それは偶然か?必然か?
彼女は二十の時を越え戦場で再び出会う…
蒼き光に導かれ彼らは逝く
遥遠く、戦いの渦中へと…
【ネルガル火星ラボ】
火星が何者かに襲われ、私達はラボの地下シェルターに避難した。
私はここに避難する気はなかったのだが同僚に無理やりつれられここにいた。
しかし避難が終わる前にシェルターは無人兵器に襲われ阿鼻叫喚の地獄と化す。
そんな光景を呆然と見詰めていた私の目の前にも黄色い無人兵器が迫る。
「ふっ、まんまとやられたわね…
先日の辞令はこれを見越したことだったんでしょうね。
それにまったく…運がないわ…」
不自然な所長と所長子飼の研究員の突然の地球への転属命令を思う。
彼らが私の研究を自分たちのものとして本社に報告していたことは知っていた。
その結果ネルガルは企業として、相転移エンジン、古代火星技術の第一人者として彼らを地球に呼び戻したのだろう。
お金や名誉にまったく興味が無かったことがかえって仇になったわね…
それに、同僚も一緒に無理やりでも向こうに行けばよかったわ…
と、自分をせせら笑う。
そして目の前まで来た死神が私に銃口を向ける。
「私もここまでか…」
私の三十年におよぶ人生が今、幕を下ろそうとしている。
目を閉じ記憶に残った最も古い映像の彼を思う…
「お兄ちゃん…」
そうつぶやき私はポケットの中から現れた蒼い光に包まれた中、銃弾を浴び死に落ちた。
Twice?
序2:出会いのち別れところにより再会?
(蒼い光に包まれて…)
空間に蒼い光があふれ返る…
「うごっ!?」
カエルがつぶれたような音が聞こえ何かやわらかい物の上に落ちる。
私は?死んだんじゃなかったかしら?えっ?!
頭の中にまったく知らない知識が流れ込んでくる。
同時にアイの記憶が蘇り混乱に拍車をかける。
混乱する中、状況確認のためあたりを見渡す。
私の下には武装した少年が、となりにはどこかでみたような少女が居る。
ともに意識が無いものの命には別状は無いようなので改めて周辺を見回す。
どうやら地下シェルターの入り口のようね…
周りの確認がすんだので、撃たれて死んだはずの自分の体の確認にうつる。
「…、……」
言葉が出ない…
何故?なぜ?こんなことになってるの?
ふっ、私にも説明できないことがまだあったのね…
あまりの出来事に私は一人敗北感に浸る。
「…あの、そろそろ上からどいてくれませんか?」
「えっ?!」
いつのまにか意識のもどった少年に言われ、私たちがいまだ彼の上に乗っている事実に気づく。
私は今だ意識のない少女とともに彼の上から降りる。
恥ずかしいところを見せてしまいうつむいていた私の顔を彼が覗き込む。
至近距離に少年の顔を見て私は自分でわかるほど顔が赤くなる。
「あ、アイちゃん?!」
「!?あぅぅぅ(真っ赤)」
私の顔を覗き込んだ彼が驚きの声を上げ抱きつく。
今までの人生、男性とのお付き合いなんてなかった私は耳まで真っ赤して思考回路がショートする。
「アイちゃん?!アイちゃん!?」
さすがに真っ赤になって動かなくなった私を見て、あせったのか彼が私を揺り動かす。
「だ、大丈夫…」
気力を振り絞り今だ耳まで赤いままの状態で返事を返す…
―――――――――――――――――――――――――――――――
「ふぅ〜」
私は少年から少し距離をとり溜息をひとつはく。
だいぶ落ち着きを取り戻した私は改めて意識のない少女の介抱をしている少年の顔を見てあることに気づく。
「…お、お兄ちゃん?」
イネスだった時の最古の記憶。
アイの記憶のなかでは最も新しい記憶の中のお兄ちゃんがそこにはいた…
「んっ?なに?アイちゃん?」
「…!?なんでもない」
私の呼びかけにお兄ちゃんがこちらを向き微笑む。
赤くなる顔を必死に隠してお兄ちゃんへ返事をする。
「ところでアイちゃんって双子だったの?」
「えっ?」
「ほら、この子…アイちゃんそっくり」
彼が意識のない少女を指差し言う。
何のことだろうとじっくりと彼女の顔を覗き込む。
そこには十歳くらいの私がいた…
「……」
「アイちゃん?」
What?何故?何で私がもう一人いるの?
うぅ〜一体どうなってるのよ?
「う〜ん…」
私が一人苦悩しているともう一人の私が目を覚ます。
「……?」
目をあけると彼女はキョロキョロとまるで小動物のようにあたりを見回す。
さすがに私ラブリーね…
と、ちょっと現実逃避をしてみる…
すると周りを見回していた彼女と目が合う。
「えっ…?」
金色?見間違いかと思い、もう一度よく彼女の瞳を見る…
彼女は私の後ろを凝視している、その目はやはり遺伝子操作された者に現れる金色。
そんなことを考えていると、彼女は立ち上がり『トテトテ』という擬音がにあいそうな足取りでお兄ちゃんに近づき抱きついた。
「…アキト(ギュ)」
「…お兄ちゃん(ギュ)」
恍惚とした笑顔でお兄ちゃんに抱きつく彼女を見て私も反射的に抱きつく。
抱きついてしまった数瞬後、耳まで真っ赤にして再び思考回路をショートさせた。
―――――――――――――――――――――――――――――――
「ふぅ〜」
再び溜息をつき、一人お兄ちゃんから離れもう一人の私を羨ましげに見つつも私は自分の行動を考え驚愕する。
…もしかして思考が肉体に引っ張られてる?
まさか三十歳になってこんな年下のお兄ちゃんにときめくことになるなんて…
………問題ないわね
そうよ、昔は三十だったけど今は十代、まったく問題はないわ…
そういった結論に達した私は今だお兄ちゃんにくっ付いている羨ましい奴を引き剥がしに掛かる。
「こら、いいかげんに離れなさい!」
「……(フルフル)」
腕をつかみ無理やりはがそうとするもまるで見捨てられた子犬のような潤んだ目で私を見て首をおもいっきり振る。
あぁ〜そんな目で私を見ないで〜
そんなことをおもっていると、
「…少し離れてくれないかな?」
私の心の葛藤を見かねてか、お兄ちゃんが彼女に離れるように促す。
彼女は見るからに残念そうにお兄ちゃんから離れる。
「お兄ちゃんは天河アキトっていうんだ…
お嬢ちゃんのお名前はなんていうの?」
お兄ちゃんは腰をかがめ目線を彼女に合わせて微笑み問い掛ける。
「ラピスラズリ、私はアキトの目、アキトの耳、アキトの手……
…アキト…」
ラピスは言いたい事は言い終えたとばかりに再び…今度は首に手を回して…お兄ちゃんに抱きついた…
な、なんて羨ましいことを…
ちょっと心に黒い影が立ち込めるも、シェルターに無人兵器が居たことを思い出しお兄ちゃんに言う…
「お兄ちゃんシェルターは危険だからここから離れましょ?」
「え?あっ…うん…」
お兄ちゃんはどこか納得してないような気もするが、押しに弱いのか割とあっさり同意してくれた。
お兄ちゃんがラピスに離れるように促し離れると、お兄ちゃんを先頭に地上を目指し始める。
途中ラピスがお兄ちゃんの服の端を握り締めて離さないといったこともあったが何事もなく進む。
地下からの出口が見え始めたころ私はおにいちゃんに聞いた。
「お兄ちゃん、上に無人兵器いた?」
「ん?無人兵器って?
あぁあの黄色いのか…
入ってきた時は居なかったよ?」
お兄ちゃんは怪訝そうな顔をするも私の質問に答えてくれる…
…上には居ない…らしい、居るのはシェルター内だけ…だったら…。
「そう…
お兄ちゃん、手榴弾かなにか…壁壊せそうなもの持ってない?」
「え?何に使うんだい?」
「シェルターの中に居る無人兵器が出てこれないように天井や壁破壊して欲しいの…」
「…ん、わかったよ…」
お兄ちゃんは少し考える素振りをするも私の言うことに賛同してくれた。
地下の入り口から少し離れたところでお兄ちゃんが言う。
「いい?耳をふさいで口を半開きにして物影に隠れていて…
口開けてないと鼓膜破けちゃうからね…」
私とラピスは言われたとおりに物影に隠れて待つ…
お兄ちゃんがポケットから手榴弾らしきものを二つ取り出しピンを同時に外すと、入り口に向かって投げ私たちの上に覆い被さる。
大きな爆発音と大きな物が崩れ落ちる音が響く…
私たちを抱きしめていたお兄ちゃんが立ち上がる。
暖かさが離れていくことを少し残念に思いながら私も物影から出た。
「ラピスちゃん…離してくれないかな?」
お兄ちゃんの方を見た私は言葉が出ない。
いつのまにか首に手をまわし抱きついているラピス…
…いったい何時抱きついたのよ?
「はぁ…」
お兄ちゃんに抱きついているラピスを羨ましく思いつつ。
私はラピスの行動力を思い溜息をまたひとつはいた。
-次回予告-
「ア、アイちゃん?どうしてこんなところにこんな物が…?」
驚愕の事実に唖然とするアキト
「さあ、目覚めるがよい。
呪われし子よ!!目をあけるのだ!!
……あけろー!!あけんかボケーッ!!」
「…オマエモナー」
加速度的に壊れ逝くアイ…
「…アキト、ごはんまだ?」
我関せずの破壊神
遠く青き地球にて
「ファ、ファスナー?」
某目立たない人が目にしたものは?!
いったい何時になればナデシコは出てくるのか?
(というか出てくるのか?ナデシコ)
次回『博士の異常な愛情』
・
・
・
「神よ……科学という名の悪魔に魂を売った私を許したまえ…」
あとがき〜?
はじめましての人ははじめまして
そうじゃない人はこんばんわ
祁威改め蒼翠です
SS書き始めて日が浅いので内容も薄いし面白くないと思いますが許してやってください
遅筆のため次回は皆様が忘れたころにやってきます。
P.S.次回予告?信じないでください嘘です(多分)
代理人の感想
ん〜〜〜。
一応、文章はそれなりにしっかりしてるんですが・・・・・描写が致命的に遠まわし過ぎると思います。w
「イネスの身体が10歳時点まで戻った」(※)ということが描写されている部分がまったく無いとか、
ラピス(?)の体が同じアイ10歳のものであるとか、間接的な描写から類推するしかないのはいかがなものかと。
※原作の「アイちゃん」はこの時点で7歳ですが、このSSでは10歳のようです。
後、展開は意表をついていていいんですが、首をかしげるようなところが(苦笑)。
例えば頭の上から降ってきた「アイちゃん」に何の疑問も持たないアキトとか、
そうした当然の反応を示さない事に対して一言二言フォローを入れるべきだったかと思います。