※結構ルリがひどいことになってます。
イメージを壊したくない人は読まないことをお勧めします。
もし無視して読んでも苦情は受け付けません。
では、良いと言う方だけどうぞ。
本当にいいんですね?
「決着を付けよう」
赤と黒が動き出す。
赤き者は敗北の中に活路を見出すために・・・
そして、黒き者は全てを奪った相手への復讐のために・・・
そして、その二人の知らぬ所で堕天使が死を運ぶ・・・
赤き火星の地で、死を運ぶ風が吹き荒れる・・・
機動戦艦ナデシコ―破滅に誘う堕天使―
「哨戒機より映像・・・ナデシコです!!」
「ナデシコ!? おぉ!!」
報告を聞いた指揮官が驚愕の声を上げる。
次の瞬間、火星の後継者の全てがルリに掌握される。
そして・・・
「皆さんこんにちは。
私は地球連合宇宙軍所属、ナデシコC艦長星野ルリです。
テロリスト、火星の後継者達と首謀者、元木連中将草壁春樹、あなた達を逮捕します」
長い髪をポニーテールにしたルリが、モニターの中でそう言い放つ。
それに対し草壁を除く火星の後継者の面々が反発する。曰く、
「黙れ、魔女め!」
「我々は負けん!」
「徹底抗戦だ!!」
「そうだそうだ!」
「おうっ!」
と。
それを聞きながら、ただ一人正確に情報を捉えた草壁が言葉を紡ぐ。
「部下の「そうですか。ではこれより我々はテロリスト、火星の後継者に投降の意思無しとし、あなた達を殲滅します。
ごきげんよう」なっ! ま、まてっ!!」
ルリは、その草壁の言葉を遮り、殲滅を宣言する。
「!! 本基地の自爆装置が起動しました!」
「「「な、なんだと!?」
「全隔壁閉鎖! 開きません!」
「ナデシコに通信を繋げ!」
「無理です! 全ての通信機器、機能しません!」
「自爆まで後三十分!」
「なんとしても解除しろ!」
「ハッ!」
後三十分、というのを聞いて多少落ち着いたのか騒ぎが沈静化していく。
が、
「タチマチヅキ、イマチヅキ、自沈!」
「第二機動兵器大隊、壊滅!」
「マチヨイヅキ、自沈! あぁ! フシマチヅキまで!!」
適当な時間差を置いて引切り無しに味方の自爆報告が入ってくる。
無論、最後がこの基地なのではあるが、その段階まで行けば外はもう壊滅・・・
たとえ自分達が生き残ったとしてももう二度と決起は不可能だろう。
月臣の説得で地球の同士は寝返ったし・・・
「クリムゾンから緊急回線で通信、“ネルガルやられた! 救助求む!”って、出来るかぁ!!」
クリムゾンはネルガルSSが潰しにかかっている。
「くっ! 我が理想、実現ならず・・・」
「艦長! ここまでする必要、あるんですかっ!?」
「そうです! いくらテロリストとは言え・・・逮捕すればいいことでしょう!?」
「ルリルリ、いくらなんでもこれはやりすぎよ!!」
ナデシコでも非難はある。
当然といえば当然だ。乗員の殆どは民間人。
軍人であるマキビハリは敵に対して非道になれないし、高杉三郎太は元同僚だ。
皆殺しにする事には反対するに決まっている。
でもそれでも、今のルリはその衝動を抑える事ができない。
いや、抑える気も無い。
なぜなら、これが彼女の復讐だから。
「・・・ナデシコを下ろします。
遺跡ユニットを、回収します」
「人の執念、見せてもらった・・・」
「勝負だ!」
六連は全て撃墜された。
いや、その言い方は正確ではない。
ルリが、自爆させたのだ。
唯一夜天光だけはまだ生きている。
テンカワアキトに復讐の機会を与えるために・・・
無音のままの対峙。
そして、
赤黒が交差する。
赤の拳が黒を襲い、そして・・・
(浅い、か)
黒の拳が赤を砕く。
「グハッ! 見事だ・・・」
黒の鎧が破棄される。
中からは、ワインレッドの機体が・・・
どこか壊れたのか、そのメインカメラから流れるオイルは、搭乗者の心情を表しているかのようだった・・・
『おーい積み込んだぞー!』
『艦長はどうなの?』
『私たちはどうすればいいのぉ?』
パイロット達から通信が入る。
遺跡を格納庫に移したという通信だ。
一方こっちは医務室。
「もうすぐ目を覚ますと思うわ」
「あなた達も戻ってください」
『わーったよ』
「ん・・・あ、れ?」
「「「ユリカさん!!」」」
「皆・・・皆、老けたねぇ」
「よかった〜、いつものボケだ・・・」
「私、夢見てた・・・アキト、アキトは、何処?」
まだ夢を見ているような声音でユリカが尋ねる。
そこに、もう一つの波乱が舞い込んでくる。
「あ、あの、皆さん! 艦長何処いったか知りませんか!?」
パン、と言う音が連続して鳴り、命を刈り取っていく。
「ひっ!」
「お久しぶりですね、ヤマサキ博士」
「よ、妖精・・・」
「いいえ、私の名は滅天使です」
「め、滅天使だって!? 君が、北辰君の言ってた滅天使!?」
「えぇ。北辰の左目を貰ったのは私です。
まぁ、そんな事は些細なものですね・・・」
「な、何でこんな事を・・・」
ずるずると、腰が抜けていながら少しずつずり下がりながらなおも声を上げる。
その質問を一笑にふし、言葉を紡ぐ。
「くだらない事を聞きますね。
全てを奪われたから、全てを奪うに決まっているでしょう?
くだらない理想も、くだらない研究も、全てを壊すだけです」
「く、くだらないだって!? 僕の研究がくだらないって言うのか!?」
「えぇもちろん。私は私の体を実験体にして色々なナノマシンを開発しました。
その中には、あなたたちがA級ジャンパーを使って死に物狂いで開発しようとしたA級ジャンパーになる為のものもあります。
ほら、くだらないでしょう? あなた達が人の尊厳を捨て去って作っていたものは、すでに作られていたんですから・・・」
「なっ!?」
背筋が凍りつくような笑みと共に、滅天使は言葉を投げかける。
それを聞いて、ヤマサキが絶句する。
その顔は、信じられない物を見たという驚愕に彩られていた。
「ふふふ・・・いい顔ですね・・・
自分がもっとも優秀な科学者だとでも思っていましたか?
お笑いですね。ちなみにこれが、そのナノマシンです。欲しいですか?」
コクコクと、狂喜に彩られた顔で頷く。
それを、
「では差し上げましょう」
嗤ったままヤマサキの首筋にうつ。
そして、
「ぐぎゃあああぁはああぁぁぁあああ!!!」
「あはははは!! 苦しいですか? 痛いですか?
そうでしょう、苦しいですよね?
それは、うたれた人間の身体を三日三晩かけて改造します。
私も打ったとき、本気で意識を失いましたから。
ナノマシンに常人を遥かに超える耐性を持つ私ですらそうなったんです。
あなた程度に耐えられるわけが無いでしょう!
あはははははは! せいぜい苦しんで、そして逝って下さい!
まぁ、もし耐えられたとしてもここの自爆と共に死ぬ事になりますけどね」
嗤いながら、なおも呪詛を投げかける。
ヤマサキは言葉を、悲鳴すらを失いのたうち回る。
滅天使はそれを暫く見ていて、唐突に。
「ぐっ! カハッ! ゴホゴホゴホ!!」
顔を歪めて咳き込みだす。
口を覆った手には、赤い液体と、それに混ざる光り輝くモノが付着していた。
「ナノマシンスタンピード・・・ふふふ・・・これが、その力を手に入れた後にも待つ呪いです・・・
ボソンジャンプは、人に制御できるものではないんですよ・・・」
そういい残して、研究室を後にする。
「時間が無い・・・早く、黒い皇子の所に行かないと・・・
っ! 誰ですか!?」
通路に出て声を上げる。
そこにいたのは・・・
「いた?」
「いないわ」
「艦長、何処へ・・・! まさか艦長、基地に降りたんじゃ!?」
「ま、まさかぁ・・・自爆装置を起動させたのはルリルリよ・・・?」
「オモイカネ!」
『・・・・・・その通りです』
ハーリーの叫びに、オモイカネがそう答える。
つまり、降りたと。
「そ、そんな・・・ナデシコを下ろして!」
『却下』『不許可』『嫌』『ダメ』『無理』
「なんで!」
『基地爆破まで後140秒、降りれば巻き込まれる』
「自爆を止めて!」
『・・・・・・・・・・・』
「オモイカネ!」
『ルリにどんな事が有ってもとめるなって命令されてる』
「そのルリルリが死にそうなのよ!?」
『もしルリの命に危険があろうともとめる必要は無い、と』
「なッ! 艦長は初めから死ぬつもりだったって言うのかよ!?」
後ろから、激昂した三郎太が怒鳴り声を上げる。
「冗談じゃねぇ! 俺の元同僚皆殺しにしておいて、自分はさよなら?
そんな事許せるか!」
「高杉大尉!?」
「エステで艦長連れ戻してくる!」
『格納庫、隔壁閉鎖』
「なっ!?」
『エステバリスを出させるわけには行かない。
幸い、整備班以外は格納庫の外に出てるから、隔壁を突破しないとエステバリスは出せない』
「あけろオモイカネ!」
『嫌』
「あけろこの糞野郎!」
『どっちみち時間はもう無い。5・4・3・2・1・』
0。
轟音が響く。
火星の後継者は、こうして壊滅した。
ほんの少数、宇宙に展開していた一部を残して・・・
「くそおおおぉぉぉぉ!!」
「艦長おおぉぉ!?」
「ルリルリイィィ!!」
残されたものの叫びと共に・・・
「さて、何を話してくれるんだ?」
「全てです。初めから、最後まで」
ユーチャリスブリッジ。
私の前にはアキトさんとラピスが。
研究室前でラピスにあった私は、連れられるままここに来た。
「ことの始まりは2年ほど前、私が火星の後継者のデータバンクを見つけた事から始まります。
そこには、貴方達A級ジャンパーの研究と、今回のクーデターの元になる計画がありました。
それを知った私は、ネルガルに入りました。
その一年後、詳しい研究所の場所を発見した事により貴方達の救出を行いました。
結果的に言えば、失敗ですね。結局そのときは艦長を助ける事ができませんでした」
「・・・で?」
「私たちは、いえ、私はアキトさんを救い出し、一つの事を思いつきました。
即ち、私の復讐を肩代わりさせよう、と。
私はそれをすぐ実行に移し、一人のMCを火星の後継者から奪い、それを貴方のサポートに回しました。
それが」
「ラピス、か」
アキトさんは自分の横にいるラピスに手をのせながら、呟く。
「そうです。その後、私は裏工作のため宇宙軍に移り、火星の後継者の構成員になりうる可能性のある高官を皆殺しにしました。
表に出ないよう、慎重に・・・
そして、貴方が動き、私も表で動き始めました。即ち、アマテラスで敵の動きの情報を得る事です」
「・・・そうか。だが、その時はお前は動かなかった」
「えぇ。復讐者が貴方だけだと思わせるために」
「・・・自身は裏でこそこそと、か」
「そういうことです。
続いて、地球に戻り私は貴方と会いました。
三回忌にかこつけて」
「あれには何の意味があったんだ?」
「・・・感傷です。私が、もう過去の私でないことを自分に判らせるための」
「・・・・・・・・・北辰がお前の事を知っていた理由は?」
「その子を助ける時、やりあいました。
あの時は逃がしてしまいましたがね」
そこで、一息つく。
落ち着けるために、抑えるために。
「そして、先ほどの戦闘です。いえ、虐殺、と言い換えてもいい」
「・・・・・・」
「草壁は投降しようとしてました。
私はそれを遮って、皆殺しにしました。
抵抗する力を失ったものたちを。
でも、後悔はしません。たとえ殺戮者とののしられようと、私は私を抑える事なんかできないから・・・」
「そうか・・・」
「そして、最後にヤマサキを殺して、ラピスに会いました」
「始めから最後まで、俺はお前の掌の上で踊っていたわけか・・・」
「そうですね」
沈黙が降りる。
その沈黙を砕いたのは、以外にもラピスだった。
「るり、嘘バッカ」
「え?」
「ダカラ何? 私達ガ殺シタノハるりノ所為ダトデモ言ウキ?」
「っ!」
「ソレデ、あきとニ嫌ワレテ姿ヲ消ス?
フザケナイデ!
私ハるりジャナイ!
誰モ、るりノ代ワリニナンテナラナイ!
私ヲ身代ワリニシナイデ!
ソンナ事ナラ、私ハらぴす・らずりナンテ名前イラナイ!!」
「・・・ラピス」
「嘘バッカリジャナクテ、本当ノ事、教エテ!」
「・・・」
ラピスと、そしてアキトさんが、真剣な目で私を見る。
小さく、溜息を吐いて、もうごまかしが通用しない事を悟った。
「・・・私がアキトさんを助けた時、アキトさんは抱き上げた私に呪詛をはきました。
北辰と山崎に対する、呪詛を。
私にはアキトさんを助ける事はできない。
アキトさんの身体を見たとき、それが判りました」
なぜなら、それは私の身体を蝕むものと同じだったから・・・
「だから、私はせめて復讐を手伝おうと思いました。
でも、呪詛の次に出た言葉は、私を心配する言葉でした。
私に向って、ルリちゃんは無事か、と。
ルリちゃんを護ってくれ、と。
だから、私は表立ってアキトさんを手伝う事はできなかった。
本当は、本当は私とリンクを繋げたかったんです・・・でも、それはアキトさんが望まないから・・・」
「なっ! (俺は本人にそんなこと言ってたのか・・・言った事は覚えてるが、月臣かゴートだと思ってた・・・)」
「だから、私の代わりにリンクをつなげる相手を探した。
それが、ラピス。私の名前をつけた、MC。
酷いですよね、私。生きたいかと聞いておきながら、結果的にMCの少女を私の身代わりとして消したんですから・・・」
「るり、私ハ今生キテル。
ダカラ、マダヤリナオセル。
私ノ事ハ知ラレテイナイカラ」
「・・・ありがとう。
そして私は、舞台を整えるために動いた。
特に、私達の邪魔になる研究施設を潰しに。
この一年、軍の仕事の裏で破壊工作をする生活を続けて、20を超える研究所を潰しました。
中には、事故に見せかけてコロニーごと破壊した事もあります。
もっとも、最後の方はアキトさんがやってしまいましたが・・・
本当はアマテラスに追い詰めるまで、アキトさんには動いて欲しくなかったのですが・・・」
「全てを、お前が終わらすつもりだったのか?」
「はい。特にアキトさんが固執していた北辰を除いて、全て私が潰す予定でした。
もっとも、北辰の顔を知らなかったんですけどね・・・
しかし、アキトさんが力を使いこなすのが早すぎた・・・」
「そんな事をして、俺が喜ぶとでも思ったのか!?」
「まさか。本当は、何も話さないまま、事故か何かに偽装して消えるつもりだったんです。
それが壊れたのが、あの墓地の件。本当は、あの時アキトさんに会うつもりは無かったんです。
ミナトさんに連れられて墓地に行ったとき、貴方がいたのには驚きました。
アカツキさんは何も言いませんでしたし・・・」
「そうか」
「会えば我慢できなくなるのがわかってたのに!
だからこそ、今まで会わないようににしてたのに!
アキトさんも、私に会わないようにしていると聞いて安心していて、結局、何の心構えもなしに貴方にあってしまった。
情けない。今までずっと自分に仮面をつけて自分はもう星野ルリじゃないっていいきかせてたのに・・・
あんな些細なことで、その仮面が外れて・・・」
あんな事をいって・・・
もう、私にはアキトさんと一緒にいる資格なんてないのに・・・
そうおもいながら、ここから離れる事もできない・・・
本当に、情けない・・・
「一つ、聞きたい。あの時ミナトさんが言っていた自殺未遂とはどういうことだ?」
「簡単ですよ。私には貴方しかいなかった。もちろん、ナデシコのほかの人たちも大切です。
でも、私には貴方しかいない。私が、心のそこから一緒にいたいと思うのは貴方だけだった。
だから、私も追いかけようとした。
手首を切って、水につけて、きっと、そのとき私は、星野ルリは死んだんです。
だって、私はもう、人が死んでも何も感じない。
研究所を壊している時にあった、ラピスより小さい研究対象だった子を殺した時も、涙の一つも流れなかった。
だからもう、星野ルリは死んだんですよ・・・」
そして今、その事を口にしても一粒の涙も流れない。
だから、もう星野ルリは死んだんです。
「それは俺も同じだ」
「殺した相手を思って、心の中で無いてる人が?
殺した相手を思って、毎夜うなされる人が?
私もラピスとは繋がっているんです。一方通行ですけど。
だから、あなたのことも多少は判ります。
私には、それすらも無いのに・・・
だから、自分のした事に罪を感じている貴方は、きっとまだ生きているんです」
「そんな事「ソンナ事ナイ! るりハ、私ヲ助ケテクレタ! ソノるりガ罪ヲ感ジナイナンテ嘘!」
アキトさんの言葉を遮って、ラピスが叫ぶ。
「ありがとう。でも、もういい。
それに、私はもうあまり長くは生きられない」
「え?」「エ?」
「アキトさんを治せないとわかった理由、それは私と同じだから。
アキトさんを助け出すまでに色々無茶をして、今では私の体の抗生物質の70%以上がナノマシンなんです。
私が、マシンチャイルドでなければもう死んでいるでしょう。
後、長くても三年とイネスさんのお墨付きがあります」
「そんな・・・なんでそんな馬鹿なことを!」
「そうですね。でも、私にはそんなに長い時間はもう必要ないんです。
アキトさんも、自分の体のことを知っているんでしょう?」
「・・・あぁ」
「私は、アキトさんが死ぬまで持てばいいから。
どの道、もう一度貴方を失ったら私は今度こそ自殺するでしょうから・・・」
「・・・・・・・・そうか・・・」
「これから如何するんですか?」
「一度ネルガルに戻り、補給を受けて後はぶらぶらと。
もう、する事もないしな・・・」
「私ハ行カナイ」
「ラピス?」
「私ハマダ生キタイカラ。
るりニデモりんくツナゲバイイ」
「・・・そうですか。判りました。私も付き合いましょう。
それから、ラピス」
「ン?」
「変な気を使わなくても良いです」
「・・・バレバレ?」
「えぇ。でも、これ以上ラピスを利用する訳にも行きませんしね」
「あぁ。短い間だが、有難う」
ユーチャリスは地球へ向う。
断罪を終えた刃は、自身すら切り刻みながら、最後の時を待つ。
そして・・・
「ラピスを頼む」
「はぁ・・・まぁいつかこうなると思ってたけど・・・」
「黒い皇子、ユーチャリスはいつでも出られる」
「そうか」
アキトは黒いマントにバイザーの姿。即ち、黒い皇子に。
「じゃあ行こうか、滅天使」
ルリはボディーアーマーに白い仮面。即ち、滅天使に。
もう天河アキトも、星野ルリもいない。
天河アキトは攫われた時に、星野ルリは自殺した時にそれぞれ死んだのだ。
「ラピス。さよならだ」
「うん・・・」
「ラピス、君には生きて欲しい。君の人生を好き勝手に弄んだ私がこんなこと言うのは変かもしれないが・・・」
「ううん。そんなこと無い。貴女がいなければ、私は今頃死んでいたと思うから。
それに、本当は私も・・・ううん、本当は私、ルリのこと好きだった。
だから、元気でね」
「えぇ。さようなら、ラピス」
「貴方達も、最後まで元気で。
さようなら、もう会う事もないでしょうけど」
「さようなら、ドクター」
「さようなら、イネスさん」
「「そしてさようなら、俺(私)達を知る人たち。俺(私)達が知っていた人たち・・・」」
白き箱舟は最後の航海に旅立つ。
長くない旅は、今始まったばかり・・・
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後書き
計架です。
結構強引な終わり方&ルリがとんでもない事になってます。
あぁ・・・なんか感想が怖い・・・
なんか、初めの暗躍する滅天使で全て語れてない節があったから書いた続きですが・・・
続けるごとに首を絞めて行ったような・・・
まぁ、書いてしまったものは仕方がない。
・・・などと言ってみつつ・・・やっぱり怖いなぁ・・・
補足。
立待月、居待月、待宵月、臥待月は全てお月見関連の言葉だったりします・・・
感想代理人プロフィール
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代理人の感想
ルリ、自己陶酔し過ぎ&回りから甘やかされすぎ。
世界がルリを中心に回っていますね。