ考え込む。


「・・・とりあえず三つほど考えついたんだけど」


「早いっスね・・・どんな名前っスか?」


「ふふふ・・・」


 怪しく微笑み、


「ルリツー」


「直球やなー・・・」


「瑠璃子」


「電波を操りそうっスね・・・」


「ラピスラズリ」


「英訳っスか・・・」


 どれも微妙だ。


「じゃあ他に何かいい名前でもあるの!?」


 むくれて横島に振る。


「うーむ・・・薄桃色の髪だから・・・・・・モモなんてどうかなぁ・・・」


「それだって安直じゃないの?それに、そのルリちゃんって名前と何の関係も無いじゃない」


「おれはそれにちなんだ名前にしよっかなーって言っただけっスよ!」


「(ぼそ)少なくともルリツーよりはマシだと思うけど・・・」


「千沙!なんか言った?」


「いえ!別に・・・」


「ねえ、君はなんて名前が良かった?」


 枝織のその声に横島と舞歌も女の子に目を向ける。


「うんそうね。さっきの名前の中に気に入った名前はあった?」


「・・・・・・・・・」


 女の子は無表情のまま首をかしげる。考えているらしい。


「・・・モモでいい」


「・・・じゃあ君は今日からモモちゃんだね!」


 枝織はまたむぎゅーっっと抱きしめる。


「むー」


「そういえば、モモの髪と目、このままでいいのか?目立つぞ」


「そうだなぁ・・・北辰の目的はこの子だったのかもしれんしなー・・・」


「だったら髪は染めて、黒いカラーコンタクトすれば良いんじゃないですか?」


 ふむ。


「だったら髪は文珠で黒くするか・・・

 やっていい?」


「うん」


「よし」


『黒』


 モモの髪が、すーっと黒くなっていく。


「へええ・・・自然で綺麗な黒髪ですね」


「エ、エセルドレーダ・・・?」


「落ち着け横島。似ているが違う」


「モモ・・・やっぱりエセルドレーダって名前にしない?」


「モモがいい」


 気に入っているようだ。


「そうですか・・・・・・」


「そういえば、名字はどうしましょう」


「あ、そうか。訊かれた時に答えられないとややこしいことになるかも知れませんからね」


「成る程ね。じゃあ君は今日から横島モモよ!」


「まてや!!」


「待てって・・・横島君以外に戸籍が怪しい人っていないんだけど。いいじゃないの。暫定よ。暫定」


「横島・・・モモ?」


「そうよ。横島忠夫の妹ね!」


「枝織はたー君の娘!」


「対抗すな!!」


 最初は深刻でもやはり最後にはこうなってしまうのだろうか。





 ――――――――――





 次の日の夜。


「ふう・・・横島君の晩ご飯、今日もなかなかの物だったわね」


 ちなみに、主菜は天津チャーハンだった。モモも横島の料理は大いに気に入ったようだった。


「舞歌よ」


「!!北辰!?」


 身構える。


「別に貴様をどうこうしようとする気は無い。

 ときに舞歌。貴様、横島忠夫を引き入れたいようだな?」


「だったらなんだって言うの?

 そういえばお前、横島君を地球に連れて行ったりして、どういうつもり!?」


「答える必要は無い」


「・・・話にならないわね」


 そのまま北辰の横を通り過ぎる。すると背後から、


「横島忠夫は自分から木星に残りたいと言い出すやも知れぬぞ」


「!?」


 ばっと振り向く。しかし、そこには既に誰もいなかった。


(・・・・・・何を企んでいる・・・・・・?)


 答えは無かった。





 ――――――――――





 同時刻。


「今日も疲れたなぁ」


「忠夫。今日のご飯もおいしかった」


「ありがとよ。モモ」


 モモは横島と同室になった。もちろん反対意見も出たが、本人の希望と、横島はロリコンでないということ、そして何かあったら問答無用で血祭りに上げるということで落ち着いた。


「?・・・忠夫。なにそれ」


 「それ」とは、横島のポケットからちょっと出ている紙切れだった。


「ああ、そういやぁ地球で北辰が新聞くれたんだっけ」


 すっかり忘れていた。


「読むか」


 モモも後ろから覗き込む。


「・・・・・・読めない」


 わからない漢字が多かった。


「忠夫。これなんて読むの?」


「・・・・・・・・・」


「忠夫?」


「・・・そんな・・・そんな、まさか・・・」


「忠夫?なんて書いてあるの?」


「・・・・・・・・・・・うそだ」


 新聞の日付は二日前。そこの記事の一つに横島は驚愕の表情で見入っていた。そこには・・・・・・





『ネルガルの戦艦ナデシコ、火星に向かったまま六ヶ月音信不通。クルーの生存、絶望視』










 続く。










 イネス先生のなぜなにナデシコ出張版

 良い子の皆さんこんにちは。今日もなぜなにナデシコの時間がやってきました。ここではいつものように「GS横島 ナデシコ大作戦!!」のギモン・専門用語等を、解りやすく、かつコンパクトに説明するわ。


Q1・高原万葉

 ビジュアルノベル、「久遠の絆」のメインヒロイン。黒髪ストレートの神秘的美女よ。名前の読み方は、「たかはらまよう」。かずはじゃないわよ。


Q2・幸せの箱

 不思議のダンジョンシリーズの元祖、トルネコの大冒険における最大の目的よ。不思議のダンジョン地下二十七階にあるわ。実は大きなオルゴール。


Q3・瑠璃子

 フルネーム月島瑠璃子。リーフのビジュアルノベル、「雫」のヒロインの一人。どことなく焦点の合ってない目をした不思議な女の子よ。電波を操るらしいけど・・・・・・


Q4・エセルドレーダ

 「斬魔大聖デモンベイン」のマスターテリオンに従う謎の少女。その正体は、人類誕生以前の種族が書いたと言われるものの写本、最高クラスの力を秘めた魔術書、「ナコト写本」よ。強大なその力は書物なのに生命を持ち、人間形態は黒目黒髪の少女で、いわゆるゴスロリっていわれる部類ね。見た目は黒髪になったラピス?

 実際のナコト写本には、地球上に生命を創り出した「大いなる古きもの」(先行種族)、外なる神の図などが描かれているわ。


Q5・なぜ月臣元一朗が横島を地球人だと知っているのか。

 舞歌さんに紹介されて知り合いになったんだけど、白鳥君と月臣君が無理矢理横島君をゲキガンガー上映会に付き合わされた時、横島君が「あれ?九話無いの?」って言ったことからばれたのよ。九話は木星には存在しないのにね。知らないのも無理ないけど。





あとがき。

 ラピス改名!!

 あはははははははは・・・やってしまいました・・・。


 自分で言うのもなんですが、私の書く北辰は、何考えてるのか解らないのはともかく、ヘボイと思う。

まぁいっか。

 

 

 

 

代理人の感想

・・・やっぱ強いねぇ、横島君。

しかも、正面から叩き伏せるんじゃなくてちゃんと引っ掛けてるから説得力があります。

上手いですね〜、やっぱり。

 

 

>ヘボ北辰

まぁ、ギャグキャラですしね?(本当かオイ)

多分、この話の北辰は仕事がないときは自室でこっそりTVゲームをやっているに違いありません!

徹夜で黙々とグレーターデーモンの養殖をやっていたり、

「もっと不思議なダンジョン」に挑戦してたりするんでしょう。

暗いですね〜、恐ろしいですね〜。(両方とも元からだけど)

では、サヨナラ、サヨナラ。