「モモちゃんには、休養が必要ね」
機動戦艦ナデシコの医務室の主は、言わずと知れたイネス・フレサンジュ女史である。
そのイネスが、モモの定期健康診断の結果を受け取りにきた横島に向かって、そう告げた。
「えっ、どうしてッスか? モモの体に、何か具合が悪いところでも?」
「モモちゃん、朝から晩まで仕事と勉強でスケジュールがいっぱいでしょ?
本人は頑張っているけど、見えないところで疲労が蓄積されているのよ。
検査項目の数値にも、それが出ているわ」
イネスが健康診断結果のある場所を、指で指し示した。
横島は数値の意味はよくわからなかったが、赤字でプリントされているところを見ると、何か問題があるらしい。
「まあ、そんなに深刻な状況でもないけど、無理は禁物よ。
明日は一日、モモちゃんをゆっくり休ませてること。いいわね」
GS横島 ナデシコ大作戦!! 外伝
−デジャヴーランドへようこそ!−
作:湖畔のスナフキン
※『GS横島 ナデシコ大作戦!!』の三次創作です。作者のK−999さんから公認をもらっています。
自室に戻った横島は、モモに検査結果を印刷した紙を渡し、明日は一日、ゆっくり休むように伝える。
横島から理由を聞いたモモは、一つだけ注文を出した。
「ホウメイさん」
横島は食堂に移動すると、食堂の責任者であるホウメイに声をかけた。
「なんだい、横島?」
「明日なんですけど、モモの仕事を休ませて欲しいんです」
「あいよ。モモちゃんも毎日頑張っているからね。たまには休みも必要さ」
「それから俺も、午後から休ませて欲しいんですが」
「ま、モモちゃんも一人じゃ寂しいだろうからね。
ちょっと忙しくなりそうだけど、大丈夫、なんとかするよ」
ホウメイは笑って、横島の半休を許可した。
翌日の昼過ぎ、ランチタイムの混雑も一段落して人影もまばらとなったナデシコの食堂で、モモとルリが向かい合って昼食を食べていた。
横島は現在、大量に発生した洗い物の片付けに追われている。
二人が食べているのは、横島特製のミートソースがかかったスパゲティとハンバーグだった。
「それじゃあ、モモは今日一日、お休みですか?」
モモは口いっぱいにスパゲティを頬張ったまま、コクコクとうなづいた。
モモは、毎朝ルリから教えてもらっているオモイカネのオペレーションの練習を、今日は休んでいる。
「午後から、何をします?」
「忠夫と、バーチャルルームに行く」
ようやくスパゲティを飲み込んだモモが、ルリの質問に答えた。
モモの唇の周りにミートソースがこびりついていたが、かえって愛らしさが感じられた。
「バーチャルルームですか」
「他に行くところもないし」
戦艦の割に、さまざまな設備が充実しているナデシコであったが、子供向けの娯楽施設だけは乏しかった。
ナデシコにはバーチャルルームの他に、スポーツジムやバスケットコート、卓球やビリヤードの台など、大人向けの設備はそこそこ揃っている。
また、私物の持ち込みがかなり認められていたので、アニメ(主にゲキガンガー)を見たり、同人誌を読み漁ったり、フィギアやガレージキットの製作に励むなど、大人たちは思い思いの方法で余暇を楽しんでいた。
しかし、子供向けの娯楽設備が、ナデシコには皆無であった。
マシンチャイルドであるルリがナデシコに搭乗することは、かなり早い段階から決まっていたが、特に彼女のためだけに設備は作られなかった。
ルリ自身、オモイカネで実行可能なゲームソフトを除けば、子供向けの遊びにはほとんど興味を示さなかったこともある。
しばらくして、モモもナデシコに搭乗するようになったが、モモもまたそちらの方面についてはルリと同様であったので、今まで大きな問題にはならなかった。
もし、どこかの港に停泊していれば、外に遊びに行くこともできたであろうが、あいにくナデシコは宇宙空間を航行中である。
オモイカネのゲームは、今までにもけっこう遊んでいたので、他の選択肢はバーチャルルームに行くことぐらいしかなかった。
「そういえば、この前、オモイカネとバーチャルルームのライブラリを整理していた時に、
面白いプログラムを見つけたんですよ」
モモはカップスープをちびちびと飲みながらルリの話を聞いていたが、やがて興味を引かれたのか、体を乗り出してルリの話に耳を傾けた。
「お待たせ、モモ」
モモが食後の紅茶を飲み終えたとき、ようやく横島が仕事から上がった。
ルリは休憩時間が終わったため、一足先にブリッジへと戻っていた。
「忠夫、遅い」
「ごめんごめん。洗い物がなかなか片付かなくてさ。それじゃ、行こうか」
モモは食器を洗い場に戻すと、横島と手をつないで歩きだした。
乗組員との契約で、『男女交際は手をつなぐまで』という契約条項のあるナデシコであったが、実のところ、公然と手を握って歩くカップルはほとんどいない。
その唯一の例外が、横島とモモである。
横島はモモの保護者なので、男女交際には当たらないという指摘もあるが、艦内で堂々と手をつないで歩く横島とモモを、アキノやルリが羨望の眼差しで見たことは一度や二度ではなかった。
「よし、到着と」
横島とモモはバーチャルルームに入ると、天井から下りてきたヘルメットをかぶった。
「設定は何にしようか?」
「これがいい」
バーチャルルームのプログラムは多数用意されていたが、モモは迷うことなくその中の一つを選んだ。
「なになに。
“あなたを20世紀末の巨大遊園地にご案内します。デジャヴーランドへようこそ!”
って、なんじゃこりゃあ!?」
横島が驚愕した声をあげた。
「忠夫、迷惑だった?」
モモは少し、寂しげな顔をしていた。
「そんなことないさ。ただ、こんなところで、昔の情報に出会うとは思わなかったから……」
「ダメ?」
モモが上目遣いで、横島を見上げた。
「わかった! デジャヴーランドは二回ほど行ったことがあるから、いろいろと説明してやるよ。
それじゃあ、行こうか」
モモがプログラムを実行すると、たちまち周囲の風景が変化した。
空に舞い上がる風船。目の前にそびえたつ大きな城。そして周囲を取り巻くさまざまなアトラクションたち。
そこは、横島の記憶どおりの場所だった。
「忠夫、ここがそう?」
「うわ。マジにデジャヴーランドだよ」
横島はしげしげと周りを見渡した。
横島とモモの周囲には、カップルや家族連れなど多くの人々が行きかっている。
「モモ、この人たちは……?」
「たぶんオモイカネが、人格をエミュレートしていると思う」
「ああ、そうなんだ」
しかし、周囲の人たちの服装といい、漏れ聞こえてくる会話といい、本当に元の時代に戻ってしまったような錯覚を横島は感じた。
「んじゃ、そろそろ行こうか」
横島がポケットをごそごそと漁ると、アトラクション利用が無料のVIPチケットが二枚出てきた。
いつぞやのように、お金が無くてアトラクションに入れないという事態には、ならずに済みそうだった。
園内に入った横島とモモは、しばらく辺りをぶらついていた。
乗り物にも幾つか乗ったが、モモがあまり興味を示さなかったため、園内の散策に時間をかけた。
「忠夫、あれなに?」
横島がモモの指差す方を見ると、シャツを着てサスペンダーでズボンを吊るしている黒猫がいた。
黒猫は人と同じくらいの大きさで、女性を頭上に抱えて二本足で走っている。
その黒猫の後ろを、女性の連れらしい男が黒猫を追っていた。
「マッキー・キャットだな。たぶん、なにかのショーだと思うけど……」
「そうなの?」
横島とモモが、広場の中を走り回っているマッキーに近づくと、マッキーの前方にスカートをはいた白い毛の猫が現れた。
こちらもマッキー同様、二本足で立っている。
「あれは?」
「あれは、マッキーの恋人のマニー・キャット」
マニーに行く手をふさがれたマッキーが、その場で立ち止まった。
そこに同じく二本足の犬が飛び掛り、マッキーが抱えていた女性を救出する。
「あの犬が、ロナルド・ドッグ」
「ふーん」
やがてオロオロしていたマッキーを、マニーが「この浮気者がああっ!」というセリフとともに、殴り倒した。
そして地面に倒れ伏したマッキーを、マニーが「行くわよ、このヤドロクが!」と言って引きずっていく。
最後に、「このあとも楽しんでねー」とロナルドが手を振って、ショーが終わった。
やがて、あっけに取られていた観客の中から、パチパチと拍手の音が聞こえてきた。
「モモ、面白かったか?」
「よくわからなかったけど、面白かった」
突然のバイオレンスにモモも驚いていたが、それが芝居とわかると、素直に楽しめたようだった。
(つーか、記憶にあるのと少し違ってたな。
マニーは棒じゃなくて素手でマッキーを殴っていたし、さらわれた女の人や追いかけていた男も
役者のような感じだったよな。
それじゃあマッキーに蹴飛ばされた俺や、さらわれた小鳩ちゃんはいったい何だったんだろう?)
横島は考え事にふけっていたが、服の袖を引っ張られて我に返った。
「どうしたんだ、モモ?」
「忠夫、小鳩って誰?」
モモが少し険しい目つきで、横島を睨んでいた。
「え゛…………!?」
横島のこめかみから、冷や汗が流れ落ちる。
「ちゃんと聞こたよ。小鳩ちゃんがどうのこうのって」
(ま、また、無意識のうちに喋っちまったのかよーーっ!)
それからその場で約十分間、横島はモモの機嫌が直るまで、弁解をするはめとなってしまった。
ようやく機嫌が直ったモモの手を引き、横島とモモは園内を歩いていたが、モモがあるアトラクションの看板に目をとめた。
「忠夫」
横島と手をつないでいたモモが、横島の手を軽く引っ張った。
「なんだ、モモ?」
「あれ、見てみたい」
モモが指差した先には、『GS体験 マジカル・ミステリーツアー』と書かれた看板があった。
(やっぱりあったのか)
横島が、複雑そうな表情を見せた。
「あの人、ミナトさんに似ている。ちょっと雰囲気違うけど」
モモは、看板にでかでかと描かれている美神を見ていた。
(俺の知ってるとおりなら、あそこには俺や美神さん、おキヌちゃんのロボットがあるんだよな。
美神さんやおキヌちゃんは元気かな? シロやタマモはどうしているんだろうか……)
横島はアトラクションを見ながら、深く考え込んでしまった。
「忠夫、忠夫」
アトラクションの建物を見ながらじっと立っていた横島に、モモが声をかける。
「やっぱり迷惑だった?」
ふと気がつくと、モモが心配そうな目で横島の顔を見上げていた。
「そんなことないさ。ちょっと、昔のことを思い出しただけだよ」
「私、知りたかった」
モモが、ぽつりとつぶやいた。
「忠夫が昔はどんな生活をしていたのか。どんな仕事をしていたのか。
忠夫からも話を聞いたり、オモイカネでも調べてみたけど、わからないことが多かった。
バーチャルルームは、プログラムで擬似的な感覚を再現しているにすぎないだけど、
自分で体験すれば、何かわかるんじゃないかと思って」
「そっか……」
横島はモモの頭に手を置くと、桃色の髪の毛を優しくなでる。
「ありがとう、モモ」
横島はモモに向かって、ややはにかんだ笑顔を見せた。
「このアトラクションは、俺の雇い主だった美神さんが監修したんだ。
セットはけっこうリアルにできてるし、内容も実際の仕事に似ている。
娯楽施設だから全部が全部本当じゃないけど、GSの仕事を理解するにはいいかもな」
「わかった」
横島とモモは受付でチケットを見せると、アトラクションの入り口のドアを開ける。
部屋の中は、横島にとって馴染み深い(そして今は懐かしい)美神事務所と同じ造りになっていた。
「ここは……?」
「俺が勤めていた除霊事務所さ。まあセットなんだけど」
『こんにちは。お手伝いに来てくれたGS助手のみなさんですね』
そこにロボットのおキヌが、ふわふわと空中を漂いながら近づいてきた。
彼女の周囲には、幽霊らしく人魂も浮かんでいる。
「忠夫、この人誰?」
「事務所で同僚のおキヌちゃんだよ」
すると、音声認識のプログラムが反応し、横島とモモに返事をかえした。
『よくご存知ですね。私、美神さんの助手で、幽霊のおキヌといいます』
「忠夫、この人幽霊なの?」
「おキヌちゃんは、最初会った時は幽霊だったんだよ。
いつもこんな感じで、空中をふわふわ浮いてたっけ。
今は生き返って体もあるから、ちゃんと地面を歩いてるけどね」
「ふーん」
しばらくすると、ビーッと部屋にブザーの音が鳴り響いた。
すると、壁際に置いてある大きな本棚が割れ、そこにあるスクリーンに美神の姿が映し出された。
『おキヌちゃん、横島クンはいる!?』
『横島さんはもうすぐ来ます。ここにいるのは、お手伝いの皆さんです』
『そう。それじゃお願い。今すぐ助けにきて!』
「あーっ。前に見たのと同じだな」
横島もモモも落ち着いた表情で、自動的に始まるイベントの様子を見ていた。
しばらくすると、入り口とは別のドアが開いて、頬に縦線の入った横島のロボットが部屋に入ってきた。
『こんにちは、皆さん! GS見習いの横島です』
「ねえ、あれってやっぱり忠夫?」
モモがロボットの横島を指差す。
「あ、うん」
「ちょっとだけ、若く見える」
「俺がまだ霊能力も何も無い、ただの助手だった頃の様子を再現しているんだ。
そんなに、大昔の話じゃないんだけど」
もちろん、これは横島の視点で見たときの話であり、モモからすれば大昔の話であることに変わりはなかった。
横島のロボットとおキヌのロボットに先導されて、横島とモモは部屋を出た。
部屋を一歩出ると、そこは真っ暗なヨーロッパ風の路地だった。
モモは興味深そうに周囲をきょろきょろと眺めていたが、横島はしゃがみこむと、地面に敷き詰められていた石畳を注意深く調べ始めた。
「忠夫、なにしてるの?」
「前に来たとき、ここにGSの霊力を吸い取る結界が張られていたんだ。
それで以前に、エライ大変な目にあっちゃってさ」
「大丈夫?」
「今調べてるけど、問題なさそうだな。
まあ、結界を張った美神さん自身が、自分で墓穴を掘った結果になったから、
後始末はきちんとしたと思うよ」
横島は、監修をしていた美神が自分でGSの霊力を無効にする結界を張り、その後ロボットに仕込んだ悪霊に逆に捕まってしまって、自分やおキヌが苦労して助けたときの話をモモに聞かせた。
「忠夫って、ナデシコに乗る前から、いろんな目にあってたんだね」
「ナデシコに乗ってからも、ずいぶんいろんな目にあったけどなー」
横島の視線が、どこか遠くの方を泳いでいた。
『みんな気をつけて! 悪霊たちが私たちを邪魔しようとしています!』
『くそっ! 美神さんを捕まえているヤツの手下どもだな!』
シャアアアッという効果音とともに、複数の悪霊が襲ってきた。
もちろん、これもロボットである。
「……さすがに、低級霊は仕込んでないか」
前には臨場感を増すために、美神がわざわざ本物の低級霊をロボットの中に入れていた。
霊力を吸収する結界と合わせて、臨場感を倍増させる狙いであったが、自分で墓穴を掘った後は、オーソドックスに照明と効果音で恐怖感を増す方針に切り換えたらしい。
『これでもくらえっ!』
ロボットの横島が破魔札を取り出し、それを悪霊のロボットに叩きつけて、相手を撃退した。
「怖くなかったか、モモ」
横島が隣に立っていたモモに声をかけた。
怖がってはいないようだが、目をパチパチさせているところを見ると、少しは驚いていたようだ。
「大丈夫。怖くはなかった。ちょっぴり驚いたけど。
前に見た北辰の悪霊に比べれば、どうってことない」
「あれは、けっこうキテたからなー」
「それに、本当に怖いのは忠夫と引き離されて、昔みたいに一人ぼっちになること。
この世で怖いのはそれだけ。後のことは、どうってことない」
「心配するな、モモ」
横島が、モモの髪をクシャッと撫でた。
「俺はどこにも行かないからな。安心しろよ」
「ありがとう、忠夫」
モモが横島の腕に、ギュッとしがみついた。
横島は石畳の通りを歩きながら、しばらくの間、モモの顔をずっと見つめていた。
その後も、だいたい横島の記憶どおりだった。
途中でエミそっくりの、ゾンビのロボットが襲ってきたり、最後に悪魔アラストルが出てきた。
もちろん低級霊に乗っ取られてはいなかったので、横島はモモと二人で念を込めながら手をかざしてみた。
意外にも、モモはこの手の遊びに真剣になる性格らしく、目をつむりながら一生懸命手をかざしている姿は、何とも言えない微笑ましい光景だった。
最後に、特製GSメダルを貰ったが、もとよりバーチャルプログラムの中の物なので、持って帰れないことを悔しがっていた。
「昨日は、楽しんできたみたいですね」
翌朝、オモイカネのオペレーションを教えていたルリが、モモに話しかけた。
ルリと同じく、鉄壁のポーカーフェイスをもつモモだったが、いつもより元気があることは一目でわかった。
「うん、面白かった」
IFSでオモイカネを操作しながら、モモが答える。
(そうですか。例のプログラムは予想どおりの効果があったわけですね。
明日は私が非番ですから、横島さんが休憩している時に、バーチャルルームに誘ってみましょう)
「ルリ、ルリ」
IFSパネルに手を置きながら、一瞬ボーッとしていたルリにモモが声をかける。
「どうしたの、ボーッとして?」
「あ、いえ。何でもないです」
「ウソ。どうせ、忠夫とバーチャルルームで、デートすることでも考えたんでしょ」
妹分の鋭いツッコミに、ルリは思わずたじろいでしまう。
「な、なぜ、私の考えていることがわかったんです!?」
「口元、緩んでたわよ」
ルリの唇がわずかに開き、口元が微妙にゆがんでいた。
普通の人、たとえばユリカやアキノであれば、見逃していた程度の変化である。
しかし、同じポーカーフェイスのモモには、その表情の変化がはっきり見えていた。
普段からルリを見守っているミナトであっても、そのことに気づいたかもしれない。
「いいよ、ルリ。忠夫とバーチャルルームに行っても」
「本当にいいんですか?」
モモがかなりの焼きもち妬きであることは、ルリだけでなく、ブリッジクルーやパイロットは皆知っていた。
ずいぶんあっさりとした答えに、ルリは少々違和感を感じる。
「気にしないで。私も一緒についていくから」
(横島さんとのデートがこぶつきですか……まあ、仕方ないですね)
横島との関係を深めることも大事であるが、妹分のモモとの関係をないがしろにはしようとは思わなかった。
将を射るにはまず馬からというのは、人生経験豊かなミナトからもらったよきアドバイスである。
なお、今は妹分のモモが、将来『義理の妹』になる予定については、今はルリだけの秘密であった。
(おわり)
(ルリ・アキノ)
「3」
「2」
「1」
ドカーーン!
『なぜなにナデシコ 特別出張版!』
(アキノ) | 「ねえねえ、ルリお姉さん。私の役って、元々はユリカがやるんじゃなかったっけ?」 |
(ルリ) | 「いいんですよ、アキノさんじゃなくてうさぎさん。作者が本音はアキト×ユリカ派なのに、『GS横島』ではフラグすら立っていない状況で、ユリカさんをギャグキャラだけで使いたくなかったんですから」 |
(アキノ) | 「私ならギャグやらせても、いいってことなの!? それにユリカとのフラグって……私、そういう趣味はまったく無いんですけど(汗)」 |
(ルリ) | (ユリカさんとアキノさんの関係が深まれば、自然とアキノさんと横島さんの関係も疎遠になりますね。それに可能性は限りなく低いとはいえ、横島×ユリカのフラグも消せますし、これはいいアイデアかも……」←(注目) |
(アキノ) | 「そこっ! 考えてることが、声に漏れてるわよ!」 |
(ルリ) | (ハッ! こういうのは私のキャラじゃないはずなんですが!? これも横島さんの影響なんでしょうか……(ポッ)」 |
(アキノ) | 「だから、考えてることが全部聞こえてるんだってば!」 |
(イネス) | 「収拾がつかなくなってきたので、あとは私が引き継ぎます。それではよい子のみなさん、こんにちは。説明 |
(Q1)デジャヴーランドって何?
GS美神の原作に登場した巨大娯楽施設ね。元ネタは東京ディズニーランドらしいけど、詳細は不明よ。
ちなみに横島君は、デートと仕事で一回ずつ訪れているわ。
(Q2)『いつぞやのように、お金が無くてアトラクションに入れない』という横島のセリフの意味
最初にデジャブーランドに来たとき、横島君は入場券だけしか持っていなかったのね。
アトラクションで遊ぶのにお金がいることを知らなくて、結局どの施設にも入れなかったみたい。
ただ、デートの相手の小鳩ちゃんも貧乏に慣れていたので、それでデートが壊れることはなかったわ。
二人が芝生でビニールシートを広げて座っている様子は、ちょっと痛々しかったみたいだけど。
(Q3)『マッキーに蹴飛ばされた俺や、さらわれた小鳩ちゃん』ってどういうこと?
横島君がデートで来ていたとき、実は美神さんもボガードという妖怪退治の仕事でデジャブーランドにいたのね。
その後、ボガードが乗っ取ったマッキー・キャットが小鳩ちゃんをさらうんだけど、妖怪退治を表沙汰にしたくない依頼主の意向で、マニー・キャットの着ぐるみを着た美神さんが、浮気モノのマッキーをしばくという設定でボガードを倒したってわけ。
横島君がマッキーに蹴飛ばされたのは、その時の出来事ね。
ちなみに横島君は、美神さんの気配を感じて、かなりビクビクしていたそうよ。
(Q4)特製GSメダルについて
原作では特製GSメダルを千五百円で売ろうとしたみたいだけど、バーチャル・ルームでお金の処理が面倒だったので、プログラム化するときに設定を変更したみたい。
(あとがき)
以前からActionの作品は読んでいたのですが、投稿は今回が初めてとなります。
普段は自分のHPで、GSやエヴァとGSのクロスのSSをぼちぼちと書いています。
構想&執筆に半年かけた割には、あまり内容に起伏がないような気がします。至らぬ点については、ご容赦を。
なお、『GS横島』の三次創作のネタはまだ残っていますので、不評でなければまた投稿したいですね。(ちなみに、かなり熱血路線)
ちなみに、この話ではルリを少し持ち上げてみましたが、K−999さんいわくルリヒロインは非常に厳しいとのこと。
そう言われると何か書いてみたくなるのですが、予定は未定ですので、あまり期待はしないでください。
代理人の感想
はじめまして、代理人です。
さて、「起伏がない」とのことでしたがほのぼの作品であればむしろ起伏はなくてもいいんです。
むしろぼーっとのんびり眺めるのがそう言った作品のツボですから。
しかし、横島の過去話・郷愁を呼び起こすための話と捉えるとこれはややメリハリにかけます。
湖畔のスナフキンさんご本人は郷愁を呼び起こす話にしようと思っていたのに
ほのぼのが混じってテーマがぼやけてしまったためにそう感じたのかもしれません。
これを「郷愁の話」に修正する事を考えてみますとラスト前まではこのままでも構いませんが、
ラストの落ち三行がこれまでの話とはまったく関係のないものを持ってきているのでここを消し、
テーマである「郷愁」を呼び起こさせるような文を入れて話全体を締めます。
ルリが横島とのデートに心を飛ばしている傍ら、モモが考えていたのは横島と見た過去の情景、正確に言えば過去とであった横島の表情であった。
悲しいとも、嬉しいとも違う、でも見ていてその小さな胸を抑えたくなるような、儚げな顔。
辛くて見ていたくはない、でもどうにも忘れられないその表情。
横島の浮かべていたそれが「郷愁」と呼ばれるものである事を、モモはまだ知らなかった。
(おわり)
こんな感じで、ギャグではなくしんみりと締める事で作品全体もそう言った印象を与えることになります。
勿論これは今回のようにしんみりしっとりとした話の場合であって、普通はやはり起承転結ないし序破急と言った物をつけるのが常道ですね。
逆にほのぼので押すのであれば同じ箇所を
(タダオと、ルリとおでかけ・・・・・みんないっしょ、楽しい)
いつのまにか、モモもわずかに笑みを作っていた。
家族揃ってのお出かけ。今までは絶対手に入らなかったもの。
今度はミナトも一緒に行こうか、それともアキノも連れて行こうか。
そうしたことを考えるだけで、モモの唇の笑みはますます大きくなっていったのだった。
(終り)
などという感じに改変してですね、落ちにほのぼのを強調するわけです。
他にも気をつけること、できることは色々ありますが、とりあえず「終りが大事」って事だけ覚えて頑張ってください。
ではまた。