「木連和平派艦隊に包囲されます!」

「おのれツキオミィィ!」

草壁配下の木連艦隊に対して二倍近い物量を誇る和平派艦隊が包囲する。
草壁の配下だった者達の中にも月臣の演説によって寝返る者が出てきている。

「くっ・・・大竜神を出す!」

「し、しかしあれはまだ・・・」

「他に手があるかっ! これは命令だぞ、復唱は如何した!!」

「は、ハッ! 整備班に通達、大竜神出撃準備!」

「なめるなよ愚民共・・・大竜神の、正義の力を見せてくれる!」



機動戦艦ナデシコ
〜宇宙に散る雪〜





夢を見ている。
幸せな夢・・・お兄ちゃんが居て、私がいて、ミナトさんがいて、ルリちゃんがいて・・・
ナデシコの皆や、元一朗や源八郎が遊びに来て・・・
皆、皆笑っていて・・・

でも、それはやっぱり夢・・・
私はそこにはいない・・・私がそこにいるのに、私はそれをただ見ている。
赤い、赤い海の中で・・・
私は一人囚われている。
私が願ったのは、私が想ったのは唯一つなのに・・・なんで私はこんな所にいるんだろう?
暗い、暗い闇と、赤い、血の海。
空虚な自分を、壊さないために人を殺し、人を殺したために更に深い闇に囚われる・・・
どの位の時間をそうして過ごしただろう?
どれだけの闇を抱え、どれだけの人を殺しただろう?
幸せでありたい。
その唯一つの願いをかなえることも出来ず、私の周りに不幸を振りまく・・・
なら、私なんてこのまま消えたほうが良いのかも知れない・・・
それでも構わない、と思う自分がいる。
まだ消えたくない、と叫ぶ自分がいる。
それを冷たく見ている自分もいる。
結局、私は何をしたいのだろう?
なぜ、私はこんな所にいるのだろう?
私は、あの時に死ぬはずだったのに・・・



「ユキナ・・・目を覚ませ、俺を、俺を置いていく気か?」

「白鳥さん・・・」

「ミナトさん・・・ユキナが・・・目を覚まさないんです・・・
 俺を、俺をかばったばっかりに・・・」

「白鳥さん・・・少し休んで。
 疲れている時に考えても悪いほうへいくだけよ・・・」

「だが、あの時俺がもう少し確りしてたら!」

「バカ! ユキナちゃんが貴方を苦しめたくてそんなことしたとでも思ってるの!?
 貴方がそんなこと言ったらユキナちゃんが悲しむわよ。
 それに、ユキナちゃんは死んでないんだから!」

「そうか・・・そうだな・・・いまは、俺に出来ることを・・・」

「そうよ、それでこそ白鳥さん・・・頑張って、九十九さん」

「はい。心配かけてすみませんでした、ミナトさん」

確り生きなさいよ、ユキナちゃん。



「ナデシコを自爆させる!?」

「うん! ナデシコの相転移エンジンを暴走させて、遺跡をどっか〜ん! うん、これできまり!」

明るい口調でさらりと怖い事を言ってのけるユリカ。

「ちょっと待ちなさいよ! あなた、皆巻き添えにするつもり!?」

「まっさかぁ、残るのは艦長の私だけだよ」

「ちょ、ちょっとまてぇ!」

そこに、慌てたアキトが乱入してくる。

「お前、死ぬぞ!」



かすかに、声が聞える。
もう夢さえ見れなくなった暗闇の中で。
その声は、とても聞き取れる物ではないけど・・・
でも、それでも私に必死にかたりかける。
その声はよく聞いた声のようで、まったく聞いたことも無いような・・・
でも、そんなこともどうでも良い。
もう、私は消えていくだけだから・・・

・・・ふと、何かが目に映る。
いや、それは変かもしれない。なぜなら、私は目を開けていないのだから。
それは、懐かしい人々。
ゲキガン馬鹿で私の事をしょっちゅうほっぽっとく、それなのに私に優しい兄。
その兄が選んだ、私の事を育ててくれた義姉。
ナデシコに乗っていた、義理の兄と姉の死で心に傷を負った私よりも小さい妹のような存在。
ナデシコの皆。木連の皆。宇宙軍の皆。
皆、消えて、壊れていく。
それを、何故悲しいと思ったのか・・・
もう、何故悲しいのかも判らない。
それは、私もその一つになるからか・・・
でも、それでも、悲しいとは思う。
何故かはわからなくても、それを悲しいとは思う。
だから、だから私は・・・



「木連が木連とたたかってる!?」

「一体どうなったんだ!?」

自爆案を却下されて、結局ボソンジャンプでナデシコごとどっかに行って貰うために遺跡を積み込む作業の中、いきなり上で戦闘が開始された。
それを見てもうびっくり。な、ブリッジクルーの皆さん。
でも、私には大体なにが起こっているのか判る。
たぶん、ここに来る前、ユキナさんが何かしたんだ・・・

『ぃ・・・を・・・私・・・』

通信機から誰かの声が流れてくる。

『草壁・・・反逆者とし・・・ユキナ・・・』

この声・・・

「元一朗・・・か?」

「月臣少佐?」

『我々の信じた正義は、決して草壁のような卑怯で姑息な物ではない!
 我々は決して無益な殺生や争いをしたいわけではない!
 地球がその罪を悔い、歩み寄ってくるのならば共に歩もうと想い続けてきた!
 だが、草壁はあろう事かその和平の使者を騙し、白鳥ユキナ特別外交官を殺したばかりか、あまつさえその死を敵の事となすりつけた!
 それは断じて許される物ではない! 草壁に正義など無い、木連の勇者諸君、今こそ立つ時である!
 逆賊草壁春樹に、今こそ本当の正義を見せる時だ!』

その演説のバックに、和平会談のために作られた書類と、会談内容が流れている。
何時の間に録音なんてしたんだろう?
でも、その証拠とあいまってうえの結果になったようだ。

「さてと、こっちも始めましょう!」

「本当に、俺達がとばせるんすか? ナデシコ・・・」

「なに、俺も微力ながら手伝わせてもらう。
 出来る、と思わなければ何もできる事は無いさ」

白鳥さんが展望室に入ってくる。
その横にはミナトさんもいる。

「白鳥さん、ユキナさんは良いんですか?」

「あぁ。心配なのに変わりないが、今は自分にできる事をしないとな。
 せっかくユキナに助けてもらった命だ。
 少しでも役に立てたい」

もう、白鳥さんは大丈夫みたいですね。
次はユキナさん、貴女の番です。



「私は・・・今度こそ・・・誰も死なせない」

目を覚ます。外が五月蠅い。
どのくらい寝ていたのか知らないけど、全てが実を結んだのを微かに聞える元一朗の声で知る。
いま、ボソンフィールドが展開されているようだ。
ユリカさんや、アキトさん、イネスさんと・・・お兄ちゃんのイメージが私に流れ込んでくる。
私も想う。ナデシコを飛ばすために・・・
そして、最後の詰めをする為に。



「愚か者共よ、大竜神の、正義の力を見よ!
 ドラゴンブレストォ!」

虹色の光が味方すら巻き込んで艦隊を屠る。

「くっ! 相転移砲だと!? 何てめちゃくちゃな・・・」

大竜神は100m近い大きな機体だ。
その巨体の中には相転移エンジン三基を搭載し、G・B、D・F共に戦艦クラスのものを持つ。
しかしその一番の特徴は胸部にあるブイ字形の砲門。
そう、この機体は100m程度の大きさの中に相転移砲を備えているのだ。
それが、この機体の切り札たるゆえんであり、今まで使われなかった理由でもある。

「フユミ大佐! 敵味方とも被害は甚大!」

「状況報告は後で良い! 私も出るぞ、大宙神を用意しろ!」

「ハッ!」

「まさか、初舞台の相手が同じ木連将校だとはな・・・」



「成功・・・?」

「通常空間に復帰。宇宙空間に出ています」

「「成功だ!」」

私はオモイカネのバックアップをとってナデシコを切り離す用意をする。

「さようなら、オモイカネ」

『ルリも、お元気で・・・』

・・・この船に乗ってから、長いような短いような2年間。
楽しい事も、嬉しい事も、悲しい事も、辛い事もあったけど、それは私だけのもの。
それをなくしたくはないから。

ナデシコの第二船体が切り離される。
遺跡の乗った第一船体が宇宙に向って飛び去っていく。
・・・あれ?

「医務室でボソン反応」

「「「ええ!!」」」

医務室・・・ユキナさん!?
私は医務室の様子をモニターに映し出す。
そこには、誰も寝ていないベッドだけが映し出された・・・



「デンジン隊は後方、マジン隊は左方より攻撃! 戦艦は出来る限り近づくな!
 テツジン隊、私につづけぇ!」

竜神を囲み、ジン部隊が攻撃を仕掛ける。
とは言え、火力が違いすぎる。
竜神自体デンジンの三倍以上ある上に、その機体には無数の砲門が付けられている。
その砲撃がジン部隊の攻撃の手を緩めさせる。

「臆するな! 多少の攻撃程度では堕ちはしない!
 一気に叩き潰せ!」

もうすでに大半の機体が攻撃に加わっていた。
味方すら巻き込んで攻撃をした草壁は、部下からも完全に見放されたのだ。

「何をしているか! 敵は目の前だ、閣下をお守りしろ!」

ある一部を除いては。

「えぇい、どけっ! 私がやるっ」

パン、と艦橋に響く銃声。
わめき散らしていた艦長が宙に舞う。

「逆臣シンジョウは処刑した。
 我らの敵は草壁春樹だ! 神楽月反転、草壁を仕留める!」

「「「ハッ!」」」

しかしその部下達も、同艦に乗っているクルーによって殺されていった。
神楽月の砲撃が竜神を揺るがす。

「神楽月が攻撃だと!?
 おのれシンジョウ、裏切ったかぁ!」

竜神が神楽月に攻撃を仕掛ける。
しかしその砲撃も、自身の何十倍もある木連旗艦には大した効果がない。
そして、二度目の閃光が放たれる。

「見たかっ! これが私の力、正義の力だ。
 貴様らも消えろ、ドラゴンブレスト!」

三度目の閃光は、しかし放たれる事はなかった。
当然といえば当然の結果だ。
四基の相転移エンジンを備えているナデシコですら地表では三発が限度だった。
だから、其れよりも1基少ない上に、通常の攻撃にも多大なENを使ってしまう竜神では二発が限度だったのだ。

「何故だ、何故うてん! 弾切れだというのかっ!?」

「ここまでだ草壁春樹! 大人しく投降せよ!」

「ふざけるなっ! まだ私は、大竜神は負けていない!
 みろ、これが正義の力だ!」

「バカが・・・ゲキガン・ソードッ!」

大宙神が剣を抜き放つ。
そして、全てのENをそこに注ぎ込む。
D・Fソード。木連の開発したD・Fの新しい使いかた。
当初は刃をD・F作ることを考えられたが、EN消費が高く、殆どのパイロットは扱えないため、実体剣をD・Fコーティングする方法を採用。
それでも消費が高い事には変わりはないのだが、かろうじてジンクラスの機体でも扱えるようになった。
その刃が、竜神の頭部を勝ち割る。

「超・熱血斬りいいぃぃぃ!!」

そして、そのまま真っ二つに切裂く。

「ヌオオオォォォォオオ!!」

「くっ!」

三基の相転移エンジンの暴走、爆発によって竜神は跡形もなく消え去った。
それと同時に、草壁春樹も・・・


「あ〜あ・・・消えちゃったか・・・」

左手首にあるブレスレットからは彫刻されたCCが消えていた」

「結構気に入ってたんだけどな・・・」

そう呟いて、貫くような痛みに顔をしかめる。
それに続いて・・・吐血。

「っ! カハッ! ・・・はぁ、はぁ、はぁ・・・傷口が開いちゃったな・・・」

私は遺跡に背を預け、そのまま座り込む。
痛い、苦しい・・・もう、一歩も動けない。
でも、動かないと・・・まだやることがあるんだから・・・

『ユキナさん!』

目の前にコミュニケの画面が開く。
目が霞んで、誰なのかよく判らない。
その声から、ルリちゃんだとは思うけど・・・

『何でそんな所にいるんですか!?
 それが、どうなるか判ってるんですか!?』

「判ってるよ。だから、ここに居るんだから・・・」

そう、最後にやるべきことがあるから。



『判ってるよ。だから、ここに居るんだから・・・』

ユキナさんの目が、私を写していない。
もう、かなり危険な状況だろう。
今すぐにでも助けないと・・・

と、思ったところで不思議な事に気付く。
ユキナさんの手が、身体が、だんだんと金色に変わっていく。
その変化はゆっくりとした物だけど、確実に変わっていく。

「ユキナ、おまえなんでそんな所にっ! ユキナ、その身体!?」

白鳥さんの声で、ユキナさんがそれに気付いた。

『あぁ・・・遺跡と同化しかけてるんだよ。
 こうするのが、一番イメージを遺跡に伝えやすいから・・・』

ユキナさんは、けだるそうに答える。
実際、ここで話しているのも辛いんだろう。
でも、なら何故そんなことを?
思ってみれば以前からそうだ。
なんでユキナさんは殺されるかもしれない敵艦に、和平の使者としてきたんだろう?
なんでユキナさんは撃たれるのがわかっていながら、あの会談に出たのだろう?
そして、これ・・・

「・・・ユキナさん、死にたいんですか?」

そうとしか、考えられない。
でも、ユキナさんはその予想を否定した。

『違うよ。ただ、私は幸せになりたかったの・・・
 みんな、一緒に。
 でも、ね。なれなかった。皆、居なくなった・・・』

「ユキナちゃん、居なくなったってどういう事?
 私達はここにいるわよ!」

『違う・・・皆、だけど、皆じゃない。
 皆は、知らなくてもいいことだよ・・・
 だから、私も行かないといけない。
 でも、せめて皆には、幸せになってほしい、からっ』

ユキナさんの言葉が途切れる。
ユキナさんが何を考えているのかよく判らない。
幸せになりたいといった。でも、なれなかった、と。
何故過去形なのだろう?
いま、ユキナさんはここに居る。
なら、ユキナさんがここに居る以上過去形である事はおかしい。

『それにね、お兄ちゃん、お義姉ちゃん、ルリちゃん・・・ナデシコに人たち・・・
 私はもう疲れた・・・もう、暗い中を歩くのも、血の海に沈むのも・・・
 だから、そろそろ消えたい。たぶん、地球も、木星も上手くいく。
 これさえなければね。だから、私が貰っていくよ。
 この遺跡は、誰にもわたさないから。皆、幸せに、ね』

コミュニケの画像が消える。
その後、いくら送っても通信拒否が出るだけだ。
その後は、だれも、何もしゃべらなかった。
ユキナさんがなんなのか、何を考えていたのかをはかりかね、それでもユキナさんが言いたい事は判る。
やりたいことはわかる。だから、誰も、何もいえない。
そして、ボソンジャンプの光と共に、ナデシコが消えた。



コミュニケの通信を切り、私は目を閉じる。
暗い闇。わたしが、私でなくなっていく感触。
もう少ししたら、完全に遺跡の一部となってしまうだろう。
それでもいい。いまの、この瞬間だけは、確実に遺跡にイメージを伝えられるから。
そのイメージは一つ。私がカキツバタDで最後に行った惑星。
太陽系でもっとも外に位置する星、冥王星。
その宙域まで、ナデシコを飛ばす。
難しくはない。今まで何度もやってきたことだ。
ボソンジャンプによって人生を狂わされた私が、同じくボソンジャンプでその生を閉じる。
どんな皮肉だろう? でも、それももうどうでもいい。
あとは、やることをやって、消えるだけだから。

「ジャンプ・・・」

その呟きが、『私』の最後の言葉になった。



    エピローグ



拝啓、白鳥ユキナ様

お久しぶりです。ルリです。
暑い日が続きますね。あれから、もう3年もたってしまいました。
此方でも、色々と大変な事が起きていたんですよ?
ミスマル提督による、軍上層部の糾弾と、軍上層部の人たちの悪事の暴露。
結局、彼らは全ての罪を償う形で更迭され、今は裁判待ちです。
木連の方も、月臣さんの演説で和平派が立って、その後の戦闘で好戦派の大半が死んでしまいました。
だから今、地球も木星も平和です。
これ、貴女の仕業でしょう?
未だにあなたのしたかった事は判りませんが、貴女は満足できましたか?

そうそう、今日は別にこんな事を言いにきたわけではありませんでした。
此方の近況、聞きたいでしょう?

あの後、地球に帰ってすぐ、九十九さんとミナトさんが結婚しました。
二人とも、凄く落ち込んでいて、互いに慰めあって、その結果の結婚です。

それから、艦長とジュンさんも。
これは落ち込んだ艦長をジュンさんが慰めたからで・・・まぁ、私にも原因があるんですけど・・・
これはこれで、まぁ、ジュンさんおめでとうって事で。

月臣少佐は行方不明です。
演説の後、人知れずどこかに消えてしまったようです。

地球側はミスマル提督が、木連側はフユミって言う人が軍部の全権を握って、今は統合軍として融合してます。
まぁ、これもいい傾向ですよね。

アカツキさんたちはネルガルで事後処理をしてます。
アカツキさん、エリナさんとプロスさん、ゴートさんに見張られて缶詰でした。
ご愁傷様です。

ナデシコのクルーも、前の生活に戻っていってます。
もっとも、メグミさんとホウメイガールズはアイドルになりましたけど・・・
私にも来たんですよ、アイドルにならないかって。断りましたけど。

最後に、私。
私、アキトさんと婚約しました。
知ってました? アキトさんが好きな人、ユキナさんだったんですよ?
それで、その後凄く落ち込んでて・・・そんな気はなかったんですけど、付け入るような形で婚約してしまったんです。
あのときのことを考えると、自己嫌悪で死んでしまいたいくらい・・・
でも、死にませんよ。ユキナさんだけでなく、私まで死んだらあの人、立ち直れないでしょうから。

私達は生きています。
私達は幸せですよ。貴女は、幸せですか?
幸せになれましたか?
あなたの言う、皆と言う人たちには、逢えましたか?
もし、貴女が幸せになっているというのなら、嬉しいです。

長くなりましたが、この辺で終わらせてもらいますね。
では、また。

                                          敬具

・・・追伸

今年の女の子に最も多く付けられた名前、『ユキナ』ですよ。
っていうか、あの終戦の時からずっとこの名前が一番多いです。
ちなみに、九十九さんとミナトさんの娘さんもユキナです。
たぶん、私達に子供が出来てもユキナにすると思います。
では、きますね。
ルリより。



――某刻某所――

宇宙に、氷にまみれた箱舟が浮かんでいる。
その格納庫には金の箱と、金の偶像。
それは氷にまみれながらもなお、美しい光を放っている。

その箱を、偶像を、箱舟を、淡い光が包み込む。
そして・・・

後に残されたのは、淡い光の粒子だけだった。

それは、そう、宇宙に散る、粉雪のように・・・

 

あとがき