「あ・き・と・君☆」
ぼぅっと、さしたる目的もなく通路を歩いていたアキト・・・その背後から声がかけられる・・振り向くとそこには・・・
「・・エリーさん・・でしたっけ?」
「ええ」
新たな補充でアリサさんと交換にナデシコに搭乗した彼女・・・年嵩を重ねたエリナ女史と言った風貌の彼女に少し身を引きながら
「暇でしょ?ヴァーチャルルーム行きましょ」
言われ、恋人のように腕を取られるアキト・・これが鏡華やマルカなら本能的な恐怖に追われ逃亡するのだろうが
「はぁ・・暇ですが、何でです?」
・・・他に誘われたならこんな感じだ、ぜんっぜん気づいてない
「・・私も暇なのよ、ほら」
周りに注意しながら走り出すエリ・・ナ、それにつれられアキトも走り
(やった、やったわ・・これで初デート成功よ)
他の同盟メンバーを閉じこめ、ネルガルに手を回して鏡華達の動きを封じた成果があったのだろう、たまに邪魔する琥珀達は全員仕事だ
(これぞ千載一遇のチャンス)
・・・けれど、それを出前途中の翡翠は同情の目で見ていた



状況:最高級ラブホテルの2人
規制:無し
制限:アダルトモード
「ふっふっふっふっふっふ」
不気味な笑みで入力を重ねるエリナ・・・これで、決めなければならない
「さぁ、アキト君・・始めましょ」
「はぁ・・」
狂喜乱舞しながらメットをかぶり・・・世界が変わった
『注意』
いきなり目の前に出た極彩色の標識に戸惑うエリナ
「んっ・・まいくてすと、まいくてすと」 
いきなり・・怨敵の声が響く
「し・・・師匠?」
そしてアキトの素っ頓狂な声・・・間違いなく、鏡華だ
「この組み合わせはヴァーチャルルームの禁止コードにかかります、よって、如何なるヴァーチャルも表示されません・・・ただ、それだけでは可哀想ですよね」
聞き覚えの多い・・・厄介なことを考えたときの鏡華の声
「と言うわけで、強制送信します・・・アキト、五分以内にそこを去りなさい、去らなかった場合・・・悦楽コースです」
過去、もっとも苦しかった(?)地獄のお仕置き(?)コースを思い出し
「エリーさん、すみません」
青春涙目ダッシュで走り出すアキト・・・エリナも外そうとするが、外れない
そして・・ヴァーチャルは始まった



・・・エリナは小さな六畳一間に立っていた、どうやら傍観者視点かららしい、立体の映画のような物か
「あの女・・・あんな仕掛けまで・・」
鏡華の行いに憤慨し、何とか抜け出そうとする・・・だが、ヴァーチャルは予想以上に鮮明で
「ふぅ・・」
その部屋に、アキトが入ってくる・・・まだ若い、14.5のアキト
画像とわかっていてもそちらに目が行き、ラフな格好で部屋にぐでんと寝そべるアキトを覗き込む
「・・まぁ、いい物見せてくれたかな」
エリナが喜ぶと同時・・・後を追ってフードの女が入ってくる
「んなっ・・」
エリナの驚愕の声、その目の前でアキトは服を脱ぎ・・上半身を晒す、慌ててそちらに目をやり・・にへらっと、眼を緩ませ
「師匠、今日はいいんですか?」
「ええ、帰りたくないんです」
そうですかと呟き、こともなげに布団を用意するアキト
「あ・・あの女」
我が物顔でアキトの部屋らしき場所を掃除する鏡華、アキトは気にする感もない・・・それは、エリナの眼からすれば・・・と言うか、どう見ても同棲以外の何でもなく
「・・・アキト、何二組用意してるんです?」
鏡華が笑いながら話しかける、押入から二組敷き布団を引きずるアキトに
「・・駄目ですか?」
「二組くらいの広さが必要なら構いませんが?ですがハードなプレイは階下にも響きますし・・」
「一組にします」
慌てて布団をしまう、それに落胆し
「つまんないですね・・・鞭とか作ってみたのに・・拘束着も縫ったのに・・」
「師匠・・頼みますから人前では言わないでくださいよ?そんなやばいこと」
仲睦まじい(少なくともエリナにはそう見える)2人に沸々と殺気を募らせ、すかすかと鏡華の頭を叩く(?)エリナ
「まぁいいです・・禊ぎしてきます、汗かいちゃいましたから」
けれど画像の鏡華に通じるわけもなく、シャワーを浴びようと立つ鏡華
「なぜそこで俺の襟を掴むのかの方が気になるんですが」
ずりずりと、アキトを引きずりながら奥へ消える鏡華・・・それを・・凄まじい形相で見ながら
「決まってるでしょう、師の背中を流すのは弟子の勤めです・・あぁ、服はちゃんと脱いでくださいね」
「少しは羞恥心を持ってください」
鏡華への殺意が限界を超えたのか、画像と知りつつも飛びかかり
「いいでしょう別に、今更裸体程度・・私は気にしませんよ?」
「俺が気にします」
鏡華の言葉の裏に、不穏当な矛盾を見つける
「ふぅ・・やることはやったのに何でこんなに堅物に・・もうちょっと肉体関係を期待してこその同居ですよ?」
「だっ、だからっ、んなやばいことを口にしないでください」
「なっ」
思わず声を上げる、だが・・・2人は気づくことなく奥に消え
「・・な、何を??・・」
そのまま立ちつくす・・・だが、やがて・・急に景色が歪み、時が省かれる・・早送りのように
「ふぅ・・いい感じでした」
急に、だが身体を桜色に染めて鏡華が帰ってくる、大きなタオルを身に巻いただけの格好で
「師匠・・寝間着は何処にやりました?」
それを追うようにしてアキト、タオルを腰に巻いただけで、それはそれで興味深い代物だが・・・エリナの眼はひどく険しく
「心配しなくても、人肌で暖めあえば寒くないですよ」
頭痛を覚えたのか、頭を抱えるアキト・・・この人にはもう、何を言っても無駄だと
「寝ますよ」
灯りが消え、音も消える・・やがて、メットが落ち
「・・・どーゆーこと?」
憤慨するエリナだけがヴァーチャルルームに残された



「・・・声が聞こえますね」
「は?」
ナデシコの大浴場、そこで・・湯に浸かる鏡華、その横で目を背け、鏡華に追従するアキト
「負け犬の遠吠えという奴です」
「はぁ・・」
結局、あの後琥珀や翡翠の助けを得、悦楽コースだけは免れた物の・・玩具代わりに使われるアキト
「それとアキト、今晩ベルとルリ様を誘って遊びに行きますよ・・準備しておきなさい」
「はぁ」
「・・・ナデシコ内の、害虫駆除をしますから」
・・彼女は、笑う




あとがき・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
構成としては
0話・・・立身出世物語 現在 シリアス
1話・・・鳥居さんのお仕置きSSへの対抗 現在 ギャグ
2話・・・鏡華にとっての死の意味(HPで暫定公開)3年前 シリアス
3話・・・害虫駆除(苦笑) 現在 ギャグ
4話・・・遺伝子強化シスターズ遊園地へ行く(注・・・引率は鏡華) 現在 シ
5話・・・ホシノルリ(大)殺人事件 現在 ギャグ
6話・・・アズライト  完全シリアス&ダーク

?話・・・鳥○連続レイ○事件  ダーク&年齢制限&危険

みたいな内容になってます