「ふうやれやれ、今日もハ−ドな一日だったなあ」
背を伸ばすための、一日十五分なぶら○がり健康器による運動を終えたハ−リ−君は同居人が帰ってくるのを
待ち切れず布団に包まる。
ちなみにブル○−カ−とスマイ○−はすでに注文済みである。
「ラブリ−あっくん」の存在を知って、ミナトさんに抱き枕として「プリティるりちゃん」の作成を依頼したのだが拒否さ
れ、本人に滅殺されかけたのはさほど昔ではない。
しかたないので自販機で買った縫いぐるみの熊にルリちゃんの写真を張って、抱き枕にしている。
「でもまあルリさんがボクの為にコ−ヒ−入れてくれたし、今日はいい一日だったなあ」
アキト君と自分に入れた残りを捨てる訳にもいかず、ライバル達に知られたくなかった為の処分に過ぎない事
は、まあ知らない方が幸せっぽいな。
「明日は今日よりほんのちょっぴりいい日でありますように・・・・
ルリさんとボクが幸せな一日でありますように・・・・・」
見るかもしれないこんな夢2
第5.5代将軍家の治世で平和な世の中の、ここはナデシコ藩。
気候もおだやかで適度に豊か。
ついでに人々の頭の中も適度にユルかったりする。
「何やってんですかあ!」
朝っぱらから騒々しい、ここは傘はり長屋。最近はこの騒ぎが人々の目覚ましになりつつある。
「落ちつきなさいな、ホシノルリ。ご近所に迷惑ですわよ」
「そんな事はどうでもいいんです!何故にあなたは毎日毎日にいさまの布団に潜り込むんですか!」
「妻が夫と一つ布団に寝るのは当然ではないこと?」
「だれが妻です!だれが!」
「いい加減五月蝿いですわねえ。わたくしの木蓮流棒術を受けて見ますか?」
「貴方こそ。わたしのホシノ流暗殺術は『打』『極』『縛』『斬』『陣』『弾』に別れているのですよ。
フルコ−スを味わってみますか?」
「二人ともご飯出来たよ」
「「はあ−い」」
「おやもうケンカ終わったみたいだねえ」
「んじゃそろそろ仕事に行かにゃな」
などと時計代りにも使われてるんだな、コレが。
昼過ぎの「日々平穏」。おや、店の前になにやら一人の少年が・・・
「落ちつけ落ちつけ。昨夜からなんどもリハ−サルしたんだ。
店に入って『炒め鳥ご飯たのむよ』、そしてルリさんの隣、あるいは向かいに『ちょっと失礼』『ええいいですよ』。
そして軽い会話から少しづつ・・・よし完璧!」
ようやく暖簾をくぐる。
「おやマキビの旦那。昼飯ですか?」
「まあね、炒め鳥ご飯頼むよ」
「はあい、炒め鳥ご飯一丁!」
(ルリさんは・・・あそこか。この為にルリさんが昼飯を食べるタイミングを見計らってここに来たんだ)
「ちょっと失礼」
「ヤです」
へ?
「あ、あの・・・」
「申し訳ありませんが、相席する程親しい訳ではありませんし、そもそもどちら様ですか?」
「こないだ会って挨拶したじゃないですか。岡っ引きのマキビ・ハリですよう」
「そうなんですか。
しかしそれでも名前知ってるくらいですね。
さほど親しくありませんし、親しくなるつもりもありません」
「う、うわわあああああああああああああああん」
「?一体何しにきたんでしょう?」
そんな騒ぎの中、一人の男が入って来た。
「今度はプロスさんか、ご注文は?」
「いえ、食事じゃなくて、ちょっとテンカワさんにお話が」
店内の全ての意識が集中する。
「それってもしや・・・」
「ええ、例の盗賊どもの件です」
「ううううっ・・・・よし!ここはイッパツ、どかんと大手柄を立ててしまえば。
ルリさんもボクにメロメロになるに違いない!
最近、この辺りに凶悪な強盗団が現れるっていうじゃないか!
ボクがそいつらを一網打尽にとッ捕まえればカンペキだあ!」
「何故に?」というツッコミも耳に入らず、岡っ引きのハ−リ−君は突っ走って行きました。
どうやら止まりそうにないですね。
と、いうわけで聴きこみをしたハ−リ−君。
11歳という年齢も手伝って結構順調に進みました。
「ええっと・・・なになに?西の方からやってきたらしい謎の強盗団。
数十人で押し入り、金品を根こそぎ奪って女子供まで皆殺し。
太刀傷から見て、おそらく全員がかなりの腕っこき・・・・外道じゃないか!」
「仕事っぷりがかなり見事な処から入念な下調べをしているものと思われ。
隣街じゃあ紅屋を覗く全ての大店がやられた・・・と」
「なになに、数日前にネルガル屋がメリケンだかエゲレスだかからスゴいお宝を仕入れ。
明日にゃお城へ献上する・・・なんだって!
そんなモン、今夜襲ってくれって言ってるようなモンじゃないか!」
その夜。わざとらしくどっかで犬の鳴き声が聞こえる。
「ふっふっふっふっふ。ここで待ち伏せして、現れた盗賊どもをボクが一人でひっ捕らえる。
そうすりゃ給金も上がるしルリさんもボクにゾッコン(死語)になるに違いない」
あ、妄想初めやがんの。
『さて、それじゃあ行ってくるぜ、ルリ』
『あ、まってお前さん、はい』 火打石をカチカチ。
『気をつけてね、お前さん一人の体じゃないんだから』
『ル・・・ルリィ』がばあ。
『あ、駄目だよお前さん、まだお日様高い・・・』
『かまわねえ、ルリ、ルリィ−−−−−−−』
妄想空間から帰ってこない彼はほっといて、ネルガル屋の敷地内。
黒ずくめの盗賊達は全員、無事侵入を終えた。
「それでは行くぞ」
「悪いけど、そういうわけにはいかないんだ」
その場の視線が集中する闇の中から一人の男が歩み出る。その名は・・・テンカワアキト!
「ネルガル屋の人に頼まれちゃってね、キミ達、叩き潰させてもらうよ」
「しゃあ!」
三人がアキト君に飛び掛る。一瞬避け損ね、着物の肩がわずかに裂ける。
「『天』をかわせば『地』が襲い」
「『地』を防げば『人』が狙う」
「我ら三兄弟の三身一体陣、受けて見よ!」
ゆらりと前にでるアキト君。鉄芯を仕込んだ木刀で、『人』を左から凪ぐ!
「「な?」」
そのまま十字を描くように振り上げると、上から『天』に叩きつける!そしてそのまま『地』を押しつぶした。
「鳳竜天昇流、飛燕十死(字)斬」
一瞬にして三人を粉砕したアキト君に、さすがにビビったようだ。
もう数人で押さえ、残りで『仕事』を遂行するつもりらしい。
「くう!」
繰り出される太刀を防ぐアキト君。
だがその時! ごばあ! 店に突入しようとした者達がフッ飛ばされる。
「てめえらみてぇな悪党は!アタイのこの天秤棒が許しちゃおけねえんだよ」
ゆうらりと出て来たのは、魚屋のリョ−コ。肩に担いだ天秤棒がイナセだねえ。
「わたしたちもいるよおん」
「悪党退治・・・・煮物には必要・・・・あく取り退治・・・・・くっくっくっくくくくくく」
躍り掛かる盗賊を、バッタバッタとなぎ倒す三人娘。
「あなたがボスですね。降参してもらえませんか?」
首領らしき男に一応勧告するアキト君。
だが受け入れる気はないだろう。降参したところでよくて獄門張り付けなのだから。
だがその時、背後で黒ずくめの盗賊が倒れる。
「危なかったですわね、ムコ殿」
「ありがとう、舞歌さん」
「いいえ、夫の後ろを守るのは妻の勤めですわ」
「何っ?舞歌?裏切ったというのは本当だったのか?」
一瞬のそのつぶやきを聞いたのはアキトと舞歌の二人だけだった。
翌朝、「日々平穏」。
「いやあ有難うございます、テンカワさん。おかげで金や命は助かりましたし、賞金もでた。
店の評判も上がって万万歳。囮になった甲斐があったというものです。
もういう事なしですなあ」
対照的にムッツリとしたマキビの旦那。
「そういえばマキビさんは」
「ハ−リ−と呼んで下さい、ルリさん」
「・・・・・マキビさんは一人でツッ走り、手柄を一人占めしようとしたあげくに転んで頭打って。
朝まで寝てたそうですね」
「そ、それには・・・ワケが・・・・」
「無様ですね」
「うわあああああああん」
などと平和(?)な店の中。
「よろしいですか、ムコ殿?」
「判っていますよ、舞歌さん。あなた達と剣を合わせた者なら判る・・・・彼らの技は全て木蓮流の匂いがした・・・・」
「そしてあの言葉・・・・」
先ほど、奉行所からの知らせで、盗賊団は全員取り調べ前に自決した事を聞いていた。
「何か・・・・イヤな風が吹きそうだ・・・・な」
終わり
管理人就寝・・・(いえ、ちょっと寝不足なもんで(汗))
影竜さんから十一回目の投稿でっす!!
いや、お陰で連続アップになりました(苦笑)
もう、影竜さんには頭が上がりませんね。
今度、広島の方向を拝んでおこう(爆)
いや、何だか連載物になりつつありますね。
でも、ラピスは何処へ?
・・・前作では長屋に住んましたよね?
ま、まさかイネスさんの所に!!
でもそれは有り得ないか(笑)
じゃあ、朝の場面でも熟睡してたんだな。
ラピスって低血圧なんだ(苦笑)
では、影竜さん十一回目の投稿、有難うございました!!
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後、影竜さんはどちらかと言うと掲示板に感想を欲しいそうなので。
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