用語解説
 
 

鏡華  テンカワアキトとテンカワ枝織の間に産まれた次女、血縁上では長女である、遺伝子強化体質として生を受け、父からリンクシステムを受け継いだ、その結果・・両親の記憶を乳児期に疑似体験し、両親以外の人間をけして信用しなくなっている・・・両親の戦闘技能の経験を保有し、地球圏屈指の企業フローライトの支配者・・・同盟から最も危険視&怨視されてる存在である

同盟の前で敢えてアキトと寝食を共にしたり、アキト(小)の○貞を奪ったりと、その悪行は枚挙しきれない(爆死)
 
 

アズ  遺伝子強化戦闘特化体質保持者、幼少の砌に鏡華と遭遇し、人格を再形成させられ・・その際に、リンクシステムを埋め込まれた、鏡華のコピーだが、人間に期待するふしがあり、殺人を好まない、鏡華同様・・同盟の敵である
 
 

ベル  ナノマシン群体による戦闘兵器、フローライトで一番の良識人
 
 

瑠雨  フローライトの良識人、HPで龍牙読んでもらうのが一番手っ取り早い
 
 

火元  ただの馬鹿 同時進行連載数30を越え、頭がこんがらがってる最中にこんなの書いて・・本当に馬鹿、詳しくはHPのプロフィールでも参照

最後に・・あくまで、お遊び企画です
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

硝煙の匂いが鼻を刺す

鋭敏化された嗅覚に漂うのは、硝煙と鉄錆・・血の匂い・・・

・・・そして

「・・何をどう合成したらこんな異質な匂いに・・」

眼下で繰り広げられる饗宴・・・

悶え喘ぐ男の苦しむ様を微笑で眺め・・・その口から発せられる異臭に眉を蹙める

「コァァァァァァァ」

不気味な叫びを上げて横たわる男は・・水膨れのように腫れ上がった唇の狭間から白煙を上げ、鼻血で頬を黒く染め、白目を剥いている

全身の毛細血管を強烈な電圧が駆け抜けたように、蒸発した水分に肌を崩し、黒ずんだ血に全身を染めた様は、ひどく・・見苦しく

ただ、喉から零れる異音のみが男の生存を告げる

描写するのが残酷なほどに無惨な様・・それを、至極覚めた眼で眺めながら

「・・・火元の生存は確認、処置は必要無しと判断する、これより回収作業に入ります」

口元のスピーカーに呟き・・・喰屍鬼のような様で倒れ伏す火元から眼を逸らし

火元の左胸が不気味な慟哭を放っている事を視認し、輪舞を舞う女達を眺める

・・・大鍋を中心に踊り狂う彼女達の中心では、カレーがぐつぐつと煮えたぎり、その周囲で、それらを食した男達が無惨な戦死を果たしている

「・・・鏡華さん、同盟の排除は?」

問う・・今回のミッションの相棒に

眼前の女達に怨敵と呼称される、現地上最強生命体に・・そして

それに・・答えが返り、頷くと

カカッ

彼女・・中空からそれを眺めるアズは、足場となっているそれを踏みしめ

「・・・」

それは諦めたように、異臭漂う空域に侵入する

・・・フローライト、極限までにステルス性を追求したそれは、ゆっくり・・空間を隔てる力場を発生させ

・・・本来ならば、そこからは絶対破壊兵器、アンチマテリアルが放たれるが・・今回放たれたのは・・・

「投擲」

無機物を時空を隔てて召還した鏡華は、それを大鍋目がけ投擲し

ボフッ

・・・それに封入されていた物質が化学変化を起こす

「ぶはっ・・な、何?目に染みる」

「きゃぁっ、髪が変な色に」

「ラピスちゃんしっかり・・戻ってくるのよ、まだ死んじゃだめっ」

・・・液体水素、それは極度な低温下でのみその性質を保ち、高温下に触れられれば即座に気体へと変化する

同じく気体である窒素や酸素に比べ、その沸点は零下253度・・限りなく絶対零度に近い

それが・・煮えたぎる大鍋の中で解放されればどうなるか、即座に液体水素はその性質を気体に還元、質量を増大させ弾け・・火気に触れたそれは連鎖爆発を生じさせる

・・・そのカレーが本来の、水分を主としたならばそれだけで済むだろうが・・それは、彼女達にしろ未知の物質で出来ていた

・・・物質は如何に強固な物であっても、高温下での融解、蒸発は免れない

それが物質である以上、融点と沸点は存在するのだ

けれど・・カレーは確かに異臭を放ってはいるが、その気体による大気汚染は見られない・・ならば、カレーの要因となっている未知の物質の沸点は水分のそれ、100度より確実に高い

逆に言えば、常に100度に保たれ、或いは大鍋より沸点の高いそれの危険性を高めるには何を用いればいいか・・

簡単である、固体、或いは液体のままに気体の性質を持たせればいい、連鎖爆発による水分の蒸発を視認すると

爆発に吹き上げられた粘性の高い液体に・・彼女達は迷うことなく、第二波を発射・・・高温下の劫火に直接投じられたそれは、爆発的な水蒸気を発生させる・・・

水は・・最も物質を溶かしやすい、或いは化合しやすい物質と言える

事実、カレーを煮込み続けていたのも水だろう・・・ならば、水蒸気は鍋の中の未知の物質と化学変化を起こし

その効力を付近一帯に拡大させる・・・・まぁ、巻き込まれるのは同盟と、お仕置きの犠牲者達だ・・・・かまわない(待てぃっ)

彼女は液体水素に次いで液体酸素を投入・・水素と酸素は、高温下に熱せられ、不安定にありながらも結合を開始

・・・水素は爆発の際、些少の水分を発生させる、それにO2が反応、炎は爆発的に勢いを増し・・それと同時に、カレーの物質が空気中の水蒸気に散布された・・・

黄緑色の・・・無色の気体と、少なくともカレーと認識できるはずのそれの結合で何故そんな色になったかは不明だが

鮮やかな色彩の、けれど空気中のあらゆる物質を食らいつくす、地球圏最強の汚染兵器を前に

「きゃあああっ、いやっ・・気圧が、耳が痛いっ」

「眼にしみっ・・息が」

「けほっ・・げほっ」

苦しみ喘ぐ同盟の頭上で、フローライトはステルス性を解除・・・白き巨体を空に拡げ無音、無風起動で上空に制止する

フローライトを駆るAI・・ベルは、ルリ達の苦しみ喘ぐ様にさすがに眼を逸らし

「・・・火元他、回収します」

アズは・・自らの生みの親であるはずのそれに・・・それを向けた・・・

・・・口径はおよそ10センチ・・アズの小柄な体躯にはやはり大きすぎる、無骨な円筒・・全長2mほどのそれを、アズは肩に担ぎ

「よっしょ・・」

それの端をフローライトの装甲に引っ掛ける・・反動をそこにかける彼女は

火元の予測地点にその口径を向け

はっしゃぁ」

柔和な笑みを掲げたままで・・それが火を吹いた

飛び出したのは・・口径を完全に満たす、巨大な鏃

・・・口径と全く同じ大きさの1mほどの鉄柱が、高速度で飛び出した、ひゅるると、端にロープの結ばれたそれは、爆発的な勢いで、黄緑色の気体を抜け

目標地点に着弾し

ドスッ

「ゲハッ」

・・・鈍い音と、カエルの踏み潰されるような声が・・黄緑色の気体の中から響く

「ふぃーーっしゅ」

がらがらと巻き上げられるロープは・・ずりずりと、なにやら

全長171センチ、重量49キロほどの物体を引きずり

・・・やがて、黄緑色の気体から、腐食したロープと鉄柱・・

・・・そして、鉄柱に刺し貫かれ、衝撃で飛び出したスパイクを肉片に食い込ませた物体が・・・引きずられ

「ベル、いいですよ」

・・・フローライトが浮き上がる、物体は

「ぐはぁっ」

だの叫びながら、腹部に突き刺さった鉄柱に宙吊りにされ

・・・夏休みの自由研究の昆虫標本の気分を味わいながら、空中遊泳を楽しむ火元

ベルが大きく翼を打ったため、煙が取り払われ・・

「火元の救出に成功」

・・・とどめを刺したように見えるんだが

「ベル、回収を」

フローライトの腕から打ち出されたアンカーが、苦しみ咽ぶ同盟の合間を縫って口から泡を吐く男達の衣服に引っ掛けられていく

慎重に、細心の注意を払い、それらを腕に巻き付けると、傷つけることなく空中に持ち上げ

「ちょっ・・ちょっとま・・何で俺だけ・・」

・・・鉄柱に腹部を刺し貫かれ、咽ぶ火元を無視し、ほとんどをベルが回収すると

「それぇっ」

アズが第2射を発射した・・・この時点で狙いは決まっている

「ちょっとぉっ!?」

愚かしくも?火元を師事してしまった以上、こういう扱いに決まっている、刺し貫かれたのは龍志

師弟仲良く空中遊泳を楽しみ

「な・・何で俺まで」

ネタにちょうどいいからに決まってる

基、ベルの手が回りきらなかったためである・・たぶん

「さて・・そろそろ、鳥井氏の準備は終わったでしょうか・・」

そして薄く・・微笑んだ
 
 
 
 

彼は運が良かった・・・少なくとも、その時まではそう思っていた

ACTION人気投票、堂々のランクイン記念・・・そんな、訳の分からない理由で送られてきた招待状

無駄にしては罰が当たると

念のため・・これが、某氏の不幸を分け合うためのゲリラオフ会である可能性があったため、お守りと護符は所持したが

・・・別段、日時の指定もなく、自分の暇を見計らってきたため、まず有り得ないこと・・では、あったのだが・・・

・・彼は失念していた

彼の周囲の環境・・果ては、日本国のスケジュールまでを、個人的趣味で振り回す魔女の存在を

「相席よろしいですか?」

ふと、メニューを取ろうとする寸前にかかる声、見れば・・いつの間にか、席が埋まっている

黒髪を撫でつけた給仕は、厳しい・・けれどどこか、悲哀するような眼を向け

「ええと・・」

迷う・・が・・・・

給仕の背後で少女が困っていた

亜麻色の髪の・・大人しそうな雰囲気の、美少女

その・・何故か涙眼になってる瞳に、男としての本能が叫びを上げ

「か・・かまいませんが」

「では」

パチンっと・・指を鳴らす給仕・・・そして、床が割れた・・・

突然鳥井の真横に、深淵に深い穴がうまれ・・・

機械仕掛けに、エレベーターのように浮き上がってくる椅子

・・血みどろの肉塊が、縛り上げられ

「か・・火元!?」

「ふっ・・諦めろ」

「多数ランクインされてましたので・・」

給仕の言葉は・・火元シリーズを指すのであろうが、それは逆に・・図られた事実を如実に示し

その直後、火元同様に椅子に鋼糸で縛り上げられる鳥井、藻掻くが・・脚には足枷がはめられ、それらは全て給仕によって行われる

零れる銀糸は、軽く2人の身じろぎを封じ

くいっと・・火元が首を巡らし・・・ふと見れば、レストランの内壁には小さく、鈴の周りを舞う蛍が描かれ

「ふ・・フローライト」

ようやく、暗躍する存在を知り・・・亜麻色の髪の少女に眼を向け

「螺旋ではまだ出てなかったな・・パンドラ・・鏡華の手飼いで一番まともな奴だ、龍牙には出てる・・」

それが・・上品に2人の眼前に腰掛ける・・

四角いテーブルの四方、並び座らされた鳥井と火元は完全に動きを封じられ

・・・特に、火元はどてっ腹に穴を開け血みどろという惨たらしい様だ

「な・・何で」

「・・・最近鏡華書いてなかったからなぁ・・・」

それが・・火元が座らされているわけだろう

・・・普通、自分で自分をお仕置きする馬鹿は居ないが

「鳥井に対しては、純粋に対抗心だろうな、お仕置きなら負けないと言う」

「そんな理由で」

そこまでだった

・・・異質な気配が辺りを満たす

小柄な人影・・・微笑を浮かべた、愛らしい少女

黒い髪を足下まで伸ばした彼女は、いつもの・・可笑しくて可笑しくてたまらないと言う笑みを浮かべ・・

「ようこそおいでくださいました・・本日は、私どもの料理を存分にご堪能ください」

一礼する

一分の隙もない完全の処世に・・けれど、2人は脂汗を滴らせ

「・・一品目を、軽く前菜から」

言うと・・アズが皿を片手に近付いてくる、その傍らには和服の美少女・・ベル、それが・・亜麻色の髪の少女、瑠雨の傍らに腰掛け

・・・フローライトの非常識人2人と、良識人2人が勢揃いしたことになる

そして・・二枚の皿が、ベルと瑠雨の眼前に置かれ

「少々甘いかも知れませんが・・お菓子から始めたいと思います」

言い、焼き菓子に蜂蜜をかける・・・

その・・・前の3人・・正確には4人に比べればあまりに普通のそれに、一瞬鳥井は拍子抜けしたように息を付き・・・

今日の料理の方向性を悟った火元は冷や汗の量を増やす・・一番、苦手な分野だ

けれど何故かそれらに・・・ベルと瑠雨の2人がナイフを取り

「はい・・」

切り分けられたそれが、フォークに刺され2人の口元へ運ばれる

・・アズならばまず、顔を刺されないことを祈るだろうが、この2人に限ってそれはない

そして火元に・・瑠雨の手ずから運ばれたそれを断るだけの度胸はないっ!!

鳥井も、まずは気にせず、ベルの指に運ばれたそれを口に含む・・・

じゃりっ

・・・火元にすれば見知った、鳥井にすれば予期せぬ感覚が襲う

「まず一品目・・練乳蜂蜜ワッフルです」

「むぶぅっ」

思わず吹き出しそうになるその残酷な甘さ、甘いという次元ではもう有り得ない

なるほど確かに、狐色に焼き上げられたそれはワッフル型で焼かれている、見た目は・・ごく平凡だが・・

「ワッフルの生地そのものに焦げ付かないぎりぎりの量の砂糖、それに練乳を練り込み、弱火でじわじわ灼きました、その生地で包むのは砂糖ジャムです・・純粋に、水と砂糖だけを煮詰めて、カラメルになるより早く引き上げました、それを水飴で彩り、蜂蜜をかけてみました」

「・・・」

身を震わせ、足を踏みならし口の中の・・何というか舌から脳まで融けそうな甘さに耐える鳥井

いっそ吐き出した方が楽な気もするが

・・・目の前ではベルが泣きそうな顔をしている、瑠雨も同様だ

・・・そのフォークは、手元のワッフルをつつき・・その瞳が、飲み込むまでこれが続くことを雄弁に語る

「あう・・だう」

歯の根まで融けそうなそれを、食道に押し込みながら、砂糖でじゃりじゃりする唇を舐める・・何というか・・既に甘いという次元ではない

歯が融ける・・すなはち・・・口の感覚が薄れていく

「の・・飲み物です」

ベルから差し出されたそれを、慌てて口に含み

「んぐぎっ・・」

「合成着色料90%を添加・・ギャラクシードリンクです」(参考資料 無断LINK)

その・・少なくとも飲み物の味でない、絵の具に顔を蹙め

舌が蒼くなる・・現実にだっ、この飲み物、着色料が多すぎて触れた患部に色が付く

と言うか、真剣に絵の具味と呼ぶのが相応しい、宇宙味でも・・まぁ、構わないとも言える

「ふふふふふふふ・・」

元来甘味が苦手な火元は既に壊れたようだ・・・と言うか、飲み下したワッフルが腹の穴から零れている

・・だが、鳥井1人の食事ではつまらないだろう

アズがぱんぱんと手を叩き

「し・・師匠?」

腹に穴を開けた2人目が到着

火元に師事するというあまりに軽率な行動を呪わば呪え、2品目の試食に呼ばれた男は

鳥井さんの口調は熟知してないからと言う作者の都合だけで召還され

これなら間違えてもいいやと言う最大の理由を持って、発言を許可され

「ちょちょっ、なら別に食べなくても」

椅子に拘束される・・・それは外されそうになく

・・・と言うか、一品目を火元が喰ったのも些細な伏線と、甘い物とネギ系が死ぬほど苦手なこの男に相応しすぎたからである

「2品目です・・」

湯気を上げるそれは・・食卓の中心に鎮座され

「まぁ、と言ってもこの品目を作ったのはベルですから、味はまともで、見てても面白くないんですよね」

2人の顔に安堵が浮かぶ

一筋の光明を得た気分だ・・・

米と食材を煮込んだ・・おじやのようなそれを、瑠雨がかき混ぜ、ベルが小皿に取ると

「どうぞ・・」

2人の口元まで運ばれる、息を吹きかけ程良く冷まされたそれに

甘さに支配された唇を振るわせ、鳥井が口に運び・・震える舌でそれを味わう

・・・広がるのは、確かな温もり

「あぁぁぁ・・・」

薄味のそれに心が安まる

既に舌は狂ってるはずだが、それでも十分それは称賛に値し・・

「2品目、特性キノコリゾットです」

・・・沈黙は舞い降りた

あまりの有名で・・・現実に火元が使用したそれは、かつて北斗を豹変させる精神的作用を見せ

「と言っても、ジンカクハンテンダケは入ってませんが」

ほっと・・安堵する

・・・朗らかな笑みを浮かべる鏡華は・・ひどく・・無垢で

「入れたのはベニテングダケアシタカベニタケシロタマゴテングダケドクツルダケオオワライタケニガリタケです」

「全部毒キノコじゃないですかっ・・てか、最後の死亡率は」

「はい、ニガリタケを食用した際の死亡率は9割を越えます

幻覚系、嘔吐系入り交じったそれは、あまりに危険な代物ばかりで

「特に、嘔吐や腹痛などの自覚症状が激しく幻覚作用の少ないドクツルダケを中心にブレンドしてみました」

冷や汗を浮かべる2人・・だが・・やがてそれに、脂汗が入り交じり、下腹当たりを手で触れると

「ぐお・・ぬお」

「あう・・あうぐ・・」

苦悶する2人

洒落にならない苦痛は、まさしく食中毒・・と言うか、コレラに似た発症で

「潜伏期間が長いと面白くないので、成分の一部であるアマニチン、アマトキシンを抽出、凝縮させてみました」

声にならない叫びを上げ、下腹辺りの煽動に耐える2人、だらだらと汗が零れ

・・・自覚症状に加え、脱水症状もすぐに発症するだろうが

それを余所に、アズはにこにこ笑いながら3品目を運び

「3品目・・ジャムです」

鏡華は・・それだけを言ってのけ・・怪訝そうにする2人

何と言うか、単純すぎる・・加えて、リゾットの後にしては、やけにやさし

「ただそれだけではつまらないので」

「つまらなくていいっ」×2

言う龍ちゃんと鳥井を無視し

「ジャムでお肉を煮込んでみました、ちなみに・・キノコの解毒剤も一緒に煮込んであります」

「うあっ・・」

くつくつと煮える謎ジャム・・まさしく、表現不能のよく分からない匂いが辺りに充満し

その中では細切りにされた肉片が煮られている

それをかき混ぜるベルの指は・・何故か震え・・だが、解毒剤の辺りに光明と・・打算が見える

「・・ちなみにこれ・・肉は?やっぱり牛?牛の脳味噌とか」

最近のニュースから、問う龍ちゃん

けれど、鏡華は微笑むだけで回答はせず、食べれば分かりますよと呟き

嘔吐感に耐えきれないと判断したのか、2人は目でベル達に乞い

・・・口に肉片が運ばれる・・やはり、何というか・・ごく平凡な、けれどどこかおかしな味が広がる

まさしく、謎な味だ・・

けれど、舌が麻痺するほどの味も、身体の苦痛も無く、むしろ和らぐばかりで

「・・あ、良かった・・割とまともだ」

「それは良かった・・あ、料理名忘れてましたね・・ぴろと女狐の謎ジャム煮込みです」

・・・時が・・凍り付いた

「・・は?」

「ですから、ピロシキ狐な女の子の肉をジャムで煮込んで」

ガキッ

・・・鈍い音・・・

鳥井は・・噛みしめていた肉片に固い感触を感じ・・それを、吐き出すと・・

「・・・鈴・・・・・」

「あ、狐さんが大事に抱えてた物ですね・・」

・・・確かめたくない

・・・確証を得たくない

・・・と言うか、さっさと次の料理へすすみたい

「ピロシキとは肉饅頭みたいな料理なんですが、特別にこの煮込みには」

「説明しなくていいっ、て言うか忘れるっ、すぐにこんな料理」

「重要な点は、狐の雌ではなく狐の女の子を」

「次っ、次の料理っ」

・・・味覚的

・・・肉体的

・・・精神的

どんどん追いつめられている

と言うか・・全部自分で作ろうと思えば作れる物ばかりである(爆死)

そう言う物だけを選んでチョイスしたが・・・

「最後の特別料理ですね」

・・・火元が起こされた

その料理を食べることを義務づけられているように・・龍ちゃんが解放され

それの前に、鳥井と火元が、並べられ・・

「どうぞっ、私が作りました」

そして・・差し出されたのは、丼に盛られたご飯とウィンナー、各種野菜

・・・火星丼

鏡華が作ったという辺りに不安が残るが・・・最後という言葉が嬉しかったのだろう

最期の晩餐を前に、2人は涙を屈し

「火星を忠実に模してみました・・苦労しましたよ」

・・・何か言いたげな鏡華が気になったが

とりあえず喰わなきゃ逃げられない、ベル達に眼で請い

・・・2人も不思議そうに、それを口に運んでくる

・・・ここで、気付くべきだったのだ、以上の3品・・全てはベル達も知っていたのだろう

そして、命には別状無いからと見過ごしていた

最期の肉煮込みも、ベル達が何も言わなかったのだから質の悪い冗談だったのだろう

・・・それは逆に

火星丼にのみ何も教えられなかった・・・つまり、ベル達が知れば止めるであろう事

この料理には・・命の危険が含まれている・・・

だが・・その料理は既に食道を下り、比較的・・と言うか、十分に美味しいその味に鳥井達は感涙に咽び

「火星を模した・・ナノマシンでも入ってるのか?」

言う鳥井に・・ひどく・・何というか、残酷な瞳

「ええ、火星にしか生息しない特殊な生命体が」

・・・おかしな言動

動植物とは違うとはっきり明言される・・

それに眉を蹙める2人の前で・・微笑む鏡華は、笑いを堪えきれないと言った感じで口元に手をやり

「そう言えば鳥井さん・・出産の苦痛の疑似体験ですか面倒な手を使いましたね」

そして・・その小さな唇は・・

はっきりと、言ってのけた

「私と同じ手を使えばこんなに簡単に試せるのに」

・・・汗

・・・脂汗

・・・ゆっくり、火星丼の収納された胃袋を眺め

「まぁ、自我の発生には時間がかかりますから・・頑張って、耐えてくださいね」

「あれかぁぁぁぁぁぁぁっっ!!」×2参考資料

答えに至った2人は暴れる

自我の発生・・火星の生命体・・全ては符合した、慌てて吐き出そうと

だがあの時・・火星を一夜にして壊滅に追いやる地上最強の生物(なまもの)兵器は、ほんの数秒でその体積を数十倍に増加させ

「んぐあっ・・ぬぁっ」

胃袋で何かが暴れる感触・・未知の生物に内側から食い破られる

「こ・・これは出産じゃないぞっ」

エイリアンの出産方法はお腹から出るんです

胃袋、食道、大腸の中で例のブツが暴れ出す

その感触は何というか・・・表現することすら憚られる

そして・・鏡華の言葉通り、アレは肉を食い尽くせば腹を割って出てくるだろう

・・・お腹を痛めて出て来るという表現に間違いはないわけで・・

「それとこれとは話が違うぅぅぅっっ」

椅子に縛られた2人は悶え喘ぐ・・けれど

じゅぼ・・・ぐにゅ

・・・火元の腹には、大きな穴が開いていた

そこから身を乗り出し・・・ベルによって切り刻まれ、運ばれていく物体X

・・おそらく、再び反物質で消滅させるのだろうが

・・・火元から命の危険は去った・・

けれど

「ひぎぃっ・・ふぐぎぎぎっ」

胃袋の内部に貯蔵された吸収前の食物・・有り体に糖分とタンパク質、それを食らいつくされ、胃袋の内壁まで吸収されかけ

それに言葉にならない叫びを漏らす鳥井

・・陣痛の痛みと、生きたまま内臓を食らいつくされる痛み、どちらが苦しいのだろうか・・

胃袋の中で暴れるそれに悶える鳥井の眼前に・・・・

「如何です?」

再び・・・一品目、味覚破壊ワッフルが運ばれる

「お食べになられますか?お腹の子の栄養分に」

あぁーんと、差し出されるそれに・・・

胃袋を食い荒らされるのと、味覚破壊、どちらがましか一瞬苦悩し

ぱくっ

「んぐぅぅぅっっ」

歯の根の融けるそれを、無理矢理喉に流し

「はい、ギャラクシー

絵の具味のそれを口に注がれる・・ベルから鏡華に給仕が変わったため、配慮という物はまるでない、どんどんと口に運ばれ

かなりの量のギャラクシーを零し、口元を染める鳥井の眼前で

「甘いだけでもなんですし」

・・・件のワッフルには、蜂蜜の代わりに蒼いタバスコ(朱より辛い)が大量にかけられ・・・

「ひんぐぅぅぅっっ」

無理矢理口に突っ込まれる

吐き出してもいい・・吐き出しても鏡華は何も言わないだろうが

お腹の子はご飯を欲しがってますよ

喰わんわけにはいかんのじゃぁぁぁ

唇を赤く腫らし、涙眼になりながらそれを平らげる鳥井の眼前で・・・

見覚え有るリゾットが運ばれ・・・

ぐつぐつと煮えたぎるそれを

「あぁーん・・」

・・鍋つかみを手にした鏡華が鍋を持ち上げ

熱いままに口に注がれた

わちぃぃぃっっっ」

叫ぶ鳥井を無視し

100度付近まで熱せられたご飯をこそぎ落とすこそぎ落とすこそぎ落とす

口の中のそれを吹き出そうと

『うむぃぃぃぃぃぃ』

「あ、赤ちゃんがご飯を欲しがってますね」

(鳴くのか!?鳴くようななまものなのか!?)

喉に・・・100度まで熱せられたご飯が、下る

それは熱いと言うより、かみそりの大群を飲み込んでる心地

「ほら、どんどん食べないと赤ちゃんがお腹空かせちゃいますよ

そして・・狐肉のジャム煮込み、ある一点さえ我慢すれば・・と言うか考えなければ、比較的食べやす・・・

・・・何故・・・目の前の物体はこうも、不気味なのだろう・・

「あ、ワッフルとキノコのジャム煮込みですから」

毒々しいキノコと、ワッフルが同時に煮られる様は・・ある意味壮観で

「こっちの方がいいですか?」

差し出される火星丼に、ジャム煮込みに首肯を垂れ・・・・・・・・

「あまぃぃぃ・・キノコガッ・・きのこがぁぁ」

「はい、次はゴートさんで出汁を取ったすーp「いやややあああああああっっっっ」

・・・狂宴は止まらない
 
 
 
 

・・・T0 be C0n+eened(待てぃっ)
 
 
 
 
 
 

あとがき・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

さて・・・書いてみたわけだが

「うわ・・わたしわるもの?」 

最期の地球外生命体(?)を除けばご家庭でも作れます、皆さんお試しください

「ただし、最期の料理は深読みしすぎると犯罪に足を踏み入れることになります・・ご注意を」

・・・まぁ、深読みしなけりゃたたの肉のジャム煮込みだし

「実際にどうだったかは一回聞いてみたいけど・・と言うか、鳥井さんがモトネタ分かるかが一番の問題なんだけど・・・」

むぅ・・金魚とか蛇とかの方が良かったか・・・

「そんな・・可哀相じゃないですか・・たつのおとしごとか、ねずみとかうしとか虎・・は、かわいすぎるから駄目ですけど」

ま・・それは第弐弾で書けばいいか

「・・続ける気ですか?・・・あの、妙に読みづらい・・て言うか、一応火元の頭が馬鹿なんじゃないかとか思われそうなんで言っておくと、故意にいびつな「続く」は・・・」

可能性はある・・と言うか、あれ以上はエイリアンとたいしてかわらん

「まぁ・・お腹を痛めて可愛らしいお子さんが・・産まれたんですね」

さぁなぁ・・・第弐弾では書くだろうが・・・第弐弾があるならば(邪笑)

「龍牙の方が一段落したんですよね?」

・・はい、ですからその鉄柱はもう勘弁してください、まだお腹が痛いです

「螺旋の続き・・私と兄様が享楽を貪る酒池肉林の日々が・・書けるんですね?」

一部語弊があるが・・多分
と言うか・・・んみゅううううう・・・その場の勢いで書きすぎたせいで一気に書きにくくなったな
・・・また改訂するか、どっかから

「・・・正気ですか?」

火元のHPで日刊更新がコレに回ってきたらやろうかなぁと

「・・で、何が言いたいんで?」

また同盟を虐める・・と言うか、同盟の悲運とアキト×鏡華&北ちゃんの比率が高まる
冒頭でもう書いちゃったけど、アキト(小)はもう襲われてるんだから、鏡華との関係がもっとどろどろしててもいいわけで

「・・いいんですか?」

だって・・ACTIONverじゃぁっどう考えても後数話で終わっちゃうし
あの時鏡華を出しちゃったのが失敗だったんだ、そのせいで全部のシナリオが進んじゃった
全然消化しきれない
龍牙と伏線が重なったってのもあったけど、これもなぁ・・・書けなかった要因だわな
鏡華が出てきた=テンカワ夫妻の話し合いが終わったって事なんだから
ラストのフラグが立っちゃった

「・・・つまり」

火元の大失敗・・・1つのシナリオを完結させるために全体のバランスを壊しちゃった・・
しかも次のシナリオに入ってから気付いたもんで・・全部の設定を組み直すか、書き直すかしかない
たぶん、設定改造したなら、歪はもっと凄まじくなる
だったら、書き直した方がましだ・・あくまで、実行に移したらだが

「・・考え無し」

じゃぁしゃぁ
だからココで言い訳してるんじゃい

「で・・・・結論は?」

・・お仕置きリスト筆頭が不動になるなぁと・・
また薔薇色弾頭用意しておかないと

「・・・鳥井氏に、幸あらん事を」