< 時の流れに >
時空を越えて
第7話 『脈動』
チッ、チッ、チッ
小鳥たちのさえずりが聞こえる。
「ん、朝か」
起き上がり体をほぐすアキト
「さて今日はどうするか」
そんなことを考えていると
とてててててっ ぴた
非常に軽い足音がアキトの部屋の前まで来て止まった
「なんだ?」
プシュ
「グッドモーニング!アキト兄」
「アキト兄、おはよう」
目の前に黒い仔猫と白い仔犬が現れた
「ああ、ディアそれにブロスおはよう」
何事も無かったかのようにあいさつをするアキト。1日でずいぶんこの世界に順応したようだ
「む〜、なんで驚かないの」
「あれだけ非常識なことがあったんだ、いまさらそれくらいじゃあ驚かないさ」
なにか悟ったような眼で返答するアキト
「それでも何があったのかぐらい聞くにょのが礼儀だよアキト兄」
不満顔?でディアが文句を言う。
「ゴメン、ゴメン、2人とも一体どうしたんだい」
「実はね―――――――」
さっきのイリスとのやり取りをかいつまんで話す2人
「う〜ん、そんなことがあったのか。本当におもしろい世界だな」
遠い目をしてアキトがつぶやく。
「そうそう、イリス姉がもうすぐ朝ご飯にょて」
「わかった、すぐに行・・・・・」
ふと、ディアの言葉使いがひっかかり足をとめる
「どうしたのアキト兄?」
「ディア、言葉まで猫みたいになってきてるぞ」
「うそ!」
「ほんとだよ」
ブロスの援護射撃
「そんにゃはずにゃ・・・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
気まずい雰囲気が寝室にただよう
「そ、そんにゃ、こんにゃの作者の陰謀にょ〜〜〜〜〜」
ディアの叫びが朝の艦内に響きわたった
朝食後、客間にて
「それでこれからどうするんだシュウ」
そう言いレモンティーを飲むアキト
「そうですねマサキ達の所に行ってみてはどうです」
こちらも紅茶(ストレート)を飲みつつ提案するシュウ
「マサキ?あのシュウを追いまわしていた」
「はい、多分気が合うと思いますよ」
「どういう意味だ」
「会えば分かりますよ。それに彼らを手助けするのが戦乱を収めるのに一番手っ取り早い方法でしょうし」
面白そうに話すシュウ
「その事だが、俺はこの世界での戦乱を収める事はやろうと思っているけど英雄になる気はないんだ」
「なぜです?」
「昨日話しただろう、俺は前の世界で英雄だったために守れなかった娘がいた。
いや英雄だったせいか・・・。もしこの戦乱を収めるとしたら、表舞台で脚光を浴びる資格があるのは彼らの方さ。
俺はその裏方で彼らを疎んじる馬鹿な奴らから、彼らの大切な人達を守る方が似合ってる。
それに今回の目的は俺のわがままみたいなものなんだ・・・こんなのが動機で英雄なんて呼ばれるわけにはいかない」
「しかし、それではあの計画に問題がでますよ」
「いざとなれば俺一人の媒介で制御してみせるさ」
「わがままな方ですね。分かりました、その件は別の方法を探すとしましょう。もともと穴だらけの計画ですからね」
「すまないな無茶ばかり言って」
「まったくですよ」
そう言いながらもシュウの顔には微笑が浮かんでいた
情報管理室シークレットルーム
目を輝かせる女性が一人もちろんイリスである
「マ、マスターが微笑んでる!こ、これは永久保存版ですね」
いそいそと映像を編集するイリス。妙に手馴れている
「アキト様の方の映像はあの方々用っと」
律儀に別に編集する
「それにしても、マスターを微笑せるなんてアキト様すごい方ですね。まあ、男色の気は無いそうですから安心ですが」
ビィ―――、ビィ―――、ビィ―――
シークレットルームに警報が鳴り響く
「何事です」
イリスがモニターに目を落とすとそこには描写する事のできない格好で客室に疾走するサフィーネが映っていた
「8回目ですか、サフィーネさんもこりませんね」
どうやら人知れないところで2人の戦いは行われていたらしい
「マスターはもちろんとして、アキト様に近づかれる女性は容赦なく撃退するように言われてますからね〜」
楽しげに何やら危険な事を口走っている
「しかし、あの方に生半可なトラップは逆に快感になってしまいますし・・・・・随分機敏になられてますね」
だだだっ、ひゅんひゅんひゅん、キンッキンッキンッ、ドドドドドッ
モニターには飛んでくる矢を叩き落とし、落とし穴を飛び越え、隔壁を破壊し、本能のみで客室に向かう美しき雌豹が映っていた
「となると、あれしかありませんね」
そう言うなり背後から赤い槍を取り出し、怪しい射出装置にセットするイリス
「照準セット」
遠距離用超精密照準サイトがサフィーネをロックオンする
「天上天下念動破砕槍、ファイヤーです」
ポチッ
次の瞬間フィールドをまとった赤い槍がサフィーネに直撃した。
そしてサフィーネは盛大に壁に叩きつけられ恍惚な微笑を浮かべながら気を失った。体に槍が刺さっていないのは流石である
「さて、続き続き〜(はーと)」
それを確認するとイリスは再び隠しカメラの映像に熱中するのだった
「ブローディアの方は?」
「その事ですが、あの機体を造ったメカニックの人達はいろんな意味で個性的な方だったようですね」
「まあな」
(ウリバタケさんやレイナさんだからな)
「プログラムや基本的な構造、相転移エンジンの解析はもう少し時間をかければ何とかなりますが、
機体の組み立て、微妙なチューニング、整備に関してはあまりにもピーキーすぎて私でも無理ですよ」
「それじゃあ、修理は無理なのか・・・」
「あくまで現時点ではですよ。セニアやウェンディ並みの人が1人でも見つかれば可能です」
「どのみち、当分先になるということか」
「そうなります。ですがこれから先行動するのに徒歩という訳にもいきませんからね、これを使って下さい」
モニターに1体の魔装機が映し出される
「ガディフォールか」
「はい、前にテリウスの使ってたものです。このところ格納庫でホコリを被ってたので、イリスにあなた用にチューニングさせてます。
ブローディアに比べるとスクラップ同然ですが我慢してください」
「わがままは言わないさ。ところでテリウスて誰だ?」
「気にしないで下さい。彼影薄いですから」
「ひどいや、クリストフ シクシク」
「いま、何か聞こえなかったか?」
「気のせいでしょう」
こんなところにもハーリー君と同じ不幸の星に魅入られし人物が存在していた
「ご主人様!ご主人様!」
チカが血相を変えて凄まじい速さで客室に飛び込んできた
「どうしました、チカ」
「馬鹿で愚かで根暗な海藻が網に引っかかりました!」
「ルオゾールですか」
一発で断言されるルオゾール
「はい、あのワカメ頭の根暗インチキ●●神官です」
「シュウ、ルオゾールって」
チカの●●の発言に若干顔を引きつらせながらアキトが尋ねる
「はい、思ったより早いですね。それだけ焦っているということですか」
「チカ、グランゾン発進準備をたのみます」
「わっかりました」
またまた凄まじい速さで客室を後にするチカ
「俺も出るぞシュウ、何時までも世話になりっぱなしの訳にはいかないからな」
「わかりました。おねがいします」
「イリスさん、ガディフォールの準備出来てます?」
通信ウインドを開きイリスに尋ねるアキト
「はい、今終わったところですよ」
シークレットルームにてナチュラルにウソをつくイリス。実際にはとっくに終了している。
「よしディア、ブロス行くぞ!」
ババッ
アキトの影の中より仔猫と仔犬が現れる
「オッケー」×2匹
こうしてかなり早い決戦が始まろうとしていた
後書き
どうも、架再です
最初はタイトルどおりシリアスな話にする予定がイリスやディア、チカのせいで何かギャグが混在してしまいました
ルオゾール出番無いし、まあ好き好んであんなワカメ書きたくないですが
それとディアの猫化、会話が進むにつれて進行しています(笑)もちろん作者の陰謀です
今回の謎は赤い槍です。もうバレバレですね
導入編なのに随分長くなってる事に気付いた今日この頃です
それでは!
管理人の感想
架再さんからの投稿です!!
なんか、適応能力が素晴らしいなアキト・・・
ディアとブロスの登場に全然驚いてないし(笑)
逆に私はアキトの影から二人が出てきた時は驚きましたけど・・・
ま、そんな世界だし(爆笑)
それでは、架再さん投稿有難うございました!!
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